【刑訴法】復元問題一問一答(下巻)④

【刑訴法】復元問題一問一答(下巻)④
100問 • 2年前
  • 山本卓弥
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    問題一覧

  • 1

    押収物を還付するに当たっては、還付を受ける者が、正当な権限を有する者であるか否かについて調査を行わなければならない。

  • 2

    会社所有の押収物を、 同社の事務担当者が還付受けを希望する場合、 同社の職員であることを確認できるものを提示させ、 還付受けを委託されていることを確認し、 還付請書の氏名欄に 役職氏名を記載してもらえば、 還付受け者である当該会社の代表者の委任状がなくても、 還付することができる。

  • 3

    捜査機関が捜査段階で押収物を還付する場合は、裁判所が行う押収物の還付の場合と異なり、 捜査としての行為であることに鑑み、被疑者や弁護人の意見を聴く必要はなく、 捜査機関独自の判断で行うことができる。

  • 4

    仮還付した証拠物件について留置の必要がなくなり、更に還付の処分をする場合、 相手方に還付通知書を交付し、還付したことを明らかにすればよい。

  • 5

    押収物を仮還付したまま、 不起訴処分となり事件が終結した 場合、 改めて当該押収物について還付手続をとらなければなら ない。

  • 6

    余罪事件の立証のため、起訴猶予に係る事件の押収物を使用 する必要がある場合は、 被押収者に一度還付してから、再度押収手続をとる。

  • 7

    捜査機関は、押収物の還付に関する処分をする場合、 弁護人等から意見を聴く必要はないが、 当該処分に不服がある者は、 その取消し等を求めて準抗告を行うことができる。

  • 8

    捜査機関による押収処分を受けた者は、留置の必要がないことを理由として、 押収物の還付を請求することができるが、 それが却下された場合、 その取消し及び自己への還付を求めて準抗告を申し立てることはできない。

  • 9

    捜査機関が行った押収手続が違法として取り消され、当該押収物が返還された場合は、この返還処分に対して準抗告することはできない。

  • 10

    押収物を検察庁に保管転換せず、 自署保管して検察庁に送致 した場合、 還付に関する決定は警察署長が行う。

  • 11

    還付公告は、 押収物で捜査上留置する必要がない物について、 還付を受けるべき者が所在不明等の事由により還付できない場合に実施されるところ、 検察官に警察署保管として送致した押収物について、 還付公告の要件を満たしたときは、 独自の判断 により警察で還付公告することができる。

  • 12

    仮還付とは、一時的に留置を解いて返還しても、捜査又は公判維持に支障がないと認められる押収物について、 再び捜査機関に戻されることを留保して返還する性格のものであり、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求があったときに初めて行 われる。

  • 13

    仮還付の請求を行うことができる者は、必ずしも当該押収物 の被押収者であることを要しない。

  • 14

    仮還付は、 還付とは異なり、必ず所有者等からの請求に基づき行われることになるので、請求がないのに仮還付したり、 請求人以外の者に仮還付したりすることは許されない。

  • 15

    仮還付中は、 押収の効力が存続するので、 仮還付を受けた者 は証拠物を保管する義務を負い、 また、 後日、 その証拠物の提出を求められた場合は、直ちに提出しなければならない。

  • 16

    押収物の仮還付を受けた者は、たとえ所有者であっても、売却、破壊等の処分をすることは一切許されず、 保管中の押収物 を不法に処分すれば、 横領罪等の刑責を負うことになる。

  • 17

    仮還付を受けられる者は、所有者、所持者、保管者又は差出人であるが、 これらの者は、口頭又は書面で仮還付の請求をすることができ、 また、請求の理由等を疎明する必要はない。

  • 18

    押収した物を還付する場合、 還付を受ける者が正当な権限 を有する者であるか否かを調査しなければならないところ、こ の調査は、仮還付の場合も同様に行わなければならない。

  • 19

    無免許運転の用に供された被疑者所有の押収自動車は、 「留置の必要がないもの」 に該当しないので、 司法警察員は被押収者に還付する義務を負わないが、 証拠として利用する必要が当面ない場合は、請求に基づき仮還付すべきである。

  • 20

    所有者から任意提出を受けて領置した物件を仮還付した後、 捜査の必要性が生じて所有者から再度当該仮還付物件の提出を 受ける場合は、その状況を書類で明らかにしておけば足り、改めて領置手続をとる必要はない。

  • 21

    押収品を仮還付した後、 捜査上必要な場合に当該仮還付物件 の提出を求めた際、 相手方がこれを拒んだときは、捜索差押許可状や差押許可状の発付を得て差し押さえることとなる。

  • 22

    所有権放棄を行うことができるのは、押収物の所有権者であるため、所有権放棄書を徴する際には、その者が所有権を放棄 する権限を有する者であるかどうかを確認する必要がある。

  • 23

    所有権放棄の適否に関して、財産的価値のない産業廃棄物等 を鑑定に付すため、 やむを得ず押収する場合、最終的には裁判所から没収の言渡しがあるのが通常であるが、 没収の言渡しが ない場合もあり得るので、あらかじめ所有権放棄の意思表示を 得ておくことが必要である。

  • 24

    警察が準備したテープに脅迫文言等を録音した場合、録音し また警察官が司法警察員としての警察署長宛てに録音テープを任意提出し、 捜査幹部が領置することとなるが、その際、所有権放棄をすることは適当ではない。

