問題一覧
1
犯罪行為が行われ、その結果が国内で発生した場合には、 国内犯として我が国の刑法が適用されるので、 外国で外国人から傷害を受けた日本人が、 日本国に帰国してから死亡した場合には、我が国の刑法で処罰することができる。
○
2
外国の領空を飛行中の日本国籍の航空機内において、 外国人が他の外国人の金品を窃取した場合、 日本国内で行われた場合と同様、我が国の刑法が適用される。
○
3
刑法は、国内で行われた犯罪につき、犯人の国籍を問わず適用されるのが原則であるが、国内にある外国の大使館で行われた犯罪については適用されない。
×
4
外国に居住している日本人が、電子メールにより外国から日本国内にいる日本人に脅迫文を送信した場合には、外国にいる日本人の行為に対して、 我が国の刑法を適用して脅迫罪に問うことができる。
○
5
日本人が、日本の領域外を航行している外国籍の航空機内で、当該航空機の乗務員である外国人に対し、 暴行を加え傷害を負わせた場合には、当該日本人の行為に対して、我が国の刑法を適用することができる。
○
6
日本国外において、 有印私文書偽造罪を犯した日本人については、国民の国外犯として我が国の刑法が適用される。
○
7
日本国外において、 日本国民以外の者が日本国民に対して強制わいせつ罪を犯した場合には、 我が国の刑法が適用される。
○
8
日本人甲が、 海外に出張中の日本国の公務員乙に対し、日本で利便を図ってもらうため、 外国において賄賂を渡した場合、甲の行為に対して我が国の刑法を適用することができる。
○
9
日本人が、外国において、 外国の通貨を偽造した場合には、たとえ当該外国において刑の執行を終えたとしても、我が国の刑法を適用して外国通貨偽造罪で処罰することができる。
×
10
支払用カード電磁的記録に関する罪に当たる行為が日本国外において行われた場合には、当該行為者が日本国民であると外国人であるとを問わず、全ての者が処罰される。
○
11
日本人が、外国において強制性交等罪や殺人罪で確定判決を受けた場合であっても、同一の行為について我が国において捜査をすることができるばかりでなく、更に日本の法律によって処罰することができる。
○
12
継続犯とは、犯罪が既遂に達した後も、法益侵害の状態が継続する間、犯罪の継続が認められるものをいうところ、継続犯については、その行為の継続中に刑罰の変更があった場合には、刑の軽重にかかわらず、 常に新法が適用される。
○
13
不真正身分犯は、一定の身分を有する者が行うことにより犯罪が構成されるもので、業務上横領罪がこれに当たる。
×
14
公正証書原本不実記載等罪は、 身分犯である。
×
15
是非弁別能力がある刑事未成年者を利用して犯罪を実現した場合には、原則として間接正犯とはならないが、当該刑事未成年者に対して、その意思を抑圧するほどの強度の暴行を加えて犯罪を実行させたときは、間接正犯が成立する。
○
16
間接正犯とは、他人を道具として利用して犯罪を実現するものであるが、その成立要件として、利用する側とされる側の間に意思の連絡が必要である。
×
17
間接正犯とは、他人を道具として利用し、 犯罪を実現することをいい、その着手時期は、例えば、 窃盗罪の間接正犯についていえば、被利用者の窃盗が既遂に達した時点である。
×
18
即成犯とは、結果の発生と同時に犯罪が既遂に達し、 法益の侵害も終了する犯罪をいい、 殺人罪、 放火罪がこれに当たる。
○
19
目的犯とは、故意のほかに、 一定の目的の存在を構成要件上必要とする犯罪をいい、 有価証券偽造罪がこれに当たる。
○
20
状態犯とは、結果の発生と同時に犯罪が成立し、 その後も法益の侵害状態が継続する間、 その犯罪が継続するものをいい、監禁罪、 凶器準備集合罪がこれに当たる。
×
21
殺人罪は結果犯であるから、 人の死亡という結果が発生して初めて既遂となる。
○
22
通貨偽造罪は、実質犯である。
○
23
公務執行妨害罪は、 目的犯である。
×
24
正当防衛が成立するためには、不正の侵害がまさに行われようとしていることが必要であり、既に終わってしまった侵害行為に対しては、正当防衛は成立しない。
○
25
正当防衛とは、急迫不正の侵害に対し、 自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為をいうところ、防衛行為は、侵害者に向けられた反撃として行われたものに限られず、第三者に向けられたものでもよい。
