問題一覧
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6-1 貸借対照表の区分 純資産の部の会計基準により、貸借対照表区分のうち「資本の部」が「純資産の部」に変更された。それぞれの特徴と変更による効果とは。 資本については一般に()と理解されていたため、株式会社の場合従来の「資本の部」は株主に帰属するものという特徴があり、これが差額としての純資産となるように資産及び、負債が取り扱われてきた。 これに対し、純資産の部の会計基準では、まず貸借対照表上、()のあるものを「資産の部」または「負債の部」に記載することとし、それらに該当しないものは()として「()」に記載することとしたため、「純資産の部」は()という特徴を有している。 このように変更された結果、()ものと考えられる。
財務報告主体の所有者に帰属するもの、資産性または負債性、資産と負債の差額、純資産の部、差額概念、貸借対照表において支払い能力など財務報告主体の財政状態を適切に表示することが可能になる
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6-2 貸借対照表の区分 純資産の部の会計基準が「資本の部」を「純資産の部」という表記に変えた理由とは。 資産や負債を明確にすれば、これらの差額概念がそのまま資本となる保証はない。このため、貸借対照表の区分において、()に表記を変更した。
報告主体の所有者に帰属する資本とは必ずしも同じとはならない資産と負債の単なる差額を適切に示すよう
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6ー3 貸借対照表の区分 純資産の部の会計基準により、表示区分が純資産の部に変更された3つを挙げ、変更前の取り扱いと変更された理由。 ():以前は損益計算の観点から資産または負債として繰延られる項目であった。() ():仮勘定として負債の部に計上。() 非支配株主持分:負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示。返済義務のある負債ではない、宇浦井のような中間区分を設けることは適切ではない。
繰延ヘッジ損益、資産性または負債性を有さないため、新株予約権、返済義務のある負債ではないため
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6-4 純資産の部の表示 純資産の部はいかなる観点から株主資本と資本以外の各項目に区分されるか。純資産の部の会計基準が「株主資本」という名称を用いた理由に触れつつ。 株主資本と株主資本以外の各項目との区分は()から行われる。純資産の部のうち報告主体の所有者たる株主に帰属する部分について、「株主資本」という名称を用いることで()し、株主に帰属しない部分と明確に区分している。
帰属の観点、株主に帰属するものであることをより強調
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6-5 純資産の部の表示 純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分する理由とは。 報告主体の所有者に帰属する利益は、企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュフローの予測やその改定に広く用いられており、()。()、報告主体の企業価値に関心を持つ当該報告主体の()であると考えられるため、()。そこで()であるから。
財務報告における情報開示の中で特に重要であると考えられている、当該情報の主要な利用者であり受益者であるのは、現在および将来の株主、報告主体の所有者に帰属する当期純利益とこれを生み出す株主資本は重視される、当期純利益と株主資本を重視し、また、資産と負債の差額である純資産と株主資本が同義ではないことを明示するためには、株主資本を他の純資産に属する項目から区分することが適当
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6-6 純資産の部の表示 純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分した結果、損益計算書と貸借対照表の関係はどうなったか。 純資産の部を株主資本と株主資本以外の各項目に区分した結果、()こととなり、()が確保されることになった。
損益計算書上における当期純利益の額と、貸借対照表における株主資本の資本取引を除く当期変動額が一致する、資本と利益の連携
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6-10 株主資本以外の各項目 貸借対照表において、評価・換算差額を純資産の部に記載し、また株主資本と区別して記載する理由。 評価・換算差額は、()ため、純資産の部に記載する。また、評価換算差額を株主資本と区別することで、()ため評価換算差額は株主資本と区別して記載する。
資産性または負債性を有さない、当期純利益が資本取引を除く株主資本の変動をもたらすという関係を明瞭化でき、このことが会計情報の信頼性を高め、企業評価に役立つと考えられる
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6-11 株主資本以外の各項目 「株主資本を構成する項目の特徴から」、貸借対象において評価換算差額を株主資本と区別して記載する理由。 純資産のうち、報告主体の所有者である株主に帰属する部分である株主資本は、払込資本と留保利益から構成される。ここで評価換算差額は、()ため。
払込資本ではなく、かつ、未だ当期純利益に含められていないため留保利益にも該当しない
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6-12 株主資本以外の各項目 貸借対照表において、新株予約権を純資産の部に記載し、また株主資本とは区別して記載する理由。 新株予約権は()、負債の部に計上するのは適当ではないため、純資産の部に記載する。また新株予約権は報告主体である株主とは異なる新株予約権者との直接的な取引によるものであり、()ため株主資本とは区別して記載する。
返済義務のある負債ではなく、株主に帰属するものではない
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6-13 株主資本以外の各項目 新株予約券を株主資本に含めて記載するべきとする見解の理由。 新株予約券は、将来権利行使されれば払込資本となり、失効すれば利益になることから、()ため。
いずれにしても株主資本を構成し、報告主体の所有者である株主に帰属することになる
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6-15 株主資本以外の各項目 連結貸借対照表上、株主資本以外の項目は3つに区分される。どのような観点から区分されているか。 これらの区分は()から行われる。この観点から株主資本以外の項目は、 ⑴投資のリスクから解放されておらず、()その他の包括利益累計額、⑵()に帰属する新株予約券、⑶子会社の資本のうち()に帰属する非支配株主持ち分の3つに区分される。
帰属の観点、いずれにも帰属しない、報告主体の将来の所有者となりうるオプションの所有者、子会社の非支配株主
