レジュメ①・純資産・リース
問題一覧
1
静態論では, 企業会計の目的を企業の債務弁済能力の開示による債権者保護に置くため、 貸借対照表は企業の財産価値を表示する手段としての本質を有する。 これによれば, 資産は換金能力を有するものに限定されるため, 繰延資産は貸借対照表能力を有さない。 動態論では,企業会計の目的を企業の収益力の開示による投資家保護に置くため、 貸借対照表は収支と損益の期間帰属のズレを収容する残高表としての本質を有する。 これによれば, 資産は適正な期間損益計算のために必要とされるものが幅広く計上されるため, 繰延資産も貸借対照表能力を有する。
2
収益費用アプローチと資産負債アプローチは,いずれもクリーン・サープラス関係を前提としている。 クリーン・サープラス関係とは、ある期間における資本の増減 (資本取引による増減を除く)が当該期間の利益と等しくなる関係をいい, 資本取引がないと仮定すると、 損益計算書で算定された期間利益と貸借対照表の純資産の一会計期間における変動額が一致することを意味する。
3
収益費用アプローチの観点からは、 将来発生する保証費が当期の製品販売による収益の獲得に貢献する費用と考えられるため, 収益と費用を合理的に対応させるべく、 当期に保証費を見越計上し, その相手勘定として製品保証引当金を負債に計上することに合理性がある。 資産負債アプローチの観点からは、 保証付販売という過去の事実から生じた将来の保証費の支払義務を負っていることから, 製品保証引当金を負債に計上することに合理性がある。
4
収益費用アプローチの観点からは、 将来発生する修繕費が当期の固定資産の稼動を通じた収益の獲得に貢献する費用と考えられるため, 収益と費用を合理的に対応させるべく、 当期に修繕費を見越計上し, その相手勘定として修繕引当金を負債に計上することに合理性がある。 資産負債アプローチの観点からは, 操業停止や設備の廃棄をした場合には修繕が不要となることから、義務を負っているとは考えられないため、 修繕引当金を負債に計上することには合理性はない。
5
取得原価主義によれば, 費用性資産の費用化額は過去の支出額。 すなわち投下された貨幣の名目額により測定されるため, 期間利益が投下された貨幣の名目額を上回って回収された余剰として算定される。したがって、 名目資本維持概念が取得原価主義と結びつく。
6
帰納的アプローチとは, 現実に行われている会計実務を観察し, その中からよりいっそう一般的共通的なものを抽出することによって会計基準を設定する方法をいう。 演繹的アプローチとは、会計の前提となる仮定や会計の目的, 資産 負債などの基礎概念を先に規定したうえで, この基礎概念と矛盾しないようなルールを導き出すことによって会計基準を設定する方法をいう。 帰納的アプローチは,すでに実務で広く普及した会計処理方法から会計基準が構成されているため, 遵守されやすいという長所がある反面, 次の短所が指摘される。 ・現状是認的なルールが形成されやすいため、 現行の実務に問題があっても, それを改善するような会計基準が形成されにくい。 過去に存在しない新たな取引や事象が発生した場合には, いまだ会計慣行が成熟していないため,これに対応した会計基準を設定することができない。 個別のトピックスごとに形成された会計基準は,相互に矛盾をきたす可能性があり,会計基準全体の整合性や首尾一貫性が確保される保証がない。
7
資本取引とは, 企業の株主資本を直接的に増減させることを目的として行われる取引をいいこれにより株主資本が直接的に増減する。 損益取引とは、企業が利益の獲得を目指して行う取引をいい, これにより株主資本が間接的に増減し、利益剰余金の増減変化として表れる。 適正な期間損益計算のためには、 株主資本を増減させる取引のうち, 企業の成果と関連しない資本取引を期間損益計算の構成要素から除外し、 損益取引のみを期間損益計算の構成要素としなければならないため, 資本取引と損益取引の区別が必要とされる。
8
① 両者を混同すると, 分配可能性を特質とする利益剰余金から行われるべき利益の分配が維持拘束性を特質とする資本剰余金の中から行われるおそれがあるため、 債権者を保護し、 株主と債権者の利害調整を図る観点から, 両者の混同禁止が要請される。 ② 資本剰余金は資本取引を源泉とし, 利益剰余金は損益取引を源泉とするが, この源泉を明らかにすることが投資家の合理的な意思決定に役立つため、 投資家への情報提供の観点から, 両者の混同禁止が要請される。
9
・会計方針を毎期継続して適用することで財務諸表の期間比較可能性を確保するため。 会計方針をみだりに変更することを禁止することで, 経営者の恣意的な利益操作を排除するため。
10
説明 保守主義の原則とは、 企業の財務健全性を確保する観点から, 収益と資産の計上は控えめに行う一方で、費用と負債の計上は積極的に行うことによって, 期間利益を少なめにおさえるべきとする思考をいう。 適用場面 同一の会計事実に対して複数の代替的な会計処理方法が認められている場合 ・会計上の見積りや判断に一定の幅がある場合
11
期間利益が備えるべき特質としては, 分配可能性, すなわち貨幣的裏付けのある分配可能な利益であることと, 業績表示性, すなわち企業の業績を的確に表示する利益であることの2つが挙げられる。 財務会計の機能のうち、利害調整機能の観点からは,算定される期間利益には分配可能性が求められ、 情報提供機能の観点からは,算定される期間利益には業績表示性が求められる。
12
実現主義とは, ①企業外部の第三者に対する財貨の引渡または役務の提供 ②その対価としての現金または現金等価物 (貨幣性資産) の受領の2要件が満たされた時点で収益を認識する基準をいう。 実現主義による収益の認識は、外部の第三者との取引事実に基づくため, 収益に確実性・客観性が具備され、 また, 外部の第三者から対価としての現金または現金等価物を受領するため, 貨幣的裏付けのある収益が計上される。 これにより、 発生主義では不可能だった分配可能性のある利益計算が可能となるため, 原則として実現主義により収益の認識が行われる。
13
適正な期間損益計算の見地からは、一会計期間の成果とこれを獲得するための努力を対応させて、両者の差額をもって純成果たる期間利益を算定すべきであるが, 成果たる収益は実現主義,努力たる費用は発生主義によりそれぞれ認識されるため,両者には必ずしも対応関係があるわけではない。 そこで、 発生費用のうち成果たる実現収益に対応する部分だけが, 費用収益対応の原則によって選び出されて期間費用とされる。 このように, 費用収益対応の原則は、適正な期間損益計算のために期間費用を決定する原則として機能する。
14
収支額基準では収益及び費用が取引当事者の合意に基づいた金額により測定されるため, 数値の客観性と確実性が高く, 結果として測定値に信頼性が付与されることから, 収益及び費用の測定には当該基準が採用される。 これにより, 費用は投下された資本の金額, 収益は回収された資本の金額に基づき計上されるため, 期間利益として投下資本を上回って回収された資本の金額,すなわち分配可能利益が計算される。
15
取得原価に算入することができるのは, ①建設に要する借入資本の利子で②稼働前の期間に属するものである。自家建設中の固定資産はまだ収益の獲得に貢献していないため、 費用のみを先に計上すると,収益と費用が対応しない。 そこで、 借入資本利子を取得原価に算入することにより、 減価償却による費用化を通じて、 将来の収益との対応を図ることができるため、 取得原価への算入が容認されている。
16
自己所有の固定資産と交換に固定資産を取得した場合、 交換に供された自己資産の適正な薄価をもって取得した固定資産の取得原価とする。 このような処理をするのは、 同一種類, 同一用途の固定資産間の交換では、譲渡資産と取得資産との間に投資の継続性が認められ、会計上両者を同一視することができ, 実質的に取引がなかったものと考えられることを理由とする。
17
自己所有の有価証券と交換に固定資産を取得した場合、 交換に供された有価証券の時価(時価が不明な場合は適正な簿価) をもって取得した固定資産の取得原価とする。 このような処理をするのは、異種資産の交換では、 取得資産と譲渡資産との間に投資の継続性は存在せず, 譲渡資産をいったん時価で売却し、その代価で取得資産を購入したと考えられることを理由とする。
18
資産の取得原価は取引事実を忠実に表現するべきものであるから, 支払対価がゼロであるならばゼロで評価すべきであるとするのがこの方法の論拠である。 取得原価をゼロとした場合、 経済的便益を有する資産が薄外処理されるため、適正な財政状態を示さず,また, 資産の利用により収益獲得に貢献した場合でも、 減価償却による費用配分が行われないため、適正な期間損益計算ができない。 これにより、 同種の固定資産を使用している他社との比較が困難になるという問題点が指摘される。
19
減価償却は、適正な費用配分を行うことによって, 期間損益を適正に算定することを目的として行われる。 有形固定資産は全体として経営活動に役立つものであり, 経済的価値の減少を客観的物量的に把握することは通常できないことから, 適正な期間損益計算を行うためには,その消費パターンを仮定し, 恣意性を排除すべく, 計画的, 規則的に費用配分を行う必要がある。
20
減価償却の資金留保効果とは、 減価償却費が非現金支出費用であることから, 貨幣性資産の流入を伴う収益のうち, 減価償却費に相当する部分が資金として企業内部に留保される効果をいう。 これは, 費用配分により適正な期間損益計算を行うという減価償却の目的を達成するうえで、副次的に得られる効果である。
21
繰延資産は、適正な期間損益計算、 すなわち, 収益と費用の合理的な対応を図る見地から計上される。すなわち, 当期に発生した費用でも、 将来の収益の獲得に貢献すると期待されるものについては, 費用と収益との対応関係を重視して、 将来の費用とするために資産として繰延べる必要があるが,これにより計上されるのが繰延資産である。
22
繰延資産に計上することができる株式交付費は、 企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動に係る費用として, 支出の効果が将来に及ぶものに限定されるため,これに該当しない株式分割, 無償交付等に係る費用を繰延資産に計上することはできない。
23
・株式交付費は株主との資本取引に伴って発生するものであるが, その対価は株主に支払われたものではないため, 株式交付費の支出自体は資本取引ではない。 ・株式交付費は社債発行費と同様, 資金調達を行うために要する支出額であり, 財務費用としての性格が強い。 ・資金調達の方法は会社の意思決定によるものであり, その結果として発生する費用もこれに依存することになるため, 資金調達に要する費用を会社の業績に反映させることが, 投資家への有用な情報を提供することになると考えられる。
24
