【刑訴法】復元問題一問一答(下巻)③

【刑訴法】復元問題一問一答(下巻)③
100問 • 2年前
  • 山本卓弥
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    問題一覧

  • 1

    警察官は、勾引状 勾留状を執行する場合、 その現場におい て、令状によらない捜索差押えを行うことができる。

  • 2

    令状によらない捜索差押えは、 「必要があるとき」 に限り 許されるが、これは、捜査機関の単なる主観的判断によるもの ではなく、客観的に必要性が認められることを要する。

  • 3

    被疑者を逮捕する場合、 必要があれば逮捕の現場で令状なくして捜索・差押えをすることができるところ、ここにいう「逮捕する場合」 とは、「逮捕行為を行う際」という意味であり、 逮捕行為との間に時間的場所的接着性があることを要するが、 逮捕行為の前後は問わない。

  • 4

    警察官が、現場にいる者を被疑者と認めて逮捕行為に着手した場合、 逮捕に成功したかどうかを問わず、 逮捕の現場における令状によらない捜索・差押えを行うことができる。

  • 5

    令状によらない捜索差押えをすることができる 「逮捕の現場」 には、逮捕に着手した場所、 追跡中の場所及び逮捕した場 所のほか、これらの場所と直接接続する範囲の空間が含まれる。

  • 6

    令状によらない捜索差押えの要件の1つである「逮捕の現場」 の範囲には、 逮捕行為に際して被疑者の現実の支配下にあった場所及び被疑者の影響が顕著に及んだ場所も含まれる。

  • 7

    被疑者に対して、 自宅玄関内において逮捕状を示し、逮捕に 着手したが、 玄関口から逃走され約500メートル追跡したと ころで見失った場合、 被疑者の自宅内において捜索・差押えを することができる。

  • 8

    令状によらない捜索差押えにおける逮捕の現場とは、逮捕 した場所との場所的同一性を意味するところ、 帰宅途中の被疑 者を自宅近くの路上で逮捕した場合、 どんなに自宅の近くで逮 捕したとしても、 自宅を逮捕の現場と解することはできない。

  • 9

    被疑者が居住する一軒家の敷地内で逮捕行為を行った場合は、 被疑者の管理権が及んでいる限り、 その一軒家全体を令状なく して捜索することができる。

  • 10

    ホテルに宿泊中の被疑者をその客室で逮捕した場合、 同ホテルの廊下等の共用部分については、被疑者の顕著な影響力が及 んでいたとしても、 捜索・差押えの対象とはなり得ない。

  • 11

    逃走中の犯人を逮捕するため追跡している際に、 犯人が他人の敷地内に凶器を投げ込んだ場合、 当該敷地は逮捕の現場に当 たるから、家人の立会いの下で、令状なくして敷地内を捜索す ることができる。

  • 12

    逮捕の現場における身体又は所持品の検索・差押えについて、 これをその場で継続することが被疑者の名誉を害し、その抵抗 による混乱を生じ、 現場付近の交通を妨げる等の事情がある場合には、最寄りの交番等まで被疑者を連行した後、 令状によらない捜索・差押えを実施することができる。

  • 13

    無免許運転の疑いがある車を停止させ、 同所に車を駐車させ たまま運転者を数百メートル離れた交番に同行して取り調べた 結果、 その車を盗んだことが判明したので緊急逮捕した場合、 任意同行を求めた場所を逮捕の現場として同車を差し押さえる ことはできない。

  • 14

    逮捕の現場で令状によらない捜索・差押えを行う場合におい て、差し押さえることができる物は、証拠物又は没収すべき物 と思料されるものに限られる。

  • 15

    令状によらずに差押えをすることができる物は、逮捕に係る 被疑事実を直接立証できる物に限られ、 犯行の動機、 目的、 背景事情等に関する物を差し押さえることはできない。

  • 16

    逮捕の現場における捜索・差押えは、 被逮捕者の身体・所持品に限らず、 その場に居合わせた第三者の身体・所持品についても行うことができるが、この場合、 押収すべき物の存在を認 めるに足りる状況がなければならない。

  • 17

    傷害の被疑者を緊急逮捕して、逮捕の現場で被疑者の身体を 捜索したところ、 別事件である窃盗事実の証拠物を発見した場 合、 これを逮捕に伴うものとして無令状で差し押さえることは できない。

  • 18

    詐欺未遂の現行犯人として逮捕した者が、 人定事項を含め質問に全く答えない場合、 逮捕の現場において、本件の証拠物と 思料されるメモ類や携帯電話機のほか、所持していた自動車運 転免許証を差し押さえることができる。

  • 19

    逃走する被疑者を追跡して第三者の住居内において逮捕した 場合で、 当該住居について捜索・差押えを行う際には、急速を 要するときであっても、 住居主等の立会いを得る必要がある。

  • 20

    傷害事件の被疑者を追跡中、 当該被疑者が犯行に用いた凶器 を塀越しに他人の住居の敷地内に投げ込んだので、その逮捕直 後に同敷地内を捜索し、凶器を差し押さえる場合、 急を要する ときは、家人等の立会いなくしてこれを行うことができる。

  • 21

    私人宅の敷地内に逃げ込んだ被疑者を追跡して現行犯逮捕し、 その逮捕現場において被疑者の身体に対する捜索をする場合、 同宅の家人を立ち会わせる必要はない。

  • 22

    現行犯逮捕の現場である公道上で無令状の捜索差・押えを行う場合において、 深夜のため、 通行人等が確保できず、また、 ほかに警察官がいないときは、 立会人を置くことなくその場で 捜索・差押えを実施することができる。

  • 23

    公務所内で被疑者を逮捕し、 その現場で被疑者の着衣・所持品に限って令状によらずに捜索する場合には、 公務所の長等を立会人として置く必要はない。

  • 24

    逮捕の現場である被疑者宅で令状によらない捜索・差押えを 実施するに当たって、必要があると認められる場合には、逮捕 した被疑者を短時間、 当該執行に立ち会わせることができる。

