問題一覧
1
W値とは
荷電粒子が気体に入射した際に、一つのイオン対を生成するために費やされる平均のエネルギーをW値という。W値は荷電粒子の種類やエネルギーによってあまり変化せず、気体の種類によりほぼ一定の値をとる。
2
放射線加重係数
吸収線量が同じであっても、放射線の線質により人体に与える影響が異なるため、その影響の度合いを重み付けするために、用いるのが放射線加重係数であり、吸収線量に放射線加重係数を乗じると等価線量になる。この値はICRPの勧告に基づいており、α線は20、β線およびγ線、X線は1、中性子はエネルギーに応じて2.5〜21となる。
3
安定ヨウ素剤
安定ヨウ素剤とは、放射性でない安定ヨウ素を内服用に製剤化したものであり、(事故等により)原子力施設から放射性ヨウ素が放出された場合に、甲状腺に取り込まれる前に服用することで、甲状腺に安定ヨウ素が蓄積し、甲状腺への放射性ヨウ素の到達を低減することができる。
4
オーバーパック
オーバーパックとは、高レベル放射性廃棄物を地層処分するときに、ガラス固化体を封入する金属製の容器のことであり、ガラス固化体と地下水との接触を防ぐためのものである。設計寿命は埋設後1000年とされており、炭素鋼が材料の有力候補とされている。
5
LD50/30
LD50/30のLD50は被ばくにより、集団の50%が死亡する線量を意味し、30は観察期間を意味する。すなわち、LD50/30は観察期間30日において、50%が死亡する線量を意味しており、半致死量として用いられる。
6
半価層とは
光子が物質を通過する際に、吸収や散乱によって強度が入射強度の半分になるのに必要な厚さを半価層という。
7
線減弱係数
光子が物質を通過する際、吸収や散乱により、強度は指数関数的に減衰し、次の式で表される。 I=Ioexp(-μx) ここで、単位長さあたりに減衰する割合を表すμを線減弱係数という。
8
ビルドアップ係数
ビルドアップ係数は、遮蔽物中で散乱された光子が測定点に入ってくる際に、その寄与分を補正する係数であり、次のように定義される。 ビルドアップ係数=(直接線+散乱線)/直接線 ただし、直接線とは遮蔽物中に入射後に散乱や吸収をされずに通過し、測定点に入ってくる光子を指す。
9
荷電粒子平衡
照射されている物質のある微小体積要素において、放射線により発生してこの微小体積要素から流出する荷電粒子のエネルギーの総和と、流入する荷電粒子のエネルギーの総和が等しい状態を荷電粒子平衡という。照射線量を正しく測定するために、この平衡状態を考慮する必要がある。
10
線量率効果(線量率依存性)
同じ種類で、同じ積算線量の照射であっても、高線量で短時間に照射を受ける場合に比べ、低線量で長時間に照射を受ける場合は、生物に与える影響が減少する。これを線量率効果という。低線量の場合は、放射線によって生じた細胞の障害が照射中あるいは照射後に回復するため、このような効果が起こる。
11
中深度処分
制御棒や炉内構造物等の低レベル放射性廃棄物のうち、比較的放射能レベルが高いものは、地上から深さ70m以上に、コンクリートの建造物を設置し、その中に埋設することとなっている。この処分方法を中深度処分という。
12
等価線量
同一の吸収線量であっても、放射線の線質により生物に与える影響は異なることから、その影響の度合いを重み付けするために、吸収線量に放射線加重係数を乗じたもののを等価線量という。放射線加重係数はICRPの勧告に基づいており、α線は20、β線とγ線、X線は1、中性子はエネルギーに応じて2.5〜21である。
13
空気カーマ
非荷電粒子の照射により、物質中において単位質量あたりに発生した荷電粒子の初期運動エネルギーの総和をカーマと言い、対象物質が空気の場合を空気カーマという。
14
液体シンチレーション検出器が低エネルギーのβ線を高い効率で計測できるのはなぜか
液体シンチレーション検出器は、幾何学的検出効率がほぼ100%であり、β線の線源による自己吸収、後方散乱、検出窓による吸収などの影響を受けないため。
15
NaIシンチレーション検出器において、プラスチック製のキャップを被せる理由
γ線とβ線が同時に存在する環境下において、γ線のみを測定したい場合に、キャップを被せることで、β線を遮蔽し、効率よくγ線のみを測定できるため。
16
γ線分光分析において、NaIシンチレーションより半導体検出器の方が有効な理由は
半導体検出器は、NaIシンチレーション検出器よりエネルギー分解能が優れていることから、より近いスペクトルのピークを分離できるため。
17
電子式個人線量計について、利点と主な検出器
