SO・退職・金融商品・減損・棚卸資産・ソフトウェア・資除
問題一覧
1
子会社の従業員等に、 親会社株式のオプションが付与された場合に,これに対応して量または質の面で追加的に提供されると考えられるサービスの直接の受領者は子会社である。 しかし、親会社が子会社の従業員等に自社株式オプションを付与するのは、子会社の従業員等に対し、 親会社自身の子会社に対する投資の価値を結果的に高めるようなサービス提供を期待しているためと考えられ、当該取引にも対価性を認めることができる。 したがって、 親会社が子会社において享受したサービスの消費を、 親会社の個別財務諸表において費用として計上する。
2
費用認識は行われない。 なぜなら, 自社株式オプションを付与する取引のうち, 「ストックオプション等に関する会計基準」 において費用認識の対象とされるのは、 企業が財貨またはサービスの取得において、 対価として自社株式オプションを付与する取引であるが、敵対的買収防止策として付与される自社株式オプションは、財貨またはサービスを取得する対価として付与されているわけではないからである。
3
従業員等に付与されたストック・オプションを対価として,これと引換えに、企業に追加的にサービスが提供され、 企業に帰属することとなったサービスを消費したことに費用認識の根拠がある。 すなわち, 企業に帰属し、貸借対照表に計上されている財貨を消費した場合に費用認識が必要である以上, 企業に帰属しているサービスを消費した場合にも費用を認識するのが整合的であるため、ストック・オプションを付与する取引についても費用認識が行われる。
4
一般的には、 合理的な経済活動を営んでいる企業が見返りも無く自社株式オプションを付与しているとは考えにくく、 企業は従業員等に自社株式オプションを付与した場合に、 量または質の面で追加的なサービスの提供 (インセンティブ効果)を期待していると考えられるためである。
5
ストックオプションは対価として付与されるものであり、この取引の結果, 企業に帰属することとなったサービスを消費することにより. 費用を生じる取引としての性格を有している。 すなわち, 新旧株主間の富の移転を生ずる取引であっても、 従業員等に対してストック・オプションを付与する取引のように、対価として利用されている取引と、 自社の株式の時価未満での発行のように、発行価額の払込み以外に、対価関係にある給付の受入れを伴わない取引とは異なる種類の取引であり、 新旧株主間において富の移転を生じさせたからといって, それだけで費用認識が否定されるわけではない。
6
ストック・オプションを付与する取引においては、確かに会社財産の流出はないが、ストックオプションを対価として提供されたサービスの消費の事実に着目すれば、 企業にとっての費用と考えられる。すなわち, 現行の会計基準の枠組みの中でも、 償却資産の現物出資を受けた場合や、償却資産の贈与を受けた場合には、対価としての会社財産の流出はないが、 減価償却費は認識されており, 対価としての会社財産の流出は費用認識の必要条件ではない。
7
付与したストックオプションと,これに応じて提供されたサービスは、契約成立の時点において、 等価で交換されていると考えられる。 このように考える以上, 相互に対価関係にある財貨やサービスの間で、 いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で、対価関係にある他方の財貨またはサービスの価値を算定することとなるが、 特に取得するものが従業員等から提供される追加的なサービスである場合には、 信頼性をもって測定することができないため、 その価値を付与されたストック・オプションの価値で算定する。
8
ストックオプションを用いた取引においても、他の対価を用いた取引と同様に等価での交換が前提となっていると考えられるが,この等価性の判断において前提となっているストックオプションの価値は、 条件付の契約が締結されたといえる, ストック・オプションの付与日における価値であると考えるのが合理的であるため。
9
付与日以後のストック・オプションの公正な評価単価の変動は、ストックオプションの原資産である株式の時価の変動等により起こるものであり、 サービスの価値とは直接的な関係を有しないため。
10
権利確定条件を満たすサービスが提供されてはじめて付与された自社株式オプションの権利が確定することから, 付与されたストック・オプションの権利が確定するか否かが未定の間は, 権利が確定する部分の見積り計算によらざるを得ないため。
11
取引が完結し, 付与されたストック・オプションの権利が確定した後に, 権利が行使されないままストックオプションが失効した場合でも、これと引換えに提供されたサービスが既に消費されている以上, 過去における費用の認識自体は否定されないため。
12
ストック オプションは自社の株式をあらかじめ決められた価格で引き渡す可能性であるにすぎないから,それが行使されないまま失効すれば,結果として会社は株式を時価未満で引き渡す義務を免れることになるため、 結果が確定した時点で振り返れば、無償で提供されたサービスを消費したと考えることができる。 このように、 新株予約権が行使されずに消滅した結果, 新株予約権を付与したことに伴う純資産の増加が株主との直接的な取引によらないこととなった場合には,それを利益に計上した上で株主資本に算入することが適切である。
13
ストックオプションの公正な評価単価算定は、企業と従業員との間で締結された契約のおいて,等価交換の前提とされた付与日現在の価値で行い, その後も見直さないが, 行使価格の引下げ等の条件変更が行われた場合には, これにより前提とされているストック・オプションの公正な評価単価についての修正が行われたと考えられるため。
14
ストックオプションの条件変更日における公正な評価単価が付与日における公正な評価単価を下回る場合についても,上回る場合と同様の会計処理を求めることとすると, ストックオプションの条件を従業員等にとってより価値あるものとすることにより, かえって費用を減額させるというパラドックスが生じてしまうが, これを回避するため。
15
権利不確定による失効の見積数の重要な変動は、 環境の変化等の企業が意図しないストック・オプション数の変動であるため, その影響額を見直した期に損益として計上する。 これに対して、企業の意図による条件変更の結果生じたストックオプション数の変動は, 将来にわたる効果を期待して行ったものと考えられるため, その影響額は条件変更後, 残存期間にわたって反映させる。
16
企業の意図による条件変更の結果, ストック・オプション数に変動が生じた場合には, 将来にわたる効果を期待して条件変更を行ったものと考えられるため。
17
退職給付の性格は,労働の対価として支払われる賃金の後払いであり,基本的に勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生するものである。 そうであるならば,その支給方法や積立方法の如何に関わらず, 退職給付はその発生した期間に費用として認識することとなる。
18
予測給付債務とは、受給権未取得者を含む全従業員について,認識時点までの勤務期間と将来の昇給による給付の増加を見込んで算定した将来退職給付額の現在価値をいう。実際の退職給付の支払いは退職時における退職給付の額に基づいて行われるものであり, 現在時点の退職給付の支払額のみに基づいて将来の退職給付の額を見積ることは、 退職給付の実態が適切に反映していないと考えられるため, 制度会計上, 予測給付債務が採用される。 予測給付債務の問題点として, 退職給付債務の算定にあたり将来の昇給を考慮するため、 現在の義務に該当せず 負債の定義を満たさないのではないかとの指摘がなされる点が挙げられる。
19
一時的に支払われる早期割増退職金は, 勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生した退職給付という性格を有しておらず、むしろ将来の勤務を放棄する代償, 失業期間中の補償等の性格を有するものとして捉えることが妥当であるため。
20
直接観察できない労働サービスの費消態様に合理的な仮定を置かざるを得ないことを踏まえれば、労働サービスに係る費用配分の方法は一義的に決まらず, 勤務期間を基礎とする費用配分の方法についても、これを否定する根拠は乏しいため。
21
勤続年数の増加に応じた労働サービスの向上を踏まえれば,毎期の費用を定額とする期間定額基準よりも、 給付算定式に従って費用が増加するという取扱いの方が実態をより表す。
22
・勤続年数の増加に応じた労働サービスの向上を踏まえれば、 毎期の費用を定額とする期間定額基準は実態を表しているとはいえない。 ・期間定額基準は,定年直前に給付が頭打ちになる場合や、 将来給付すべての減額の場合など、勤務をしても給付が増加されない状況でも費用を認識する場合がある点で妥当ではない。
23
年金資産は退職給付の支払のためのみに使用されることが制度的に担保されていることなどから,これを収益獲得のために保有する一般の資産と同様に企業の貸借対照表に計上すると, かえって財務諸表の利用者に誤解を与えるおそれがあるため。
24
・最終的に外部の運用機関に提出する金額こそが企業が負担するべき労務費であると考えるならば、勤務費用のほか、 利息費用及び期待運用収益も, 労務費として営業損益に含めるべきである。 ・利息費用については、 実際の資金調達活動による費用とは異なり、 財務損益として認識すべきものではない。
25
数理計算上の差異には予測と実績の乖離のみならず予測数値の修正も反映されることから,各期に生じる差異を直ちに費用として計上することが退職給付に係る債務の状態を忠実に表現するとは言えない面があり,その性格を一時の費用とすべきものとして一義的に決定づけることは難しいと考えられるため。
