問題一覧
1
担税力とは、各人の(①)のことであるが、担税力の基準としては、(②)・(③)および(④)の3つをあげることができる。
経済的負担能力, 所得, 財産, 消費
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担税力とは、各人の経済的負担能力のことであるが、担税力の基準としては、所得・財産および消費の3つをあげることができる。 このうち、消費は、担税力の尺度としては最も劣っており、(①)は、課税対象の選定の仕方によっては、(②)となりやすい。 これに対し、(③)は、担税力の尺度としてよりすぐれており、しかもそれらを対象とする租税においては、消費税の場合と異なり、(④)が可能であるから、これらの租税は、(⑤)ならびに(⑥)の要請によりよく適合している。
消費税, 逆進的, 所得および財産, 累進税率の適用, 最低生活水準の保障, 富の再分配
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担税力とは、各人の経済的負担能力のことであるが、担税力の基準としては、所得・財産および消費の3つをあげることができる。 そのうちでも、(①)は、担税力の尺度として最もすぐれており、しかも所得税においては、(②)が可能であるのみでなく、基礎控除その他の人的諸控除や「負の所得税」の制度を通じて(③)を図ることが可能であるから、所得税は、(④)や(⑤)の要請に(⑥)するといえる。
特に所得, 累進税率の適用, 最低生活水準の保障, 富の再分配, 社会保障の充実, 最もよく合致
4
〇制限的所得概念と包括的所得概念との違い (1)制限的所得概念 (①)のうち、利子・配当・地代・利潤・給与等、(②)のみを所得と観念。 キャピタル・ゲインのような(③)を除外。 (2)包括的所得概念 人の(④)を増加させる経済的利得は、(⑤)を構成。 反覆的・継続的利得のみでなく、(③)も所得に含まれる。
経済的所得, 反覆的・継続的に生ずる利得, 一時的・偶発的・恩恵的利得, 担税力, すべて所得
5
〇包括的概念が支持される理由 制限的所得概念と包括的所得概念の2つの考え方のうち、今日では、次の3つの理由から包括的所得概念が一般的な支持を受けている。 (1)(①)・(②)・(③)であっても、利得者の(④)させるものである限り、課税の対象とすることが(⑤)に合致する。 (2)(⑥)とし、(⑦)のもとにおくことが、所得税の(⑧)ゆえんである。 (3)(⑨)することによって、所得税制度のもつ(⑩)する。
一時的, 偶発的, 恩恵的利得, 担税力を増加, 公平負担の要請, 全ての利得を課税の対象, 累進税率の適用, 再分配機能を高める, 所得の範囲を広く構成, 景気調整機能が増大
6
アメリカでは、今日、人の(①)を増加させる利得はすべて所得を構成すると解されているが、わが国の所得税法の解釈としても、同じ考え方が妥当する。 すなわち、第1に、所得はいかなる(②)から生じたものであるかを問わず課税の対象となると解すべきであり、第2に、(③)の形をとった利得のみでなく、現物給付・債務免除益・為替差益等の(④)も課税の対象となると解すべきであり、第3に、(⑤)のみでなく、(⑥)も課税の対象となると解すべきである。 なお、(⑥)は、利得者がそれを(⑦)有効に保有しうる場合のみでなく、(⑦)無効であっても、それが現実に利得者の(⑧)のもとに入っている場合には、課税の対象となると解すべきである。
担税力, 源泉, 現金, 経済的利益, 合理的な利得, 不法な利得, 私法上, 管理支配
7
所得税法は、所得をその(①)ないし(②)によって(③)に分類している。 これは、所得はその性質や(④)によって(⑤)が異なるという前提に立って、(⑥)の観点から、各種の所得について、それぞれの担税力の相違に応じた(⑦)を定め、また、それぞれの態様に応じ(⑧)を定めるためである。
源泉, 性質, 10種類, 発生の様態, 担税力, 公平負担, 計算方法, 課税方法
8
所得は、その種類によって、(①)および(②)が異なり、あるいは(③)が異なるから、ある所得がどの種類の所得に該当するか、すなわち所得分類の問題は、納税者の利害に密接な関係をもつ。
計算方法, 税負担, 課税方法
9
所得税法36①は、「各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額または総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする。」と定めている。ここに、「収入すべき金額」とは、(①)、すなわち、まだ収入がなくても「収入すべき権利の確定した金額」のことであり、したがって、この規定は、広義の発生主義のうち、いわゆる(②)を採用したものであると、一般に解されている。
実現した収益, 権利確定主義
10
所得の帰属の年度については、権利の確定という「法的基準」で、全ての場合を律するのは妥当ではなく、場合によっては、利得が納税者のコントロールのもとに入ったという意味での「(①)」を適用するのが妥当な場合もある。
管理支配基準
11
〇船舶が不動産に含まれている理由 船舶は、(①)となり所有権の移転についてはその(②)とされることや、(③)とされること、強制執行等については(④)されることなどの点で、その性格が不動産に類似していることから、所得税法上、不動産所得の起因となる資産とされているものと思われる。
登記の対象, 登記が対抗要件, 抵当権の目的, 不動産の手続が適用
12
〇船舶が不動産に含まれている理由 所得税法(①)では単に「船舶」と規定しているが、(②)については、登録の適用はあるものの、(③)はなく、(④)ことになっているので、規定の趣旨から見て、このような小型船舶や船については、不動産所得に該当しないものと考えるのが妥当であるという考え方から、そのような所得については、(⑤)に該当すると規定している。
26①, 総トン数20トン未満の小型の船舶, 登記などの適用, 不動産と同様な扱いを受けない, 事業所得または雑所得
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不動産所得の計算について、建物の貸付が事業として行われているかの判定基準
