問題一覧
1
ゾーニング計画について
学生支援センター及び購買部は、他の理学部棟からもアクセスしやすいように、1階に計画した。各講義室は2階にまとめて計画し、3階においては、個々の研究に利用する実験室及び研究室をまとめて計画することで、明快な階別ゾーニングとした。 3階の平面構成については、3階ホールを中心として、西側に実験室、東側に研究室をそれぞれまとめることで、利用しやすいゾーニングとした。
2
室の配置、動線計画について
1階においては、エントランスホールの南側に出入口を設け、南側広場に避難した住民に対する支援のための動線を確保した。 ラウンジ及びカフェは広場に面して配置することで、避難住民の災害時の人溜まりスペースとしても使用できる計画とした。 多目的ホールは2階に計画し、災害時に宿泊ができるスペースとした。 備蓄倉庫は管理ゾーンの直下に設け、管理者の動線を確保することで、災害時に対応しやすい計画とした。
3
建築物の各階の構成について考慮したこと
〇〇等の共用部門は1階に計画し、学生が気軽に利用できるようにした。 ××等の教育施設部門は2階及び3階にまとめて計画し、落ち着いた空間の中で学習できるようにした。 一度に多くの学生が利用する教室Aや資料室は2階に計画し、個別の講義を行う教室B、C、Dは3階に計画することで、利用状況に応じた対応ができる階構成とした。
4
周辺環境をふまえて、主要な各室の配置について考慮したこと
1階において、学生が集うコミュニティスペースは、公園の眺望を取り入れた快適な空間となるように、南側に面して計画した。 カフェは北側の道路に面して配置し、学生が外部からも利用しやすいように配慮した。 資料室は2階の階段・エレベーターに近接して配置し、利用しやすい計画とした。 各教室は南側及び北側に向けて計画し、室内への採光が十分に確保できるように配慮した。
5
基準階の計画について
廊下は直線状に計画することで、利用しやすい計画とするとともに、安全な避難経路が確保できるように配慮した。 階段は東西に分散することで、適切な2方向避難ができるように配慮した。 基準階は中廊下型とし、主要室は開放性の高い広場に面して配置することで、利用者の快適性に配慮した。 基準階は、階段及びEVを平面形の中央部に計画しコンパクトな動線とした。 〇〇は北側に計画し、〇〇は南側に計画することで、利用形態に合わせた室のまとまりとなるように配置した。 すべての講義室は南側に面して配置することで、自然採光を積極的に確保するとともに、緑豊かな公園の眺望を取り込む計画とした。 研究室は北側にまとめて配置することで、利用時間の異なる講義室と明確に分離するゾーニングとなるように配慮した。 多目的ホール上部に面する3階部分は開口部を設けられないため、居室を配置しない計画とした。
6
吹抜けの計画について
吹抜けは、南側に面して配置するとともに、3層分の開口部を全面ガラス張りとすることで、交流の場であるエントランスホールのラウンジのほか、2階ホール及び3階ホールからも公園の景観が楽しめる計画とした。 建物中央付近の吹抜けの上部に開閉式のトップライトを計画することで、暗くなりがちな各階のホールに自然採光及び自然通風が確保できる計画とした。
7
講堂の計画について
建築計画 講堂は、講演等の前後における多人数の移動に対応するため、人溜まりスペースとなるホワイエを計画するとともに、ホワイエからの出入口を4カ所計画した。 ホワイエは1階と同じ床レベルとすることで、講堂の利用者がアクセスしやすい計画とした。 構造計画 16mスパンの大梁は過度なたわみを抑制できるように、プレストレストコンクリート造とした。 床は鉄骨造で構成するとともに、多人数の利用用途を考慮し高さ500㎜以上の鋼製束には振れ止めを設置した。 天井は鋼製下地とし、吊り材と斜め部材を密に設置することで、落下防止を図る計画とした。
8
小ホールの計画について
小ホールの主要な出入口は、2FL±0mと2FL+1.5mの床レベルにそれぞれ1か所ずつ設けるとともに、それぞれの出入口部分には人溜まりのスペース及び休憩の場となるホワイエを計画し、多人数の利用に配慮した。 チケット売場は、2階ホールからアプローチする動線上に配置するとともに、専用のトイレを計画することで、有料での公演における入退室の管理がしやすくなるように考慮した。
9
資料室の室内計画について考慮したこと
閲覧席は、開放性の高い北側の道路に向けて配置することで、安定した自然光の中で落ち着いて資料の閲覧ができるようにした。 書架は、南北方向に配置することで、利用者の動線に配慮するとともに、室内利用時に目線の妨げとならないように計画した。 サービスカウンターは、室の出入口に近接して配置し、学生が気軽に利用しやすい計画とした。
10
