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問題一覧
1
人権に関する以下の記述のうち、誤っているものを1つ選べ。 問題 1 1つ選択してください: A. 自由権は、国家権力が個人の領域に介入・干渉することを排除し、個人の精神的・経済的活動や行動の自由を保障するための人権で、これには、表現の自由、信教の自由、職業選択の自由等が含まれる。 B. 参政権は、国民が国政に参加するための権利で、具体的には、選挙権、被選挙権、最高裁判所裁判官の国民審査権、憲法改正国民投票権等があげられるが、裁判を傍聴する権利はこれに含まれない。 C. 社会権は、20世紀に入り、資本主義経済の進展とともに生じた社会的・経済的弱者を保護するために登場した人権で、生存権、勤労の権利、労働基本権等が含まれる。 D. 国務請求権は、国民が国家に対して一定の請求を行う権利で、請願権、教育を受ける権利、国家賠償請求権等の、自由権とともに伝統的に保障されてきた権利を中心にしている。
d
2
次の記述のうち、通説を前提として妥当なもののみを全て選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 日本国憲法は、「法律の留保」のついた明治憲法の人権保障とは異なり、人権を法律によっても侵されない権利として保障した。 B. 基本的人権といえども絶対無制約ではないので、人権を制限する法律であっても、直ちに違憲となるわけではない。 C. 憲法の人権規定の中には、「権利」を保障していても、裁判で主張できる具体的権利ではないものがある。 D. 日本国憲法における人権保障は、行政権に対する保障であって、立法権を拘束するものではない。 E. 第二次世界大戦後、国際連合において採択された国際人権規約は、世界人権宣言の内容を基礎として、これを条約化したものであり、法規範性を有している。
abce
3
A~Eのうち、公共の福祉に関する次のア説~ウ説の学説についての記述として最も適当なものはどれか。 ア説:憲法第12条・第13条の「公共の福祉」は、人権の外にあって、人権を制約することのできる原理である。 イ説:人権が公共の福祉によって制約されるのは、個別の人権規定で「公共の福祉」による制約を認めている場合だけであり、憲法第12条・第13条の「公共の福祉」は、人権制約の根拠となりえない。 ウ説:公共の福祉は、人権相互の矛盾や衝突を調整するための実質的公平の原理である。 問題 3 1つ選択してください: A. ア説は、人権を制約する根拠には、人権に内在するものと外在するものがあると考えている。 B. イ説に立つと、憲法第22条・第29条の「公共の福祉」は、特別の意味を持たないことになる。 C. イ説は、明治憲法の場合と同じように、人権一般に「法律の留保」を認めたことになると批判される。 D. ウ説は、公共の福祉の内容を、自由権を各人に保障するために必要最小限の規制のみを認める自由国家的公共の福祉と、社会権の実質的な保障のために自由権を規制する社会国家的公共の福祉とに区別する。 E. ウ説は、新しい人権の法的根拠を憲法第13条とすることができなくなると批判される。
d
4
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「憲法13条の定める公共の福祉は人権の一般的制約原理となるため、人権を制限する法律が合憲かどうかは、もっぱらその目的が公共の福祉に適合しているかどうかにより判定される。」
×
5
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「人権保障の歴史をたどると、「議会の世紀」とされる19世紀においては、議会制の確立とともに、法律による人権保障という考え方が有力となっていたが、第2次世界大戦期の、法律による人権侵害という苦い経験を踏まえ、20世紀半ば以降、法律からの人権保障の必要性が認識され、法律の違憲審査制度が充実するようになった。」
○
6
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「二重の基準論とは、精神的自由と経済的自由とで違憲審査の基準を分け、精神的自由を制限する法律については合憲性を厳しく審査するという理論である。」
○
7
思想・良心の自由の保障に関しては、人生観・世界観等のみを保障していると説く信条説(狭義説)と、広く内心の活動一般を保障していると説く内心説(広義説)とがある。以下の記述のうち、信条説(狭義説)に関するものとして、誤っているものを1つ選べ。 問題 1 1つ選択してください: A. この説は、思想・良心の自由の保障範囲について、「宗教上の信仰に準ずべき世界観、人生観等の個人の人格形成の核心をなすもの」というような不明確な基準に基づいて限定することは、適切でないと考える。 B. この説は、学問の自由や信仰の自由が、学問体系や宗教上の教義等の一定の体系をもったものを保障していることを踏まえ、思想・良心の自由の保障の内容を考える。 C. この説によれば、思想・良心の自由の保障範囲を広範にとらえることは、保障の程度を弱めることにつながり、適切ではない。 D. この説によれば、単に事態の真相を告白し陳謝の意を表するにとどまる謝罪広告を強制することは、思想・良心の自由の制約の問題とならない。
a
8
思想及び良心の自由に関する次の記述のうち、通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 思想及び良心の自由は、内面における精神活動の自由を保障するものであり、自己の思想や良心を外部に表明することを強制されないことまでも保障するものではない。 B. 法が一定の作為・不作為を命ずる場合、それに従うことが自己の思想や良心に反するときは、いかなる場合でもその法に従わないことができる。 C. 公共の福祉を理由として思想及び良心の自由を制限することは、内心が外部に行動となって表れたか否かにかかわりなく認められない。 D. 思想及び良心の自由は、民主制を否定し憲法の根本原理に反する思想及び良心であっても、それが内心の思想にとどまる限り保障する。 E. 憲法の下においては、思想そのものは絶対的に保障されるべきであって、たとえ憲法の根本原理である民主主義を否定する思想であっても、思想にとどまる限り制限を加えることができないが、思想の表明としての外部的行為が現実的・具体的な害悪を生ぜしめた場合には、当該行為を一定の思想の表明であることを理由に規制することができ、当該行為の基礎となった思想、信条自体を規制の対象とすることも許されると一般に解されている。
d
9
次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 謝罪広告を判決で強制することは、単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであっても、個人の有する倫理的な意思や良心の自由を侵害するものである。 B. 日の丸や君が代に対して敬意を表明することには応じ難いと考える者が、これらに対する敬意の表明の要素を含む行為を求められるなど、個人の歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求められる場合、その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約が存在する。 C. 高等学校の入学者選抜の資料とされる調査書には、その目的に適合するよう生徒の性格・行動を把握しうる客観的事実が公正に記載されるべきであるが、生徒が校内でビラまきを行ったり、特定の政治思想を標榜する団体の集会に参加した旨の記載をすることは、同人の思想・信条を推察させるものであるから、憲法19条に違反する。 D. 基本的人権の保障は、すべての社会生活に共通する基本原理であるから、憲法の人権保障規定は、国または公共団体と個人との関係を規律するのみならず、私人相互間の関係についても当然に適用される。
b
10
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「労働者を雇い入れようとする企業が、その採否決定に当たり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、社会的・経済的に強大な力を持つ企業の労働者に対する優越的地位に鑑みると、労働者の思想、信条の自由に対して影響を与える可能性は少なからずあり、憲法第19条に違反する。」
×
11
次の記述について、通説に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「国民の多数者によって有害であるとして否定される思想にも、思想・良心の自由の保障は及ぶ。」
○
12
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「判例によれば、公立学校の卒業式等の式典で、教員に対し国歌斉唱の際に起立斉唱を命じる校長の職務命令は、国歌・国旗に対する敬意の表明の要素を含む行為を求めることになるので、それに応じ難いと考える者の思想・良心の自由について間接的な制約となる面があるが、必要性及び合理性が認められる限り、憲法第19条には違反しない。」