「企業会計原則注解」 では, 引当金の要件として, ①将来の特定の費用または損失であること②その発生が当期以前の事象に起因すること,③当該事象の発生の可能性が高いこと,④その金額を合理的に見積ることができることの4つを挙げており、討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 における負債の定義である義務またはその同等物であることは要件とはされていない。そのため、負債の定義を満たさないものが引当金として負債に計上される可能性がある。 また, 引当金の要件として、 発生の可能性が高いことが求められているため, 発生の可能性の低い偶発事象について引当金を計上することはできない。
25
費用性引当金 将来の特定の費用に対応する収益が当期に実現したならば、 財貨または役務の費消が生じていなくても, その可能性が高い限り, 適正な期間損益計算の観点から 費用収益対応の原則により引当金繰入額を当期の費用として認識し、当期の 実現収益に対応させることが必要である。 損失性引当金 将来の特定の損失は、当期の収益との対応関係は認められず, その計上を費用収益の対応による適正な期間損益計算の観点から根拠づけられないため, 財務健全性の確保のための保守主義の原則に計上根拠が求められる。
26
将来の修繕に係る支出を引当金に計上する方法の論拠は, 費用収益対応の原則に求められる。すなわち, 適正な期間損益計算の観点から、 将来の修繕に係る費用を当期の費用として認識し,当期の実現収益に対応させることが必要だからである。 しかし, この方法で計上される引当金は,法的な債務性がないため, 負債の定義を満たさないという問題点が指摘される。 この問題点は,修繕に要した支出をそれまでの減価の回復とみて資産計上し,これが次回の修繕までの期間にわたって減価するものとして, 減価償却により支出後の期間に配分する方法を採用することにより解消される。
27
財務報告の目的は, 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような, 企業の財務状況の開示である。 具体的には, 投資家の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、自己の責任で将来を予測し投資の判断をする人々のために、 企業の投資のポジションとその成果を測定して開示することである。
28
財務報告において提供される情報の中で、 特に重要とされるものは投資の成果を示す利益情報である。 利益情報は基本的に過去の成果を表すが、 企業価値評価の基礎となる将来キャッシュフローの予測に広く用いられているからである。
29
投資の成果の絶対的な大きさのみならず, それを生み出す投資のストックと比較した収益性(あるいは効率性) も重視されることを考えれば, 利益の情報を利用することは、同時に, 利益を生み出す投資のストックの情報を利用することも含意しているからである。
30
会計情報は企業価値の推定に資することが期待されているが, 企業価値を主体的に見積るのは自らの意思で投資を行う投資家であり, 会計情報には企業価値それ自体を表現することではなく, その見積りにあたって必要な, 予想形成に役立つ基礎を提供する役割だけが期待されている。
31
投資家の役割は、開示された情報を利用して、 自己の責任で将来の企業成果を予想し、 現在の企業価値を評価することである。 一方, 経営者には、 投資家がその役割を果たすのに必要な情報を開示することが期待されている。 すなわち, 予測は投資家の自己責任で行われるべきであり,経営者が負うべき責任は基本的には事実の開示である。
32
討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」では、 情報提供機能を果たすことが財務報告の目的として位置付けられており, 利害調整機能は提供された会計情報の副次的な利用の側面として位置付けられている。
33
会計情報に求められる最も基本的な特性は, 意思決定有用性である。 なぜなら, 財務報告の目的は, 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような, 企業の財務状況の開示であるが,この目的を達成するにあたり、会計情報には、投資家が企業の不確実な成果を予測するのに有用であることが期待されているからである。
34
意思決定との関連性と信頼性は, 意思決定有用性を直接支える特性であり, 会計情報が利用者の意思決定にとって有用であるか否かを直接判定する規準として機能する。 内的整合性と比較可能性は, 会計情報が有用であるために必要とされる最低限の基礎的な条件であり,これらの特性によって意思決定有用性が直接的に判断されるわけではないが,しばしば,これらは, 意思決定との関連性や信頼性が満たされているか否かを間接的に推定する際に利用される。
35
この2つの特性は, 意思決定との関連性と比較可能性である。 意思決定との関連性は, 信頼性とともに, 会計情報に求められる最も基本的な特性である意思決定有用性を直接支える特性であり, 会計情報が利用者の意思決定にとって有用であるか否かを直接判定する規準として機能する。 これに対して, 比較可能性は, 会計情報が有用であるために必要とされる最低限の基礎的な条件であり,この特性によって意思決定有用性が直接的に判断されるわけではない。 したがって,この2つの特性間において, 意思決定との関連性は比較可能性に優先するという関係にある。
36
マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報は、財務諸表利用者が経営者の視点で企業を見ることにより, 経営者の行動を予測し, その予測を企業の将来キャッシュ・フローの評価に反映することが可能になるため, 意思決定との関連性の観点からメリットがある。 一方で、 当該セグメント情報は、 企業の組織構造に基づく情報であるため、 企業間の比較を困難にし、 また同一企業の年度間の比較が困難になるため, 比較可能性の観点からデメリットがある。
37
財務報告の目的は、 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような, 企業の財務状況の開示であり, 投資家は開示された情報を利用して、 自己の責任で将来の企業成果を予想し、現在の企業価値を評価する。そのため、 経営者には投資家がその役割を果たすのに必要な情報を開示することが期待されているが, 財務報告の目的を達成するために、 経営者が負うべき責任は基本的には事実の開示である。この点 自己創設のれんの計上は、経営者による企業価値の自己評価 自己申告を意味し, 事実の開示には該当しないため、 財務報告の目的に反する。したがって 自己創設のれんを計上することは認められない。
38
討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 において, 資産とは, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源と定義されている。 ここでいう支配とは,所有権の有無にかかわらず, 報告主体が経済的資源を利用し, そこから生み出される便益を享受できる状態をいい, 経済的資源とは, キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をいう。
39
繰延税金資産は, 過去に生じた将来減算一時差異等について、 将来の当該差異等の解消期間における法人税等の支払額の減額を意味し, 法人税等の前払額に相当する。 これは, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源という資産の定義に合致するため,繰延税金資産には資産性がある。
40
繰延資産は,既に役務の提供を受けているために, それ自体に換金能力はないが, 将来の便益が得られると期待できるのであれば, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源という資産の定義に必ずしも反していない。したがって, 将来の便益が得られると期待できる繰延資産には資産性がある。
41
製品保証引当金は、 過去に行った保証付き販売に基づき, 将来発生することが予想される保証費の未払額であるため, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務またはその同等物という負債の定義を充足する。
42
修繕引当金は,操業停止や設備の廃棄をした場合には修繕が不要となるため, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務またはその同等物という負債の定義を充足しない。
43
株主資本は, 純資産のうち報告主体の所有者である株主 (連結財務諸表の場合には親会社株主) に帰属する部分と定義されている。
44
投資の成果を表す利益の情報は、 企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュフローの予測に広く用いられている。 ここで、利益情報の主要な利用者であり受益者であるのは,報告主体の企業価値に関心を持つ当該報告主体の (現在及び将来の) 所有者である。 そのため, 純利益に対応する株主資本は, 報告主体の所有者である株主に帰属するものと位置付けられる。
45
投資のリスクとは投資の成果の不確定性のことである。 投資のリスクからの解放とは 投資にあたって期待された成果が事実として確定することを意味する。
46
企業の投資の成果は、最終的には、投下した資金と回収した資金の差額にあたるネット・キャッシュフローであり, 各期の利益の合計がその額に等しくなることが、利益の測定にとって基本的な制約になる。 包括利益と純利益はともにこの制約を満たす。
47
包括利益のうち, 投資のリスクから解放されていない部分を除き、 過年度に計上された包括利益のうち期中に投資のリスクから解放された部分を加え、 非支配株主に帰属する純利益を控除すると, (親会社株主に帰属する) 純利益が求められる。
48
① これは過去にその他の包括利益として認識された項目を、 当期純利益を構成する項目として認識しない方法であり、 その他の包括利益が実現した際に利益剰余金に直接加減する。 そのため、 「純利益=リスクから解放された投資の成果 (実現利益)」 の関係。 株主資本と純利益の間のクリーンサープラス関係. 純利益についての一致の原則はいずれも成立しない。 また, この方法では、 過去にその他の包括利益とされた金額を純利益の計算に含めないため、包括利益の二重計上が回避される。 ② これは過去にその他の包括利益として認識された項目を、 当期純利益を構成する項目として再度認識する方法であり、 その他の包括利益が実現した際に当期純利益を通じて利益剰余金が増減する。そのため、 「純利益=リスクから解放された投資の成果 (実現利益)」 の関係。 株主資本と純利益の間のクリーンサープラス関係、純利益についての一致の原則はいずれも成立する。また、この方法では、 過去にその他の包括利益とされた金額が純利益の計算に含められるため,そのままでは包括利益が二重に計上されるが, その他の包括利益から控除する処理を行うことにより, 包括利益の二重計上が回避される。
