問題一覧
1
特殊詐欺対策として、被疑者を現場において検挙するための方策を、以下の3点の場合について簡記しなさい。尚、回答には特に行数の指定はない。また、下記に示したそれぞれの項目の記載は必要はない。 (1) 手交型及び窃取型事案の予兆電話を認知した場合 (2)発生直後の手交型及び窃取型事案を認知した場合 (3) 現場の検挙から首魁、指示役等匿名・流動型グループの実態解明、検挙につなげるための方策
1 被害者の安全確保に万全を期しだまされた振り作戦の実施を検討する。 2 発生直後の場合は、被害者方周辺のエリア警戒を継続しながら、受け子等の追跡捜査を行うとともに、駅やATM等の立ち回り先に対してよう撃捜査し受け子等の検挙に努める。 3 検挙した受け子等や関連事件の在監者の取調べを尽くし、また、押収資料の分析、部門の垣根を越えた関連情報の収集と分析、さらには本部、他県との連携を視野に指揮をする。
2
国際組織犯罪対策及び外国人犯罪の機等に関する記述であるが、内容に誤りがある。誤りの理由を3行以内で記しなさい。 甲刑事課長は署員に対し、来日ベトナム人犯罪について、次の内容を教養した。 令和4年中における来日ベトナム人犯罪の検挙状況は、来日外国人犯罪全体の総検挙件数の41.8%、総検挙人員の35.9%を占め、いずれも国別で中国に次いで2番目に多い。 「特徴的な動向」として、近年「技能実習」や「留学」の在留資格で入国する者が増え、一部の素行不良者がSNS等を介し犯罪組織を形成している。 刑法犯では、窃盗犯(特に侵入盗)が多数を占める状況が続いているほか、ベトナム人同士のけんか等に起因した殺人や賭博における金の貸し借り等に起因したベトナム人グループ内の路取誘、逮捕監禁等の発生もみられる。
『国別で中国に次いで2番目に多い』ではなく、総検挙件数、人員とも国別で最も多いである。 また『侵入盗が多数を占める』ではなく、万引きの割合が高いである。
3
国際組織犯罪対策及び外国人犯罪の機等に関する記述であるが、内容に誤りがある。誤りの理由を3行以内で記しなさい。 外国捜査機関等に対する国際捜査共助要請等 外国の捜査機関等に対して国際捜査共助や国際捜査協力の要請を行う場合は、「相手国との条約等締結の有無」や「必要とする内容」によって活用ルートや手続は異なる。 丙刑事課長は、管内発生の強盗事件の捜査に関し、日本と個別の刑事共助条約を締結していないY国の捜査機関に対して、「証拠の提供」と「強制処分の依頼」が必要であったことから、国際捜査協力の要請を行うこととし、中央当局ルートを活用する旨を部下に指示した。
『中央当局ルート』ではなく、外交ルートである
4
国際組織犯罪対策及び外国人犯罪の機等に関する記述であるが、内容に誤りがある。誤りの理由を3行以内で記しなさい。 「領事関係に関するウィーン条約」加盟国(ウイーン条約に優先する二国間条約等は別論とする。)の国民を逮捕等により抑留した場合、所定事項を告知した上、本人の要請があるときは、遅滞なく領事機関に通報しなければならない。警職法等に基づいて、保護、避難等の措置、制止等一時的に身体の物束を行った場合にも通報義務がある。
『一時的に身体の拘束を行った場合でも通報義務がある』ではなく、通報する義務はないと解されている。
5
国組織犯罪対策及び外国人犯罪の機等に関する記述であるが、内容に誤りがある。誤りの理由を3行以内で記しなさい。 領事官と当該国の被抑留者との接見は、留置場の管理運営及び秩序維持の観点並びに罪証隠滅の防止の観点から、日時、場所又は時間を制限したり、警察官及び通訳人を接見に立ち会わせることができるが、米国又は中国の国籍を有する者と領事官との接見には、立会人を置くことができない。 また、被抑留者が領事官との接見を拒否する意思を明確に表示したときであっても、接見させなければならない。
『中国』ではなく、イギリスである。 『接見させなければならない』ではなく、接見させる必要はないである。
6
国内の薬物事犯は覚醒剤事犯と大麻事犯が大半を占めており、なかでも近年は大麻事犯の増加が著しく、国内における栽培事犯も多数検挙されている。 刑事課長として、大麻の屋内栽培事犯を検挙するにあたり、その着眼点について5項目列挙しなさい。
屋内大麻栽培事犯の着眼点 窓に暗幕や遮光カーテンが引かれている 窓が目張りされている 窓が曇っている若しくは水滴が付いている 電気代が高額 常にエアコンや換気扇が作動している 建物や部屋から異臭がする 葉、茎、根などが大量に入ったゴミを出している