  • 25

    被疑者が身柄を拘束されている場合、 令状による捜索・差押 えであると令状によらない捜索・差押えであるとを問わず、 そ の執行について必要があるときは、被疑者がたとえ拒否していても、強制的に立ち会わせることができる。

  • 26

    勾留状の執行に際し、 捜索・差押えを実施する場合、急速を 要するときは立会人を必要としない。

  • 27

    令状によらない捜索差押えに着手した後、 これを中止する 合理的な理由のある場合には、その処分を中止し、 後刻再開す ることができる。

  • 28

    差押え対象物は有体物に限られ、 債権や情報それ自体は対象 とならないことから、コンピュータに記録された電磁的記録に ついては、 検証等によってその内容を明らかにするか、又はコンピュータ本体若しくは電磁的記録を複写等した他の記録媒体 を差し押さえることとなる。

  • 29

    捜査機関は、 差押対象物が電磁的記録に係る記録媒体である ときは、当該電磁的記録を他の記録媒体に複写して差し押さえ ることができるが、この処分は、逮捕の現場において令状によ らずに行うこともできる。

  • 30

    捜査機関は、 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒 体である場合、差押えに代えて、 被処分者に当該記録媒体に記録されている電磁的記録を他の記録媒体に複写・印刷・移転さ せたうえ、当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

  • 31

    差押対象物が電子計算機であるときは、当該電子計算機にネットワークで接続しているサーバ等の記録媒体に保管されている 電磁的記録を、 当該電子計算機等に複写したうえで差し押さえる ことができるが、この場合には、 その電磁的記録を複写すべき記 録媒体の範囲を記載した令状が必要である。

  • 32

    被疑者を逮捕する場合において必要があるときは、 令状によることなく、差押対象物である電子計算機に電気通信回線で接 続している記録媒体であって、当該電子計算機で作成・変更を した電磁的記録又は当該電子計算機で変更・消去をすることが できるとされている電磁的記録を保管するために使用されてい ると認めるに足りる状況にあるものから、 その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写したうえ、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

  • 33

    記録命令付差押えとは、 電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて、必要な電磁的記録 を記録媒体に記録又は印刷させたうえ、当該記録媒体を差し押 さえることをいう。

  • 34

    被疑者を逮捕した場合において必要があるときは、 令状によ らずに、電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する 権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録さ せ、又は印刷させたうえ、当該記録媒体を差し押さえる 「記録命令付差押え」 をすることができる。

  • 35

    記録命令付差押えに際し、 電磁的記録を記録媒体に記録又は印刷することを命ぜられた者は、これに従う法的義務を負うと ころ、 当該義務に反した者に対する罰則は設けられていない。

  • 36

    記録命令付差押許可状の請求に際し、 同許可状の請求書には、 記録させ又は印刷させるべき電磁的記録等の記載は要するが、差し押さえるべき物の記載は要しない。

  • 37

    日出前、日没後に人の住居に入って記録命令付差押許可状を 執行する場合、当該令状に夜間でも執行することができる旨の 記載がなければならない。

  • 38

    検証とは、物、 場所、人の存在、性質及び状態等を五官の作用によって認識するものであるところ、 携帯電話機等の位置探索は、その位置情報を五官の作用で認識するものではないから、 その実施には、 検証許可状ではなく差押許可状を要する。

  • 39

    宅配業者が保管する荷物に対して、 捜査機関が荷受人の承諾 なしにエックス線検査を行う場合、 これを任意捜査として行うことはできず、 検証許可状が必要である。

  • 40

    令状による検証に一旦取りかかれば、執行が長時間に及ぶな どの事情により、これを中止したとしても、再開するに当たっ て新たな令状の発付を得る必要はない。

  • 41

    人に対する検証を、その者の自宅において行う場合、 日没前 に着手したときは、夜間に及ぶときであっても、あらかじめ夜間執行の許可を受けておく必要はない。

  • 42

    人の状態・技能・動作等を検証するに当たっては、 相手方に 一定の作為を求めることができるが、 相手方がこれを拒否した 場合、強制的に行わせることはできない。

  • 43

    令状により事件現場を検証中、本件に関わる証拠品を発見し たため、立会人に任意提出を求めたが拒否された場合、 検証に 伴う必要な処分として、 当該証拠品を持ち帰ることができる。

  • 44

    犯行現場が撮影された被疑者のスマートフォンを差し押さえ たところ、同機は故障しており、保存された画像を確認するた めには修理が必要であるうえデータ消失のおそれもある場合、 被疑者の同意が得られないときには、 検証許可状の発付を得て、 検証に伴う必要な処分として修理・画像確認をすべきである。

  • 45

    強制性交の犯行現場である被疑者宅内の検証に際し、 被害者 が被疑者の同居人等でなくとも、 必要な処分として、強制性交 に使用されたベッド等を被害者に指示説明させるため、同人 を立ち入らせることができる。

  • 46

    司法警察職員が被疑者を逮捕する場合に必要があるときは、 逮捕の現場で令状によらない検証をすることができ、 また、 検察官の指揮で被告人に対する勾引状又は勾留状を執行する場合 にも、執行の現場で令状によらない検証をすることができる。

  • 47

    「押収物」 には、 捜査機関が強制手続によって差し押さえた物、 及び任意手続によって遺留物又は任意提出物として領置した物 が含まれる。

  • 48

    差押え及び領置は、占有の取得に強制力を加えるか否かとい う点が異なるだけで、 手続後に生ずる効力は同じであるから、 両手続により一旦占有を取得した後は、 必要がある限り、所有 者等の意思に反してでも留置を継続することができる。

  • 49

    強制わいせつ事件で、重要な証拠となるビデオテープを押収 した場合において、必要と認められるときは、被疑者の意思に 反してそのテープの 「誤消去防止用のツメ」 を折り、 当該テー プを保管することができる。