26
過去勤務費用の発生要因である給付水準の改訂等は、 従業員の勤労意欲が将来にわたって向上するとの期待のもとに行われる面があり,その性格を一時の費用とすべきものとして一義的に決定づけることは難しいと考えられるため。
27
退職従業員は給付水準の改訂により将来の勤務意欲の向上という効果が期待できないため。
28
重要性基準とは, 基礎率等の計算基礎に重要な変動が生じない場合には計算基礎を変更しない等計算基礎の決定にあたって合理的な範囲で重要性による判断を認める方法をいう。 回廊アプローチとは、退職給付債務の数値を毎期末時点において厳密に計算し, その結果生じまた計算差異に一定の許容範囲 (回廊) を設ける方法をいう。 両者には,基礎率の変動が財務諸表に与える影響を緩和するという共通する目的がある。制度会計上は,割引率等の計算基礎に重要な変動が生じていない場合には,これを見直さないことができるとしており, 重要性基準を採用している。 これは, 退職給付費用が長期的な見積計算であることから, 重要性による判断を認めることが適切と考えられることを理由とする。
29
計算基礎に重要性による判断を認めた上で回廊を設けることとする場合, 実質的な許容範囲の幅が極めて大きくなるため。
30
一部が除かれた積立状況を示す額を貸借対照表に計上する場合, 積立超過のときに負債が計上されたり、積立不足のときに資産が計上されたりすることがあり得るなど, 退職給付制度に係る状況について財務諸表利用者の理解を妨げてしまうが, 積立状況を示す額を負債または資産に計上することで、企業の財政状態を忠実に表現でき、 貸借対照表に明瞭で理解しやすい金額が表示されるからである。
31
① この方法では数理計算上の差異が損益計算書に計上されることなく利益剰余金に計上されるため、我が国が重視する。 報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本との連繋 (クリーン・サープラス関係)が確保されないからである。 ② 「退職給付に関する会計基準」 では、 未認識数理計算上の差異についてその他の包括利益を通じて純資産の部に計上し, 平均残存勤務期間以内の一定の年数にわたって費用処理する方法を採用している。 これは、 当該処理により. 我が国が重視する。 報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本との連撃 (クリーンサープラス関係)が保たれることを根拠とする。
32
確定拠出制度では, 企業は掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負わず, 資金の運用リスクを負担しないことから, 積立過不足が生じる余地がなく, 負債または資産を計上する必要がないため。
33
金融資産または金融負債自体を対象とする取引については、 当該取引の契約時から当該金融資産または金融負債の時価の変動リスクや契約の相手方の財政状態等に基づく信用リスクが契約当事者に生じるため。
34
約定日から受渡日までの期間が市場の規則または慣行に従った通常の期間である場合、売買約定日に買手は有価証券の発生を認識し、売手は有価証券の消滅の認識を行う。 約定日から受渡日までの期間が通常の期間よりも長い場合、 売買契約を買手も売手も先渡契約として約定日に認識し、 決算日における未決済の先渡契約をデリバティブ取引として時価評価し、評価差額を当期の純損益として計上する。
35
① リスク経済価値アプローチとは、金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてが他に移転した場合に当該金融資産の消滅を認識する方法をいう。 ② 財務構成要素アプローチとは, 金融資産を構成する財務的要素 (財務構成要素) に対する支配が他に移転した場合に当該移転した財務構成要素の消滅を認識し、 留保される財務構成要素の存続を認識する方法をいう。 譲渡人が自己の所有する金融資産を譲渡した後も回収サービス業務を引受ける等、金融資産を財務構成要素に分解して取引することが多くなると, リスク・経済価値アプローチでは金融資産を財務構成要素に分解して支配の移転を認識することができないため、 取引の実質的な経済効果が譲渡人の財務諸表に反映されないこととなる。そのため, 制度会計上は, 財務構成要素アプローチが採用されている。
36
買戻すことにより取引を完結することがあらかじめ合意されている現先取引は、 金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転しているとは認められない。したがって, その約定が売買契約であっても売買取引として処理することは認められず, 金融取引として処理することとなる。
37
金融資産は,一般的には, 市場が存在すること等により客観的な価額として時価を把握できるとともに,当該価額により換金 決済等を行うことが可能である。 そこで, 客観的な時価の測定可能性が認められないものを除き, 時価による自由な換金 決済等が可能な金融資産については,投資情報としても、 企業の財務認識としても、さらに,国際的調和化の観点からも,これを時価評価し適切に財務諸表に反映することが必要であると考えられるからである。
38
金融負債は,借入金のように一般的には市場がないか, 社債のように市場があっても、自己の発行した社債を時価により自由に清算するには事業遂行上等の制約があると考えられるため。
39
一般的に,金銭債権については, 活発な市場がない場合が多い。 このうち, 受取手形や売掛金は,通常,短期的に決済されることが予定されており, 帳簿価額が時価に近似しているものと考えられ,また, 貸付金等の債権は, 時価を容易に入手できない場合や売却することを意図していない場合が少なくないと考えられるため, 金銭債権については, 原則として時価評価は行わない。
40
債権の取得においては,債権金額と取得価額とが異なる場合があり, この差異が金利の調整であると認められる場合には, 金利相当額を適切に各期の財務諸表に反映させることが必要であるため。
41
保有目的から、 投資家にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられるため。
42
売買目的有価証券は、 売却することについて事業遂行上等の制約がなく, 時価の変動にあたる評価差額が企業にとっての財務活動の成果と考えられるため。
43
① 満期保有目的の債券に分類するためには、あらかじめ償還日が定められており,かつ, 額面金額による償還が予定されていることを要するため, 満期の定めのない永久債は,その属性から満期保有目的の債券に分類することはできない。 ② 満期まで所有する意図は取得時点において判断すべきものであり、 一旦、 他の保有目的で取得した債券について, その後保有目的を変更して満期保有目的の債券に振り替えることは認められない。
44
満期保有目的の債券は、 時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており, 満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないため。
45
子会社株式は、 事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えない。 また、関連会社株式は、 他企業への影響力の行使を目的として保有する株式であり、 子会社株式の場合と同じく事実上の事業投資と同様の会計処理を行うことが適当である。したがって,いずれも時価評価は行わない。
46
その他有価証券は、 業務上の関係を有する企業の株式等から市場動向によっては売却を想定している有価証券まで多様な性格を有しており、一義的にその属性を定めることは困難と考えられることから、評価基準に関する基本的考え方に基づいて時価評価を行うため。
47
その他有価証券は、 事業遂行上等の必要性から直ちに売買 換金を行うことには制約を伴う要素もあり、 評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではないため。
48
保守主義の観点から, これまで低価法に基づく銘柄別の評価差額の損益計算書への計上が認められてきたことを考慮したため。
49
満期保有目的の債券に分類された債券について, その一部を売買目的有価証券またはその他有価証券に振替えたり, 償還期限前に売却を行った場合は、 満期保有目的の債券に分類された残りのすべての債券について, 保有目的の変更があったものとして売買目的有価証券またはその他有価証券に振替えなければならない。したがって, 有価証券のトレーディングを行っていない当社では、B社社債を償却原価をもってその他有価証券に振替えなければならず, 振替後は時価をもって貸借対照表価額とする。
50
減損処理を行った債券については、取得差額はもはや金利調整差額とは考えられないため,その後の会計期間において償却原価法は適用されない。
51
運用を目的とする金銭の信託は、企業が当該金銭の信託に係る信託財産を構成する金融資産及び金融負債を運用目的で間接的に保有しているものと考えられ、加えて、 金銭の信託契約の満了時に、 当該金銭の信託に係る信託財産またはそれを時価により換金した現金により支払を受ける場合、投資家及び企業双方にとって意義を有するのは信託財産の時価であると考えられるため。
52
運用を目的とする金銭の信託に係る信託財産については、委託者の事業遂行上等の観点からの売買換金の制約がないため。
53
見積時点の改定約定利子率または市場利子率を使用せず, 当初の約定利子率を用いるのは貸倒見積高の算定が 債権を時価で評価し直すために行われるのではなく、 債権の取得価額のうち当初の見積キャッシュ・フローからの減損額を算定することを目的として行われるため。
