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憲法・基礎法学
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    問題一覧

  • 1

    H23-1-1. わが国の法律に関して、次の記述は妥当かどうか。 わが国の法律は基本的には属人主義をとっており、法律によって日本国民以外の者に権利を付与することはできない。

  • 2

    H23-1-2. わが国の法律に関して、次の記述は妥当かどうか。 限時法とは、特定の事態に対応するために制定され、それ事態が収束した場合には失効するものをいう。

  • 3

    H23-1-3. わが国の法律に関して、次の記述は妥当かどうか。 法律が発効するためには、公布がされていることと施行期日が到来していることの双方が要件となる。

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  • 4

    H23-1-4. わが国の法律に関して、次の記述は妥当かどうか。 国会は全国一律の規制を行うものであり、地域の特性に鑑み特別の地域に限って規制を行ったり、規制の特例措置をとったりすることは許されない。

  • 5

    H23-1-5. わが国の法律に関して、次の記述は妥当かどうか。 日本国憲法は遡及処罰の禁止を定めており、法律の廃止に当たって廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許されない。

  • 6

    H23-2-1. わが国の裁判制度に関して、次の記述は妥当かどうか。 わが国の裁判制度は、三審制を採用していることから、高等裁判所が第一審裁判所になることはない。

  • 7

    H23-2-2. わが国の裁判制度に関して、次の記述は妥当かどうか。 民事訴訟または刑事訴訟のいずれであっても、第一審裁判所が簡易裁判所である場合には、控訴裁判所は地方裁判所となり、上告裁判所は高等裁判所となる。

  • 8

    H23-2-3. わが国の裁判制度に関して、次の記述は妥当かどうか。 裁判官が合議制により裁判を行う場合には、最高裁判所の裁判を除いて、裁判官の意見が一致しないときであっても、少数意見を付すことはできない。

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  • 9

    H23-2-4. わが国の裁判制度に関して、次の記述は妥当かどうか。 刑事訴訟においては、有罪判決が確定した場合であっても、あらたに証拠が発見されるなど重大な理由があるときには、有罪判決を受けた者の利益のために再審を行うことができるが、民事訴訟においては、再審の制度は認められていない。

  • 10

    H23-2-5. わが国の裁判制度に関して、次の記述は妥当かどうか。 家庭裁判所は、家庭に関する事件の審判および調停ならびに少年保護事件の審判など、民事訴訟や刑事訴訟になじまない事件について権限を有するものとされ、訴訟事件は取り扱わない。

  • 11

    H23-3-1. プライバシーに関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 何人も、その承諾なしにみだりに容貌等を撮影されない自由を有するので、犯罪捜査のための警察官による写真撮影は、犯人以外の第三者の容貌が含まれない限度で許される。

  • 12

    H23-3-2. プライバシーに関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 前科は、個人の名誉や信用に直接関わる事項であるから、事件それ自体を公表することに歴史的または社会的な意義が認められるような場合であっても、事件当事者の実名を明らかにすることは許されない。

  • 13

    H23-3-3. プライバシーに関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 指紋は、性質上万人不同、終生不変とはいえ、指先の紋様にすぎず、それ自体では個人の私生活や人格、思想等個人の内心に関する情報ではないから、プライバシーとして保護されるものではない。

  • 14

    H23-3-4. プライバシーに関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 犯罪を犯した少年に関する犯人情報、履歴情報はプライバシーとして保護されるべき情報であるから、当該少年を特定することが可能な記事を掲載した場合には、特段の事情がない限り、不法行為が成立する。

  • 15

    H23-3-5. プライバシーに関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 いわゆる住基ネットによって管理、利用等される氏名・生年月日・性別・住所からなる本人確認情報は、社会生活上は一定の範囲の他者には当然開示されることが想定され、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。

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  • 16

    H23-4-1. Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の見解を述べた。 最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 国民の選挙権の制限は、そのような制限なしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、憲法上許されず、これは立法の不作為による場合であっても同様であると解されている。