  • 50

    証拠品の保管については、 「善良な管理者の注意義務」 が求 められるので、証拠価値の保全だけでなく、 財産的価値の保全 にも努めなければならない。

  • 51

    殺人の凶器に使用された名刀を押収した場合、 血痕の付着状 況を写真撮影し、 血痕の血液型等を鑑定するなど、 その証拠価 値を保全したうえ、刀身の血痕を拭き取って手入れをしてから 保管するのが妥当である。

  • 52

    押収した証拠物を自署保管として検察官に送致した場合、 送 致後における当該証拠物の還付、 廃棄等の処分の決定は、当該 証拠物を保管する警察署長が行う。

  • 53

    捜査機関は、 長大物件等の運搬又は保管に不便な押収物につ いては、看守者を置き、又は所有者その他の者にその物の保管 を委託することができるが、保管委託した場合、その時点で、 善良な管理者としての注意をもって当該押収物を保管すべき義務は、委託者である捜査機関から受託者に移る。

  • 54

    押収物の保管委託を行った場合でも、委託者の押収物に対す る責任が免除されることはなく、 押収物の破損、滅失があったときには、国又は地方公共団体に賠償責任が生じ得る。

  • 55

    被疑者の自供に基づき、 質店に質入れされていた被害品のカメラを押収したところ、 被害者が不明であった場合、 当該カメラを同質店に保管委託することができる。

  • 56

    保管を委託することができる「運搬又は保管に不便な押収物」とは、 押収物の性質上、 運搬・保管に不便なものということではなく、保管設備等の関係から、運搬・保管に不便なもの を意味する。

  • 57

    押収物が捜査機関で保管することが困難なものである場合、 看守者を置き、又はその保管を依頼することができるが、この 看守者は捜査機関の命令に服する義務のある者でなければならないので、私人を看守者とすることはできない。

  • 58

    「危険を生ずる虞がある押収物」 については、事件終結前に 廃棄処分することができるが、 司法巡査がこの処分を行うこと はできない。

  • 59

    危険を生ずるおそれがある押収物は、 廃棄処分することができるが、 当該押収物は、「没収することができる押収物」であることを要しない。

  • 60

    押収物のうち、 その性質上、 危険を生ずるおそれがあるものは、 廃棄処分することができるところ、 廃棄処分の対象は、物理的に危険が生ずる蓋然性が極めて高いものに限られるので、 単にさびるおそれのある拳銃や日本刀などを廃棄処分すること はできない。

  • 61

    押収物のうち、 果物・野菜・魚肉類等の腐敗しやすい食品や、 火薬類等危険を生ずる物については、保管に不便なものに該当 し、捜査機関は、これを廃棄処分することができる。

  • 62

    犯人蔵匿被疑事件の証拠物として、 被蔵匿者の食事として用意されていた食料品を押収したところ、その一部が既に腐敗し始めていた場合、 写真撮影等により証拠保全をした後、 これを 廃棄することができる。

  • 63

    危険を生ずるおそれがある押収物は廃棄することができるが、 廃棄処分は厳格に運用しなければならず、 仮還付や保管委託に より廃棄処分を避けることができるのに、 そのような措置を講 ずることなく押収物を廃棄した場合は、違法な処分となる。

  • 64

    没収することのできる押収物で滅失若しくは破損するおそれ のあるもの又は保管に不便なものは、換価処分をすることがで きるが、司法巡査にはこの権限が認められていない。

  • 65

    捜査機関が没収できる押収物のうち、滅失や破損のおそれが あるものは廃棄処分をすることができるが、換価処分をするこ とはできない。

  • 66

    換価処分の対象である 「没収することができる押収物」には、 必要的没収だけでなく、任意的没収の対象となる押収物も含まれるが、財産罪によって犯人が取得した被害者所有の財物については、証拠物ではあるが没収し得ないため、これに含まれない。

  • 67

    換価処分をすることができる押収物は、没収することができる押収物で、滅失又は破損のおそれがあるものや保管に不便な ものでなければならず、それが没収の対象であると同時に証拠物でもある場合には、換価処分をすることはできない。

  • 68

    没収することができる押収物で、 保管に不便なものは、換価処分できるところ、この「保管に不便」 には、たまたま押収物 が多いために保管に不便を来すような場合は含まれない。

  • 69

    没収することができる押収物で、破損のおそれのあるものは 換価処分をすることができるところ、 ここにいう「破損」とは、 その物自体の特性からみて、 その効用を失うことであり、 食品が腐敗により食用に供せなくなる場合もこれに含まれる。

  • 70

    押収した証拠物が換価処分できるものであっても、廃棄処分 をすることができる。

  • 71

    法律によって譲渡しや譲受けが禁止されている物であっても 滅失・破損のおそれがあるもの又は保管に不便なものであれば 換価処分の対象となり、 捜査機関による売却行為は、正当行為 として違法性が阻却される。

  • 72

    捜査機関は、証拠物又は没収すべき物と思料される押収物で あっても、 「留置の必要がないもの」 については、請求の有無 にかかわらず、 被押収者等に対して還付しなければならず、 漫然と押収を継続すれば、 国賠法の適用を受けることとなる。

  • 73

    窃盗被疑事件の証拠物として押収した被害者の名前入り茶封筒は、写真撮影等で証拠保全したうえ、 検察官に送致する前に これを還付することができる。

  • 74

    適法な逮捕行為に基づいて、逮捕の現場で差し押さえた押収物は、被疑者を送致前に釈放したときであっても、留置の必要 がある場合には還付しなくてもよい。

  • 75

    被疑者を緊急逮捕したが、 逮捕状の発付が得られなかった場合、逮捕状の請求が却下された理由のいかんを問わず、 逮捕の 現場で差し押さえた証拠物を全て還付しなければならない。

  • 76

    押収物で留置の必要がないものは、事件の終結を待つことなく還付しなければならないところ、ここにいう「事件の終結」 とは、被疑事件の捜査が終結し、不起訴処分がなされたことを 意味し、これには、起訴猶予処分のほか、処分保留も含まれる。

