細菌性食中毒は、感染型と毒素型に大別されるが、感染型のうち、腸管内での増殖の際に産生された毒素が吸収されて食中毒を呈するものを生体内毒素型とする場合もある。

サルモネラ菌属、腸炎ビブリオ、カンピロバクター食中毒のうち、生体内毒素型の食中毒は、サルモネラ菌属によるものである。

細菌性食中毒のうち、現在最も件数の多いものはサルモネラ菌属によるものであり、全体の約６％を占める。

サルモネラ菌属は、熱に弱く、75℃、1分あるいは60℃、20分で死滅する。 また、乾燥や冷凍にも弱く、冷凍処理による食中毒予防が効果的である。

鶏卵は、サルモネラ菌に汚染していることが多く、卵の中の汚染（In egg汚染）の割合は、約10～60%と非常に高い。

エンテロトキシンは、細菌による下痢を起こさせるタンパク質性の毒素の総称で、加熱処理による変性により毒性が消失することが特徴である。

腸管出血性大腸菌O157は、ベロ毒素を産生する菌であり、血便や激しい下痢、溶血性尿毒症症候群と呼ばれる症状を呈するが、健康な成人では発症しないことも多い

腸管出血性大腸菌O157は、感染が成立する菌量が104個以上必要と比較的多く、感染後通常4～8時間で血便、激しい下痢などの症状を起こす。

腸炎ビブリオの原因菌であるVibrio parahaemolyticusは、水産食品によく見られるが、塩分濃度が高いと生育できないため、塩水処理による食中毒予防が効果的である。

カンピロバクター食中毒は、９０年後半に急増した食中毒で、現在、細菌性食中毒ではサルモネラ食中毒に次いで国内発生件数で第２位の食中毒である。

カンピロバクター食中毒の原因菌は、低温に強いが乾燥や加熱には弱い。鶏肉製品からの感染が多く、ギランバレー症候群を発症することもある。

キノコ類による食中毒は、自然毒による食中毒であり、1件当たりの患者数が多いことが特徴である。

ヒスタミン食中毒は、アレルギー様食中毒とも呼ばれ、ヒスタミンから生成するヒスチジンによる食中毒である。

わが国では農薬はポジティブリスト制になっており、リストに掲載されているものは使用できない。

農薬の安全性試験項目の魚毒性試験は、日本は水田が多いために設定されて いる。

ある農薬Ｘは、ADI x 53.3 の値は3,450mg/日、ΣFn・Snの値が2,820mg/日 と計算された。この場合の残留基準は妥当と言える。

農薬として収穫後に農産物に散布することは、国内では禁止されている

炭水化物を多く含む食品でもその食品中のアスパラギンをアスパラギン酸に変換することによって、アクリルアミドの生成を抑制するこ とが可能である。

ヒ素は、生体に対して毒性を示すが、検出されにくいため古来から 毒物として利用されてきた。

食品添加物としての指定を得るためにパブリックコメントを求めることにより審査機関のみによる判断ではなく、広く公に意見を求めることで検討の公正性を有することができる。

食品添加物のうち、既存添加物に分類されるものは増加傾向にある。

アニサキスによる食中毒の予防には、調理に酢を用いて酸性にすることが有効である。

食品添加物指定申請に必要な情報として、製造フローとコストを開示する必要がある。

「にがり」や「すまし粉」は、豆腐用凝固剤であり、塩化Mg、硫酸Ca、グルコノデルタラクトン等を2種類以上含むもののことである。

酵素は、製造工程中に失活し、最終製品で活性が残存していない場合でも表示が必要である。

アスパルテームは、アミノ酸であるフェニルアラニンとアスパラギン酸からなるジペプチドの天然甘味料である。

次亜塩素酸ソーダは、水溶性で強力な殺菌作用と漂白作用を示す。加熱により分解する加工助剤であり、表示は必要ない。

食品衛生を考える上で、「フード・チェーン」の考え方はなぜ重要 なのか述べなさい。

食物アレルギーは、ほとんどがIgEを介さないI型（非依存型）である。

食物アレルゲンの原因となる抗原タンパク質は、一般に熱に安定であるが、プロテアーゼなどの酵素処理には弱い。

鶏卵は固ゆでにすると、白身の加熱凝固によりオボアルブミンのアレル ゲン性が低下する。

カゼインは、乳中のタンパク質の約半分を占め、加熱や酵素処理には弱 いタンパク質である。

セリアック病とは、小麦が原因物質である自己免疫疾患である。

環境中の放射性物質が食品に移行し、その食品を摂取すること で人は外部被爆し、DNA損傷による健康被害を起こすことがある。

1980年代にイギリスで発生したBSEは、感染した牛の脳や脊椎 を原料にした餌（肉骨粉）により、他の牛に感染が拡大していっ たと考えられる。

日本は、国際獣疫事務局より「無視できるBSEリスクの国」と 認定されているが、特別な場合を除き、BSE検査を継続している。

日本国内では、遺伝子組換え食品の安全性検査は義務化されて いる。

遺伝子組換え食品の安全性は、公正性を期すために、申請者以 外の第三者による安全資料に基づき審査されている。

欧州においては、ゲノム編集食品は、従来の品種改良と区別できず、安全性審査、表示不要としている。

「食品安全基本法」の目的は、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図ること」である。

食品安全基本法」は、厚生労働省 食品関係部局が所管する法律である。

「食品衛生法」には、食品などの規格基準と食品添加物の使用基準が定められているが、「乳及び乳製品」は、乳等省令という独立した別の省令で規格・基準が定められている。

健康増進法は、厚生労働省が所管する法律であり、「受動喫煙の防止」は、この法律で定められている。