  • 25

    押収物の所有者が所有権放棄の意思表示をした場合、 その意思表示が錯誤に基づくなどの特段の事由がない限り、これを撤回することは許されない。

  • 26

    押収物の所有権が放棄された場合に、 検察官がその物の送付 を受けたときは、その物は国庫に帰属することになる。

  • 27

    電磁的記録に係る記録媒体の差押えにおいて、 当該記録媒体 に記録された電磁的記録を捜査機関の所有する「他の記録媒体」に移転して差し押さえた場合、 留置の必要がないときの原状回復措置として、当該「他の記録媒体」を被押収者に交付するか、又は移転した電磁的記録の複写を許可する必要がある。

  • 28

    銃刀法違反の罪で逮捕した暴力団員の所属する組事務所を捜索場所とする捜索差押許可状の発付を得て捜索する際、 その場 に居合わせた者が、 その着衣に証拠物を隠匿・所持していると疑うに足りる相当な理由があっても、 身体検査令状がなければ、 その者の着衣を調べることはできない。

  • 29

    被処分者を全裸に近い状態にして証拠物等を捜索する必要が ある場合、 同人の身体に対する捜索差押許可状の発付を得て行えば足り、 別に身体検査令状は要しない。

  • 30

    場所に対する捜索差押許可状を執行する際に、 その場に居合わせた者が、下着の中に証拠物を隠匿している蓋然性が認めら れる場合であっても、 捜索差押許可状では下着を脱がせて身体 の捜索をすることは許されないので、身体検査令状の発付を得なければならない。

  • 31

    男性警察官が令状により女性の身体を捜索する場合、 着衣の 外側だけを捜索するとしても、 成年女性の立会いがなければ捜索することはできない。

  • 32

    女子の身体を捜索又は検証する場合、 医師又は成年の女子の 立会いを要するから、 急速を要するときであっても必ず立会人 を得なければならない。

  • 33

    逮捕の現場において、 令状なくして当該逮捕に係る女性被疑者の身体の捜索を行う場合、 成年の女子を立ち会わせなければならないが、 急速を要するときは、これを省略することができる。

  • 34

    令状により女子の身体を捜索する際は、 成年の女子を立ち会わせなければならないが、被処分者が立会いを要しない旨の意思表示をした場合は、 立会いを省略することができる。

  • 35

    令状により女子の身体を捜索するに当たって、執行者が成年 の女性警察官である場合には、別に成年の女子の立会いを要しない。

  • 36

    令状により身体検査を行うためには、単に捜査のため必要があるだけでは足りず、 被検査者の意思に反しても身体検査を行う必要性がなければならない。

  • 37

    逮捕の現場における検証には身体検査を含むので、逮捕の直前又は直後に被疑者の身体を検査することができる。

  • 38

    検証としての身体検査として、指紋採取、体重測定、 歯並び、 身体の傷痕、入れ墨等の検査をすることができるほか、レントゲン照射による体内の透視や、下剤を施用して胃腸内の証拠物 を排出させる等の行為をすることができる。

  • 39

    A女が死児を分娩しこれを遺棄した死体遺棄事件について、 A女が分娩に至るまで産婦人科病院等に通院した事実等を確認 できず、また、A女が妊娠の事実を否定している場合に、医師 をしてA女が分娩した事実を証明させる必要が生じたときに要する令状は、身体検査令状である。

  • 40

    身体検査令状を請求する権限は、 刑訴法上、 司法警察員には 与えられているが、 司法巡査には与えられていない。

  • 41

    身体検査令状に基づく検証としての身体検査は、強制処分で あり、 被検査者の人的範囲については制約がないことから、その必要性が認められる者であれば、 被疑者や被告人のほか、これら以外の第三者であっても、 身体検査の対象となり得る。

  • 42

    被疑者が、正当な理由なく身体検査令状による身体検査を拒んだ場合には、身体検査拒否罪が成立する。

  • 43

    身体検査令状により、 女性に対して身体検査を行う場合において、 急速を要するときは、立会人を必要としない。

  • 44

    身体検査令状により、覚醒剤所持容疑の女性被疑者の身体検査をする際、 検査行為自体を成年の女性警察官に依頼した場合 は、別に成年の女子を立ち会わせなくてもよい。

  • 45

    傷害事件につき、 傷害の程度を確認するために被害者である 女性の下着を脱がせ、 人が通常露出しない部分を露出させる場 合でも、 被害者本人の承諾があるときは、 身体検査令状を必要としない。

  • 46

    窃盗事件で逮捕した女性被疑者が、 指紋の採取を頑強に拒否する場合、これを採取するには、 身体検査令状を必要とする。

  • 47

    逮捕・勾留中の被疑者の指紋採取について、 同人がこれを拒否し、間接強制では効果がないと認められるときは、必要最小限度の有形力を行使して強制的に採取することができる。

  • 48

    身柄拘束中の被疑者については、身体検査令状を得ることなく、当該被疑者の意思に反して指紋及び足型を採取することが できるほか、歯型やだ液等の採取等をすることもできる。

  • 49

    逮捕・勾留中の男性被疑者につき、 捜査のため、 当該被疑者 の意に反して強制的に下着姿の写真を撮影する必要が生じた場合には、 身体検査令状の発付を得たうえで、 写真撮影をしなけ ればならない。

  • 50

    身体拘束中の被疑者の写真撮影については、被疑者を裸にしない限り、 令状を要しないので、身体拘束の基礎となる被疑事件とは別事件の証拠として使用するためであっても、令状なくして被疑者の意に反してでも写真撮影を行うことができる。