49
収益は、 通常 同時に資産の増加や負債の減少を伴う。 ただし、 純資産を構成する項目間の振替と同時に収益が計上される場合 (新株予約権が失効した場合や過年度の包括利益をリサイクリングした場合など)には、例外的に資産の増加や負債の減少が同時に生じない。
50
認識に関する制約条件には, ① 基礎となる契約の原則として少なくとも一方の履行があることと ② 財務諸表の構成要素に関わる将来事象が,一定水準以上の確からしさで生じると見積られることの2つがある。 これらが必要とされるのは, 履行の見込みが不確実な契約から各種の構成要素を認識したり、発生の可能性が極めて乏しい構成要素を財務諸表上で認識したりすれば, 誤解を招く情報が生み出されてしまうからである。
51
未償却原価による測定値は、 継続利用している資産について将来に回収されるべき投資の残高を表す。 つまり, この測定は, 資産の価値の測定方法としてよりも、 資産の利用に伴う費用を測定するうえで重要な意味を持つ。
52
有形固定資産は事業の遂行を通じてキャッシュフローを獲得することを目的とした事業投資であり,その利用により将来回収されるべき投資の残高たる取得原価が投資家にとって有用な情報を表す。 これに対し、 売買目的有価証券は事業の目的に拘束されず, 保有資産の値上りによる利益を獲得することを目的とした金融投資であり, 処分によって得られる資金の額たる時価が投資家にとって有用な情報を表す。 このように, 有形固定資産と売買目的有価証券は、 投資家にとって有用な情報が異なるため、 評価基準が異なる。
53
リスクを調整した割引率による割引価値は、 負債の市場価格を推定する際に意味を持つことがある。この測定値により負債を測定すると, 報告主体の信用リスクが増大した場合に、負債が減少し収益が計上されることになるため、 会計情報が投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立たなくなるという問題がある。
54
事業の遂行を通じてキャッシュフローを獲得することを目的とした事業投資については、事業のリスクに拘束されない独立の資産を獲得したとみなすことができるときに, 投資のリスクから解放されると考えられるため、当該資産の獲得時点において投資の成果が認識される。 事業の目的に拘束されず, 時価の変動によって利益を獲得することを目的とした金融投資に生じる価値の変動は, そのまま期待に見合う事実として、リスクから解放された投資の成果に該当すると考えられるため、 当該価値の変動時点において投資の成果が認識される。
55
市場における販売を通じた成果の獲得を期待して行われる通常の商品 製品販売では, 不特定多数の顧客に販売することを想定しているため、 買手を探し出せるかどうかの不確実性、すなわち販売リスクが存在している。 そこで、 通常の商品 製品販売においては、一連の営業過程のうち販売が完了し、販売リスクから解放される時点で投資のリスクから解放されると考えられるため、 販売時に収益を認識する販売基準が採用される。
56
売買目的有価証券は、 時価の変動によって利益を獲得することを目的としており、 また、売却することに事業遂行上の制約はないため、 時価の変動が生じた時点で, 投資にあたって期待された成果が事実として確定したと考えることができる。 したがって, 売買目的有価証券の時価評価差額を収益として認識することは適切といえる。
57
その他有価証券は、 保有目的が明確に認められず,また, 事業遂行上等の必要性から直ちに売買換金を行うことには制約を伴う要素もあるため、 時価の変動が生じた時点では, 投資にあたって期待された成果が事実として確定したと考えることはできない。 したがって, その他有価証券の時価評価差額を収益として認識することは適切とはいえない。
58
資本については, 一般に, 財務諸表の報告主体の所有者に帰属するものと理解されていたため、 株式会社の場合、 従来の 「資本の部」 は株主に帰属するものという特徴があり,これが差額としての純資産となるように資産及び負債が取扱われてきた。 これに対し, 「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 では,まず, 貸借対照表上, 資産性または負債性をもつものを 「資産の部」 または 「負債の部」 に記載することとし, それらに該当しないものは資産と負債との差額として 「純資産の部」に記載することとしたため,「純資産の部」は差額概念という特徴を有している。 このように変更された結果、 貸借対照表において報告主体の支払能力などの財政状態をより適切に表示することが可能となるものと考えられる。
59
資産や負債を明確にすれば,これらの差額がそのまま資本となる保証はない。 このため, 貸借対照表の区分において、 報告主体の所有者に帰属する資本とは必ずしも同じとはならない資産と負債との単なる差額を適切に示すように,これまでの 「資本の部」 という表記を「純資産の部」に代えた。
60
① 繰延ヘッジ損益 変更前: 損益計算の観点から, 資産または負債として繰り延べられる項目として取扱われていた。 変更理由 資産性または負債性を有しないため。 ② 新株予約権 変更前: 将来, 権利行使され払込資本となる可能性がある一方, 失効して払込資本とはならない可能性もあり, 権利行使の有無が確定するまでの間,その性格が確定しないことから, 仮勘定として負債の部に計上することとされていた。 変更理由 返済義務のある負債ではないため。 ③ 非支配株主持分 変更前 返済義務のある負債でもなく, また, 連結財務諸表における親会社株主に帰属するものでもないため、負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示することとされていた。
61
株主資本と株主資本以外の各項目との区分は、 帰属の観点から行われる。すなわち, 「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準』 では, 純資産のうち報告主体の所有者たる株主に帰属する部分について, 「株主資本」という名称を用いることで株主に帰属するものであることをより強調し、株主に帰属しない部分と明確に区分している。
62
報告主体の所有者に帰属する利益は、企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュ・フローの予測やその改訂に広く用いられており、 財務報告における情報開示の中で特に重要と考えられている。 当該情報の主要な利用者であり受益者であるのは、 報告主体の企業価値に関心を持つ当該報告主体の現在及び将来の所有者 (株主) であると考えられるため, 報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本は重視される。 そこで, 当期純利益と株主資本を重視し、また、資産と負債との差額である純資産と株主資本が同義ではないことを明示するためには、株主資本を他の純資産に属する項目から区分することが適当であることから, 純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分することとされている。
63
純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分した結果、損益計算書における当期純利益の額と貸借対照表における株主資本の資本取引を除く当期変動額は一致することとなり, 資本と利益の連繋が確保されることとなった。
64
評価・換算差額等は, 資産性または負債性を有しないため, 純資産の部に記載する。また, 評価・換算差額等を株主資本と区別することで, 当期純利益が資本取引を除く株主資本の変動をもたらすという関係を明瞭化でき, このことが会計情報の信頼性を高め、 企業評価に役立つものと考えられるため, 評価・換算差額等は株主資本とは区別して記載する。
65
純資産のうち報告主体の所有者である株主に帰属する部分である株主資本は, 払込資本と留保利益から構成される。 ここで, 評価・換算差額等は、 払込資本ではなく,かつ,未だ当期純利益に含められていないため留保利益にも該当しない。 したがって, 評価・換算差額等は株主資本には該当しないため, 株主資本とは区別して記載する。
66
新株予約権は, 返済義務のある負債ではなく、 負債の部に表示することは適当ではないため,純資産の部に記載する。 また, 新株予約権は, 報告主体の所有者である株主とは異なる新株予約権者との直接的な取引によるものであり, 株主に帰属するものではないため, 株主資本とは区別して記載する。
67
新株予約権は,将来, 権利行使されれば払込資本となり, 失効すれば利益になるが,いずれにしても株主資本を構成し, 報告主体の所有者である株主に帰属することになるため。
68
非支配株主持分は、 返済義務のある負債ではなく, また, 中間区分を設けることには問題があるため, 純資産の部に記載する。 また, 非支配株主持分は, 子会社の資本のうち親会社に帰属していない部分であり、 親会社株主に帰属するものではないため, 株主資本とは区別して記載する。 この取扱いは、 親会社株主に帰属する当期純利益と株主資本との連繋にも配慮したものである。
69
これらの区分は帰属の観点から行われている。 この観点から, 株主資本以外の項目は, ① 投資のリスクから解放されておらず, いずれにも帰属しないその他の包括利益累計額, ② 報告主体の将来の所有者となり得るオプションの所有者に帰属する新株予約権, ③子会社の資本のうち子会社の非支配株主に帰属する非支配株主持分の3つに区分される。
70
資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金を利益剰余金へ振替えることを無制限に認めると、 払込資本と払込資本を利用して得られた成果を区分することが困難になり、 また、資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金をその他資本剰余金に区分する意味がなくなるため、 資本剰余金の各項目と利益剰余金の各項目の混同は禁止される。
71
払込資本と留保利益の区分が問題になるのは、同じ時点で両者が正の値であるときに、両者の間で残高の一部または全部を振り替えたり, 一方に負担させるべき分を他方に負担させるようなケースである。したがって、 負の残高になった利益剰余金を、 将来の利益を待たずにその他資本剰余金で補うのは、 払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであるため、 払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらず. 資本剰余金と利益剰余金の混同に該当しない。
72