営利性・有償性の有無, 継続性・反復性の有無, 自己の危険と計算における企業遂行性の有無, その取引に費やした精神的肉体的労力の程度, 人的・物的設備の有無, その取引の目的, その者の職歴、社会的地位・生活状況
14
〇所得税法上の「事業」に該当する場合の考え方 その経済活動が、 ① ② ③ ④ であって、 ⑤ により判断すべきものと解される。
自己の危険と計算において, 独立して営まれ、, 営利性、有償性を有し、かつ、, 反復継続して営まれる業務, 社会通念上事業と認められるかどうか
15
名古屋地裁昭和60年4 月26 日判決「会社取締役商品先物取引」において、事業所得と雑所得の区分に関し、社会通念上「事業」というに値する規模・態様でなされた経済活動かどうかの判断基準が示されている。その判断基準を解答しなさい。
経済的行為の営利性、有償性の有無, 反覆性、継続性の有無, 自己の危険と計算による企画遂行性の有無, 経済的行為に費やした精神的肉体的労力の程度, 人的物的設備の有無, 経済的行為をなす資金の調達, その者の職業、経歴及び社会的地位, 生活状況及び経済的行為をなすことにより相当程度の期間、継続して安定した収入を得られる可能性, 諸要素を総合的に検討し社会通念に照らして判断
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消費税法における国内取引の課税要件
国内において行うものであること, 事業者が事業として行うものであること, 対価を得て行うものであること, 資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であること(特定資産の譲渡等に該当するものを除く)
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収益の帰属について、根拠条文・2つの見解・通説・理由
所法12条は、所得の帰属者について「名義人」と「収益を享受する者」とが食い違う場合に、その所得は後者の所得とすることを明らかにした規定で、租税法の特徴的な考え方の1つでもある「実質主義」(実質課税の原則)の思想が所得の帰属の問題について顕現したもの、すなわち「所得の帰属に関する実質主義」を宣明したものである。 所法12条に規定する実質所得者課税の原則には法律的帰属説と経済的帰属説の2つの見解が存在する。 法律的帰属説とは、課税物件の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質とが相違している場合には、実質に即して帰属を判断すべきであるとする考え方である。 他方、経済的帰属説は、課税物件の法律上(私法上)の帰属と経済上の帰属とが相違している場合には、経済上の帰属に即して帰属を判断すべきであるとする考え方である。 「収益の享受」という経済的な表現を用いている点からすると経済的帰属説が正しいように考えられるが、「名義人」という表現を用いている点からすると法律的帰属説が正しいようにも考えられる。このため、文理的にはどちらの解釈も可能であるといえる。 しかし、経済的帰属説をとると、所得の分割ないし移転を認めることになりやすいのみでなく、納税者の立場からは、法的安定性が害されるという批判がありうるし、税務行政の見地からは経済的に帰属を決定することは、実際上多くの困難を伴うという批判がありうる。その意味で法律的帰属説が妥当である。
18
事業から生ずる収益を享受する場合の所得の帰属に関する具体的な判定基準を求められた場合【48期】《51期重要》
所得税法基本通達12-2(事業から生ずる収益を享受する者の判定)では、その事業を経営していると認められる者に所得が帰属すると規定している。 よって、法律的帰属説の立場から所得税法12条の「収益を享受する者」とは、単にその収益を消費している者というのではなく、その収益を受けるべき正当な権利者をいうものと解すべきであるから、事業から生ずる収益の場合には、その事業の経営者がこれに当たるとしている。
19
資産から生ずる収益を享受する場合の所得の帰属に関する具体的な判定基準を求められた場合《51期重要》
所得税法基本通達12-1(資産から生ずる収益を享受する者の判定)では、資産から生ずる収益の基因となる資産の真実の権利者は誰であるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定すると規定している。 よって、法律的帰属説の立場から、資産から生ずる所得については、法律上の真実の権利者が経済的・実質的にも収益の帰属者であるという考え方に立ち、法律上の形式がその法的実質と異なる場合にはその実質によるものであることを示している。
20
親族間における事業主の判定について求められた場合《51期重要》
所得税法基本通達12-5(親族間における事業主の判定)では、同一世帯内における事業主が誰であるかについて、その事業の経営方針の決定についての支配的影響力を持っているのがだれであるかにより判断することとし、これが明らかでない場合には、原則的には生計主宰者がこれに当たるものと推定するということを示している。
21
◯不動産所得の金額の計算 ⇨支払日基準を原則としている理由《51期重要》
所法36条1項(収入金額)では、その年中において収入すべき金額を総収入金額に参入すべきものとしているが、原則的には、収入すべきことが確定した金額になる。つまり、相手方にその支払を請求し得ることとなった金額をいうものと解されていること。 企業会計の所得計算においては、いわゆる期間計算の方法によって損益を計上すべきことになるが、所得税法においては、所得計算の目的が必ずしも企業会計と同一ではないので、直ちに企業会計の考え方が導入されるものではないこと。 5年、10年というような⻑期間の賃貸料を一括して収入(収益)する場合には、期間計算の方法をとると、収入を得た時期と納税の時期が大きくずれることになること。
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所基通26-9(建物の貸付が事業として行われているかどうかの判定)《51期重要》
