【刑訴法】復元問題一問一答(上巻)⑤

【刑訴法】復元問題一問一答(上巻)⑤
100問 • 2年前
  • 山本卓弥
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    問題一覧

  • 1

    緊急逮捕するためには、被疑者について、 罪状の重い一定の 罪を犯したことを疑うに足りる 「充分な理由」 と、 急速を要し 裁判官の逮捕状を求めることができないという緊急性を要する ところ、犯人が自首してきた場合は、 緊急性の要件を欠くので 緊急逮捕することができない。

  • 2

    被疑者を緊急逮捕した場合、 捜査機関は直ちに裁判官に逮捕 状を請求しなければならないが、 「直ちに」 とは、具体的な状況に照らして合理的に必要最小限度の時間内であることを意味 する。

  • 3

    緊急逮捕の要件は、被疑者を逮捕する時に存在すれば足り、 逮捕状請求時まで継続して存在することを要しない。

  • 4

    緊急逮捕した場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続 をしなければならず、 逮捕状が発せられないときは、直ちに被 疑者を釈放しなければならないところ、 傷害罪で被疑者を緊急 逮捕した後、逮捕状の請求前に、被害者が死亡して罪名が傷害 致死罪となった場合であっても、 請求書には、 緊急逮捕時に認められた罪名である傷害罪を記載すべきである。

  • 5

    強盗事件の被疑者を緊急逮捕し、 逮捕状を請求したところ、 裁判官が強盗罪ではなく恐喝罪の逮捕状を発付した場合でも、 当該逮捕状の効力で被疑者の身柄拘束を継続することができる。

  • 6

    緊急逮捕された被疑者の引致を受けたところ、 留置の必要が 認められず、 被疑者を釈放した場合でも、 逮捕状の請求は、身柄拘束を継続する場合と同様に、逮捕後直ちに行わなければならない。

  • 7

    緊急逮捕した被疑者に、引致の途中で逃走された場合には、逮捕状を請求する必要はない。

  • 8

    緊急逮捕状の請求前に被疑者に逃走された場合、 緊急逮捕が 適正に行われたことを疎明するために緊急逮捕状を請求すべきであるが、 逃走した被疑者を再び身柄拘束する際に、当該逮捕 状により逮捕することはできず、改めて逮捕手続をとる必要がある。

  • 9

    緊急逮捕した場合、直ちに裁判官に逮捕状を求めなければな らないが、 司法巡査による緊急逮捕状の請求はできない。

  • 10

    緊急逮捕状の請求は、当該事件の管轄にかかわらず、逮捕した警察官の所属する官公署の所在地を管轄する地方裁判所又は 簡易裁判所の裁判官にこれをしなければならない。

  • 11

    他府県下で内偵捜査中、 捜査員が当該捜査中の被疑者を緊急逮捕した場合の逮捕状の請求は、逮捕地の最寄りの下級裁判所の裁判官に対して行うことができる。

  • 12

    緊急逮捕状は、 緊急逮捕行為の要件の存否を審査して緊急逮捕行為を追認するという性質を有するので、 裁判官による適法性審査の基準時は、 緊急逮捕行為時となる。

  • 13

    緊急逮捕状が発せられるためには、逮捕時に緊急逮捕の要件が備わっていることのほかに、 緊急逮捕状発付時にも、少なくとも通常逮捕の要件が備わっていなければならない。

  • 14

    緊急逮捕状は、 緊急逮捕行為の追認と緊急逮捕後の身柄拘束の必要性の承認という2つの性格を備えているが、そのいずれか一方が認められる場合には、 緊急逮捕状が発付される。

  • 15

    被疑者を緊急逮捕した場合の逮捕状請求については、緊急逮捕の要件を満たしていることはもとより、 逮捕状請求時に通常逮捕と同様の疎明資料が必要である。

  • 16

    緊急逮捕の要件については、緊急逮捕した時点において逮捕者が認識し得た疎明資料を添付しなければならない。

  • 17

    緊急逮捕の適法性は、 緊急逮捕当時の資料によって判断されるが、これは、緊急逮捕の実質的要件のうち、「充分な理由」 と「緊急性」についてであり、「逮捕の必要性」については、 逮捕後の資料や事情も考慮することができる。

  • 18

    緊急逮捕の要件は、逮捕時に存在することを要し、 逮捕後の事情を疎明資料とすることは許されないので、 緊急逮捕の要件を疎明するために提出できる資料は、逮捕前に作成されたもの に限られる。

  • 19

    緊急逮捕後に逮捕状を請求する際の、 緊急逮捕の要件に関する主な疎明資料としては、 緊急逮捕手続書、 被害届 、 被疑者供述調書が挙げられる。

  • 20

    緊急逮捕の要件を疎明するための資料は、逮捕時に得られた 資料に限られるところ、被疑者の自供に基づいて緊急逮捕した 場合における当該自供を書面化した自白調書は、逮捕後に作成 された調書であるが例外的に疎明資料となり得る。

  • 21

    緊急逮捕状を請求する場合、 弁解録取書は逮捕後に得た資料 であることから、 緊急逮捕の適法性を疎明する資料となるもの ではないが、実務上、 裁判官が身柄拘束の継続の必要性を判断 するための資料として、他の疎明資料とともに提供している。

  • 22

    緊急逮捕する際、 被疑者に対し、 「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」、 「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと」 のいずれかを告知すればよい。

  • 23

    緊急逮捕する場合、 被疑事実の要旨を大まかにでも理解できる程度に被疑者に伝えなければならない。

  • 24

    緊急逮捕する際、 被疑者に対し逮捕の理由を告知しなければならないが、 逮捕前の告知によって被疑者が逃走するおそれがある場合には、身柄を確保後、すぐに告知すればよい。

  • 25

    使用言語が判明しない外国人被疑者を緊急逮捕する場合、 被疑事実の要旨と、 急速を要し裁判官の逮捕状を求めることができない旨を、被疑者の理解する言語により告知できなかったとしても、その後、 迅速に適当な通訳人の確保に努め、その時点で直ちに告知等を行えば、 当該逮捕手続は違法とはならない。