期中において発生した利益剰余金の負の値を、その都度資本剰余金で補てんすることは、 年度決算単位でみた場合、 資本剰余金と利益剰余金の混同になることがあるため。
73
① この考え方は、自己株式を取得したのみでは株式は失効しておらず、他の有価証券と同様に換金性のある会社財産とみられることを論拠とする。 ② この考え方は、 自己株式の取得は株主との間の資本取引であり、 会社所有者に対する会社財産の払戻しの性格を有することを論拠とする。
74
① この方法は、通常の有価証券と同様に自己株式にも換金性があり、 価値のあるものを受取っている限り、その側面を適切に表すために, 自己株式を時価で測定し認識すべきことを論拠とする。 ② この方法は、自己株式を無償で取得しても、 取得した会社にとっては資産が増加せず, 贈与した株主が有していた持分が他の株主に移転するのみ、 すなわち新旧株主間の富の移転が生じているのみであることを論拠とする。 制度会計上, 自己株式の取得は、 株主との間の資本取引であり、 会社所有者に対する会社財産の払戻しと位置付け 純資産の部の株主資本から控除する会計処理を採用しているが、その考えとの整合性からは、 ①の換金可能な資産としての側面に着目し、 自己株式を時価で測定する方法は適切ではないと考えられるため、②の自己株式の数のみの増加として処理する方法が採用されている。
75
① この方法は、 自己株式を取得したのみでは発行済株式総数が減少するわけではなく、取得後の処分もあり得る点に着目し、 自己株式の保有は処分または消却までの暫定的な状態であると考えることを論拠とする。 この方法の背後には、 自己株式の取得と処分を一連の取引とみる考え方がある。 ② この方法は、自己株式の取得を自己株式の消却に類似する行為であると考えることを論拠とする。この方法の背後には、 自己株式の取得と処分を別個独立した取引とみる考え方がある。
76
自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮すると, その処分差額も株主からの払込資本と同様の経済的実態を有すると考えられるため。
77
自己株式処分差損については、 自己株式の取得と処分を一連の取引とみた場合, 純資産の部の株主資本からの分配の性格を有すると考えられる。この分配については、 払込資本の払戻しと同様の性格を持つものとみて、 資本剰余金の額の減少とする考え方と, 株主に対する会社財産の分配という点で利益配当と同様の性格であるとみて、 利益剰余金の額の減少とする考え方がある。 自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮すると, 利益剰余金の額を増減させるべきではないことから, 制度会計上は資本剰余金の額の減少とする考え方が採用されている。
78
① この方法は, 自己株式を資産として扱う考え方と整合的な方法であり、 自己株式の取得及び処分が、 既発行株式の売買によって行われることを論拠とする。 ② この方法は、 自己株式を資本の控除として扱う考え方と整合的な方法であり、 自己株式の取得及び処分が,株主への資本の払戻し及び株主からの資本の払込みの性格を有することを論拠とする。
79
① この考え方は, 付随費用を財務費用と考え, 損益取引とする方法である。 これは, 付随費用は株主との間の資本取引ではない点に着目し,会社の業績に関係する項目であるとの見方に基づくものである。 ② この考え方は, 付随費用を自己株式本体の取引と一体と考え, 資本取引とする方法である。これは,自己株式の処分時及び消却時の付随費用は, 形式的には株主との取引ではないが, 自己株式本体の取引と一体であるとの見方に基づくものである。 制度会計上,新株発行費用を株主資本から減額していない処理との整合性から, 付随費用を損益計算書に計上する方法が採用されている。
80
・株式交付費は株主との資本取引に伴って発生するものであるが, その対価は株主に支払われたものではないため, 株式交付費の支出自体は資本取引ではない。 株式交付費は社債発行費と同様, 資金調達を行うために要する支出額であり, 財務費用としての性格が強い。 ・資金調達の方法は会社の意思決定によるものであり, その結果として発生する費用もこれに依存することになるため, 資金調達に要する費用を会社の業績に反映させることが, 投資家への有用な情報を提供することになると考えられる。
81
自己新株予約権の取引は、 株主との資本取引ではなく, 新株予約権者との損益取引であるため、自己新株予約権は資産性を有する。
82
自己新株予約権の取得時には,その後,当該自己新株予約権を消却するか処分するかが必ずしも明らかではないため。
83
自己新株予約権は資産性を有するため, 資産の部と純資産の部とに両建て表示する方法も考えられるが, 自己新株予約権を取得する取引は自らが発行した新株予約権の買戻しであることから、純資産の部の新株予約権と相殺表示する方が実態に即していると考えられるため。
84
その他資本剰余金は、 払込資本から配当規制の対象となる資本金及び資本準備金を控除した残額であり、 払込資本の残高が負の値となることはあり得ない以上、 払込資本の一項目として表示するその他資本剰余金について、 負の残高を認めることは適当ではないため。
85
その他資本剰余金の残高が負の値になった都度, その他利益剰余金で補てんしてその他資本剰余金の額を確定すると, その他資本剰余金の額の増減が同一会計期間内に反復的に起こった場合に増加と減少の発生の順番が異なる場合に結果が異なり、不合理であるため。
86
払込資本に生じた毀損を留保利益で埋め合わせるのは,その期に完結する処理であり, そこで充当した留保利益を翌期以後の資本取引に基づく剰余金と入れ替えて元に戻すのは適切ではないため。
87
連結子会社が保有する親会社株式は、 企業集団で考えた場合、 親会社の保有する自己株式と同様の性格を有するため
88
・持分比率の変動を認識しなかった場合, 実際に非支配株主が減少しているのに, 減少に見合う非支配株主に帰属する当期純利益及び非支配株主持分の減少が認識されないことになること。 会社法では,自己株式の保有目的を限定していないため, 子会社による自己株式の保有が, 長期間継続することが想定されること。
89
土地の経済的耐用年数は無限であるため、 所有権移転ファイナンスリース取引に該当する所有権移転条項付リース取引または行使が確実に予想される割安購入選択権付リース取引の場合を除き、フルペイアウトのリース取引に該当しないと考えられる。そのため、 土地のリース取引は、所有権移転ファイナンスリース取引またはオペレーティング・リース取引のいずれかとなり所有権移転外ファイナンス・リース取引には該当しない。
90
現在価値基準を満たすリース取引では、 借手は当該リース物件の取得価額相当額、維持管理等の費用等のほとんどすべてのコストを負担することになり, したがって、 ほとんどすべての経済的利益を享受するものと推定できるため。
91
リース取引の法的形式は賃貸借取引であるが、 解約不能とフルペイアウトの要件を満たすファイナンスリース取引は、資産を割賦売買する場合と同様の経済的実態を有する。 したがって,実質優先思考に基づき、ファイナンス・リース取引の経済的実態を財務諸表に的確に反映するために、賃貸借取引ではなく売買取引として会計処理を行うこととされている。
92
リース債務の評価の側面を考えると, リース料総額の割引現在価値を利用することが、 取得よりもリースを選択した借手の行動を反映すると考えられる。 一方、リース資産の評価の側面を考えると, リース物件の価値である手の購入価額 (または借手の見積現金購入価額) による方法が考えられる。
93
リース物件の返還が行われる所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リース物件の耐用年数とリース期間が異なる場合が多く、 物件そのものの売買というよりは、 使用する権利の売買の性格を有する。そのため, リース物件の価値に基づきリース資産及びリース債務を計上すると、資産が残存価額分過大に計上されるという問題点が指摘される。
94
所有権移転ファイナンスリース取引がリース物件の取得と同様の取引と考えられるのに対し、所有権移転外ファイナンスリース取引はリース物件の取得とは異なる性質を有し, リース物件を使用できる期間がリース期間に限定されるという特徴があるため。
95
所有権移転ファイナンスリース取引の場合は、 貸手は、手からのリース料と割安購入選択権の行使価額で回収するが、 所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合はリース料と見積残存価額の価値により回収を図る点で差異があるため。
96
① この会計処理は, セール アンド・リースバック取引の前後で経済的実態が全く変化していない点に着目し,資産の売却取引とリース取引を連続した1つの取引とみるものである。 ② この会計処理は、 法的形式は資産の売却とリースという独立した別個の取引を行っている点に着目し,資産の売却取引とリース取引を独立した別個の取引とみるものである。
97
形式的には固定資産を売却しているが, 当該固定資産を使用しているという状況は売却の前後で変わらないことから, 売却時に当該固定資産の売却損益を認識することには, 実現性の観点から問題があるため。
98
現行制度上, ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の分類は数値基準に基づき行われる。 そのため, 意図的にファイナンス・リース取引の要件を満たさないよう仕組むことによって, 資産と負債の計上を回避する機会を与えるため, 取引の経済的実態が財務諸表に的確に反映されないという問題点がある。 使用権モデルによれば, ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の分類は行われず, あらゆるリースから生じる資産と負債が貸借対照表に反映されるため、 現行制度上の取扱いの問題点を解消することができる。
99
・ファイナンスリース取引かオペレーティング・リース取引かにかかわらず, あらゆるリースから生じる資産と負債が貸借対照表上に反映される。 これにより, 比較可能性の向上につながり, また, 取引を仕組む機会を減少させることが可能となる。 ・使用権モデルに基づき計上される使用権資産及びリース料支払債務は, 概念フレームワークにおける資産及び負債の定義と整合する。
100
リース取引をリース期間中の使用権の取得と考えることから使用権資産が認識され、資産の測定に際してはリース期間におけるリース料総額の割引現在価値が用いられる。
連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
長谷川梨奈 · 98問 · 2年前連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
98問 • 2年前SO・退職・金融商品・減損・棚卸資産・ソフトウェア・資除
SO・退職・金融商品・減損・棚卸資産・ソフトウェア・資除
