一歌にことの「飽か」ねば、

魚は水に「あか」ず。

寝ければ、ふと「おどろき」ぬ。

風の音にぞ「おどろか」れぬる

「おどろく」ほどの地震

いといたく「ながめ」給いて

～花桜かな」と「ながめ」ければ、

天照御神を「ねんじ」申せ。

なほ苦しげなれど「念じ」て、

つれづれ「わぶる」人は、なる心ならん。

時を失い、世を「わび」

世にあり「わぶる」女の、

魂はげに「あくがるる」もの

すずろに心地も「あくがれ」にけり。

常に「とぶらひ」聞こえ給へど、

なき人の御菩提をも「とぶらひ」

みな子たかりて「ののしる」。

勢ひ猛に「ののしり」たるにつけて

率て「ありく」もをかし。

聞きもたりて、まねび「ありく」。

面をのみ「守ら」せ給うて

明け暮れ「まもり」て、

川の水干て、悩み「わずらふ」。

暮らし「わずらふ」昨日今日かな。

やまひおこりて、いたく「なやむ」

世の人「悩み」申して

九月ついたちに「おこたり」ぬ。

「おこたる」間なく漏りゆかば、

『万葉』を「あきらめ」むとするに、

いぶせうはべることをも「あきらめ」はべりにしかな

我が「かなし」と思う娘

海人の小舟の綱手「かなし」も

「かなし」と思しつることも失せぬ

仏の道うとからぬ、「心にくし」

小さきものはみな「うつくし」

その日の文「うつくしう」作り給ひて

長く色濃く咲きたる、いと「めでたし」

「めでたき」祝ひの中に涙を流し

うまごまでは、はふれにたれど、なほ「なまめかし」

若う「なまめかしき」御さまなり

とりためけん用意「ありがたし」と、

世の中は「ありがたく」、

妻子を愛見んことも「ありがたし」

それこそ「はづかしき」口つきにはべれ

世には「はづかしき」方もあれど

のたまはむことにつかむ、人聞き「やすし」。

「やさしく」も、面白くも覚ゆべきことなり。

いや「めづらしき」梅の花かも

身の上までかき日記して、「めづらしき」さまにもありなむ。

ひきかへ「めづらしき」心地ぞする。

「なつかしう」、おいらかにおはしまして

子を思い、親を「なつかしく」し、

世の常の十四五よりは「おとなしく」

少し「おとなしき」程になりぬる齢ながら

かしこなる「おとなしき」人して

色好まざらん男はいと「さうざうしく」

天の下にも「あぢきなう」人のもて

「あぢきなき」ことに心をしめて

喜ばしむ楽しみ、また「あぢきなし」。

影「すさまじき」暁月夜に、

遅桜また「すさまじ」

花、蝶やとめづるこそ、はかなく「あやしけれ」。

「あやしき」賎・山がつも、力尽きて、

かく「あさましく」もて来ることをねたく思う。

はては闘諍おこりて、「あさましき」ことどもありけり。

いとは「つらく」見ゆれど

「つらき」こともありとも、

いと「心苦しく」もの思ふなるは、

消えまどへる気色いと「心苦しく」らうたげなれば

まだかかる「わびしき」目を見ず。

なかなか「わびしく」

「わびしから」で過ぐしけり

あな、「あたらし」

「あたらしかり」し御かたちなど

なほ命「うしろめたし」

心地などの「むつかしき」頃

右近は、ただ、あな「むつかし」

「あからさま」と思ひしかども

「あからさまにも」まかで給はず、

いづ方につけても「おろかなら」ざらむこそ

おそろしなども「おろかなり」

一手も「いたづらに」せず

「いたづらに」立てりけり