建物の貸付が不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべき(実質判定)であるが、次に掲げる事実のいずれかーに該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り(形式判定)、事業として行われているものとする。 (1)貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。 (2)独立家屋の貸付については、おおむね5棟以上であること。 土地の貸付が事業として行われているかどうかの形式判定 ⇒1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を「おおむね5」として判断。
23
住所《51期重要》【47.49.50期】
所得税法上、個人の「住所」の意義については、特に定義規定が置かれておらず、⺠法上の住所の概念を借用している(⺠法22)。 このため、住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する(所基通2-1)とされている。 また、生活の本拠であるかどうかを判定する客観的事実には、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍などが挙げられる。
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国内に住所を有すると推定する場合(所令14①)《51期重要》【49期】
一その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること 二その者が日本国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること
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非居住者に対する課税方法《51期重要》【48期】
非居住者に対する課税は、国内源泉所得のみが課税対象とされるが、同じ国内源泉所得であっても、その支払を受ける非居住者が日本国内に恒久的施設(PE)を有しているか、更にPEを有する場合には、そのPEに帰せられるか否かによって課税関係が異なる。 非居住者に対する課税方式として、申告課税(総合課税)方式と源泉徴収(分離課税)方式を採用しており、国内にPEを有し、そのPEに帰せられる所得を有する場合には、居住者と同様に申告課税方式による課税となる。 なお、PEを有しない場合又は有してもそのPEに帰せられない所得のうち一定のものについては、原則として源泉徴収のみで課税関係が完結する分離課税となる。
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・課税対象《50.51期重要》(Sランク) ◯資産の譲渡等
事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び資産の貸付け(資産に係る権利の設定その他、他の者に資産を使用させる一切の行為を含む)並びに役務の提供をいう(消法4①、2①八、2②)。 国内における資産の譲渡等の課税範囲は、次の①~④の全ての要件を満たす取引をいう。 ①国内において行うものであること ②事業者が事業として行うものであること ③対価を得て行うものであること ④資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であること(特定資産の譲渡等に該当するものを除く)
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「対価を得て行われるもの」《50期重要》【50期】(Aランク)
「対価を得て行われる」とは、資産の譲渡等に対して反対給付を受けることをいうから原則として無償による資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、消法2①八に規定する資産の譲渡等に該当しない(消基通5–1–2)。 また、事業として対価を得て行われる取引である限り、営利性の有無は必要とせず、生計を一にする親族との間で行った取引であっても「資産の譲渡等」該当する(消基通5–1–10)。
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「資産の譲渡」《51期重要》
資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいい、資産の交換も含まれる(消法2①八、消令45②四、消基通5–2–1)。
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消費税法上と所得税法上の事業概念の相違《51期重要》【消費税法上の「事業」の概念】
資産の譲渡等の行為を反復、継続、独立して遂行するものをいい、所得税法の事業の概念とは異なり事業の規模は問わない。 ⇒所得税法上における事業概念よりも広い。
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「みなし譲渡」《51期重要》(Sランク)
個人事事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、又は使用した場合、資産の譲渡とみなし、課税対象となる(消法4⑤、消基通5–1–2(注))。 ※対価の額は、原則として消費又は使用した資産の価格(時価)である(消費税法28③)。 ※棚卸資産については、当該棚卸資産の課税仕入れの金額以上で、かつ通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額で確定申告書を提出した時には、これを認める(消基通10–1–18)。
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「一体資産」の意義《51期重要》(Bランク)
「一体資産」とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、当該一の資産に係る価格のみが提示されているものをいう。 原則として軽減税率の適用対象ではないが、次のいずれの要件も満たす場合は、飲食料品として、その譲渡全体につき軽減税率が適用される。 ①一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)が1万円以下であること。 ②一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること。