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問題一覧
1
法定利率とは?
利息の支払を目的とする債権 民法の法定利率は、年3分(3%)を基本とするが、3年毎に見直しがなされ、1%刻みで変動する
2
特定物権とは?
特定物の引渡しを目的とする場合の債権。 中古品や不動産が該当
3
種類債権とは?
一定の種類に属する物の一定量の引渡しを目的とする債権 不特定物債権ともいう。 ジュース1ダース
4
金融債権とは?
一定額の金銭の支払を目的とする債権
5
選択債権とは?
数個の中からいずれかを選択して引き渡すことを内容とする債権
6
消費貸借とは?
当事者の一方が種類、品質および数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生じる契約 金銭消費貸借契約が代表的である。 利息制限法により、 ・元本が10万円未満の場合、年2割 ・元本が10万円以上100万円未満の場合、年利1割8分 ・元本が100万円以上の場合:年1割5分 したがって、口頭での消費貸借は、 貸します、借りますの意思表示の合致段階では、まだ消費貸借契約が成立していない。 書面による消費貸借は諾成契約となる。 したがって、書面を締結した段階で、消費貸借契約が成立する。 消費貸借の一方が、目的物を受け取る前に破産手続開始の決定を受けたときは、当該消費貸借は、その効力を失うこととなります(民法587条の2第3頂)。
7
請負契約とは?
一方が相手方から依頼された仕事を完成させ、相手方がこれに対して報酬を与える契約です。請負契約は、建築工事やシステム開発など、業務を外部業者に外注する場合に良く用いられます。 仕事の完成の義務を負うのに対して、委任契約では、仕事の完成についての義務は負いません。 完成した成果物に欠陥その他の契約不適合があった場合、請負人は、売主と同様の契約不適合責任を負うほか、注文者には契約解除権や損害賠償請求権が認められます。
8
委任契約とは?
一方が相手方に法律行為を委託する契約です。例えば、弁護士への訴訟の委任や、不動産売買の委任などが挙げられます。また、会社の取締役も会社との委任関係にあります。 委任契約では、仕事の完成についての義務は負いません。 原則として契約不適合責任を負うことはありませんが、業務に関して善管注意義務違反があった場合は、債務不履行責任を負うことになります。 受任者は、委任者から選任された立場ですので、原則として自ら委任事務を行わなくてはなりません。そのため、受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないと定められています(民法第644条の2)。復受任者とは、委任事務を処理するために受任者が選任した者を言います。
9
定型約款とは?
「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」(民法第548条の2)と定められています。 定型取引というのは、「ある特定の物が不特定多数の者を相手方として行う取引」であって、「その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」とされています。 定型約款の合意に関する記述です。 以下のいずれかに該当するとき、相手方が定型約款の個別の条項を認識していなくとも、それについて合意をしたものとみなされます。 ・定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。 ・あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。 ただし、相手方の利益を一方的に害するような内容のときは、その合意はなされなかったと見なされます。 定型約款の合意について、相手方の個別の合意までは必要ありませんので、空欄Aには「あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨をサービス利用者に表示していれば足ります」が入ります。 鉄道·バスの運送約款、電気ガスの 供給約款、保険約款、インターネットサイトの利用規約等をイメージすればよい。 ①当事者の間で定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたときや、②定型約 款を契約の内容とする旨をあらかじめ顧客に表示して取引を行ったときは、 個別の 条項について合意をしたものとみなされる。ただし、信義則に反して相手方の利流 を一方的に害する不当な条項は契約内容として認められない
10
相殺とは?
債務者が債権者に対して同種の債権を有する場合に、その債務と債権を対当額で消滅させることです。相殺できるのは、同種の債権である必要があります。 ・簡易決済機能 ・公平保持機能 ・担保的機能 相殺する方の債権を自働債権 相殺される方の債権を受働債権 民法506条において、「相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。」 不法行為から生じた損害賠償請求権などの債権について、自働債権として相殺することは可能です。 なお民法509条では、悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務などの債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができないとしています。 民法505条にて、「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。」とあり、双方の債務が弁済期にあることが要求されています。ただし、受働債権については、弁済期が到来していなくても、期限の利益を放棄すれば相殺することができます。
11
相殺の差押禁止債権とは?
差押禁止債権を用いた相殺は禁止されています。債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができないと民法第510条に規定されています。 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
12
保証とは?
