問題一覧
1
いかが要なき楽しみを述べて、[あたら]、時を過ぐさむ。
もったいなく
2
上の御局といへるところを過ぎけるに、女房たち[あまた]居こぼれて、
たくさん
3
今は[いかで]このわかき人々大人びさせむと思ふより外の事なきに、
何とかして
4
「[いつしか]このことを殿に申さむ」と思ひて前に参りたるに
一刻も早く
5
五月雨は[いとど]眺め暮らし給ふよりほかのことなくさうざうしきに、
ますます
6
(ひちりきは)秋の虫をいはば、鬱虫などの心地して、[うたて]けぢかく聞かまほしからず。
いやで
7
「参らむと思へど、まだ目のあかねば、[え参るまじく]」といへば
参れそうもありません
8
殿のうちにては、[おのづから]聞く人もはべらむ。犬極殿へわたらせたまへ。
たまたま
9
秦兼久行き向ひて、「[おのづから]歌などや入る」と思ひてうかがひけるに、
もしかしたら
10
今夜、こときらむ。文やりて、返り事[かたみに]見て、劣り勝り定めむ。
お互いに
11
この髪は、[おほかた]、歌のありさま知り給はぬにこそ。
少しも
12
見る者[ここら]集まりて、悲しみ憐れまずといふ事なし。
たくさん
13
「この川の水を飲みぬればふたたび妻にあはずと申すなり。[かまへて]飲み給ふな」と仰せけり。
どんなことがあってもお飲みになってはいけません
14
「うき世を知らぬ人は、畜生に人の皮を着せたるとこそ聞きはべれ」と言ふも、[げに]悲しくて、
ほんとうに
15
都を出でし事は、如月の二十日あまりになりしかども、[さすが]ならはぬ道なれば、心はすすめども、はかも行かで、
やはり
16
大事を思ひ立たむ人は、去りがたく心にかからむ事の本意を遂げずして、[さながら]捨つべきなり。
そっくりそのまま
17
連歌は心よりおこりてみづから学ぶべし。[さらに]師匠の教ふるところにあらず。
まったく
18
布施を多く取りたまひたれば、いとうれしくて、[すなはち]母のもとへあひ具してわたりたまへり。
すぐに
19
申すにつけてははばかり候へども、[せめて]問はせたまへば告げたてまつるなり。
無理に
20
それに、まめならむ男どもをゐてまかりて、あぐらを結ひあげて、窺はせんに、[そこら]の燕、子産まざらむやは。
たくさん
21
こは今の世に[たえて]聞こえぬ雅たることばづかひなるを、「其の国にてはなべてかく言ふにや」と問ひければ、
まったく
22
上にはときどき、夜々ものほりて、知らぬ人の中にうち臥して[つゆまどろまれず]、
少しも眠ることができずに
23
多くの人夫して名取河の水底を渡せ、[とかくして]埋れ木を掘りもとめて、料紙、視の箱にものし、それに宮城野の萩の軸つけたる筆を添へて、二条家へまるらせられたり。
あれこれ手を尽くして
24
「今宵かのもの、教へたてまつらむ」と申しければ、いぶかりて、「[とくとく]」とのたまひけるを、
はやくはやく
25
「[などからめざるべきぞ]。たしかにからめよ」とて、また異鬼をおこす。
どうして捕らえられないのか
26
冷泉院の御母后うせたまひてこそ、[なかなか]こよなくおぼえ劣りたまへりとは聞こえたまひしか。
かえって
27
阿閣梨、[なべての人]も読まぬ経、いみじう罪も救ひ給ふを書き出だし て、
普通の人
28
暮れぬれば、帯刀ばかり御供にて、[やをら入らせたまふに]、
そっとお入りになると
29
夜も[やうやう]ほのほのとするほどになりぬれば、
ようやく
30
羽も長くなるさまなれば、飛びてや行かむと思ひて、[やがて]これを捕りて養ひけるとぞ。
すぐさま
31
今宵は御とぎして、[やがてかくて居明かさむ]。月もめづらし。
このままお話して朝まで起きていよう
32
まがまがしく、尼にならむとのたまふなる、まことか。[ゆめゆめ]、しかなおぼしそ。
決して
33
必ず若き人具しておはせよ。うしろめたきことは、[よに聞こえじ]。
決してお願い申し上げますまい
34
動功の賞にあづからせ給ふほどの首は、[よも一つも候はじ]。
まさか一つもございますまい
35
花の色・月の光にも、この世はうきものとのみ思ひ給ひて、[夜もすがら]いつもあくがれ給ひて、
夜通し
36
中納言は内裏にも[をさをさ]参りたまはず、歩きもしたまはず、
ほとんど
37
御調度などばかりなむ、[わざと]うるはしくて多かりける
特に目立っているさま