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6-19 株主資本の計数の変動 資本剰余金の各項目と利益剰余金の各項目を混同してはならない理由。 資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金を利益剰余金へ振り替えることを無制限に認めると、()、また資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金をその他資本剰余金に記載する意味がなくなるため、資本剰余金の各項目と利益剰余金の各項目の混同は禁止される。
払込資本と払込資本を利用して得られた成果を区分することが困難になり
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6-20 利益剰余金が負の残高の時にその他資本剰余金で補填する会計処理は資本剰余金と利益剰余金の混同に該当するか。 ()。したがって負の残高になった利益剰余金を、将来の利益を待たずにその資本剰余金で補うのは、()、資本剰余金と利益剰余金の混同には該当しない。
払込資本と留保利益の区分が問題になるのは、同じ時点で両者が正の値であるときに、両者の間で残高の一部または全部を振り替えたり、一方に負担させるべき分を他方に負担させるような場合である、払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであるため、払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらず
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6-21 制度会計上、その他資本剰余金による補填の対象となる利益剰余金は、年度決算時の負の残高に限れられる。その理由は。 期中において発生した利益剰余金の負の値を、その都度資本剰余金で補填することは、()ため。
年度決算単位でみた場合、資本剰余金と利益剰余金の混同になることがある
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6-22 自己株式の会計上の性格について⑴資産として取り扱う考え方、⑵資本の控除として扱う考え方のそれぞれの論拠。 ⑴自己株式を取得したのみでは()、他の有価証券と同様に()とみられること。 ⑵自己株式の取得は()であり、()こと。
株式は失効しておらず、換金性のある会社財産、株主との間の資本取引、会社所有者に対する会社財産の払戻しの性格を有する
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6-23 自己株式 自己株式を無償取得した場合、⑴自己株式を時価で測定する方法と⑵自己株式の数のみの増加として処理する方法のそれぞれの論拠。 制度会計上、いずれが採用されているか。またその理由。 ⑴この方法は通常の有価証券と同様に()限り、その側面を適切に表すために、自己株式を時価で測定し、認識すべきこと。 ⑵この方法は自己株式を無償で取得しても()、贈与した株主が有していた持ち分が他の株主に移転するのみ、すなわち()であること。 制度会計上、自己株式の取得は()であり、会社所有者に対する()と位置づけ、()から⑵が採用されている。
自己株式にも換金性があり、価値のあるものを受け取っている、取得した会社にとっては資産が増加せず、新旧株主間の富の移転が生じているのみ、株主との間の資本取引、会社財産の払戻し、純資産の部の株主資本から控除する会計処理を採用していること整合性
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6-24 自己株式を純資産の株主資本を控除とする場合を前提として、 ⑴取得原価で一括して株主資本全体の控除項目とする方法と ⑵株主資本の構成要素に配分して直接減額する方法の背後の考え方。 ⑴この方法は自己株式を取得したのみでは、()と考えることを論拠とする。自己株式の取得と処分を()みる考え方が背後にある。 ⑵この方法は自己株式の取得を()であると考えることを論拠とする。自己株式の取得と処分を()とみる考え方が背後にある。
発効済株式総数が減少するわけではなく、取得後の処分もあり得る点に着目し、自己株式の保有は処分又は償却までの暫定的な状態である、一連の取引、自己株式の消却に類似する行為、独立した別個の取引
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6-25 自己株式 自己株式処分差益を資本剰余金として処理する理由。 ()点を考慮すると、その処分差額も()と考えられるため。
自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する、株主からの払込資本と同様の経済的実態を有する
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6-26 自己株式の処分 自己株式処分差損について、二つの考え方あり。いずれが制度会計上採用されているか。 ・自己株式処分差損については自己株式の取得と処分を一連の取引とみた場合、()と考えられる。この分配については()とみて、()とする考え方。 ・()とみて、()とする考え方。 ()すると、利益剰余金の額を増減させるべきではないから制度会計上は()とする。
純資産の部の株主資本からの分配の性格を有する、払込資本の払戻と同様の性格を有する、資本剰余金の額の減少、株主に対する会社財産の分配という点で利益配当と同様の性格である、利益剰余金の額の減少、自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮、資本剰余金の額の減少
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6-27 自己株式の取得及び処分の認識時点について ⑴取引の相手との契約時に認識する方法 ⑵取得については対価を支払うべき日に認識し、処分については対価の払込期日に認識する方法のそれぞれの論拠。 ⑴は自己株式を()であり、自己株式の取得及び処分が()によって行われることを論拠とする。 ⑵は自己株式を()であり、自己株式の取得及び処分が()ことを論拠とする。
資産として扱う考え方と整合的、既発行株式の売買、資本の控除として扱う考え方と整合的、株主への資本の払戻し及び株主からの資本の払込みの性格を有する
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6-29 自己株式を資本控除とみる前提で、自己株式の取得、処分及び償却に関する付随費用について⑴損益計算書に計上する考え方と⑵付随費用を取得価額に含め、処分及び償却に要した費用は自己株式処分差額等の調整とする考え方がある。それぞれの論拠。またいずれが制度会計か。 ⑴付随費用を財務費用と考え()とする方法である。これは付随費用は()点に着目し、()であるとの見方に基づく。 ⑵付随費用を自己株式本体の取引と一体と考え()とする方法である。これは自己株式の処分時及び焼却時の付随費用は、()であるとの見方に基づく。 制度会計上⑴。
損益取引、株主との間の資本取引ではない、会社の業績に関係する項目、資本取引、形式的には株主との取引ではないが、自己株式本体の取引と一体