・事業用融資について保証人となる者が、契約前1か月以内に、公証役場で、保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じないという制度は「保証意思宣明公正証書」という制度です。令和2年4月から始まったこの制度の対象は個人のみになります。 ・主たる債務者が死亡して相続人が限定承認した場合でも、保証債務自体は消えることはありませんので、保証人は主たる債務の全額について保証債務を履行しなければなりません。 ・民法第446条では下記のように規定されています。 「2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」 ・改正民法448条2項で「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。」となっています。根保証契約をしていない限り、保証人は増額分につき責任を負うことはありません。 保証契約は、債権者と保証人となる者が、書面または電磁的記録で締結する必要があります。債務者は、保証契約の当事者とはなりません。 保証には、その性質として附従性、随伴性、補充性があります。 附従性とは、主債務が債務者の弁済等により消滅すれば、保証債務も消滅するという性質です。 随伴性とは、主債務が債権譲渡等によって移転すれば、保証債務も移転するという性質です。 補充性とは、債務者が履行できない場合にはじめて、保証人が履行する責任を負うという性質であり、保証人には、債権者からの請求に対する「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」が認められます。ただし、連帯保証人には、いずれの抗弁権も認められません。 民法上は、保証契約において特約がない限り、連帯保証とはなりません。連帯保証ではない保証を、「単純保証」または「普通保証」と言います。 保証人がいる場合でも、あくまでも主債務を弁済すべきは債務者です。したがって、代わりに保証人が債権者に弁済した場合には、保証人は、債務者に求償権を行使することができます。 なお、1つの主債務に対して数人の保証人がある場合、各保証人は、人数に応じた平等の割合で保証債務を負担しますが、数人の連帯保証人がある場合には、全員が主債務の全部を弁済する義務を負います。 保証契約は、債権者のための契約ですから、債務者の委託がなくとも、また、債務者の意思に反しても保証人となることができますが、債務者からの委託の有無により、保証人が行使できる求償権の内容が異なります。 保証人が債権者に弁済した場合、債務者に対する求償権の範囲は、弁済額のほか、弁済日以後の法定利息や避けることができなかった費用その他の損害賠償までが含まれます。 一方、委託を受けていない保証人が債権者に弁済した場合に債務者に求償できるのは、弁済当時に債務者が受けた利益の範囲に限られ、弁済日以後の法定利息等を求償することはできません。さらに、債務者の意思に反して保証をした保証人の求償権は、求償当時に債務者が受けた利益の範囲に限られます。 主債務が弁済期にあるなど、保証人が債権者から請求される可能性が高い一定の場合には、保証人は、自ら債権者に弁済する前でも債務者に事前求償権を行使できますが、委託を受けていない保証人には、事前求償権は認められません。 なお、委託を受けた保証人がいる場合、債務者は、自ら債権者に弁済等をしたときは、保証人に通知することを要し、この通知を怠ったために保証人が善意で債権者に弁済したときは、保証人は、自己の弁済を有効であったものとみなすことができます。
13
個人事業主の配偶者が保証人になる場合は?
事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約について、契約前に、保証人となる者が保証債務を履行する意思を公正証書により表示する必要があります。これは、個人事業主の配偶者であって、当該事業に現に従事していない者についても同様です。 ただし、個人事業主の配偶者で当該事業に現に「従事している」者については、共同で事業を実施している立場とみなされて、この規定の適用外となります。つまり、公正証書による意思表示は求められません。
14
事業用の貸金等の保証契約について
・契約締結の日前「1カ月以内」に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じません。 ・主たる債務者が法人でその取締役が保証人になる場合、公正証書による意思表示は必要ありません。取締役が保証人になる場合は、公証人による意思確認手続きの適用除外とされているためです。 ・法人が保証人となることは可能です。法人が保証人となる場合でも、保証契約を書面または電磁的記録で締結する必要があります。 事業のために負担した貸金等債務とは、金融機関等から事業のために用いる資金の借入等が該当します。事業用の融資の保証契約について、平成29年の民法の改正にて、公証人による意思確認手続きが新たに設けられています(民法第465条の6)。十分に内容を理解しないまま保証人となり、想定外の多額の保証債務の履行を求められるリスクなどを防ぐためです。 事業用融資の保証契約は、保証人が個人である場合、公正証書を作成して保証人本人の意思を確認しなければ効力を生じないとされています。ただし、このルールが適用外となるケースもあります。
15
主たる債務者が死亡して相続人が限定承認した場合でも、保証債務は消えるか?
消えない 限定承認とは、相続によって得たプラスの財産を限度として、マイナスの財産も引き継ぐことをいいます。
16
保証人は主たる債務の全額について保証債務を履行しなければならない。この文は真か偽か?
真
17
改正民法448条2項によると、保証人の負担は加重されるか?
加重されない
18
根保証契約をしていない限り、保証人は増額分につき責任を負うか?
負わない
19
集合債権譲渡担保とは何ですか?
債務者が有する、第三債務者に対する複数の特定された個々の債権を、一個の集合した債権として捉え、これに譲渡担保を設定すること
20
金銭債権を譲渡する場合に限り、債権譲渡登記をすることで、どのような効果が発生しますか?
第三者対抗要件具備の効果が発生します
21
譲渡禁止特約がある場合、従来の債権の譲渡の効力はどうなっていましたか?
原則無効で、債務者が承諾すれば認められていました
22
改正民法において、譲渡制限特約があっても、債権譲渡の効力は原則として妨げられるのか?
妨げられる また譲受人が、特約が締約されたことを知り、または重過失によって知らなかった場合に、債務者は譲受人に対して債務の履行を拒むことができるとなっています。
23
譲受人が特約が締約されたことを知り、または重過失によって知らなかった場合、債務者はどのような権利を持ちますか?
債務の履行を拒むことができる
24
先取特権とは何ですか?
一定の債権を有する者が、その債務者の財産において、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利のことです。
25
動産の先取特権は、債務者が目的の動産を第三者に引き渡した後では、どうなりますか?
その効力を失います。
26
動産売買先取特権は、目的物が他の価値物に代わってもその効力を及ぼすことができます。これを何と呼びますか?
物上代位
27
物上代位によって優先弁済を受けるためには、どのような手続きが必要ですか?
当該タオルの代金の支払いの前に、御社又は他の一般債権者による差押えが必要になります。
28
動産の先取特権は?
債務者が目的の動産を第三者に引き渡した後では、その効力を失います。ただし動産売買先取特権は、目的物が他の価値物(金銭など)に代わってもその効力を及ぼすことができます。(物上代位)。物上代位によって優先弁済を受けるには、当該タオルの代金の支払いの前に、御社又は他の一般債権者による差押えが必要になります。
29
債権譲渡とは?
