イベント等の主催者は、負傷等の事故が発生しないように、係員を配置するなどの措置を講じなければならず、その係員はすべて警備員でなければならない。

雑警備業務に従事する警備員は、自己の都合によって勝手に任務内容を変更したり、みだりに勤務場所を離れたりすることがあってはならない。

警備員の誘導ミスを原因とする事故が発生したとしても、社会に影響を及ぼすことはない。

警備業法第15条によって、警備業者及び警備員に対し一定の特別な権限を与えられている。

警備員が警備業務を行うに当たっては、状況により個人若しくは団体の正当な活動に干渉することができる。

警備業務実施に当たっては、あくまでも私人のいわゆる「管理権」等の範囲内で行わなければならない。

警備業務は、公的権限を行使し得る警察業務とは本質的に異なる。

現行人を逮捕した場合には、直ちに所持品や身売等を調べた後、警察官に引き渡す。

警備員の行う交通誘導警備業務は、道路交通法の規定により、警察官が行う交通整理のような強制力がある。

警備業務対象施設内等において、不審人物を発見した場合は、施設管理権に基づき、私人として許される範囲を超えて質問することができる。

雑踏警備業務においては、雑踏事故防止の観点から 過密状態を解消するために個人の自由を侵害することがある。

警備業者は、その警備員に対して専門的な教育と必要な指導、又は監督を行わなければならない。

「警備員等の検定等に関する規則」で定める特定の種別の警備業務については、一定の基準で検定合格警備員を配置しなければならない。

現在行われている検定の種別は、保安警備業務、施設警備業務、雑踏警備業務、交通誘導警備業務、核燃料物質等危険物運搬警備業務、貴重品運搬警備業務の6種別である。

検定には、 検定種別ごとに1級と2級の区分があり、 1級は当該警備現場におけるリーダーとしての役割が、2級は統括管理者としての役割が期待されている。

1級検定は当該警備業務の種別の2級 の合格証明書の交付を受けた後、5年以上従事しなければ受けることができない。

20歳未満の者には、合格証明書の交付はされない。

警備業法第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者には、検定の合格証明書は交付されない。

合格証明書の返納を命ぜられた日から起算して5年を経過しない者には、合格証明書が交付されない。

警備業者は、検定合格警備員に実施させる必要がある警備業務を行うときは、合格証明書又はその写しを当該警備員に携帯させなければならない。

警備業法は、平成16年7月に制定公布され、同年11月1日に施行されて以 降、社会情勢の変化に応じて改正を重ね現在に至っている。

警備業法は、警備業者及び警備員について必要な規制を定め、警備業務の実施の適正を図ることを目的としている。

雑踏警備業務は警備業法第2条第1項の第3号業務に該当する。

警備業務とは、警備業法第2条第1項第1号から第4号に該当する業務であって、他人の需要に応じて行うもの、もしくは自己のために自己の業務として行うものをいう。

「警備員」とは、警備業者と雇用関係にあるすべての者をいい、警備業者の使用人であれば、警備業務以外の業務に従事する者も警備員に該当する。

警備業法に「18歳未満の者は警備員として警備業務に従事することができない。」と定められているため、満18歳以上の者しか警備員になることができない。

禁錮以上の刑に処せられ、又は警備業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して7年を経過しない者は、警備員として警備業務に従事することができない。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律による命令又は指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して5年を経過しないものは、警備員として警備業務に従事することができない。

集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で、都道府県公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者は、警備員として警備業務に従事することができない。