  • 26

    被疑者を緊急逮捕した場合、 刑訴法上は、必ずしも緊急逮捕状を被疑者に示さなければならないというわけではないが、 実務上は、被疑者の要求の有無にかかわらず、 発付された緊急逮捕状を速やかに被疑者に提示する運用がなされている。

  • 27

    被疑者を緊急逮捕した場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないところ、ここにいう「直ちに」 とは、他の事情に優先して直ちに、という意味である。

  • 28

    既に逮捕状の発付されている逃走中の被疑者を緊急逮捕することは、 二重逮捕のおそれを生じさせることから許されない。

  • 29

    現行犯逮捕した後、 その要件を備えていないことが判明したので被疑者を釈放したが、引き続き身柄を拘束する必要性がある場合、 緊急逮捕の要件を備えていれば、 被疑者を同一被疑事 実で緊急逮捕することができる。

  • 30

    緊急逮捕すべき被疑者を現行犯逮捕してしまった場合、 当該被疑者を留置する必要が認められれば釈放の手続をする必要はないが、直ちに緊急逮捕の手続を行わなければならない。

  • 31

    緊急逮捕において、 逮捕状請求時に通常逮捕の要件を欠くとして逮捕状請求を却下された場合、 緊急逮捕行為そのものは適法と認められていることから、当該逮捕に伴い差し押さえた物を還付する必要はない。

  • 32

    緊急逮捕の現場における令状によらない証拠物の押収について、裁判官が当該緊急逮捕を違法と認め、逮捕状の請求を却下した場合であっても、 押収した物を被押収者に還付する必要はない。

  • 33

    裁判官が緊急逮捕の適否を審査した結果、 緊急逮捕状の請求を却下した場合、捜査機関は、当該処分に不服があっても、 その取消しや変更を請求することができない。

  • 34

    現行犯人とは、犯人の身分の一種ではなく、 一定の時間的発展段階における犯人のことをいうので、犯行後の極めて限られた時間的段階を経過すれば、 もはや現行犯人ではなくなる。

  • 35

    現行犯人は、何人も令状なくして逮捕することができるとされているので、 捜査機関だけでなく、 私人でも逮捕することができるが、私人の場合は、固有の現行犯逮捕に限られる。

  • 36

    現行犯人を逮捕することは、 私人にも認められた権限であるが、特別司法警察職員である皇宮護衛官が、 職務外で現行犯人を逮捕する際は、司法警察職員としてではなく、 一般私人として逮捕を行う。

  • 37

    現行犯逮捕における 「現に罪を行い」 とは、逮捕者の目前で、 犯人が特定の犯罪の実行行為を行っている場合をいい、 未遂の処罰規定がある罪については、 実行の着手があればこれに当た あるが、未遂の処罰規定がない罪については、 既遂に達していることを要する。

  • 38

    現に罪を行っている「現行犯人」 とは、 特定の犯罪の実行行為を行いつつある犯人を意味するが、 親告罪について告訴権者の告訴意思が不明確な場合であっても、訴訟条件の存否とは関係なく、被疑者を現行犯逮捕することができる。

  • 39

    現行犯逮捕する際は、 逃亡や罪証隠滅のおそれがないことが明らかである例外的な場合を除き、 個々に逮捕の必要性を検討することを要しない。

  • 40

    現行犯逮捕をするには、 「犯罪と犯人の明白性」及び「犯罪の現行性時間的接着性の明白性」という2つの要件を充足することが必要である。

  • 41

    現行犯逮捕における「犯罪と犯人の明白性」 が認められるた めには、現場の状況等から、 その者が現に特定の犯罪を行い、 又は現に行い終わったことが外部的に明白であると、逮捕者自身が直接覚知し得たことを要する。

  • 42

    現行犯人であるという事実は、 逮捕者自身にとって明白であれば足り、逮捕者以外の何人にとっても明白であるということまでは必要ない。

  • 43

    贈収賄罪における金品授受のように、 外観上明白でない犯罪が行われた場合、 捜査機関は、 事前に収集した客観的資料や特殊な知識あるいは経験によって、現に犯罪が行われたと認定できるときは、現行犯逮捕することができる。

  • 44

    現場の状況、 被疑者、 被害者の挙動から、犯罪の生々しい状況がうかがえるとしても、 警察官自身が直接犯行を現認していなければ、「現に罪を行い終った者」 とは認められない。

  • 45

    逮捕者が犯罪の実行行為を目撃していなくても、 直接覚知した現場の状況と関係者の供述等を加味して、現行犯逮捕することができるが、被害者の申告が唯一の判断材料であるときには、 現行犯逮捕は許されない。

  • 46

    現行犯人と認めるための「犯罪と犯人の明白性」における「犯罪」 とは、 特定されたものであることを要するところ、予備、教唆、 幇助等が処罰される場合には、これらの行為も 「犯罪」 に含まれる。

  • 47

    現場で暴行を共謀し、 共謀者のうちの1人が直ちに暴行に及んだ場合、その犯行現場において直接暴行を加えなかった共謀者を、暴行の現行犯人として逮捕することができる。

  • 48

    幇助者に対する現行犯逮捕は、幇助者の幇助行為と正犯者の実行行為ともに現行性が備わっていなければならない。

  • 49

    甲は、駐車違反で警察から呼出しを受けたが、違反歴から行 政処分を免れることはできないと思い、 知人乙に身代わりを依 頼した。 乙は、これを承諾し約 10 分後に警察署に出頭したが、 この態度を不審に思った警察官の追及に耐えきれず、外で待っ ている甲に依頼された旨自供した。 この場合、 甲を犯人隠避罪 の教唆犯で現行犯逮捕できる。

  • 50

    職務質問をした際、 「自宅に拳銃を隠している。」 と相手方が 申し立てたので、 同人宅に同道し、 拳銃不法所持の事実を確認した場合、 いわゆるたぐり捜査に当たるので、 現行犯逮捕することはできない。

  • 51

    A巡査部長は、 不審者甲を職務質問中、 甲が紙包みを投げ捨 て逃走したため、直ちにそれを拾って追跡した。 Aが甲に追い付いて任意同行を求め、 同行先の交番において紙包みを確認し たところ、 中身は白色結晶であった。 専務員が予試験を実施し た結果、 覚醒剤の陽性反応を示したため、Aは覚醒剤取締法違反で甲を現行犯逮捕した。 Aによる現行犯逮捕は適法である。