  • 51

    任意捜査中の被疑者の指掌紋を採取する場合に、被疑者が任意の採取に応じないときは、 身体検査令状の発付を得たうえで、 強制的に指掌紋を採取することとなる。

  • 52

    鑑定としての身体検査は、医師等の専門家による処分であり、 身体の内部をも検査することができるので、口腔から胃の中に 管を入れて吐剤を流し込む方法のように、 身体に大きな苦痛を 与える処分を行うことも許される。

  • 53

    鑑定処分許可状により、 鑑定のために行われる血液の採取は、 被疑者だけでなく、 被害者や第三者に対しても行うことができる。

  • 54

    鑑定処分許可状に基づいて行う身体検査において、 被検査者 がこれを拒んだ場合、 鑑定受託者は、当該被検査者の意思に反し実力をもって身体検査を強行することはできない。

  • 55

    防犯カメラに写っている犯人と、 被疑者との同一性を確認するため、それを鑑定できる者によって、 被疑者に必要な動作をさせて、その状況を写真撮影する処分は、鑑定としての身体検査に当たるので、鑑定処分許可状及び身体検査令状の発付を得て行う。

  • 56

    被疑者の身体から、嚥下された物件を強制的に採取し、又は 押収するには、 身体検査令状と捜索差押許可状があれば足りる。

  • 57

    捜査機関の嘱託を受けた鑑定受託者は、被疑者の爪に付着した物質の成分等を鑑定するため、 その爪先を強制的に切り取って採取する必要がある場合には、鑑定処分許可状及び身体検査令状に基づいてこれを行うことができる。

  • 58

    被疑者の身体から、強制的に毛髪を採取し、又は押収するには、差押許可状のみで足りる。

  • 59

    被疑者の身体から、 肛門内に隠匿された物件を強制的に採取し、又は押収するには、鑑定処分許可状のみで足りる。

  • 60

    鑑定処分許可状に基づく鑑定としての身体検査について、 被検査者が、 正当な理由なくこれを拒否した場合は、 被検査者に 対し、 過料及び費用賠償を命じることはできるが、罰金や拘留 という刑罰としての制裁を加えることはできない。

  • 61

    被疑者の身体から、強制的に尿を採取し、又は押収するには、 身体検査令状と捜索差押許可状が必要である。

  • 62

    覚醒剤使用の疑いがある者について捜索差押許可状の発付を 得て、採尿場所である病院まで同行を求めたところ、これを拒否 された場合、当該許可状の効力によりこの者を連行することができ、その際、 必要最小限度の有形力を行使することができる。

  • 63

    捜索差押許可状の発付を得て、強制的に採取した被疑者の尿 につき、その鑑定を嘱託するに当たっては、 新たに鑑定処分許可状の発付を得る必要はない。

  • 64

    被疑者の身体から、強制的に血液を採取し、又は押収するには、鑑定処分許可状と身体検査令状が必要である。

  • 65

    勾留中の被疑者から採血する場合、 被疑者がこれを拒否するときは、鑑定処分許可状と身体検査令状に基づいて採血する必要があり、 さらに、 採取した血痕について押収手続をとらなければならない。

  • 66

    鑑定とは、特別の知識・経験を有する者が、 専らその知識・ 経験によってのみ知り得る実験法則及びこの法則を具体的事実 に適用して得た判断を報告することをいう。 鑑定を行い得る者 は、学問的研究の結果として特別の知識・経験を有する者に加え、日常生活で特別の知識・経験を得た単なる経験者も含む。

  • 67

    鑑定を行い得るのは、 特別の知識・経験を有する者に限られ、 この知識・経験は、 自身が直接経験して体得したものに限られる。

  • 68

    鑑定には、 被疑者にポリグラフ検査を受けさせ、 被疑事件に関する詳細な事実の認識の有無や、 余罪との関連性の有無を調べることも含まれる。

  • 69

    ポリグラフ検査を実施する前に、 被検査者に対し、事実関係 の詳細について問い詰めたり、真犯人でなければ知り得ない事実について追及したりしてはならない。

  • 70

    「簡易鑑定」 は、 検察官が勾留中の被疑者又は被告人の供述態度などから、犯行当時の責任能力に疑問を生じた場合に、その者の同意を得て心神又は身体の状態を精神科の医師に診断してもらう実務上の手続である。

  • 71

    司法警察職員は、犯罪捜査に当たって必要があるときは、専門的な学識経験を有する者に対して、鑑定を依頼することができる。

  • 72

    鑑定の嘱託自体は任意処分であるから、必要があれば捜査の いかなる段階においても行うことができる。

  • 73

    鑑定嘱託とは、 捜査に必要な場合に、 捜査機関が自己の知識を補充するために、 特定の学識経験者に鑑定を委託する処分をいい、医師に診断を依頼することも、性質上、 鑑定嘱託に当たる。

  • 74

    鑑定の嘱託に当たっては、鑑定を嘱託しようとする者に対して口頭又は鑑定嘱託書により依頼し、 その者に出頭を求めることができるが、その者は出頭を拒み、 あるいは一旦受託した鑑定をやめることができる。

  • 75

    捜査機関が行う鑑定の嘱託は任意処分であって、鑑定を命ずることはできないので、 嘱託を受けた者は、 出頭ないし鑑定を 拒むことができるが、 公判段階で実施される鑑定は、裁判所が 命ずるものであり、鑑定人は、宣誓のうえで鑑定を行うことと なる。

