問題一覧
1
定型抗精神病薬は主に ①鎮静作用、抗不安薬作用が強く錐体外路症状が出にくい( )系 ②幻覚や妄想への効果が強いが錐体外路 症状が出やすい( )系 ③うつ症状にも効果があるとされている( )系 の3種類に分けられる。
フェノチアジン, ブチロフェノン, ベンズアミド
2
脳内のドパミン経路を4個答えよ。 ①陽性症状に関わる( )系 ②陰性症状に関わる( )系 ③錐体外路症状に関わる( )系 ④ドパミン不足によりプロラクチンが過剰に放出される高プロラクチン血症に関わる( )系
中脳辺縁, 中脳皮質, 黒質線条体, 漏斗下垂体
3
ドパミン受容体は現在5種類確認されているが、統合失調症に関わるドパミン受容体の名称は何か
D2受容体
4
非定型抗精神病薬において、阻害することによって中脳皮質系のドパミン量を増やし陰性症状に作用する神経伝達物質は何か
セロトニン
5
カテコラミンは、チロシン(アミノ酸)⇨ドーパ(L-DOPA)⇨ドパミン⇨ノルアドレナリン⇨アドレナリンの順番で生成される。 ⚪︎ドパミンは精神面のみ【興奮】【快楽】【意欲】などに作用する ⚪️ノルアドレナリンは交感神経作用α1の( )作用及び精神面において【意欲】【想像力】【モチベーション】などにも作用するとされている。 ⚪️アドレナリンは精神面には作用せず主に心拍増強作用に作用する。
血管収縮
6
興奮性のグルタミン酸と対をなす、ベンゾジアゼピン系により作用する交感神経抑制性の神経伝達物質(γ-アミノ酢酸)は一般的に何と呼ばれているか。
GABA
7
1950年代にクロルジアポキシド(日本ではコントール、バランス)として発売された抗不安薬は何系と呼ばれているか。
ベンゾジアゼピン系
8
ベンゾジアゼピンには3つの受容体があり主に ・ω1 ( )作用 ・ω2( )作用 が関係している。
催眠、鎮静, 抗不安、筋弛緩、抗けいれん
9
ベンゾジアゼピン系は大きく分けて3種類の薬に分けられる。 ①( )薬 ②( )薬 ③( )薬
睡眠, 抗不安, 抗けいれん
10
ベンゾジアゼピン系の主な副作用を5つ答えよ
眠気の持ち越し, ふらつき, 前向性健忘, せん妄, 依存症
11
非ベンゾジアゼピン系はGABA受容体へ選択的に作用しω1( )作用のみ発揮する。
催眠、鎮静
12
脊髄や脳幹(中脳、橋、延髄)などの運動ニューロンで産生される、主に副交感神経に作用する神経伝達物質は何か。
アセチルコリン
13
アセチルコリンの受容体2つを答えよ。 ・( )受容体⇨代謝調整型 ・( )受容体⇨イオンチャネル型
ムスカリン, ニコチン
14
アセチルコリンの作用(≒副交感神経作)を8つ答えよ。
血管拡張, 心拍減少, 気管支収縮, 消化器機能亢進, 縮瞳, 膀胱収縮, 子宮収縮, 発汗
15
抗コリン作用(≒交感神経作用)を8つ答えよ。
血管収縮, 心拍増強, 気管支拡張, 消化器機能減弱, 散瞳, 膀胱弛緩, 子宮弛緩, 発汗減少
16
アセチルコリンを分解する酵素のことを何というか。
コリンエステラーゼ
17
コリンエステラーゼ2種類を答えよ。 ・AChE(真性コリンエステラーゼ) ⇨( ) ・BuChE(偽コリンエステラーゼ) ⇨( )
アセチルコリンエステラーゼ, ブチリルコリンエステラーゼ
18
脳内のアセチルコリン量を増やし、主に認知機能の改善を行う薬のことを何というか。
コリンエステラーゼ阻害薬
19
統合失調症の診断基準は2つある。 ・( )⇨WHO(世界保健機関)が1990年に作成 ・( )⇨アメリカ精神医学会が2013年に作成
ICD-10, DSM-5
20
統合失調症の経過5つを答えよ。
前駆期, 急性期, 消耗期, 回復期, 安定期
21
統合失調症の主な症状を5つ答えよ。
妄想, 幻覚, まとまりのない思考、発語, 異常行動, 陰性症状
22
統合失調症のDSM-5での診断基準は… ・「妄想」「幻覚」「まとまりのない思考、発語」「異常行動」「陰性症状」のうち( )、( )、( )を1つ以上含む2つ以上が1か月のうち殆どの時間で存在し、生活面での支障がある状態が6カ月以上持続する。