○
13
次の記述のうち、通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 宗教上の集会、結社の自由及び自己の宗教的確信を外部に表明する自由は、憲法第21条第1項の集会、結社及び表現の自由で保障されているため、憲法第20条第1項の信教の自由により重複して保障されるものではない。 B. 内心における信仰の自由とは、宗教を信仰し又は信仰しないこと、信仰する宗教を選択し又は変更することについて、個人が任意に決定する自由をいう。内心における信仰の自由の保障は絶対的なものであり、国が、信仰を有する者に対してその信仰の告白を強制したり、信仰を有しない者に対して信仰を強制したりすることは許されない。 C. 政教分離規定は、信教の自由そのものを直接保障するものではなく、国家と宗教との分離を制度として保障することにより、間接的に信教の自由の保障を確保しようとするものである。 D. 国から補助金を受けている私立学校が、特定の宗教教育を行うことは政教分離の原則に反するものであり認められない。 E. 国が定めた重要文化財を保有する宗教団体に対し、その文化財保護のために国が補助金を支出することは、宗教団体への特権付与に当たるため認められない。
bc
14
次の記述のうち、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした宗教法人について、宗教法人法の規定に基づいて行われた解散命令は、信者の宗教上の行為の継続に支障を生じさせ、実質的に信者の信教の自由を侵害することとなるので、憲法に違反するとするのが判例である。 B. 精神障害者の平癒を祈願するための宗教的行為として行った加持祈禱であっても、他人の生命、身体等に危害を及ぼす違法な有形力の行使として、当該他人を死に至らしめるようなものは、憲法第20条第1項の信教の自由の保障の限界を超えるものであるとするのが判例である。 C. 親しい者の死について、他人から干渉を受けない静謐の中で宗教上の感情と思考を巡らせ、行為をなすことの利益は、宗教上の人格権として認められるから、護国神社が殉職した自衛官を妻の意思に反して合祀したことは、当該妻の法的利益を侵害するとするのが判例である。 D. 信教の自由の保障の趣旨に照らせば、自己の信仰と相容れない信仰に基づく行為に対して寛容であることが求められるので、当該行為が強制されたり、それによって不利益を受けたりする場合でも、法的救済を受けることはできないとするのが判例である。 E. 最高裁判所は、信仰上の理由から剣道実技の履修を拒否した高等専門学校生が退学処分を受けた事案につき、学校側がレポート提出等の代替措置の要求を一切拒否して退学処分をおこなったことは、裁量権の範囲を超える違法なものであると判示した。
be
15
次の記述のうち、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法第20条第3項は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」としており、宗教を宣伝し広めることまたは宗教を排斥することを目的として行われる教育はもちろん、宗教にかかわるあらゆる教育を行うことを禁止している。 B. 憲法第20条第3項により禁止される「宗教的活動」とは、国及びその機関の活動で宗教とかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、宗教とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的条件に照らし相当とされる限度を超えるものに限られ、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうとするのが判例である。 C. 憲法第20条第3項の禁止する「宗教的活動」とは、国及びその機関と宗教とのかかわり合いが相当とされる限度を超え、当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうのであり、靖国神社の祭礼に際し、知事が玉串料として公金を支出して奉納した行為は、たとえそれが戦没者の慰霊及びその遺族の慰謝を直接の目的としてされたものであったとしても、これに該当する。 D. 信仰する宗教の教義に基づいて体育科目の剣道実技を拒否した公立の高等専門学校の学生に対して、他の体育実技の履修等により剣道実技に代替する単位認定の措置をとることは、信教の自由を理由とする有利な取扱いであり、公教育の宗教的中立性に抵触するおそれがあることから、これを認めることはできないとするのが判例である。 E. 市が、戦没者遺族会所有の忠魂碑を公費で公有地に移設、再建し、その敷地を同会に無償貸与した行為は、忠魂碑と特定の宗教とのかかわりは希薄であり、同会は宗教的活動を本来の目的とする団体ではなく、市の目的は移設後の敷地を学校用地として利用することを主眼とするものであるから、特定の宗教を援助、助長、促進するとは認められず、憲法の禁止する宗教的活動に当たらない。
bce
16
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「信教の自由の保障の重要性を踏まえると、宗教法人に関する法的規制は、信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わない場合でも、これに何らかの支障を生じさせる限り、憲法の許容するものか否かを慎重に吟味しなければならない。」
○
17
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「公立学校において、信仰上の真摯な理由から剣道実技に参加することができない学生に対し、代替措置として、他の体育実技の履修、レポートの提出等を求めたうえで、その成果に応じた評価をすることは、憲法20条3項に必ずしも違反するものではない。」
○
18
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「憲法第20条第3項の定める政教分離の原則は、国家と宗教との分離を制度として保障するもので、私人に対して信教の自由そのものを直接保障するものではないから、この規定に違反する国又はその機関の宗教的活動も、憲法が保障している信教の自由を直接侵害するに至らない限りは、私人に対する関係では当然に違法と評価されるものではない。」
○
19
次の記述のうち、通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 表現の自由とは自己の内面を表現するものであり、単にある事実を伝えるものは含まれない。 B. 表現の自由は、個人が自らの思想や意見を発表することの自由を意味し、他において発せられた情報を受領・収集する自由を含まない。 C. 情報公開請求権は、国民の知る権利から当然に導かれるものであるから、知る権利と同様に、憲法21条を直接の根拠として行使することができる。 D. 表現の自由の保障は、もっぱら思想や意見等の言論活動の自由を確保することにあり、商品広告等の、経済活動の一環ともいえる営利的言論にまでは及ばないので、営利広告規制は憲法22条の問題にはなっても憲法21条の問題とはならない。 E. 表現行為に対する国の事前抑制は、表現の受け手の側からするとその受領を妨げる行為にあたり、知る権利を制約するものであるといえる。
e
20
憲法第21条第2項の禁ずる「検閲」の概念に関する記述として、判例に照らして適切なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 検閲を行う主体は、行政権でなければならず、公権力一般ではない。 B. 発表後に表現物の審査をし、不適当な表現内容であることを理由として刑罰の制裁を加えることが検閲に該当することもある。 C. 検閲の禁止は絶対的であり、公共の福祉の見地から例外的に許容される余地は全くない。 D. 税関検査により輸入が禁止される表現物は、一般に、国外においては発表済みのものであり、その輸入禁止は、当該表現物につき事前に発表そのものを一切禁止するというものではないから、公安又は風俗を害すべき書籍、図画等を輸入禁制品として、その輸入を禁止する税関検査は、憲法21条2項前段にいう「検閲」に当たらない。 E. 著しく性的感情を刺激し、又は著しく残忍性を助長するため、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書や、ポルノ写真・刊行物を、知事が「有害図書」として指定し、それを青少年に販売・配布・貸付け等することなどを禁止する条例は、表現物の内容を事前に審査してその発表を禁止するものであるから、憲法21条2項前段にいう「検閲」に当たる。
acd
21
