問題一覧
1
毀棄罪の損壊要件には、物理的に毀損することだけでなく、事実上や感情上その物を本来の用途に従って使用 できなくなることも含まれる。例えば、徳利と鍋に放尿した場合である。では、この物が使用できなくなる侵害 のことを何というか。
効用侵害
2
判例は、ラッカースプレーで公衆便所の外壁に落書きした場合、犯罪が成立すると解している。外観や美観を 著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせたからである。では、この落書き行為に何罪が成立するのか。
建造物損壊罪
3
文書の偽造とは、作成権限のない者が他人の名前を語って文書を作成することである(有形偽造)。文書の責任 者と作成者が一致しない文書を作成し、人格の同一性を偽ることである。では、この他人の名前を語ることを何 というか。
名義の冒用
4
文書の変造とは、他人名義の真正文書に変更を加える権限のない者が、重要でない部分に変更を加えることで ある。それに対して、重要な部分まで変更を加えた場合、新たな文書を作り出したことによって偽造となる。で は、この変造にとどまる部分のことを何というか。
非本質的部分
5
判例は、供託官が発行した供託金受領証を利用して、写真コピーで偽造した場合、犯罪が成立すると解してい る。写真コピーは、機械的に正確な複写物となるので、原本と同程度の証明力をもつからである。では、この偽 造行為に何罪が成立するのか。
公文書偽造罪
6
判例は、弁護士の肩書を名乗り、弁護士報酬の請求書を作成した場合、犯罪が成立すると解している。弁護士 の業務に関連して、弁護士資格を有する者だけが作成できるからである。では、この偽造行為に何罪が成立する のか。
私文書偽造罪
7
文書の作成権限を有する公務員が、真実に合致しない文書を作成すると処罰される (無形偽造)。例えば、免許証の発行担当者が記載内容を偽ることである。では、この作成行為に何罪が成立するのか。
虚偽公文書作成罪
8
公務執行妨害罪(95条)の職務執行には、現に仕事中の公務員に限らず、職務開始直前や仕事に関わる待機状 態も含まれる。例えば、派出所内でトイレ中の警察官に暴行を加えた場合である。では、この職務行為に含まれる要件のことを何というか。
密接な関連性
9
公務執行妨害罪の暴行は、人に対する有形力の行使だけでなく、物に対するものも含まれる。この暴行行為に よって公務執行妨害罪が成立し、現に公務員の職務執行が妨害されることまでは必要でない(抽象的危険犯)。で は、この暴行のことを何というか。
間接暴行
10
判例は、公務員の補助者である私人に暴行・脅迫を加えた場合でも、犯罪が成立すると解している。広義の暴 行・脅迫は、必ずしも直接的に公務員の身体に対して加えられる必要がないからである。では、この暴行・脅迫 行為に何罪が成立するのか。
公務執行妨害罪
11
刑法 103 条の行為手段は、官憲による発見・逮捕を免れるような隠れ場所を提供することである。例えば、被 疑者に自宅やホテルを提供し、隠れ住まわせることである。では、この行為のことを何というか。
蔵匿
12
犯人藏匿罪(103条)の行為手段には、蔵匿以外の方法で官憲による発見・逮捕を免れさせる一切の行為も含 まれる。例えば、雲隠れできるように変装道具や逃走資金を提供することである。では、この行為のことを何というか。
隠避
13
判例は、逮捕・勾留中の者を釈放させるため、身代わり犯人となった場合、犯罪が成立すると解している。身 代わり行為は、捜査の円滑な遂行に支障を生じさせるからである。では、この身代わり行為に何罪が成立するのか。
犯人隠避罪
14
被告人の親族が、刑事裁判で虚偽のアリバイ証言を行うと処罰される。例えば、犯行時に被告人が自宅にいた と母親が証言した場合である。では、この証言に何罪が成立するのか。
偽証罪
15
偽証罪(169条)の虚偽の陳述は、宣誓した証人が裁判で嘘の証言を行うことである。証人の役割は、自己の 体験した事実をそのまま正確に述べることにある。では、判例は虚偽の陳述を何に反することと解しているのか。
自己の記憶
16
判例は、被告人が証人をそそのかして、虚偽の陳述をさせた場合、犯罪が成立すると解している。他人を巻き 込んで自身の罪を免れようとすることは、期待可能性が欠けるといえないからである。では、この虚偽の陳述を させることに何罪が成立するのか。
偽証罪の教唆犯
17
賄賂罪の職務には、公務員が実際に法律上有する権限だけでなく、広い範囲まで含まれる。例えば、神戸市担 当の税務署員が、西宮市の税務署員に口利きをして、西宮市民から賄賂を受け取った場合である。では、この広 い範囲の権限のことを何というか。
一般的職務権限
18
判例は、東京都調布市の警察官の被告人が、東京都多摩市の告発事件の捜査に関連して賄賂を受け取った場合、 犯罪が成立すると解している。警視庁の警察官の職務権限は、東京都の全域に及ぶからである。では、この賄賂 の受領行為に何罪が成立するのか。
収賄罪
19
公務員が職務に関連して賄賂を受け取り、不正な行為または相当の行為を行わなかった場合に処罰される。ま た、不正な行為や相当の行為を行わなかった後に、賄賂を受け取った場合も同様である。では、この不正行為に 何罪が成立するのか。
加重収賄罪
20
行為者が犯罪の告発事件で警察官に対して、捜査情報の提供や捜査関係者への働きかけで便宜な取り計らいを 受けるため、現金を供与した場合に処罰される。では、この供与行為に何罪が成立するのか。
贈賄罪