×
26
正当防衛が成立するためには、防衛の意思が必要であるところ、防衛行為を行うに際して、憤激又は憎悪等の感情が伴ったときは、防衛の意思があったとは認められず、正当防衛は成立しない。
×
27
正当防衛における防衛行為には、具体的事情の下において、侵害を排除し、又は法益を保護するために、その行為以外にとるべき方法がなかったという、 補充の原則が要求される。
×
28
正当防衛における反撃行為が、 防衛の程度を超えて行われた場合を過剰防衛というところ、この行為については、違法性は阻却されないが、情状によりその刑を減軽又は免除することができる。
○
29
急迫不正の侵害がないのに、 その事実が存在すると誤信して反撃行為に出たときは誤想防衛であり、 正当防衛は成立しないので違法性は阻却されないが、故意が阻却されるので故意犯としての刑事責任を追及することはできない。
○
30
緊急避難が成立するためには、 補充の原則と法益権衡の原則を充足しなければならない。 また、 緊急避難における危難は、その発生原因のいかんを問わないから、人の行為のみならず、動物の行動でも、 自然現象による危難でもよい。
○
31
緊急避難の成立要件にいう「現在の危難」 とは、正当防衛における「急迫」と同様に、 法益の侵害が現に存在するか、又は目前に差し迫っていることをいい、 過去の危難や将来の危難に 対する緊急避難は認められない。
○
32
誤想避難とは、緊急避難にあたる事実が存在しないのに 存在すると誤信して避難行為に出ることをいい、誤想防衛とは、正当防衛の要件に当たる事実がないのに、 その事実が存在すると誤信して行われる反撃行為をいうところ、いずれの場合も、事実の錯誤として故意が阻却される。
○
33
違法性阻却事由のうち、 法令行為とは、法律その他の成文法規に基づく権利・義務として行われる行為をいい、司法警察職員による捜索や被疑者の逮捕は、これに当たる。
○
34
正当業務行為とは 社会生活上 正当なものと認められる業務行為をいうところ ここにいる業務は経済的価値を追求するものであることを要しない。
○
35
正当防衛や緊急避難と区別される自救行為は、権利に対する不法な侵害を要件とするところ、 ここにいう侵害は、過去のものに限られず、権利の侵害がまさに間近に迫っている場合も含まれる。
×
36
個人の法益を侵害する罪については、被害者の承諾があれば違法性は阻却されるので、 例えば、 交通事故を装って保険金をだまし取る目的の下に、被害者の承諾を得て、故意に自己の運転する自動車を衝突させてその者に傷害を負わせた場合でも、当該傷害行為の違法性が阻却される。
×
37
責任能力とは、犯罪行為時に自己の行為の是非を弁別し、かつ、これに従って行動を制御することができる能力をいい、責任能力のない者の行為は、違法であっても有責性を欠き、犯罪を構成しない。
○
38
心神喪失か心神耗弱かの認定は裁判所の法的判断に委ねられているから、鑑定によって統合失調症と認定されても、 裁判所は、 有罪判決を下すことができる。
○
39
心神喪失者の行為は責任能力を欠き不可罰とされているから、飲酒すると病的酩酊に陥り、 心神喪失の状態で犯罪の結果を引き起こす危険のある素質・習癖を有していることを自覚すある者が、そのことを自覚して飲酒酩酊し、 犯罪を実行したとしても、責任を問うことはできない。
×
40
故意を認めるためには、行為者が犯罪の実現を積極的に意欲することまでは必要ないが、犯罪事実の認識だけでは足りず、犯罪が発生してもかまわないと認容することが必要である。
○
41
故意を認めるためには、行為者が犯罪事実を認識・認容していることが必要である。 認識・認容の対象となる犯罪事実は、 実行行為のほか、行為の客体 結果、 因果関係、行為の状況など、 犯罪構成要件に該当する客観的事実である。
○
42
未必の故意とは、 自動車の運転者が、 通行人を殺傷するかもしれないが、殺傷しても仕方がないと考えて雑踏の中を疾走する場合のように、 結果の発生を確実な事実としては認識・認容していないが、不確実な事実として認識認容している場合をいう。
○
43