  • 52

    質札を所持する不審者を職務質問したところ、バッグ内に覚醒剤を隠したまま入質した旨の供述を得たので、 同人の立会いの下でバッグを調べ、覚醒剤を発見した。 これは、いわゆる「たぐり捜査」 であるから、その者を現行犯逮捕することはできない。

  • 53

    現行犯逮捕における 「現に罪を行い終った」 とは、犯罪行為の終了直後、 あるいはそれに極めて近接した時間的段階のことである。

  • 54

    固有の現行犯人として認められる時間的範囲は、実行行為終了後30分ないし40分程度とされているが、この範囲内にある犯人が常に現行犯人に当たるわけではない。

  • 55

    現に罪を行っていること、又は現に罪を行い終わったことについての外部的要因は、 何人にも明白である必要はないが、少なくとも、現場の状況等から逮捕者が直接覚知し得るものでなければならない。

  • 56

    甲は、コンビニエンスストアで現金を奪う目的で、レジ係員の襟首をつかみ殴ろうとしたところ、大声を出されたため、 そのまま自分の車両で逃走した。 約30分後、現場から約2キロ メートル離れた場所で緊急配備中の警察官に停止を命じられ、 職務質問されたので観念して犯行を認めた。 この場合、甲を現行犯逮捕することができる。

  • 57

    甲は、路上で高校生Aを脅し、 現金1万円を奪い逃走した。 その1時間後、犯行現場から約100メートル離れた喫茶店に 入るところを偶然Aに見られ、その訴えを受けた警察官がAと 共に喫茶店に赴いて甲を追及したが、 甲は犯行を認めなかった。 この場合、 警察官は甲を現行犯逮捕することができる。

  • 58

    甲は、のぞき見のためX社社員寮の屋上に侵入し、長時間滞留したところを発見 通報されたが、 甲の社員寮への侵入時刻が判明しないことから、 甲を邸宅侵入罪の現行犯人として逮捕することはできない。

  • 59

    現行犯逮捕の要件は、 逮捕行為に着手した時点で存在すれば足り、 逮捕完了まで継続することを要しないので、犯行を認めると同時に逮捕行為に着手して、 追跡等の逮捕行為が継続していれば、逮捕完了までに数時間を要したとしても現行犯逮捕す ることができる。

  • 60

    A巡査部長は、ひったくり事件によるD配備に従事中、事件発生から約1時間30分後、 発生場所から約3キロメートル離れた地点で、手配人着に酷似し、 手配車両のナンバーと一致す るバイクに乗車した甲を発見し、 職務質問したところ、 被害品を所持しており、犯行を認めたため、 甲を窃盗罪で準現行犯逮捕した。 Aによる準現行犯逮捕は適法である。

  • 61

    警察官が不審者を職務質問した結果、 その自供によって質問の相手方が罪を行い終わってから間がないことが初めて判明した場合、 準現行犯逮捕することは許されない。

  • 62

    不審者甲の承諾を得て所持品検査を行ったところ、バッグ内から同じ題名の書籍3冊が見つかり、 甲が書店で万引きしたことを自供した後、 当該書店の防犯カメラ画像を捜査した他の警察官から 「約10分前、 甲と同じ人着の者が本数冊をバッグに入れ店を出る状況を確認した」 旨の報告を受けた場合、 甲を窃盗罪の現行犯人として逮捕することができる。

  • 63

    A巡査部長は、 警ら中、 ヘルメットをかぶらないでバイクで 走行してきた甲を停止させ、 職務質問したところ、 約5分前、 300メートルくらい離れたマンション内の駐輪場から当該バイクを盗んできたことを自供した。 被害日時、場所等の事実を連絡した結果、 被害者から被害確認ができたので、 甲を窃盗罪で現行犯逮捕した。 Aによる現行犯逮捕は適法である。

  • 64

    準現行犯の個別的要件の1つである「犯人として追呼されているとき」とは、その者が犯人であることを明確に認識している者により、 逮捕を前提として追呼されていることを意味する。

  • 65

    「犯人として追呼されているとき」 の追呼者は、目撃者等の第三者でもよく、 複数人が交代で行ってもよい。

  • 66

    「犯人として追呼されているとき」 における追呼の方法は、 必ずしも声を出す方法による必要はなく、身振り手振りで追い掛ける方法であってもよい。

  • 67

    準現行犯の個別的要件である 「犯人として追呼されているとき」 には、追跡者から追跡状況の申告を受けた警察官において、 犯人に事実確認をして逮捕する場合も含まれる。

  • 68

    「犯人として追呼されているとき」 にいう「追呼」 は、 必ずしも継続して行われる必要はなく、 一時的に中断があったとしても認められる場合があるが、 追跡を断念した後、再度犯人を発見した場合は 「追呼」に該当しない。

  • 69

    犯行現場において被害者が犯人を指差し、 「あの人が犯人です。」 と申し立てた場合は、 「犯人として追呼されているとき」 に当たることから、 例えば、 映画館内で公然わいせつの被害を受けた者が、一旦自宅に帰った後、 映画館へ引き返して犯人の存在を確かめたうえ通報し、 警察官に対して犯人を指示したときも、当該犯人を準現行犯逮捕することができる。

  • 70

    準現行犯逮捕の個別的要件に規定されている「贓物」とは、 収賄罪や賭博罪によるものでもよい。

  • 71

    準現行犯逮捕の個別的要件の1つである「鍼物又は明らかに 犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」にいう「兇器」 とは、 性質上の凶器及び用法上の凶器を意 味するところ、社会通念上、 人に危険感を抱かせないタオルやひもは、たとえ使い方次第で人を殺傷し得るとしても、ここにいう 「兇器」 に当たらない。

  • 72

    準現行犯逮捕の個別的要件における 「贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」 にいう「その他の物」 には、 窃盗罪における合鍵や住居侵入に 使用されたドライバーのほか、犯行現場の足跡に一致する靴等も含まれる。

  • 73

    車両のオイル漏れをたどり、ひき逃げから約1時間後、 目撃者による描写と一致する被疑車両とその運転者を発見し、車体に血痕や衝突痕を認めた場合、 当該車両は 「明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物」に当たる。