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  • 17

    H23-4-2. Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の見解を述べた。 最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 国が立法を怠ってきたことの違憲性を裁判所に認定してもらうために、国家賠償法による国への損害賠償請求が行われることがあるが、最高裁はこれまで立法不作為を理由とした国家賠償請求は認容されないという立場をとっている。

  • 18

    H23-4-3. Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の見解を述べた。 最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 憲法の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも等しく及ぶものと考えられており、政治活動の自由についても、外国人の地位にかんがみて相当でないものを除き外国人にも保障される。

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  • 19

    H23-4-4. Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の見解を述べた。 最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 憲法93条2項で地方公共団体の長や議会議員などを選挙することとされた「住民」とは、その地方公共団体に住所を有する日本国民のみを指している。

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  • 20

    H23-4-5. Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の見解を述べた。 最高裁判所の判例に照らし、妥当かどうか。 仮に立法によって外国人に対して地方参政権を認めることができるとしても、その実現は基本的に立法裁量の問題である。

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  • 21

    H23-5-1. 写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の考え方が存在することを知ることができた。本件の事案において主張するものとして、妥当かどうか。 わいせつ表現についても、表現の自由の価値に比重を置いてわいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していく必要がある。

    ⭕️

  • 22

    H23-5-2. 写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の考え方が存在することを知ることができた。本件の事案において主張するものとして、妥当かどうか。 表現の自由は「公共の福祉」によって制約されると考える場合であっても、これは他人の人権との矛盾・衝突を調整するための内在的制約と解すべきである。

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  • 23

    H23-5-3. 写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の考え方が存在することを知ることができた。本件の事案において主張するものとして、妥当かどうか。 憲法21条2項前段が「検閲の禁止」を定めているように、表現活動の事前抑制は原則として憲法上許されない。

  • 24

    H23-5-4. 写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の考え方が存在することを知ることができた。本件の事案において主張するものとして、妥当かどうか。 表現の自由に対する規制が過度に広汎な場合には、当事者は、仮想の第三者に法令が適用されたときに違憲となりうることを理由に、法令全体の違憲性を主張できる。

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  • 25

    H23-5-5. 写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の考え方が存在することを知ることができた。本件の事案において主張するものとして、妥当かどうか。 文書の芸術的・思想的価値と、文書によって生じる法的利益の侵害とを衡量して、前者の重要性が後者を上回るときにまで刑罰を科するのは違憲である。

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  • 26

    H23-6-1. 憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述は、妥当かどうか。 これと同様の定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。

  • 27

    H23-6-2. 憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述は、妥当かどうか。 この定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。

  • 28

    H23-6-3. 憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述は、妥当かどうか。 政党は国民の中の一党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。

  • 29

    H23-6-4. 憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述は、妥当かどうか。 議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれる。

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  • 30

    H23-6-5. 憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述は、妥当かどうか。 選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。

  • 31

    H23-7-1. 次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、次の記述は妥当かどうか。  被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。  本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前期の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上他の事由に基づく選挙と異なった取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとの誹りを免れないであろう。(東京高判昭59.10.19)。 この判決は、内閣の解散権行使の前提として、衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ、という立場に立っている。

  • 32

    H23-7-2. 次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、次の記述は妥当かどうか。  被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。  本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前期の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上他の事由に基づく選挙と異なった取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとの誹りを免れないであろう。(東京高判昭59.10.19)。 内閣の解散権行使の結果行われた総選挙について、その無効を争う選挙訴訟は三審制であって、本件は控訴審判決である。

  • 33

    H23-7-3. 次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、次の記述は妥当かどうか。  被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。  本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前期の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上他の事由に基づく選挙と異なった取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとの誹りを免れないであろう。(東京高判昭59.10.19)。 この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ、という立場にたっている。

  • 34

    H23-7-4. 次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、次の記述は妥当かどうか。  被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。  本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前期の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上他の事由に基づく選挙と異なった取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとの誹りを免れないであろう。(東京高判昭59.10.19)。 本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の1形態と位置づけられるものである。

