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百人一首
100問 • 25日前
  • Kaho Imai
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    問題一覧

  • 1

    秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ

    わが衣手は 露にぬれつつ

  • 2

    春過ぎて 夏来にけらし 白妙の

    衣ほすてふ 天の香具山

  • 3

    あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の

    長々し夜を 独りかも寝む

  • 4

    田子の浦に うち出でてみれば 白妙の

    富士の高嶺に 雪は降りつつ

  • 5

    奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の

    声聞く時ぞ 秋は悲しき

  • 6

    かささぎの 渡せる橋に おく霜の

    白きを見れば 夜ぞ更けにける

  • 7

    天の原 ふりさけ見れば 春日なる

    三笠の山に 出でし月かも

  • 8

    我が庵は 都の辰巳 しかぞ住む

    世をうぢ山と 人はいふなり

  • 9

    花の色は 移りにけりな いたづらに

    我が身世にふる ながめせし間に

  • 10

    これやこの 行くも帰るも 別れては

    知るも知らぬも 逢坂の関

  • 11

    わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと

    人には告げよ 海人の釣り舟

  • 12

    天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ

    をとめの姿 しばしとどめむ

  • 13

    筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女川(みなのがわ)

    恋ぞつもりて 淵となりぬる

  • 14

    陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに

    乱れそめにし 我ならなくに

  • 15

    君がため 春の野に出でて 若菜摘む

    我が衣手に 雪は降りつつ

  • 16

    立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる

    まつとし聞かば 今帰り来む

  • 17

    ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川

    唐紅に 水くくるとは

  • 18

    住の江の 岸に寄る波 よるさへや

    夢の通ひ路 人目よくらむ

  • 19

    難波潟 短き芦の 節の間も

    逢はでこの世を 過ぐしてよとや

  • 20

    わびぬれば 今はた同じ 難波なる

    みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

  • 21

    今来むと いひしばかりに 長月の

    有り明けの月を 待ち出でつるかな

  • 22

    吹くからに 秋の草木の しをるれば

    むべ山風を 嵐といふらむ

  • 23

    月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ

    我が身一つの 秋にはあらねど

  • 24

    このたびは 幣もとりあへず 手向山

    紅葉の錦 神のまにまに

  • 25

    名にし負はば 逢坂山の さねかづら

    人に知られで くるよしもがな

  • 26

    小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば

    今一度の 行幸待たなむ

  • 27

    みかの原 わきて流るる いづみ川

    いつ見きとてか 恋しかるらむ

  • 28

    山里は 冬ぞ寂しさ まさりける

    人目も草も かれぬと思へば

  • 29

    心あてに 折らばや折らむ 初霜の

    置きまどはせる 白菊の花

  • 30

    有り明けの つれなく見えし 別れより

    暁ばかり 憂きものはなし

  • 31

    朝ぼらけ 有り明けの月と 見るまでに

    吉野の里に 降れる白雪

  • 32

    山川に 風のかけたる 柵(しがらみ)は

    流れもあへぬ 紅葉なりけり

  • 33

    久方の 光のどけき 春の日に

    しづ心なく 花の散るらむ

  • 34

    誰をかも 知る人にせむ 高砂の

    松も昔の 友ならなくに

  • 35

    人はいさ 心も知らず ふるさとは

    花ぞ昔の 香ににほひける

  • 36

    夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを

    雲のいづこに 月宿るらむ

  • 37

    白露に 風の吹きしく 秋の野は

    貫き止めぬ 玉ぞ散りける

  • 38

    忘らるる 身をば思はず 誓ひてし

    人の命の 惜しくもあるかな

  • 39

    浅茅生の 小野の篠原 忍れど

    あまりてなどか 人の恋しき

  • 40

    忍れど 色に出でにけり 我が恋は

    物や思ふと 人の問ふまで

  • 41

    恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり

    人知れずこそ 思ひ初めしか

  • 42

    契りきな かたみに袖を しぼりつつ

    末の松山 波越さじとは

  • 43

    逢ひ見ての 後の心に 比ぶれば

    昔は物を 思はざりけり

  • 44

    逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに

    人をも身をも 恨みざらまし

  • 45

    あはれとも いふべき人は 思ほえで

    身のいたづらに なりぬべきかな

  • 46

    由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え

    ゆくへも知らぬ 恋の道かな

  • 47

    八重葎(やえむぐら) 茂れる宿の さびしきに

    人こそ見えね 秋は来にけり

  • 48

    風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ

    くだけて物を 思ふ頃かな

  • 49

    みかき守 衛士のたく火の 夜は燃え

    昼は消えつつ 物をこそ思へ

  • 50

    君がため 惜しからざりし 命さへ

    長くもがなと 思ひけるかな

  • 51

    かくとだに えやはいぶきの さしも草

    さしも知らじな 燃ゆる思ひを

  • 52

    明けぬれば 暮るるものとは 知りながら

    なほ恨めしき 朝ぼらけかな

  • 53

    嘆きつつ 独り寝る夜の 明くる間は

    いかに久しき ものとかは知る

  • 54

    忘れじの 行く末までは 難ければ

    今日を限りの 命ともがな

  • 55

    滝の音は 絶えて久しく なりぬれど

    名こそ流れて なほ聞こえけれ

  • 56

    あらざらむ この世の外の 思ひ出に

    今一度の 逢ふこともがな

  • 57

    めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に

    雲隠れにし 夜半の月かな

