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実用新案法

実用新案法
16問 • 1年前
  • Daisuke Saito
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    問題一覧

  • 1

    実用新案制度の存在意義について述べよ。

    実用新案権の対象である考案が特許権の対象である発明と同性質の技術的思想であるということになると、それに関連して実用新案法そのものの存在意義についての問題が生ずる。しかしながら、発明の水準をある程度高く維持しながら同時に創作意欲の減退を防ぐためには、特許制度とは別の簡便な制度を設けて比較的程度の低い発明を保護することが合理的と考えられる。また、最近における実用新案登録出願の出願件数の減少、出願から比較的早期に実施されライフサイクルも短い技術の適切な保護の観点から、実体的要件についての審査を行うことなく、早期に登録を行う制度に改正されたため、実用新案制度は、特許制度とは別の意義を有することとなった。

  • 2

    実用新案法において、保護対象を「物品の形状、構造又は組合わせに係る」考案と限定した理由について説明せよ。

    このような限定を設けることは技術思想である考案を保護するという見地に徹底すればやや問題ではあるが、実用新案制度の永年の運用により実用新案の観念が一般に形成されているので、その事実を尊重し、みだりに実用新案権の対象である考案の範囲を拡げることを避けたためである。

  • 3

    実用新案法において、基礎的要件が規定された趣旨について説明せよ。

    実用新案法では、早期権利保護の観点から実体的要件についての審査を行わずに登録を行う(実 14 条2項)。しかし、著作権等とは異なり、登録公示を権利付与の要件とする方式(登録)主義を採用しているため、登録を受けるに足る基礎的要件については、これを満たしている必要がある。このため、2条の2第4項各号で規定する方式要件に加え、本条各号に規定する基礎的要件についても、これを満たさないものは特許庁長官による補正命令の対象として、瑕疵が是正されない限り登録しないこととした(実6条の2)。

  • 4

    基礎的要件を満たさない出願を、特許庁長官による補正命令の対象とした理由について 説明せよ。

    基礎的要件を満たさない出願を、特許庁長官による補正命令の対象としたのは、基礎的要件の判断に際しては、技術的な専門知識が必要とされるものの、新規性、進歩性といった登録性の判断に比べ裁量が働く余地は少なく、基礎的要件はいわば、方式審査に準ずるものと考えられること、基礎的要件を満たさない出願について、審査官による拒絶理由を通知した場合には、通常の方式審査の不備に対しては特許庁長官による補正命令、基礎的要件の不備に対しては審査官による拒絶理由通知というように一つの出願に対して、特許庁からの命令又は通知が別々に行われる事態も生じうるため、手続が複雑化、錯綜すること、との理由に基づくものである。

  • 5

    実用新案技術評価書を導入した趣旨について説明せよ。

    実体的要件についての審査を行わずに権利を付与する場合、登録された権利が実体的要件を満たしているか否かは、原則として、当事者間の判断に委ねられることとなる。しかし、権利の有効性を巡る判断には、技術性、専門性が要求され、当事者間の判断が困難な場合も想定される。そこで、当事者間に権利の有効性に関する客観的な判断材料を提示するべく、実用新案技術評価書を導入した(実 12 条)。

  • 6

    特許法第 46 条の2の規定が設けられた趣旨について説明せよ。

    従来は、実用新案登録出願は無審査主義のため(実 14 条2項)、出願してから実用新案権の設定登録を受けるまでの係属期間が短いため、出願変更の機会は非常に制限されていた。ここで、設定登録後に技術動向の変化や事業計画の変更に伴い審査を経た安定性の高い権利を取得したい場合、あるいは、より長期の存続期間が確保されるようにしたい場合など、特許権の設定が必要となる場合に対応することが困難となる。そのため、出願時にこうした可能性が排除できない場合には特許出願を行わざるを得ず、特許制度と実用新案制度を併存させることの利点が活かされないとの指摘があった。そこで、実用新案登録に基づく特許出願制度が導入された(46 条の2)。