錯誤には、法律の錯誤と事実の錯誤があり、このうち事実の錯誤には、同一構成要件内における具体的な事実について錯誤があった場合と錯誤が異なる構成要件にまたがる場合とがある。
○
44
甲は、Aを殺害しようとして拳銃を発砲したところ、弾丸がそれてAの横にいたBに命中し、Bが死亡した場合には、Bに対する殺人罪が成立する。
○
45
行為者の認識した事実と発生した事実との不一致が同一構成要件の範囲内で生じた具体的事実の錯誤について、 判例は、 行為者の認識した事実と現実に発生した事実が、 同一構成要件の範囲内で符合していれば、 発生した事実について故意を認めることができるとしている。
○
46
甲は、 A を殺そうとして拳銃を発射したところ、 弾丸がそれてAの横にいたBに命中しBが死亡したが、 甲はBに対しては未必の故意すらなかった。 この場合に、 甲は、 Aに対しては不可罰であるが、Bに対しては過失致死罪の刑責を負う。
×
47
因果関係の錯誤とは、 例えば、 甲がAを殺害するつもりで首を絞めたところ、Aが気絶したのを死亡したと思いこみ、犯行を隠す目的で海に投げ込んだ結果、 Aが溺死したような場合をいい、 このような場合、 甲には、 殺人罪の故意が認められる。
○
48
行為者が認識した事実と現実に発生した事実との不一致が、異なる構成要件にわたる抽象的事実の錯誤の場合には、原則として故意が阻却されるが、 構成要件が重なり合うときには、その重なり合う限度で軽い罪の故意が認められる。
○
49
甲は、 A宅前に停められていたバイクをAの占有に係るバイクと認識して、これを自己のものとして乗り回していたところ、 実際にはBの所有に係る占有離脱物であった。 この場合、甲は、占有離脱物横領罪の刑責を負う。
○
50
甲は、Aが連れている飼い犬を殺そうとして、 拳銃を発射したところ、 弾丸がそれて、 そばにいたAを死亡させた場合、 甲には、殺人罪が成立する。
×
51
甲は、軽犯罪法のはり札等違反の罪で検挙されたが、 電柱に他のポスターも貼られていたので、自己の行為も罪にならないと誤信していたとしても、 はり札等違反の罪が成立する。
○
52
重過失とは、 通常の過失に比較して、 注意義務を怠った程度が著しい場合、 すなわち、 僅かな注意を払うことによって結果の発生を容易に予見しこれを回避できたにもかかわらず、これを怠って、結果を発生させた場合をいうのであり、結果の大小をいうのではない。
○
53
認識ある過失とは、犯罪事実の認識はあるが、 結果発生の認容を欠いている場合をいう。
○
54
自分の技量では人を死傷させることはないだろうと過信して、人通りの多い道路で自動車を運転した結果、 歩行者に接触してこの者を死傷させた場合には、 未必の故意が認められる。
×
55
過失犯が成立するためには、不注意、 すなわち、 注意義務に違反することが必要であるところ、この注意義務は、明文の根拠規定がある場合に限り、 認めることができる。
×
56
結果的加重犯とは、一定の故意に基づく犯罪行為を行った際に、その行為から予期した結果より重い結果が生じた場合、その重い結果について刑罰が加重される場合をいい、 傷害致死罪がこれに当たる。
○
57
期待可能性とは、行為時の状況下で、行為者に対し、 違法行為を避けて適法な行為をすることが期待できることをいい、 通説によれば、 故意又は過失による行為をしても期待可能性がない場合には、責任が阻却される。
○
58
住居侵入罪には、未遂の処罰規定がない。
×
59
強制わいせつ罪には、 未遂の処罰規定がない。
×
60
背任罪には、未遂の処罰規定がある。
○
61
未遂は、犯罪を遂げなかった態様によって着手未遂と実行未遂に分けられるところ、 例えば、 拳銃の引き金を引いたが狙いが外れて弾丸が命中しなかった場合には、実行未遂である。
○
62
殺人予備罪において必要とされる目的は相手の態度いかんによっては 殺害行為に出るというような条件付きのもので足りるが相手が死亡しても構わないという未必的なものでは足りない。
×
63
予備罪における中止未遂の成否について、 判例は、実行行為に着手する以前の予備の段階で任意に準備行為をやめた場合には、予備罪の中止未遂が成立するとしている。
×
64
中止未遂とは、犯罪の実行に着手したが、 自己の意思により犯罪を中止した場合をいい、 例えば、犯行を途中で止めて未遂に終わったとしても、その中止に任意性が認められないときは、中止未遂ではなく障害未遂となる。