妄想, 幻覚, まとまりのない思考、発語
23
統合失調症の診断で除外すべき疾患や症状を ・うつ病 ・パーソナリティ障害 ・脳疾患 ・妄想性障害 ・統合失調症様障害 などの他に3つ答えよ。
統合失調症感情障害, 発達障害, 薬物、アルコール症状
24
統合失調症は発症してから最初の( )年間で症状が急速に進み、未治療期間が長くなると予後も悪くなる。
5
25
統合失調症のタイプは主に3種類に分けられる。全て答えよ。 ※ただし、現在では治療法が進み3タイプに明確に分けることが出来なくなってきている。
妄想型, 破瓜型, 緊張型
26
抗精神病薬は( )で用いるのが基本である。やむを得ず他の向精神薬を併用する場合は、一時的、補助的な使用を想定して行う。
単剤
27
抗精神病薬+睡眠薬を使用中だが睡眠の改善がみられない場合は、一般的に何の薬を使用するか。 また以前は( )を使用することが多かったが、中毒症状が現れることがあり、最近では( )が使用されることが多くなっている。
気分安定薬, 炭酸リチウム, バルプロ酸ナトリウム
28
定型抗精神病薬使用中で、抑うつ症状が現れた時は、陰性症状と捉えて( )へ変更するのが最もオーソドックスな方法である。
非定型抗精神病薬
29
遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬使用による長期のドパミン受容体遮断のため、何とかドパミンを受け取ろうとドパミン受容体数が増えることによる過剰反応と考えられている。( )薬はドパミン量を増やし症状悪化させるため中止する必要がある。
抗コリン
30
抗精神病薬使用中で錐体外路症状が現れた場合は、非定型抗精神病薬への調整を行い、できる限り「副作用止め」≒( )薬orベンゾジアゼピン系薬剤を用いず単剤を目標に治療を行う。
抗コリン
31
統合失調症は発症してから、( )年間は薬物治療を続ける必要がある。また再発後( )年間は薬物治療が必要である。
2, 5
32
抗精神病薬の副作用として、副交感神経亢進のため( )低下がみられることがある。それに伴い( )が現れることもあるので注意が必要である。
血圧, 起立性低血圧
33
抗精神病薬は( )よりも( )のほうが先に現れるが、徐々に弱まっていくので基本的には内服中断してはいけない。
効果, 副作用
34
20世紀以前には統合失調症という病気のカテゴリはなく、躁病かうつ病に分けて考えていた。その後「早発性痴呆」という病名となり「( )」⇨「統合失調症」へと名称変更が行われた。
精神分裂病
35
非定型抗精神病薬のSDAは、セロトニン拮抗作用により( )の副作用が出現しにくいとされている。
錐体外路症状
36
統合失調症治療の初期は、電気ショック療法やインスリンショック療法であったが、1952年フランスで麻酔用として使用されていたクロルプロマジン( )が、たまたま統合失調症に効果があるということが発見されて以来、薬物療法が中心となった。
コントミン
37
抗精神病薬の中でもクロザピン以前に開発された、陽性症状に強く作用するが錐体外路症状が出現しやすい薬のグループのことを( )として分けている。
定型抗精神病薬
38
ある抗原によって作成されたIgE抗体(免疫グロブリン)というタンパク質が肥満細胞の表面に付着し、再び同じ抗原に反応することをアレルギー反応といい( )という化学伝達物質により引き起こされる。
ヒスタミン
39
統合失調症では前駆期において( )障害がない人はいないというDrがいるほど( )の質を改善することが重要であり、( )時間よりも心地の良い目覚めのほうが大事である。
睡眠
40
ヒスタミンにはH1〜H4の4つの受容体があり ・H1受容体→炎症やアレルギー反応 ・H2受容体→胃酸分泌 に関与している。 また、脳内においては覚醒や興奮作用に関わっているため、特にH1受容体ブロックにより( )作用が現れる。
催眠、鎮静
41