54
ヘッジ手段であるデリバティブ取引については, 原則的な処理方法によれば時価評価され損益が認識されることとなるが, ヘッジ対象の資産に係る相場変動等が損益に反映されない場合には、両者の損益が期間的に合理的に対応しなくなり, ヘッジ対象の相場変動等による損失の可能性がヘッジ手段によってカバーされているという経済的実態が財務諸表に反映されないこととなる。このため, ヘッジ対象及びヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し, ヘッジの効果を財務諸表に反映させるヘッジ会計が必要となる。
55
満期保有目的の債券は、 満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており 満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないため, 時価評価が求められない。 この取扱いの趣旨に鑑みると, 満期保有目的の債券に対して、 金利変動による価格変動リスクをヘッジする取引に会計上特別なヘッジ会計を認めることは論理的に整合しない。したがって、 原則として、 満期保有目的の債券を金利変動リスクに関するヘッジ対象とすることは認められない。
56
ヘッジ会計は、原則として、 時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰延べる方法による。 これは繰延ヘッジと呼ばれ, ヘッジ手段の損益認識時点をヘッジ対象の損益認識時点にあわせる方法である。 ただし、ヘッジ対象である資産または負債に係る相場変動等を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識することもできる。これは時価ヘッジと呼ばれ、 ヘッジ対象の損益認識時点をヘッジ手段の損益認識時点にあわせる方法である。
57
金利スワップの特例処理では、金利スワップと金利変換の対象となる資産または負債を一体として実質的に変換された条件による債権または債務と考える。そのため、金利スワップを時価評価せず、 当該金利スワップに係る金銭の受払の純類等を当該資産または負債に係る利息に加減して処理する。
58
転換社債型新株予約権付社債については, 社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在し得ないことから,それぞれの部分を区分して処理する必要性は乏しいため。
59
転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債は, 払込資本を増加させる可能性のある部分とそれ以外の部分が同時に各々存在し得ることから, その取引の実態を適切に表示するため、 それぞれの部分を区分して処理することが必要であるため。
60
事業用の固定資産については,通常, 市場平均を超える成果を期待して事業に使われているため、市場の平均的な期待で決まる時価が変動しても、 企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、 また、 投資の価値自体も、 投資の成果であるキャッシュ・フローが得られるまでは実現したものではないため。
61
空欄A:資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった 空欄B: 一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額 固定資産の減損処理の本質 通常の販売目的で保有する棚卸資産の簿価切下げや固定資産の物理的な滅失による臨時損失などと同様に、事業用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰延べないために行われる会計処理。
62
固定資産の減損処理は、 金融商品に適用されている時価評価とは異なり、資産価値の変動によって利益を測定することや, 決算日における資産価値を貸借対照表に表示することを目的とするものではなく、 取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額であるという特徴を有している。
63
減損処理は、 本来、 投資期間全体を通じた投資額の回収可能性を評価し、 投資額の回収が見込めなくなった時点で、 将来に損失を繰り延べないために帳簿価額を減額する会計処理と考えられる。そのため、期末の帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直すだけでは、帳簿価額の回収が見込めない場合であっても、過年度の回収額を考慮すれば投資期間全体を通じて投資額の回収が見込める場合や, また、 過年度の減価償却などを修正したときに修正後の帳簿価額の回収が見込める場合にも減損損失が認識されてしまい。 収益性の低下による減損損失を正しく認識することはできない。
64
共通点: いずれも取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額であり、過大な帳簿価額を減額し, 将来に損失を繰延べないために行われる会計処理である点で共通する。 相違点 減損処理は、 資産の収益性の低下を帳簿価額に反映することを目的とする会計処理であり、計上される減損損失が臨時損失項目であるのに対して、臨時償却は、資産に生じた機能的減価に起因した耐用年数の短縮等に基づいて過年度の減価償却を修正することを目的とする会計処理であり, 計上される臨時償却費が前期損益修正項目である点で相違する。
65
グルーピングの単位をより大きなものとした場合、 減損が生じていない資産の将来キャッシュフローと通算されることによって、 減損損失が認識されない可能性があり, また減損損失の計上額も小さくなってしまうため。
66
すべての資産または資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うことは.実務上, 過大な負担となるおそれがあることを考慮したため。
67
減損損失の測定は、 将来キャッシュ・フローの見積りに大きく依存するが、 将来キャッシュ・フローが約定されている場合の金融資産と異なり、 成果の不確定な事業用資産の減損は,測定が主観的にならざるを得ず, その点を考慮すると、 減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識することが適当であると考えられるため。
68
土地のような非償却性資産は使用期間が無限になりうることから、その見積期間を制限する必要があるため。 一般的に長期間にわたる将来キャッシュフローの見積りは不確実性が高くなるため。
69
企業は、 資産または資産グループに対する投資を売却と使用のいずれかの手段によって回収すあるが、この際いずれか有利な方を選択すると考えられるため, 売却による回収額である正味売却価額と、 使用による回収額である使用価値のいずれか高い方の金額が回収可能価額とされる。
70
正味売却価額が使用価値より高い場合、 企業は資産または資産グループを既に売却していると考えられることから、 通常, 使用価値は正味売却価額より高いと考えられるため。
71
この考え方は、資産の帳簿価額を回収できないときに減損した資産を売却せずに使用するという意思決定を、 その資産への再投資という新たな経済的意思決定に相当するものとみる。 したがって 投資の清算及び再投資が行われたものとみて, 公正価値たる時価をもって新しい取得原価とすべきであると説明される。
72
将来キャッシュ・フローは、客観的な資産または資産グループの時価を算定するためではなく、企業にとって資産または資産グループの帳簿価額が回収可能かどうかを判定するため、 あるいは、企業にとって資産または資産グループがどれだけの経済的な価値を有しているかを算定するために見積るものであるため。
73
資産除去債務が負債に計上されている場合には、 除去費用部分の影響を二重に認識しないようにするため。
74
減損損失を認識するかどうかの判定の結果, 減損損失を認識することとなった場合には,当該判定単位の超過収益力がもはや失われていると考えられるため。
75
減損処理は資産の取得原価を回収可能な部分と回収不能な部分に配分する手続として、 取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額である以上, 減損処理後も原価配分手続を継続する必要があるため。
76
・制度会計は減損損失の認識の判定について蓋然性基準によっており、 減損損失は減損の兆候がある資産または資産グループについて, これらが生み出す割引前将来キャッシュ・フローがこれらの帳簿価額を下回るとき, すなわち, 減損の存在が相当程度に確実な場合に限って認識及び測定されるものとしているため。 減損損失の戻入れを行う場合, 一度減損損失を計上した資産または資産グループに関する回収可能価額の見積りの変更を常に把握しなければならず, 事務的負担を増大させるおそれがあるため。
77
① この方法は, 仕入割引は代金の早期決済という財務活動の成果であり, 利息相当分の減免額であるから, 財務収益としての性格を有することを論拠とする。 この方法の背後には,仕入取引と代金決済取引とを独立した別個の取引とみる考え方がある。 ② この方法は、仕入割引は仕入代金の一部免除という点で値引・割戻と同じであり, 送状価額から控除することで最終的な現金支払額をもって資産の取得原価を計上できることを論拠とする。この方法の背後には, 仕入取引と代金決済取引とを連続した1つの取引とみる考え方がある。
78