○
65
中止未遂となるためには、 実行の着手後、 自己の意思により犯罪を中止しなければならないので、恐怖・驚がくしたためにその場から逃げ出したり、哀願されて憐憫の情から中止したような場合には、中止未遂とはならずに障害未遂となる。
×
66
中止未遂が成立するためには、行為者が自己の意思により中止したことが必要である。 中止には、 着手未遂と実行未遂の区別に対応して、 着手中止と実行中止とがあり、 着手中止とは、 実行に着手した後、 その終了前に実行行為を放棄することをい実行中止とは、既に実行行為を終了した後に結果の発生を防止することをいう。
○
67
既に実行行為を終えた者について中止犯が成立するためには、行為者が、結果の発生を防止するための作為をすることが必要である。
○
68
中止未遂が成立するためには、犯罪の完成を妨げる行為によって結果の発生を阻止したことを必要とするので、実行の着手後は、その終了前であっても、 実行行為の継続を放棄しただけでは足りず、積極的に結果の発生を阻止するための作為が必要である。
×
69
他人の家屋に放火した後、 自責の念から消火しようとしたが、完全に鎮火していなかったため、第三者がこれを発見し消しめた場合には、中止未遂が成立する。
×
70
殺意をもって寝室の布団に横たわっている被害者の心臓部を刃物で数回にわたって突き刺したところ、 実際には被害者がその直前に心臓発作で死亡していた場合には、 殺人未遂罪が成立する。
○
71
必要的共犯とは、 構成要件の性質上、 初めから2人以上の行為者による実現を予定して規定されている犯罪をいうところ、これは本来の意味での共犯ではないから、 共同正犯等の刑法総則の共犯規定は、原則として適用されない。
○
72
共同正犯が成立するためには、共同実行する意思の連絡を必要とするが、意思の連絡方法は、明示的でも黙示的でもよい。
○
73
共同正犯における共犯者間の意思の連絡は、 共同者間においして直接に連絡し合うことを要せず、 まず甲と乙が共謀し、 次いで乙と丙が共謀したとしても、甲と丙の間に共謀を認めること ができる。
○
74
共謀共同正犯が成立するためには、 2人以上の者が、 特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、 各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をし、この謀議に基づき犯罪を実行した事実が認められなくてはならない。
○
75
共謀共同正犯における共謀の方法は、事前に明示的方法で行われなければならず、 現場共謀や黙示的共謀は共謀と認められない。
×
76
特定の犯罪を共謀した際、 その実行行為を分担することになった者が、独断で第三者と共謀し、当初の目的である犯罪をその第三者に実行させた場合には、当該第三者の存在を知らなかった当初の共謀者も共同正犯として責任を負う。
○
77
特定の犯罪について、 ある者(先行者) が実行行為に着手し、まだその行為の全部を終了しない段階で、他の者 (後行者)が、その事情を知りながらこれに関与し、 先行者と共謀のうえ、 残りの実行行為を自ら、又は先行者と共に行った場合、 後行者が先行者の犯行を承継したと評価して、 後行者に対して当該犯罪全体について共同正犯の刑責を問うことができる。
○
78
共同して暴行し、被害者に傷害を負わせた場合には、どちらの暴行が原因で負傷したかにかかわらず、傷害罪の共同正犯が成立する。 また、 被害者に傷害を負わせた結果、この者を死亡させた場合には、 傷害致死罪の共同正犯が成立する。
○
79
共同正犯における共同実行の意思は、共同者各人の間に存在することは必要ではなく、一方にのみ共同実行の意思がある場合にも、共同正犯が成立する。
×
80
教唆犯における教唆は、 まだ犯罪実行の意思を有していない者に対して、特定の犯罪の実行を決意させる行為を行えば足り、必ずしも実行すべき犯罪の日時、場所、方法等を具体的に指示する必要はない。
○
81
教唆犯が成立するためには、被教唆者が教唆行為に基づき特定の犯罪の実行行為をする必要があるが、 正犯者である被考唆者の実行行為は、 構成要件に該当し、かつ、違法なものであれば足りる。
○
82