脳は中心部から情動に関与する( )を中心に発達しており、抗精神病薬は( )のドパミンD2受容体をブロックすることにより陽性症状を改善すると考えられている(ドパミン仮説)。
辺縁系
42
定型抗精神病薬の「フェノチアジン系」は主に ①( )遮断作用⬇️▶︎陽性症状⬇️ ②( )遮断作用▶︎錐体外路症状⬇️ ③( )作用⬆️▶︎血管拡張 ④( )遮断作用⬆️▶︎催眠、鎮静 へ作用し、遮断陽性症状に対しての効果はそれほど大きくないが、強い催眠術、鎮静作用を発揮し睡眠薬としても使用される。
D2, M1, α1, H1
43
ベンゾジアゼピン系薬の作用機序 ・ベンゾジアゼピン受容体(BZD受容体)はγアミノ酢酸(GABA)と複合体を形成しており、BZD受容体が刺激されるとGABA受容体の( )を増加させる。
チャネル開口頻度
44
定型抗精神病薬の「ブチロフェノン系」は主に ①( )遮断作用⬆️▶︎陽性症状⬇️ ②( )遮断作用⬇️▶︎血管拡張 へ作用し、陽性症状の妄想や幻覚に対して強い効果を発揮するが、催眠・鎮静作用は弱めであり、錐体外路症状(パーキンソン様症状)が出現しやすい。
D2, α1
45
定型抗精神病薬の「ベンズアミド系」は主に ①( )作用▶︎陽性症状⬇️ へ作用し、陽性症状に対して効果を発揮する。他には少量で抗うつ作用、胃・十二指腸潰瘍、制吐作用などにも効果がある。
D2遮断
46
定型抗精神病薬のベンズアミド系は、少量(1日150〜600mg)の使用でドパミン分泌ブレーキシステム( )のみを抑制するためドパミン分泌量が増えて抗うつ作用を発揮する。
シナプス前ドパミン自己受容体
47
定型抗精神病薬のベンズアミド系は、末梢D2遮断作用による副交感神経亢進に伴う消化管運動促進作用と胃粘膜血流改善作用により( )に効果がある。
胃・十二指腸潰瘍
48
定型抗精神病薬のベンズアミド系は、( )【科学受容引金帯】から延髄の嘔吐中枢へのドパミン伝達阻害による制吐作用がある。
CTZ
49
エビリファイには( )錠【Orally Disintegrating】【口腔内崩壊錠】という口の中で速やかに溶けて服用できる錠剤がある。
OD
50
定型抗精神病薬のフェノチアジン系であるクロルプロマジンは、最初に開発された抗精神病薬である。後発の薬に比べ陽性症状への効果はそれほど強くないが、鎮静作用が強いため一時的な興奮状態に使用されることが多い。現在は抗精神病薬の主力として使用されることは少なく主に睡眠薬として使用されることが多い。 一般名【クロルプロマジン】 商品名( )( )
ウィンタミン, コントミン
51
定型抗精神病薬のベンズアミド系であるネモナプリドは、日本で開発された抗精神病薬である。ドパミン(D2、D3、D4)受容体遮断作用を有し強力な抗幻覚妄想作用がある。幻覚妄想の中でも頑固に続く幻聴に効果があり他剤で効果が得られないような幻聴に対して効果を発揮することがある。錐体外路症状が出現しやすいので抗パーキンソン薬の併用が必要である。 一般名【ネモナプリド】 商品名( )
エミレース
52
定型抗精神病薬のブチロフェノン系であるハロペリドールは、1957年ベルギーのヤンセンで覚醒剤への薬として開発された抗精神病薬である。ドパミンD2受容体遮断作用が比較的強く抗幻覚妄想作用を有するが鎮静作用はあまり強くないため、必要ならばベンゾジアゼピン系薬を併用する。せん妄にも点滴にて使用されることが多い。錐体外路症状が出現しやすいので、抗コリン薬(ビペリデン)などの併用が必要である。投与開始直後は十分な効果が発揮さらないため、すぐに増量しない。エピネフリンとの併用で血圧低下することがある。 一般名【ハロペリドール】 商品名( )( )
セレネース, リントン
53