  • 76

    捜査機関は、鑑定を嘱託した場合、 鑑定受託者に書類・証拠物を閲覧謄写させ、被疑者・関係人の取調べに立ち会わせ、 また、これらの者に対して質問をさせることができる。

  • 77

    捜査機関は、鑑定を嘱託した場合において、 鑑定の経過及び 結果が簡単であるときは、 鑑定受託者に口頭の報告を求めるこ とができるが、その際、鑑定受託者の供述を録取した調書を作成しておかなければならない。

  • 78

    裁判所が、裁判上の判断をするのに必要な知識・経験の不足 を補充するために鑑定を命じた者を「鑑定人」といい、捜査機関が、 捜査に必要な鑑定を嘱託した者を「鑑定受託者」という。

  • 79

    鑑定受託者とは、 捜査機関の嘱託により鑑定を行う者をいい、 証拠調べとして裁判所から鑑定を命じられる鑑定人と同様、 特別の知識・経験を有する者に限られる。

  • 80

    捜査機関による鑑定の嘱託は、日常生活において特別の知識・経験を得た者に対しても行うことができるが、 特別の知識・ 経験を全く有しない者に対し鑑定を嘱託することは違法である。

  • 81

    公判廷において当事者の反対尋問権を保障する必要があることから、鑑定受託者は自然人であることを要し、 捜査機関は、 法人その他の団体に対して鑑定嘱託をなし得ない。

  • 82

    鑑定受託者は、 自然人であることを要するから、 例えば、覚醒剤事案で警視庁科学捜査研究所に鑑定を依頼するに当たって 作成する鑑定嘱託書には、原則として、 研究所名や所長名では なく、 実際に鑑定を行う者の氏名を記載しなければならない。

  • 83

    鑑定受託者は、鑑定業務のうち特別の知識・経験を要しない 部分については、鑑定補助者として捜査員にこれを行わせることができる。

  • 84

    鑑定処分許可状の請求権者は、 検察官、 検察事務官及び司法警察員であるので、 司法巡査はもとより鑑定受託者にも、その 請求権は与えられていない。

  • 85

    鑑定処分許可状の発付を得たものの、指定の鑑定受託者が鑑定を行うことができない場合において、当該鑑定受託者が科学捜査研究所等の行政機関に所属しているときは、同許可状に記載されていない者を代わりに指定することができる。

  • 86

    鑑定処分許可状を請求するに当たっては、 実際に鑑定する鑑定受託者の職業及び氏名等を記載しなければならないところ、 同許可状の発付後に鑑定受託者を変更する場合には、改めて鑑定処分許可状の請求をする必要がある。

  • 87

    鑑定の嘱託を受けた者は、鑑定処分許可状により、鑑定に必要な処分として、死体の解剖、 墳墓の発掘又は物の破壊を行う ことができるが、 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物等に 立ち入るときは、併せて検証許可状の発付を得る必要がある。

  • 88

    押収物等について鑑定を行う場合、承諾又は所有権放棄の意思表示があれば、 その物に対する破壊等の処分については鑑定処分許可状を要しないが、承諾又は所有権放棄の意思表示が得られない場合や、権利者が不明である場合には、鑑定処分許可状の発付を得て実施しなければならない。

  • 89

    鑑定に際し、 血液採取など身体に相当な傷害が伴う場合や、 高価な物の破壊を行う場合には、被処分者の承諾があっても、 鑑定処分許可状の発付を得るべきである。

  • 90

    押収物を鑑定に付すに当たり、たとえそれが拳銃等の所持禁制品であったとしても、被押収者が所有権放棄書又は鑑定承諾書への記載を拒否した場合には、鑑定処分許可状の発付を得なければならない。

  • 91

    犯罪現場に遺留された毛髪など、 社会通念上財産的価値がなく、所有権者等がその権利を放棄したと認められるような物を 鑑定する場合は、原則として鑑定処分許可状を要しない。

  • 92

    強制手続により採取した尿について、被処分者が所有権放棄書又は鑑定処分承諾書の提出を拒否した場合、 鑑定処分許可状の発付を得て鑑定に付する。

  • 93

    司法警察員から鑑定処分許可状の交付を受けた鑑定受託者は、その処分を行うに際し、 処分を受ける者に同許可状を提示しなければならない。

  • 94

    裁判所が命じた鑑定を行うに際し、 検察官及び弁護人には立会権が認められているが、 被告人には立会権が認められていない。

  • 95

    捜査機関は、捜査のために被疑者の心神又は身体に関する鑑定を嘱託する場合において、その被疑者を病院等に留置する必要があるときは、 裁判官にその処分を請求することができる。

  • 96

    鑑定留置を請求する権限は、 刑訴法上、 司法巡査には与えら れていない。

  • 97

    捜査機関は、鑑定の嘱託において、鑑定留置を必要とするときは、裁判官に対し鑑定留置請求書を提出してその処分を請求 するが、この場合、 勾留に関する規定が準用されるものの、逃亡又は罪証隠滅のおそれといった要件は求められていない。

  • 98

    鑑定留置は、 検察官、 検察事務官又は司法警察員が裁判官から令状の発付を得て行われるが、 鑑定留置の対象となるのは、 被疑者又は被告人に限られ、 被害者や参考人は含まれない。

  • 99

    鑑定留置の対象は、 逮捕・勾留されている被疑者に限られるので、身柄不拘束の被疑者について、 鑑定留置の請求をすることはできない。

  • 100

    鑑定留置の場所は、「病院その他の相当な場所」と規定されているが、病院等の施設を求め難い場合や、 看守の必要性が特に強い場合でも、 警察署の留置施設を指定することはできない。