たとえば、債権者Aの債務者Bに対する債権について、AC間の売買などにより、その債権を新たな債務者Cに移転することをいう。 例えば、弁済期が到来していない債権を現金化したい場合など、「AのBに対する債権」といった当事者が特定している債権(指名債権)であっても、債権者は、原則として自由に譲渡(売買等)することができます。 債権譲渡は、譲渡人(A)と譲受人(C)間の合意(契約)ですることができます。 ただし、債権譲渡を債務者(B)に対抗するためには、AからBに対する通知、またはBからAもしくはCに対する承諾が必要です。 また、同一の債権がAからCとDに二重に譲渡された場合、CとDは対抗関係に立ちますが、この場合、内容証明郵便など「確定日付がある証書」によるBへの通知またはBからの承諾を受けた方が譲受人に確定します(第三者対抗要件)。 なお、AからCとDいずれに対する債権譲渡についてもBに対して確定日付のある証書による通知がなされた場合には、確定日付の先後ではなく、「Bに通知が到達した日時」の先後により、譲受人が確定します。 一方、債権譲渡がなされても、債務者は、以上の対抗要件を具備するまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができ、また、すでに取得していた譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができます。 つまり、債務者(B)が、指名債権の譲渡の通知を受ける前に、譲渡人(A)に弁済期の到来している反対債権を有していた場合、譲渡の通知後においても、譲渡対象となった債権と相殺することができます。
30
債権譲渡において、譲渡人と譲受人の間の合意は何ですか?
契約
31
債権譲渡を債務者に対抗するために必要なものは何ですか?
AからBに対する通知、またはBからAもしくはCに対する承諾
32
第三者対抗要件として必要なものは何ですか?
内容証明郵便など「確定日付がある証書」によるBへの通知またはBからの承諾
33
債務譲渡の譲受人が確定する基準は何ですか?
Bに通知が到達した日時の先後による
34
債権譲渡の債務者が譲受人に対抗することができる条件は何ですか?
対抗要件を具備するまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができ、また、すでに取得していた譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができます
35
債務不履行による契約の解除に関する内容は?
特定の時期までに契約の履行がなければ契約の目的が達せられない場合において、履行遅滞があったときは、債権者は、催告することなく、直ちに契約の全部の解除をすることができます(民法第542条) 相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をして、催告期間が経過した時に残る債務不履行がその契約及び社会通念上、軽微である場合は契約を解除することはできません(民法第541条)。 債務不履行が債権者のみの責めに帰すべき事由によるものである場合は、債権者は契約を解除することができません(民法第543条)。 債務の全部の履行が不能であるとき、債務者、債権者双方に帰責事由がない場合であっても、債権者は催告することなく契約を解除することができます。 帰責事由とは、「責めに帰すべき事由」という字の通り、責められるべき理由や落ち度、過失のこと
36
債権者代位権とは?
債権者が自己の債権を保全するため必要があるときは、債権者(お金を貸した者な ど)債務者に属する権利を債務者(お金を借りた者など)に代わって、 行使することができる権利のこと。 債権者は、債権の期限の到来後であれば債権者代位権を行使できるが、期限の到来前は行使できない。
37
詐害行為とは?
財産権について債務者が債権者を害することを知りながらする行為を言います。債権者が、その行為の取消を裁判所に請求できる権利を詐害行為取消権と言います。たとえば、AさんがBさんから借金をしており、Aさんが不動産を所有していて、他に財産を持っていないとします。Aさんが借金の返済が難しくなってきたときに、不動産が差し押さえられるのを避けるために、不動産を無償で親戚のCさんに譲渡してしまいました。このようなときに、Bさんがその不動産の譲渡の取消を求めることができるというものです。 詐害行為の目的が金銭債権のように可分であるときは、債権者は自己の債権の額の限度においてのみ取消しを請求することができます(民法第424条の8)。詐害行為取消権は、債権者の損害を救済するためのものですので、債権額を上限として取消を認めれば十分なためです。 債務者が保有する不動産を処分したとき、時価相当の対価を取得していれば、債務者の財産は減少していません。そのため、原則としては、詐害行為にはあたりません。 しかし、対価として取得した金銭について、隠匿等の処分をする意思を有していたことなどの条件を満たす場合は、詐害行為取消請求ができるとされています(民法第424条の2)。 詐害行為取消は、債権の発生原因が詐害行為の前に生じたものである場合に請求できるとされています(民法第424条)。債権の発生原因が詐害行為の前という要件がありますが、被保全債権そのものが詐害行為の前に発生している必要はありません。そのため、被保全債権そのものが詐害行為の後に発生していても、詐害行為取消を請求することができます。 行使する債権者は、金銭債権を有している必要があります。 このような金銭債権を被保全債権といいます。
38
一般の債権の消滅時効について
債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年とされています(民法第166条)。なお、平成29年の民法改正以前は、料理店や飲食店などの債権については、債権者が1年間権利を行使しないときは時効によって消滅するとされていました。今回の民法の改正によってこの規定は削除され、一般の債権と同様の消滅時効となります。
39
時効の完成猶予について
時効の完成前に一定の事情が生じると、その期間が一時停止される規定があります。たとえば、裁判上の請求や支払督促等があると時効の完成が猶予されます。 債権について催告がなされ、その後本来の時効期間が経過し、時効の完成が猶予されている間に、当該債権についての協議を行うことの合意が書面でされても、それに基づく時効の完成猶予の効力は生じない 債権について催告がなされると、時効の完成が猶予されます。催告とは、債権者から債務者に対して債務の履行を求めることを言います。催告があったとき、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しないとされています(民法第150条)。 また、当事者間で債権についての協議を行う旨の合意が書面でされた場合も、時効の完成が猶予されます。 ここで、催告によって時効の完成が猶予されている間に、協議を行う旨の合意がなされた場合、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予はその効力を認められません。選択肢イのように、催告による時効の完成猶予の期間中に本来の時効期間が経過したとき、協議を行う旨の合意を行ったとしても、再度の時効の完成猶予はなされず、催告による猶予期間が終了すると時効は完成します。反対に、協議を行う旨の合意期間中に催告がなされた場合も完成猶予の効力は生じないとされています。 天災等の避けることのできない事変のために、裁判上の請求などの手続きをできないとき、その障害が消滅した時から3カ月を経過するまでの間は、時効は完成しないと定められています(民法第161条)。平成29年の民法改正以前は、この期間は2週間とされていましたが、今回の改正によって3カ月になっています。