(長所) 収益と費用が同一の価格水準で対応するため, 棚卸資産の購入から販売までの保有期間における市況の変動により生じる保有損益を期間損益から排除できる。 (P/L面での長所) (短所) ・一般的に, 原価の流れの仮定が棚卸資産の実際の流れを忠実に表現しているとはいえない。 ・棚卸資産が過去に購入したときからの価格変動を反映しない金額で貸借対照表に繰り越され続けるため, 棚卸資産の貸借対照表価額が最近の価格水準と大幅に乖離する。 (⇒B/S面での短所)
79
後入先出法の長所として, 期間損益計算から棚卸資産の保有利益を排除することによって適切な期間損益の計算に資するという点が説明されるが, これは後入先出法を採用することによって 特定の時点で計上されることになる利益を単に繰延べているに過ぎないと考えられる。 この結果, 棚卸資産の期末の数量が期首の数量を下回り 食い込みが生じた場合には, 累積した保有利益がまとめて計上されるという問題点がある。さらに,この点については, 企業が棚卸資産の購入量を調整することによって,当該保有損益を意図的に当期の損益に計上することもできるという指摘がある。 以上より, 後入先出法が適切な期間損益の計算に資するとは必ずしもいえないため、認められなくなった。
80
① 適正な期間損益計算を行うためには、棚卸資産の原価を当期の実現収益に対応させることが必要であり, 当期の損益が, 期末時価の変動, または将来の販売時点に確定する損益によって歪められてはならないという考えから, 原価法が原則的な方法とされていた。 ② 低価法は期間損益計算の見地からすると合理性をもたないが, 保守主義に基づく評価基準であり、実務慣行として定着していたため。
81
収益性が低下した場合における簿価切下げは、 取得原価基準の下で回収可能性を反映させるように過大な帳簿価額を減額し, 将来に損失を繰延べないために行われる会計処理である。
82
① 取得原価基準の本質を、名目上の取得原価で据え置くこととみている。 ② 取得原価基準の本質を 回収可能な原価だけを繰り越すこととみている。
83
棚卸資産の場合には, 固定資産のように使用を通じて, また、 債権のように契約を通じて投下資金の回収を図ることは想定されておらず, 通常, 販売によってのみ資金の回収を図る。 このような投資の回収形態の特徴を踏まえると、 評価時点における資金回収額を示す棚卸資産の正味売却価額がその帳簿価額を下回っているときには, 収益性が低下しているとみることができるため正味売却価額と帳簿価額との比較によって収益性の低下を判断する。
84
・発生原因は相違するものの, 正味売却価額が下落することにより収益性が低下しているという点からみれば,会計処理上, それぞれの区分に相違を設ける意義は乏しいと考えられるため。 ・特に経済的な劣化による収益性の低下と, 市場の需給変化に基づく正味売却価額の下落による収益性の低下は, 実務上、必ずしも明確に区分できないため。
85
通常の販売目的で保有する棚卸資産の最終的な投資の成果の確定は将来の販売時点であることから, 収益性の低下に基づく簿価切下げの判断に際しても, 期末において見込まれる将来販売時点の売価に基づく正味売却価額によることが望ましい。 しかし, その入手や合理的な見積りは困難な場合が多いことから, 合理的に算定された価額として, 期末前後での販売実績に基づく価額も用いられる。そのため, 「将来販売時点の正味売却価額」 と 「期末時点の正味売却価額」のいずれも含まれるように 「期末における正味売却価額」という表現を用いている。
86
① 固定資産の減損処理においては損失発生の可能性の高さを要件とするのに対し, 棚卸資産における収益性の低下は, 期末における正味売却価額が帳簿価額を下回っているかどうかによって判断しており, 蓋然性を要件としていない。そのため, 簿価切下額の戻入れを行う洗替え法の方が, 戻入れを行わない切放し法に比して, 正味売却価額の回復という事実を反映するため、収益性の低下に着目した簿価切下げの考え方と整合的である。 ② 収益性の低下に基づき過大な帳簿価額を切下げ, 将来に損失を繰延べないために行われる会計処理において, いったん費用処理した金額を正味売却価額が回復したからといって戻入れることは,固定資産の減損処理と同様に, 適切ではない。
87
・費用処理または資産計上を任意とする従来の処理は、重要な投資情報である研究開発費について、企業間の比較可能性が担保されないため、 適当ではない。 ・研究開発費は、発生時には将来の収益を獲得できるか否か不明であり,また, 研究開発計画が進行し、 将来の収益の獲得期待が高まったとしても、依然としてその獲得が確実であるとはいえないため、研究開発費を資産として貸借対照表に計上することは適当ではない。 ・一定の要件を満たすものについて資産計上を強制する処理を採用する場合には、資産計上の要件を定める必要があるが、実務上客観的に判断可能な要件を規定することは困難であり, 抽象的な要件のもとで資産計上を求めることとした場合、 企業間の比較可能性が損なわれるおそれがあるため、適当ではない。
88
開発に関する支出の中には、経済的便益をもたらす蓋然性が高いものが含まれており, その内容にかかわらず、一律にすべての研究開発費を費用として処理することは適当ではなく、一定の開発費については資産として計上すべきである。
89
引当金処理の場合には, 有形固定資産の除去に必要な金額が貸借対照表に計上されないことから、 資産除去債務の負債計上が不十分であるという問題点があるが, 資産負債の両建処理の場合には, 有形固定資産の取得等に付随して不可避的に生じる除去サービスの債務の全額が負債として財務諸表に適切に反映される。 また, 資産負債の両建処理は、 取得原価に含められた資産除去債務に対応する除去費用が, 減価償却を通じて, 当該有形固定資産の使用に応じて各期に費用配分されるため, 資産負債の両建処理は引当金処理を包摂する。 以上の理由から、 「資産除去債務に関する会計基準」 では資産負債の両建処理が採用されている。
90
討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 では, 財務諸表の構成要素の定義を充足した項目の認識にあたり, 基礎となる契約の原則として少なくとも一方の履行を求めている。 この点, 有形固定資産の除去などの将来に履行される用役について, その支払いも将来において履行される場合,当該債務は通常, 双務未履行であるため, 資産除去債務を負債として認識することは合理性に欠ける。
91
・自己の支出見積りと市場の評価を反映した金額との間に生じ得る相違として, 市場が想定する支出額よりも自ら処理する場合の支出見積額の方が低い場合が考えられるが,現実には市場の想定する支出額というものが客観的に明らかでないことが多いため、 実務的には大きな相違とはならないことが多いものと考えられる。 ・仮に市場が想定する支出額よりも自ら処理する場合の支出見積額の方が低い場合、 自らの効率性による利益は, 履行時に反映されるべきであるという考え方もあるが、企業の投資上 資産の除去は,通常,単独ではなく有形固定資産の投資プロジェクトの一環として行われるため,当該有形固定資産の耐用年数にわたり、 その効率性を反映させていく方が妥当である。
92
・退職給付債務の算定においても無リスクの割引率が使用されている。 ・同一の内容の債務について信用リスクの高い企業の方が高い割引率を用いることにより負債計上額が少なくなるという結果は、財政状態を適切に示さないと考えられる。 ・資産除去債務の性格上自らの不履行の可能性を前提とする会計処理は適当ではない。
93
・資産除去債務に対応する除去費用の資産計上額が有形固定資産の稼動等にとって必要な除去サービスの享受等に関する何らかの権利に相当する。 ・将来提供される除去サービスの前払い (長期前払費用) としての性格を有する。
94
資産除去債務に対応する除去費用は、法律上の権利ではなく財産的価値もないこと, また, 独立して収益獲得に貢献するものではないことから,別の資産として計上する方法は適切ではないと考えられるため。
95
資産除去債務に対応する除去費用は有形固定資産の稼動にとって不可欠なものであり有形固定資産の取得に関する付随費用と同様に処理すべきであると考えられるため。
96
・割引率を毎期見直すとした場合, 毎期末において変更後の負債額を貸借対照表に反映させることになるが,このような負債の計上に割引率の変更を反映させることについては、他の負債の取扱いとの整合性に問題がある。 割引率を負債計上時の割引率に固定する方法は、時の経過によって一定の利息相当額を配分するものであり, 関連する有形固定資産について減価償却という費用配分が行われることとも整合的である。
97
① 時の経過による資産除去債務の調整額は、資産除去債務の履行に関する資金調達費用と見ることができるため, 財務費用として営業外費用に含めることが適切である。 ②時の経過による資産除去債務の調整額は、実際の資金調達活動による費用ではない。 同種の計算により費用を認識している退職給付会計における利息費用が退職給付費用の一部を構成するものとして営業費用に計上されている。
98
除去費用の総額が固定資産の利用期間にわたって配分され, 将来キャッシュ・フローに重要な見積りの変更が生じた場合には資産除去債務の計上額が見直されることを前提とすれば, 資産除去債務の履行時に認識される差額についても, 固定資産の取得原価に含められて減価償却を通じて費用処理された除去費用と異なる性格を有するものではないため。
連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
長谷川梨奈 · 98問 · 2年前連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
連結財務諸表・法人税等・外貨・財務諸表・会計上の変更等・四半期