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    問題一覧

  • 1

    押収物を還付するに当たっては、還付を受ける者が、正当な権限を有する者であるか否かについて調査を行わなければならない。

  • 2

    会社所有の押収物を、 同社の事務担当者が還付受けを希望する場合、 同社の職員であることを確認できるものを提示させ、 還付受けを委託されていることを確認し、 還付請書の氏名欄に 役職氏名を記載してもらえば、 還付受け者である当該会社の代表者の委任状がなくても、 還付することができる。

  • 3

    捜査機関が捜査段階で押収物を還付する場合は、裁判所が行う押収物の還付の場合と異なり、 捜査としての行為であることに鑑み、被疑者や弁護人の意見を聴く必要はなく、 捜査機関独自の判断で行うことができる。

  • 4

    仮還付した証拠物件について留置の必要がなくなり、更に還付の処分をする場合、 相手方に還付通知書を交付し、還付したことを明らかにすればよい。

  • 5

    押収物を仮還付したまま、 不起訴処分となり事件が終結した 場合、 改めて当該押収物について還付手続をとらなければなら ない。

  • 6

    余罪事件の立証のため、起訴猶予に係る事件の押収物を使用 する必要がある場合は、 被押収者に一度還付してから、再度押収手続をとる。

  • 7

    捜査機関は、押収物の還付に関する処分をする場合、 弁護人等から意見を聴く必要はないが、 当該処分に不服がある者は、 その取消し等を求めて準抗告を行うことができる。

  • 8

    捜査機関による押収処分を受けた者は、留置の必要がないことを理由として、 押収物の還付を請求することができるが、 それが却下された場合、 その取消し及び自己への還付を求めて準抗告を申し立てることはできない。

  • 9

    捜査機関が行った押収手続が違法として取り消され、当該押収物が返還された場合は、この返還処分に対して準抗告することはできない。

  • 10

    押収物を検察庁に保管転換せず、 自署保管して検察庁に送致 した場合、 還付に関する決定は警察署長が行う。

  • 11

    還付公告は、 押収物で捜査上留置する必要がない物について、 還付を受けるべき者が所在不明等の事由により還付できない場合に実施されるところ、 検察官に警察署保管として送致した押収物について、 還付公告の要件を満たしたときは、 独自の判断 により警察で還付公告することができる。

  • 12

    仮還付とは、一時的に留置を解いて返還しても、捜査又は公判維持に支障がないと認められる押収物について、 再び捜査機関に戻されることを留保して返還する性格のものであり、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求があったときに初めて行 われる。

  • 13

    仮還付の請求を行うことができる者は、必ずしも当該押収物 の被押収者であることを要しない。

  • 14

    仮還付は、 還付とは異なり、必ず所有者等からの請求に基づき行われることになるので、請求がないのに仮還付したり、 請求人以外の者に仮還付したりすることは許されない。

  • 15

    仮還付中は、 押収の効力が存続するので、 仮還付を受けた者 は証拠物を保管する義務を負い、 また、 後日、 その証拠物の提出を求められた場合は、直ちに提出しなければならない。

  • 16

    押収物の仮還付を受けた者は、たとえ所有者であっても、売却、破壊等の処分をすることは一切許されず、 保管中の押収物 を不法に処分すれば、 横領罪等の刑責を負うことになる。

  • 17

    仮還付を受けられる者は、所有者、所持者、保管者又は差出人であるが、 これらの者は、口頭又は書面で仮還付の請求をすることができ、 また、請求の理由等を疎明する必要はない。

  • 18

    押収した物を還付する場合、 還付を受ける者が正当な権限 を有する者であるか否かを調査しなければならないところ、こ の調査は、仮還付の場合も同様に行わなければならない。

  • 19

    無免許運転の用に供された被疑者所有の押収自動車は、 「留置の必要がないもの」 に該当しないので、 司法警察員は被押収者に還付する義務を負わないが、 証拠として利用する必要が当面ない場合は、請求に基づき仮還付すべきである。

  • 20

    所有者から任意提出を受けて領置した物件を仮還付した後、 捜査の必要性が生じて所有者から再度当該仮還付物件の提出を 受ける場合は、その状況を書類で明らかにしておけば足り、改めて領置手続をとる必要はない。

  • 21

    押収品を仮還付した後、 捜査上必要な場合に当該仮還付物件 の提出を求めた際、 相手方がこれを拒んだときは、捜索差押許可状や差押許可状の発付を得て差し押さえることとなる。

  • 22

    所有権放棄を行うことができるのは、押収物の所有権者であるため、所有権放棄書を徴する際には、その者が所有権を放棄 する権限を有する者であるかどうかを確認する必要がある。

  • 23

    所有権放棄の適否に関して、財産的価値のない産業廃棄物等 を鑑定に付すため、 やむを得ず押収する場合、最終的には裁判所から没収の言渡しがあるのが通常であるが、 没収の言渡しが ない場合もあり得るので、あらかじめ所有権放棄の意思表示を 得ておくことが必要である。

  • 24

    警察が準備したテープに脅迫文言等を録音した場合、録音し また警察官が司法警察員としての警察署長宛てに録音テープを任意提出し、 捜査幹部が領置することとなるが、その際、所有権放棄をすることは適当ではない。