屋上庭園の計画について
屋上庭園は、南側に広く面して計画することで、日照及び公園の眺望を取り込む計画とした。 屋上庭園は、利用者の休憩スペースでもあることから、3階ホール及び休憩コーナーから直接アクセスできる計画とし、施設利用者の利便性に配慮するとともに、床レベルを3階ホールと揃えて段差のない計画とすることで、バリアフリーに配慮した。
11
構造について
構造種別は、耐火性・気密性・遮音性・施工性に優れ、剛性が高い鉄筋コンクリート造とした。 架構形式は、平面計画の自由度・更新性が高いラーメン架構とした。 スパン割りは、7m×7mの規則性のあるスパンで計画し、架構の安定性及び経済性に配慮した。 主要な部材の断面寸法(mm) 大 梁: 500×800 柱: 700×700 小 梁: 300×600 スラブ: 200
12
基礎構造の計画について
地盤面から1.5m以深のN値30以上の砂礫層を支持層と考え、基礎形式は根入れ深さ2mのべた基礎を採用し、安全性及び経済性に配慮した。 既存建築物撤去範囲の埋め戻し部分については、N値30以上の砂礫層と同等の地盤支持力を持つ地盤となるように、深基礎とはせず地盤改良を行うことで、経済性に配慮した。
13
無柱空間とするために考慮したこと
14mスパンとなる3階床及び屋根の大梁(G2)は、たわみやひび割れを抑制できるように、プレストレストコンクリート造で計画した。 プレストレストコンクリートの大梁を支持する柱(C2)は、長スパンの応力を安全に支持できるように、一般の柱(C1)よりもサイズアップし、800㎜×800 ㎜ の 断 面 寸 法 で 計 画 し た。 小 梁(B1)は、スラブのたわみが過大とならないように、14mスパンを4等分した位置に計画した。
14
耐力壁について
スパン割りはX方向8m、Y方向6mのそれぞれ均等スパンとし、地震時のラーメン架構の応力分布の安定性に配慮した(図中①)。 耐力壁はY方向にバランスよく2箇所配置するとともに、X方向の建物中央付近に1箇所配置し、偏心を抑制する計画(図中②)とした。 耐力壁は1~5階の同位置に配置し、地震力を最下階まで安全に伝達できるようにした(図中③)。 耐力壁の厚さは、一般の壁よりサイズアップした250㎜とすることで、十分な耐震性能を確保できるように計画した。
15
目標耐震性能について
一般用途の建築物よりも高い耐震性能が求められる施設であるため、構造計算に用いる地震力算定時の割り増し係数を1.25倍の設定とした。 地震力を割り増すことで、大地震動に対して耐震要素となるラーメン架構の柱、大梁の変形や損傷を抑制し、地震後も大きな補修をすることなく、建築物を継続使用できる状態となるようにした。 柱、大梁は、割り増した地震力に対して十分安全な部材断面となるように計画した。
16
大地震による建築物の被害を最小限におさえるための構造
耐震構造 鉄骨造よりも剛性が高く、地震時の水平変位を小さく抑えることができる鉄筋コンクリート造を採用し、教室等の広い平面空間に対応しやすいラーメン架構とすることで、耐震性の高い構造体となるように配慮した。 構造計算に用いる地震力の設定を25%割増しし、耐震要素となるラーメン架構の柱、大梁の部材断面の地震時の安全性を高める計画とした。
17
設備計画における地震などへの対応について
屋上には蓄電池設備を併設した太陽光発電パネルを設置することで、停電時においても電気の供給ができるように配慮した。 振動する設備機器には耐震ストッパーを設置し、振動しない設備機器は躯体に堅固に緊結することで、地震時の転倒及び落下を防止する計画とした。 配管の継手にはフレキシブルジョイントを採⽤することで、地震時に配管が破損することを防止した。
18
設備シャフトの計画について
PS PSは、水回りに近接して配置し、排水の横引き配管を極力短くするとともに、十分な水勾配を確保することで、漏水防止を図った。 空調用PSは2階と基準階の同位置に計画し、基準階は直上に室外機を設置することで、合理的な配管経路となるように配慮した。 DS 多目的ホール及びラウンジのSADSは空調機械室の直上に立ち上げるとともに、外気処理空調機用のDSは屋上に設置した機器の直下に配管し、屈曲部の少ないダクトルートとすることで、圧力損失の低減を図り、効率の良い空調計画とした。 EPS EPSは、各階同位置に配置し、屈曲部の少ない幹線ルートとするとともに、廊下に面して計画し、管理者が維持管理や点検がしやすい計画とした。
19
設備機器の維持管理及び機器の更新について
各設備機械室は、管理ゾーン内に配置することで、管理者がメンテナンスしやすい計画とした。 屋上に設置した設備機器の周囲にゆとりのあるスペースを確保することで、日常の維持管理がしやすいように配慮した。 電気室、空調機械室及びポンプ室は、西道路側からの設備機器の搬出入や更新のしやすさに配慮し、外壁側に扉を設けた。