98問 • 2年前レジュメ①・純資産・リース
レジュメ①・純資産・リース
長谷川梨奈 · 100問 · 2年前レジュメ①・純資産・リース
レジュメ①・純資産・リース
100問 • 2年前収益認識・企業結合・事業分離
収益認識・企業結合・事業分離
長谷川梨奈 · 36問 · 2年前収益認識・企業結合・事業分離
収益認識・企業結合・事業分離
36問 • 2年前問題一覧
1
子会社の従業員等に、 親会社株式のオプションが付与された場合に,これに対応して量または質の面で追加的に提供されると考えられるサービスの直接の受領者は子会社である。 しかし、親会社が子会社の従業員等に自社株式オプションを付与するのは、子会社の従業員等に対し、 親会社自身の子会社に対する投資の価値を結果的に高めるようなサービス提供を期待しているためと考えられ、当該取引にも対価性を認めることができる。 したがって、 親会社が子会社において享受したサービスの消費を、 親会社の個別財務諸表において費用として計上する。
2
費用認識は行われない。 なぜなら, 自社株式オプションを付与する取引のうち, 「ストックオプション等に関する会計基準」 において費用認識の対象とされるのは、 企業が財貨またはサービスの取得において、 対価として自社株式オプションを付与する取引であるが、敵対的買収防止策として付与される自社株式オプションは、財貨またはサービスを取得する対価として付与されているわけではないからである。
3
従業員等に付与されたストック・オプションを対価として,これと引換えに、企業に追加的にサービスが提供され、 企業に帰属することとなったサービスを消費したことに費用認識の根拠がある。 すなわち, 企業に帰属し、貸借対照表に計上されている財貨を消費した場合に費用認識が必要である以上, 企業に帰属しているサービスを消費した場合にも費用を認識するのが整合的であるため、ストック・オプションを付与する取引についても費用認識が行われる。
4
一般的には、 合理的な経済活動を営んでいる企業が見返りも無く自社株式オプションを付与しているとは考えにくく、 企業は従業員等に自社株式オプションを付与した場合に、 量または質の面で追加的なサービスの提供 (インセンティブ効果)を期待していると考えられるためである。
5
ストックオプションは対価として付与されるものであり、この取引の結果, 企業に帰属することとなったサービスを消費することにより. 費用を生じる取引としての性格を有している。 すなわち, 新旧株主間の富の移転を生ずる取引であっても、 従業員等に対してストック・オプションを付与する取引のように、対価として利用されている取引と、 自社の株式の時価未満での発行のように、発行価額の払込み以外に、対価関係にある給付の受入れを伴わない取引とは異なる種類の取引であり、 新旧株主間において富の移転を生じさせたからといって, それだけで費用認識が否定されるわけではない。
6
ストック・オプションを付与する取引においては、確かに会社財産の流出はないが、ストックオプションを対価として提供されたサービスの消費の事実に着目すれば、 企業にとっての費用と考えられる。すなわち, 現行の会計基準の枠組みの中でも、 償却資産の現物出資を受けた場合や、償却資産の贈与を受けた場合には、対価としての会社財産の流出はないが、 減価償却費は認識されており, 対価としての会社財産の流出は費用認識の必要条件ではない。
7
付与したストックオプションと,これに応じて提供されたサービスは、契約成立の時点において、 等価で交換されていると考えられる。 このように考える以上, 相互に対価関係にある財貨やサービスの間で、 いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で、対価関係にある他方の財貨またはサービスの価値を算定することとなるが、 特に取得するものが従業員等から提供される追加的なサービスである場合には、 信頼性をもって測定することができないため、 その価値を付与されたストック・オプションの価値で算定する。
8
ストックオプションを用いた取引においても、他の対価を用いた取引と同様に等価での交換が前提となっていると考えられるが,この等価性の判断において前提となっているストックオプションの価値は、 条件付の契約が締結されたといえる, ストック・オプションの付与日における価値であると考えるのが合理的であるため。
9
付与日以後のストック・オプションの公正な評価単価の変動は、ストックオプションの原資産である株式の時価の変動等により起こるものであり、 サービスの価値とは直接的な関係を有しないため。
10
権利確定条件を満たすサービスが提供されてはじめて付与された自社株式オプションの権利が確定することから, 付与されたストック・オプションの権利が確定するか否かが未定の間は, 権利が確定する部分の見積り計算によらざるを得ないため。
11
取引が完結し, 付与されたストック・オプションの権利が確定した後に, 権利が行使されないままストックオプションが失効した場合でも、これと引換えに提供されたサービスが既に消費されている以上, 過去における費用の認識自体は否定されないため。
12
ストック オプションは自社の株式をあらかじめ決められた価格で引き渡す可能性であるにすぎないから,それが行使されないまま失効すれば,結果として会社は株式を時価未満で引き渡す義務を免れることになるため、 結果が確定した時点で振り返れば、無償で提供されたサービスを消費したと考えることができる。 このように、 新株予約権が行使されずに消滅した結果, 新株予約権を付与したことに伴う純資産の増加が株主との直接的な取引によらないこととなった場合には,それを利益に計上した上で株主資本に算入することが適切である。
13
ストックオプションの公正な評価単価算定は、企業と従業員との間で締結された契約のおいて,等価交換の前提とされた付与日現在の価値で行い, その後も見直さないが, 行使価格の引下げ等の条件変更が行われた場合には, これにより前提とされているストック・オプションの公正な評価単価についての修正が行われたと考えられるため。
14
ストックオプションの条件変更日における公正な評価単価が付与日における公正な評価単価を下回る場合についても,上回る場合と同様の会計処理を求めることとすると, ストックオプションの条件を従業員等にとってより価値あるものとすることにより, かえって費用を減額させるというパラドックスが生じてしまうが, これを回避するため。
15
権利不確定による失効の見積数の重要な変動は、 環境の変化等の企業が意図しないストック・オプション数の変動であるため, その影響額を見直した期に損益として計上する。 これに対して、企業の意図による条件変更の結果生じたストックオプション数の変動は, 将来にわたる効果を期待して行ったものと考えられるため, その影響額は条件変更後, 残存期間にわたって反映させる。
16
企業の意図による条件変更の結果, ストック・オプション数に変動が生じた場合には, 将来にわたる効果を期待して条件変更を行ったものと考えられるため。
17
退職給付の性格は,労働の対価として支払われる賃金の後払いであり,基本的に勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生するものである。 そうであるならば,その支給方法や積立方法の如何に関わらず, 退職給付はその発生した期間に費用として認識することとなる。
18
予測給付債務とは、受給権未取得者を含む全従業員について,認識時点までの勤務期間と将来の昇給による給付の増加を見込んで算定した将来退職給付額の現在価値をいう。実際の退職給付の支払いは退職時における退職給付の額に基づいて行われるものであり, 現在時点の退職給付の支払額のみに基づいて将来の退職給付の額を見積ることは、 退職給付の実態が適切に反映していないと考えられるため, 制度会計上, 予測給付債務が採用される。 予測給付債務の問題点として, 退職給付債務の算定にあたり将来の昇給を考慮するため、 現在の義務に該当せず 負債の定義を満たさないのではないかとの指摘がなされる点が挙げられる。
19
一時的に支払われる早期割増退職金は, 勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生した退職給付という性格を有しておらず、むしろ将来の勤務を放棄する代償, 失業期間中の補償等の性格を有するものとして捉えることが妥当であるため。
20
直接観察できない労働サービスの費消態様に合理的な仮定を置かざるを得ないことを踏まえれば、労働サービスに係る費用配分の方法は一義的に決まらず, 勤務期間を基礎とする費用配分の方法についても、これを否定する根拠は乏しいため。
21
勤続年数の増加に応じた労働サービスの向上を踏まえれば,毎期の費用を定額とする期間定額基準よりも、 給付算定式に従って費用が増加するという取扱いの方が実態をより表す。
22
・勤続年数の増加に応じた労働サービスの向上を踏まえれば、 毎期の費用を定額とする期間定額基準は実態を表しているとはいえない。 ・期間定額基準は,定年直前に給付が頭打ちになる場合や、 将来給付すべての減額の場合など、勤務をしても給付が増加されない状況でも費用を認識する場合がある点で妥当ではない。
23
年金資産は退職給付の支払のためのみに使用されることが制度的に担保されていることなどから,これを収益獲得のために保有する一般の資産と同様に企業の貸借対照表に計上すると, かえって財務諸表の利用者に誤解を与えるおそれがあるため。
24
・最終的に外部の運用機関に提出する金額こそが企業が負担するべき労務費であると考えるならば、勤務費用のほか、 利息費用及び期待運用収益も, 労務費として営業損益に含めるべきである。 ・利息費用については、 実際の資金調達活動による費用とは異なり、 財務損益として認識すべきものではない。