定型抗精神病薬のブチロフェノン系であるピモジドは、1960年ベルギーで開発された抗精神病薬である。ドパミンD2受容体遮断作用がハロペリドールとともに最も強く陰性症状に対しても効果があると報告されているが、鎮静効果はそれほど強くない。錐体外路症状が出現しやすく抗パーキンソン薬との併用も必要である。皮膚寄生虫妄想や単一症候性妄想にも効果がある。小児への広汎性発達障害、精神遅滞に伴う行動異常、精神症状に広く有用である。QT延長、心室頻拍、禁忌、併用禁忌薬が多いため使用には慎重さを要する。 一般名【ピモジド】 商品名( )
オーラップ
54
定型抗精神病薬のフェノチアジン系であるフルフェナジンは、1961年ドイツで開発された抗精神病薬である。「フェノチアジン系のハロペリドール」とも言われるほど強力な抗幻覚、抗妄想効果があるが鎮静作用はそれほど強くない。ドパミンD2受容体遮断作用の他に、セロトニン(5-H2)、アドレナリン(α1)、ムスカリン(抗コリン作用)遮断作用があり錐体外路症状、口渇、白血球減少、血小板減少、体重増加、麻痺性イレウス、眼障害(角膜・水晶体の混濁、角膜色素沈着)などの副作用出現リスクがある。統合失調症以外での神経症(不安、焦燥など)に効果があるとされている。エピネフリンとの併用で血圧低下することがある。 一般名【フルフェナジン】 商品名( )
フルメジン
55
定型抗精神病薬のフェノチアジン系であるプロペリシアジンは、D2遮断・セロトニン(5-HT)遮断・ノルアドレナリン(α1)遮断作用があるが、特にα1遮断作用が強い(抗精神病にはノルアドレナリン遮断に効果があるとされているがそのエビデンスは不明瞭である)ため血圧低下リスクが高い。認知症やせん妄にも効果があるとされている。 一般名【プロペリシアジン】 商品名( )
ニューレプチル
56
定型抗精神病薬のブチロフェノン系であるブロムペリドールは、ハロペリドールと類似した化学構造をもつ抗精神病薬であり、抗幻覚妄想作用はハロペリドールと同等の効果があると考えられている。錐体外路症状や鎮静作用が少ないため、外来患者や高齢者でも使用しやすいが、錐体外路症状出現リスクは少なからずともあるため抗パーキンソン薬(抗コリン薬など)の併用も必要な場合はある。認知症の問題行動や夜間せん妄に対しても効果がある。 一般名【ブロムペリドール】 商品名( )※2019年販売中止
インプロメン
57
定型抗精神病薬のフェノチアジン系であるペルフェナジンは、D2遮断、セロトニン(5-HT2)遮断、α1遮断、ムスカリン遮断(抗コリン)作用を有しクロルプロマジンよりも強く抗幻覚妄想作用があるが、激しい精神運動興奮や錯乱などには使用せず亜急性から慢性期にみられる自発性の低下・意欲減退などの陰性症状に対して使用されることが多い。うつ病の二次妄想や不安・焦燥などにも効果がある。また制吐作用もありメニエル症候群に対して使用されることもある。副作用は同じフェノチアジン系のフルフェナジンに準ずる。非定型抗精神病薬と比べて効果、有害作用を含めてほぼ同等の作用があるとされている。 一般名【ペルフェナジン】 商品名( )( )
トリラホン, ピーゼットシー
58
認知行動療法では認知・行動・感情の3点のバランスをとるために、その人自身の持って生まれた要因や生まれ育ってきた環境などから育まれた人生観や価値観・個人的な信念・ものの見方=( )への理解を深め、誤った信念が病状を引き起こしていることに気づき、その信念がいつも正しいわけではないことが認識することによって治療への道が開かれる。
スキーマ
59
統合失調症の幻覚症状において特に幻聴や幻覚は、その人の体験のなかから関連付けされた事柄であることが多い。また幻覚は収集した情報量が多い時、脳が整理するために現れるとの説もある。ある人の体験談によると幻聴が現れた時は睡眠をとり起きた時には幻聴が無くなっていることが多いとの話もある。患者に「幻覚(幻聴)がある」と言われたときは「つらいですね」と( )するとともに、それは統合失調症の症状であるということを伝えて内服をすすめることが必要である。
共感
60
抗精神病薬の抗コリン性副作用として頻度の高い症状は、麻痺性イレウス・かすみ目・鼻閉・頻脈の他に
口渇, 便秘, 尿閉, 血圧上昇, 眼圧上昇
61