  • 77

    不起訴処分に付された事件の押収物が、別事件に係る証拠物 であると認められる場合、当該押収物を還付する必要はない。

  • 78

    捜査機関が行う押収物の還付については、司法警察員等が押収物還付の決定をしてこれを受還付者に通知したときにその効力が生じ、 同時に押収の効力が消滅する。

  • 79

    押収物の還付は、 その物が贓物である場合を除き、 被押収者 に還付すれば足り、当該押収物について利害を有する各当事者間の民事上の権利・義務の有無を考慮する必要はない。

  • 80

    留置を継続する必要がない押収物は、 被押収者に還付することが原則であるが、 当該押収物が贓物で、 被害者に還付すべき 理由が明らかなときは、 被害者に還付しなければならない。

  • 81

    留置を継続する必要のない押収物は、原則として被押収者に 還付すべきであるから、 押収された贓物の引渡しを被害者が請求した場合で、 その引渡しの権利について、 事実上又は法律上、 多少なりとも疑義があるときには、被押収者に還付することに なる。

  • 82

    被疑者の遺留品として公道上で領置した物について、 捜査の 結果、 証拠物でも没収対象物でもなく、 犯罪に全く無関係であることが判明したうえ、 所有者が不明である場合には、 遺失物法上の拾得物に切り替えることとなる。

  • 83

    押収した贓物で留置の必要がないものについて、当該押収物が窃盗犯人から即時取得された場合には、 盗難・遺失の時から 2年以内であれば、被害者は、即時取得者に対する無償回復請求権を有しているので、 被害者に還付しなければならない。

  • 84

    1年前の窃盗事件の被害品が善意・無過失のX質店に入質され、これをAが盗品であることにつき善意・無過失で購入した。 そこで、捜査機関がAから当該被害品の任意提出を受けて領置したところ、 被害者Bは 「Aに代金を払うから私に還付してくれ。」 と申し立て、購入者Aは 「貴重な時計なので私に還付してくれ。」 と申し立てた。 この場合、 捜査機関は、無条件で購入者Aに対し被害品の還付をしなければならない。

  • 85

    X 古物商が、 同種の物を取り扱う商店から、6か月前の強盗事件の被害品を善意・無過失で購入していたため、 捜査機関は、 X古物商から当該被害品の任意提出を受けて領置した。 被害品 の還付の際、 X 古物商は被害者Aに代金を支払うよう申し立て たが、 被害者Aはその申立てを拒否した。 この場合、 被害品の 還付の相手方となるのは、 被害者Aである。

  • 86

    盗品であるマウンテンバイクを押収して捜査したところ、被押収者が6か月前にインターネットオークションで買ったもので、被害から2年以内であることが判明した。 この場合、 被害 者が代価を払う意思を有しないときであっても、当該マウンテ ンバイクは、被押収者ではなく被害者に還付すべきである。

  • 87

    質店に質入れされた窃盗の被害品を善意・無過失の第三者が 取得した場合、 被害者は、盗難の時から2年以内であれば有償回復請求権を行使することができるが、2年経過後はその権利 を失うこととなり、 押収した被害品の還付先は、即時取得した 第三者となる。

  • 88

    詐欺犯人から押収した被害品については、 被害者が当該犯人 に対する財物交付の意思表示を取り消さなければ、 被害者に還付することはできない。

  • 89

    善意・無過失の第三者が占有する、 詐欺に係る被害品を当該 第三者から押収した場合、 被害者が詐欺による意思表示を取り 消せば、これを被害者に還付することができる。

  • 90

    恐喝犯人から押収した被害品について、 留置の必要がなくなった場合、 被害者が犯人に対して示した瑕疵ある意思表示を取り消せば、 当該被害品を被害者に還付することができる。

  • 91

    他人から貴金属を預かっていた者が、これを無断で質店に入質し、同店がその質権を即時取得した場合において、当該被害品を質店から押収したときの還付先は、 貴金属を預けた被害者である。

  • 92

    一定の有価証券については、手形法や小切手法等に即時取得 の特別規定があるので、たとえ当該証券が強盗罪等の被害品で あったとしても、取得者が悪意又は重大な過失なく取得した以上、直ちに当該取得者が権利者となり、被害者は無償回復請求権を有しないから、被害者は還付先とはならない。

  • 93

    窃盗犯人が盗んだビール券を金券ショップに持ち込み換金した場合、そのビール券について、 盗品とは知らなかった金券ショップ店長から任意提出を受けたときは、その還付先は店長である。

  • 94

    押収物が贓物である場合において、 被害者に還付すべき理由 が明らかであるときは、 被害者にこれを還付すべきであるから、 盗難に係る現金を第三者が善意で取得したような場合、当該現金は被害者に還付することになる。

  • 95

    盗んだ被害金を両替した金銭を、被疑者から押収した場合、 両替前の金銭と両替後の金銭は同一性を有しないため、これを 被害者に還付することはできない。

  • 96

    押収品のうち、窃取した財物を売却して得た金銭や、窃取した現金で購入した物品については、 盗品と同一性がないことから、被害者に還付することはできない。

  • 97

    盗難被害に係る押収物が盗難保険付きの動産であり、 被害後、 被害者が既に保険会社から保険金を受領していた場合、 特約を結んでいない限り、 被害者は当該被害品の所有権を失うことから、この場合には、 当該保険会社に還付することができる。

  • 98

    複数の被害者に係る窃盗の被害金を押収したが、 それが被害金の一部にすぎず、かつ、混和してどの被害者のものか区別できないときは、被害者全員の承諾の下で、 被害金額に応じて比例配分し、 被害者に還付することができる。

  • 99

    押収物の還付を受けるべき者について当事者間で協議が成立し、これに基づいて還付する場合、 特別な事情がない限り、 捜査機関は、当該協議について、 その成立に至った経緯や内容の当否を検討する必要はない。