  • 7

    実用新案登録に基づく特許出願をする場合には、その出願時に基礎とした実用新案権を 放棄しなければならない理由について説明せよ。

    基礎とした実用新案登録に係る実用新案権を放棄させることとしたのは、実用新案登 録に基づく特許出願と基礎とした実用新案権が併存した場合の第三者の監視負担及び二重の審査(同一の技術について特許審査及び実用新案技術評価書の作成)による特許審査の遅延に配慮したものである

  • 8

    実用新案登録に基づく特許出願を実用新案登録出願から3年に限って行えることとし た理由について説明せよ。

    何時でも実用新案登録に基づく特許出願を可能とした場合、審査請求期間の実質的な延長が可能となるため、審査請求期間を3年に短縮した趣旨を実質上没却させるものとなる。また、実用新案登録に基づく特許出願と類似している実用新案登録出願から特許出願への変更においても出願から3年の制限がある。したがって、実用新案登録に基づく特許出願を実用新案登録出願から3年に限って行えることとしたものである(46 条の2第1項1号)。

  • 9

    出願人又は実用新案権者による評価請求がされた実用新案登録に基づく特許出願をす ることができない理由について説明せよ。

    二重の審査を防止するため、出願人又は権利者による評価請求後は、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願をすることができないこととした(46 条の2第1項2号)。

  • 10

    他人による評価請求があった旨の最初の通知を受け取った日から 30 日を経過するまで は、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願が可能とされる理由について説明 せよ。

    他人による評価請求は、出願人又は権利者自身で評価請求したものではないため、評価請求後直ちに実用新案登録に基づく特許出願をすることができなくなることは、出願人又は権利者にとって酷である。一方、出願人又は権利者が他人になりすまして評価請求をする可能性は否定できない。そのため、他人による評価請求があった旨の最初の通知を受け取った日から 30 日を経過するまでは、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願を可能とすることとした(46 条の2第1項3号)。

  • 11

    実用新案登録に対する無効審判請求があった場合、最初に指定された答弁書提出可能期間経過後は、その実用新案登録に基づく特許出願を行うことができないこととした理由について説明せよ。

    無効審判の審理において、ある技術の実用新案権の有効性の判断が可能なところまで審理が進んだ段階で、同一の技術について新たな特許出願が行われると、審理を進めてきた請求人の負担が無に帰す可能性がある。また、審理が進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われ、その特許権が設定された場合に、当該特許権について無効審判請求がなされると、同一の技術について、審理が二重に行われることになる。したがって、実用新案登録に対する無効審判請求があった場合、最初に指定された答弁書提出可能期間経過後は、その実用新案登録に基づく特許出願を行うことができないこととした(46 条の2第1項4号)。

  • 12

    実用新案登録に基づく特許出願の実用新案登録出願への変更が認められない理由につ いて説明せよ。

    実用新案登録に基づく特許出願についても通常の特許出願とできるだけ同等の取扱いとすることが出願人にとって望ましいことを考慮すると、実用新案登録に基づく特許出願から実用新案登録出願への変更を可能とすることも考えられる。しかしながら、変更を認めた場合には、実用新案登録出願の状態に戻ることが可能となり、補正・分割を行いうることとなる。このような利点を狙って実用新案登録に基づく特許出願が利用されることは、制度導入の趣旨に合致するものではない。また、出願人は一度取得した実用新案権を放棄してまで特許権の保護を選択したのだから、同一内容の出願で再度の実用新案権の取得を認める必要はないと考えることも可能である。従って、実用新案登録に基づく特許出願の実用新案登録出願への変更は禁止することとした(実 10 条1項かっこ書)。

  • 13

    実用新案登録に基づく特許出願の基礎とした実用新案登録については、その後評価請求 できないこととした理由について説明せよ。

    実用新案登録に基づく特許出願がされた場合には、出願人の意思として実用新案権の保護を断念し特許権を選択したといえること、過去の侵害に対しては実用新案権を維持することで対応すべきこと及び二重の審査による特許審査の遅延を防止する必要があることに鑑み、基礎とした実用新案登録については、その後評価請求できないこととしたものである(実 12 条3項)。