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6-30 制度会計上、株式交付費は資本から直接控除する方法ではなく、費用として処理する方法が採用されている。理由3つ。 株式交付費は資本取引に伴って発生するものであるが、()。 株式交付費は社債発行費と同様、資金調達を行うために要する支出額であり、()。 資金調達の方法は会社の意思決定によるものであり、その結果として発生する費用もこれに依存することになるため、()と考えられる。
その対価は株主に支払われたものではないため、株式交付費の支出自体は資本取引ではない、財務費用としての性格が強い、資金調達に要する費用を会社業績に反映させることが、投資家への有用な情報を提供することになる
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8-1 退職給付の費用認識に関する基本的な考え方とは。 退職給付の性格は、労働の対価として支払われる()であり、基本的に勤務期間を通じた()するものである。そうであるならばその支給方法や積立方法の如何にかかわらず、退職給付は()することになる。
賃金の後払い、労働の提供に伴って発生、発生した期間に費用として認識
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8-2 退職給付債務の概念としての予測給付債務の意義。また予測給付債務が採用されている理由と、予測給付債務の欠点。 予測給付債務とは、()について、認識時点までの勤務期間と()算定した将来退職給付額の()をいう。 実際の退職給付の支払いは()ものであり、()と考えらえれるため。 予測給付債務の問題点として、退職給付債務の算定に当たり、将来の昇給を考慮するため、()のではないかという指摘がなされる点。
受給権の未取得者も含めたすべての従業員、将来の昇給による給付の増加を見込んで、現在価値、退職時における退職給付の額に基づいて行われる、現在時点の退職給付の支払額のみに基づいて将来の退職給付額を見積もることは、退職給付の実態が適切に反映していない、現在の義務に該当せず、負債の定義を満たさない
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8-3 一時的に支払われる早期割増退職金を退職給付見込み額の見積もりに含めない理由。 一時的に支払われる早期割増退職金は、()ものとしてとらえることが妥当であるため。
勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生した退職給付という性格を有しておらず、むしろ将来の勤務を放棄する代償、失業期間中の補償等の性格を有する
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8-4 制度会計上、退職給付見込額の期間帰属方法について、期間定額基準が選択適用として認められている理由。 ()、勤務期間を基礎とする費用配分の方法についても、これを否定する根拠は乏しいため。
直接観察できない労働サービスの費消態様に合理的な仮定を置かざるを得ないことを踏まえれば、労働サービスに係る費用配分の方法は一義的には決まらず
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8-5 退職給付見込額の期間帰属方法としての給付算定式基準の長所。期間帰属基準と対比で。 ()。
勤務年数の増加に応じた労働サービスの向上を踏まえれば、毎期の費用を定額とする期間定額基準よりも、給付算定式に従って費用が増加するという取り扱いの方が実態をより表す
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8-6 退職給付見込額の期間帰属方法としての期間定額基準の問題点2つ。 ・()、毎期の費用を定額とする期間定額基準は実態を表しているとは言えない。 ・期間定額基準は定年直前に給付が頭打ちになる場合や、将来給付すべての減額の場合など、()。
勤続年数の増加に応じた労働サービスの向上を踏まえれば、勤務をしても給付が増加されない場合にも費用認識をする場合がある点で妥当ではない
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8-9 退職給付引当金の計上にあたって、年金資産の額を退職給付債務から控除する理由。 「()」ことなどから、「()、()」おそれがあるため。
年金資産は退職給付の支払いのためにのみ使用されることが制度的に担保されている、これを収益獲得のために保有する一般の資産と同様に企業の貸借対照表に計上すると、かえって財務諸表利用者に誤解を与える
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8-10 利息費用と機体運用収益の費用処理額を営業損益として表示する方法の論拠 ()と考えるならば、勤務費用だけでなく、利息費用および期待運用収益も労務費として営業損益に含めるべきである。 また利息費用については、()、財務損益として認識すべきものではない。
最終的に外部の運用機関に拠出する金額こそが企業が負担するべき労務費である、実際の資金調達活動に要する費用とは異なり
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8-11 数理計算上の差異を一時の費用として認識せず、遅延認識する理由 ()と考えられるため。
数理計算上の差異には予測と実績の乖離のみならず予測数値の修正も反映されることから、各期に生じる差異を直ちに費用として計上することが退職給付に係る債務の状態を忠実に表現するとは言えない面があり、その性格を一時の費用とすべきものとして一義的に決定づけることは難しい
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8-12 過去勤務費用を一時の費用とせず遅延認識する理由 ()と考えられるため。
過去勤務費用の発生要因である給付水準の改訂等は、従業員の勤労意欲が将来にわたって向上するとの期待のもとに行われる面があり、その性格を一時の費用とすべきものとして一義的に決定づけることは難しい
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8-13 退職従業員にかかる過去勤務費用を、他の過去勤務費用と区分して発生時に全額を費用処理することができる理由 ()ため。
退職従業員は給付水準の改訂等により、勤労意欲が将来にわたって向上するとの期待ができない
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8-15 数理計算上の差異の取り扱いに関する重要性基準と回廊アプローチの意義と両者に共通する目的。重要性基準が採用されている理由。 重要性基準とは、基礎率等の計算基礎に重要な変動が生じない場合には計算基礎を変更しない等、()をいう。 回廊アプローチとは、退職給付債務の数値を毎期末時点において()をいう。 両社とも基礎率の変動が財務諸表に与える影響を緩和するという共通する目的を持つ。 制度会計上は『割引率等の計算基礎に重要な変動が生じていない場合には、これを見直さないことができる』としており重要性基準を採用している。 これは()と考えられることを理由とする。
計算基礎の決定にあたって合理的な範囲で重要性による判断を認める方法、厳密に計算し、その結果生じた計算差異について一定の許容範囲を設ける、退職給付費用が長期的な見積計算であることから、重要性による判断を認めることが適切