長谷川梨奈 · 98問 · 2年前SO・退職・金融商品・減損・棚卸資産・ソフトウェア・資除
SO・退職・金融商品・減損・棚卸資産・ソフトウェア・資除
98問 • 2年前収益認識・企業結合・事業分離
収益認識・企業結合・事業分離
長谷川梨奈 · 36問 · 2年前収益認識・企業結合・事業分離
収益認識・企業結合・事業分離
36問 • 2年前問題一覧
1
静態論では, 企業会計の目的を企業の債務弁済能力の開示による債権者保護に置くため、 貸借対照表は企業の財産価値を表示する手段としての本質を有する。 これによれば, 資産は換金能力を有するものに限定されるため, 繰延資産は貸借対照表能力を有さない。 動態論では,企業会計の目的を企業の収益力の開示による投資家保護に置くため、 貸借対照表は収支と損益の期間帰属のズレを収容する残高表としての本質を有する。 これによれば, 資産は適正な期間損益計算のために必要とされるものが幅広く計上されるため, 繰延資産も貸借対照表能力を有する。
2
収益費用アプローチと資産負債アプローチは,いずれもクリーン・サープラス関係を前提としている。 クリーン・サープラス関係とは、ある期間における資本の増減 (資本取引による増減を除く)が当該期間の利益と等しくなる関係をいい, 資本取引がないと仮定すると、 損益計算書で算定された期間利益と貸借対照表の純資産の一会計期間における変動額が一致することを意味する。
3
収益費用アプローチの観点からは、 将来発生する保証費が当期の製品販売による収益の獲得に貢献する費用と考えられるため, 収益と費用を合理的に対応させるべく、 当期に保証費を見越計上し, その相手勘定として製品保証引当金を負債に計上することに合理性がある。 資産負債アプローチの観点からは、 保証付販売という過去の事実から生じた将来の保証費の支払義務を負っていることから, 製品保証引当金を負債に計上することに合理性がある。
4
収益費用アプローチの観点からは、 将来発生する修繕費が当期の固定資産の稼動を通じた収益の獲得に貢献する費用と考えられるため, 収益と費用を合理的に対応させるべく、 当期に修繕費を見越計上し, その相手勘定として修繕引当金を負債に計上することに合理性がある。 資産負債アプローチの観点からは, 操業停止や設備の廃棄をした場合には修繕が不要となることから、義務を負っているとは考えられないため、 修繕引当金を負債に計上することには合理性はない。
5
取得原価主義によれば, 費用性資産の費用化額は過去の支出額。 すなわち投下された貨幣の名目額により測定されるため, 期間利益が投下された貨幣の名目額を上回って回収された余剰として算定される。したがって、 名目資本維持概念が取得原価主義と結びつく。
6
帰納的アプローチとは, 現実に行われている会計実務を観察し, その中からよりいっそう一般的共通的なものを抽出することによって会計基準を設定する方法をいう。 演繹的アプローチとは、会計の前提となる仮定や会計の目的, 資産 負債などの基礎概念を先に規定したうえで, この基礎概念と矛盾しないようなルールを導き出すことによって会計基準を設定する方法をいう。 帰納的アプローチは,すでに実務で広く普及した会計処理方法から会計基準が構成されているため, 遵守されやすいという長所がある反面, 次の短所が指摘される。 ・現状是認的なルールが形成されやすいため、 現行の実務に問題があっても, それを改善するような会計基準が形成されにくい。 過去に存在しない新たな取引や事象が発生した場合には, いまだ会計慣行が成熟していないため,これに対応した会計基準を設定することができない。 個別のトピックスごとに形成された会計基準は,相互に矛盾をきたす可能性があり,会計基準全体の整合性や首尾一貫性が確保される保証がない。
7
資本取引とは, 企業の株主資本を直接的に増減させることを目的として行われる取引をいいこれにより株主資本が直接的に増減する。 損益取引とは、企業が利益の獲得を目指して行う取引をいい, これにより株主資本が間接的に増減し、利益剰余金の増減変化として表れる。 適正な期間損益計算のためには、 株主資本を増減させる取引のうち, 企業の成果と関連しない資本取引を期間損益計算の構成要素から除外し、 損益取引のみを期間損益計算の構成要素としなければならないため, 資本取引と損益取引の区別が必要とされる。
8
① 両者を混同すると, 分配可能性を特質とする利益剰余金から行われるべき利益の分配が維持拘束性を特質とする資本剰余金の中から行われるおそれがあるため、 債権者を保護し、 株主と債権者の利害調整を図る観点から, 両者の混同禁止が要請される。 ② 資本剰余金は資本取引を源泉とし, 利益剰余金は損益取引を源泉とするが, この源泉を明らかにすることが投資家の合理的な意思決定に役立つため、 投資家への情報提供の観点から, 両者の混同禁止が要請される。
9
・会計方針を毎期継続して適用することで財務諸表の期間比較可能性を確保するため。 会計方針をみだりに変更することを禁止することで, 経営者の恣意的な利益操作を排除するため。
10
説明 保守主義の原則とは、 企業の財務健全性を確保する観点から, 収益と資産の計上は控えめに行う一方で、費用と負債の計上は積極的に行うことによって, 期間利益を少なめにおさえるべきとする思考をいう。 適用場面 同一の会計事実に対して複数の代替的な会計処理方法が認められている場合 ・会計上の見積りや判断に一定の幅がある場合
11
期間利益が備えるべき特質としては, 分配可能性, すなわち貨幣的裏付けのある分配可能な利益であることと, 業績表示性, すなわち企業の業績を的確に表示する利益であることの2つが挙げられる。 財務会計の機能のうち、利害調整機能の観点からは,算定される期間利益には分配可能性が求められ、 情報提供機能の観点からは,算定される期間利益には業績表示性が求められる。
12
実現主義とは, ①企業外部の第三者に対する財貨の引渡または役務の提供 ②その対価としての現金または現金等価物 (貨幣性資産) の受領の2要件が満たされた時点で収益を認識する基準をいう。 実現主義による収益の認識は、外部の第三者との取引事実に基づくため, 収益に確実性・客観性が具備され、 また, 外部の第三者から対価としての現金または現金等価物を受領するため, 貨幣的裏付けのある収益が計上される。 これにより、 発生主義では不可能だった分配可能性のある利益計算が可能となるため, 原則として実現主義により収益の認識が行われる。
13
適正な期間損益計算の見地からは、一会計期間の成果とこれを獲得するための努力を対応させて、両者の差額をもって純成果たる期間利益を算定すべきであるが, 成果たる収益は実現主義,努力たる費用は発生主義によりそれぞれ認識されるため,両者には必ずしも対応関係があるわけではない。 そこで、 発生費用のうち成果たる実現収益に対応する部分だけが, 費用収益対応の原則によって選び出されて期間費用とされる。 このように, 費用収益対応の原則は、適正な期間損益計算のために期間費用を決定する原則として機能する。
14
収支額基準では収益及び費用が取引当事者の合意に基づいた金額により測定されるため, 数値の客観性と確実性が高く, 結果として測定値に信頼性が付与されることから, 収益及び費用の測定には当該基準が採用される。 これにより, 費用は投下された資本の金額, 収益は回収された資本の金額に基づき計上されるため, 期間利益として投下資本を上回って回収された資本の金額,すなわち分配可能利益が計算される。
15
取得原価に算入することができるのは, ①建設に要する借入資本の利子で②稼働前の期間に属するものである。自家建設中の固定資産はまだ収益の獲得に貢献していないため、 費用のみを先に計上すると,収益と費用が対応しない。 そこで、 借入資本利子を取得原価に算入することにより、 減価償却による費用化を通じて、 将来の収益との対応を図ることができるため、 取得原価への算入が容認されている。
16
自己所有の固定資産と交換に固定資産を取得した場合、 交換に供された自己資産の適正な薄価をもって取得した固定資産の取得原価とする。 このような処理をするのは、 同一種類, 同一用途の固定資産間の交換では、譲渡資産と取得資産との間に投資の継続性が認められ、会計上両者を同一視することができ, 実質的に取引がなかったものと考えられることを理由とする。
17
自己所有の有価証券と交換に固定資産を取得した場合、 交換に供された有価証券の時価(時価が不明な場合は適正な簿価) をもって取得した固定資産の取得原価とする。 このような処理をするのは、異種資産の交換では、 取得資産と譲渡資産との間に投資の継続性は存在せず, 譲渡資産をいったん時価で売却し、その代価で取得資産を購入したと考えられることを理由とする。
18
資産の取得原価は取引事実を忠実に表現するべきものであるから, 支払対価がゼロであるならばゼロで評価すべきであるとするのがこの方法の論拠である。 取得原価をゼロとした場合、 経済的便益を有する資産が薄外処理されるため、適正な財政状態を示さず,また, 資産の利用により収益獲得に貢献した場合でも、 減価償却による費用配分が行われないため、適正な期間損益計算ができない。 これにより、 同種の固定資産を使用している他社との比較が困難になるという問題点が指摘される。
19
減価償却は、適正な費用配分を行うことによって, 期間損益を適正に算定することを目的として行われる。 有形固定資産は全体として経営活動に役立つものであり, 経済的価値の減少を客観的物量的に把握することは通常できないことから, 適正な期間損益計算を行うためには,その消費パターンを仮定し, 恣意性を排除すべく, 計画的, 規則的に費用配分を行う必要がある。
20
減価償却の資金留保効果とは、 減価償却費が非現金支出費用であることから, 貨幣性資産の流入を伴う収益のうち, 減価償却費に相当する部分が資金として企業内部に留保される効果をいう。 これは, 費用配分により適正な期間損益計算を行うという減価償却の目的を達成するうえで、副次的に得られる効果である。
21
繰延資産は、適正な期間損益計算、 すなわち, 収益と費用の合理的な対応を図る見地から計上される。すなわち, 当期に発生した費用でも、 将来の収益の獲得に貢献すると期待されるものについては, 費用と収益との対応関係を重視して、 将来の費用とするために資産として繰延べる必要があるが,これにより計上されるのが繰延資産である。
22
繰延資産に計上することができる株式交付費は、 企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動に係る費用として, 支出の効果が将来に及ぶものに限定されるため,これに該当しない株式分割, 無償交付等に係る費用を繰延資産に計上することはできない。
23
・株式交付費は株主との資本取引に伴って発生するものであるが, その対価は株主に支払われたものではないため, 株式交付費の支出自体は資本取引ではない。 ・株式交付費は社債発行費と同様, 資金調達を行うために要する支出額であり, 財務費用としての性格が強い。 ・資金調達の方法は会社の意思決定によるものであり, その結果として発生する費用もこれに依存することになるため, 資金調達に要する費用を会社の業績に反映させることが, 投資家への有用な情報を提供することになると考えられる。