  • 100

    還付を行う権限を有するのは司法警察員であるが、 仮還付は司法巡査も行うことができる。

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    問題一覧

  • 1

    警察官は、勾引状 勾留状を執行する場合、 その現場におい て、令状によらない捜索差押えを行うことができる。

  • 2

    令状によらない捜索差押えは、 「必要があるとき」 に限り 許されるが、これは、捜査機関の単なる主観的判断によるもの ではなく、客観的に必要性が認められることを要する。

  • 3

    被疑者を逮捕する場合、 必要があれば逮捕の現場で令状なくして捜索・差押えをすることができるところ、ここにいう「逮捕する場合」 とは、「逮捕行為を行う際」という意味であり、 逮捕行為との間に時間的場所的接着性があることを要するが、 逮捕行為の前後は問わない。

  • 4

    警察官が、現場にいる者を被疑者と認めて逮捕行為に着手した場合、 逮捕に成功したかどうかを問わず、 逮捕の現場における令状によらない捜索・差押えを行うことができる。

  • 5

    令状によらない捜索差押えをすることができる 「逮捕の現場」 には、逮捕に着手した場所、 追跡中の場所及び逮捕した場 所のほか、これらの場所と直接接続する範囲の空間が含まれる。

  • 6

    令状によらない捜索差押えの要件の1つである「逮捕の現場」 の範囲には、 逮捕行為に際して被疑者の現実の支配下にあった場所及び被疑者の影響が顕著に及んだ場所も含まれる。

  • 7

    被疑者に対して、 自宅玄関内において逮捕状を示し、逮捕に 着手したが、 玄関口から逃走され約500メートル追跡したと ころで見失った場合、 被疑者の自宅内において捜索・差押えを することができる。

  • 8

    令状によらない捜索差押えにおける逮捕の現場とは、逮捕 した場所との場所的同一性を意味するところ、 帰宅途中の被疑 者を自宅近くの路上で逮捕した場合、 どんなに自宅の近くで逮 捕したとしても、 自宅を逮捕の現場と解することはできない。

  • 9

    被疑者が居住する一軒家の敷地内で逮捕行為を行った場合は、 被疑者の管理権が及んでいる限り、 その一軒家全体を令状なく して捜索することができる。

  • 10

    ホテルに宿泊中の被疑者をその客室で逮捕した場合、 同ホテルの廊下等の共用部分については、被疑者の顕著な影響力が及 んでいたとしても、 捜索・差押えの対象とはなり得ない。

  • 11

    逃走中の犯人を逮捕するため追跡している際に、 犯人が他人の敷地内に凶器を投げ込んだ場合、 当該敷地は逮捕の現場に当 たるから、家人の立会いの下で、令状なくして敷地内を捜索す ることができる。

  • 12

    逮捕の現場における身体又は所持品の検索・差押えについて、 これをその場で継続することが被疑者の名誉を害し、その抵抗 による混乱を生じ、 現場付近の交通を妨げる等の事情がある場合には、最寄りの交番等まで被疑者を連行した後、 令状によらない捜索・差押えを実施することができる。

  • 13

    無免許運転の疑いがある車を停止させ、 同所に車を駐車させ たまま運転者を数百メートル離れた交番に同行して取り調べた 結果、 その車を盗んだことが判明したので緊急逮捕した場合、 任意同行を求めた場所を逮捕の現場として同車を差し押さえる ことはできない。

  • 14

    逮捕の現場で令状によらない捜索・差押えを行う場合におい て、差し押さえることができる物は、証拠物又は没収すべき物 と思料されるものに限られる。

  • 15

    令状によらずに差押えをすることができる物は、逮捕に係る 被疑事実を直接立証できる物に限られ、 犯行の動機、 目的、 背景事情等に関する物を差し押さえることはできない。

  • 16

    逮捕の現場における捜索・差押えは、 被逮捕者の身体・所持品に限らず、 その場に居合わせた第三者の身体・所持品についても行うことができるが、この場合、 押収すべき物の存在を認 めるに足りる状況がなければならない。

  • 17

    傷害の被疑者を緊急逮捕して、逮捕の現場で被疑者の身体を 捜索したところ、 別事件である窃盗事実の証拠物を発見した場 合、 これを逮捕に伴うものとして無令状で差し押さえることは できない。

  • 18

    詐欺未遂の現行犯人として逮捕した者が、 人定事項を含め質問に全く答えない場合、 逮捕の現場において、本件の証拠物と 思料されるメモ類や携帯電話機のほか、所持していた自動車運 転免許証を差し押さえることができる。

  • 19

    逃走する被疑者を追跡して第三者の住居内において逮捕した 場合で、 当該住居について捜索・差押えを行う際には、急速を 要するときであっても、 住居主等の立会いを得る必要がある。

  • 20

    傷害事件の被疑者を追跡中、 当該被疑者が犯行に用いた凶器 を塀越しに他人の住居の敷地内に投げ込んだので、その逮捕直 後に同敷地内を捜索し、凶器を差し押さえる場合、 急を要する ときは、家人等の立会いなくしてこれを行うことができる。

  • 21

    私人宅の敷地内に逃げ込んだ被疑者を追跡して現行犯逮捕し、 その逮捕現場において被疑者の身体に対する捜索をする場合、 同宅の家人を立ち会わせる必要はない。

  • 22

    現行犯逮捕の現場である公道上で無令状の捜索差・押えを行う場合において、 深夜のため、 通行人等が確保できず、また、 ほかに警察官がいないときは、 立会人を置くことなくその場で 捜索・差押えを実施することができる。

  • 23

    公務所内で被疑者を逮捕し、 その現場で被疑者の着衣・所持品に限って令状によらずに捜索する場合には、 公務所の長等を立会人として置く必要はない。

  • 24

    逮捕の現場である被疑者宅で令状によらない捜索・差押えを 実施するに当たって、必要があると認められる場合には、逮捕 した被疑者を短時間、 当該執行に立ち会わせることができる。