  • 74

    準現行犯逮捕の個別的要件のうち、「贓物又は明らかに犯罪 の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」 にいう「所持」 には、 自宅に保管しているなど、単に支配力を及ぼし得るにすぎない場合は含まれない。

  • 75

    準現行犯逮捕における 「贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」 とは、逮捕者がその者を犯人と認めたときに所持していれば足りるので、 警 察官に発見された後、贓物を放棄してもこれに当たる。

  • 76

    準現行犯の個別的要件の1つである「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき 」 に当たるか否かを判断する際、 手配等で得られた情報を利用することは当然に許される。

  • 77

    準現行犯の個別的要件における「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」に関し、 判例には、 酒気帯び運転の被疑者の呼気から、基準値以上のアルコール量が検出された場合において、これに当たるとしたものがある。

  • 78

    準現行犯逮捕の個別的要件の1つである「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」 とは、 血痕の付着した衣服を自宅に隠しているなど、犯人が現にこれを身に着けていない場合も含まれる。

  • 79

    準現行犯の個別的要件にいう「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」 には、 身体の本来的特徴であるアザ、ホクロ や、被服の色、 柄、 形は含まれない。

  • 80

    A巡査部長は、 傷害事件のD配備中、 事件発生から約1時間後、現場から約1キロメートル離れた公園で、「シャツに返り血が付着」 等の手配人着に酷似した甲を発見し、確認的に職務質問した結果、犯行を自供した場合、 甲を準現行犯逮捕することができる。

  • 81

    ひき逃げ事件が発生し、 車両検問中に、 車体に血痕の付着や衝突痕がある被疑車両を発見した場合、「身体及び被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」 には当たらない。

  • 82

    準現行犯における個別的要件の1つである 「誰何されて逃走しようとするとき」 にいう「誰何」 は、その主体に制限がないので、警察官に限らず、 私人によるものであってもよい。

  • 83

    準現行犯の個別的要件における 「誰何されて逃走しようとするとき」 の 「誰何」 とは、必ずしも「誰か」と問う必要はなく、 制服警察官が犯人と思われる者に対して、 警笛を鳴らし、懐中電灯を照らすことなども含まれる。

  • 84

    準現行犯の個別的要件における 「誰何されて逃走しようとするとき」 とは、警察官等から誰何されながら逃走する場合をいうので、警察官が犯人に酷似した者を職務質問しようと近づいた段階で突然逃走したような場合は、これに当たらない。

  • 85

    準現行犯の個別的要件は、逮捕者自身において認定しなければならず、 通報者や目撃者の認定のみに従って、 被疑者を逮捕することはできない。

  • 86

    軽微犯罪については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合、犯人が罪証を隠滅するおそれがある場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、 現行犯逮捕することができる。

  • 87

    軽微犯罪の犯人であって、共犯との通謀のおそれがあるとしても、被疑者の住居 氏名が明らかで、かつ、逃亡のおそれがないことが判明すれば、 現行犯逮捕することはできない。

  • 88

    軽微犯罪の現行犯逮捕については、 刑訴法により一定の制限があるが、 これは、私人による現行犯逮捕にも適用される。

  • 89

    軽微犯罪における現行犯逮捕の要件の1つである「氏名が明らかでない場合」にいう氏名とは、戸籍上の氏名に限られるので、本人を特定できるものが通称名だけの場合には、「氏名が明らかでない場合」 に当たる。

  • 90

    軽微犯罪の現行犯人について、被疑者が住居・氏名の記載のある身分証明書を提示したとしても、それが本人のものであるとの確認がとれなければ、 現行犯逮捕することができる。

  • 91

    軽微犯罪で被疑者を現行犯逮捕するためには、現行犯人であると認められることに加え、 被疑者の住居又は氏名が明らかでない場合、犯人が逃亡するおそれがある場合のうち、いずれかの事由が必要となるところ、 被疑者を現行犯逮捕した時点で住居が不詳であったとしても、その後に被疑者の住居が明らかになったときは、身柄拘束を継続することはできない。

  • 92

    現行犯逮捕は、逮捕者が逮捕の意思で、現行犯人としての要件を具備する者を事実上拘束し、逮捕者の実力支配下に置けば足りるので、必ずしも手錠をかける必要はない。

  • 93

    現行犯逮捕するためには、 逮捕者が犯人の身体の自由を強制的に拘束し、身柄を自己の支配下に置き、かつ、当該犯人に対して必ず被疑事実の要旨を告げなければならない。

  • 94

    警察官か私人かを問わず、 現行犯人を逮捕しようとする際に抵抗を受けたときは、 社会通念上、 逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使することができる。

  • 95

    スーパーの警備員Aは、 客の甲が店内の商品を自己のバッグに入れたうえ、レジを通さずに店を出たことから、甲を現行犯逮捕し、 警察官に引き渡すために同店の事務所まで連行したところ、 甲が一瞬の隙をついて事務所の外に出て逃走を図ったが、 Aがすかさず追跡し、間もなく駆け付けた警察官が甲を確保した場合、逮捕者は警察官ではなくAである。

  • 96

    現行犯逮捕した被疑者が負傷していたときには、病院で治療した後に引致することとなるが、 たとえ送致制限時間である 48時間以内に送致できる場合でも、 現行犯人逮捕手続書の奥書に、引致が遅れた理由を記載しなければならない。

  • 97

    同一の機会に複数の犯人を現行犯逮捕した場合、 各人が相互に関連しており、逮捕時刻が同時であったとしても、原則として、逮捕者が犯人ごとに各別の現行犯人逮捕手続書を作成し、 逮捕の経過及び状況等をそれぞれ個別に明らかにしておく。

  • 98

    引致は、司法巡査が被疑者を逮捕した場合には 「直ちに」 司法巡査が私人から現行犯人を受け取った場合には 「速やかに」 行われなければならない。

  • 99

    一般私人が現行犯逮捕した場合、 被疑者を直ちに捜査機関に引き渡さなければならないが、 ここにいう 「捜査機関」とは、 検察官又は司法警察職員のことである。

  • 100

    司法巡査は、 私人が現行犯逮捕した犯人を受け取った場合、 逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴取しなければならず、 必要があるときは、 刑訴法の規定に基づき、 逮捕者に対し、 共に官公署へ行くことを求めることができる。