40
時効について
・相続回復の請求権は不当利得の返還請求権になりますが、この消滅時効は、相続権を侵害されたことを知った時から5年、または相続開始から20年となっています。 人の身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、権利を行使することができることを知った時から5年となります。 ・民法第146条にて、「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」と定められています。時効期間の延長や短縮をする特約は、あらかじめ時効利益を放棄することになりますので認められないことになります。 ・人の生命または身体の侵害による損害賠償権の消滅時効は、権利を行使することができる時から10年ではなく20年です。
41
契約不適合責任について
売買契約において、 売主は、買主に対して、①種類、品質、数量に関して契約の 内容に適合した物を引き渡す義務、または②契約の内容に適合した権利を移転する義務を負っている。 この義務 (責任) を売主が果たさなかった場合、すなわち、①引き渡された物の種類、品質、 数量が契約の内容に適合しない場合、または②移転された権利が契約の内容に適合しない場合、買主は、売主に対して、以下を求めることができる(=売主の契約不適合責任)。 なお、この規定は売買以外の有償契約(請負契約など) にも原則として準用される(民法第562条565条)。 1) 追完請求 (民法第562条、565条) 改めて完全な履行を求めることで、目的物の修補、代替物·不定足分の引渡しなどが該当する。なお、契約の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は追完請求権を行使することができない。 2) 代金減額請求 (民法第563条、565条) まず、買主は、相当の期間を定めて履行の追完を売主に催告し、その期間内に履行の追完がないときは、その不適合の程度に応じて代金の成額を請求することができる。 3) 損害賠償·契約解除 (民法564条、565条) 素主が、種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しない物を引き渡した 使合等について、それが債務不履行による損害賠償請求の要件を満たしたとき +普主は損害賠賞請求をすることができる。同様に、 解除(催告解除、無催 生解除)の要件を満たしたときも、買主は契約を解除することができる。 民法では、上記1) ~3) について、買主が、契約に適合しないことを知っ てから1年以内に、契約に不適合があることを通知することを必要としている ▪️商法526条の条文は次の通りとなっています。 「1 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。 2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することのできない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。 3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。」
42
債務不履行と不法行為の詳細
写真
43
相続回復の請求権は?
不当利得の返還請求権になりますが、この消滅時効は、相続権を侵害されたことを知った時から5年、または相続開始から20年となっています。
44
集合債権譲渡担保とは?
債務者が有する、第三債務者に対する複数の特定された個々の債権を、一個の集合した債権として捉え、これに譲渡担保を設定することです。 債権譲渡に関する第三者への対抗要件が問われています。法人が金銭債権を譲渡する場合に限り、債権譲渡登記をすることで、第三者対抗要件具備の効果が発生します(動産・債権譲渡特例法4条1項)。 譲渡禁止特約があった場合には、従来では債権の譲渡は原則無効で、債務者が承諾すれば認められていました。改正民法では、譲渡制限特約があっても、債権譲渡の効力は原則として妨げられないとされました。(民法第466条2項)。また譲受人が、特約が締約されたことを知り、または重過失によって知らなかった場合に、債務者は譲受人に対して債務の履行を拒むことができるとなっています。よって、この場合は請求することができません。
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物件の効力は?
優先的効力 自己の所有権と両立しない他の権利を主張する者に対し、自己の権利の優位性を主張する効力。 ・物権対物権 先に対抗要件を具備したほうが優先 ・物権対債権 その他人債権を主張している場合は、原則として、債権の成立が所有権より先であっても、所有権が優先される。 簡単にいうと、借主よりも持主のほうが強いということ
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物権の種類は?
・所有権 ・占有権 ・制限物権のうち用益物権
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制限物権のうち担保物権には何があるか?
▪️法定担保物権 ・留置権 ・先取特権 ▪️約定担保物権 ・質権 ・抵当権 抵当権は、債務の担保に供した物について、優先的に弁済を受ける権利です。質権と違い、引渡しを要しないのが特徴です。 質権は、債権の担保として受け取った物を占有し、その物について優先的に弁済を受けることができる権利です。 先取特権は、一定の債権を有する者が、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利です。 留置権は、他人の物を占有する者が、その物に関する債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる権利です。 担保物権にはさまざまな効力がありますが、中でも優先弁済効力と留置的効力が重要です。 優先弁済効力とは、他の一般債権者に優先して弁済を受けられる効力のことです。ただし、留置権には、優先弁済効力が認められません。 また、留置的効力とは、担保物権の対象となる物の占有を保持することができる効力です。ただし、抵当権と先取特権には、留置的効力が認められません。 さらに、担保物権には、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、担保物権を行使することができるという「物上代位性」が認められます。ただし、留置権には、物上代位性は認められません。 民法上物上代位が認められるのは、先取特権、質権、抵当権である。
48
譲渡担保とは?