警備業務を行う際に着用する服装については、都道府県公安委員会に対する届け出の義務は定められていない。

警備業務その性質上、実施の過程において他人の権利や自由を多少侵害してもやむを得ない。

基本的人権は、絶対的無制限なものであるため、公共の福祉による制約を一切受けることはない。

何人も、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

正当防衛行為は、自己の権利を防衛するものであり、 他人の権利を防衛するための正当防衛は認められない。

正当防衛行為は、「自己又は他人の権利を防衛するため」のものであり、必ずしも防衛意思をもつことを要しない。

過剰防衛は、刑割の対象とはなるが、過剰避難は、刑罰の対象とはならない。

未遂について処罰規定のない罪については、未遂の段階では犯罪の実行行為中とは認められないため、現行犯人とはいえない。

罪とは、必ずしも特定の罪を指すわけではないため、単なる不審者であっても、何らかの罪を処しているかもしれないという十分な疑いがあれば、現行犯逮捕することができる。

現行犯人を連捕する権限は、一般私人にも与えられているので、その後の取調べ、身体捜検、所持品検査等を行う権限は一部認められている。

遺失物法の対象となる「物件」とは、遺失物及び埋蔵物並びに準失物であるが 、逸走した家畜は準遺失物に含まれない。

警備業務に従事中 、一般の場所で通行人等から収得した物件の届出を受ける場合は、警備員が必ず預かり警察署に持っていく。

一般の場所において物件を拾得した場合は、24時間以内に遺失者に返還するか、警察署長に提出しなければ、保管費、報労金等を受け取る権利及び所有権を取得する権利を失う。

道路交通法に定める「駐車」には、タクシー等が客待ちのために停止している状態は、たとえ運転者が乗車していても含まれる。

道路交通法に、歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路では右側通行することが定められている。

「歩行者用道路」とは、歩行者の安全と円滑な通行を図るため車両の通行が禁止されていることが道路標識等によって表示されている道路をいうため、いわゆる「歩行者天国」や「通学道路」等はこれに該当しない。

車両等は、横断歩道等又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に徐行しなければならない。

交差点又はその付近において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は交差点を避け、かつ、道路の左側に寄って徐行しなければならない。

車両は、交差点又はその付近以外の場所において緊急車両が接近してきたときは、その場で一時停止し、これに進路を譲らなければならない。

軽犯罪法に定める「変事非協力の罪」とは、風水害、地震、火事、交通事故、犯罪など変事に際し、正当な理由なく公務員等の指示や公務員からの協力要請に応じなかった者をいう。

軽犯罪法に違反する行為を発見した場合は、どんな軽微な犯罪であっても現行犯逮捕の対象となる。

安全と秩序を乱す行為を発見した場合は、成圧的な態度や強制的な手段によって、相手の協力を得る。

雑踏警備業務においては群集の協力が不可欠であることから、群集に対して無用の不快感を与えないよう、組織的に活動してないことを群集に印象付けることが重要である。

群集の流れが特定の場所において飽和状態に達したときは、先頭の集団を停止させ、後続の群集迂回又は一時的に流入制限するなど、飽和状態の解消を図る。

雑踏警備現場において警備員以外の係員が実施する業務については、指揮権が警備隊組織と異なるため、ボランティア等との連携を図る必要はない。

無線機で通話を行う際は、感情的に、あるいは興奮しながら話した方が、相手に内容が伝わりやすい。

聴取を確実に行い、応答遅延や受信漏れ等を起さないようにする。

無線機の送信は、送信スイッチを押した後、直ちに行う。

無線機のマイクは、口から1~2センチメートル離して、普通の大きさの声で話す。

無線機の通話の速度は、相手方の受信状況や通話の内容によって調整するものではなく、日常会話より早口を基準とする。

無線機使用時において呼出しに対する応答がないときは、相手局が応答するまで呼出しを繰り返す。

群集の中にいる数名の指揮者によって、群集が組織として秩序付けられることから、収拾できない事態に発展する場合も多い。

群集心理における「無批判性」とは、共通の対象に対する知識は部分的であっても、自分自身で正しく判断するため、他人の判断や発言を鵜呑みにするようなことがない状態である。

群集心理における「暗示性」とは、意識の範囲が狭くなり、 外部からの影響に対する抵抗が強くなるため、暗示にかかりにくくなる状態である。

花火大会の雑踏警備では、花火の打ち上げが終了する直前だけが最も危険な時間帯である。

花火大会の雑踏警備では、花火打ち上げの開始直後が最も危険な時間帯である。

コンサートは、人気歌手など熱狂的ファンが集まるものやクラシック音楽など静かに楽しむ演奏会など様々な内容があるが、専用会場は会場管理規程などのルールが定められているため、参集する観客によってその対応要領が変わることはない。

初詣や節分などは、毎年同じ場所で行われることが多く、暗黙のルールが周知されており、危険な状況になることはないため、一方通行規制等の誘導や広報を行う必要はない。

雑踏事故を未然に防止するためには、物理的不満の解消に努めることが重要である。

群集が不満を感じる原因には、温度、明暗、設備、構造などの物理的環境によって生じる物理的不満だけであって、情報不足などの心理的なものについては不満を感じる原因にならない。