7
A警察署管内において、地域警察官が挙動不窓の男を職務質問したところ、その男には、覚醒剤使用の犯罪経歴があり、左上腕部に真新しい注射も確認できた。 しかし、男は警察署への任意同行や尿の任意提出を拒否するなど、警察官の説得に一切応じないことから、強制採尿の実施に向けた捜査を進めることとした。 刑事課長として、捜索差押許可状(強制探尿令状)の発付後、強制採尿の実施に向けた捜査を指揮する上で、適正な捜査手続を徹底するため、特に留意すべき事項5点について述べなさい。※記述式全覚え
○被疑者の身体への安全とその人格の保護のための十分な配慮 強制採尿に伴う行為は、彼疑者に対し屈辱感等の精神的打撃を与えるものであることから、その実施に当たっては、病院や警察署の医務室等尿の採取に適した場所において、医師をして医学的に相当と認められる方法により行われることが求められている。 ○再度の説得 強制採尿はあくまで最終手段として許容されるものであることに鑑み、令状の発付を得た後も再度任意探尿を促し、被疑者に対する強制採尿の不利益を回避する余地を与える。 ○令状の呈示 被疑者に対しては、採尿場所に同行するに際し、採尿理由及び捜索差押許可状が、発付されている旨を告げたうえ、同令状を被疑者に呈示し、当該合状の効力に基づき連行することを理解させるとともに、その状況を写真撮影する。医師に対しても同様に令状を呈示し、その状況を写真撮影する。 ○採尿場所への強制連行 袚疑者が採尿場所までの同行を拒否するなど、同行が事実上不可能な場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができると解される。 ○適正手続の疎明 強制採尿の一連の経過や状況等を捜査報告書や写真撮影報告書等で明らかにしておく。被疑者からの抗弁に対し、隙のない適正な手続を確保し、公判対策の万全を期すことが重要である。
8
A警察署刑事課では、管内に居住する甲男を覚醒剤使用の容疑で逮捕し、取り調べたところ、甲男が過去複数回にわたり、携帯電話を使用して薬物の密売人に架電し、密売人と接触して覚醒剤を購入していたことが判明した。 刑事課長として、密売人を特定し検挙するために必要な捜査事項を4項目挙げ、それぞれの内容について3行以内で述べなさい。
(1) 本件薬物使用被疑者甲の取調べの徹底 覚醒剤使用により逮捕した 疑者甲に対する取調べを徹底し、覚醒剤密売人との関係、密売人の人相着衣・特徴・通称名・使用携帯電話、覚醒剤を取り引きするに至った経緯、取引き時の状況などについて可能な限り詳細に聴取し、調書化する。 (2) 密売日時、場所の防犯カメラ画像の解析 覚醒剤の取引日時・場所が判明したら、同所周辺の防犯カメラ映像を回収し、画像を甲に確認させるなどにより密売人の特定に努めるとともに、使用車両を割り出し、所有者や運行状況等について捜査する。 (3) 携帯電話に関する捜査 甲は、過去数回にわたり、携帯電話を使用して密売人に架電していることから、甲及び密売人が使用する携帯電話に対する、通話記録の精査、位置探索(過去位置含む)、通信傍受などの捜査を実施する。 (4)密売人の特定と視察内偵 行確等の過程で密売人らしき者の把握に努め、秘置写真撮影し、甲に対して写真面割りを実施するなどして密売人を特定する。 また、密売人らしき者について徹底した行確を実施し、その過程で密売現場を押さえた場合には客足を確保し、同人から供述を得て密売人特定の支えとする。
9
各種予試験の適正運用について、留意すべき事項を6点述べよ。
○ 薬物乱用者特有の身体的特徴、使用痕跡、言動や前科前歴があるか ○ 抗精神病薬、喘息薬又は感冒薬等の処方薬の服用は影響していないか ○ 使用器具、包装・小分け用具等を所持しているか 〇 物質の形状が通常の違法薬物と異なるものではないか 〇風袋の外観、隠置状況等が違法薬物を疑わせるものか 〇 携帯電話機に薬物譲受等に関するメール、写真等は保存されていないか
10
拳銃の押収時の措置について述べよ
1 薬室内の確認と実包の有無の確認 自動式拳銃の場合は、 ① 弾倉を抜き出す ② スライドを後方に引く という作業を行う。 この作業を行うことで、薬室に実包が装てんされていても排出させることができる。 2 証拠保全 指紋滅失、DNA汚染防止や公判対策のため、必ず帽子、ヘアキャップ、マスク、ゴム手袋、腕カバー、足カバー等を着装した上で拳銃に触れること。