写真
49
相続人の範囲
・第一順位=被相続人の直系卑属(子。子が相続できない場合は孫、ひ孫など[代襲相続という]) ・第二順位=被相続人に直系卑属がいない場合は、被相続人の直系尊属で親等の近い者(親、親が相続できない場合は祖父母など) ・第三順位=被相続人に直系卑属も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹(兄弟姉妹が相続できない場合、代襲するのはその子[甥、姪]までに限る) 相続に関する権利能力は例外的に民法866条で胎児に認められています。
50
法定相続分
▪️配偶者と直系卑属が相続人 ・配偶者が2分の1 ・直系卑属が2分の1 ・配偶者が相続できない場合は直系卑属が全部相続 兄弟が多いとその分分ける ▪️配偶者と直系尊属が相続人 ・配偶者が3分の2 ・直系尊属が3分の1 ・配偶者が相続できない場合は直系尊属が全部相続 ▪️配偶者と兄弟姉妹が相続人 ・配偶者が4分の3 ・直系尊属が4分の1 ・配偶者が相続できない場合は兄弟姉妹が全部相続 子の配偶者は相続人に含まれません(配偶者の親と養子縁組した場合を除く)。 たとえば、長男の妻が、義父をいくら献身的に介護した場合であっても、遺産を相続する権利は全くありません。 長男の妻自身は相続人にならずとも、その夫や子が相続人になるのであればまだ良いでしょう。 原則として被相続人の、①配偶者、②a)直系卑属(子など)、b)直系尊属、c)兄弟姉妹が相続人となります。配偶者は生存していれば必ず相続人となり、②の相続人はa)~c)の順番に相続人となり、前の順位の者がいる場合には後の順位の者は相続人とはなりません。各相続人の分配割合の原則(法定相続分)が法律で定められています。配偶者と直系卑属が相続人で、配偶者が相続できない場合、原則として直系卑属で按分となります。 ・第一順位=被相続人の直系卑属(子。子が相続できない場合は孫、ひ孫など[代襲相続という]) ・第二順位=被相続人に直系卑属がいない場合は、被相続人の直系尊属で親等の近い者(親、親が相続できない場合は祖父母など) ・第三順位=被相続人に直系卑属も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹(兄弟姉妹が相続できない場合、代襲するのはその子[甥、姪]までに限る) 相続に関する権利能力は例外的に民法866条で胎児に認められています。
51
相続とは?
法定相続分を超える部分について、登記その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗して相続による権利の承継をすることができません。たとえば不動産は登記、金品などの動産は動産譲渡登記などが対抗要件になります。 相続人が数人ある場合において、一部の相続人が相続放棄をした者を除いた共同相続人の全員が共同で手続きをすれば、限定承認をすることができます。 限定承認=相続によって得たプラスの財産を限度として、マイナスの財産も引き継ぐことをいいます。 不動産相続における単純承認とは、相続される不動産をすべて無条件で受け取ることになります。基本的に相続可能な不動産があると知ってから、3か月以内に何の手続きもしなかった場合、自動的に単純承認とみなされます。相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私的にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったときも、相続人は単純承認をしたものとみなされます。5年の賃貸をするということは、私的に消費していることになりますので、単純承認をしたものとみなされます。 法定相続分は、遺言がない場合に相続財産を分けるための目安であり、強制力はありません。 遺留分は、相続財産を最低限もらえる権利です。 ただし、権利があってもそれを行使するかどうかは相続人の自由です。 自身の遺留分を侵害されていても、権利を行使しなければ相続内容は変わりません。
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配偶者居住権とは?
夫または妻が亡くなった場合、その配偶者が、原則亡くなるまで、引き続き無償で自宅に居住することができる権利のことです。 令和2年4月施行の「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」にて、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利が新設されました。遺産分割における選択肢の一つとして,配偶者に居住権を取得させることができるほか、被相続人が遺贈等によって配偶者に居住権を取得させることができることになりました。 配偶者居住権を善意の第三者に対抗するためには、居住建物の引渡しでは認められず、配偶者居住権の設定の登記をしなければならないこととなっています。
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相続の限定承認とは?
相続では、原則として、積極財産(プラスの財産)、消極財産(マイナスの財産)ともにすべて相続の対象となります。ただし、相続人が、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務を弁済すべきことを留保して相続の承認をすることができます。これを限定承認といいます(民法922条)。つまり、積極財産の限度で消極財産の弁済をすればよく、弁済をしてもプラスの財産が残ったときはそれを相続できます。 相続財産が明らかに債務超過の場合には相続放棄をすればよいですが、資産と負債の額が明らかでない場合には、限定承認をすることによってプラスの財産を取得できる可能性があるというメリットがあります。 限定承認は、相続開始があったことを知った日から3か月以内に行う必要があり、共同相続人がいる場合には全員が共同して行わなければなりません。 限定承認をした者は、全ての相続債権者(相続財産についての債権者)や受遺者(遺言により財産を受け取る人)に対し、一定の期間を設けて請求の申出をすべき旨の公告をしなければならない、と定めています(民法第927条)。つまり、亡くなった被相続人に対して債権を持っている人がいれば名乗り出てもらいたいと呼びかけます。この「一定の期間」は、2か月以上としなければならないとされています。 この期間の満了前に、相続債権者や受遺者から弁済を求められた場合、限定承認者はそれを拒むことができるとされています(民法第928条)。公告期間が満了する前は、誰がどれだけ債権を持っているか分からない状態であるためです。 相続の承認や放棄をした場合、その撤回はできないとされています(民法第919条)。これは限定承認も該当しますので、1年以内であっても撤回はできません。 限定承認は、相続開始があったことを知った日から3か月以内に行う必要があります。また、家庭裁判所に申立てをすることで、この期間を伸長させることができます。 限定承認は、共同相続人がいる場合には全員が共同して行わなければなりません。共同相続人のうち一人が単独で行うことはできません
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権利の共有について
・意匠権の共有について、意匠法36条が特許法73条により準用されています。その特許法73条2項に、「特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。」とあります。同様に他の共有者の同意を得ないで意匠の実施ができますが、持分に応じて実施できるわけではありません。 ・商標権の共有については、商標法35条が特許法73条により準用されています。特許法73条に、「特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。」とあります。 ・著作権の共有について、著作権法65条2項に、「共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。」と規定されています。 ・不動産の各共有者 民法249条1項にて、共有物全部について、自己の持分に応じた使用をすることができますが、持分に関係なく使用することはできません
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民法上の共有規定とは?