  • 35

    H23-7-5. 次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、次の記述は妥当かどうか。  被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。  本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前期の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上他の事由に基づく選挙と異なった取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとの誹りを免れないであろう。(東京高判昭59.10.19)。 この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっている。

    ⭕️

  • 36

    H23-41. :次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句を、答えなさい。  ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の(ア)を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の(ア)が必要となってくる。表現の(ア)が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。(イ)が自由に出入りできる(ア)は、それぞれの本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の(ア)として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを(ウ)と呼ぶことができよう。この(ウ)が表現の(ア)として用いられるときには、(エ)に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。  もとより、道路のような公共用物と、(イ)が自由に出入りすることのできる(ア)とはいえ、私的な(エ)に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、(ウ)たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と(エ)とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の衡量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。(最判昭59.12.18. 補足意見)

    (ア):19. 場, (イ): 5. 一般公衆, (ウ):11. パブリック・フォーラム, (エ):16. 管理権

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    1-3-❸ 行政規則(行政命令・行政規程)

    問題数 510/18/2023

    2-1-❸ 不服申立ての要件

    問題数 510/15/2023

    1-4-❹ 行政裁量

    問題数 510/19/2023

    3-2-❹ 公的扶助

    問題数 78/23/2023

    2-1-❹ 不服申立ての審理

    問題数 159/5/2023

    1-4-❻ 行政行為の取消しと撤回

    問題数 510/22/2023

    3-2-❺ 社会福祉

    問題数 59/4/2023

    1-5-❶行政強制

    問題数 109/3/2023

    2-2-❸取消訴訟の訴訟要件

    問題数 510/19/2023

    2-2-❹ 取消訴訟の審理と判決

    問題数 108/21/2023

    1-5-❷ 行政罰

    問題数 510/19/2023

    1-2-❸ 行為能力

    問題数 59/5/2023

    3-4-❶ 公害問題と対策

    問題数 57/21/2023

    1-6. 意思表示

    問題数 57/19/2023

    1-6-❸ 行政計画

    問題数 58/21/2023

    3-4-❷ 環境問題<リサイクル>

    問題数 57/21/2023

    2-3-❷ 国家賠償法1条に基づく責任

    問題数 107/19/2023

    3-4-❹ エネルギー問題

    問題数 57/19/2023

    3-5-❶ 弁済

    問題数 57/20/2023

    2-6-❺ 抵当権

    問題数 59/13/2023

    1-7-❷ 行政手続法総説

    問題数 109/3/2023

    3-5-❷ 消費者問題

    問題数 159/4/2023

    2-4-❷ 損失補償が問題となる場面

    問題数 510/22/2023

    1-7-❹ 不利益処分に関する手続

    問題数 158/21/2023

    2-4-❸ 所得権の取得

    問題数 58/23/2023

    3-5-❺ 空き家・空き地対策

    問題数 510/25/2023

    1-7-❽ 命令等を定める手続

    問題数 107/19/2023

    3-2-❸ 特別地方公共団体

    問題数 59/5/2023

    3-4-❸ 執行機関

    問題数 59/13/2023

    1-7-❾ 適用除外

    問題数 510/15/2023

    3-5-❸ 難民問題

    問題数 510/25/2023

    3-5-❹ 自然災害と防災政策

    問題数 510/25/2023

    3-5-❻ 地方創生

    問題数 59/20/2023

    3-5-❼ 著作権

    問題数 109/4/2023

    3-5-① 民泊

    問題数 58/23/2023

    3-5-② 疾病・医療

    問題数 510/25/2023

    3-5-③ 戸籍制度

    問題数 511/1/2023

    3-5-④ 世界遺産

    問題数 511/1/2023

    3-5-⭐️ こどもの問題

    問題数 1010/25/2023

    行政法I

    問題数 317/24/2023

