問題一覧
1
はかなく口惜しと思して、(げに)ただ人にはあらざりけりと思して、
なるほど
2
八月十五日ばかりの月にいでゐて、かぐや姫、(いと)いたく泣きたまふ。
たいそう
3
乗りたる馬、(いと)かしこしとも見えざりつれども、
たいして
4
沖にては(いとど)風吹きまさりければ、帆をあげたるやうにて行く。
ますます
5
(いとどしき)朝霧にいづこともなく惑ふ心地し 給ふ。
ますますはなはだしい
6
(なかなか)返事して門立てられ、鎖さされては悪しかりなんと思ひて、
中途半端に
7
髪のうつくしにそがれたる末も、(なかなか)長きよりもこよなうもいまめかしきものかな、とあはれに見たまふ。
かえって
8
心づきなき事あらん折は、(なかなか)そのよしをも言ひてん。
かえって
9
風波やまねば、(なほ)同じところにあり。
依然として
10
(なほ)あはれに情け深し。
そうはいってもやはり
11
(なほ)奥つ方に生ひ出たる人、
さらに
12
(さすがに)日は、けざやかにさし出でたるに、
そうはいってもやはり
13
(さすがに)沈みもはてぬを、
そうはいってもやはり
14
(やがて)起きもあがらで、病み臥せり
そのまま
15
(やがて)面影は推しはからるる心地するを、
すぐに
16
かくて翁、(やうやう)豊かになりゆく。
だんだん
17
仮の庵も(やや)ふるさとになりて、
だんだん
18
(すなはち)ただ開きに開きぬ
すぐに
19
(すなはち)、五十の春に迎へて、家を出て世を背けり
そこで
20
君は、塗籠の戸の細目に開きたるを、(やをら)押し開けて
そっと
21
士ども(あまた)具して山へのぼりけるよりなむ、その山を「ふじの山」とは名付けける。
たくさん
22
相人おどろきて、(あまたたび)傾きあやしぶ。
何度も
23
(ここら)の国々を過ぎぬるに、駿河の清見が関と逢坂の関とばかりはなかりけり。
たくさん
24
それが玉を取らむとて、(そこら)の人々の害せられむとしけり。
たくさん
25
(そこら)遥かに、いかめしう、占めて造れるさま、
たいそう
26
日しきりに(とかく)しつつ、ののしるうちに夜ふけぬ。
あれこれと
27
ただ今仕方なく飛び失せなば(いかが)思ふべき
どのように
28
いはんや、龍の頸に玉は(いかが)取らむ。
どうして取ろうか
29
心細げなる有様、(いかで)過ぐすらんと、いと心苦し。
どのようにして
30
若き人々のまねをし笑へど、(いかでか)知らん。
どうして知っていようか
31
(いかで)このかぐや姫を得てしがな、見てしがは。
なんとかして
32
(いつしか)梅咲かなむ。
早く
33
この男(いつしか)入り来て、
いつの間にか
34
「(など)いらへもせぬ」といへば、「涙のこぼるるに目も見えず、とのもいはれず」といふ。
どうして返事もしないのか
35
この女、もし、奉りたるものならば、翁にかうぶりを、(などか)賜はせざらむ。
どうして〜か、いや必ずお与えになる
36
(なでふ)、かかるすき歩きをして、
どうして
37
(なんでふ)物のつくべきぞ。
どうして〜か、いやとりつくばすがない
38
こは、(なでふ)ことのたまふぞ
なんという
39
げに(おのづから)慰みゆく。
自然に
40
(おのづから)打ち当てられて、え飛ばぬあり。
たまたま
41
(おのづから)歌などや入ると思ひて、
ひょっとして
42
(うたて)け近く聞かまほしからず
不快で
43
(かたみに)思ひあふ事限りなし
互いに
44
(わざと)かう御文あるを、僧都もかしこまり聞こえ給ふ
わざわざ
45
(わざと)ありつきたる男となくて、ただ時々通ふ人などぞありける。
特別に
46
(わざとの)御学門はさるものにて、
正式な
47
まことに(さ)にこそ候ひけれ
そのようで
48
大に付き小を捨つる理、まことに(しか)なり
そう
49
(かく)危ふき枝の上にて、安き心ありてねぶるらんよ。
このように
50
問ひつめられて、(え)答へずなり侍りつ。
できなく
51
ここにおはするかぐや姫は、重き病をしたまへば、(え)いでおはしますまじ。
できないだろう
52
(さらに)まだ見ぬ骨のさまなり。
まったく
53
身の後の名残りて、(さらに)なし。
まったく
54
我には、(さらに)な隠しそ。
けっして
55
文は(よに)見たまはじ。
けっして
56
(よに)いみじき夢なり。
実に
57
(おほかた)めぐらざりければ、とかく直しけれども、つひにまはらで、いたづらに立てりけり。
まったく
58
世の中に(たえて)桜のなかりせば春の心はのどけからまし
まったく
59
御文はいみじう隠して、人に(つゆ)見せはべらず。
少しも
60
(つやつや)知らぬ人あり。
まったく
61
勝つべき戦にまくる事も(よも)あらじ。
まさか
62
ときどきおはしましてのち、この宮、(をさをさ)とひたまはざりけり。
ほとんど
63
「(あなかしこ)」と、後へざまにゐざり退きて、
ああ、おそれ多い
64
(あなかしこあなかしこ)、人に語りたまふな。
けっしてけっして
65
落窪の君と(ゆめ)知らず、
まったく
66
ここはけしきある所なめり。(ゆめ)寝ぬな。
けっして
67
ただこの山に我ありといふ事を、(ゆめゆめ)人に語るべからず
けっして
68
や、(な)起こしたてまつり(そ)。
な
69
さらば必ず(かまへて)射よ。
用心して
70
この馬を見て、きはめて欲しく思ひければ、(かまへて)盗まむと思ひて、
必ず
71
これを聞きて、かやうのものをば(かまへて)調ずまじきなり
けっして
72
この法師のみにもあらず、世間の人、(なべて)このことあり。
一様に