24
「企業会計原則注解」 では, 引当金の要件として, ①将来の特定の費用または損失であること②その発生が当期以前の事象に起因すること,③当該事象の発生の可能性が高いこと,④その金額を合理的に見積ることができることの4つを挙げており、討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 における負債の定義である義務またはその同等物であることは要件とはされていない。そのため、負債の定義を満たさないものが引当金として負債に計上される可能性がある。 また, 引当金の要件として、 発生の可能性が高いことが求められているため, 発生の可能性の低い偶発事象について引当金を計上することはできない。
25
費用性引当金 将来の特定の費用に対応する収益が当期に実現したならば、 財貨または役務の費消が生じていなくても, その可能性が高い限り, 適正な期間損益計算の観点から 費用収益対応の原則により引当金繰入額を当期の費用として認識し、当期の 実現収益に対応させることが必要である。 損失性引当金 将来の特定の損失は、当期の収益との対応関係は認められず, その計上を費用収益の対応による適正な期間損益計算の観点から根拠づけられないため, 財務健全性の確保のための保守主義の原則に計上根拠が求められる。
26
将来の修繕に係る支出を引当金に計上する方法の論拠は, 費用収益対応の原則に求められる。すなわち, 適正な期間損益計算の観点から、 将来の修繕に係る費用を当期の費用として認識し,当期の実現収益に対応させることが必要だからである。 しかし, この方法で計上される引当金は,法的な債務性がないため, 負債の定義を満たさないという問題点が指摘される。 この問題点は,修繕に要した支出をそれまでの減価の回復とみて資産計上し,これが次回の修繕までの期間にわたって減価するものとして, 減価償却により支出後の期間に配分する方法を採用することにより解消される。
27
財務報告の目的は, 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような, 企業の財務状況の開示である。 具体的には, 投資家の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、自己の責任で将来を予測し投資の判断をする人々のために、 企業の投資のポジションとその成果を測定して開示することである。
28
財務報告において提供される情報の中で、 特に重要とされるものは投資の成果を示す利益情報である。 利益情報は基本的に過去の成果を表すが、 企業価値評価の基礎となる将来キャッシュフローの予測に広く用いられているからである。
29
投資の成果の絶対的な大きさのみならず, それを生み出す投資のストックと比較した収益性(あるいは効率性) も重視されることを考えれば, 利益の情報を利用することは、同時に, 利益を生み出す投資のストックの情報を利用することも含意しているからである。
30
会計情報は企業価値の推定に資することが期待されているが, 企業価値を主体的に見積るのは自らの意思で投資を行う投資家であり, 会計情報には企業価値それ自体を表現することではなく, その見積りにあたって必要な, 予想形成に役立つ基礎を提供する役割だけが期待されている。
31
投資家の役割は、開示された情報を利用して、 自己の責任で将来の企業成果を予想し、 現在の企業価値を評価することである。 一方, 経営者には、 投資家がその役割を果たすのに必要な情報を開示することが期待されている。 すなわち, 予測は投資家の自己責任で行われるべきであり,経営者が負うべき責任は基本的には事実の開示である。
32
討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」では、 情報提供機能を果たすことが財務報告の目的として位置付けられており, 利害調整機能は提供された会計情報の副次的な利用の側面として位置付けられている。
33
会計情報に求められる最も基本的な特性は, 意思決定有用性である。 なぜなら, 財務報告の目的は, 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような, 企業の財務状況の開示であるが,この目的を達成するにあたり、会計情報には、投資家が企業の不確実な成果を予測するのに有用であることが期待されているからである。
34
意思決定との関連性と信頼性は, 意思決定有用性を直接支える特性であり, 会計情報が利用者の意思決定にとって有用であるか否かを直接判定する規準として機能する。 内的整合性と比較可能性は, 会計情報が有用であるために必要とされる最低限の基礎的な条件であり,これらの特性によって意思決定有用性が直接的に判断されるわけではないが,しばしば,これらは, 意思決定との関連性や信頼性が満たされているか否かを間接的に推定する際に利用される。
35
この2つの特性は, 意思決定との関連性と比較可能性である。 意思決定との関連性は, 信頼性とともに, 会計情報に求められる最も基本的な特性である意思決定有用性を直接支える特性であり, 会計情報が利用者の意思決定にとって有用であるか否かを直接判定する規準として機能する。 これに対して, 比較可能性は, 会計情報が有用であるために必要とされる最低限の基礎的な条件であり,この特性によって意思決定有用性が直接的に判断されるわけではない。 したがって,この2つの特性間において, 意思決定との関連性は比較可能性に優先するという関係にある。
36
マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報は、財務諸表利用者が経営者の視点で企業を見ることにより, 経営者の行動を予測し, その予測を企業の将来キャッシュ・フローの評価に反映することが可能になるため, 意思決定との関連性の観点からメリットがある。 一方で、 当該セグメント情報は、 企業の組織構造に基づく情報であるため、 企業間の比較を困難にし、 また同一企業の年度間の比較が困難になるため, 比較可能性の観点からデメリットがある。
37
財務報告の目的は、 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような, 企業の財務状況の開示であり, 投資家は開示された情報を利用して、 自己の責任で将来の企業成果を予想し、現在の企業価値を評価する。そのため、 経営者には投資家がその役割を果たすのに必要な情報を開示することが期待されているが, 財務報告の目的を達成するために、 経営者が負うべき責任は基本的には事実の開示である。この点 自己創設のれんの計上は、経営者による企業価値の自己評価 自己申告を意味し, 事実の開示には該当しないため、 財務報告の目的に反する。したがって 自己創設のれんを計上することは認められない。
38
討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 において, 資産とは, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源と定義されている。 ここでいう支配とは,所有権の有無にかかわらず, 報告主体が経済的資源を利用し, そこから生み出される便益を享受できる状態をいい, 経済的資源とは, キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をいう。
39
繰延税金資産は, 過去に生じた将来減算一時差異等について、 将来の当該差異等の解消期間における法人税等の支払額の減額を意味し, 法人税等の前払額に相当する。 これは, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源という資産の定義に合致するため,繰延税金資産には資産性がある。
40
繰延資産は,既に役務の提供を受けているために, それ自体に換金能力はないが, 将来の便益が得られると期待できるのであれば, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源という資産の定義に必ずしも反していない。したがって, 将来の便益が得られると期待できる繰延資産には資産性がある。
41
製品保証引当金は、 過去に行った保証付き販売に基づき, 将来発生することが予想される保証費の未払額であるため, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務またはその同等物という負債の定義を充足する。
42
修繕引当金は,操業停止や設備の廃棄をした場合には修繕が不要となるため, 過去の取引または事象の結果として, 報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務またはその同等物という負債の定義を充足しない。
43
株主資本は, 純資産のうち報告主体の所有者である株主 (連結財務諸表の場合には親会社株主) に帰属する部分と定義されている。
44
投資の成果を表す利益の情報は、 企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュフローの予測に広く用いられている。 ここで、利益情報の主要な利用者であり受益者であるのは,報告主体の企業価値に関心を持つ当該報告主体の (現在及び将来の) 所有者である。 そのため, 純利益に対応する株主資本は, 報告主体の所有者である株主に帰属するものと位置付けられる。
45
投資のリスクとは投資の成果の不確定性のことである。 投資のリスクからの解放とは 投資にあたって期待された成果が事実として確定することを意味する。
46
企業の投資の成果は、最終的には、投下した資金と回収した資金の差額にあたるネット・キャッシュフローであり, 各期の利益の合計がその額に等しくなることが、利益の測定にとって基本的な制約になる。 包括利益と純利益はともにこの制約を満たす。
47
包括利益のうち, 投資のリスクから解放されていない部分を除き、 過年度に計上された包括利益のうち期中に投資のリスクから解放された部分を加え、 非支配株主に帰属する純利益を控除すると, (親会社株主に帰属する) 純利益が求められる。
48