広報文は警備計画書に記載されていることはないので、現場の判断において臨機応変に行うのが基本である。

情報広報とは、警備員が雑踏警備現場で得た各種の情報を、速やかに警備隊本部へ報告するための広報である。

広報はまず情報広報から行い、状況の変化に伴う規制広報を行い、規制広報後は群集の安全と全体の秩序維持のため禁止広報を積極的に行う。

混雑が生じた場合は、徹底した広報により混雑が解消するまで、その場に待機させる。

群集の滞留によって危険が予想される場合は、広報を行うが、群集の協力を得る必要はない。

雑踏警備において群集を整列させる場合には、整列した場所が隣接している他の施設等の営業を多少妨害となったとしても、参集者の安全のためにはやむを得ない。

群集の状況変化等によって資機材の設置場所等を変更したほうが効果的と判断した場合は、警備隊本部に連絡する必要はなく、直ちに設営場所等を変更する。

観覧時に群集を整列させる場合において、観覧席に敷物を設置して児童等を座らせることは、雑踏事故の原因となるので絶対に行わない。

整列の長さが20メートルを超えるような場合には、15~20メートルごとに分断し、緊急動線を確保しなければならない。

直進方式による整列の方法は、一定のスペースを有効活用することができるが、群集にとっては、歩行距離が延びるため、疲労感を与えやすい。

蛇行方式による整列の方法は、整列する群集も理解しやすい方式であるが、一方向に長くなり、スペースを有効活用しにくいという問題がある。

緊急時であっても現場の警備員は、必ず所属の際長を経由して警備隊本部へ連絡する。

緊急事発生時の連絡の適否は、その後の事件や事故等の推移に影響を与えることはほとんどない。

警備員は事件や事故等、緊急の事態であっても冷静さを失わず、拙速より巧遅を心がけた通報を行えるよう、日頃から訓練しておく必要がある。

火災の発生を消防へ通報した時には、「燃えている物」「通報者の氏名及び通報に使用した電話の番号」「逃げ遅れた者の有無」「火災発生場所」「火災の原因」等を聞かれるので、あらかじめ調べておく。

一次救命処置とは、除細動(AEDによる電気ショック)や気道遺物除去(口の中の物を取り除く)などの内容としているが、心肺蘇生(豚丼圧迫や人工呼吸)は一次救命処置に含まれない。

一次救命処置はAEDや感染防護具などの器具を用いて行うが、特別な資格がなければ行うことができない。

「救命の連鎖」とは、(1)心停止の予防(2)早期認識と通報(3)一枚数命処置(4)二次救命処置の四つの輪から成り立っている。

心肺蘇生やAEDの使用を素早く行ったとしても、生存率や社会復帰率に大して影響はない。

反応を確認する方法には、耳元へ大声で負傷者の名前を呼んでみる、激しくゆすってみる、などがある。

呼吸状態を確認する際に、約10秒かけても判断に迷う場合は、呼吸があるものと判断する。

意識のない者の呼吸を確認するには、胸と腹部が上下に動いているかを1分かけて目視する。

反応がなくなった負傷者を仰向けにしておくと、嘔吐した場合に気道が詰まり窒息するおそれがあるので、負傷者をうつ伏せ(回復体位)にする。

負傷者の倒れている場所や状態が安全ではない場合であっても、負傷者を移動させることは厳に慎み、救急隊等の到着を待つ。

雑踏事故が発生した場合、事故現場だけに広報を行えば、危険な過密状態は解消する。

エスカレータで転倒事故が発生した場合は、エスカレータを緊急停止することなく、前の人を押さないように広報し、通行させる。

施設、設備の損壊事故が発生した場合は群集を避難させるとかえって危険なので群集は事故現場にとどまらせる。

事故現場を規制すれば過密状態は解消する場合が多いため、周囲の群集に対して広報を徹底した後、過密状態が自然に解消するのを待つ。

「将棋倒し」とは、過密状態の中で群集同士が不安定なバランスで滞留しているところに隙間ができたり、新たな力が加わったりしたときに塊状に多方向から転倒することをいう。

「要保護者」とは、けんかや言い争いをしている者のことである。

雑踏弱者とは、幼児、高齢者だけをさし、それ以外の者は含まれない。