25
数理計算上の差異には予測と実績の乖離のみならず予測数値の修正も反映されることから,各期に生じる差異を直ちに費用として計上することが退職給付に係る債務の状態を忠実に表現するとは言えない面があり,その性格を一時の費用とすべきものとして一義的に決定づけることは難しいと考えられるため。
26
過去勤務費用の発生要因である給付水準の改訂等は、 従業員の勤労意欲が将来にわたって向上するとの期待のもとに行われる面があり,その性格を一時の費用とすべきものとして一義的に決定づけることは難しいと考えられるため。
27
退職従業員は給付水準の改訂により将来の勤務意欲の向上という効果が期待できないため。
28
重要性基準とは, 基礎率等の計算基礎に重要な変動が生じない場合には計算基礎を変更しない等計算基礎の決定にあたって合理的な範囲で重要性による判断を認める方法をいう。 回廊アプローチとは、退職給付債務の数値を毎期末時点において厳密に計算し, その結果生じまた計算差異に一定の許容範囲 (回廊) を設ける方法をいう。 両者には,基礎率の変動が財務諸表に与える影響を緩和するという共通する目的がある。制度会計上は,割引率等の計算基礎に重要な変動が生じていない場合には,これを見直さないことができるとしており, 重要性基準を採用している。 これは, 退職給付費用が長期的な見積計算であることから, 重要性による判断を認めることが適切と考えられることを理由とする。
29
計算基礎に重要性による判断を認めた上で回廊を設けることとする場合, 実質的な許容範囲の幅が極めて大きくなるため。
30
一部が除かれた積立状況を示す額を貸借対照表に計上する場合, 積立超過のときに負債が計上されたり、積立不足のときに資産が計上されたりすることがあり得るなど, 退職給付制度に係る状況について財務諸表利用者の理解を妨げてしまうが, 積立状況を示す額を負債または資産に計上することで、企業の財政状態を忠実に表現でき、 貸借対照表に明瞭で理解しやすい金額が表示されるからである。
31
① この方法では数理計算上の差異が損益計算書に計上されることなく利益剰余金に計上されるため、我が国が重視する。 報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本との連繋 (クリーン・サープラス関係)が確保されないからである。 ② 「退職給付に関する会計基準」 では、 未認識数理計算上の差異についてその他の包括利益を通じて純資産の部に計上し, 平均残存勤務期間以内の一定の年数にわたって費用処理する方法を採用している。 これは、 当該処理により. 我が国が重視する。 報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本との連撃 (クリーンサープラス関係)が保たれることを根拠とする。
32
確定拠出制度では, 企業は掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負わず, 資金の運用リスクを負担しないことから, 積立過不足が生じる余地がなく, 負債または資産を計上する必要がないため。
33
金融資産または金融負債自体を対象とする取引については、 当該取引の契約時から当該金融資産または金融負債の時価の変動リスクや契約の相手方の財政状態等に基づく信用リスクが契約当事者に生じるため。
34
約定日から受渡日までの期間が市場の規則または慣行に従った通常の期間である場合、売買約定日に買手は有価証券の発生を認識し、売手は有価証券の消滅の認識を行う。 約定日から受渡日までの期間が通常の期間よりも長い場合、 売買契約を買手も売手も先渡契約として約定日に認識し、 決算日における未決済の先渡契約をデリバティブ取引として時価評価し、評価差額を当期の純損益として計上する。
35
① リスク経済価値アプローチとは、金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてが他に移転した場合に当該金融資産の消滅を認識する方法をいう。 ② 財務構成要素アプローチとは, 金融資産を構成する財務的要素 (財務構成要素) に対する支配が他に移転した場合に当該移転した財務構成要素の消滅を認識し、 留保される財務構成要素の存続を認識する方法をいう。 譲渡人が自己の所有する金融資産を譲渡した後も回収サービス業務を引受ける等、金融資産を財務構成要素に分解して取引することが多くなると, リスク・経済価値アプローチでは金融資産を財務構成要素に分解して支配の移転を認識することができないため、 取引の実質的な経済効果が譲渡人の財務諸表に反映されないこととなる。そのため, 制度会計上は, 財務構成要素アプローチが採用されている。
36
買戻すことにより取引を完結することがあらかじめ合意されている現先取引は、 金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転しているとは認められない。したがって, その約定が売買契約であっても売買取引として処理することは認められず, 金融取引として処理することとなる。
37
金融資産は,一般的には, 市場が存在すること等により客観的な価額として時価を把握できるとともに,当該価額により換金 決済等を行うことが可能である。 そこで, 客観的な時価の測定可能性が認められないものを除き, 時価による自由な換金 決済等が可能な金融資産については,投資情報としても、 企業の財務認識としても、さらに,国際的調和化の観点からも,これを時価評価し適切に財務諸表に反映することが必要であると考えられるからである。
38
金融負債は,借入金のように一般的には市場がないか, 社債のように市場があっても、自己の発行した社債を時価により自由に清算するには事業遂行上等の制約があると考えられるため。
39
一般的に,金銭債権については, 活発な市場がない場合が多い。 このうち, 受取手形や売掛金は,通常,短期的に決済されることが予定されており, 帳簿価額が時価に近似しているものと考えられ,また, 貸付金等の債権は, 時価を容易に入手できない場合や売却することを意図していない場合が少なくないと考えられるため, 金銭債権については, 原則として時価評価は行わない。
40
債権の取得においては,債権金額と取得価額とが異なる場合があり, この差異が金利の調整であると認められる場合には, 金利相当額を適切に各期の財務諸表に反映させることが必要であるため。
41
保有目的から、 投資家にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられるため。
42
売買目的有価証券は、 売却することについて事業遂行上等の制約がなく, 時価の変動にあたる評価差額が企業にとっての財務活動の成果と考えられるため。
43
① 満期保有目的の債券に分類するためには、あらかじめ償還日が定められており,かつ, 額面金額による償還が予定されていることを要するため, 満期の定めのない永久債は,その属性から満期保有目的の債券に分類することはできない。 ② 満期まで所有する意図は取得時点において判断すべきものであり、 一旦、 他の保有目的で取得した債券について, その後保有目的を変更して満期保有目的の債券に振り替えることは認められない。
44
満期保有目的の債券は、 時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており, 満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないため。
45
子会社株式は、 事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えない。 また、関連会社株式は、 他企業への影響力の行使を目的として保有する株式であり、 子会社株式の場合と同じく事実上の事業投資と同様の会計処理を行うことが適当である。したがって,いずれも時価評価は行わない。
46
その他有価証券は、 業務上の関係を有する企業の株式等から市場動向によっては売却を想定している有価証券まで多様な性格を有しており、一義的にその属性を定めることは困難と考えられることから、評価基準に関する基本的考え方に基づいて時価評価を行うため。
47
その他有価証券は、 事業遂行上等の必要性から直ちに売買 換金を行うことには制約を伴う要素もあり、 評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではないため。
48
保守主義の観点から, これまで低価法に基づく銘柄別の評価差額の損益計算書への計上が認められてきたことを考慮したため。
49
満期保有目的の債券に分類された債券について, その一部を売買目的有価証券またはその他有価証券に振替えたり, 償還期限前に売却を行った場合は、 満期保有目的の債券に分類された残りのすべての債券について, 保有目的の変更があったものとして売買目的有価証券またはその他有価証券に振替えなければならない。したがって, 有価証券のトレーディングを行っていない当社では、B社社債を償却原価をもってその他有価証券に振替えなければならず, 振替後は時価をもって貸借対照表価額とする。
50
減損処理を行った債券については、取得差額はもはや金利調整差額とは考えられないため,その後の会計期間において償却原価法は適用されない。
51
運用を目的とする金銭の信託は、企業が当該金銭の信託に係る信託財産を構成する金融資産及び金融負債を運用目的で間接的に保有しているものと考えられ、加えて、 金銭の信託契約の満了時に、 当該金銭の信託に係る信託財産またはそれを時価により換金した現金により支払を受ける場合、投資家及び企業双方にとって意義を有するのは信託財産の時価であると考えられるため。
52
