1．冷凍の原理に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、蒸発器内の低温の冷媒は、その顕熱によって周囲の物質から熱を取り入れるので、冷媒の温度は、取り入れた熱量に比例して上昇する。 ロ、冷媒蒸気を圧縮機で断熱圧縮すると、冷媒の圧力は上昇するが、温度は変わらない。 ハ、冷媒が、凝縮器で冷却水や外気に放出する熱量は、蒸発器で周囲から取り入れた熱量よりも大きい。 ニ、冷媒の比エンタルピーとは、冷媒 1kgが保有するエネルギーであって、その単位はkWである。

2．冷凍サイクルおよび熱の移動に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、冷凍装置の成績係数は、装置固有の性能を表すもので、運転条件が変化しても、その値は変わらない。 ロ、冷媒液が膨張弁を通過するとき、弁の絞りによる流れの抵抗によって圧力は低下するが、周囲との間で熱や仕事の授受がないので、冷媒は、比エンタルピー一定の状態変化をする。 ハ、鉄鋼と銅の熱伝導率は、ほぼ同じ値である。 ニ、流動している流体と壁面との間の熱伝達率は、流体の種類と温度によって決まり、流体の流れの状態には関係しない。

3．冷凍能力,成績係数などに関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、往復圧縮機のピストン押しのけ量は、ピストン行程、ピストン面積、気筒数および回転速度によって決まる。 ロ、往復圧縮機の体積効率の値は、圧力比や圧縮機の構造などにより異なり、圧力比とシリンダのすきま容積比が大きくなるほど体積効率は大きくなる。 ハ、冷凍装置の冷凍能力は、冷媒循環量と蒸発器の出入り口間の冷媒の比エンタルピー差により決まる。 二、冷凍装置の成績係数は、凝縮温度や蒸発温度などが変化しでも変わらない。

4．冷媒、冷凍機油およびプラインに関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、ほとんどの冷媒の標準沸点は、水の標準沸点より高い。 口、銅や銅合金製の部品は、フルオロカーボン冷凍装置に使用できるが、 腐食の問題かからアンモニア冷凍装置でアンモニアが直接接触する部分には使用できない。 ハ、R410A 冷凍装置の冷凍機油として、冷媒との相溶性の観点からエステル油などの合成油が使われている。 ニ、一般に、凍結温度が0℃以下の液体で、その顕熱を利用して周囲の物を冷却することができる媒体をブラインという。

5．圧縮機に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、圧縮機と電動機が一体でケーシング内に収められ、ボルトで完全に密封されている圧縮機を全密閉圧縮機と呼んでいる。 ロ、多気筒往復圧縮機では、一般に吸込み弁を開放して、作動気筒数を減少させることにより、容量制御を行っている。 ハ、往復圧縮機の円滑な潤滑を行うには、潤滑油の油圧を適切に確保する必要がありこの油圧と油量はともに油圧計によって確認することができる。 ニ、圧縮機が頻繁な始動や停止を繰り返すと、 電動機巻線が異常に温度上昇して焼損するおそれがある。

6．凝縮器および冷却塔に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、蒸発式凝縮器では、外気の湿球温度が高くなるほど、凝縮温度は低くなる。 ロ、空冷凝縮器の前面風速は、一般に6~8m/sにする。 ハ、凝縮器に多量の不凝縮ガスが侵入すると、凝縮圧力が上昇し、圧縮機駆動の軸動力が大きくなる。 ニ、開放形冷却塔では、冷却水の一部が蒸発し、その蒸発潜熱で冷却水自身を冷却する。

7．蒸発器(冷却器) に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、乾式蒸発器とは,蒸発器の空気側表面が乾いた状態で、空気を冷却する蒸発器のことである。 ロ、プレートフィンチューブ形の蒸発器のフィンピッチは、一般に空調用よりも冷凍・冷蔵用のほうが大きい。 ハ、シェルアンドチューブ形の満液式水冷却器では、冷媒は冷却管の内側を流れる。 ニ、ホットガス除霜方式とは、圧縮機から吐き出される高温の冷媒ガスを蒸発器に送り込み、その顕熱と凝縮の潜熱とによって霜を融解させる除霜法である。

8．自動制御機器に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、蒸発器の容量に対して、温度自動膨張弁の弁容量が過大なものを選定すると、冷媒流量と過熱度が周期的に変動するハンチング現象を生じやすくなる。 ロ、蒸発圧力調整弁は、蒸発器内の冷媒の蒸発圧力が所定の蒸発圧力よりも上昇することを防止する目的で用いられる。 ハ、油圧保護圧力スイッチは、圧縮機の始動時や運転中の給油圧力を検知し、定められた圧力以下になると、圧縮機を瞬時に停止させる。 ニ、弁口径の大きいパイロット式電磁弁では、プランジャが直動式と同様に作動して、主弁はその前後の圧力差によって開く。