20
良好な室内環境とするための吹出し口、吸込み口の計画
教室Aは、天井が高く気積が大きい空間であるこ とから、吹出し口を天井面にバランスよく配置す るとともに、吸込み口をインテリアゾーンの床面 近くに設置し、空調空気が室の下方まで十分に到 達する計画とすることで、居住域が快適な室内環 境となるように配慮した。 ペリメーターゾーン においては、冬期にはコールドドラフト、夏期に は日射熱により温熱環境に影響を受けるため、ス ロット型の吹出し口を開口部上部に多く配置し、外 皮負荷を抑制する計画とした。 インテリアゾー ンにおいては、アネモ型の吹出し口をバランスよ く配置し、空調空気が均一に行き渡る計画とした。
21
空冷ヒートポンプパッケージユニットについて
教室Aは天井が高い空間であることから、吹出し能力が高いダクト接続型(床置き型)を採用し、空調空気を天井面から吹出し床面付近から吸い込む計画とすることで、居住域が快適な室内環境となるように配慮した。 吹抜け部分には天井隠蔽型を採用し、2階梁下から吹出す計画とすることで、エントランスホールの居住域に空調空気が到達する計画とした。 その他の室は天井カセット型を採用し、個別制御及びメンテナンスがしやすい計画とした。
22
換気計画について
空調方式が空冷ヒートポンプパッケージ方式であることから、換気設備として全熱交換器を併設することで、外気負荷を低減し省エネルギーを図る計画とした。 トイレ等においては、第3種換気設備による換気扇を計画するとともに、廊下等に外気からの給気口を計画することで、十分な換気が行える計画とした。
23
小ホールの空調計画について
空調方式は空冷ヒートポンプパッケージ方式を採用することから、小ホールは吹出し能力が高く大空間に対応できるダクト接続型(床置き型)を選択した。 小ホールは段床形式であることから、空調機械室をホワイエ直下の1階に計画するとともに、段床床下を給気チャンバーとして床面から吹出す計画とすることで、居住域が効率よく空調できる計画とした。 還気口は天井に計画し、換気効率を上げるとともに、省エネ効果も上げられるように考慮した。
24
照明計画について
各座席においては、文字の読み書きに支障がなくステージ上の講演者が見やすい十分な照度を確保するため、高天井対応型LEDダウンライトを設置した。ダウンライトは、様々な講演内容の違いに対応できるように、ゾーン毎に調光できる計画とした。 ステージに向けてライティングダクトレールとスポットライトを設置し、スクリーン画像の視聴にもフレキシブルに対応できる計画とした。
25
防火区画について
面積区画は各階を1,500㎡以内で区画形成する必要があるため、階ごとに水平区画する計画とした。竪穴区画となる階段やエレベーターの出入口には特定防火設備を設置し、面積区画と兼用する計画とした。 エントランスホールの3層の吹抜けについても竪穴区画となるため、1階から3階の共用部分に特定防火設備の防火シャッターを設置することで、面積区画を兼用する計画とした。
26
避難計画について
1階においては、敷地内に道路までの避難経路として、主出入口及び通用口から敷地内通路を確保し、安全に避難できる計画とした。 2つの階段を平面的にバランスよく配置することで、2階及び3階の重複距離が極力短くなるように計画した。 講堂については最も低いレベルでGL-1200となるため、地上のレベルに通ずる階段を設けることで、安全に避難できるように配慮した。
27
隣地高さ制限について
西側及び東側の隣地境界線からの最小後退距離は同じであるため、西側の隣地高さ制限について計算する。 建築物の高さは22.4mとなり、西側の隣地境界線からの20m超える部分の最小後退距離は1.6mとした。 (1.6+1.6)x1.25+20=24m >22.4m で あ るため適合している。塔屋部分及び屋上設備スペースの水平投影面積は建築面積の1/8以下であるため、建築物の高さには含めない。
28
バリアフリーについて考慮したこと
バリアフリートイレについては、各階に計画することで、障害のある学生も安心かつ安全にキャンパスライフが過ごせるように配慮した。 主に学生が利用する廊下の幅は、有効で2.5m以上を確保するとともに、各階とも床に段差がなく滑りにくい材料を選定することでバリアフリーに配慮した。 階段については、段の鼻先をその他の部分と色調を変え、目立ちやすいように計画した。
29
省エネ及び二酸化炭素排出量削減について