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    問題一覧

  • 1

    緊急逮捕するためには、被疑者について、 罪状の重い一定の 罪を犯したことを疑うに足りる 「充分な理由」 と、 急速を要し 裁判官の逮捕状を求めることができないという緊急性を要する ところ、犯人が自首してきた場合は、 緊急性の要件を欠くので 緊急逮捕することができない。

  • 2

    被疑者を緊急逮捕した場合、 捜査機関は直ちに裁判官に逮捕 状を請求しなければならないが、 「直ちに」 とは、具体的な状況に照らして合理的に必要最小限度の時間内であることを意味 する。

  • 3

    緊急逮捕の要件は、被疑者を逮捕する時に存在すれば足り、 逮捕状請求時まで継続して存在することを要しない。

  • 4

    緊急逮捕した場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続 をしなければならず、 逮捕状が発せられないときは、直ちに被 疑者を釈放しなければならないところ、 傷害罪で被疑者を緊急 逮捕した後、逮捕状の請求前に、被害者が死亡して罪名が傷害 致死罪となった場合であっても、 請求書には、 緊急逮捕時に認められた罪名である傷害罪を記載すべきである。

  • 5

    強盗事件の被疑者を緊急逮捕し、 逮捕状を請求したところ、 裁判官が強盗罪ではなく恐喝罪の逮捕状を発付した場合でも、 当該逮捕状の効力で被疑者の身柄拘束を継続することができる。

  • 6

    緊急逮捕された被疑者の引致を受けたところ、 留置の必要が 認められず、 被疑者を釈放した場合でも、 逮捕状の請求は、身柄拘束を継続する場合と同様に、逮捕後直ちに行わなければならない。

  • 7

    緊急逮捕した被疑者に、引致の途中で逃走された場合には、逮捕状を請求する必要はない。

  • 8

    緊急逮捕状の請求前に被疑者に逃走された場合、 緊急逮捕が 適正に行われたことを疎明するために緊急逮捕状を請求すべきであるが、 逃走した被疑者を再び身柄拘束する際に、当該逮捕 状により逮捕することはできず、改めて逮捕手続をとる必要がある。

  • 9

    緊急逮捕した場合、直ちに裁判官に逮捕状を求めなければな らないが、 司法巡査による緊急逮捕状の請求はできない。

  • 10

    緊急逮捕状の請求は、当該事件の管轄にかかわらず、逮捕した警察官の所属する官公署の所在地を管轄する地方裁判所又は 簡易裁判所の裁判官にこれをしなければならない。

  • 11

    他府県下で内偵捜査中、 捜査員が当該捜査中の被疑者を緊急逮捕した場合の逮捕状の請求は、逮捕地の最寄りの下級裁判所の裁判官に対して行うことができる。

  • 12

    緊急逮捕状は、 緊急逮捕行為の要件の存否を審査して緊急逮捕行為を追認するという性質を有するので、 裁判官による適法性審査の基準時は、 緊急逮捕行為時となる。

  • 13

    緊急逮捕状が発せられるためには、逮捕時に緊急逮捕の要件が備わっていることのほかに、 緊急逮捕状発付時にも、少なくとも通常逮捕の要件が備わっていなければならない。

  • 14

    緊急逮捕状は、 緊急逮捕行為の追認と緊急逮捕後の身柄拘束の必要性の承認という2つの性格を備えているが、そのいずれか一方が認められる場合には、 緊急逮捕状が発付される。

  • 15

    被疑者を緊急逮捕した場合の逮捕状請求については、緊急逮捕の要件を満たしていることはもとより、 逮捕状請求時に通常逮捕と同様の疎明資料が必要である。

  • 16

    緊急逮捕の要件については、緊急逮捕した時点において逮捕者が認識し得た疎明資料を添付しなければならない。

  • 17

    緊急逮捕の適法性は、 緊急逮捕当時の資料によって判断されるが、これは、緊急逮捕の実質的要件のうち、「充分な理由」 と「緊急性」についてであり、「逮捕の必要性」については、 逮捕後の資料や事情も考慮することができる。

  • 18

    緊急逮捕の要件は、逮捕時に存在することを要し、 逮捕後の事情を疎明資料とすることは許されないので、 緊急逮捕の要件を疎明するために提出できる資料は、逮捕前に作成されたもの に限られる。

  • 19

    緊急逮捕後に逮捕状を請求する際の、 緊急逮捕の要件に関する主な疎明資料としては、 緊急逮捕手続書、 被害届 、 被疑者供述調書が挙げられる。

  • 20

    緊急逮捕の要件を疎明するための資料は、逮捕時に得られた 資料に限られるところ、被疑者の自供に基づいて緊急逮捕した 場合における当該自供を書面化した自白調書は、逮捕後に作成 された調書であるが例外的に疎明資料となり得る。

  • 21

    緊急逮捕状を請求する場合、 弁解録取書は逮捕後に得た資料 であることから、 緊急逮捕の適法性を疎明する資料となるもの ではないが、実務上、 裁判官が身柄拘束の継続の必要性を判断 するための資料として、他の疎明資料とともに提供している。

  • 22

    緊急逮捕する際、 被疑者に対し、 「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」、 「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと」 のいずれかを告知すればよい。

  • 23

    緊急逮捕する場合、 被疑事実の要旨を大まかにでも理解できる程度に被疑者に伝えなければならない。

  • 24

    緊急逮捕する際、 被疑者に対し逮捕の理由を告知しなければならないが、 逮捕前の告知によって被疑者が逃走するおそれがある場合には、身柄を確保後、すぐに告知すればよい。

  • 25

    使用言語が判明しない外国人被疑者を緊急逮捕する場合、 被疑事実の要旨と、 急速を要し裁判官の逮捕状を求めることができない旨を、被疑者の理解する言語により告知できなかったとしても、その後、 迅速に適当な通訳人の確保に努め、その時点で直ちに告知等を行えば、 当該逮捕手続は違法とはならない。

  • 26

    被疑者を緊急逮捕した場合、 刑訴法上は、必ずしも緊急逮捕状を被疑者に示さなければならないというわけではないが、 実務上は、被疑者の要求の有無にかかわらず、 発付された緊急逮捕状を速やかに被疑者に提示する運用がなされている。