  • 25

    押収物の所有者が所有権放棄の意思表示をした場合、 その意思表示が錯誤に基づくなどの特段の事由がない限り、これを撤回することは許されない。

  • 26

    押収物の所有権が放棄された場合に、 検察官がその物の送付 を受けたときは、その物は国庫に帰属することになる。

  • 27

    電磁的記録に係る記録媒体の差押えにおいて、 当該記録媒体 に記録された電磁的記録を捜査機関の所有する「他の記録媒体」に移転して差し押さえた場合、 留置の必要がないときの原状回復措置として、当該「他の記録媒体」を被押収者に交付するか、又は移転した電磁的記録の複写を許可する必要がある。

  • 28

    銃刀法違反の罪で逮捕した暴力団員の所属する組事務所を捜索場所とする捜索差押許可状の発付を得て捜索する際、 その場 に居合わせた者が、 その着衣に証拠物を隠匿・所持していると疑うに足りる相当な理由があっても、 身体検査令状がなければ、 その者の着衣を調べることはできない。

  • 29

    被処分者を全裸に近い状態にして証拠物等を捜索する必要が ある場合、 同人の身体に対する捜索差押許可状の発付を得て行えば足り、 別に身体検査令状は要しない。

  • 30

    場所に対する捜索差押許可状を執行する際に、 その場に居合わせた者が、下着の中に証拠物を隠匿している蓋然性が認めら れる場合であっても、 捜索差押許可状では下着を脱がせて身体 の捜索をすることは許されないので、身体検査令状の発付を得なければならない。

  • 31

    男性警察官が令状により女性の身体を捜索する場合、 着衣の 外側だけを捜索するとしても、 成年女性の立会いがなければ捜索することはできない。

  • 32

    女子の身体を捜索又は検証する場合、 医師又は成年の女子の 立会いを要するから、 急速を要するときであっても必ず立会人 を得なければならない。

  • 33

    逮捕の現場において、 令状なくして当該逮捕に係る女性被疑者の身体の捜索を行う場合、 成年の女子を立ち会わせなければならないが、 急速を要するときは、これを省略することができる。

  • 34

    令状により女子の身体を捜索する際は、 成年の女子を立ち会わせなければならないが、被処分者が立会いを要しない旨の意思表示をした場合は、 立会いを省略することができる。

  • 35

    令状により女子の身体を捜索するに当たって、執行者が成年 の女性警察官である場合には、別に成年の女子の立会いを要しない。

  • 36

    令状により身体検査を行うためには、単に捜査のため必要があるだけでは足りず、 被検査者の意思に反しても身体検査を行う必要性がなければならない。

  • 37

    逮捕の現場における検証には身体検査を含むので、逮捕の直前又は直後に被疑者の身体を検査することができる。

  • 38

    検証としての身体検査として、指紋採取、体重測定、 歯並び、 身体の傷痕、入れ墨等の検査をすることができるほか、レントゲン照射による体内の透視や、下剤を施用して胃腸内の証拠物 を排出させる等の行為をすることができる。

  • 39

    A女が死児を分娩しこれを遺棄した死体遺棄事件について、 A女が分娩に至るまで産婦人科病院等に通院した事実等を確認 できず、また、A女が妊娠の事実を否定している場合に、医師 をしてA女が分娩した事実を証明させる必要が生じたときに要する令状は、身体検査令状である。

  • 40

    身体検査令状を請求する権限は、 刑訴法上、 司法警察員には 与えられているが、 司法巡査には与えられていない。

  • 41

    身体検査令状に基づく検証としての身体検査は、強制処分で あり、 被検査者の人的範囲については制約がないことから、その必要性が認められる者であれば、 被疑者や被告人のほか、これら以外の第三者であっても、 身体検査の対象となり得る。

  • 42

    被疑者が、正当な理由なく身体検査令状による身体検査を拒んだ場合には、身体検査拒否罪が成立する。

  • 43

    身体検査令状により、 女性に対して身体検査を行う場合において、 急速を要するときは、立会人を必要としない。

  • 44

    身体検査令状により、覚醒剤所持容疑の女性被疑者の身体検査をする際、 検査行為自体を成年の女性警察官に依頼した場合 は、別に成年の女子を立ち会わせなくてもよい。

  • 45

    傷害事件につき、 傷害の程度を確認するために被害者である 女性の下着を脱がせ、 人が通常露出しない部分を露出させる場 合でも、 被害者本人の承諾があるときは、 身体検査令状を必要としない。

  • 46

    窃盗事件で逮捕した女性被疑者が、 指紋の採取を頑強に拒否する場合、これを採取するには、 身体検査令状を必要とする。

  • 47

    逮捕・勾留中の被疑者の指紋採取について、 同人がこれを拒否し、間接強制では効果がないと認められるときは、必要最小限度の有形力を行使して強制的に採取することができる。

  • 48

    身柄拘束中の被疑者については、身体検査令状を得ることなく、当該被疑者の意思に反して指紋及び足型を採取することが できるほか、歯型やだ液等の採取等をすることもできる。

  • 49

    逮捕・勾留中の男性被疑者につき、 捜査のため、 当該被疑者 の意に反して強制的に下着姿の写真を撮影する必要が生じた場合には、 身体検査令状の発付を得たうえで、 写真撮影をしなけ ればならない。

  • 50

    身体拘束中の被疑者の写真撮影については、被疑者を裸にしない限り、 令状を要しないので、身体拘束の基礎となる被疑事件とは別事件の証拠として使用するためであっても、令状なくして被疑者の意に反してでも写真撮影を行うことができる。