例えば、夫婦が共同でお金を出して不動産を購入した場合や、親の不動産を数人の子供が共同で相続した場合には、その不動産(所有権)を複数名で共有することになります。 共有者同士の特約で持分を決めた場合や、法定相続分に従う場合等を除き、各共有者の持分は、相等しいもの(平等)と推定されます。 そして各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。 共有建物を増改築する場合など、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に「変更」を加えることができません。 一方、共有建物を目的とする賃貸借契約を解除するなど、共有物の「管理」に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決するほか、共有物の修繕など「保存行為」は、各共有者が単独ですることができます。 また、共有物全体の処分(売却等)は、共有者全員ですることを要しますが、各共有者の持分の処分は、各共有者が単独ですることができます。 共有不動産(全体)の所有権を確認する訴えは、仮に敗訴すると共有者全員に不利益が及ぶため、共有者全員ですることを要し、その持分の価格に従った過半数で訴え提起を決することはできません。 共有物の保存行為は、他の共有者に不利益とならないため、各共有者が単独ですることができます。 共有不動産の不法占有者に引渡を請求することは、共有物の保存行為に該当します。 共有不動産を妨害する者に損害賠償を請求する場合、各共有者は、それぞれの持分の割合に応じて請求することはできますが、他の共有者の持分については、請求することができません。 共有不動産を目的とする賃貸借契約を解除するなど、共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することができます。
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所有権と占有権とは?
所有権とは、法令の制限内において、所有物を自由に使用、収益、処分する権利を指すのに対し(第 206 条)、占有権とは、物を所持ないし事実上、支配する権利を指す(第 180 条以下、その例として次頁参 照)。 レンタルした人に占有権が与えられるが、本権である 所有権に対し、占有権は仮の権利と呼ばれる。
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遺留分とは?
遺言によって被相続人は相続財産を自由に処分することができる。しかし、好き勝手に相続財産を分配できるわけではなく、相続人には最低限の相続財産が保障されていることを遺留分という。 ただし、遺留分の対象は配偶者、直系卑属、直系尊属であり、兄弟姉妹には遺留分は認められない。 直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には被相続人の財産の2分の1が、遺留分権利者全体の遺留分となる。 民法の特例である除外合意、固定合意は、遺留分を有する先代経営者(旧代表者)・遺留分権利者の全員の合意の上で、その効力を生じます。 民法1042条にて、「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。」とあります。「一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合」は、「遺留分」ということになります ・除外合意 写真 ・固定合意 写真
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経営承継円滑化法における民法の特例を受けることができるのは?
・個人事業主の後継者についても、経営承継円滑化法における民法の特例を受けることができます。 ・会社の先代経営者からの贈与等により株式を取得したことにより、後継者は過半数の議決権を保有している必要があります。 ・経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可の双方が必要となります。 ・推定相続人全員の合意が必要で、合意書を作成することが必要となります。(経営承継円滑化法5条、第6条)
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遺留分侵害額請求権とは?
遺留分を侵害された遺留分権利者が、被相続人から遺贈・死因贈与・生前贈与等で財産を譲り受けた人に対して、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求することができる権利のことです。遺留分侵害額の請求権が時効によって消滅するのは、1年です。相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から、権利を1年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法1048条)。 遺留分権利者は、受遺者・受贈者に対して、現物の返還に代えて、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
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遺留分の放棄はどうすればよいか?
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生じます(民法1049条1項)。
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遺留分割合に関する内容は?
まず遺産全体に対して「遺留分権利者全体」が持つ遺留分割合を算出します。相続人が直系尊属のみである場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1になります。本事例では2分の1になります。次に、遺留分権利者が複数人いる場合に、遺留分全体に対して法定相続分を乗じることで、個人の遺留分割合を算出します。配偶者と2人の子供ですので、配偶者aの遺留分の額は、遺留分を算定するための財産価額である2 分の1のさらに法定相続分2分の1で4分の1になります。子c の遺留分の額は2分の1のさらに4 分の1で8分の1になります。
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議決権制限株式における発行限度数の制限は?
公開会社では、議決権制限株式数が発行済株式総数の2分の1を超えたときは、発行済株式総数の2分の1以下にするための措置を取らなければなりませんが、非公開会社ではこのような制限はありません。
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相続人に対する売渡請求は?
定款の定めがある場合において、会社が相続を知った日から1年以内に行使することができます。よって、Bは、「この相続人に対する売渡請求は、相続があったことを知った日から1年以内に行使しなければなりませんので、注意が必要です」となります。
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特別受益とは?
▪️特別受益の求め方 遺産+特別利益 相続計算後、取り分−特別受益 相続人となる者が、被相続人から遺贈を受け、または婚姻や養子縁組、生計の資本として贈与を受けたことを言います。 共同相続人中に特別受益を受けた特別受益者がいる場合、被相続人が相続開始時において有した財産の価額にその贈与等の価額を加えたものを相続財産とみなして各相続人の相続分を算定した上で、そこから特別受益の価額を控除した残額が、特別受益者の相続分となります。
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寄与分とは?
▪️寄与分の求め方 遺産−寄与分 相続計算後、取り分+寄与分 被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付や、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした相続人に与えられる「割増相続分」です。 共同相続人中に特別の寄与をした相続人がいる場合、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして各相続人の相続分を算定した上で、そこに寄与分の額を加えたものが、その者の相続分となります。
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後継者以外の相続人の実際に得られた相続財産が遺留分に足りない場合、後継者は何を受けることになるか?
遺留分侵害額請求を受ける
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経営承継円滑化法に基づき、非上場中小企業の後継者は何を前提に除外合意や固定合意等の特例の適用を受けることができるか?
遺留分権利者全員との合意および所要の手続を経ることを前提に
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遺言とは?