運用を目的とする金銭の信託に係る信託財産については、委託者の事業遂行上等の観点からの売買換金の制約がないため。
53
見積時点の改定約定利子率または市場利子率を使用せず, 当初の約定利子率を用いるのは貸倒見積高の算定が 債権を時価で評価し直すために行われるのではなく、 債権の取得価額のうち当初の見積キャッシュ・フローからの減損額を算定することを目的として行われるため。
54
ヘッジ手段であるデリバティブ取引については, 原則的な処理方法によれば時価評価され損益が認識されることとなるが, ヘッジ対象の資産に係る相場変動等が損益に反映されない場合には、両者の損益が期間的に合理的に対応しなくなり, ヘッジ対象の相場変動等による損失の可能性がヘッジ手段によってカバーされているという経済的実態が財務諸表に反映されないこととなる。このため, ヘッジ対象及びヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し, ヘッジの効果を財務諸表に反映させるヘッジ会計が必要となる。
55
満期保有目的の債券は、 満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており 満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないため, 時価評価が求められない。 この取扱いの趣旨に鑑みると, 満期保有目的の債券に対して、 金利変動による価格変動リスクをヘッジする取引に会計上特別なヘッジ会計を認めることは論理的に整合しない。したがって、 原則として、 満期保有目的の債券を金利変動リスクに関するヘッジ対象とすることは認められない。
56
ヘッジ会計は、原則として、 時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰延べる方法による。 これは繰延ヘッジと呼ばれ, ヘッジ手段の損益認識時点をヘッジ対象の損益認識時点にあわせる方法である。 ただし、ヘッジ対象である資産または負債に係る相場変動等を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識することもできる。これは時価ヘッジと呼ばれ、 ヘッジ対象の損益認識時点をヘッジ手段の損益認識時点にあわせる方法である。
57
金利スワップの特例処理では、金利スワップと金利変換の対象となる資産または負債を一体として実質的に変換された条件による債権または債務と考える。そのため、金利スワップを時価評価せず、 当該金利スワップに係る金銭の受払の純類等を当該資産または負債に係る利息に加減して処理する。
58
転換社債型新株予約権付社債については, 社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在し得ないことから,それぞれの部分を区分して処理する必要性は乏しいため。
59
転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債は, 払込資本を増加させる可能性のある部分とそれ以外の部分が同時に各々存在し得ることから, その取引の実態を適切に表示するため、 それぞれの部分を区分して処理することが必要であるため。
60
事業用の固定資産については,通常, 市場平均を超える成果を期待して事業に使われているため、市場の平均的な期待で決まる時価が変動しても、 企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、 また、 投資の価値自体も、 投資の成果であるキャッシュ・フローが得られるまでは実現したものではないため。
61
空欄A:資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった 空欄B: 一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額 固定資産の減損処理の本質 通常の販売目的で保有する棚卸資産の簿価切下げや固定資産の物理的な滅失による臨時損失などと同様に、事業用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰延べないために行われる会計処理。
62
固定資産の減損処理は、 金融商品に適用されている時価評価とは異なり、資産価値の変動によって利益を測定することや, 決算日における資産価値を貸借対照表に表示することを目的とするものではなく、 取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額であるという特徴を有している。
63
減損処理は、 本来、 投資期間全体を通じた投資額の回収可能性を評価し、 投資額の回収が見込めなくなった時点で、 将来に損失を繰り延べないために帳簿価額を減額する会計処理と考えられる。そのため、期末の帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直すだけでは、帳簿価額の回収が見込めない場合であっても、過年度の回収額を考慮すれば投資期間全体を通じて投資額の回収が見込める場合や, また、 過年度の減価償却などを修正したときに修正後の帳簿価額の回収が見込める場合にも減損損失が認識されてしまい。 収益性の低下による減損損失を正しく認識することはできない。
64
共通点: いずれも取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額であり、過大な帳簿価額を減額し, 将来に損失を繰延べないために行われる会計処理である点で共通する。 相違点 減損処理は、 資産の収益性の低下を帳簿価額に反映することを目的とする会計処理であり、計上される減損損失が臨時損失項目であるのに対して、臨時償却は、資産に生じた機能的減価に起因した耐用年数の短縮等に基づいて過年度の減価償却を修正することを目的とする会計処理であり, 計上される臨時償却費が前期損益修正項目である点で相違する。
65
グルーピングの単位をより大きなものとした場合、 減損が生じていない資産の将来キャッシュフローと通算されることによって、 減損損失が認識されない可能性があり, また減損損失の計上額も小さくなってしまうため。
66
すべての資産または資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うことは.実務上, 過大な負担となるおそれがあることを考慮したため。
67
減損損失の測定は、 将来キャッシュ・フローの見積りに大きく依存するが、 将来キャッシュ・フローが約定されている場合の金融資産と異なり、 成果の不確定な事業用資産の減損は,測定が主観的にならざるを得ず, その点を考慮すると、 減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識することが適当であると考えられるため。
68
土地のような非償却性資産は使用期間が無限になりうることから、その見積期間を制限する必要があるため。 一般的に長期間にわたる将来キャッシュフローの見積りは不確実性が高くなるため。
69
企業は、 資産または資産グループに対する投資を売却と使用のいずれかの手段によって回収すあるが、この際いずれか有利な方を選択すると考えられるため, 売却による回収額である正味売却価額と、 使用による回収額である使用価値のいずれか高い方の金額が回収可能価額とされる。
70
正味売却価額が使用価値より高い場合、 企業は資産または資産グループを既に売却していると考えられることから、 通常, 使用価値は正味売却価額より高いと考えられるため。
71
この考え方は、資産の帳簿価額を回収できないときに減損した資産を売却せずに使用するという意思決定を、 その資産への再投資という新たな経済的意思決定に相当するものとみる。 したがって 投資の清算及び再投資が行われたものとみて, 公正価値たる時価をもって新しい取得原価とすべきであると説明される。
72
将来キャッシュ・フローは、客観的な資産または資産グループの時価を算定するためではなく、企業にとって資産または資産グループの帳簿価額が回収可能かどうかを判定するため、 あるいは、企業にとって資産または資産グループがどれだけの経済的な価値を有しているかを算定するために見積るものであるため。
73
資産除去債務が負債に計上されている場合には、 除去費用部分の影響を二重に認識しないようにするため。
74
減損損失を認識するかどうかの判定の結果, 減損損失を認識することとなった場合には,当該判定単位の超過収益力がもはや失われていると考えられるため。
75
減損処理は資産の取得原価を回収可能な部分と回収不能な部分に配分する手続として、 取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額である以上, 減損処理後も原価配分手続を継続する必要があるため。
76
・制度会計は減損損失の認識の判定について蓋然性基準によっており、 減損損失は減損の兆候がある資産または資産グループについて, これらが生み出す割引前将来キャッシュ・フローがこれらの帳簿価額を下回るとき, すなわち, 減損の存在が相当程度に確実な場合に限って認識及び測定されるものとしているため。 減損損失の戻入れを行う場合, 一度減損損失を計上した資産または資産グループに関する回収可能価額の見積りの変更を常に把握しなければならず, 事務的負担を増大させるおそれがあるため。
77
① この方法は, 仕入割引は代金の早期決済という財務活動の成果であり, 利息相当分の減免額であるから, 財務収益としての性格を有することを論拠とする。 この方法の背後には,仕入取引と代金決済取引とを独立した別個の取引とみる考え方がある。 ② この方法は、仕入割引は仕入代金の一部免除という点で値引・割戻と同じであり, 送状価額から控除することで最終的な現金支払額をもって資産の取得原価を計上できることを論拠とする。この方法の背後には, 仕入取引と代金決済取引とを連続した1つの取引とみる考え方がある。