① これは過去にその他の包括利益として認識された項目を、 当期純利益を構成する項目として認識しない方法であり、 その他の包括利益が実現した際に利益剰余金に直接加減する。 そのため、 「純利益=リスクから解放された投資の成果 (実現利益)」 の関係。 株主資本と純利益の間のクリーンサープラス関係. 純利益についての一致の原則はいずれも成立しない。 また, この方法では、 過去にその他の包括利益とされた金額を純利益の計算に含めないため、包括利益の二重計上が回避される。 ② これは過去にその他の包括利益として認識された項目を、 当期純利益を構成する項目として再度認識する方法であり、 その他の包括利益が実現した際に当期純利益を通じて利益剰余金が増減する。そのため、 「純利益=リスクから解放された投資の成果 (実現利益)」 の関係。 株主資本と純利益の間のクリーンサープラス関係、純利益についての一致の原則はいずれも成立する。また、この方法では、 過去にその他の包括利益とされた金額が純利益の計算に含められるため,そのままでは包括利益が二重に計上されるが, その他の包括利益から控除する処理を行うことにより, 包括利益の二重計上が回避される。
49
収益は、 通常 同時に資産の増加や負債の減少を伴う。 ただし、 純資産を構成する項目間の振替と同時に収益が計上される場合 (新株予約権が失効した場合や過年度の包括利益をリサイクリングした場合など)には、例外的に資産の増加や負債の減少が同時に生じない。
50
認識に関する制約条件には, ① 基礎となる契約の原則として少なくとも一方の履行があることと ② 財務諸表の構成要素に関わる将来事象が,一定水準以上の確からしさで生じると見積られることの2つがある。 これらが必要とされるのは, 履行の見込みが不確実な契約から各種の構成要素を認識したり、発生の可能性が極めて乏しい構成要素を財務諸表上で認識したりすれば, 誤解を招く情報が生み出されてしまうからである。
51
未償却原価による測定値は、 継続利用している資産について将来に回収されるべき投資の残高を表す。 つまり, この測定は, 資産の価値の測定方法としてよりも、 資産の利用に伴う費用を測定するうえで重要な意味を持つ。
52
有形固定資産は事業の遂行を通じてキャッシュフローを獲得することを目的とした事業投資であり,その利用により将来回収されるべき投資の残高たる取得原価が投資家にとって有用な情報を表す。 これに対し、 売買目的有価証券は事業の目的に拘束されず, 保有資産の値上りによる利益を獲得することを目的とした金融投資であり, 処分によって得られる資金の額たる時価が投資家にとって有用な情報を表す。 このように, 有形固定資産と売買目的有価証券は、 投資家にとって有用な情報が異なるため、 評価基準が異なる。
53
リスクを調整した割引率による割引価値は、 負債の市場価格を推定する際に意味を持つことがある。この測定値により負債を測定すると, 報告主体の信用リスクが増大した場合に、負債が減少し収益が計上されることになるため、 会計情報が投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立たなくなるという問題がある。
54
事業の遂行を通じてキャッシュフローを獲得することを目的とした事業投資については、事業のリスクに拘束されない独立の資産を獲得したとみなすことができるときに, 投資のリスクから解放されると考えられるため、当該資産の獲得時点において投資の成果が認識される。 事業の目的に拘束されず, 時価の変動によって利益を獲得することを目的とした金融投資に生じる価値の変動は, そのまま期待に見合う事実として、リスクから解放された投資の成果に該当すると考えられるため、 当該価値の変動時点において投資の成果が認識される。
55
市場における販売を通じた成果の獲得を期待して行われる通常の商品 製品販売では, 不特定多数の顧客に販売することを想定しているため、 買手を探し出せるかどうかの不確実性、すなわち販売リスクが存在している。 そこで、 通常の商品 製品販売においては、一連の営業過程のうち販売が完了し、販売リスクから解放される時点で投資のリスクから解放されると考えられるため、 販売時に収益を認識する販売基準が採用される。
56
売買目的有価証券は、 時価の変動によって利益を獲得することを目的としており、 また、売却することに事業遂行上の制約はないため、 時価の変動が生じた時点で, 投資にあたって期待された成果が事実として確定したと考えることができる。 したがって, 売買目的有価証券の時価評価差額を収益として認識することは適切といえる。
57
その他有価証券は、 保有目的が明確に認められず,また, 事業遂行上等の必要性から直ちに売買換金を行うことには制約を伴う要素もあるため、 時価の変動が生じた時点では, 投資にあたって期待された成果が事実として確定したと考えることはできない。 したがって, その他有価証券の時価評価差額を収益として認識することは適切とはいえない。
58
資本については, 一般に, 財務諸表の報告主体の所有者に帰属するものと理解されていたため、 株式会社の場合、 従来の 「資本の部」 は株主に帰属するものという特徴があり,これが差額としての純資産となるように資産及び負債が取扱われてきた。 これに対し, 「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 では,まず, 貸借対照表上, 資産性または負債性をもつものを 「資産の部」 または 「負債の部」 に記載することとし, それらに該当しないものは資産と負債との差額として 「純資産の部」に記載することとしたため,「純資産の部」は差額概念という特徴を有している。 このように変更された結果、 貸借対照表において報告主体の支払能力などの財政状態をより適切に表示することが可能となるものと考えられる。
59
資産や負債を明確にすれば,これらの差額がそのまま資本となる保証はない。 このため, 貸借対照表の区分において、 報告主体の所有者に帰属する資本とは必ずしも同じとはならない資産と負債との単なる差額を適切に示すように,これまでの 「資本の部」 という表記を「純資産の部」に代えた。
60
① 繰延ヘッジ損益 変更前: 損益計算の観点から, 資産または負債として繰り延べられる項目として取扱われていた。 変更理由 資産性または負債性を有しないため。 ② 新株予約権 変更前: 将来, 権利行使され払込資本となる可能性がある一方, 失効して払込資本とはならない可能性もあり, 権利行使の有無が確定するまでの間,その性格が確定しないことから, 仮勘定として負債の部に計上することとされていた。 変更理由 返済義務のある負債ではないため。 ③ 非支配株主持分 変更前 返済義務のある負債でもなく, また, 連結財務諸表における親会社株主に帰属するものでもないため、負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示することとされていた。
61
株主資本と株主資本以外の各項目との区分は、 帰属の観点から行われる。すなわち, 「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準』 では, 純資産のうち報告主体の所有者たる株主に帰属する部分について, 「株主資本」という名称を用いることで株主に帰属するものであることをより強調し、株主に帰属しない部分と明確に区分している。
62
報告主体の所有者に帰属する利益は、企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュ・フローの予測やその改訂に広く用いられており、 財務報告における情報開示の中で特に重要と考えられている。 当該情報の主要な利用者であり受益者であるのは、 報告主体の企業価値に関心を持つ当該報告主体の現在及び将来の所有者 (株主) であると考えられるため, 報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本は重視される。 そこで, 当期純利益と株主資本を重視し、また、資産と負債との差額である純資産と株主資本が同義ではないことを明示するためには、株主資本を他の純資産に属する項目から区分することが適当であることから, 純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分することとされている。
63
純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分した結果、損益計算書における当期純利益の額と貸借対照表における株主資本の資本取引を除く当期変動額は一致することとなり, 資本と利益の連繋が確保されることとなった。
64
評価・換算差額等は, 資産性または負債性を有しないため, 純資産の部に記載する。また, 評価・換算差額等を株主資本と区別することで, 当期純利益が資本取引を除く株主資本の変動をもたらすという関係を明瞭化でき, このことが会計情報の信頼性を高め、 企業評価に役立つものと考えられるため, 評価・換算差額等は株主資本とは区別して記載する。
65
純資産のうち報告主体の所有者である株主に帰属する部分である株主資本は, 払込資本と留保利益から構成される。 ここで, 評価・換算差額等は、 払込資本ではなく,かつ,未だ当期純利益に含められていないため留保利益にも該当しない。 したがって, 評価・換算差額等は株主資本には該当しないため, 株主資本とは区別して記載する。
66
新株予約権は, 返済義務のある負債ではなく、 負債の部に表示することは適当ではないため,純資産の部に記載する。 また, 新株予約権は, 報告主体の所有者である株主とは異なる新株予約権者との直接的な取引によるものであり, 株主に帰属するものではないため, 株主資本とは区別して記載する。
67
新株予約権は,将来, 権利行使されれば払込資本となり, 失効すれば利益になるが,いずれにしても株主資本を構成し, 報告主体の所有者である株主に帰属することになるため。
68
非支配株主持分は、 返済義務のある負債ではなく, また, 中間区分を設けることには問題があるため, 純資産の部に記載する。 また, 非支配株主持分は, 子会社の資本のうち親会社に帰属していない部分であり、 親会社株主に帰属するものではないため, 株主資本とは区別して記載する。 この取扱いは、 親会社株主に帰属する当期純利益と株主資本との連繋にも配慮したものである。
69
これらの区分は帰属の観点から行われている。 この観点から, 株主資本以外の項目は, ① 投資のリスクから解放されておらず, いずれにも帰属しないその他の包括利益累計額, ② 報告主体の将来の所有者となり得るオプションの所有者に帰属する新株予約権, ③子会社の資本のうち子会社の非支配株主に帰属する非支配株主持分の3つに区分される。
70
資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金を利益剰余金へ振替えることを無制限に認めると、 払込資本と払込資本を利用して得られた成果を区分することが困難になり、 また、資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金をその他資本剰余金に区分する意味がなくなるため、 資本剰余金の各項目と利益剰余金の各項目の混同は禁止される。
71