  • 27

    被疑者を緊急逮捕した場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないところ、ここにいう「直ちに」 とは、他の事情に優先して直ちに、という意味である。

  • 28

    既に逮捕状の発付されている逃走中の被疑者を緊急逮捕することは、 二重逮捕のおそれを生じさせることから許されない。

  • 29

    現行犯逮捕した後、 その要件を備えていないことが判明したので被疑者を釈放したが、引き続き身柄を拘束する必要性がある場合、 緊急逮捕の要件を備えていれば、 被疑者を同一被疑事 実で緊急逮捕することができる。

  • 30

    緊急逮捕すべき被疑者を現行犯逮捕してしまった場合、 当該被疑者を留置する必要が認められれば釈放の手続をする必要はないが、直ちに緊急逮捕の手続を行わなければならない。

  • 31

    緊急逮捕において、 逮捕状請求時に通常逮捕の要件を欠くとして逮捕状請求を却下された場合、 緊急逮捕行為そのものは適法と認められていることから、当該逮捕に伴い差し押さえた物を還付する必要はない。

  • 32

    緊急逮捕の現場における令状によらない証拠物の押収について、裁判官が当該緊急逮捕を違法と認め、逮捕状の請求を却下した場合であっても、 押収した物を被押収者に還付する必要はない。

  • 33

    裁判官が緊急逮捕の適否を審査した結果、 緊急逮捕状の請求を却下した場合、捜査機関は、当該処分に不服があっても、 その取消しや変更を請求することができない。

  • 34

    現行犯人とは、犯人の身分の一種ではなく、 一定の時間的発展段階における犯人のことをいうので、犯行後の極めて限られた時間的段階を経過すれば、 もはや現行犯人ではなくなる。

  • 35

    現行犯人は、何人も令状なくして逮捕することができるとされているので、 捜査機関だけでなく、 私人でも逮捕することができるが、私人の場合は、固有の現行犯逮捕に限られる。

  • 36

    現行犯人を逮捕することは、 私人にも認められた権限であるが、特別司法警察職員である皇宮護衛官が、 職務外で現行犯人を逮捕する際は、司法警察職員としてではなく、 一般私人として逮捕を行う。

  • 37

    現行犯逮捕における 「現に罪を行い」 とは、逮捕者の目前で、 犯人が特定の犯罪の実行行為を行っている場合をいい、 未遂の処罰規定がある罪については、 実行の着手があればこれに当た あるが、未遂の処罰規定がない罪については、 既遂に達していることを要する。

  • 38

    現に罪を行っている「現行犯人」 とは、 特定の犯罪の実行行為を行いつつある犯人を意味するが、 親告罪について告訴権者の告訴意思が不明確な場合であっても、訴訟条件の存否とは関係なく、被疑者を現行犯逮捕することができる。

  • 39

    現行犯逮捕する際は、 逃亡や罪証隠滅のおそれがないことが明らかである例外的な場合を除き、 個々に逮捕の必要性を検討することを要しない。

  • 40

    現行犯逮捕をするには、 「犯罪と犯人の明白性」及び「犯罪の現行性時間的接着性の明白性」という2つの要件を充足することが必要である。

  • 41

    現行犯逮捕における「犯罪と犯人の明白性」 が認められるた めには、現場の状況等から、 その者が現に特定の犯罪を行い、 又は現に行い終わったことが外部的に明白であると、逮捕者自身が直接覚知し得たことを要する。

  • 42

    現行犯人であるという事実は、 逮捕者自身にとって明白であれば足り、逮捕者以外の何人にとっても明白であるということまでは必要ない。

  • 43

    贈収賄罪における金品授受のように、 外観上明白でない犯罪が行われた場合、 捜査機関は、 事前に収集した客観的資料や特殊な知識あるいは経験によって、現に犯罪が行われたと認定できるときは、現行犯逮捕することができる。

  • 44

    現場の状況、 被疑者、 被害者の挙動から、犯罪の生々しい状況がうかがえるとしても、 警察官自身が直接犯行を現認していなければ、「現に罪を行い終った者」 とは認められない。

  • 45

    逮捕者が犯罪の実行行為を目撃していなくても、 直接覚知した現場の状況と関係者の供述等を加味して、現行犯逮捕することができるが、被害者の申告が唯一の判断材料であるときには、 現行犯逮捕は許されない。

  • 46

    現行犯人と認めるための「犯罪と犯人の明白性」における「犯罪」 とは、 特定されたものであることを要するところ、予備、教唆、 幇助等が処罰される場合には、これらの行為も 「犯罪」 に含まれる。

  • 47

    現場で暴行を共謀し、 共謀者のうちの1人が直ちに暴行に及んだ場合、その犯行現場において直接暴行を加えなかった共謀者を、暴行の現行犯人として逮捕することができる。

  • 48

    幇助者に対する現行犯逮捕は、幇助者の幇助行為と正犯者の実行行為ともに現行性が備わっていなければならない。

  • 49

    甲は、駐車違反で警察から呼出しを受けたが、違反歴から行 政処分を免れることはできないと思い、 知人乙に身代わりを依 頼した。 乙は、これを承諾し約 10 分後に警察署に出頭したが、 この態度を不審に思った警察官の追及に耐えきれず、外で待っ ている甲に依頼された旨自供した。 この場合、 甲を犯人隠避罪 の教唆犯で現行犯逮捕できる。

  • 50

    職務質問をした際、 「自宅に拳銃を隠している。」 と相手方が 申し立てたので、 同人宅に同道し、 拳銃不法所持の事実を確認した場合、 いわゆるたぐり捜査に当たるので、 現行犯逮捕することはできない。

  • 51

    A巡査部長は、 不審者甲を職務質問中、 甲が紙包みを投げ捨 て逃走したため、直ちにそれを拾って追跡した。 Aが甲に追い付いて任意同行を求め、 同行先の交番において紙包みを確認し たところ、 中身は白色結晶であった。 専務員が予試験を実施し た結果、 覚醒剤の陽性反応を示したため、Aは覚醒剤取締法違反で甲を現行犯逮捕した。 Aによる現行犯逮捕は適法である。