電子式個人線量計は、読み取りにリーダが不要でリアルタイムに直読ができる、あらかじめ設定した線量に達すると、音や光などで警告する機能をつけることができるといったメリットがある一方で、物理的衝撃に弱く、強い電磁波により偽計数を生じるといったデメリットもある。主に用いられる検出器の種類はSi半導体検出器である。
18
ホールボディカウンターで用いられる検出器の種類と計測される核種
ホールボディカウンターは、体内にある放射性物質から放出されるγ線を検出することにより、内部被ばくを測定する装置である。検出器には主にNaIシンチレーション検出器やGe半導体検出器が用いられる。また主な計測核種は、137Csや60Co、40K等である。
19
固体捕集法(トリチウム水の放射能濃度測定)について
固体捕集法は、モレキュラーシーブ等の吸着剤にトリチウム水を吸着し、その後加熱、発生した水蒸気を再び冷却して、試料水を得る。この試料水を液体シンチレーション検出器で測定し、測定した放射能濃度、吸着水分量、通気した空気量から放射能濃度を求める。測定において、モレキュラーシーブ等の吸着剤は、使用前から水分を含んでいる可能性があるため、考慮する必要がある。
20
ミルキング
放射平衡が成立している親核種と娘核種から、娘核種のみを繰り返し単離することをミルキングという。親核種の半減期が娘核種に比べ、極端に長い場合、娘核種を取り除いても、親核種から生成し、再び放射平衡に達するので、何回でも繰り返し単離することができる。
21
電子対生成
(光子と物質との相互作用であり、)光子が原子核の強い電界に吸収され、電子と陽電子を生成する反応を電子対生成という。電子と陽電子の質量を生成するためには、光子のエネルギーは、電子の静止質量エネルギーの2倍の1.022MeV以上である必要がある。
22
ゲルマニウム半導体検出器
Ge結晶を利用した半導体検出器である。半導体は導体と絶縁体の中間の物質であり、この内部に空乏層を作ると、この空乏層に放射線が入射した際に、正負の電荷が生じ、電流が流れ、放射線を検出できる。 また、Geは常温では、検出器として働かないため、液体窒素で冷却して使用する必要があるが、エネルギー分解能が優れているため、核種同定に用いられる。
23
バイオアッセイ
バイオアッセイは尿や糞などの排泄物に含まれる放射性物質を測定し、排泄率関数を用いて体内の放射性物質の量を算定する方法である。α線やβ線などの体外計測では測定できない放射線を出す核種の測定に用いられる。試料の採取や調整に手間がかかるという欠点がある。
24
生物学的効果比
吸収線量が同じでも、放射線の線質の違いにより、生物に及ぼす影響は異なる。この違いを表したのが、生物学的効果比であり、対象となる放射線と基準とする放射線が生物に同じ影響を与える際に、後者の線量を前者の線量で割った値として定義される。基準となる放射線には、γ線やX線がよく用いられる。
25
液体シンチレーションカウンタ
トルエンなどの溶媒に、PPOなどの蛍光物質を溶かし込んだ液体シンチレータに試料を直接溶かし、試料からの放射線で生じる蛍光を光電子増倍管で増幅し、電気信号に変換することで測定する測定器である。 幾何学的検出効率がほぼ100%であり、線源による自己吸収、後方散乱、検出器の窓による吸収などの影響を受けないことから、低エネルギーのβ線を放出するトリチウムなどの測定に用いられる。
26
浅地中トレンチ処分
低レベル放射性廃棄物のうち、比較的放射能レベルが低い廃棄物について、天然バリアの覆土層が数mの程度の浅地層に埋設処分する方法をいう。 埋設後は、地下水中の放射性物質濃度の監視や、掘削等の制限・禁止などの管理が必要であるが、50年程度経過すると、建物の建築や農耕地利用などの一般的な利用が可能となる。
27
コンプトン効果
光子が軌道電子と衝突し、自らのエネルギーの一部を電子に与えることで、電子を弾き飛ばして、自らは電子に与えた分のエネルギーだけ失って散乱する現象をいう。衝突の前後において、運動量と運動エネルギーが保存されるため、光子が失うエネルギーが大きいほど、散乱角が大きくなる。
28
大気安定度
(大気中に放出された放射性物質の拡散による風下濃度は、風向・風速と大気安定度に依存する。)大気安定度とは、放射性物質の大気中での拡散の程度を表すパラメータであり、風による力学的要因と、温度勾配等による熱力学的要因がある。原子力施設では、放射性物質の拡散評価において、不安定から安定に向かってA〜Fの6段階に分類し、評価する。
29
確定的影響
放射線による影響が発生する線量にしきい値がある場合の影響を確定的影響という。線量の増加に伴い、症状の重篤度が増加する。ガン・遺伝性影響を除く、全ての影響が該当し、白内障・脱毛・不妊等がある。
30
空欄を埋めよ
①被ばく線量②蓄積状況③異常④結果⑤緊急事態
31
トリチウムの空気中濃度限度のうち、元素状水素、水、有機物の低い順は?その理由は?