次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものである。したがって、事実の報道の自由は、思想の表明の自由と並んで、表現の自由を規定した憲法21条により保障されることはいうまでもなく、さらに、報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道のための取材の自由も報道の自由と同程度に憲法21条により保障されると解すべきである。 B. 刑事手続において刑事施設に勾留され国家権力の統制を受けている者にも、新聞、書籍を閲読する自由は、憲法上保障される。 C. 文部科学大臣の検定に合格しなければ教科書として出版できないこととしている教科用図書検定制度は、表現物の発表を事前に抑制するものとして、憲法21条2項前段にいう「検閲」に当たるものではあるが、教育の公正・中立の確保の必要性から例外的に許容される。 D. 表現行為に対する事前抑制は、事後制裁の場合よりも広汎にわたりやすく、濫用のおそれがあるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるから、憲法第21条の趣旨に照らしておよそ許されない。
b
22
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「教科書検定は、教育の中立・公正、一定水準の確保等の要請に照らして、不適切と認められる図書の教科書としての発行、使用を禁止するものであり、同検定による表現の自由の制限は、思想の自由市場への登場を禁止する事前抑制そのものに当たるものというべきであって、厳格かつ明確な要件の下においてのみ許容され得る。」
×
23
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「憲法21条2項前段にいう「検閲」とは、公権力が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものをいう。」
×
24
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであり、十分尊重に値するが、事実の報道の自由は表現の自由を規定した憲法第21条第1項の保障の下にあるとまではいえないとするのが判例である。」
×
25
次の記述のうち、妥当なもののみをすべて選べ(ただし、争いがある場合には判例による)。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 法文上、不明確な法律は原則として無効であるという明確性の理論は、刑罰法規に対してだけでなく、表現の自由を事前に規制する法律に対しても妥当する。 B. ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法第31条に違反するものと認めるべきかどうかは、当該行為者が、具体的場合にその刑罰法規の適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れるかどうかによってこれを決定すべきである。 C. 選挙運動における戸別訪問の禁止によって失われる意見表明の自由という利益は、選挙の自由と公正の確保という戸別訪問の禁止によって得られる利益に比してはるかに大きいということができるので、戸別訪問を一律に禁止している公職選挙法の規定は、合理的で必要やむを得ない限度を超えるものであり、違憲である。
ab
26
次の記述のうち、通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限などがその例である。 B. 「二重の基準論」によれば、表現の自由は人権体系の中でも優越的地位を占めるから、表現の自由の制限立法と経済的自由の制限立法とではその合憲性審査の基準を異にすべきで、前者には後者よりも厳しい審査基準が適用されなければならないが、合憲性の推定までが排除されることはない。 C. 違法行為を行うよう呼びかける言論は、社会的に危険な行為なので、呼びかけの強さにかかわらず、また、それによって重大な害悪が引き起こされる蓋然性が差し迫っているかにかかわらず、処罰することができる。 D. 「明白かつ現在の危険の基準」によれば、表現行為を規制しうるのは当該表現行為によってもたらされる実体的害悪の内容が明白で、かつ、その害悪が現実に発生することを要するから、ある表現行為をその有する危険性のゆえに規制することは許されない。
a
27
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりすることが疑われる場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。」
×
28
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない。」
○
29
次の記述について、通説に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、青少年に有害な図書等の頒布・販売の禁止などがその例である。」
○
30
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「犯罪ないし違法行為のせん動は、表現活動としての性質を有するが、具体的事情の下、そのせん動が重大な害悪を生じさせる蓋然性が高く、その害悪の発生が差し迫っていると認められる場合に限り、公共の福祉に反し、表現の自由の保護を受けるに値しないものとして、制限を受けるのはやむを得ない。」
×
31
他人の名誉を毀損した場合、刑法230条の名誉毀損罪に問われるが、表現の自由の重要性からすれば、名誉の保護と表現の自由との調整を図る必要がある。刑法230条の2は、①公共の利害に関する事実に係り、②公益を図る目的に出たもので、③事実の真実性の証明があれば、これを処罰しないと定めている。 以下の記述のうち、判例・通説に照らして、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 公選の候補者の履歴の信憑性を問題にすることは、その者の名誉に直結する問題なので、公共の利害に関する事実にはあたらない。 B. 摘示された事実が公共の利害に関する事実にあたる場合には、公益を図る目的によるものと解される。 C. 記事で示した事実が真実であると証明できなくても、表現者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、名誉毀損罪は不成立となる。 D. 民事事件でも、名誉毀損については、摘示された事実が真実であることの証明がされることが免責要件の一つとされるが、私生活上の事実が本人の意に反して公表され、プライバシーが侵害された場合も、名誉毀損の場合と同様に、公表された事実が真実であることの証明がされれば免責される。
c
32
表現の自由に関する以下の記述のうち、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 公選の候補者の名誉を毀損する表現行為については、その表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合には、裁判所による事前差止めが認められうる。 B. 性的に露骨な表現は青少年の健全育成を阻害することが明らかなので、青少年の保護のために、その流布を全面的に禁止することも認められる。 C. 差別的言論は、人の品位をおとしめ、人を侮辱するものなので、これを規制する内容が不明確なものであっても、それは許される。 D. 公務員としての行動に関する批判的論評が公務員の社会的評価を低下させる場合でも、その論評が専ら公益目的でなされ、かつ前提たる事実が主要な点において真実であることの証明があれば、論評としての域を逸脱していない限り、名誉毀損の不法行為は成立しない。
ad
33
性表現の規制に関する以下の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 文書をわいせつであるとして規制することは、規制するケースを青少年に対する場合及び見たくない大人に無理に見せる場合に限定する限りで、合憲となる。 B. 文書のわいせつ性は、問題となる部分のみを取り出して判断すべきであって、文書全体において判断すべきではない。 C. 刑法175条が規制する「わいせつ」な文書、図画等とは、徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。 D. 精神的・肉体的に成長段階にある青少年に対して悪影響を及ぼす性表現の文書であっても、刑法175条のわいせつ文書に該当しないものは、憲法上その頒布・販売を規制できない。
c
34
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「裁判所の仮処分による出版物の事前差止めは、憲法21条2項前段にいう「検閲」に当たり、原則として許されないが、個人の名誉を毀損する内容の出版物について、その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、例外的に許される。」
×
35
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「犯罪を犯した少年に関する犯人情報、履歴情報はプライバシーとして保護されるべき情報であるから、当該少年を特定することが可能な記事を掲載した場合には、特段の事情がない限り、不法行為が成立する。」
×
36