78
(長所) 収益と費用が同一の価格水準で対応するため, 棚卸資産の購入から販売までの保有期間における市況の変動により生じる保有損益を期間損益から排除できる。 (P/L面での長所) (短所) ・一般的に, 原価の流れの仮定が棚卸資産の実際の流れを忠実に表現しているとはいえない。 ・棚卸資産が過去に購入したときからの価格変動を反映しない金額で貸借対照表に繰り越され続けるため, 棚卸資産の貸借対照表価額が最近の価格水準と大幅に乖離する。 (⇒B/S面での短所)
79
後入先出法の長所として, 期間損益計算から棚卸資産の保有利益を排除することによって適切な期間損益の計算に資するという点が説明されるが, これは後入先出法を採用することによって 特定の時点で計上されることになる利益を単に繰延べているに過ぎないと考えられる。 この結果, 棚卸資産の期末の数量が期首の数量を下回り 食い込みが生じた場合には, 累積した保有利益がまとめて計上されるという問題点がある。さらに,この点については, 企業が棚卸資産の購入量を調整することによって,当該保有損益を意図的に当期の損益に計上することもできるという指摘がある。 以上より, 後入先出法が適切な期間損益の計算に資するとは必ずしもいえないため、認められなくなった。
80
① 適正な期間損益計算を行うためには、棚卸資産の原価を当期の実現収益に対応させることが必要であり, 当期の損益が, 期末時価の変動, または将来の販売時点に確定する損益によって歪められてはならないという考えから, 原価法が原則的な方法とされていた。 ② 低価法は期間損益計算の見地からすると合理性をもたないが, 保守主義に基づく評価基準であり、実務慣行として定着していたため。
81
収益性が低下した場合における簿価切下げは、 取得原価基準の下で回収可能性を反映させるように過大な帳簿価額を減額し, 将来に損失を繰延べないために行われる会計処理である。
82
① 取得原価基準の本質を、名目上の取得原価で据え置くこととみている。 ② 取得原価基準の本質を 回収可能な原価だけを繰り越すこととみている。
83
棚卸資産の場合には, 固定資産のように使用を通じて, また、 債権のように契約を通じて投下資金の回収を図ることは想定されておらず, 通常, 販売によってのみ資金の回収を図る。 このような投資の回収形態の特徴を踏まえると、 評価時点における資金回収額を示す棚卸資産の正味売却価額がその帳簿価額を下回っているときには, 収益性が低下しているとみることができるため正味売却価額と帳簿価額との比較によって収益性の低下を判断する。
84
・発生原因は相違するものの, 正味売却価額が下落することにより収益性が低下しているという点からみれば,会計処理上, それぞれの区分に相違を設ける意義は乏しいと考えられるため。 ・特に経済的な劣化による収益性の低下と, 市場の需給変化に基づく正味売却価額の下落による収益性の低下は, 実務上、必ずしも明確に区分できないため。
85
通常の販売目的で保有する棚卸資産の最終的な投資の成果の確定は将来の販売時点であることから, 収益性の低下に基づく簿価切下げの判断に際しても, 期末において見込まれる将来販売時点の売価に基づく正味売却価額によることが望ましい。 しかし, その入手や合理的な見積りは困難な場合が多いことから, 合理的に算定された価額として, 期末前後での販売実績に基づく価額も用いられる。そのため, 「将来販売時点の正味売却価額」 と 「期末時点の正味売却価額」のいずれも含まれるように 「期末における正味売却価額」という表現を用いている。
86
① 固定資産の減損処理においては損失発生の可能性の高さを要件とするのに対し, 棚卸資産における収益性の低下は, 期末における正味売却価額が帳簿価額を下回っているかどうかによって判断しており, 蓋然性を要件としていない。そのため, 簿価切下額の戻入れを行う洗替え法の方が, 戻入れを行わない切放し法に比して, 正味売却価額の回復という事実を反映するため、収益性の低下に着目した簿価切下げの考え方と整合的である。 ② 収益性の低下に基づき過大な帳簿価額を切下げ, 将来に損失を繰延べないために行われる会計処理において, いったん費用処理した金額を正味売却価額が回復したからといって戻入れることは,固定資産の減損処理と同様に, 適切ではない。
87
・費用処理または資産計上を任意とする従来の処理は、重要な投資情報である研究開発費について、企業間の比較可能性が担保されないため、 適当ではない。 ・研究開発費は、発生時には将来の収益を獲得できるか否か不明であり,また, 研究開発計画が進行し、 将来の収益の獲得期待が高まったとしても、依然としてその獲得が確実であるとはいえないため、研究開発費を資産として貸借対照表に計上することは適当ではない。 ・一定の要件を満たすものについて資産計上を強制する処理を採用する場合には、資産計上の要件を定める必要があるが、実務上客観的に判断可能な要件を規定することは困難であり, 抽象的な要件のもとで資産計上を求めることとした場合、 企業間の比較可能性が損なわれるおそれがあるため、適当ではない。
88
開発に関する支出の中には、経済的便益をもたらす蓋然性が高いものが含まれており, その内容にかかわらず、一律にすべての研究開発費を費用として処理することは適当ではなく、一定の開発費については資産として計上すべきである。
89
引当金処理の場合には, 有形固定資産の除去に必要な金額が貸借対照表に計上されないことから、 資産除去債務の負債計上が不十分であるという問題点があるが, 資産負債の両建処理の場合には, 有形固定資産の取得等に付随して不可避的に生じる除去サービスの債務の全額が負債として財務諸表に適切に反映される。 また, 資産負債の両建処理は、 取得原価に含められた資産除去債務に対応する除去費用が, 減価償却を通じて, 当該有形固定資産の使用に応じて各期に費用配分されるため, 資産負債の両建処理は引当金処理を包摂する。 以上の理由から、 「資産除去債務に関する会計基準」 では資産負債の両建処理が採用されている。
90
討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 では, 財務諸表の構成要素の定義を充足した項目の認識にあたり, 基礎となる契約の原則として少なくとも一方の履行を求めている。 この点, 有形固定資産の除去などの将来に履行される用役について, その支払いも将来において履行される場合,当該債務は通常, 双務未履行であるため, 資産除去債務を負債として認識することは合理性に欠ける。
91
・自己の支出見積りと市場の評価を反映した金額との間に生じ得る相違として, 市場が想定する支出額よりも自ら処理する場合の支出見積額の方が低い場合が考えられるが,現実には市場の想定する支出額というものが客観的に明らかでないことが多いため、 実務的には大きな相違とはならないことが多いものと考えられる。 ・仮に市場が想定する支出額よりも自ら処理する場合の支出見積額の方が低い場合、 自らの効率性による利益は, 履行時に反映されるべきであるという考え方もあるが、企業の投資上 資産の除去は,通常,単独ではなく有形固定資産の投資プロジェクトの一環として行われるため,当該有形固定資産の耐用年数にわたり、 その効率性を反映させていく方が妥当である。
92
・退職給付債務の算定においても無リスクの割引率が使用されている。 ・同一の内容の債務について信用リスクの高い企業の方が高い割引率を用いることにより負債計上額が少なくなるという結果は、財政状態を適切に示さないと考えられる。 ・資産除去債務の性格上自らの不履行の可能性を前提とする会計処理は適当ではない。
93
・資産除去債務に対応する除去費用の資産計上額が有形固定資産の稼動等にとって必要な除去サービスの享受等に関する何らかの権利に相当する。 ・将来提供される除去サービスの前払い (長期前払費用) としての性格を有する。
94
資産除去債務に対応する除去費用は、法律上の権利ではなく財産的価値もないこと, また, 独立して収益獲得に貢献するものではないことから,別の資産として計上する方法は適切ではないと考えられるため。
95
資産除去債務に対応する除去費用は有形固定資産の稼動にとって不可欠なものであり有形固定資産の取得に関する付随費用と同様に処理すべきであると考えられるため。
96
・割引率を毎期見直すとした場合, 毎期末において変更後の負債額を貸借対照表に反映させることになるが,このような負債の計上に割引率の変更を反映させることについては、他の負債の取扱いとの整合性に問題がある。 割引率を負債計上時の割引率に固定する方法は、時の経過によって一定の利息相当額を配分するものであり, 関連する有形固定資産について減価償却という費用配分が行われることとも整合的である。
97
① 時の経過による資産除去債務の調整額は、資産除去債務の履行に関する資金調達費用と見ることができるため, 財務費用として営業外費用に含めることが適切である。 ②時の経過による資産除去債務の調整額は、実際の資金調達活動による費用ではない。 同種の計算により費用を認識している退職給付会計における利息費用が退職給付費用の一部を構成するものとして営業費用に計上されている。
98
除去費用の総額が固定資産の利用期間にわたって配分され, 将来キャッシュ・フローに重要な見積りの変更が生じた場合には資産除去債務の計上額が見直されることを前提とすれば, 資産除去債務の履行時に認識される差額についても, 固定資産の取得原価に含められて減価償却を通じて費用処理された除去費用と異なる性格を有するものではないため。