  • 58

    有馬山 猪名(いな)の笹原 風吹けば

    いでそよ人を 忘れやはする

  • 59

    やすらはで 寝なましものを さ夜更けて

    傾くまでの 月を見しかな

  • 60

    大江山 いく野の道の 遠ければ

    まだふみも見ず 天の橋立

  • 61

    いにしへの 奈良の都の 八重桜

    今日九重に 匂ひぬるかな

  • 62

    夜をこめて 鳥の空音(そらね)は はかるとも

    よに逢坂の 関は許さじ

  • 63

    今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを

    人づてならで いふよしもがな

  • 64

    朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに

    あらはれ渡る 瀬々の網代木

  • 65

    恨みわび ほさぬ袖だに あるものを

    恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

  • 66

    もろともに あはれと思へ 山桜

    花より外に 知る人もなし

  • 67

    春の夜の 夢ばかりなる 手枕に

    かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

  • 68

    心にも あらで憂き世に ながらへば

    恋しかるべき 夜半の月かな

  • 69

    嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は

    龍田の川の 錦なりけり

  • 70

    さびしさに 宿を立ち出でて 眺むれば

    いづこも同じ 秋の夕暮れ

  • 71

    夕されば 門田の稲葉 おとづれて

    芦のまろやに 秋風ぞ吹く

  • 72

    音に聞く 高師の浜の あだ波は

    かけじや袖の 濡れもこそすれ

  • 73

    高砂の 尾の上の桜 咲きにけり

    外山の霞 たたずもあらなむ

  • 74

    うかりける 人を初瀬の 山おろしよ

    はげしかれとは 祈らぬものを

  • 75

    契りおきし させもが露を 命にて

    あはれ今年の 秋もいぬめり

  • 76

    わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の

    雲居にまがふ 沖つ白波

  • 77

    瀬を早み 岩にせかるる 滝川の

    われても末に あはむとぞ思ふ

  • 78

    淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に

    幾夜寝覚めぬ 須磨の関守

  • 79

    秋風に たなびく雲の 絶え間より

    もれ出づる月の 影のさやけさ

  • 80

    長からむ 心も知らず 黒髪の

    乱れてけさは 物をこそ思へ

  • 81

    ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば

    ただ有り明けの 月ぞ残れる

  • 82

    思ひわび さても命は あるものを

    憂きにたへぬは 涙なりけり

  • 83

    世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る

    山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

  • 84

    ながらへば またこの頃や 忍ばれむ

    憂しと見し世ぞ 今は恋しき

  • 85

    夜もすがら 物思ふ頃は 明けやらで

    閏のひまさへ つれなかりけり

  • 86

    嘆けとて 月やは物を 思はする

    かこち顔なる わが涙かな

  • 87

    村雨の 露もまだ干ぬ 槇の葉に

    霧立ちのぼる 秋の夕暮れ

  • 88

    難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ

    みをつくしてや 恋ひわたるべき

  • 89

    玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば

    忍ぶることの 弱りもぞする

  • 90

    見せばやな 雄島の海人の 袖だにも

    濡れにぞ濡れし 色は変はらず

  • 91

    きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに

    衣かたしき ひとりかも寝む

  • 92

    わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の

    人こそ知らね 乾く間もなし

  • 93

    世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ

    海人の小舟の 綱手かなしも

  • 94

    み吉野の 山の秋風 さ夜更けて

    ふるさと寒く 衣打つなり

  • 95

    おほけなく うき世の民に 覆ふかな

    我が立つ杣に 墨染の袖

  • 96

    花さそふ 嵐の庭の 雪ならで

    ふりゆくものは 我が身なりけり

  • 97

    来ぬ人を 松帆の浦の 夕凪(ゆうなぎ)に

    焼くや藻塩の 身もこがれつつ

  • 98

    風そよぐ ならの小川の 夕暮れは

    みそぎぞ夏の しるしなりける

  • 99

    人も惜し 人も恨めし あぢきなく

    世を思ふ故に もの思ふ身は

  • 100

    ももしきや 古き軒端(ふるきのきば)の しのぶにも

    なほあまりある 昔なりけり

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    問題一覧

  • 1

    秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ

    わが衣手は 露にぬれつつ

  • 2

    春過ぎて 夏来にけらし 白妙の

    衣ほすてふ 天の香具山

  • 3

    あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の

    長々し夜を 独りかも寝む

  • 4

    田子の浦に うち出でてみれば 白妙の

    富士の高嶺に 雪は降りつつ

  • 5

    奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の

    声聞く時ぞ 秋は悲しき

  • 6

    かささぎの 渡せる橋に おく霜の

    白きを見れば 夜ぞ更けにける

  • 7

    天の原 ふりさけ見れば 春日なる

    三笠の山に 出でし月かも

  • 8

    我が庵は 都の辰巳 しかぞ住む

    世をうぢ山と 人はいふなり

  • 9

    花の色は 移りにけりな いたづらに

    我が身世にふる ながめせし間に

  • 10

    これやこの 行くも帰るも 別れては

    知るも知らぬも 逢坂の関

  • 11

    わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと

    人には告げよ 海人の釣り舟

  • 12

    天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ

    をとめの姿 しばしとどめむ

  • 13

    筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女川(みなのがわ)