  • 52

    質札を所持する不審者を職務質問したところ、バッグ内に覚醒剤を隠したまま入質した旨の供述を得たので、 同人の立会いの下でバッグを調べ、覚醒剤を発見した。 これは、いわゆる「たぐり捜査」 であるから、その者を現行犯逮捕することはできない。

  • 53

    現行犯逮捕における 「現に罪を行い終った」 とは、犯罪行為の終了直後、 あるいはそれに極めて近接した時間的段階のことである。

  • 54

    固有の現行犯人として認められる時間的範囲は、実行行為終了後30分ないし40分程度とされているが、この範囲内にある犯人が常に現行犯人に当たるわけではない。

  • 55

    現に罪を行っていること、又は現に罪を行い終わったことについての外部的要因は、 何人にも明白である必要はないが、少なくとも、現場の状況等から逮捕者が直接覚知し得るものでなければならない。

  • 56

    甲は、コンビニエンスストアで現金を奪う目的で、レジ係員の襟首をつかみ殴ろうとしたところ、大声を出されたため、 そのまま自分の車両で逃走した。 約30分後、現場から約2キロ メートル離れた場所で緊急配備中の警察官に停止を命じられ、 職務質問されたので観念して犯行を認めた。 この場合、甲を現行犯逮捕することができる。

  • 57

    甲は、路上で高校生Aを脅し、 現金1万円を奪い逃走した。 その1時間後、犯行現場から約100メートル離れた喫茶店に 入るところを偶然Aに見られ、その訴えを受けた警察官がAと 共に喫茶店に赴いて甲を追及したが、 甲は犯行を認めなかった。 この場合、 警察官は甲を現行犯逮捕することができる。

  • 58

    甲は、のぞき見のためX社社員寮の屋上に侵入し、長時間滞留したところを発見 通報されたが、 甲の社員寮への侵入時刻が判明しないことから、 甲を邸宅侵入罪の現行犯人として逮捕することはできない。

  • 59

    現行犯逮捕の要件は、 逮捕行為に着手した時点で存在すれば足り、 逮捕完了まで継続することを要しないので、犯行を認めると同時に逮捕行為に着手して、 追跡等の逮捕行為が継続していれば、逮捕完了までに数時間を要したとしても現行犯逮捕す ることができる。

  • 60

    A巡査部長は、ひったくり事件によるD配備に従事中、事件発生から約1時間30分後、 発生場所から約3キロメートル離れた地点で、手配人着に酷似し、 手配車両のナンバーと一致す るバイクに乗車した甲を発見し、 職務質問したところ、 被害品を所持しており、犯行を認めたため、 甲を窃盗罪で準現行犯逮捕した。 Aによる準現行犯逮捕は適法である。

  • 61

    警察官が不審者を職務質問した結果、 その自供によって質問の相手方が罪を行い終わってから間がないことが初めて判明した場合、 準現行犯逮捕することは許されない。

  • 62

    不審者甲の承諾を得て所持品検査を行ったところ、バッグ内から同じ題名の書籍3冊が見つかり、 甲が書店で万引きしたことを自供した後、 当該書店の防犯カメラ画像を捜査した他の警察官から 「約10分前、 甲と同じ人着の者が本数冊をバッグに入れ店を出る状況を確認した」 旨の報告を受けた場合、 甲を窃盗罪の現行犯人として逮捕することができる。

  • 63

    A巡査部長は、 警ら中、 ヘルメットをかぶらないでバイクで 走行してきた甲を停止させ、 職務質問したところ、 約5分前、 300メートルくらい離れたマンション内の駐輪場から当該バイクを盗んできたことを自供した。 被害日時、場所等の事実を連絡した結果、 被害者から被害確認ができたので、 甲を窃盗罪で現行犯逮捕した。 Aによる現行犯逮捕は適法である。

  • 64

    準現行犯の個別的要件の1つである「犯人として追呼されているとき」とは、その者が犯人であることを明確に認識している者により、 逮捕を前提として追呼されていることを意味する。

  • 65

    「犯人として追呼されているとき」 の追呼者は、目撃者等の第三者でもよく、 複数人が交代で行ってもよい。

  • 66

    「犯人として追呼されているとき」 における追呼の方法は、 必ずしも声を出す方法による必要はなく、身振り手振りで追い掛ける方法であってもよい。

  • 67

    準現行犯の個別的要件である 「犯人として追呼されているとき」 には、追跡者から追跡状況の申告を受けた警察官において、 犯人に事実確認をして逮捕する場合も含まれる。

  • 68

    「犯人として追呼されているとき」 にいう「追呼」 は、 必ずしも継続して行われる必要はなく、 一時的に中断があったとしても認められる場合があるが、 追跡を断念した後、再度犯人を発見した場合は 「追呼」に該当しない。

  • 69

    犯行現場において被害者が犯人を指差し、 「あの人が犯人です。」 と申し立てた場合は、 「犯人として追呼されているとき」 に当たることから、 例えば、 映画館内で公然わいせつの被害を受けた者が、一旦自宅に帰った後、 映画館へ引き返して犯人の存在を確かめたうえ通報し、 警察官に対して犯人を指示したときも、当該犯人を準現行犯逮捕することができる。

  • 70

    準現行犯逮捕の個別的要件に規定されている「贓物」とは、 収賄罪や賭博罪によるものでもよい。

  • 71

    準現行犯逮捕の個別的要件の1つである「鍼物又は明らかに 犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」にいう「兇器」 とは、 性質上の凶器及び用法上の凶器を意 味するところ、社会通念上、 人に危険感を抱かせないタオルやひもは、たとえ使い方次第で人を殺傷し得るとしても、ここにいう 「兇器」 に当たらない。

  • 72

    準現行犯逮捕の個別的要件における 「贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」 にいう「その他の物」 には、 窃盗罪における合鍵や住居侵入に 使用されたドライバーのほか、犯行現場の足跡に一致する靴等も含まれる。

  • 73

    車両のオイル漏れをたどり、ひき逃げから約1時間後、 目撃者による描写と一致する被疑車両とその運転者を発見し、車体に血痕や衝突痕を認めた場合、 当該車両は 「明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物」に当たる。