9．附属機器に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、高圧受液器は,横形または立形円筒状の圧力容器であり、液出口管端は冷媒蒸気が冷媒液とともに流れ出ないよう受液器の下部位置に配置する。 ロ、圧縮機に吸い込む冷凍機油量が多いと、液圧縮を起こす。 この障害を防ぐために、圧縮機吸込み管に油分離器を設け、冷凍機油を分離する。 ハ、フルオロカーボン冷凍装置における液ガス熱交換器は、冷媒液を過冷却させるのが目的であって、圧縮機吸込み蒸気を適度に過熱させるために用いることはない。 ニ、サイトグラスは、冷媒液の流れの状態を見るものであり、冷媒をチャージするときの適正量を判断することができる。 変色指示板つきのものでは、冷媒中の水分が安全な許容量内にあるかどうかも判断できる。

10．冷媒配管に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、低圧配管には、低温ぜい性の生じない材料を使用する。 ただし、配管用炭素鋼鋼管(SGP) は-50°C, 圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG) は-25℃までは使用できる。 ロ、パックレスバルブは、弁棒部をベローズやダイアフラムで密封し、 弁棒部からの冷媒漏れを防ぐ構造としている。 ハ、吐出しガス配管は、過大な圧力降下および騒音を生じない程度にガス速度を抑える。一般に、吐出しガス流速は最大10m/s以下とし、摩擦損失による圧力降下は、2MPaを超えないことが望ましい。 ニ、吸込み蒸気横走り管中にUトラップがあると、軽負荷運転時や停止時に油や冷媒液がたまり、圧縮機再始動時に液圧縮を起こしやすい。 このため、圧縮機近くに、Uトラップを設けることは好ましくない。

11．安全装置および保安に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、冷凍保安規則関係例示基準では、内容積300リットル以上の圧力容器に安全弁の取付けが義務づけられており、溶栓に変えることはできない。 ロ、安全弁に設けた修理などのための止め弁は、修理などのとき以外は常時開にし、「常時開」の表示をしなければならない。 ハ、液封とは、冷媒の液配管や液ヘッダなどの内部が液のみによって満たされた状態で、その出入り口の両端が止め弁などで封鎖されることをいう。 ニ、可燃性ガスや毒性ガスを冷媒とした冷凍装置には、溶栓を使用してはならないが、破裂板は使用してよい。

12．冷凍装置の材料の強さおよび圧力容器に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、圧力容器の板厚は、材料の種類ごとに日本工業規格(JIS) に規定されている引張強さの最小値を許容引張応力として、材料に生じる応力が、この許容引張応力以下になるように設計する。 ロ、内圧を受ける円筒胴の胴板に生ずる応力は、長手方向の応力が最大であり、この応力が材料の許容応力を超えないようにする。 ハ、必要板厚の計算において、求められた板厚の数値の端数を丸める場合には、切り捨てたり、四捨五入してはならず、必ず切り上げなければならない。 ニ、胴内径が同じ圧力容器の鏡板に必要な板厚は、同じ設計圧力、同じ材質であれば、鏡板の形状がさら形、半だ円形、半球形の順に薄くでき、半球形の場合が最も薄くできる。

13．機器の据付けおよび圧力試験に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、圧縮機や冷媒液ポンプの耐圧試験は、気密試験の後に行わなければならない。 ロ、圧縮機を防振支持すると、圧縮機の振動が大きくなり、圧縮機に接続された配管を損傷したり、配管を通じて他に振動が伝わるので、圧縮機を防振支持してはならない。 ハ、機器に対する気密試験は、設計圧力、または、許容圧力のいずれか低いほうの圧力以上の圧力で行う。 二、真空試験(真空放置試験)は、微量の漏れや装置内の残留水分の有無を見つけることができる。

14．冷凍装置の運転状態に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 イ、長期間運転停止中の冷凍装置を運転開始するときは、冷媒系統の各部の弁が開であるか、閉であるかを確認する。 ただし、安全弁の元弁は常に 「開」の状態になっているので、点検の必要はない。 ロ、運転状態の点検と調整において、 往復圧縮機の冷凍機油については、圧縮機クランアクケースの油面を確認し、必要に応じて冷凍機油を補給する。 ハ、ポンプダウンして低圧側の冷媒を受液器に回収するときには、低圧側の圧力を大気圧より10kPa 程度低い圧力まで下げて、冷媒が漏れないようにする。 二、冷凍装置の使用目的によって、蒸発温度と被冷却物温度との温度差が設定されているので、その温度差と大きく異なった運転状態では、何らかの異常があると考えるべきである。