    恋ぞつもりて 淵となりぬる

  • 14

    陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに

    乱れそめにし 我ならなくに

  • 15

    君がため 春の野に出でて 若菜摘む

    我が衣手に 雪は降りつつ

  • 16

    立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる

    まつとし聞かば 今帰り来む

  • 17

    ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川

    唐紅に 水くくるとは

  • 18

    住の江の 岸に寄る波 よるさへや

    夢の通ひ路 人目よくらむ

  • 19

    難波潟 短き芦の 節の間も

    逢はでこの世を 過ぐしてよとや

  • 20

    わびぬれば 今はた同じ 難波なる

    みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

  • 21

    今来むと いひしばかりに 長月の

    有り明けの月を 待ち出でつるかな

  • 22

    吹くからに 秋の草木の しをるれば

    むべ山風を 嵐といふらむ

  • 23

    月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ

    我が身一つの 秋にはあらねど

  • 24

    このたびは 幣もとりあへず 手向山

    紅葉の錦 神のまにまに

  • 25

    名にし負はば 逢坂山の さねかづら

    人に知られで くるよしもがな

  • 26

    小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば

    今一度の 行幸待たなむ

  • 27

    みかの原 わきて流るる いづみ川

    いつ見きとてか 恋しかるらむ

  • 28

    山里は 冬ぞ寂しさ まさりける

    人目も草も かれぬと思へば

  • 29

    心あてに 折らばや折らむ 初霜の

    置きまどはせる 白菊の花

  • 30

    有り明けの つれなく見えし 別れより

    暁ばかり 憂きものはなし

  • 31

    朝ぼらけ 有り明けの月と 見るまでに

    吉野の里に 降れる白雪

  • 32

    山川に 風のかけたる 柵(しがらみ)は

    流れもあへぬ 紅葉なりけり

  • 33

    久方の 光のどけき 春の日に

    しづ心なく 花の散るらむ

  • 34

    誰をかも 知る人にせむ 高砂の

    松も昔の 友ならなくに

  • 35

    人はいさ 心も知らず ふるさとは

    花ぞ昔の 香ににほひける

  • 36

    夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを

    雲のいづこに 月宿るらむ

  • 37

    白露に 風の吹きしく 秋の野は

    貫き止めぬ 玉ぞ散りける

  • 38

    忘らるる 身をば思はず 誓ひてし

    人の命の 惜しくもあるかな

  • 39

    浅茅生の 小野の篠原 忍れど

    あまりてなどか 人の恋しき

  • 40

    忍れど 色に出でにけり 我が恋は

    物や思ふと 人の問ふまで

  • 41

    恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり

    人知れずこそ 思ひ初めしか

  • 42

    契りきな かたみに袖を しぼりつつ

    末の松山 波越さじとは

  • 43

    逢ひ見ての 後の心に 比ぶれば

    昔は物を 思はざりけり

  • 44

    逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに

    人をも身をも 恨みざらまし

  • 45

    あはれとも いふべき人は 思ほえで

    身のいたづらに なりぬべきかな

  • 46

    由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え

    ゆくへも知らぬ 恋の道かな

  • 47

    八重葎(やえむぐら) 茂れる宿の さびしきに

    人こそ見えね 秋は来にけり

  • 48

    風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ

    くだけて物を 思ふ頃かな

  • 49

    みかき守 衛士のたく火の 夜は燃え

    昼は消えつつ 物をこそ思へ

  • 50

    君がため 惜しからざりし 命さへ

    長くもがなと 思ひけるかな

  • 51

    かくとだに えやはいぶきの さしも草

    さしも知らじな 燃ゆる思ひを

  • 52

    明けぬれば 暮るるものとは 知りながら

    なほ恨めしき 朝ぼらけかな

  • 53

    嘆きつつ 独り寝る夜の 明くる間は

    いかに久しき ものとかは知る

  • 54

    忘れじの 行く末までは 難ければ

    今日を限りの 命ともがな

  • 55

    滝の音は 絶えて久しく なりぬれど

    名こそ流れて なほ聞こえけれ

  • 56

    あらざらむ この世の外の 思ひ出に

    今一度の 逢ふこともがな

  • 57

    めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に

    雲隠れにし 夜半の月かな

  • 58

    有馬山 猪名(いな)の笹原 風吹けば