  • 25

    被疑者が身柄を拘束されている場合、 令状による捜索・差押 えであると令状によらない捜索・差押えであるとを問わず、 そ の執行について必要があるときは、被疑者がたとえ拒否していても、強制的に立ち会わせることができる。

  • 26

    勾留状の執行に際し、 捜索・差押えを実施する場合、急速を 要するときは立会人を必要としない。

  • 27

    令状によらない捜索差押えに着手した後、 これを中止する 合理的な理由のある場合には、その処分を中止し、 後刻再開す ることができる。

  • 28

    差押え対象物は有体物に限られ、 債権や情報それ自体は対象 とならないことから、コンピュータに記録された電磁的記録に ついては、 検証等によってその内容を明らかにするか、又はコンピュータ本体若しくは電磁的記録を複写等した他の記録媒体 を差し押さえることとなる。

  • 29

    捜査機関は、 差押対象物が電磁的記録に係る記録媒体である ときは、当該電磁的記録を他の記録媒体に複写して差し押さえ ることができるが、この処分は、逮捕の現場において令状によ らずに行うこともできる。

  • 30

    捜査機関は、 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒 体である場合、差押えに代えて、 被処分者に当該記録媒体に記録されている電磁的記録を他の記録媒体に複写・印刷・移転さ せたうえ、当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

  • 31

    差押対象物が電子計算機であるときは、当該電子計算機にネットワークで接続しているサーバ等の記録媒体に保管されている 電磁的記録を、 当該電子計算機等に複写したうえで差し押さえる ことができるが、この場合には、 その電磁的記録を複写すべき記 録媒体の範囲を記載した令状が必要である。

  • 32

    被疑者を逮捕する場合において必要があるときは、 令状によることなく、差押対象物である電子計算機に電気通信回線で接 続している記録媒体であって、当該電子計算機で作成・変更を した電磁的記録又は当該電子計算機で変更・消去をすることが できるとされている電磁的記録を保管するために使用されてい ると認めるに足りる状況にあるものから、 その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写したうえ、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

  • 33

    記録命令付差押えとは、 電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて、必要な電磁的記録 を記録媒体に記録又は印刷させたうえ、当該記録媒体を差し押 さえることをいう。

  • 34

    被疑者を逮捕した場合において必要があるときは、 令状によ らずに、電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する 権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録さ せ、又は印刷させたうえ、当該記録媒体を差し押さえる 「記録命令付差押え」 をすることができる。

  • 35

    記録命令付差押えに際し、 電磁的記録を記録媒体に記録又は印刷することを命ぜられた者は、これに従う法的義務を負うと ころ、 当該義務に反した者に対する罰則は設けられていない。

  • 36

    記録命令付差押許可状の請求に際し、 同許可状の請求書には、 記録させ又は印刷させるべき電磁的記録等の記載は要するが、差し押さえるべき物の記載は要しない。

  • 37

    日出前、日没後に人の住居に入って記録命令付差押許可状を 執行する場合、当該令状に夜間でも執行することができる旨の 記載がなければならない。

  • 38

    検証とは、物、 場所、人の存在、性質及び状態等を五官の作用によって認識するものであるところ、 携帯電話機等の位置探索は、その位置情報を五官の作用で認識するものではないから、 その実施には、 検証許可状ではなく差押許可状を要する。

  • 39

    宅配業者が保管する荷物に対して、 捜査機関が荷受人の承諾 なしにエックス線検査を行う場合、 これを任意捜査として行うことはできず、 検証許可状が必要である。

  • 40

    令状による検証に一旦取りかかれば、執行が長時間に及ぶな どの事情により、これを中止したとしても、再開するに当たっ て新たな令状の発付を得る必要はない。

  • 41

    人に対する検証を、その者の自宅において行う場合、 日没前 に着手したときは、夜間に及ぶときであっても、あらかじめ夜間執行の許可を受けておく必要はない。

  • 42

    人の状態・技能・動作等を検証するに当たっては、 相手方に 一定の作為を求めることができるが、 相手方がこれを拒否した 場合、強制的に行わせることはできない。

  • 43

    令状により事件現場を検証中、本件に関わる証拠品を発見し たため、立会人に任意提出を求めたが拒否された場合、 検証に 伴う必要な処分として、 当該証拠品を持ち帰ることができる。

  • 44

    犯行現場が撮影された被疑者のスマートフォンを差し押さえ たところ、同機は故障しており、保存された画像を確認するた めには修理が必要であるうえデータ消失のおそれもある場合、 被疑者の同意が得られないときには、 検証許可状の発付を得て、 検証に伴う必要な処分として修理・画像確認をすべきである。

  • 45

    強制性交の犯行現場である被疑者宅内の検証に際し、 被害者 が被疑者の同居人等でなくとも、 必要な処分として、強制性交 に使用されたベッド等を被害者に指示説明させるため、同人 を立ち入らせることができる。

  • 46

    司法警察職員が被疑者を逮捕する場合に必要があるときは、 逮捕の現場で令状によらない検証をすることができ、 また、 検察官の指揮で被告人に対する勾引状又は勾留状を執行する場合 にも、執行の現場で令状によらない検証をすることができる。

  • 47

    「押収物」 には、 捜査機関が強制手続によって差し押さえた物、 及び任意手続によって遺留物又は任意提出物として領置した物 が含まれる。

  • 48

    差押え及び領置は、占有の取得に強制力を加えるか否かとい う点が異なるだけで、 手続後に生ずる効力は同じであるから、 両手続により一旦占有を取得した後は、 必要がある限り、所有 者等の意思に反してでも留置を継続することができる。

  • 49

    強制わいせつ事件で、重要な証拠となるビデオテープを押収 した場合において、必要と認められるときは、被疑者の意思に 反してそのテープの 「誤消去防止用のツメ」 を折り、 当該テー プを保管することができる。