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8-16 制度会計上、重要性基準と回廊性アプローチの併用は行われていない理由。 計算基礎に重要性による判断を認めたうえで回廊を設けることとする場合、()。
実質的な許容範囲の幅が極めて大きくなる
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8-17 連結貸借対照表において、積立状況を示す額を負債または資産に計上する理由。 ()が、積立状況を示す額を負債または資産に計上することで、()からである。
一部が除かれた積立状況を示す額を貸借対照表上に計上する場合、積立超過のときに負債が計上されたり、積立不足のときに資産が計上されたりすることがあり得るなど、退職給付制度に係る状況について財務諸表利用者の理解を妨てしまう、企業の財政状態を忠実に再現でき、貸借対照表に明瞭で理解しやすい金額が表示される
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8-18 連結財務諸表上の数理計算上の差異について ①その他の包括利益を通じて利益剰余金に計上する方法(損益計算書に計上しない方法)がわが国で採用されない理由。 ②これと関連して我が国の基準が採用している方法の説明。 ①この方法では数理計算上の差異が損益計算書に計上されることなく、利益剰余金に計上されるため、我が国が重視する、()からである。 ②基準では、未認識数理計算上の差異について()、平均残存勤務期間以内の一定の年数にわたって()する方法を採用している。これは当該処理により、我が国が重視する()ことを根拠とする。
報告主体の所有者に帰属する当期純利益と、これを生み出す株主資本との連携が確保されない、その他の包括利益を通じて純資産に計上、費用処理、報告主体の所有者に帰属する当期純利益と、これを生み出す株主資本との連携が確保される
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8-19 確定拠出制度においては当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理するのみで、資産負債は計上しない理由。 確定拠出制度は、()ことから積み立て不測が生じる余地がなく、負債または資産を計上する必要がないから。
企業は掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負わず、資金の運用リスクを負担しない
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9-1 金融資産または金融負債自体を対象とする取引については契約締結時にその発生を認識する。なぜか。 金融資産または金融負債自体を対象とする取引については、()ため。
当該取引の契約時から当該金融資産または金融負債の時価変動リスクや、相手方の財政状態に基づく信用リスクが契約当事者に生じる
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9-3 有価証券の売買契約における買手と売手の会計処理を、約定日から受渡日までの期間が市場の規則または慣行に従った通常の期間である場合と通常の期間よりも長い場合に分けて説明。 約定日から受渡日までの期間が市場の規則または慣行に従った通常の期間である場合、()には買手は有価証券の発生を認識し、売手は有価証券の消滅の認識を行う。 約定日から受渡日までの期間が通常の期間よりも長い場合、売買契約を買手も売手も()として約定日に認識し、決算日における未決済の先渡し契約を()として時価評価し、評価差額を当期の損益として計上する。
売買約定日、先渡契約、デリバティブ取引
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9-4 条件付きの金融資産の譲渡については、⑴リスク経済価値アプローチと⑵財務構成要素アプローチの2つの考え方がある。それぞれの意義、いずれが採用されているか。 ⑴リスク経済価値アプローチとは、()する方法をいう。 ⑵財務構成要素アプローチとは、金融資産を構成する財務的要素()する方法をいう。 譲渡人が自己の所有する金融資産を譲渡した後も回収サービス業務を引き受ける等、()こととなる。そのため、制度会計上は財務構成要素アプローチ。
金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてが他に移転した場合に当該金融資産の消滅を認識、財務構成要素に対する支配が他に移転した場合に当該移転した財務構成要素の消滅を認識し、留保される財務構成要素の存続を認識、金融資産を財務構成要素に分解して取引することが多くなると、リスク・経済価値アプローチでは金融資産を財務構成要素に分解して支配の移転を認識することができないため、取引の実質的な経済効果が譲渡人の財務諸表に反映されない
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9-5 現先取引は法形式上は債権の売買取引であるが、金融取引として処理することが求められる。その理由とは。 ()現先取引は、金融資産の契約上の権利に対する()。したがって、その約定が売買契約であっても売買取引として処理することが認められず、()として処理することとなる。
買戻すことによって取引を完結することがあらかじめ合意されている、支配が他に移転しているとは認められない、金融取引
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9-8 「金融商品に関する会計基準」では金融資産については時価評価を行うことが基本的な考え方とされる理由。 金融資産は、()とともに、()である。そこで客観的な時価の測定可能性が認められないものを除き、時価による自由な換金・決済等が可能な金融資産については()としても、()としても、さらに()からも、これを()であると考えられるからである。
一般的には、市場が存在すること等により客観的な価額として時価を把握できる、当該価格により換金・決済等を行うことが可能、投資情報、企業の財務認識、国際調和の観点、時価評価し適切に財務諸表に反映することが必要
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9-9 「金融商品に関する基準」では金融負債について時価評価を行わないことが基本的な考え方とされる理由。 金融負債は()と考えられるため。
借入金のように一般的には市場がないか、社債のように市場があっても、自己の発行した社債を時価により自由に清算するには事業遂行上等の制約がある
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9-10 金銭債権を時価評価しない理由。 一般的に金銭債権について()場合が多い。このうち、受取手形や売掛金は通常短期的に決済されることが予定されており、()ものと考えられ、また貸付金等の債権は()と考えられるため、金銭債権については、原則として時価評価は行わない。
活発な市場がない、帳簿価額が時価に近似している、時価を容易に入手できない場合や売却を意図していない場合が少なくない
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9-11 債権を債権金額より低い価額または高い価額で取得した場合に償却原価法を適用する理由。 債権の取得においては債権金額と取得価額とが異なる場合があり、この差異が金利の調整であると認められる場合には()であるため