15歳に達すればすることができますが、民法が定める方式に従わなければ、その効力を生じません。 また、遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができ、遺言者は、遺言を撤回する権利を放棄することができません。 遺言は、原則として自筆証書、公正証書または秘密証書によってしなければなりません。 自筆証書遺言は、遺言者のみで行う方法で、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに押印しなければなりません。 公正証書遺言は、公証人が関与する遺言方法です。証人2人以上の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を口述し、これを公証人が筆記して遺言書を作成します。 秘密証書遺言も、公証人が関与する遺言方式です。秘密証書は、遺言者が遺言書を自書等で作成・封印した上で、公証人1人と証人2人以上の前に封書を提出します。そして、自己の遺言書である旨、筆者の氏名および住所を申述し、公証人が、申述内容を封紙に記載し、遺言者および証人とともにこれに署名押印します。 以上の方式のうち、「自筆証書と秘密証書」は、遺言者側で保管することになります。したがって、遺言に係る相続開始後は、遺言書の保管者や発見者は、遅滞なく(開封せず)遺言書を家庭裁判所に提出し、遺言書の変造等を防止するための「検認」を受けなければなりません(遺言の有効要件ではありません)。 一方、「公正証書遺言」は、原本が公証役場で保管されるため、検認を受ける必要はありません。 自筆証書遺言について、相続財産の全部または一部の目録 (財産目録)を添付す る場合、財産目録については自書する必要がなく、パソコン等で作成することがで きる(民法第968条2項)。ただし、遺言書の本文は、自筆で作成することが必要 である。
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合同会社とは?
持分会社の一つで有限責任社員のみから構成されます。株式会社より設立が簡単なため、創業などでの活用が見込まれています。 合同会社に出資された金銭等は資本金、又は資本剰余金に計上されますので、資本剰余金に計上すれば、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことができます。 合同会社の業務執行社員というのは、業務執行権を持った社員のことです。合同会社の場合、業務執行社員には自然人だけではなく法人もなることができます。ただし、法人が業務執行社員である場合には、職務を行う自然人である職務執行者を選任することになります。 株式会社においては法人は取締役となることはできないが、合同会社においては法人が業務執行社員になることができる。 合同会社の社員数は、会社法で特に定めがなく、1人でも可能です。 合同会社の社員は有限責任社員のみとなります。 合名社員は無限責任社員のみ、 合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方がいる会社になります。
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法人とは?
民法で、私たち人間は自然人であると学習した。法律では、一定の組織·団体な どに自然人と同じように権利の主体となることを認めている。この自然人以外で権 利能力(法人格)を認められた存在を法人という。つまり、組織·団体などは、法 人格を取得することによって、それ自体が権利の主体となり、あるいは自然人と同 様に法律行為を行うことができるのである。 法人は法律に規定がなければ成立しない (勝手につくることはできない。民法第 33条)。したがって、個人事業に比べれば設立に手間がかかるが、法人税の適用を 受けるため一定以上の収入になれば個人事業より税率面で有利である。また、信用 カ·資金調達·従業員採用においても、 一般的に個人事業よりも有利である。 法人設立手続きを行い、権利や義務などを持つ法律上の人格を認められた組織のことです。 法人は「営利法人」「非営利法人」「公的法人」の大きく3つに分けられますが、起業に際して法人という場合は、一般的に、営利法人である会社のことを指します。
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株主総会詳しい内容は?(令和5年)
会社法319条1項に、「取締役又は株主が提案をした株主総会の目的事項の提案をした場合で、当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。」、会社法320条に、「取締役が株主の全員に株主総会に報告すべき事項を通知した場合で、当該事項の株主総会への報告を要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。」と規定されています。 ただし、これらの場合であっても、株主総会の議事録の作成は必要となります。 会社法319条1項に、「取締役又は株主が提案をした株主総会の目的事項の提案をした場合で、当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。 会社法300条より、「株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができること、株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることと定めたときはこの限りでない。」と規定されています。これは、公開会社、非公開会社に分けて限定されるものではありません。 要は、書面投票・電子投票が行われる場合は、株主の全員の同意があっても、招集手続きを省略することはできません。 会社法320条の通り、「当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意したときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。」 全ての会社に当てはまる。
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株式総会の決議詳しく
写真
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デッドロック条項とは?
契約当事者で利害関係がぶつかる問題が生じた場合の解決方法を、合弁契約書などにおいて定めた条項
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株主総会の普通決議とは?
株主総会に出席した株主の議決権の過半数で決議できるもので、決議事項には、取締役や会計監査人の選任・解任や、監査役の選任、計算書類の承認などがあります。
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株主総会の特別決議は?
株主総会に出席した株主の議決権の3分の2を得る必要があります。特別決議での決議事項には、監査役の解任や、定款の変更、事業の譲渡などの組織再編があります
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取締役会議事録について
「出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない」と定められています(会社法第369条)。 取締役会が開催された日時及び場所を記載する必要があるとされています(会社法施行規則第101条)。 取締役会の日から10年間、本店に備え置かなければならないとされています(会社法第371条)。 監査役設置会社においては、閲覧や謄写の請求にあたって、裁判所の許可を得る必要があるとされています(会社法第317条)。
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株主総会について
議事録を作成しなければならないことは定められています(会社法第318条)が、署名や記名押印に関しては特段定められておりません。 株主総会が開催された日時及び場所を記載する必要があるとされています(会社法施行規則第72条)。 株主総会の日から10年間、本店に備え置かなければならないとされています 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも閲覧や謄写の請求ができると定められています(会社法第318条)。
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株主総会の招集通知は、取締役会設置会社では、原則として会日の何週間前までに発する必要があるか?
2週間前 短縮不可
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株式譲渡制限会社では、招集通知を会日の何週間前までに発すれば足りるか?