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「刑法230条の2の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と憲法21条による正当な言論の保障との調和を図ったものというべきであり、これら両者間の調和と均衡を考慮するならば、たとえ刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しない。」
○
37
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「公務員の政治的中立性は国民全体の重要な利益であり、これを損なうおそれのある公務員の政治的行為を禁止することは、その目的が正当であり、その目的と禁止される行為との間に合理的関連性があり、かつ、禁止することにより得られる利益とそれにより失われる利益との間に均衡を失するものでない限り、憲法第21条に違反しないとするのが判例である。」
○
38
表現の自由に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 都市の美観風致の維持と公衆に対する危害の防止を目的として屋外広告物の表示の場所、方法等を規制する場合に、営利に関係のない純粋な思想、政治活動などの掲示物を含めて規制対象とすることは、立法目的に照らして必要最小限度の規制を超えるものであり、表現の自由に対して許された必要かつ合理的な制限と解することはできない。 B. 軽犯罪法第1条第33号は、「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし」た者を処罰の対象としているところ、はり札をする行為自体は思想を外部に発表する手段の1つであると認められるものの、その手段が他人の財産権,管理権を不当に害することは許されないから、この程度の規制は、公共の福祉のため、許された必要かつ合理的な制限であるというべきである。 C. 一般公衆が自由に出入りできる場所は、それぞれ本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現のための場として役立つことが少なくなく、鉄道駅舎内は、このような場としての性質を強く持つことから、たとえ駅管理者の退去要求に反するものであったとしても、そこでのビラの配布を鉄道営業法違反として処罰することは、表現の自由を保障する憲法に違反する。 D. 政治的意見を記載したビラ配布のために人の看守する邸宅に立ち入る行為は、それが思想を外部に発表する手段としてなされたものであっても、他人の権利を不当に害する場合であれば、当該行為を邸宅侵入罪(刑法130条前段)の罪に問うても憲法21条1 項に反しない。
bd
39
通信の秘密に関する以下の記述のうち、通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法に定める通信の秘密の保障の趣旨は、通信の内容を他者に知られないことにあり、通信の存在自体や通信当事者の氏名・住所、通信の回数等の情報の保護は含まれない。 B. 憲法に定める通信の秘密の保障は、公権力が積極的に通信の内容等について調査を行ったりしないことの保障であり、通信業務に従事する者が職務上知りえた通信に関する情報を漏洩されないことの保障は含まれない。 C. 通信の秘密の保障といえども絶対的なものではなく、重大な犯罪について他の方法では捜査が困難な場合には、裁判官による令状に基づかないで、電話の盗聴が許される。 D. 通信の秘密の保障は、受刑者については大きく制限され、刑事施設の長が受刑者の信書について開披したり、発受を制限したりすることが許される。
d
40
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「都市の美観風致を維持することは、公共の福祉を保持するゆえんであるが、はり紙等の電柱などへの表示を条例で禁止することは、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限とはいえず、憲法に違反する。」
×
41
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「ビラの配布のために集合住宅の共用部分及び敷地内に管理権者の承諾なく立ち入って、その管理権やそこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害したとしても、ビラの内容が政治的意見を記載したものであれば、表現の自由の行使として尊重されるべきであるから、当該立入り行為を刑法第130条前段の罪に問うことは憲法第21条第1項に違反し、許されない。」
×
42
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「公務員に対する政治的行為の禁止は、政治活動の自由に対する必要やむを得ない限度にその範囲が画されるべきものであり、国家公務員法102条1項により禁止される「政治的行為」とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指すと解するのが相当である。」
○
43
日本国憲法に規定する集会の自由に関する次の記述のうち、通説に照らして、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 集会の自由の保障とは、集会を主催し指導し又は集会に参加する行為について、公権力が制限を加えることが禁止されるだけでなく、これらの行為を公権力によって強制されないことをも意味する。 B. 憲法の保障する集会の自由における集会とは、特定または不特定の多数人が事実上集まる一時的な集合体をいい、結社と異なり、共同の目的を持つ必要はない。 C. 集会の自由は、精神的自由権に属し財産権に優越するから、土地の所有権などの権原を有する者は、たとえその土地が公共の用に供されるものでなくとも、集会のためにその土地の借用を申し入れられた場合は、公共の安全と秩序が害されるおそれがない限り、その土地を提供する義務がある。 D. 集団行進は、一定の場所に集まることそれ自体とは異なり、場所が移動するものであって集会とはいえないから、集団行進の自由は憲法の保障するところではない。
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44
集会の自由に関する以下の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 一般交通の用に供されるべき道路の機能が集団行進により著しく害されるものと認められ、しかも、警察署長が条件を付すことによっては、こうした事態の発生を阻止することができないと予測される場合でない限り、警察署長は道路交通法に基づいて集団行進のための道路使用の許可を拒むことはできない。 B. 集団行動の実施について、都道府県の公安条例をもって、地方的情況その他諸般の事情を十分考慮に入れ、不測の事態に備え、法と秩序を維持するのに必要かつ最小限度の措置を事前に講ずることはやむを得ないから、公安委員会に広範な裁量を与え、不許可の場合を厳格に制限しない、一般的な許可制を定めて集団行動の実施を事前に抑制することも、憲法に違反しない。 C. デモ行進は、思想、主張、感情等の表現を内包するものであるが、純粋の言論と異なって、一定の行動を伴うものであり、その潜在的な力は、甚だしい場合は一瞬にして暴徒と化すことが群集心理の法則と現実の経験に徴して明らかであるから、表現の自由として憲法上保障される要素を有さず、デモ行進の自由は、憲法第21条第1項によって保障される権利とはいえない。 D. 空港建設に反対する集会の開催を目的とした公の施設(市民会館)の使用許可申請を不許可にした処分に関し、市の市民会館条例が不許可事由として定める「公の秩序をみだすおそれがある場合」とは、集会の自由を保障することの重要性よりも、集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である。
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45
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「現代民主主義社会においては、集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交流する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表明するための有効な手段であるから、集会の自由は、民主主義社会における重要な基本的人権の一つとして特に尊重されなければならないが、公共の福祉による必要かつ合理的な制限を受けることがあるのはいうまでもなく、このような制限が是認されるかどうかは、制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を較量して決めることになる。」
○
46