金利相当額を適切に各期の財務諸表に反映させることが必要
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9-12 売買目的有価証券を時価評価する理由 ()と考えられるため。
保有目的から、投資家にとって有用な情報は期末時点の時価に求められる
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9-13 売買目的有価証券の評価差額を当期の損益とする理由。 売買目的有価証券は()ため。
売却することについて事業遂行上等の制約がなく、時価の変動にあたる評価差額が企業にとっての財務活動の成果と考えられる
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9-14 ⑴満期の定めのない永久債と⑵それまでその他有価証券に分類していた債権を満期保有目的の債権に分類することはできるか。 ⑴満期保有目的の債権に分類するためには()かつ()ことを要するため、満期の定めのない永久債はその属性から満期保有目的の債権に分類することができない。 ⑵満期まで所有する意図は()であり、一旦ほかの保有目的で取得した債権について、その後保有目的を変更して満期保有目的の債権に振り替えることは認められない。
あらかじめ償還日が定められており、額面金額による償還が予定されている、取得時点において判断すべきもの
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9-15 満期保有目的の債権を時価評価しない理由。 満期保有目的の債権は時価が算定できるものであっても、()ため。
満期まで保有することによる約定利息および元本の受取りを目的としており、満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がない
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9-16 子会社株式および関連会社株式を時価評価しない理由。 子会社株式は、()。また、関連会社株式は他企業への影響力の行使を目的として保有する株式であり、()である。したがって、いずれも時価評価は行わない。
事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果と捉えない、子会社株式の場合と同じく事実上の事業投資と同様の会計処理を行うことが適当
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9-17 その他有価証券を時価評価をする理由。 その他有価証券は業務上の関係を有する企業の株式等から、市場動向によっては売却を想定している有価証券まで()。
多様な性格を有しており、一義的にその属性を定めることは困難と考えられることから、評価基準に関する基本的考え方に基づいて時価評価を行う
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9-18 その他有価証券の評価差額を当期の損益としない理由。 その他有価証券は、()ため。
事業遂行上等の必要性から直ちに売却・換金を行うことは制約を伴う要素もあり、評価差額を当期の損益として処理することは適切ではない
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9-19 その他有価証券の評価差額の会計処理方法として、部分純資産直入法が認められる理由。 ()の観点から、これまで低価法に基づく銘柄別の評価差額の損益計算書への計上が認められてきたことを考慮したため。
保守主義
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9-20 当社はA社社債およびB社社債を保有しており、いずれも満期保有目的の債権に分類したが、資金繰りの関係からA社社債の全てを償還期限前に売却した、この場合、引き続き保有しているB社社債について必要となる会計処理とは。なお有価証券のトレーディングは行っていない。 満期保有目的の債権に分類された債権について、その一部を売買目的有価証券またはその他有価証券に振り替えたり、償還期限前に売却を行った場合は、満期保有目的の債権に分類された残り全ての債権について、()。したがって有価証券のトレーディングを行っていない会社では、B社社債を償却原価をもってその他有価証券に振り替えなければならず、振替後は時価をもって貸借対照表価額とする。
保有目的の変更があったものとして売買目的有価証券またはその他有価証券に振替えなければならない
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9-21 償却原価法を適用してきた債権について減損処理を行った場合、その後の会計期間において償却原価法は適用されるか。 減損処理を行った債権については、()ため、その後の会計期間において()。
取得差額はもはや金利調整差額とは考えられない、償却原価法は適用されない
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9-22 運用を目的とする金銭の信託の貸借対照表差額には、信託財産を構成する金融資産および金融負債のうち時価評価が適切であるものについて、 その時価を反映することが必要とされる理由。 運用を目的とする金銭の信託は、()ものと考えられ、加えて、金銭の信託契約の満了時に、 当該金銭の信託に係る信託財産またはそれを時価により換金した現金により支払を受ける場合、 ()と考えられるため。
企業が当該金銭の信託に係る信託財産を構成する金融資産および金融負債を運用目的で間接的に保有している、投資家及び企業双方にとって意義を有するのは信託財産の時価である
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9-23 運用を目的とする金銭の信託の評価差額を当期の損益とする理由。 運用を目的とする金銭の信託に係る信託財産については、()ため。
委託者の事業遂行上等の観点から、売買・換金の制約がない
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9-26 貸倒懸念債権の貸倒見積高の算定方法であるキャッシュフロー見積法において、当初の約定利子率を用いる理由。 貸倒見積高の算定が()ため。
債権を時価で評価し直すために行われるのではなく、債権の取得価額のうち当初の見積キャッシュフローからの減損額を算定することを目的として行われる
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9-27 ヘッジ会計の必要性について、デリバティブ取引をヘッジ手段として用いるヘッジ取引にヘッジ会計を適用しない場合を例にとり説明。 ヘッジ手段であるデリバティブ取引については、原則的な処理方法によれば時価評価され損益が認識されることとなるが、ヘッジ対象の資産に係る相場変動が損益に反映されない場合、()こととなる。このため(ヘッジ対象及びヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を財務諸表に反映させる)ヘッジ会計が必要となる。