定型抗精神病薬のフェノチアジン系であるレボプロマジンは、D2遮断、セロトニン(5-HT2)遮断、α1遮断、ムスカリン遮断(抗コリン)、H1遮断作用を有し強力な催眠・鎮静作用を発揮する。しかし抗幻覚妄想作用は弱いためハロペリドールやリスペリドンなどと併用されることが多い。また躁病に対しては炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウム、激越型うつ病の希死念慮や不安、焦燥感などに対しては抗うつ薬との併用する場合もある。ベンゾジアゼピン系薬剤だけでは調整困難な不眠に対して少量(5〜10m g)を併用する場合もある。抗コリン作用があり錐体外路症状は比較的少ないが口渇、霧視、便秘、ふらつき、血圧低下などを生じやすいため高齢者への投与には注意が必要である。 一般名【レボプロマジン】 商品名( )( )
ヒルナミン, レボトミン
62
シナプス前ドパミン自己受容体とは、受容することでドパミン放出を( )する働きがありドパミンの過剰放出を防ぐ役割を持っている。
抑制
63
脳の中での情報伝達はニューロン間で行われ 【外部刺激▶︎電気信号▶︎神経伝達物質▶︎電気信号】というかたちで神経終末へ伝えられる。ニューロン間での情報伝達は各ニューロンの接合部であるシナプスで神経伝達物質により行われ( )性と( )性の2種類の情報に分けられる。
興奮, 抑制
64
精神疾患に対する向精神病薬の効果についての考え方は… ●医学的疾病(精神疾患を持つとされている人は正常な脳から逸脱しているとする見方)を元に戻すという考え方の▶︎( )モデル ●何も介入されていない脳(たとえ精神疾患と診断されていたもしても)を「正常なもの」と考えて向精神薬を使用することによって身体的・精神的に変化させるという考え方の▶︎( )モデル の2種類に分けられる。
疾病中心, 薬物作用
65
精神疾患の原因が脳内の科学的不均衡によるものであるということが現在でも仮説の域を超えていないため、あらゆる向精神薬は疾患とされている症状の根本治療とはならなず( )療法であると言える。
対処
66
定型抗精神病薬のベンズアミド系であるスルピリドは、1967年フランスで胃微小循環を改善させる胃潰瘍薬として開発された。低容量ではシナプス前ドパミン自己受容体を阻害するため、50〜150mgといった低容量では抗うつ作用、300mg以上では抗精神病作用を有する。統合失調症の陽性症状への効果はありながら、錐体外路症状が少なく効果発現は速い。眠気、脱力などが少なく心血管系にほとんど影響を及ぼさないため高齢者でも投与できる。適応症以外にも制吐剤・消化促進剤・肩こり・頭痛・頭重・めまい・動悸・倦怠感といった更年期症状、心因性の下痢・腹痛・腹部膨満感・咽頭、食道のつかえ感・食欲不振・耳鳴りなどにも投与されることが多い。外来レベルでの統合失調症の初期、うつ症状なのか統合失調症なのか診断がはっきりしない場合、身体的不定愁訴などでは第一選択として使用される。しかしうつ病に関しては十分なエビデンスが少なく副作用もあるため長期間投与は奨められない。 一般名【スルピリド】 商品名( )
ドグマチール
67
薬を繰り返し服用すると体が変化し薬の効果を中和しようとする。そのため同じ効果を得るために、よりたくさんの量の薬が必要となる場合がある。また薬の中断は、薬に適応していた身体に対して薬がなくなってしまうことになり( )症状が引き起こされることになる。
離脱
68
定型抗精神病薬のベンズアミド系であるスルトプリドは、スルピリド(ドグマチール)類似の化学構造をもちD1遮断作用はなくより選択的なD2遮断作用をもつ。強力な鎮静作用があり興奮の強い症例に適している。統合失調症と躁病の精神運動興奮・幻覚妄想状態に使用され、躁病患者には炭酸リチウムとの併用で十分な鎮静作用が得られる。特に躁病患者の妄想を認める症例に効果的である。錐体外路症状があるため抗パーキンソン薬の併用は必要だが、認知症の問題行動やせん妄に使用する場合はせん妄悪化リスクがあるため注意が必要である。パーキンソン病や重症心不全には投与禁忌である。 一般名【スルトプリド】 商品名( )