  • 14

    一定の制限を加えつつ、訂正の許容範囲を拡大した理由について説明せよ。

    従来は、自己責任原則に基づく無審査登録主義の趣旨及び第三者の監視負担増への懸念といった観点から、訂正は請求項の削除を目的とするものに限り認められていた。しかし、実用新案制度においては、請求項の削除を目的とする訂正のみが認められているため、第三者からの無効審判等の攻撃に対して防御する余地がない。また、実用新案制度は早期無審査登録制度を採用しており、補正の機会もほとんどないことから、実質的な訂正が認められていないことは権利者に酷である。他方、何ら制限を設けずに実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を認めた場合、出願時に不当に広い権利範囲の請求項を記載しておき、その後、先行技術を参考にしながら減縮していく訂正が可能となる。そのため、整備された権利範囲を出願時に設定する意欲が低下し、不当に広い権利範囲を有する実用新案権が増大し、第三者の調査負担が過大となる。そこで、第三者の負担が過大とならないよう、一定の制限を加えつつ、訂正の許容範囲が拡大された(14 条の2)。

  • 15

    実用新案法 29 条の2の規定について、趣旨とともに説明せよ。

    実用新案権者等は、実用新案技術評価書を請求し(実 12 条1項)、当該実用新案技術評価書を提示して警告するべきである(実 29 条の2)。当該警告後でなければ、権利行使をすることができないためである(実 29 条の2)。また、権利者による権利行使を適切かつ慎重なものとし、瑕疵のある権利の濫用を防止するとともに第三者に不測の不利益を与えることを回避するためである。

  • 16

    実用新案法 29 条の3の規定について、趣旨とともに説明せよ。

    実用新案技術評価書の結果、自己調査、鑑定等により実用新案登録に無効理由がないことを相当な注意をもって確認すべきである(29 条の3第1項但書)。実用新案登録の無効審決が確定したときは、権利者が注意義務に違反したものとして、立証責任の転換を図り、権利者が相当の注意をもって権利を行使したことを立証しない限り、損害賠償責任を負うためである(29 条の3第1項)また、実用新案権者により高度な注意義務を課すことにより、瑕疵のある権利の濫用を防止するとともに第三者が不測の損害を被ることのないようにするためである。

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  • 1

    実用新案制度の存在意義について述べよ。

    実用新案権の対象である考案が特許権の対象である発明と同性質の技術的思想であるということになると、それに関連して実用新案法そのものの存在意義についての問題が生ずる。しかしながら、発明の水準をある程度高く維持しながら同時に創作意欲の減退を防ぐためには、特許制度とは別の簡便な制度を設けて比較的程度の低い発明を保護することが合理的と考えられる。また、最近における実用新案登録出願の出願件数の減少、出願から比較的早期に実施されライフサイクルも短い技術の適切な保護の観点から、実体的要件についての審査を行うことなく、早期に登録を行う制度に改正されたため、実用新案制度は、特許制度とは別の意義を有することとなった。

  • 2

    実用新案法において、保護対象を「物品の形状、構造又は組合わせに係る」考案と限定した理由について説明せよ。

    このような限定を設けることは技術思想である考案を保護するという見地に徹底すればやや問題ではあるが、実用新案制度の永年の運用により実用新案の観念が一般に形成されているので、その事実を尊重し、みだりに実用新案権の対象である考案の範囲を拡げることを避けたためである。

  • 3

    実用新案法において、基礎的要件が規定された趣旨について説明せよ。

    実用新案法では、早期権利保護の観点から実体的要件についての審査を行わずに登録を行う(実 14 条2項)。しかし、著作権等とは異なり、登録公示を権利付与の要件とする方式(登録)主義を採用しているため、登録を受けるに足る基礎的要件については、これを満たしている必要がある。このため、2条の2第4項各号で規定する方式要件に加え、本条各号に規定する基礎的要件についても、これを満たさないものは特許庁長官による補正命令の対象として、瑕疵が是正されない限り登録しないこととした(実6条の2)。