両者の損益が期間的に対応しなくなり、ヘッジ対象の相場変動等による損失の可能性がヘッジ手段によってカバーされているという経済的実態が財務諸表に反映されない
61
9-28 満期保有目的の債権については原則として金利変動リスクに関するヘッジ対象とすることはできない理由。 満期保有目的の債権は、満期まで保有することによる約定利息および元本の受取を目的としており、()ため、時価評価が認められない。この取り扱いの趣旨に鑑みると、満期保有目的の債権に対して、()。したがって原則として満期保有目的の債権を金利変動リスクに関するヘッジ対象とすることはできない。
満期までの間の金利変動による価格変動リスクを認める必要がない、金利変動による価格変動リスクをヘッジする取引に会計上特別なヘッジ会計を認めることは論理的に整合しない
62
9-29 ヘッジ会計の要件を満たす、ヘッジ取引に適用される2つの会計処理方法とは。 ヘッジ会計は、(原則として時価評価されるヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰り延べる方法)による。これは()と呼ばれ、ヘッジ手段の損益認識時点を()方法である。ただし(ヘッジ対象である資産または負債に係る相場変動等を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識することもできる)。これは()と呼ばれ、ヘッジ対象の損益認識時点を()方法である。
繰延ヘッジ、ヘッジ対象の損益認識時点にあわせる、時価ヘッジ、ヘッジ手段の損益認識時点にあわせる
63
9-30 金利スワップの特例処理の考え方およびその会計処理とは。 金利スワップの特例処理では、()として、()と考える。そのため(金利スワップを時価評価せず)、当該金利スワップに係る(金銭の受払額の純額等を当該資産または負債に係る利息に加減して処理する)。
金利スワップと金利変換の対象となる資産または負債を一体、実質的に変換された条件による債権または債務
64
9-31 転換社債型新株予約権について一括法が認められる理由。 転換社債型新株予約権については()ため。
社債と新株予約権が単独で存在し得ないことから、それぞれの部分を区分して処理する必要性は乏しい
65
9-32 転換社債型予約券付社債以外の新株予約権付き社債について区分法が適用される理由。 転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債は、払込資本を増加させる可能性のある部分とそれ以外の部分が同時に()ことから、その取引の実態を適切に表示するため、それぞれの部分を区分して処理することが必要であるため。
各々存在し得る
66
10-1 固定資産の減損 事業用の固定資産は取得原価から減価累計消却額等を控除した金額で評価され、損益計算においては、そのような資産評価に基づく実現利益が計上される理由とは。 (要は、事業用資産が取得原価から減価償却理系額等を控除時した金額で評価される理由) 事業用の固定資産については通常、()ため()、()、また()ため。
市場平均を超える成果を期待して事業に使われている、市場の平均的な期待で決まる時価が変動しても、企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、投資の価値自体も、投資の成果であるキャッシュフローが得られるまで実現したものではない
67
10-2固定資産の減損 固定資産の減損とは()状態であり、減損処理とはそのような場合に、一定の条件の下で()する会計処理である。その本質は()である。
資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった、回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額、事業用資産の過大な帳簿額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理
68
10-3固定資産の減損 固定資産の減損処理は金融商品に適用されている時価評価とどう違うのか。 固定資産の減損処理は金融商品に適用されている()、資産の価値の変動によって利益を測定することや、決算日における資産価値を貸借対照表に表示することを目的とするのではなく、()であること。
時価評価とは異なり、取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額
69
10-4 固定資産の減損処理に関して、「期末の帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直すだけでは、収益性の低下による減損損失を正しく認識することはできない」との批判の論拠とは。 減損処理は本来、()し、投資額の回収が見込めなくなった時点で将来に損失を繰り延べないために帳簿価額を減額する会計処理と考えられる、そのため、()だけでは、帳簿価額の回収が見込めない場合であっても、過年度の回収額を考慮すれば投資期間全体を通じて投資額の回収が見込める場合や、また過年度の減価償却などを修正したときに修正後の帳簿価額の回収が見込める場合にも減損損失が認識されてしまい、()。
投資期間全体を通じた投資額の回収可能性を評価、期末の帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直す、収益性の低下による減損損失を正しく認識することはできない
70
10-5 減損処理と臨時償却の共通点と相違点とは。 いずれも()であり、()である点で共通する。 一方で減損処理は()を目的とする会計処理であり、計上される減損損失が()であるのに対して、臨時償却は資産に生じた帰納的原価に起因した耐用年数の短縮等に基づいて()を目的とする会計処理であり、計上される臨時償却費が()である点で相違する。
取得原価主義の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額、過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理、資産の収益性の低下を帳簿価額に反映すること、臨時損失項目、過年度の減価償却費を修正すること、前期損益修正項目
71
10-6 資産のグルーピングを「他の資産または資産グループ」のキャッシュフローから概ね独立したキャッシュフローを生み出す最小の単位で行う理由。 グルーピングの単位をより大きなものとした場合、減損が生じていない資産の将来キャッシュフローと()があり、また減損損失計上額も小さくなってしまうから。
通算されることによって、減損損失が認識されない可能性
72
10-7 全ての資産または資産グループではなく、減損の兆候がある資産または資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うこととした理由とは。 全ての資産または資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うことは()ことを考慮したため。
実務上、過大な負担となるおそれがある
73
10-8 制度会計上、減損損失を認識するかどうかの判定に当たって、帳簿価額と比較されるのは割引前将来キャッシュフローの総額とされている。その理由とは。 減損損失の測定は、将来キャッシュフローの見積もりに大きく依存するが、将来キャッシュフローが約定される金融資産と異なり、()、その点を考慮すると()と考えられるため。