① パッシブ技術: 建築物の西面については壁とし、東面については垂直ルーバー、南面については庇を設けることで、日射負荷低減を図った。 開口部には高気密・高断熱サッシを採用するとともに、ガラスはLow-E複層ガラスとし外皮性能を高めることで、外気熱による負荷の低減を図った。 ② アクティブ技術: 空調の熱源機は、空気を熱源としCO2排出量を削減する効果がある空冷ヒートポンプを採用した。照明器具には人感センサーを採用するとともに、居室には自然光の光量を検知し室内の照明を調整する昼光利用制御を採用することで、省エネルギーに配慮した。 ③ その他(創エネルギー技術、材料の選定): 屋上に太陽光発電パネルを設置し、省エネルギーに配慮した。 太陽光発電パネルは傾斜角度を30°とし、エネルギー変換効率を高める計画とした。 材料については、安定した発電効率と高出力が期待できる単結晶シリコン系の太陽光発電パネルを採用した。
30
自然採光、自然通風のために工夫したこと
北面及び南面に計画した建築物の出入口は、南北に直線状に配置することで、効率よく自然通風が確保できる計画とした。 吹抜けは上部に開閉式トップライトを設けるとともに、3階以上を光庭とすることで、暗くなりがちで空気が滞留しやすい建物中央部の各階ホールに自然採光と自然通風を取り込む計画とした。 主要な室は極力、開放性の高い噴水広場またはけやき並木道に開口部を向けて計画することで、自然採光を積極的に確保するように配慮した。
31
図書室の計画について
2層となる図書室内に吹抜けを設け、2階への専用階段を吹抜け内に計画することで、図書室利用者が1、2階の構成を把握しやすくするとともに、1、2階を気軽に行き来しやすく開放的な空間となるように配慮した。 1階及び2階の出入口にはBDSを設置することで、学生が気軽に利用できるようにするとともに、書籍のセキュリティにも配慮した。
32
図書室の空調計画、照明計画について
空調方式は省エネルギーに優れた空冷ヒートポンプパッケージ方式のダクト接続型(床置き型)を採用した。 図書室は吹抜けがあり、1階においては2面、2階においては3面が外壁に面する空間であることから、ペリメーターゾーンにはスロット型の吹出口を設置し、コールドドラフトを抑制するとともに、インテリアゾーンには拡散性の高いアネモ型の吹出口を設置し、室内全体に空調空気が行き渡る計画とした。 図書室は、室内全体をアンビエント照明(全般照明)とし、書架及び閲覧席をタスク照明(局部照明)とするタスクアンビエント照明を採用することで、省エネルギーに配慮した。 閲覧席は、机上で750ルクス程度の照度とすることで、快適な読書環境に配慮した。 全般照明は、天井面に局部照明の1/10以上の照度のダウンライトを均等に配置し、室全体が均一な照度となるように計画した。 昼光照明制御装置を採用することで、省エネルギーにも配慮する計画とした。
33
地域の特産物の紹介・販売のために工夫したこと
公開ゼミ室は、敷地北東角の交差点側に配置し、外部からも認識しやすい計画とすることで、研究内容の発表等の情報発信が促進されるように配慮した。 地域交流スペースは敷地南東角に配置し、東側の道路に面して出入口を設けることで、地域住民が気軽にアプローチできるように配慮した。 地域特産物コーナー、交流コーナーは南側の公園に向けて計画することで、日照を確保した明るい空間となるように配慮した。
34
免震構造を踏まえた計画について
屋外施設であるカフェテラス、駐車場、駐輪場や植栽等については、基礎免震構造における地震時の建築物の水平移動を考慮し、建築物から2.5m以上離して計画するとともに、犬走りの上部には什器等についても設置しない計画とすることで、地震時の水平変位を阻害しないように配慮した。
35
屋上庭園の構造計画について
スラブ位置・厚さ:客土の深さと客土下部の防水 層の厚さを考慮し、スラブ天端は3FL-600㎜ とした。 客土の重量を考慮し、スラブ厚さは 200㎜とした。 梁配置・梁レベル:屋上庭園はスパンに合わせて 計画し、客土の重量を考慮して2本の小梁を配置 した。 客土範囲の梁天端はスラブ天端に合わせ て3FL-600㎜とした。 バリアフリー:利用者が歩行する客土以外の部分 は、床レベルを屋内側と段差のない計画とするた め、鋼製束によるウッドデッキで仕上げる計画と した。 防水:信頼性の高いアスファルト防水を採用し、 押さえコンクリートを含めて200㎜の防水層とし た。 樹木による損傷を防止するため、客土下部 に耐根層を設置した。
36
免震層について
免震装置は、ダンパー機能を併せ持つ鉛プラグ入り積層ゴムアイソレータを、免震層に偏心が生じないように配置した。 免震層の水平変位量を500㎜とし、擁壁との間に500㎜のクリアランスを確保した。 建築物の外周部には犬走りを設置するとともに、外壁から2m外側の外周部には、500㎜の水平移動に対応できるエキスパンションジョイントを設けた。