  • 4

    基礎的要件を満たさない出願を、特許庁長官による補正命令の対象とした理由について 説明せよ。

    基礎的要件を満たさない出願を、特許庁長官による補正命令の対象としたのは、基礎的要件の判断に際しては、技術的な専門知識が必要とされるものの、新規性、進歩性といった登録性の判断に比べ裁量が働く余地は少なく、基礎的要件はいわば、方式審査に準ずるものと考えられること、基礎的要件を満たさない出願について、審査官による拒絶理由を通知した場合には、通常の方式審査の不備に対しては特許庁長官による補正命令、基礎的要件の不備に対しては審査官による拒絶理由通知というように一つの出願に対して、特許庁からの命令又は通知が別々に行われる事態も生じうるため、手続が複雑化、錯綜すること、との理由に基づくものである。

  • 5

    実用新案技術評価書を導入した趣旨について説明せよ。

    実体的要件についての審査を行わずに権利を付与する場合、登録された権利が実体的要件を満たしているか否かは、原則として、当事者間の判断に委ねられることとなる。しかし、権利の有効性を巡る判断には、技術性、専門性が要求され、当事者間の判断が困難な場合も想定される。そこで、当事者間に権利の有効性に関する客観的な判断材料を提示するべく、実用新案技術評価書を導入した(実 12 条)。

  • 6

    特許法第 46 条の2の規定が設けられた趣旨について説明せよ。

    従来は、実用新案登録出願は無審査主義のため(実 14 条2項)、出願してから実用新案権の設定登録を受けるまでの係属期間が短いため、出願変更の機会は非常に制限されていた。ここで、設定登録後に技術動向の変化や事業計画の変更に伴い審査を経た安定性の高い権利を取得したい場合、あるいは、より長期の存続期間が確保されるようにしたい場合など、特許権の設定が必要となる場合に対応することが困難となる。そのため、出願時にこうした可能性が排除できない場合には特許出願を行わざるを得ず、特許制度と実用新案制度を併存させることの利点が活かされないとの指摘があった。そこで、実用新案登録に基づく特許出願制度が導入された(46 条の2)。

  • 7

    実用新案登録に基づく特許出願をする場合には、その出願時に基礎とした実用新案権を 放棄しなければならない理由について説明せよ。

    基礎とした実用新案登録に係る実用新案権を放棄させることとしたのは、実用新案登 録に基づく特許出願と基礎とした実用新案権が併存した場合の第三者の監視負担及び二重の審査(同一の技術について特許審査及び実用新案技術評価書の作成)による特許審査の遅延に配慮したものである

  • 8

    実用新案登録に基づく特許出願を実用新案登録出願から3年に限って行えることとし た理由について説明せよ。

    何時でも実用新案登録に基づく特許出願を可能とした場合、審査請求期間の実質的な延長が可能となるため、審査請求期間を3年に短縮した趣旨を実質上没却させるものとなる。また、実用新案登録に基づく特許出願と類似している実用新案登録出願から特許出願への変更においても出願から3年の制限がある。したがって、実用新案登録に基づく特許出願を実用新案登録出願から3年に限って行えることとしたものである(46 条の2第1項1号)。

  • 9

    出願人又は実用新案権者による評価請求がされた実用新案登録に基づく特許出願をす ることができない理由について説明せよ。

    二重の審査を防止するため、出願人又は権利者による評価請求後は、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願をすることができないこととした(46 条の2第1項2号)。

  • 10

    他人による評価請求があった旨の最初の通知を受け取った日から 30 日を経過するまで は、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願が可能とされる理由について説明 せよ。

    他人による評価請求は、出願人又は権利者自身で評価請求したものではないため、評価請求後直ちに実用新案登録に基づく特許出願をすることができなくなることは、出願人又は権利者にとって酷である。一方、出願人又は権利者が他人になりすまして評価請求をする可能性は否定できない。そのため、他人による評価請求があった旨の最初の通知を受け取った日から 30 日を経過するまでは、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願を可能とすることとした(46 条の2第1項3号)。

  • 11

    実用新案登録に対する無効審判請求があった場合、最初に指定された答弁書提出可能期間経過後は、その実用新案登録に基づく特許出願を行うことができないこととした理由について説明せよ。