  • 51

    任意捜査中の被疑者の指掌紋を採取する場合に、被疑者が任意の採取に応じないときは、 身体検査令状の発付を得たうえで、 強制的に指掌紋を採取することとなる。

  • 52

    鑑定としての身体検査は、医師等の専門家による処分であり、 身体の内部をも検査することができるので、口腔から胃の中に 管を入れて吐剤を流し込む方法のように、 身体に大きな苦痛を 与える処分を行うことも許される。

  • 53

    鑑定処分許可状により、 鑑定のために行われる血液の採取は、 被疑者だけでなく、 被害者や第三者に対しても行うことができる。

  • 54

    鑑定処分許可状に基づいて行う身体検査において、 被検査者 がこれを拒んだ場合、 鑑定受託者は、当該被検査者の意思に反し実力をもって身体検査を強行することはできない。

  • 55

    防犯カメラに写っている犯人と、 被疑者との同一性を確認するため、それを鑑定できる者によって、 被疑者に必要な動作をさせて、その状況を写真撮影する処分は、鑑定としての身体検査に当たるので、鑑定処分許可状及び身体検査令状の発付を得て行う。

  • 56

    被疑者の身体から、嚥下された物件を強制的に採取し、又は 押収するには、 身体検査令状と捜索差押許可状があれば足りる。

  • 57

    捜査機関の嘱託を受けた鑑定受託者は、被疑者の爪に付着した物質の成分等を鑑定するため、 その爪先を強制的に切り取って採取する必要がある場合には、鑑定処分許可状及び身体検査令状に基づいてこれを行うことができる。

  • 58

    被疑者の身体から、強制的に毛髪を採取し、又は押収するには、差押許可状のみで足りる。

  • 59

    被疑者の身体から、 肛門内に隠匿された物件を強制的に採取し、又は押収するには、鑑定処分許可状のみで足りる。

  • 60

    鑑定処分許可状に基づく鑑定としての身体検査について、 被検査者が、 正当な理由なくこれを拒否した場合は、 被検査者に 対し、 過料及び費用賠償を命じることはできるが、罰金や拘留 という刑罰としての制裁を加えることはできない。

  • 61

    被疑者の身体から、強制的に尿を採取し、又は押収するには、 身体検査令状と捜索差押許可状が必要である。

  • 62

    覚醒剤使用の疑いがある者について捜索差押許可状の発付を 得て、採尿場所である病院まで同行を求めたところ、これを拒否 された場合、当該許可状の効力によりこの者を連行することができ、その際、 必要最小限度の有形力を行使することができる。

  • 63

    捜索差押許可状の発付を得て、強制的に採取した被疑者の尿 につき、その鑑定を嘱託するに当たっては、 新たに鑑定処分許可状の発付を得る必要はない。

  • 64

    被疑者の身体から、強制的に血液を採取し、又は押収するには、鑑定処分許可状と身体検査令状が必要である。

  • 65

    勾留中の被疑者から採血する場合、 被疑者がこれを拒否するときは、鑑定処分許可状と身体検査令状に基づいて採血する必要があり、 さらに、 採取した血痕について押収手続をとらなければならない。

  • 66

    鑑定とは、特別の知識・経験を有する者が、 専らその知識・ 経験によってのみ知り得る実験法則及びこの法則を具体的事実 に適用して得た判断を報告することをいう。 鑑定を行い得る者 は、学問的研究の結果として特別の知識・経験を有する者に加え、日常生活で特別の知識・経験を得た単なる経験者も含む。

  • 67

    鑑定を行い得るのは、 特別の知識・経験を有する者に限られ、 この知識・経験は、 自身が直接経験して体得したものに限られる。

  • 68

    鑑定には、 被疑者にポリグラフ検査を受けさせ、 被疑事件に関する詳細な事実の認識の有無や、 余罪との関連性の有無を調べることも含まれる。

  • 69

    ポリグラフ検査を実施する前に、 被検査者に対し、事実関係 の詳細について問い詰めたり、真犯人でなければ知り得ない事実について追及したりしてはならない。

  • 70

    「簡易鑑定」 は、 検察官が勾留中の被疑者又は被告人の供述態度などから、犯行当時の責任能力に疑問を生じた場合に、その者の同意を得て心神又は身体の状態を精神科の医師に診断してもらう実務上の手続である。

  • 71

    司法警察職員は、犯罪捜査に当たって必要があるときは、専門的な学識経験を有する者に対して、鑑定を依頼することができる。

  • 72

    鑑定の嘱託自体は任意処分であるから、必要があれば捜査の いかなる段階においても行うことができる。

  • 73

    鑑定嘱託とは、 捜査に必要な場合に、 捜査機関が自己の知識を補充するために、 特定の学識経験者に鑑定を委託する処分をいい、医師に診断を依頼することも、性質上、 鑑定嘱託に当たる。

  • 74

    鑑定の嘱託に当たっては、鑑定を嘱託しようとする者に対して口頭又は鑑定嘱託書により依頼し、 その者に出頭を求めることができるが、その者は出頭を拒み、 あるいは一旦受託した鑑定をやめることができる。

  • 75

    捜査機関が行う鑑定の嘱託は任意処分であって、鑑定を命ずることはできないので、 嘱託を受けた者は、 出頭ないし鑑定を 拒むことができるが、 公判段階で実施される鑑定は、裁判所が 命ずるものであり、鑑定人は、宣誓のうえで鑑定を行うことと なる。

  • 76

    捜査機関は、鑑定を嘱託した場合、 鑑定受託者に書類・証拠物を閲覧謄写させ、被疑者・関係人の取調べに立ち会わせ、 また、これらの者に対して質問をさせることができる。