バルネチール
69
定型抗精神病薬のブチロフェノン系であるチミペロンは日本で開発された初のブチロフェノン系抗精神病薬であり、ハロペリドールの2〜2.5倍のドパミン受容体作用がある。ドパミン受容体遮断効果が強い分、錐体外路症状になりやすいため非定型抗精神病薬がメインになっている現在では使用されることは少なくなっている。 一般名【チミペロン】 商品名( )( )
セルマニル, トロペリン
70
抗精神病薬の薬効については比較検査での相対的なものでありエビデンスに基づく正確なものとは( )。
いえない
71
興奮状態の患者に抗精神病薬を投与して鎮静を図ることは、スタッフにとっては問題なく当たり前の行動・処置であると広く認識されているが、患者側にとっては「身体拘束されたほうが良かった」という意見もあるほど身体的・精神的な苦痛を伴う可能性があることを認識したうえで倫理観を失わずに行う必要がある。
その通りである。
72
統合失調症の陰性症状は、「抗精神病薬の長期使用により生じた活動性減退」なのか「統合失調症そのものから生じたもの」なのか区別することが非常に難しい。抗精神病薬が実質的に陰性症状に効果がある(神経伝達物質の変化が実生活の精神行動に良い影響を与えている)というエビデンスは…
確立されていない
73
抗精神病薬の長期内服による有害作用は【錐体外路症状】【遅発性ジスキネジア】【脳萎縮】【代謝異常=体重増加・糖尿病など】【心刺激伝導系延長=QT延長】【内分泌系異常=高プロラクチン血症】【死亡の増加=抗精神病薬が死亡増加に関与していることが示唆されている】などがある。薬物療法の早期開始が統合失調症の悪化を長期的に予防するという考えが一般的に正しいとされているが、はっきりとしたエビデンスは現在でも確立していない。薬物療法を行っている患者が自ら経験した有害作用のために、抗精神病薬の内服拒否を行うという行動は自然な流れであり、単に「コンプライアンスが悪い」と片付けてはいけない問題である。対応としては…
経験した辛い作用を確認したうえで、Drに報告し内服薬の変更や減量を検討してもらう。
74
統合失調症による水中毒の原因は【心因性】【強迫性】【抗精神病薬副作用の口渇】などがあり一般に慢性精神病患者の20%以上に多飲かみとめられるといわれている。水中毒には「うっ血性心不全」「肝硬変」「ネフローゼ症候群」「副腎不全」などの疾患によるものの可能性があるため確認が必要である。また高血糖による多飲との鑑別も必要である。水中毒の検査所見は… ・体重の日内変動が5%以上 ・血中ナトリウム値135mEq/L以下 ・尿比重1.007以下 ・尿浸透圧300mOsm/kg・H2O以下 などがあり、主に血中ナトリウム値の補正を目標とすることが多い。水中毒が重篤化すると痙攣や昏睡などが発症し死に至る場合もある。水中毒の患者に対しては…
水中毒の危険性を説明したうえで定期的な体重測定、血液検査により低ナトリウム血症の有無を把握しながら、飲水量を調整していく。
75
定型抗精神病薬のフェノチアジン系であるプロクロルペラジンはD2遮断、α1遮断、5HT2遮断作用を持ち統合失調症の陽性症状に効果がある。また、ドパミン遮断作用によるCTZ阻害により制吐作用も有し術前、術後の悪心・嘔吐にも使用されることがある。 一般名【プロクロルペラジン】 商品名( )
ノバミン
76
非定型抗精神病薬は第一世代の定型抗精神病薬にかわる安全で新たな効果がある抗精神病薬との認識が一般的であるが、有用性・副作用・特異性などにおいて定型抗精神病薬より優れているとされる明確な線引きやエビデンスは存在せず医薬品業界のマーケティングのためにつくられたという側面は否定できない。そのため薬効を考えるときは、定型抗精神病薬か非定型抗精神病薬であるかということより、薬がどの部分に作用しているのかという作用機序を中心に考える必要がある。非定型抗精神病薬の最初のモデルとなった薬は何というか?
