問題一覧
1
折節の移り変はるこそ、ものごとに「あはれなれ」。
しみじみとした情趣がある
2
「あはれなる」人を見つるかな。
かわいらしい
3
得たるはいとよし。得ずなりぬるこそいと「あはれなれ」。
気の毒だ
4
一人はいやしき男の貧しき、一人は「あてなる」男もたりけり。
身分が高い
5
四十余ばかりにて、いと白う「あてに」、痩せたれど、つらつきふくらかに、
上品で
6
あそばしたる和歌は、いづれも人の口にのらぬなく、「いうに」こそうけたまはれな。
すぐれている
7
かぐや姫のかたち、「いうに」おはすなり。
上品で美しく
8
いと「まめに」じちようにて、あだなる心なかりけり。
誠実で
9
少将起きて、小舎人童を走らせて、すなはち、車にて、「まめなる」物、さまさまに持て来たり。
実用的な
10
されどこの男を、「あだなり」と聞きて、つれなさのみまさりつついへる。
不誠実だ
11
流れ行く水に玉なすうたかたのあはれ「あだなる」この世なりけり
はかない
12
とかく直しけれども、つひにまはらで、「いたづらに」立てりけり。
無駄に
13
船も出ださで「いたづらなれ」ば、ある人のよめる。
退屈な
14
雨いたう降りて、「つれづれなり」とて、殿上人、上の御局に召して、御遊びあり。
退屈だ
15
ののしり満ちて下りぬる後、こよなう「つれづれなれ」ど、
もの寂しい
16
昔、男、「すずろに」陸奥の国までさまよい出ていった。
あてもなく
17
もの心細く、「すずろなる」めを見ることと思ふに、修行者あひたり。
思いがけない
18
「すずろに」飲ませつれば、うるはしき人も、たちまちに狂人となりてをこがましく、
むやみやたらに
19
わづかに二つの矢、師の前にて一つを「おろかに」せんと思はんや。
おろそかに
20
闇もまたをかし。有明はた言ふも「おろかなり」。
言葉では言い尽くせない
21
いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。「むげなり」。
まったくひどい
22
石上もまことに古りにけること思ひやられて、「むげに」荒れはてにけり。
すっかり
23
法師の「むげに」能なきは、檀那すさまじく思ふべしとて、早歌といふことを習ひけり。
まったく
24
「あからさまに」物へ行くとても、人に、「この雀見よ。物食はせよ」など言い置きければ、
ほんのちょっと
25
「年ごろ」思ひつること、果たし侍りぬ。
長年
26
四日の「つとめて」ぞみな見えたる。
早朝
27
ひと日ひと夜、よろづのことをいひ語らひて、「つとめて」舟に乗りぬ。
翌朝
28
「あした」に死に夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。
朝
29
野分の「あした」こそをかしけれ。
翌朝
30
御灯明の「かげ」、ほのかに透きて見ゆ。
光
31
暁近き月隈なくさし出でて、ふと人の「かげ」見えければ、
姿
32
かぐや姫の「かたち」の、世に似ずめでたきことを、帝聞こしめして、
容貌
33
揖取り、「今日、風雲の「けしき」はなはだ悪し」と言ひて、船出ださずなりぬ。
様子
34
歌主いと「けしき」悪しくて、怨ず。
機嫌
35
春宮よりも御「けしき」あるを、
意向
36
げに雨降る「けはひ」しつるぞかし。
雰囲気
37
「ふみ」を書きてやれども、返りごともせず。
手紙
38
唐土には限りなきものにて、「ふみ」にも作る、
漢詩
39
久しう「せうそこ」などもものせざりける。
手紙
40
「入りてせうそこせよ」とのたまへば、人入れて案内せさす。
訪問の来意を告げ
41
一つには御「手」を習ひたまへ。
文字
42
入道琵琶の法師になりて、いとをかしうめづらしき「手」一つ二つ弾き出でたり。
楽曲
43
公事どもしげく、春の「いそぎ」にとりかさねて催し行はるるさまぞ、いみじきや。
準備
44
年ごろ経るほどに、女、親なく、「たより」なくなるままに、
頼りにするもの
45
「たより」の人にいひつきて、女は京に来にけり。
縁故
46
「たより」ごとに物も絶えず得させたり。
ついで
47
よろづのことよりも「なさけ」あるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ。
思いやり
48
男女の「なさけ」も、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは。
愛情
49
「なさけ」ある人にて、瓶に花をさせり。
風流心
50
神へ参るこそ「ほい」なれと思ひて、山までは見ず。
本来の目的
51
八月十五日ばかりの月にいでゐて、かぐや姫、「いと」いたく泣きたまふ。
たいそう
52
乗りたる馬、「いと」かしこしとも見えざりつれども、
たいして
53
このかぐや姫、きと影になりぬ。はかなく口惜しと思して、「げに」ただ人にはあらざりけりと思して、
なるほど
54
髪のうつくしげにそがれたる末も、「なかなか」長きよりもこよなう今めかしきものかな、とあはれに見たまふ。
かえって
55
風波やまねば、「なほ」同じところにあり。
やはり
56
東路の道のはてよりも、「なほ」奥つ方に生ひ出でたる人、
さらに