  • 77

    捜査機関は、鑑定を嘱託した場合において、 鑑定の経過及び 結果が簡単であるときは、 鑑定受託者に口頭の報告を求めるこ とができるが、その際、鑑定受託者の供述を録取した調書を作成しておかなければならない。

  • 78

    裁判所が、裁判上の判断をするのに必要な知識・経験の不足 を補充するために鑑定を命じた者を「鑑定人」といい、捜査機関が、 捜査に必要な鑑定を嘱託した者を「鑑定受託者」という。

  • 79

    鑑定受託者とは、 捜査機関の嘱託により鑑定を行う者をいい、 証拠調べとして裁判所から鑑定を命じられる鑑定人と同様、 特別の知識・経験を有する者に限られる。

  • 80

    捜査機関による鑑定の嘱託は、日常生活において特別の知識・経験を得た者に対しても行うことができるが、 特別の知識・ 経験を全く有しない者に対し鑑定を嘱託することは違法である。

  • 81

    公判廷において当事者の反対尋問権を保障する必要があることから、鑑定受託者は自然人であることを要し、 捜査機関は、 法人その他の団体に対して鑑定嘱託をなし得ない。

  • 82

    鑑定受託者は、 自然人であることを要するから、 例えば、覚醒剤事案で警視庁科学捜査研究所に鑑定を依頼するに当たって 作成する鑑定嘱託書には、原則として、 研究所名や所長名では なく、 実際に鑑定を行う者の氏名を記載しなければならない。

  • 83

    鑑定受託者は、鑑定業務のうち特別の知識・経験を要しない 部分については、鑑定補助者として捜査員にこれを行わせることができる。

  • 84

    鑑定処分許可状の請求権者は、 検察官、 検察事務官及び司法警察員であるので、 司法巡査はもとより鑑定受託者にも、その 請求権は与えられていない。

  • 85

    鑑定処分許可状の発付を得たものの、指定の鑑定受託者が鑑定を行うことができない場合において、当該鑑定受託者が科学捜査研究所等の行政機関に所属しているときは、同許可状に記載されていない者を代わりに指定することができる。

  • 86

    鑑定処分許可状を請求するに当たっては、 実際に鑑定する鑑定受託者の職業及び氏名等を記載しなければならないところ、 同許可状の発付後に鑑定受託者を変更する場合には、改めて鑑定処分許可状の請求をする必要がある。

  • 87

    鑑定の嘱託を受けた者は、鑑定処分許可状により、鑑定に必要な処分として、死体の解剖、 墳墓の発掘又は物の破壊を行う ことができるが、 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物等に 立ち入るときは、併せて検証許可状の発付を得る必要がある。

  • 88

    押収物等について鑑定を行う場合、承諾又は所有権放棄の意思表示があれば、 その物に対する破壊等の処分については鑑定処分許可状を要しないが、承諾又は所有権放棄の意思表示が得られない場合や、権利者が不明である場合には、鑑定処分許可状の発付を得て実施しなければならない。

  • 89

    鑑定に際し、 血液採取など身体に相当な傷害が伴う場合や、 高価な物の破壊を行う場合には、被処分者の承諾があっても、 鑑定処分許可状の発付を得るべきである。

  • 90

    押収物を鑑定に付すに当たり、たとえそれが拳銃等の所持禁制品であったとしても、被押収者が所有権放棄書又は鑑定承諾書への記載を拒否した場合には、鑑定処分許可状の発付を得なければならない。

  • 91

    犯罪現場に遺留された毛髪など、 社会通念上財産的価値がなく、所有権者等がその権利を放棄したと認められるような物を 鑑定する場合は、原則として鑑定処分許可状を要しない。

  • 92

    強制手続により採取した尿について、被処分者が所有権放棄書又は鑑定処分承諾書の提出を拒否した場合、 鑑定処分許可状の発付を得て鑑定に付する。

  • 93

    司法警察員から鑑定処分許可状の交付を受けた鑑定受託者は、その処分を行うに際し、 処分を受ける者に同許可状を提示しなければならない。

  • 94

    裁判所が命じた鑑定を行うに際し、 検察官及び弁護人には立会権が認められているが、 被告人には立会権が認められていない。

  • 95

    捜査機関は、捜査のために被疑者の心神又は身体に関する鑑定を嘱託する場合において、その被疑者を病院等に留置する必要があるときは、 裁判官にその処分を請求することができる。

  • 96

    鑑定留置を請求する権限は、 刑訴法上、 司法巡査には与えら れていない。

  • 97

    捜査機関は、鑑定の嘱託において、鑑定留置を必要とするときは、裁判官に対し鑑定留置請求書を提出してその処分を請求 するが、この場合、 勾留に関する規定が準用されるものの、逃亡又は罪証隠滅のおそれといった要件は求められていない。

  • 98

    鑑定留置は、 検察官、 検察事務官又は司法警察員が裁判官から令状の発付を得て行われるが、 鑑定留置の対象となるのは、 被疑者又は被告人に限られ、 被害者や参考人は含まれない。

  • 99

    鑑定留置の対象は、 逮捕・勾留されている被疑者に限られるので、身柄不拘束の被疑者について、 鑑定留置の請求をすることはできない。

  • 100

    鑑定留置の場所は、「病院その他の相当な場所」と規定されているが、病院等の施設を求め難い場合や、 看守の必要性が特に強い場合でも、 警察署の留置施設を指定することはできない。