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「市民会館の使用について、「公の秩序をみだすおそれがある場合」を不許可事由とする規定は、当該会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、当該会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであるが、危険の発生が明らかに差し迫っていなくても、不許可とできる。」
×
47
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「主催者が平穏に集会を行おうとしているのに、その集会に反対する者らがこれを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に、市民会館等の公共施設の利用を拒むことができるのは、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなどの特別な事情がある場合に限られる。」
○
48
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「集団行動について、一般的な許可制を定めて、これを事前に抑制することは許されないが、公共の秩序を保持し又は公共の福祉が著しく侵されることを防止するため、特定の場所または方法につき、合理的かつ明確な基準の下にあらかじめ許可を求めることは許される。」
○
49
職業選択の自由に関する以下の記述のうち、誤っているものを1つ選べ。 問題 1 1つ選択してください: A. 職業は、人が自己の生計を維持するためにする継続的活動であるとともに、個人がその人格を形成し発展させていくという、人格的価値とも不可分の関連がある。 B. 職業選択の自由には、自己の従事する職業を選択する自由に加え、選択した職業を遂行する自由も含む。 C. 職業には社会的相互関連性があるので、公共の安全や秩序の維持等の社会全体の利益を確保するため、許可制という強力な規制手段をとることも許される場合がある。 D. 職業選択の自由の制限が必要で合理的かどうかは、裁判所の判断になじまないので、制限が違憲とされるのは、その目的または手段が明らかに合理性に欠ける場合に限られる。
d
50
職業選択の自由に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 薬事法に基づく薬局開設の許可制及び許可条件としての適正配置規制は、主として国民の生命及び健康に対する危険の防止という消極的、警察的目的のための規制措置であるが、許可制の採用自体が公共の利益のための必要かつ合理的措置であるとはいえず、憲法第22条第1項に違反する。 B. 小売商業調整特別措置法に基づく小売市場の許可規制は、国が社会経済の調和的発展を企図するという観点から中小企業保護政策の一方策としてとった措置ということができ、その目的において一応の合理性を認めることができ、また、その規制の手段・態様においても著しく不合理であることが明白であるとは認められないから、憲法第22条第1項に違反しない。 C. 公衆浴場法に基づく公衆浴場の許可制及び許可条件としての適正配置規制は、既存公衆浴場業者の経営の安定を図り、自家風呂を持たない国民にとって必要不可欠な厚生施設である公衆浴場自体を確保するという積極的、政策的目的とともに、国民保健及び環境衛生の確保という消極的、警察的目的も有しているが、後者の目的との関係では、目的を達成するための必要かつ合理的な措置であるとはいえず、憲法第22条第1項に違反する。 D. 職業の許可制による規制は、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定するためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のために、特定の職業について職業の許可制をとることは、憲法第22条第1項に反し、許されない。 E. 司法書士以外の者が他人の嘱託を受けて登記に関する手続について代理する業務等を行うことを禁止することは、公共の福祉に合致した合理的なものであり違憲とはならないが、これに違反した者を処罰することについては、規制の必要性と合理性の存在を認めることはできないから、当該規制は憲法第22条第1項に違反する。
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51
憲法22条が保障する自由に関する次の記述のうち、判例・通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 居住・移転の自由は、経済的自由の性質を有するが、人身の自由としての側面は有しない。 B. 居住・移転の自由においては、刑事被告人に対して住居を制限することは当然認められるが、破産者に対して居住地を離れることを制限することは認められない。 C. 国籍離脱の自由は、国民の一方的な意思のみによって国籍の離脱を承認するものであるが、無国籍になる自由を含むものではない。 D. 判例によれば、憲法第22条第2項の外国に移住する自由には外国へ一時旅行する自由も含まれるが、海外渡航に際し旅券所持を義務付ける旅券法が「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」に対して外務大臣が旅券の発給を拒否することができると定めていることは、公共の福祉のための合理的な制限として許容される。
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52
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「憲法第22条第1項は、狭義における職業選択の自由のみならず、職業活動の自由の保障をも包含しているものと解すべきであるが、職業の自由は、いわゆる精神的自由に比較して、公権力による規制の要請が強く、憲法第22条第1項が「公共の福祉に反しない限り」という留保のもとに職業選択の自由を認めたのも、特にこの点を強調する趣旨に出たものと考えられる。」
○
53
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「職業選択の自由には、職業活動の開始・継続・廃止に関する狭義の職業選択の自由と選択した職業活動の内容・態様に関する職業活動の自由が含まれるが、前者の規制である開業の許可制は、職業選択の自由に対するより強力な制限となるから、その合憲性の審査はより厳格に行われることが必要である。」
○
54
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「薬局の設置場所が配置の適正を欠き、その偏在ないし濫立を来すに至るごときは、不良医薬品の供給の危険をもたらす蓋然性が高いものといえ、そのような危険を防止する措置として、薬局の配置の適正を欠くと認められる場合には薬局開設の許可を与えないことができるとする薬局の適正配置規制を設けることは、国民の保健に対する危険を防止するために必要性がないとは認められないから、憲法第22条第1項に反しない。」
×
55
憲法第29条に関する次の記述のうち、妥当なもののみを全て選べ。ただし、争いのあるものは判例の見解による。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法29条1項は「財産権は、これを侵してはならない」と規定するが、これは個人の現に有する具体的な財産上の権利の保障を意味し、個人が財産権を享有し得る法制度の保障までも意味するものではない。 B. 憲法29条2項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める」と規定するが、この「公共の福祉」は、各人の権利の公平な保障を狙いとする自由国家的公共の福祉を意味し、各人の人間的な生存の確保を目指す社会国家的公共の福祉までも意味するものではない。 C. 憲法29条3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と規定するが、この「公共のため」とは、ダムや道路などの建設のような公共事業のためであることを意味し、収用全体の目的が広く社会公共の利益のためであっても、特定の個人が受益者となる場合は該当しない。 D. 法律で一度定められた財産権の内容を事後の法律で変更しても、公共の福祉に適合するようにされたものである限り違憲ではない。
d
56
財産権に関する次の記述のうち、判例の見解に合致するもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 共有森林につき共有持分価格が2分の1以下の者による共有物分割請求を禁じた森林法の旧規定は、森林の細分化を防止することによって森林経営の安定を図ること等を目指すという立法目的自体は公共の福祉に合致するとしても、立法目的達成のための手段としては、合理性と必要性のいずれをも肯定することのできないことが明らかであって、憲法29条2項に違反し無効である。 B. 憲法29条2項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と規定しており、財産権は全国的な取引の対象となる場合が多いことにもかんがみれば、財産権の制限は、統一的に法律で規定するべきであり、条例によることは許されない。 C. 土地収用法に基づいて土地を収用する場合、その補償は完全な補償、すなわち、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償をなすべきであり、金銭をもって補償する場合には、被収用者が近傍において被収用地と同等の代替地等を取得することをうるに足りる金額でなければならない。 D. 財産権は個人の生存の基礎をなし、自己実現の重要な手段であるという普遍性をも併せもつものであるから、財産権に対して加えられる規制が憲法第29条第2項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるかについての判断は一般に厳格にすべきであり、規制目的が正当であり、かつ、規制手段が当該目的の達成にとって必要最小限度のものでない限り、当該規制は同項に違反する。
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57
財産権の保障に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法第29条第3項にいう「正当な補償」とは、その当時の経済状態において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な額をいうのであって、必ずしも常にかかる価格と完全に一致することを要するものではないとするのが判例である。 B. 最高裁判所の判例では、財産上の犠牲が単に一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲をこえ、特別の犠牲を課したものである場合であっても、法令に損失補償に関する規定がない場合は、直接憲法を根拠にして補償請求をすることはできないので、損失補償を請求する余地はないとした。 C. ため池堤とうの使用が、災害を防止するという社会生活上やむをえない理由で禁止されるとしても、その禁止が全面的になされる場合には、財産権を有する者の受忍限度を超えるから、その損失の補償を要する。 D. 河川からの砂利採取の制限は、河川管理上支障が生じることを防止するためのものであるから、従来相当の資本を投下して事業を営んできたとしても、何人も受忍すべき範囲内にあり、その損失の補償は要しない。
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58
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「財産権の制限に必要性・合理性が認められない場合でも、それに対応して憲法29条3項にいう「正当な補償」を行えば、その制限が違憲となることはない。」
×
59
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「財産権に対する規制が憲法29条2項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、その規制によって制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して判断すべきものである。」
○
60
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「法律の規定により財産上の権利の行使が制限される場合であっても、災害を未然に防止するという社会生活上のやむを得ない必要からその制限が当然受忍すべきものであるときは、憲法第29条第3項による損失補償を要しない。」
○
61
人身の自由に関する次の記述のうち、通説に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法18条は、国家権力が人間の尊厳に反する非人道的な自由の拘束をしてはならないことを定めたものであり、私人相互の関係には直接適用されないと解されている。 B. 奴隷的拘束とは、自由な人格者であることと両立しない程度の身体の自由の拘束状態のことをいい、奴隷的拘束からの自由を、公共の福祉を理由として制限することは認められないと解されている。 C. 憲法31条の「法律の定める手続」にいう法律には、形式的意味での法律だけではなく、政令や省令も含まれる。 D. 刑事手続については、憲法31条は、ただ単にこれを法律で定めればよいと規定しているのではなく、その手続が適正なものであることをも要求している。 E. 何人も、現行犯逮捕の場合を除いて、検察官が発する令状によらなければ逮捕されない。
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62
日本国憲法に規定する法定手続の保障に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 条例は、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定されるので、法律から授権されることなく刑罰を定めても憲法に違反しないが、政令が法律の委任によって刑罰を定めることは、憲法に違反するとした。 B. 関税法違反の被告人への附加刑として、犯罪に関係ある船舶、貨物等で、被告人以外の第三者の所有物を没収する場合、当該第三者に対し、告知、弁解、防御の機会を与えずにその所有権を奪っても、憲法に違反しないとした。 C. 憲法の規定する法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続についても当然にその保障が及ぶため、行政処分を行う場合には、相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を必ず与える必要があるとした。 D. 刑罰法規があいまい不明確のために憲法に違反するか否かは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合にある行為がその適用を受けるか否かの判断を可能とする基準が読み取れるかどうかにより決定すべきであるとした。
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63
憲法上の適正手続保障に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法第35条は刑事手続に関する規定であるから、行政手続のように刑事責任追及を目的としていない手続には適用されない。 B. 憲法35 条の保障対象には、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることのない権利に加え、住居等に準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。 C. 何人も直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ抑留又は拘禁されず、被疑者を逮捕する場合において、被疑者が自ら弁護人を依頼することができないときには、憲法上、国がこれを附さなければならない。 D. 捜索及び押収には、捜索する場所及び押収する物を明示する令状が必要であるが、現行犯又は令状に基づく逮捕に際して、必要な範囲内で逮捕の現場で捜索及び押収を行う場合には、令状を要しない。 E. 憲法は、現行犯の場合を除き、逮捕には令状を要するとしているが、法律に規定される厳格な制約の下に、重大な犯罪につき緊急性がある場合に、逮捕後、直ちに逮捕状の発行を求めることを条件として、被疑者を逮捕することは、憲法に違反しない。
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64
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「刑事事件において被告人以外の第三者の所有物を没収する場合は、その没収に関して所有者に対し、何ら告知、弁解、防御の機会を与えることなく、その所有権を奪ったとしても、そのことをもって著しく不合理であるとはいえず、直ちに憲法第31条に違反するものではない。」
×
65
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「憲法31条の法定手続の保障は、行政手続にも及ぶことがあり、行政処分により制限を受ける権利や処分により達成しようとする公益等を総合較量して、事前の告知、弁解、防御の機会を与えなければ違憲となる場合もある。」
○
66
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「現行犯逮捕に伴う合理的範囲内であっても、所持品の押収を認める司法官憲の令状が発行されなければ、被疑者は所持品を押収されることがない。」
×
67
次の記述のうち、判例・通説を前提にして、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法25条が保障する生存権は、経済的自由権の一つであり、公共の福祉による制約を大きく受ける。 B. 国は生存権を保障するため、社会福祉や社会保障の向上に努めなければならず、生存権を具体化する法律の一つとして、生活保護法が設けられている。 C. 教育を受ける権利の背景には、子どもの学習要求を充足する教育を自己に施すよう要求する権利、つまり、子どもの学習権の存在が認められている。 D. 普通教育において、教育内容を決定する権限の所在に関して、国家教育権説と国民教育権説が対立していたが、両説とも極端かつ一方的なため、どちらも全面的に採用することはできない。 E. 親は、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負うのであって、親に教育の自由は認められない。
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日本国憲法に規定する生存権の法的性格に関する次の記述のうち、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. プログラム規定説は、憲法の生存権の規定は、国民に法的権利を保障したものであるが、それを具体化する法律によって初めて具体的な権利となるとするものである。 B. 抽象的権利説は、憲法の生存権の規定は、個々の国民に対し法的権利を保障したものではなく、国の政治的・道義的義務を課したにとどまるとするものである。 C. 具体的権利説は、憲法の生存権の規定に具体的権利性を認めたもので、それを実現する法律が存在しない場合には、立法不作為の違憲確認訴訟を提起することができるとするものである。 D. 最高裁判所の判例によれば、憲法第25条第1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、具体的な請求権は、この規定の趣旨を実現するために制定される個々の法律によってはじめて与えられる。 E. 最高裁判所の判例では、健康で文化的な最低限度の生活の内容について、その具体的な立法措置の選択決定は立法府の広い裁量にゆだねられているため、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱及び濫用であるといえる場合であっても、司法審査の対象とならないとした。
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69
日本国憲法に規定する教育を受ける権利に関する次の記述のうち、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 教育を受ける権利は、国の介入、統制を加えられることなく教育を受けることができるという自由権としての側面と、国に対して教育制度の整備とそこでの適切な教育を要求するという社会権としての側面をもつ。 B. すべて国民は、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負い、普通教育は子女の人格の完成に不可欠であることから、子女には、義務教育を受ける義務が課せられている。 C. 最高裁判所の判例では、普通教育の場においては完全な教授の自由が保障されるが、全国的に一定の水準を確保すべき強い要請があることから、国は、必要かつ相当と認められる範囲で、教育内容を決定する権能を有するとした。 D. 高等学校学習指導要領は法規としての性質を有するものではないから、憲法上教育の自由が保障されている教師は、それに法的に拘束されることはないとするのが判例である。 E. 最高裁判所の判例では、憲法の定める義務教育の無償とは、授業料を徴収しないという意味であり、教科書を無償とすることは憲法上の要請ではなく、立法政策上の問題と解されている。
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70
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「最高裁判所の判例では、憲法の生存権の規定は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまらず、直接個々の国民に対して具体的権利を付与したものであるとした。」
×
71
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「子どもの教育内容の決定については親、私立学校、教師、国が関わり、教師の教授の自由が一定範囲において肯定されると同時に、国にも必要かつ相当な範囲において教育内容決定権が認められる。」
○
72
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「『健康で文化的な最低限度の生活』は、極めて抽象的・相対的な概念であり、憲法第25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかは、立法府の広い裁量に委ねられているから、その立法措置が司法審査の対象となる余地は一切ない。」
×
73
憲法13条の幸福追求権から憲法に列挙されていない権利が導き出されることは、判例・通説によって認められているが、以下の記述のうち、その論拠の説明として直接関係しないものを1つ選べ。 問題 1 1つ選択してください: A. 憲法に列挙された人権は、歴史的に侵害されることの多かった人権が列挙されたにすぎず、網羅的なものではない。 B. 憲法は、一般的抽象的な文言を用いており、社会状況の変化に解釈で対応することを前提としている。 C. 都市化の進展、科学技術の発達等のために、憲法制定当初には思いもかけなかった人権侵害が生じるおそれが増大している。 D. 人権は、国家による侵害のみならず、私人による侵害からも保障されなければならない。
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74
私生活上の自由に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 憲法第13条は、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができるが、本人の承諾なしにみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由は、この私生活上の自由とまではいうことができず、犯罪捜査の必要上警察官が行う写真撮影は、その対象の中に、犯人の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者の容貌・姿態が本人の同意なく含まれることになっても、憲法第13条に違反しない。 B. 住民基本台帳ネットワークシステムによって管理・利用等される本人確認情報は個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえず、また、同システムのシステム技術上の不備や法制度上の不備によって本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示又は公表される具体的な危険が生じているともいえず、行政機関が同システムにより住民の本人確認情報を管理・利用等する行為は、当該住民がこれに同意していないとしても、憲法第13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない。 C. 何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは、憲法第13条の趣旨に反して許されるものではないことから、我が国に在留する外国人を対象とする指紋押捺制度は違憲である。
b
75
次の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 3 1つまたはそれ以上選択してください: A. 前科及び犯罪経歴は、人の名誉、信用に直接かかわる事項であり、前科等のある者はこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するから、弁護士会が照会文書により市区町村長に前科等の照会をした場合において、照会文書中の照会を必要とする事由には中央労働委員会、地方裁判所に提出するためとの記載がしてあったにすぎないのに、市区町村長が漫然と当該照会に応じて、犯罪の種類・軽重を問わず前科等のすべてを報告することは公権力の違法な行使に当たる。 B. 大学が国賓である外国政治家の講演会を開催するに当たり、参加予定の学生に対してあらかじめ学籍番号、氏名、住所及び電話番号の記入を求めて作成した参加者名簿を警察の要請に応じて提出した場合において、学籍番号、氏名等の個人情報は、秘匿の必要性が必ずしも高くない情報であるが、自己が欲しない他者にはみだりに個人情報を開示されたくないとの期待は保護されるべきであり、事前に警察への情報開示を行う旨の承諾を学生から得ておくことが容易であったと考えられる以上、大学が無断で個人情報を警察に開示する行為は、情報の適切な管理についての合理的期待を裏切るものであり、プライバシーを侵害するものとして不法行為を構成する。 C. 患者が、輸血を受けることは自己の宗教上の信念に反するとして、輸血をともなう医療行為を拒否するとの明確な意思を有している場合であっても、医師が患者の救命義務を優先して、手術中に輸血以外に救命方法がない事態になれば輸血するという方針を患者に説明しないことも許される。
ab
76
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「指紋は、性質上万人不同、終生不変とはいえ指先の紋様にすぎず、それ自体では個人の私生活や人格、思想等個人の内心に関する情報ではないから、プライバシーとして保護されるものではない。」
×
77
次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「外国国賓による講演会への出席希望者をあらかじめ把握するため、主催者である大学が学生に提供を求めた学籍番号、氏名、住所及び電話番号は、秘匿されるべき必要性が必ずしも高いものではないにせよ、プライバシーに係る情報として法的保護の対象となるとするのが判例である。」
○
78
次の記述について、判例に照らし、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するから、撮影される本人の同意または裁判官の令状がない限り、警察官が個人の容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し許されない。」
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日本国憲法に規定する法の下の平等に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なもののみをすべて選べ。 問題 1 1つまたはそれ以上選択してください: A. 法の下の平等は、等しいものは等しく、等しくないものは等しくなく取り扱うという絶対的平等を意味するものであり、いかなる理由であっても各人に対して異なる取扱いをすることは許されない。 B. 法の下の平等は、法の適用においての平等を意味するだけでなく、法の定立における平等も意味するものであり、行政と司法を拘束するのみならず、立法者をも拘束するものである。 C. 日本国憲法は、人種、信条、性別、社会的身分又は門地による差別を禁止しているが、これらは限定列挙された事由であり、その他の事由に基づく差別は法の下の平等に反しない。 D. 日本国憲法は、法の下の平等の基本原則を規定し、さらに、個別的に、貴族制度の廃止、栄典に伴う特権の禁止、普通選挙の保障、夫婦の同等と両性の本質的平等などの規定を設け、平等原則の徹底を図っている。
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法の下の平等に関する次の記述のうち、判例・通説に照らして妥当なもののみをすべて選べ。なお、問題文中の「尊属」「卑属」「認知」「嫡出子」「準正」などの語の意味については、調べること。 問題 2 1つまたはそれ以上選択してください: A. 尊属を卑属又はその配偶者が殺害することは、通常の殺人の場合に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けてしかるべきであるとして、法律上、普通殺のほかに尊属殺という特別の罪を設け、その刑を加重することは、かかる差別的取扱いをもって直ちに合理的な根拠を欠くものと断ずることができ、憲法第14条第1項に違反する。 B. 会社がその就業規則中に定年年齢を男性60歳、女性55歳と定めた場合において、会社における女性従業員の担当職種、男女従業員の勤続年数、高齢女性労働者の労働能力等諸般の事情を検討した上で、会社の企業経営上定年年齢において女性を差別しなければならない合理的理由が認められないときは、当該就業規則中女性の定年年齢を男性より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして憲法第14条第1項に違反する。 C. 外国人母が出産し日本人父の生後認知した非嫡出子につき、子の出生後に父母が婚姻した準正子であれば日本国籍を取得できるが、父母が婚姻していない非準正子は日本国籍を取得できない旨定めることは、かつては、我が国との密接な結び付きを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との間に一定の合理的関連性が認められたが、その後の我が国内外における社会的環境の変化により今日においては合理的関連性が失われているから、父母の婚姻の有無により不合理な差別的取扱いをするものであって、憲法14条1項に反し許されない。 D. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入したことを公務員の欠格事由とすることは、信条による差別であるから許されない。
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次の文章は、ある最高裁判所判決において、国籍取得の際の取り扱いの区別が憲法14条に違反するか否かにつき、審査するに当たっての基本的考え方を示した部分である。次の記述のうち、この文章から読み取れない内容を述べているものを1つ選べ。 「憲法10条は,『日本国民たる要件は,法律でこれを定める。』と規定し,これを受けて,国籍法は,日本国籍の得喪に関する要件を規定している。憲法10条の規定は,国籍は国家の構成員としての資格であり,国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情,伝統,政治的,社会的及び経済的環境等,種々の要因を考慮する必要があることから,これをどのように定めるかについて,立法府の裁量判断にゆだねる趣旨のものであると解される。しかしながら,このようにして定められた日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別が,合理的理由のない差別的取扱いとなるときは,憲法14条1項違反の問題を生ずることはいうまでもない。すなわち,立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合,又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には,当該区別は,合理的な理由のない差別として,同項に違反するものと解されることになる。 日本国籍は,我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。一方,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である。」 (最大判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁) 問題 3 1つ選択してください: A. 立法が不合理な差別を行っていないかどうかは、立法目的の合理性、立法目的と取り扱いの区別との合理的関連性という二点から判断される。 B. 憲法が国籍法制の内容を立法者の裁量判断に委ねていることに鑑みれば、この裁量権を考慮してもなお区別の合理性が認められない場合に憲法違反の問題が生じる。 C. 憲法の基礎にある個人主義と民主主義の理念に照らせば、人種差別など個人の尊厳が問題になる場合や、選挙権や表現の自由が問題となる場合には、厳格な審査が要求される。 D. 本件で取り扱いの区別の対象となる国籍が社会生活の様々な側面に強い影響を与える重要な法的地位である以上、区別の合理性を判断する際には慎重な検討が必要となる。 E. 取り扱いの区別が、本人の意思や努力によって左右できない事項に基づいて人を不利益に扱うものである以上、区別の合理性を判断する際には慎重な検討が必要となる。
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次の記述について、判例に照らして、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「日本国籍が重要な法的地位であるとともに、父母の婚姻による嫡出子たる身分の取得は子が自らの意思や努力によっては変えられない事柄であることから、こうした事柄により国籍取得に関して区別することに合理的な理由があるか否かについては、慎重な検討が必要である。」
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次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「最高裁判所は、尊属殺重罰規定について、家族制度の維持、身分制道徳の見地に立つ尊属に対する尊重報恩という道義を保護する立法目的自体が人格価値の平等に反する不合理な取扱いであることから、違憲とした。」
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憲法第14条における法の下の平等に関する次の記述について、正しい場合には○を、誤っている場合には×を付してください。 「法の下の平等とは、法の前における平等という意味であるから、すでに定立されている法を前提として、それらの法を適用するにあたってその対象たる人を差別してはならないということを意味しており、行政権、司法権についてはこれを拘束するが、立法権をも拘束するものではないとするのが通説である。」
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