    行政法II

    問題数 577/27/2023

    民法I

    問題数 197/24/2023

    民法II

    問題数 257/27/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 327/30/2023

    行政法I

    問題数 277/31/2023

    行政法II

    問題数 587/31/2023

    民法I

    問題数 218/2/2023

    民法II

    問題数 248/3/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 248/4/2023

    行政法I

    問題数 268/5/2023

    行政法II

    問題数 638/6/2023

    民法I

    問題数 158/7/2023

    民法II

    問題数 318/8/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 328/10/2023

    行政法I

    問題数 258/9/2023

    行政法II

    問題数 678/10/2023

    民法I

    問題数 208/16/2023

    民法II

    問題数 268/16/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 278/18/2023

    行政法I

    問題数 238/17/2023

    行政法II

    問題数 598/17/2023

    3-7-❼ 委任

    問題数 109/13/2023

    4-1-❹ 親子

    問題数 58/24/2023

    民法I

    問題数 218/24/2023

    民法II

    問題数 258/24/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 288/28/2023

    行政権I

    問題数 308/30/2023

    行政法II

    問題数 638/31/2023

    民法I

    問題数 259/1/2023

    民法II

    問題数 209/5/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 249/6/2023

    情報通信

    問題数 179/6/2023

    行政法I

    問題数 239/7/2023

    行政法II

    問題数 599/7/2023

    民法I

    問題数 259/15/2023

    法定地上権

    問題数 59/21/2023

    4-2-❸ 相続の効力

    問題数 59/24/2023

    民法II

    問題数 219/25/2023

    憲法・基礎法学

    問題数 209/26/2023

    行政法I

    問題数 309/27/2023

    行政法II

    問題数 329/28/2023

    民法I

    問題数 209/29/2023

    民法II

    問題数 59/29/2023

    1-7-❸ 申請に対する処分に関する手続

    問題数 510/22/2023

    3-6-❷ 条例

    問題数 510/22/2023

    選挙と地方自治法

    問題数 510/23/2023

    不服申立期間

    問題数 510/23/2023

    義務付けの訴え

    問題数 510/23/2023

    相続と登記

    問題数 510/23/2023

    連帯保証

    問題数 510/23/2023

    催告

    問題数 510/24/2023

    支配人・代理商(商法)

    問題数 510/24/2023

    錯誤

    問題数 510/24/2023

    譲渡担保

    問題数 510/24/2023

    担保責任

    問題数 510/24/2023

    遺言

    問題数 510/24/2023

    抵当権の消滅

    問題数 510/24/2023

    第401条1項・2項:種類債権

    問題数 52/27/2024

    第415条:債務不履行による損害賠償

    問題数 72/27/2024

    第412条1項〜3項:履行期と履行遅滞

    問題数 93/14/2024

    第415条1項・2項:債務不履行による損害賠償

    問題数 62/28/2024

    第424条:詐害行為取消請求

    問題数 53/2/2024

    第423条1項〜3項:債権者代位権の要件

    問題数 72/29/2024

    第424条:詐害行為取消請求

    問題数 92/29/2024

    ★行政手続法に関する判例・・・

    問題数 73/15/2024

    第25条1項〜7項:執行停止

    問題数 53/22/2024

    第1条:公務員の不法行為と賠償責任、求償権

    問題数 53/25/2024

    第1節:総則<第4款:契約の解除(第540条〜第548条)>

    問題数 154/9/2024

    第3節:売買(第555条〜第585条)

    問題数 304/8/2024

    第11節:寄託(第657条〜第666条)

    問題数 134/9/2024

    ⑵ 間違えた問題

    問題数 548/27/2024

    (初)1-1. 法・法体系の基礎

    問題数 638/21/2025

    (初)4-1. 刑法の基礎

    問題数 458/21/2025

    (初)4-2. 刑法総論

    問題数 1178/26/2025

    (初)1-2. 条文・判例の読み方の基礎

    問題数 398/27/2025

    (初)1-3. 法解釈の基礎

    問題数 219/3/2025

    (初)1-4. 法制度の基礎

    問題数 509/4/2025

    (中)1-1. 法と法体系

    問題数 719/7/2025