    いでそよ人を 忘れやはする

  • 59

    やすらはで 寝なましものを さ夜更けて

    傾くまでの 月を見しかな

  • 60

    大江山 いく野の道の 遠ければ

    まだふみも見ず 天の橋立

  • 61

    いにしへの 奈良の都の 八重桜

    今日九重に 匂ひぬるかな

  • 62

    夜をこめて 鳥の空音(そらね)は はかるとも

    よに逢坂の 関は許さじ

  • 63

    今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを

    人づてならで いふよしもがな

  • 64

    朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに

    あらはれ渡る 瀬々の網代木

  • 65

    恨みわび ほさぬ袖だに あるものを

    恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

  • 66

    もろともに あはれと思へ 山桜

    花より外に 知る人もなし

  • 67

    春の夜の 夢ばかりなる 手枕に

    かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

  • 68

    心にも あらで憂き世に ながらへば

    恋しかるべき 夜半の月かな

  • 69

    嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は

    龍田の川の 錦なりけり

  • 70

    さびしさに 宿を立ち出でて 眺むれば

    いづこも同じ 秋の夕暮れ

  • 71

    夕されば 門田の稲葉 おとづれて

    芦のまろやに 秋風ぞ吹く

  • 72

    音に聞く 高師の浜の あだ波は

    かけじや袖の 濡れもこそすれ

  • 73

    高砂の 尾の上の桜 咲きにけり

    外山の霞 たたずもあらなむ

  • 74

    うかりける 人を初瀬の 山おろしよ

    はげしかれとは 祈らぬものを

  • 75

    契りおきし させもが露を 命にて

    あはれ今年の 秋もいぬめり

  • 76

    わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の

    雲居にまがふ 沖つ白波

  • 77

    瀬を早み 岩にせかるる 滝川の

    われても末に あはむとぞ思ふ

  • 78

    淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に

    幾夜寝覚めぬ 須磨の関守

  • 79

    秋風に たなびく雲の 絶え間より

    もれ出づる月の 影のさやけさ

  • 80

    長からむ 心も知らず 黒髪の

    乱れてけさは 物をこそ思へ

  • 81

    ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば

    ただ有り明けの 月ぞ残れる

  • 82

    思ひわび さても命は あるものを

    憂きにたへぬは 涙なりけり

  • 83

    世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る

    山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

  • 84

    ながらへば またこの頃や 忍ばれむ

    憂しと見し世ぞ 今は恋しき

  • 85

    夜もすがら 物思ふ頃は 明けやらで

    閏のひまさへ つれなかりけり

  • 86

    嘆けとて 月やは物を 思はする

    かこち顔なる わが涙かな

  • 87

    村雨の 露もまだ干ぬ 槇の葉に

    霧立ちのぼる 秋の夕暮れ

  • 88

    難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ

    みをつくしてや 恋ひわたるべき

  • 89

    玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば

    忍ぶることの 弱りもぞする

  • 90

    見せばやな 雄島の海人の 袖だにも

    濡れにぞ濡れし 色は変はらず

  • 91

    きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに

    衣かたしき ひとりかも寝む

  • 92

    わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の

    人こそ知らね 乾く間もなし

  • 93

    世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ

    海人の小舟の 綱手かなしも

  • 94

    み吉野の 山の秋風 さ夜更けて

    ふるさと寒く 衣打つなり

  • 95

    おほけなく うき世の民に 覆ふかな

    我が立つ杣に 墨染の袖

  • 96

    花さそふ 嵐の庭の 雪ならで

    ふりゆくものは 我が身なりけり

  • 97

    来ぬ人を 松帆の浦の 夕凪(ゆうなぎ)に

    焼くや藻塩の 身もこがれつつ

  • 98

    風そよぐ ならの小川の 夕暮れは

    みそぎぞ夏の しるしなりける

  • 99

    人も惜し 人も恨めし あぢきなく

    世を思ふ故に もの思ふ身は

  • 100

    ももしきや 古き軒端(ふるきのきば)の しのぶにも

    なほあまりある 昔なりけり