11
拳銃判別のポイントについて述べよ
・銃身が貫通しているか? •鋼質性か? (一般的には、鉄製→磁石がつくか?) ・各部の部品は揃っているか? ・刻印はあるか? ・ライフリング(銃腔内に旋状に刻まれた 条溝)はあるか? ※ 弾丸に回転を与えて弾道を安定させるため
12
大麻栽培事犯捜査上の留意事項について、3点述べよ。
▶ 内偵捜査の徹底 体制の確立(本部主管課、近隣警察署との連携) 内偵用捜査カメラ等の活用 関係者、栽培拠点、密売状況の解明 ▶ 広範囲な捜索の徹底 保秘の徹底 関係個所は一斉着手 関連する証拠の漏れのない押収 ▶ 徹底した検証による栽培状況の疎明 多数の栽培器具、複雑な設置状況 各工程、器具の設置状況、大麻の栽培状況の疎明
13
外国人犯罪情勢について(丸覚え)
令和4年中の来日外国人犯罪について、総検挙状況を国籍等別にみると、件数・人員ともベトナムと中国の2か国で全体の約6割を占め、いずれもベトナムが最多となっている。これを罪種等別でみると、強盗及び窃盗はベトナムが最も多く、窃盗の手口別でみると、侵入窃盗はベトナム、自動車盗はスリランカ、万引きはベトナムが最も多い。 また、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べ多人数で組織的に行われる傾向があり、出身の国・地域別に組織化されている場合が多く、来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は、日本人の約2.9倍である。
14
外国治安機関との連携
国際捜査共助を要請するルートのうち「中央当局ルート」は、刑事共助条約(協定)の締結が必要となるが、我が国と条約等を締結している国等は、「米国、韓国、中国、香港、EU、ロシア、ベトナム」の許7カ国、地域である。条約締結により、証拠の提供や強制処分の依頼ができるほか、一層確実に共助が実施され、外交当局を通さないため期間短縮が図られる。 また、国外逃亡校疑者に対する措置として、二国間犯罪人引渡条約があるが、我が国と犯罪人引渡条約を締結しているのは、米国と韓国のみである。
15
匿名流動型犯罪グループの意義について
犯罪グループとは 準暴力団を含む、 SNSを通じるなどした緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す犯罪グループで、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、犯罪によって得た収益を基に各種事業に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する犯罪グループをいう。
16
匿名流動型犯罪グループの対策について
①実熊解明体制・検挙体制の新たな構築・犯罪収益解明班の拡充 ②大規模な繁華街等を管轄する都道府県警察は組対部門、保安部門で専従新体制の構築
17
匿名流動型犯罪グループによる特殊詐欺対策
①大規模都府県は捜査嘱託受理専従所属・室の立ち上げ ②他の道府県は同受理の所要の体制を構築
18
国際海空港手配について(丸暗記)
警察庁から出入国在留管理庁に対し、手配柀疑者の発見・通知依頼をする制度であり、 ①出国確認留保該当者通知、②出入国手配、③旅券手配の3つを総合して「国際海空港 手配」という。このうち、①は入管法に基づく制度であり、②、③は法律に基づく制度ではなく、出入国在留管理庁との協力関係により運用されている。 また①は、手配被疑者を発見した入国審査官は身柄の拘束はできず、「24時間に限り、出国の確認を留保できる」と規定されているため、手配警察署等の関係所属は速やかに対応する必要がある。
19
乗客予約記録(PNR)と手配対象者等情報の照合(丸覚え)
関税法に基づき、日本に到着する国際線航空機の搭乗者等に係る「乗客予約記録」が出発(離隆)の72時間前に航空会社から財務省に報告され、同省の運用するシステムにより、あらかじめ警察庁が同省に提供する「手配対象者等情報」と自動照合され、合致した際、警察に通知される制度である。 早期段階で手配対象者等の予約情報を覚知できるため捕捉態勢を整えやすい。 しかし、報告(通知)時以降にされた予約やキャンセルの情報は把握できない。
20
領事機関に対する通報等について