払込資本と留保利益の区分が問題になるのは、同じ時点で両者が正の値であるときに、両者の間で残高の一部または全部を振り替えたり, 一方に負担させるべき分を他方に負担させるようなケースである。したがって、 負の残高になった利益剰余金を、 将来の利益を待たずにその他資本剰余金で補うのは、 払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであるため、 払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらず. 資本剰余金と利益剰余金の混同に該当しない。
72
期中において発生した利益剰余金の負の値を、その都度資本剰余金で補てんすることは、 年度決算単位でみた場合、 資本剰余金と利益剰余金の混同になることがあるため。
73
① この考え方は、自己株式を取得したのみでは株式は失効しておらず、他の有価証券と同様に換金性のある会社財産とみられることを論拠とする。 ② この考え方は、 自己株式の取得は株主との間の資本取引であり、 会社所有者に対する会社財産の払戻しの性格を有することを論拠とする。
74
① この方法は、通常の有価証券と同様に自己株式にも換金性があり、 価値のあるものを受取っている限り、その側面を適切に表すために, 自己株式を時価で測定し認識すべきことを論拠とする。 ② この方法は、自己株式を無償で取得しても、 取得した会社にとっては資産が増加せず, 贈与した株主が有していた持分が他の株主に移転するのみ、 すなわち新旧株主間の富の移転が生じているのみであることを論拠とする。 制度会計上, 自己株式の取得は、 株主との間の資本取引であり、 会社所有者に対する会社財産の払戻しと位置付け 純資産の部の株主資本から控除する会計処理を採用しているが、その考えとの整合性からは、 ①の換金可能な資産としての側面に着目し、 自己株式を時価で測定する方法は適切ではないと考えられるため、②の自己株式の数のみの増加として処理する方法が採用されている。
75
① この方法は、 自己株式を取得したのみでは発行済株式総数が減少するわけではなく、取得後の処分もあり得る点に着目し、 自己株式の保有は処分または消却までの暫定的な状態であると考えることを論拠とする。 この方法の背後には、 自己株式の取得と処分を一連の取引とみる考え方がある。 ② この方法は、自己株式の取得を自己株式の消却に類似する行為であると考えることを論拠とする。この方法の背後には、 自己株式の取得と処分を別個独立した取引とみる考え方がある。
76
自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮すると, その処分差額も株主からの払込資本と同様の経済的実態を有すると考えられるため。
77
自己株式処分差損については、 自己株式の取得と処分を一連の取引とみた場合, 純資産の部の株主資本からの分配の性格を有すると考えられる。この分配については、 払込資本の払戻しと同様の性格を持つものとみて、 資本剰余金の額の減少とする考え方と, 株主に対する会社財産の分配という点で利益配当と同様の性格であるとみて、 利益剰余金の額の減少とする考え方がある。 自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮すると, 利益剰余金の額を増減させるべきではないことから, 制度会計上は資本剰余金の額の減少とする考え方が採用されている。
78
① この方法は, 自己株式を資産として扱う考え方と整合的な方法であり、 自己株式の取得及び処分が、 既発行株式の売買によって行われることを論拠とする。 ② この方法は、 自己株式を資本の控除として扱う考え方と整合的な方法であり、 自己株式の取得及び処分が,株主への資本の払戻し及び株主からの資本の払込みの性格を有することを論拠とする。
79
① この考え方は, 付随費用を財務費用と考え, 損益取引とする方法である。 これは, 付随費用は株主との間の資本取引ではない点に着目し,会社の業績に関係する項目であるとの見方に基づくものである。 ② この考え方は, 付随費用を自己株式本体の取引と一体と考え, 資本取引とする方法である。これは,自己株式の処分時及び消却時の付随費用は, 形式的には株主との取引ではないが, 自己株式本体の取引と一体であるとの見方に基づくものである。 制度会計上,新株発行費用を株主資本から減額していない処理との整合性から, 付随費用を損益計算書に計上する方法が採用されている。
80
・株式交付費は株主との資本取引に伴って発生するものであるが, その対価は株主に支払われたものではないため, 株式交付費の支出自体は資本取引ではない。 株式交付費は社債発行費と同様, 資金調達を行うために要する支出額であり, 財務費用としての性格が強い。 ・資金調達の方法は会社の意思決定によるものであり, その結果として発生する費用もこれに依存することになるため, 資金調達に要する費用を会社の業績に反映させることが, 投資家への有用な情報を提供することになると考えられる。
81
自己新株予約権の取引は、 株主との資本取引ではなく, 新株予約権者との損益取引であるため、自己新株予約権は資産性を有する。
82
自己新株予約権の取得時には,その後,当該自己新株予約権を消却するか処分するかが必ずしも明らかではないため。
83
自己新株予約権は資産性を有するため, 資産の部と純資産の部とに両建て表示する方法も考えられるが, 自己新株予約権を取得する取引は自らが発行した新株予約権の買戻しであることから、純資産の部の新株予約権と相殺表示する方が実態に即していると考えられるため。
84
その他資本剰余金は、 払込資本から配当規制の対象となる資本金及び資本準備金を控除した残額であり、 払込資本の残高が負の値となることはあり得ない以上、 払込資本の一項目として表示するその他資本剰余金について、 負の残高を認めることは適当ではないため。
85
その他資本剰余金の残高が負の値になった都度, その他利益剰余金で補てんしてその他資本剰余金の額を確定すると, その他資本剰余金の額の増減が同一会計期間内に反復的に起こった場合に増加と減少の発生の順番が異なる場合に結果が異なり、不合理であるため。
86
払込資本に生じた毀損を留保利益で埋め合わせるのは,その期に完結する処理であり, そこで充当した留保利益を翌期以後の資本取引に基づく剰余金と入れ替えて元に戻すのは適切ではないため。
87
連結子会社が保有する親会社株式は、 企業集団で考えた場合、 親会社の保有する自己株式と同様の性格を有するため
88
・持分比率の変動を認識しなかった場合, 実際に非支配株主が減少しているのに, 減少に見合う非支配株主に帰属する当期純利益及び非支配株主持分の減少が認識されないことになること。 会社法では,自己株式の保有目的を限定していないため, 子会社による自己株式の保有が, 長期間継続することが想定されること。
89
土地の経済的耐用年数は無限であるため、 所有権移転ファイナンスリース取引に該当する所有権移転条項付リース取引または行使が確実に予想される割安購入選択権付リース取引の場合を除き、フルペイアウトのリース取引に該当しないと考えられる。そのため、 土地のリース取引は、所有権移転ファイナンスリース取引またはオペレーティング・リース取引のいずれかとなり所有権移転外ファイナンス・リース取引には該当しない。
90
現在価値基準を満たすリース取引では、 借手は当該リース物件の取得価額相当額、維持管理等の費用等のほとんどすべてのコストを負担することになり, したがって、 ほとんどすべての経済的利益を享受するものと推定できるため。
91
リース取引の法的形式は賃貸借取引であるが、 解約不能とフルペイアウトの要件を満たすファイナンスリース取引は、資産を割賦売買する場合と同様の経済的実態を有する。 したがって,実質優先思考に基づき、ファイナンス・リース取引の経済的実態を財務諸表に的確に反映するために、賃貸借取引ではなく売買取引として会計処理を行うこととされている。
92
リース債務の評価の側面を考えると, リース料総額の割引現在価値を利用することが、 取得よりもリースを選択した借手の行動を反映すると考えられる。 一方、リース資産の評価の側面を考えると, リース物件の価値である手の購入価額 (または借手の見積現金購入価額) による方法が考えられる。
93
リース物件の返還が行われる所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リース物件の耐用年数とリース期間が異なる場合が多く、 物件そのものの売買というよりは、 使用する権利の売買の性格を有する。そのため, リース物件の価値に基づきリース資産及びリース債務を計上すると、資産が残存価額分過大に計上されるという問題点が指摘される。
94
所有権移転ファイナンスリース取引がリース物件の取得と同様の取引と考えられるのに対し、所有権移転外ファイナンスリース取引はリース物件の取得とは異なる性質を有し, リース物件を使用できる期間がリース期間に限定されるという特徴があるため。
95
所有権移転ファイナンスリース取引の場合は、 貸手は、手からのリース料と割安購入選択権の行使価額で回収するが、 所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合はリース料と見積残存価額の価値により回収を図る点で差異があるため。
96
① この会計処理は, セール アンド・リースバック取引の前後で経済的実態が全く変化していない点に着目し,資産の売却取引とリース取引を連続した1つの取引とみるものである。 ② この会計処理は、 法的形式は資産の売却とリースという独立した別個の取引を行っている点に着目し,資産の売却取引とリース取引を独立した別個の取引とみるものである。
97
形式的には固定資産を売却しているが, 当該固定資産を使用しているという状況は売却の前後で変わらないことから, 売却時に当該固定資産の売却損益を認識することには, 実現性の観点から問題があるため。
98
現行制度上, ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の分類は数値基準に基づき行われる。 そのため, 意図的にファイナンス・リース取引の要件を満たさないよう仕組むことによって, 資産と負債の計上を回避する機会を与えるため, 取引の経済的実態が財務諸表に的確に反映されないという問題点がある。 使用権モデルによれば, ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の分類は行われず, あらゆるリースから生じる資産と負債が貸借対照表に反映されるため、 現行制度上の取扱いの問題点を解消することができる。
99
・ファイナンスリース取引かオペレーティング・リース取引かにかかわらず, あらゆるリースから生じる資産と負債が貸借対照表上に反映される。 これにより, 比較可能性の向上につながり, また, 取引を仕組む機会を減少させることが可能となる。 ・使用権モデルに基づき計上される使用権資産及びリース料支払債務は, 概念フレームワークにおける資産及び負債の定義と整合する。
100
リース取引をリース期間中の使用権の取得と考えることから使用権資産が認識され、資産の測定に際してはリース期間におけるリース料総額の割引現在価値が用いられる。