  • 50

    証拠品の保管については、 「善良な管理者の注意義務」 が求 められるので、証拠価値の保全だけでなく、 財産的価値の保全 にも努めなければならない。

  • 51

    殺人の凶器に使用された名刀を押収した場合、 血痕の付着状 況を写真撮影し、 血痕の血液型等を鑑定するなど、 その証拠価 値を保全したうえ、刀身の血痕を拭き取って手入れをしてから 保管するのが妥当である。

  • 52

    押収した証拠物を自署保管として検察官に送致した場合、 送 致後における当該証拠物の還付、 廃棄等の処分の決定は、当該 証拠物を保管する警察署長が行う。

  • 53

    捜査機関は、 長大物件等の運搬又は保管に不便な押収物につ いては、看守者を置き、又は所有者その他の者にその物の保管 を委託することができるが、保管委託した場合、その時点で、 善良な管理者としての注意をもって当該押収物を保管すべき義務は、委託者である捜査機関から受託者に移る。

  • 54

    押収物の保管委託を行った場合でも、委託者の押収物に対す る責任が免除されることはなく、 押収物の破損、滅失があったときには、国又は地方公共団体に賠償責任が生じ得る。

  • 55

    被疑者の自供に基づき、 質店に質入れされていた被害品のカメラを押収したところ、 被害者が不明であった場合、 当該カメラを同質店に保管委託することができる。

  • 56

    保管を委託することができる「運搬又は保管に不便な押収物」とは、 押収物の性質上、 運搬・保管に不便なものということではなく、保管設備等の関係から、運搬・保管に不便なもの を意味する。

  • 57

    押収物が捜査機関で保管することが困難なものである場合、 看守者を置き、又はその保管を依頼することができるが、この 看守者は捜査機関の命令に服する義務のある者でなければならないので、私人を看守者とすることはできない。

  • 58

    「危険を生ずる虞がある押収物」 については、事件終結前に 廃棄処分することができるが、 司法巡査がこの処分を行うこと はできない。

  • 59

    危険を生ずるおそれがある押収物は、 廃棄処分することができるが、 当該押収物は、「没収することができる押収物」であることを要しない。

  • 60

    押収物のうち、 その性質上、 危険を生ずるおそれがあるものは、 廃棄処分することができるところ、 廃棄処分の対象は、物理的に危険が生ずる蓋然性が極めて高いものに限られるので、 単にさびるおそれのある拳銃や日本刀などを廃棄処分すること はできない。

  • 61

    押収物のうち、 果物・野菜・魚肉類等の腐敗しやすい食品や、 火薬類等危険を生ずる物については、保管に不便なものに該当 し、捜査機関は、これを廃棄処分することができる。

  • 62

    犯人蔵匿被疑事件の証拠物として、 被蔵匿者の食事として用意されていた食料品を押収したところ、その一部が既に腐敗し始めていた場合、 写真撮影等により証拠保全をした後、 これを 廃棄することができる。

  • 63

    危険を生ずるおそれがある押収物は廃棄することができるが、 廃棄処分は厳格に運用しなければならず、 仮還付や保管委託に より廃棄処分を避けることができるのに、 そのような措置を講 ずることなく押収物を廃棄した場合は、違法な処分となる。

  • 64

    没収することのできる押収物で滅失若しくは破損するおそれ のあるもの又は保管に不便なものは、換価処分をすることがで きるが、司法巡査にはこの権限が認められていない。

  • 65

    捜査機関が没収できる押収物のうち、滅失や破損のおそれが あるものは廃棄処分をすることができるが、換価処分をするこ とはできない。

  • 66

    換価処分の対象である 「没収することができる押収物」には、 必要的没収だけでなく、任意的没収の対象となる押収物も含まれるが、財産罪によって犯人が取得した被害者所有の財物については、証拠物ではあるが没収し得ないため、これに含まれない。

  • 67

    換価処分をすることができる押収物は、没収することができる押収物で、滅失又は破損のおそれがあるものや保管に不便な ものでなければならず、それが没収の対象であると同時に証拠物でもある場合には、換価処分をすることはできない。

  • 68

    没収することができる押収物で、 保管に不便なものは、換価処分できるところ、この「保管に不便」 には、たまたま押収物 が多いために保管に不便を来すような場合は含まれない。

  • 69

    没収することができる押収物で、破損のおそれのあるものは 換価処分をすることができるところ、 ここにいう「破損」とは、 その物自体の特性からみて、 その効用を失うことであり、 食品が腐敗により食用に供せなくなる場合もこれに含まれる。

  • 70

    押収した証拠物が換価処分できるものであっても、廃棄処分 をすることができる。

  • 71

    法律によって譲渡しや譲受けが禁止されている物であっても 滅失・破損のおそれがあるもの又は保管に不便なものであれば 換価処分の対象となり、 捜査機関による売却行為は、正当行為 として違法性が阻却される。

  • 72

    捜査機関は、証拠物又は没収すべき物と思料される押収物で あっても、 「留置の必要がないもの」 については、請求の有無 にかかわらず、 被押収者等に対して還付しなければならず、 漫然と押収を継続すれば、 国賠法の適用を受けることとなる。

  • 73

    窃盗被疑事件の証拠物として押収した被害者の名前入り茶封筒は、写真撮影等で証拠保全したうえ、 検察官に送致する前に これを還付することができる。

  • 74

    適法な逮捕行為に基づいて、逮捕の現場で差し押さえた押収物は、被疑者を送致前に釈放したときであっても、留置の必要 がある場合には還付しなくてもよい。

  • 75

    被疑者を緊急逮捕したが、 逮捕状の発付が得られなかった場合、逮捕状の請求が却下された理由のいかんを問わず、 逮捕の 現場で差し押さえた証拠物を全て還付しなければならない。

  • 76

    押収物で留置の必要がないものは、事件の終結を待つことなく還付しなければならないところ、ここにいう「事件の終結」 とは、被疑事件の捜査が終結し、不起訴処分がなされたことを 意味し、これには、起訴猶予処分のほか、処分保留も含まれる。