「領事関係に関するウィーン条約』加盟国(ウィーン条約に優先する二国間条約等は別論とする。)の国民を逮捕等により抑留した場合、所定事項を告知した上、本人の要請があるときは、遅滞なく領事機関に通報しなければならない。警職法等に基づいて、保護、避難等の措置、制止等一時的に身体の拘束を行った場合には通報義務はない。 また、領事官は被抑留者と接見し、信書を発し、弁護人をあっせんする権利を有しているが、被抑留者が接見禁止となっている場合は、領事官には接見禁止の効力が及び、領事官といえども接見はできない。
21
甲警察署A刑事課長が当直責任者として勤務中、「駅前の商店街で酔っ払いの男の暴れ」との110番通報を受理し、地域警察官及び当直の捜査員に臨場を指示した。 現場の捜査員からは、「男の暴れが収まらず、警察官に抵抗するなど精神錯乱の状況が認められたことから、保護する」との報告があった。 保護したB男は、薬物事犯の前科が複数あることが判明した。 当直責任者及び刑事課長として、保護及び薬物事犯捜査に必要な手続を進めるに当たり、特に留意すべき事項を5点述べなさい
○保護の必要性の確認 保護の要件である精神錯乱は、被保護者の言動や態度等の客観的な状況に基づいて判断すべきであることから、通報者等の目撃者の確保、周辺の防犯カメラの回収等により、被保護者の精神錯乱の状況を明らかにし、保護の必要性を確認する。 ○ 薬物使用を念頭に置いた指示 単なる精神錯乱者の暴れと判断することなく、被保護者の言動や犯歴等から覚醒剤等の薬物使用の疑いに着目し、逃走や証拠隠滅の防止に配意するよう指示する。 ○適正な保護手続の実施 保護着手後は、保護室など被保護者のため最も適当と認められる場所を指示し、家族等への通知及び引取りの手配、他機関への手配、保護カードの正確かつ詳細な記録・作成等、保護に伴い必要な手続を確実に実施する。 ○保護と捜査の分離 被保護者に薬物使用の疑いがあっても、保護手続と犯罪捜査を明確に区別し、保護中すなわち正常な判断能力を欠く状態の間に任意採尿を求めることのないよう指示を徹底する。 ○保護解除後の採尿 被保護者に対する採尿手続は、その状態をよく確認し、正常な判断能力が戻ったと認められた時点で明確に保護を解除した後に、任意採尿の説得を始め、同意を得た上で行う。説得に応じない場合には、強制採尿に向けた令状請求を行う。
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最高裁決定が示した強制採尿の要件(丸覚え)
強制採尿が捜査手続上の強制処分として絶対に許されないとすべき理由はなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段 として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたっては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきものと解するのが相当である。
23
情報収集の結果、いろは地区の複数の風俗店等が、A組のX組員に用心棒料を支払っているとの情報を入手した。 この情報を踏まえ、刑事課長として、警部補に対し、どのような方策を指示することが適当か、検討すべき方策を3点、それぞれ3行以内で述べなさい。
○事件化の検討 Xの行為を特定し、強要罪を事実構築できるのであれば立件する。 ○中止命令の検討 事件化が不可能な場合、又は事件化後、不起訴処分になった場合において、中止命令の発出を検討する。 ○再発防止命令の検討 1年以内に指定暴力団員Xが、更に反復して当該暴力的要求行為と類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認める場合には再発防止命令を発出する。
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中止命令の発出要領
公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をしており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該暴力的要求行為を中止することを命じ、又は当該暴力的要求行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。