    無効審判の審理において、ある技術の実用新案権の有効性の判断が可能なところまで審理が進んだ段階で、同一の技術について新たな特許出願が行われると、審理を進めてきた請求人の負担が無に帰す可能性がある。また、審理が進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われ、その特許権が設定された場合に、当該特許権について無効審判請求がなされると、同一の技術について、審理が二重に行われることになる。したがって、実用新案登録に対する無効審判請求があった場合、最初に指定された答弁書提出可能期間経過後は、その実用新案登録に基づく特許出願を行うことができないこととした(46 条の2第1項4号)。

  • 12

    実用新案登録に基づく特許出願の実用新案登録出願への変更が認められない理由につ いて説明せよ。

    実用新案登録に基づく特許出願についても通常の特許出願とできるだけ同等の取扱いとすることが出願人にとって望ましいことを考慮すると、実用新案登録に基づく特許出願から実用新案登録出願への変更を可能とすることも考えられる。しかしながら、変更を認めた場合には、実用新案登録出願の状態に戻ることが可能となり、補正・分割を行いうることとなる。このような利点を狙って実用新案登録に基づく特許出願が利用されることは、制度導入の趣旨に合致するものではない。また、出願人は一度取得した実用新案権を放棄してまで特許権の保護を選択したのだから、同一内容の出願で再度の実用新案権の取得を認める必要はないと考えることも可能である。従って、実用新案登録に基づく特許出願の実用新案登録出願への変更は禁止することとした(実 10 条1項かっこ書)。

  • 13

    実用新案登録に基づく特許出願の基礎とした実用新案登録については、その後評価請求 できないこととした理由について説明せよ。

    実用新案登録に基づく特許出願がされた場合には、出願人の意思として実用新案権の保護を断念し特許権を選択したといえること、過去の侵害に対しては実用新案権を維持することで対応すべきこと及び二重の審査による特許審査の遅延を防止する必要があることに鑑み、基礎とした実用新案登録については、その後評価請求できないこととしたものである(実 12 条3項)。

  • 14

    一定の制限を加えつつ、訂正の許容範囲を拡大した理由について説明せよ。

    従来は、自己責任原則に基づく無審査登録主義の趣旨及び第三者の監視負担増への懸念といった観点から、訂正は請求項の削除を目的とするものに限り認められていた。しかし、実用新案制度においては、請求項の削除を目的とする訂正のみが認められているため、第三者からの無効審判等の攻撃に対して防御する余地がない。また、実用新案制度は早期無審査登録制度を採用しており、補正の機会もほとんどないことから、実質的な訂正が認められていないことは権利者に酷である。他方、何ら制限を設けずに実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を認めた場合、出願時に不当に広い権利範囲の請求項を記載しておき、その後、先行技術を参考にしながら減縮していく訂正が可能となる。そのため、整備された権利範囲を出願時に設定する意欲が低下し、不当に広い権利範囲を有する実用新案権が増大し、第三者の調査負担が過大となる。そこで、第三者の負担が過大とならないよう、一定の制限を加えつつ、訂正の許容範囲が拡大された(14 条の2)。

  • 15

    実用新案法 29 条の2の規定について、趣旨とともに説明せよ。

    実用新案権者等は、実用新案技術評価書を請求し(実 12 条1項)、当該実用新案技術評価書を提示して警告するべきである(実 29 条の2)。当該警告後でなければ、権利行使をすることができないためである(実 29 条の2)。また、権利者による権利行使を適切かつ慎重なものとし、瑕疵のある権利の濫用を防止するとともに第三者に不測の不利益を与えることを回避するためである。

  • 16

    実用新案法 29 条の3の規定について、趣旨とともに説明せよ。

    実用新案技術評価書の結果、自己調査、鑑定等により実用新案登録に無効理由がないことを相当な注意をもって確認すべきである(29 条の3第1項但書)。実用新案登録の無効審決が確定したときは、権利者が注意義務に違反したものとして、立証責任の転換を図り、権利者が相当の注意をもって権利を行使したことを立証しない限り、損害賠償責任を負うためである(29 条の3第1項)また、実用新案権者により高度な注意義務を課すことにより、瑕疵のある権利の濫用を防止するとともに第三者が不測の損害を被ることのないようにするためである。