成果の不確定な事業用資産の減損は、測定が主観的にならざるを得ず、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損を認識することが適当である
74
10-9 制度会計上、減損損失を認識するかどうかを判定するために見積もられる割引前将来キャッシュフローについては、その見積期間が制限されている理由。 ・()ことから、その見積期間を制限する必要があるから。 ・一般的に()ため。
土地のような非償却性資産は使用期間が無限になりうる、長期間にわたる将来キャッシュフローの見積は不確実性が高くなる
75
10-10 減損損失の測定に当たり、正味売却価額と使用価値のいずれか高いほうを回収可能額とする理由。 企業は()、売却による拐取額である正味売却価額と、使用による回収額である使用価値のいずれか高いほうの金額が回収可能額とされる
資産または資産グループに対する投資を売却と使用のいずれかの手段によって回収するが、この際、いずれか有利な方を選択すると考えられる
76
10-11 回収可能価額の算定に当たっては必ずしも現在時点の正味売却価額の算定をする必要はないとされている理由は。 正味売却価額が使用価値より高い場合、企業は資産または資産グループをすでに売却していると考えらえることから、()と考えられるため。
通常、使用価値は正味売却価額より高い
77
10-12 減損損失を認識すべきであると判定された資産または資産グループについて、帳簿価額を時価まで減額すべきとする見解とは。 この考え方は資産の帳簿価額を回収できないときに減損した資産を売却せずに使用するという意思決定を()とみる。したがって、()が行われたものとみて、公正価値たる時価をもって新しい取得原価とすべきであると説明されている。
その資産への再投資という新たな経済的意思決定に相当するもの、投資の清算及び再投資
78
10-13 将来キャッシュフローを企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定および予測に基づいて見積もる理由。 将来キャッシュフローは客観的な資産または資産グループの()、企業にとって資産または資産グループの()、あるいは企業にとって資産または資産グループが()に見積もるものであるため。
時価を算定するためではなく、帳簿価額が回収可能かどうかを判定するため、どれだけの経済的な価値を有しているかを算定するため
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10-16 資産除去債務が負債に計上されている場合には、将来キャッシュフローの見積もりに除去費用部分を含めない理由。 資産除去債務が負債に計上されている場合には、()。
除去費用部分の影響を二重に認識しないようにするため
80
10-20 より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合、のれんを加えることによって算定される減損損失の増加額は原則としてのれんに優先的に配分する理由。 減損損失を認識するかどうかの判定の結果、減損損失を認識することとなった場合、当該判定単位の()ため。
超過収益力がもはや失われていると考えられる
81
10-21 制度会計上、減損処理を行った資産についても減損損失を控除した帳簿価額に基づき減損を行う理由。 減損処理は資産の取得原価を回収可能な部分と回収不能な部分に配分する手続きとして、あくまで()、()ため。
取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額である以上、減損処理後も原価配分手続きを継続する必要がある
82
10-22 制度会計上減損損失の戻し入れは行われない理由。 ①制度会計は減損損失の判定について()によっており、減損損失は減損の兆候がある資産または資産グループについて、これらが生み出す割引前将来キャッシュフローがこれらの帳簿価額を下回るとき、つまり()ため。 ②減損損失の戻し入れを行う場合、一度減損損失を計上した資産または資産グループに関する回収可能価額の見積の変更を常に把握しなければならず、()ため。
蓋然性基準、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って認識および測定されるものとしている、事務的負担を増大させる
83
11-2棚卸資産 仕入割引の会計処理について①営業外収益とする方法と②送り状価額から控除する方法の論拠。 ①営業外収益とする方法は、仕入割引は()、から()としての性格を有するからだ。この方法では、仕入取引と代金決済取引を()とみる。 ②送り状価額から控除する方法は、仕入割引は仕入れ代金の一部免除という点で値引き・割戻と同じであり、送り状価額から控除することで()からだ。この方法では仕入取引と代金決済取引を()とみる。 ※①ではもともと仕入額には利息相当分が含まれていると考える。
代金の早期決済という財務活動の成果であり、利息相当分の減免額である、財務収益、別個独立した取引、最終的な支払額をもって資産の取得原価を計上できる、一連の取引
84
11-7 後入れ先出し法の長所および短所とは。 (長所)()ため、棚卸資産の購入から販売までの保有期間における市況の変動により生じる()。(PL面での長所) (短所)・一般的に原価の流れの過程が()。 ・棚卸資産が過去に購入したときからの価格変動を反映しない金額で貸借対照表に繰り越され続けるため、()。(BS面での短所)
収益と費用が同一の価格水準で対応する、保有損益を期間損益から排除できる、実際の流れを忠実に再現しているとはいえない、貸借対照表価額が最近の価格水準と大幅に乖離する
85
11-8 「棚卸資産の評価に関する会計基準」で後入れ先出し法が認められなくなった理由。 後入れ先出し法の長所として、期間損益計算から棚卸資産の保有利益を排除することによって適切な期間損益の計算に資するという点が説明されるが、これは後入れ先出し法を採用することによって、()と考えられる。この結果、棚卸資産の期末の数量が期首の数量を下回り、()という問題点がある。さらにこの点については企業が棚卸資産の購入量を調整することによって当該()という指摘がある。以上より、後入れ先出し法が()ため、認められなくなった。
特定の時点で計上されることになる利益を単に繰り延べているに過ぎない、食い込みが生じた場合には、累積した保有利益がまとめて計上される、保有損益を意図的に当期に計上することもできる、適切な期間損益計算に資するとは必ずしもいえない
86
11-9 「棚卸資産の評価に関する会計基準」の公表前は、原価法が棚卸資産の原則的な評価基準とされており、低価法は例外的に認められる評価基準とされていた。 原価法が原則的な評価基準であった理由、低価法を採用することが容認されていた理由。 ①()を行うためには、()であり、当期の損益が期末時価の変動、または将来の販売時点に確定する損益によって歪められてはならないという考えから。 ②低価法は期間損益計算の見地からすると、合理性を持たないが、()に基づく評価基準であり、実務慣行として定着していたから
適正な期間損益計算、棚卸資産の原価を当期の実現収益に対応させることが必要、保守主義
87
11-10 通常の販売目的で保有する棚卸資産の収益性が低下した場合における簿価切り下げの考え方とは。 収益性が低下した場合における簿価切り下げは、()である。
取得原価基準の下で回収可能性を反映させるように、過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理