甲は乙に対して、 A を殺すように教唆したところ、既に乙はAに対する殺意を持っており、 甲の教唆によってAを殺害する意思を固くして乙がAを殺害した場合には、 甲は殺人罪の教唆犯ではなく幇助犯となる。
○
83
教唆犯が成立するためには、教唆行為に基づいて、被教唆者が犯罪の実行の決意をしたことを要するが、犯罪を実行したことは必要でない。
×
84
教唆犯の故意は、 教唆行為の結果、 被教唆者が基本的構成要件を実現することの認識であるから、 教唆する者が初めから未遂に終わらせる意思で教唆行為を行った場合である、いわゆる未遂の教唆は、 可罰性を有しない。
×
85
2人以上の者が、他人に犯罪の実行を教唆することを共謀し、共謀者中の1人が教唆行為を行った場合において、被教唆者が犯罪を実行した場合には、共謀者のうち直接教唆しなかった者も教唆犯として処罰される。
○
86
正犯を教唆した者は、 正犯に準じて処罰される。 これは、正犯の法定刑の範囲内で処罰するという意味であるから、 正犯が現実に処罰されない場合でも、 教唆者を処罰することができる。
○
87
幇助は、正犯者の実行行為に先立って行われるか、実行行為と同時に行われるものでなければならず、犯罪行為が終了した後において、幇助犯は成立しない。
○
88
幇助犯における幇助とは、 実行行為以外の方法により、 正犯の実行行為を容易にすることをいい、 物理的な方法によるもののみならず精神的な方法によるものでもよいが、不作為によるものは認められない。
×
89
刑法は、幇助犯を教唆した者は調査したものは従犯(幇助犯)として処罰をする旨規定している。 幇助犯を幇助した者、教唆犯を幇助した者については明文の規定はないが、判例は、幇助犯として処罰できるとしている。
○
90
幇助犯が成立するためには、必ずしも、被幇助者が幇助されていることを認識している必要はない。
○
91
共同行為者の一方に共同実行の意思のない片面的共同正犯は、共同正犯として認めることはできないが、それと同様に、幇助者と被幇助者との間に意思の連絡のない片面的幇助犯も、幇助犯として認めることができない。
×
92
警備員甲は、 デパートで巡回中、 CD を万引きした現場を目撃したが、その万引きをした者は友人の娘であったので、甲はそのまま黙認したところ、 その者はデパートから出て行った。この場合、 甲は、窃盗罪の幇助犯の刑責を負う。
○
93
常習賭博罪と単純賭博罪のように身分により特に刑の軽重がある犯罪に、 非身分者が共同正犯、 教唆犯、幇助犯のいずれの形態で加功した場合であっても、当該非身分者には単独犯と同様、 非身分犯である単純賭博罪の刑が科せられる。
○
94
全く身分を有しない非占有者が、 業務上の占有者と共同して、その者が占有している物を横領した場合には、占有者には業務上横領罪が成立し、 占有者としての身分がない者も、 業務上横領罪の刑が科される。
×
95
保護責任者遺棄罪のうち不保護罪は、保護責任者の不保護行為によって成立する犯罪であるところ、第三者甲の教唆又は幇助により、母親が実子に対して必要な保護をしなかった場合には、母親は保護責任者遺棄(不保護) 罪の刑責を負い、 甲は、65条2項の規定により、 単純遺棄罪の教唆又は幇助の刑責を負う。
×
96
甲が、 A方に侵入して財物を盗んでくるように乙を教唆したところ、 乙がB方に侵入して強盗を犯した場合には、 甲は、 住居侵入窃盗の範囲で教唆犯としての刑責を負う。
○
97
暴力団幹部甲は、乙が強盗を行い その品物を 甲が 売却することを共謀したが、犯行当日乙は腹痛を起こしたため、 甲に無断で丙を教唆して強盗を実行させた場合には、甲は強盗罪の共同正犯となる。
×
98
暴力団X組の甲と乙は、 対立する暴力団 Y組のAに対する暴行を共謀のうえ、 乙が実行行為を行ったが、予想に反してAの反撃にあったことから、乙はAを殺害しようと考え、Aを殺害した。 この場合、甲は、暴行罪の共同正犯の刑責を負う。
×
99
共同正犯において、犯罪の実行行為を任意に中断した者は、他の共犯者の実行を阻止するか、 結果の発生を阻止しない限り、中止未遂は認められない。
○
100
共同正犯において、共謀関係からの離脱が認められるためには、他の共謀者の実行の着手前に犯意を放棄し、他の共謀者に対して離脱の意思を表明し、かつ、他の共謀者全員がこれを承しなければならない。
○