1週間前 取締役会を設置しない場合、定款に定めれば短縮可
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株主が株主総会での特定の議題について提出しようとする議案の要領を株主に通知することを請求するには、取締役会設置会社では何の議決権が必要か?
総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6ヶ月前から引き続き有することが必要で、かつ、会日の8週間前までに取締役に請求する必要があります。 まず、株主総会における目的である事項を議題といい、たとえば、「取締役の選 任」などが該当する。次に議題に対する具体的な要領(内容 を議案という。たと えば、「取締役の選任」という議題であれば、「甲を取締役に選任せよ」という内容 が、議案に該当する。なお、議案については、①法令もしくは定款に違反する内容 の場合、または②実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の 10分の1 (定款で引下げ可)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、提案できない。
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株主総会において特定の議題に関する議案を提出する場合、株主の保有議決権数や株式保有期間に制限はあるか?
取締役会設置会社でも、保有議決権数や株式保有期間の制限はありません。 まず、株主総会における目的である事項を議題といい、たとえば、「取締役の選 任」などが該当する。次に議題に対する具体的な要領(内容 を議案という。たと えば、「取締役の選任」という議題であれば、「甲を取締役に選任せよ」という内容 が、議案に該当する。なお、議案については、①法令もしくは定款に違反する内容 の場合、または②実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の 10分の1 (定款で引下げ可)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、提案できない。
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株主が提案する議案が拒絶される場合の条件は何か?
株主の提案する議案が法令や定款に違反する場合、または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合には、会社はその提案を拒絶することができます。
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議案要領の通知請求権とは?
株主総会において株主が提案しようとしている「議案」の内容を、株主に通知する株主総会招集通知に載せることを、取締役に請求できる権利になります。改正会社法が令和3年3月1日に施行されましたが、そこで取締役設置会社の株主が議案要領通知請求権を行使する場合に、同一の株主総会に提案することができる議案の数の上限を10に制限することとされました。 議案要領の通知請求権により、株主総会に提案する議案の数に上限の規制がかかりますが、議題提案権や議案提案権による議題や議案の数に上限の規制はかかりません。
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株式会社の機関まとめ
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取締役の任期は?
選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時までとなっています。公開会社ではない会社の特則(任期の伸長)において、定款により、選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時まで伸長可能です。任期の短縮については、定款又は株主総会の決議によって短縮可能となっています。
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監査役の任期は?
選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時までとなっています。公開会社ではない会社の特則(任期の伸長)として、定款により、選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時まで伸長可能です。任期の短縮については、定款又は株主総会の決議によって短縮不可です。
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監査役設置会社における監査役について
・会社法387条に、「監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。」と規定されています。 ・会社法381条2項にて、「監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。」 ・会社法335条2項にて、「監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役を兼ねることができない。」と規定されています。 ・会社法385条にて、「監査役は、取締役が法令若しくは定款に違反する行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査役設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該行為をやめることを請求することができる。」と規定されています。
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譲渡制限株式会社の特徴は?
・議決制限株式とは、株主総会における議決権の行使に制限がある株式のことです。公開会社においては議決権制限株式数が発行済株式総数の2分の1を超えた場合は、2分の1以下にするための措置を取らなければなりませんが、譲渡制限株式会社には2分の1を超えて議決権制限株式を発行することに制限はありません。 ・社債を発行することは可能です。 ・剰余金の配当を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いをする旨を定款で定めることは可能です。 ・定款に株券を発行する旨が記載されていれば、株券を発行することが可能となります。
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株式会社を設立する為の定款について
定款に記載しなければならない事項としては、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額、またはその最低額、発起人の氏名または名称および住所の5つがあります。 定款は書面により作成したものだけではなく、電磁的記録によって作成された電子定款があります。電子定款とは、PDFで作成した定款を電子認証したものとなります。 株式会社の発起人の人数は1名以上となります。 以前は最低資本金制度がありましたが、現在は最低資本金の制限はありません。
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株式会社において、取締役は、原則1人以上いれば良いですが、取締役会を構成するには、何人必要か?
3人以上の取締役が必要
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公開会社かつ大会社である監査役設置会社において社外取締役の設置はどうなるのか?
必須とされています
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監査役の設置は?
原則任意となっています。ただし、取締役会を設置した場合は、原則は監査役を設置する必要があります。ただし、株式譲渡制限会社で取締役会を設置した場合、会計参与を設置すれば、監査役は必要ありません。 また、監査役会を設置するには、3人以上の監査役が必要で、かつそのうち半数以上は社外監査役である必要があります。
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取締役会の決議に参加し、当該決議に係る議事録に異議をとどめないものは?
その決議に賛成したものと推定されます(会社法369条5項)
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監査役会の決議に参加した監査役で、当該決議に係る議事録に異議をとどめないものは?
その決議に賛成したものと推定されます(会社法393条4項)。
95
取締役会の開催頻度は?
代表取締役等は職務執行の状況報告を3か月に1回以上実施しなければならないため、取締役会は3か月に1回以上開催しなければなりません(会社法363条2項)。
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監査役会の開催頻度は?
取締役会が開催される月には開催しなければならないとする規定は、特にありません。
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取締役会の招集手続の省略の条件は?
取締役・監査役の全員が招集手続の省略に同意すれば、招集手続を省略して開催することができます。取締役とともに監査役の同意も必要となります(会社法368条2項)。
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監査役会の招集手続を省略する条件は?
監査役会は、監査役の全員が招集手続の省略に同意すれば、招集手続を省略して開催することができます(会社法392条2項)。
99
監査役会設置会社の特徴は?
3名以上の監査役が選任され、監査役のうち半数以上は、社外監査役でなければならないとなっています(会社法335条3項)。
100
株主総会議事録や取締役会議事録の議事録の備え置き義務について
10年間、本店に備え置かなければならないとされています(会社法第318条)。
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