  • 77

    不起訴処分に付された事件の押収物が、別事件に係る証拠物 であると認められる場合、当該押収物を還付する必要はない。

  • 78

    捜査機関が行う押収物の還付については、司法警察員等が押収物還付の決定をしてこれを受還付者に通知したときにその効力が生じ、 同時に押収の効力が消滅する。

  • 79

    押収物の還付は、 その物が贓物である場合を除き、 被押収者 に還付すれば足り、当該押収物について利害を有する各当事者間の民事上の権利・義務の有無を考慮する必要はない。

  • 80

    留置を継続する必要がない押収物は、 被押収者に還付することが原則であるが、 当該押収物が贓物で、 被害者に還付すべき 理由が明らかなときは、 被害者に還付しなければならない。

  • 81

    留置を継続する必要のない押収物は、原則として被押収者に 還付すべきであるから、 押収された贓物の引渡しを被害者が請求した場合で、 その引渡しの権利について、 事実上又は法律上、 多少なりとも疑義があるときには、被押収者に還付することに なる。

  • 82

    被疑者の遺留品として公道上で領置した物について、 捜査の 結果、 証拠物でも没収対象物でもなく、 犯罪に全く無関係であることが判明したうえ、 所有者が不明である場合には、 遺失物法上の拾得物に切り替えることとなる。

  • 83

    押収した贓物で留置の必要がないものについて、当該押収物が窃盗犯人から即時取得された場合には、 盗難・遺失の時から 2年以内であれば、被害者は、即時取得者に対する無償回復請求権を有しているので、 被害者に還付しなければならない。

  • 84

    1年前の窃盗事件の被害品が善意・無過失のX質店に入質され、これをAが盗品であることにつき善意・無過失で購入した。 そこで、捜査機関がAから当該被害品の任意提出を受けて領置したところ、 被害者Bは 「Aに代金を払うから私に還付してくれ。」 と申し立て、購入者Aは 「貴重な時計なので私に還付してくれ。」 と申し立てた。 この場合、 捜査機関は、無条件で購入者Aに対し被害品の還付をしなければならない。

  • 85

    X 古物商が、 同種の物を取り扱う商店から、6か月前の強盗事件の被害品を善意・無過失で購入していたため、 捜査機関は、 X古物商から当該被害品の任意提出を受けて領置した。 被害品 の還付の際、 X 古物商は被害者Aに代金を支払うよう申し立て たが、 被害者Aはその申立てを拒否した。 この場合、 被害品の 還付の相手方となるのは、 被害者Aである。

  • 86

    盗品であるマウンテンバイクを押収して捜査したところ、被押収者が6か月前にインターネットオークションで買ったもので、被害から2年以内であることが判明した。 この場合、 被害 者が代価を払う意思を有しないときであっても、当該マウンテ ンバイクは、被押収者ではなく被害者に還付すべきである。

  • 87

    質店に質入れされた窃盗の被害品を善意・無過失の第三者が 取得した場合、 被害者は、盗難の時から2年以内であれば有償回復請求権を行使することができるが、2年経過後はその権利 を失うこととなり、 押収した被害品の還付先は、即時取得した 第三者となる。

  • 88

    詐欺犯人から押収した被害品については、 被害者が当該犯人 に対する財物交付の意思表示を取り消さなければ、 被害者に還付することはできない。

  • 89

    善意・無過失の第三者が占有する、 詐欺に係る被害品を当該 第三者から押収した場合、 被害者が詐欺による意思表示を取り 消せば、これを被害者に還付することができる。

  • 90

    恐喝犯人から押収した被害品について、 留置の必要がなくなった場合、 被害者が犯人に対して示した瑕疵ある意思表示を取り消せば、 当該被害品を被害者に還付することができる。

  • 91

    他人から貴金属を預かっていた者が、これを無断で質店に入質し、同店がその質権を即時取得した場合において、当該被害品を質店から押収したときの還付先は、 貴金属を預けた被害者である。

  • 92

    一定の有価証券については、手形法や小切手法等に即時取得 の特別規定があるので、たとえ当該証券が強盗罪等の被害品で あったとしても、取得者が悪意又は重大な過失なく取得した以上、直ちに当該取得者が権利者となり、被害者は無償回復請求権を有しないから、被害者は還付先とはならない。

  • 93

    窃盗犯人が盗んだビール券を金券ショップに持ち込み換金した場合、そのビール券について、 盗品とは知らなかった金券ショップ店長から任意提出を受けたときは、その還付先は店長である。

  • 94

    押収物が贓物である場合において、 被害者に還付すべき理由 が明らかであるときは、 被害者にこれを還付すべきであるから、 盗難に係る現金を第三者が善意で取得したような場合、当該現金は被害者に還付することになる。

  • 95

    盗んだ被害金を両替した金銭を、被疑者から押収した場合、 両替前の金銭と両替後の金銭は同一性を有しないため、これを 被害者に還付することはできない。

  • 96

    押収品のうち、窃取した財物を売却して得た金銭や、窃取した現金で購入した物品については、 盗品と同一性がないことから、被害者に還付することはできない。

  • 97

    盗難被害に係る押収物が盗難保険付きの動産であり、 被害後、 被害者が既に保険会社から保険金を受領していた場合、 特約を結んでいない限り、 被害者は当該被害品の所有権を失うことから、この場合には、 当該保険会社に還付することができる。

  • 98

    複数の被害者に係る窃盗の被害金を押収したが、 それが被害金の一部にすぎず、かつ、混和してどの被害者のものか区別できないときは、被害者全員の承諾の下で、 被害金額に応じて比例配分し、 被害者に還付することができる。

  • 99

    押収物の還付を受けるべき者について当事者間で協議が成立し、これに基づいて還付する場合、 特別な事情がない限り、 捜査機関は、当該協議について、 その成立に至った経緯や内容の当否を検討する必要はない。

  • 100

    還付を行う権限を有するのは司法警察員であるが、 仮還付は司法巡査も行うことができる。