クロザピン
77
統合失調症において精神療法は、会話を用いて患者の話を傾聴することにより、精神の安定をはかる治療であり、否定や大袈裟な肯定などはせずに共感的な態度で行うことが必要である。病識がなく治療拒否をする患者に対しては…
精神疾患によって日常生活に支障が出ていることを認識してもらい治療をすすめる。
78
抗精神病薬は5つの神経伝達物質のいずれかを遮断することによって効果を発揮すると考えられている。5つ全て答えよ。 ・ドパミン受容体 ・ムスカリン受容体 ・セロトニン受容体 ・ノルアドレナリン受容体 ・ヒスタミン受容体
D2, M1, 5-HT2, α1, H1
79
非定型抗精神病薬は作用機序によって3つに分類されている。全て答えよ。
SDA, MARTA, DPA, DSS
80
非定型抗精神病薬のSDA(セロトニン・ドパミン・アンタゴニスト)は、ドパミン(D2)受容体とともにセロトニン(5-HT2)受容体も遮断する作用があり、セロトニンのドパミン放出抑制が緩和されるためドパミン放出量が増える。ドパミン放出量増加に伴い改善されるとされているものを2つ答えよ。 ・中脳皮質▶︎( ) ・黒質線条体▶︎( )
陰性症状, 錐体外路症状
81
20世紀半ばまでは【躁うつ病】の概念はあったが【うつ病】とは人間が外圧に対して当たり前に存在する精神状態だとして病気としては扱っていなかった。しかし抗うつ薬の登場とともに【うつ病】は治療可能な疾患として認知されていった。抗うつ薬の効果として不足しているとされる神経伝達物質は何か? 2つ答えよ。
セロトニン, ノルアドレナリン
82
非定型抗精神病薬のMARTAは、統合失調症の症状に奏効した最初の非定型抗精神病薬であるクロザピンの致命的な副作用の無顆粒球症をなくして作られた歴史がある。しかし効果についてはクロザピンを超えるものは今現在は存在しない。代表的な非定型抗精神病薬は何か2つ答えよ。
クエチアピン, オランザピン
83
統合失調症の治療は「自分より辛い状況でも生きて行かねばならない当事者に尊敬の念を抱いて対峙し治療しなければ効果がない」という医師がいるほど対峙態度が重要であり、必ずしも敬語などに拘らず相手の懐に入る対峙方法が効果を得るものである。
はい
84
抗精神病薬のMARTAは多くの受容体に作用するため副作用の種類も多く、特に( )と( )の出現率は高く注意が必要である。
体重増加, 高血糖
85
非定型抗精神病薬のMARTAの日本語表記を答えよ。
多元受容体作用抗精神病薬
86
非定型抗精神病薬のMARTAに分類されるアセナピンは抗精神病薬の中で唯一の舌下錠であり糖尿病でも使用することができる。M1受容体への親和性は低いため抗コリン系副作用は少ない。陽性症状、陰性症状、気分障害、認知機能改善などの効果があるとされている。舌下錠のため舌下投与では生体内使用35%に対し嚥下してしまうと生体内使用率は2%以下に低下してしまう。 一般名【アセナピン】 商品名( )
シクレスト