88
11-11 通常の販売目的で保有する棚卸資産について、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合に、①取得原価をもって貸借対照表価額とする見解②正味売却価額をもって貸借対照表価額とする見解がある。 ①取得原価主義の本質は、()。(従来) ②取得原価主義の本質は、()。(現行)
名目上の取得原価で据え置くこと、回収可能な原価だけを繰り越すこと
89
11-12 通常の販売目的で保有する棚卸資産について、収益性の低下の判断基準が正味売却価額と帳簿価額との比較とされる理由。 固定資産は売却または使用によって、債権のように契約を通じて、投下資金の回収を図ることは想定されておらず、棚卸資産は()。このような()、評価時点における()が、その帳簿価額を下回っているときには、収益性が低下しているとみることができるから。
通常、販売のみによって資金の回収を図る、投資回収形態の特徴をふまえると、資金回収額を示す棚卸資産の正味売却価額
90
11-13 制度会計上、品質低下または陳腐化に起因する簿価切り下げとそれ以外に起因する簿価切り下げは、取扱いに差異を設けていない理由。 ・発生原因は相違するものの、()という点からみれば、会計処理上()と考えらえれるため。 ・実務上、いずれの発生原因に起因するかは必ずしも明確に区分できないから。
正味売却価額が帳簿価額より下落することにより収益性が低下している、それぞれの取扱いに差異を設ける意義は乏しい
91
11-14 制度会計上、通常の販売目的で保有する棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。しかし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とする。「期末における正味売却価額」は将来販売時点と、期末時点のいずれでもよい理由。 通常の販売目的で有する()であることから、収益性の低下による簿価の切り下げの判断に際しても、期末において見込まれる()。しかし、()ことから、合理的に算定された価額として、期末前後での販売実績に基づく価額も用いられる、そのため()の正味売却価額と()の正味売却価額のいずれも含まれるように「期末における」正味売却価額という表現になっている。
棚卸資産の最終的な投資の成果の確定は将来販売時点、将来販売時点の売価に基づく正味売却価額とすることが望ましい、その入手や合理的な算定は困難な場合が多い、将来販売時点、期末時点
92
11-15 制度会計上、前期に計上した簿価切り下げ額の戻し入れに関しては①洗替え法②切離し法の選択適用。それぞれの論拠。 ①固定資産の減損処理においては損失発生の可能性の高さを要件とするのに対し、棚卸資産における収益性の低下は、期末における正味売却価額が帳簿価額を下回っているかどうかによって判断しており、()。そのため簿価切下額の戻し入れを行う洗い替え法の方が、切放し法よりも()である。 ②収益性の低下に基づき、過大な帳簿価額を切下げ、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理において、()。
蓋然性を要件としていない、正味売却価額の回復という事実を反映するため、収益性の低下に着目した簿価切り下げの考え方と整合的、いったん費用処理した金額を正味売却価額が回復したからといって戻入れることは、固定資産の減損処理と同様に適切ではない
93
12-2 制度会計上、資産除去債務の会計処理として引当処理ではなく、資産負債の両建て処理な理由 ()という問題点があるが、資産負債の両建て処理の場合は有形固定資産の取得等に付随して()が負債として財務諸表に適切に反映される。 また資産負債の両建て処理は、()。
引当処理の場合は、資産の除去に必要な金額が貸借対照表に計上されないことから、資産除去債務の負債計上が不十分である、不可避的に生じる除去サービスの債務の全額、有形固定資産に対する除去費用が、減価償却を通じて、当該有形固定資産の使用に応じて各期に費用配分されるため、資産負債の両建て処理は引当金処理を包摂するから
94
12-3 資産除去債務の負債計上に否定的見解とは。 「財務会計の概念フレームワーク」では、財務諸表の構成要素の定義を充足した項目の認識に当たり、()を求めている。この点、()ため、資産除去債務を負債として認識するのは合理性に欠ける。
基礎となる契約の原則として少なくとも一方の履行、有形固定資産の除去などの将来に履行される用役について、その支払いも将来において履行される場合、当該債務は通常、双務未履行である
95
12-4 資産除去債務の測定値として、自己の支出見積もり(主観的な見積もり)を用いる理由とは。 仮に市場が想定する支出額よりも自ら処理する場合の支出見積額が低い場合、自らの効率性による利益は、履行時に反映させるべきという考え方もあるが、()である。
企業の投資上、資産の除去は、通常、単独ではなく有形固定資産の投資プロジェクトの一環として行われるため、当該有形固定資産の耐用年数にわたり、その効果を反映させていく方が妥当
96
12-5 資産除去債務の算定に際し、無リスクの割引率を用いる理由。 ・()においても無リスクの割引率が採用されている。(内的整合性) ・同一の内容の債務について()と考えられる。(負債のパラドクス) ・資産除去債務の性格上、()。(継続企業の前提)
退職給付債務の算定、信用リスクの高い企業の方が高い割引率を用いることにより負債計上額が少なくなるという結果は、財政状態を適切に示さない、自らの不履行の可能性を前提とする会計処理は、適当ではない
97
12-6 資産除去債務に対応する除去費用を資産計上する方法は二つ。取得原価に入れるか、別途資産計上するか。別途資産計上する方法の論拠。 資産除去債務に対応する除去費用の資産計上額が()に相当すること。また将来提供される()を有すること。
有形固定資産の稼働等にとって必要な除去サービスの享受等に関する何らかの権利、除去サービスの前払いとしての性格
98
12-7 制度会計上、資産除去債務に対応する除去費用を別途資産計上する方法は採用されていない。その理由とは。 資産除去債務に対応する除去費用は、()、また()と考えられるため。
法律上の権利ではなく財産的価値もないこと、独立して収益獲得に貢献するものではないことから、別の資産として計上する方法は適切ではない
99
12-8 制度会計上、資産除去債務に対応する除去費用を資産として計上する方法について、関連する有形固定資産の帳簿価額を増加させる方法(つまり取得原価に含めるということ)が採用される理由。 資産除去債務に対応する除去費用は、()であると考えられるため。
有形固定資産の稼働にとって不可欠なものであり、有形固定資産の取得に関する付随費用と同様に処理すべき
100
12-11 時の経過による資産除去債務の調整額(利息のこと)は期首の負債の帳簿価額に当初負債計上時の割引率を乗じて算定する。 利息の算定に当たり、割引率を毎期見直さない理由。 ・割引率を毎期見直すとした場合、毎期末において変更後の負債額を貸借対照表に反映させることになるが、このような負債の計上に割引率の変更を反映させることについては、()。(内的整合性) ・割引率を負債の計上時の割引率に固定する方法は、()。(内的整合性)
他の負債の取り扱いとの整合性に問題がある、時の経過によって一定の利息相当額を配分するものであり、関連する有形固定資産について減価償却という費用配分が行われることとも整合的である