  • 74

    準現行犯逮捕の個別的要件のうち、「贓物又は明らかに犯罪 の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」 にいう「所持」 には、 自宅に保管しているなど、単に支配力を及ぼし得るにすぎない場合は含まれない。

  • 75

    準現行犯逮捕における 「贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき」 とは、逮捕者がその者を犯人と認めたときに所持していれば足りるので、 警 察官に発見された後、贓物を放棄してもこれに当たる。

  • 76

    準現行犯の個別的要件の1つである「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき 」 に当たるか否かを判断する際、 手配等で得られた情報を利用することは当然に許される。

  • 77

    準現行犯の個別的要件における「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」に関し、 判例には、 酒気帯び運転の被疑者の呼気から、基準値以上のアルコール量が検出された場合において、これに当たるとしたものがある。

  • 78

    準現行犯逮捕の個別的要件の1つである「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」 とは、 血痕の付着した衣服を自宅に隠しているなど、犯人が現にこれを身に着けていない場合も含まれる。

  • 79

    準現行犯の個別的要件にいう「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」 には、 身体の本来的特徴であるアザ、ホクロ や、被服の色、 柄、 形は含まれない。

  • 80

    A巡査部長は、 傷害事件のD配備中、 事件発生から約1時間後、現場から約1キロメートル離れた公園で、「シャツに返り血が付着」 等の手配人着に酷似した甲を発見し、確認的に職務質問した結果、犯行を自供した場合、 甲を準現行犯逮捕することができる。

  • 81

    ひき逃げ事件が発生し、 車両検問中に、 車体に血痕の付着や衝突痕がある被疑車両を発見した場合、「身体及び被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」 には当たらない。

  • 82

    準現行犯における個別的要件の1つである 「誰何されて逃走しようとするとき」 にいう「誰何」 は、その主体に制限がないので、警察官に限らず、 私人によるものであってもよい。

  • 83

    準現行犯の個別的要件における 「誰何されて逃走しようとするとき」 の 「誰何」 とは、必ずしも「誰か」と問う必要はなく、 制服警察官が犯人と思われる者に対して、 警笛を鳴らし、懐中電灯を照らすことなども含まれる。

  • 84

    準現行犯の個別的要件における 「誰何されて逃走しようとするとき」 とは、警察官等から誰何されながら逃走する場合をいうので、警察官が犯人に酷似した者を職務質問しようと近づいた段階で突然逃走したような場合は、これに当たらない。

  • 85

    準現行犯の個別的要件は、逮捕者自身において認定しなければならず、 通報者や目撃者の認定のみに従って、 被疑者を逮捕することはできない。

  • 86

    軽微犯罪については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合、犯人が罪証を隠滅するおそれがある場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、 現行犯逮捕することができる。

  • 87

    軽微犯罪の犯人であって、共犯との通謀のおそれがあるとしても、被疑者の住居 氏名が明らかで、かつ、逃亡のおそれがないことが判明すれば、 現行犯逮捕することはできない。

  • 88

    軽微犯罪の現行犯逮捕については、 刑訴法により一定の制限があるが、 これは、私人による現行犯逮捕にも適用される。

  • 89

    軽微犯罪における現行犯逮捕の要件の1つである「氏名が明らかでない場合」にいう氏名とは、戸籍上の氏名に限られるので、本人を特定できるものが通称名だけの場合には、「氏名が明らかでない場合」 に当たる。

  • 90

    軽微犯罪の現行犯人について、被疑者が住居・氏名の記載のある身分証明書を提示したとしても、それが本人のものであるとの確認がとれなければ、 現行犯逮捕することができる。

  • 91

    軽微犯罪で被疑者を現行犯逮捕するためには、現行犯人であると認められることに加え、 被疑者の住居又は氏名が明らかでない場合、犯人が逃亡するおそれがある場合のうち、いずれかの事由が必要となるところ、 被疑者を現行犯逮捕した時点で住居が不詳であったとしても、その後に被疑者の住居が明らかになったときは、身柄拘束を継続することはできない。

  • 92

    現行犯逮捕は、逮捕者が逮捕の意思で、現行犯人としての要件を具備する者を事実上拘束し、逮捕者の実力支配下に置けば足りるので、必ずしも手錠をかける必要はない。

  • 93

    現行犯逮捕するためには、 逮捕者が犯人の身体の自由を強制的に拘束し、身柄を自己の支配下に置き、かつ、当該犯人に対して必ず被疑事実の要旨を告げなければならない。

  • 94

    警察官か私人かを問わず、 現行犯人を逮捕しようとする際に抵抗を受けたときは、 社会通念上、 逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使することができる。

  • 95

    スーパーの警備員Aは、 客の甲が店内の商品を自己のバッグに入れたうえ、レジを通さずに店を出たことから、甲を現行犯逮捕し、 警察官に引き渡すために同店の事務所まで連行したところ、 甲が一瞬の隙をついて事務所の外に出て逃走を図ったが、 Aがすかさず追跡し、間もなく駆け付けた警察官が甲を確保した場合、逮捕者は警察官ではなくAである。

  • 96

    現行犯逮捕した被疑者が負傷していたときには、病院で治療した後に引致することとなるが、 たとえ送致制限時間である 48時間以内に送致できる場合でも、 現行犯人逮捕手続書の奥書に、引致が遅れた理由を記載しなければならない。

  • 97

    同一の機会に複数の犯人を現行犯逮捕した場合、 各人が相互に関連しており、逮捕時刻が同時であったとしても、原則として、逮捕者が犯人ごとに各別の現行犯人逮捕手続書を作成し、 逮捕の経過及び状況等をそれぞれ個別に明らかにしておく。

  • 98

    引致は、司法巡査が被疑者を逮捕した場合には 「直ちに」 司法巡査が私人から現行犯人を受け取った場合には 「速やかに」 行われなければならない。

  • 99

    一般私人が現行犯逮捕した場合、 被疑者を直ちに捜査機関に引き渡さなければならないが、 ここにいう 「捜査機関」とは、 検察官又は司法警察職員のことである。

  • 100

    司法巡査は、 私人が現行犯逮捕した犯人を受け取った場合、 逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴取しなければならず、 必要があるときは、 刑訴法の規定に基づき、 逮捕者に対し、 共に官公署へ行くことを求めることができる。