有機物→水→元素状水素 化学形態の違いにより体内の残留時間が異なるため、被曝の程度が異なることから、濃度限度が異なる。元素状水素は生体と不活性のため、体内残留時間が他の二つに比べ短いことから、限度が高い。また水は、そのほとんどがそのまま排出されるが、有機物は体内に取り込まれやすいため、水より残留時間が長くなる。よって体内残留時間が長い順に、有機物→水→元素状水素となるため、限度が低い順は有機物→水→元素状水素となる。
32
熱ルミネセンス線量計(TLD)
熱ルミネセンス線量計に放射線を照射すると、結晶中に自由電子が生じ、この自由電子は格子欠陥に捕捉される。結晶を加熱すると、自由電子は解放され、吸収線量に比例した蛍光を発生するため、この蛍光を測定することで、線量を測定することができる。安価で軽量、衝撃にも強く、繰り返し使用可能であるが、一度読み取ると、再読み取りができない。
33
OSL線量計
OSL線量計に放射線を照射すると、結晶中に自由電子が生じ、この自由電子は格子欠陥に捕捉される。この状態の結晶にレーザ光などを照射すると、自由電子は解放され、吸収線量に比例した蛍光を発生し、この蛍光を測定することで、線量を評価する。OSL線量計は、高感度で、広い線量範囲で測定できる、フェーディングがほとんどないといった利点があるが、読み取りが一度しかできず、再読み取りができない。
34
固体飛跡検出器
固体飛跡検出器はプラスチック等の絶縁性固体中に記録された重荷電粒子の飛跡をエッチングによって拡大し、その大きさや形状を光学顕微鏡で観察し、線量を測定する。X線やγ線に不感であること、小型で安価であること、電磁場の影響を受けないなどの特徴がある。
35
放射線の晩発影響
放射線による身体的影響は、被ばく後数週間以内に影響現れる早期影響と、数ヶ月以降に影響が現れる晩発影響がある。晩発影響の代表的なものとしては、白内障、がん・白血病がある。
36
LNTモデル
確率的影響はしきい線量がなく、放射線防護上、低線量での影響が明確でないため、その発生確率は線量に比例して増加すると仮定している。この仮定を表したものがLNTモデルであり、(放射線防護上、安全側の考え方に基づいて導入されている。)
37
実効半減期
放射性物質を体内に摂取すると、摂取した放射性物質の崩壊による物理的半減期と、代謝や排泄による生物学的半減期の両方の影響で半減するまでの時間を実効半減期という。実効半減期te、物理学的半減期tp、生物学的半減期tbは以下の関係がある。1/te=1/tp+1/tb
38
内部転換電子とオージェ電子
励起状態にある原子核が基底状態に遷移する際に、γ線を放出せずに、そのエネルギーを軌道電子に与えることで、軌道外に電子を放出する現象を内部転換といい、この時放出される電子を内部転換電子という。 一方、励起状態にある原子が特性X線を放出せず、軌道電子にエネルギーを与え、軌道外に電子を放出しすることで、より安定なエネルギー状態に遷移することをオージェ効果といい、この時放出される電子をオージェ電子という。
39
線エネルギー付与とその単位
荷電粒子が物質中を通過する際に、単位長さあたりの物質に与えるエネルギーの量を線エネルギー付与という。単位はkeV/μmが用いられることが多い。
40
管理区域
炉室、使用済燃料の貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設等の場所であって、その場所の外部放射線に係る線量、空気中の放射性物質の濃度、放射性物質による汚染物の表面の放射性物質の密度が原子力規制委員会の定める線量、濃度、密度を超える恐れのある区域をいう。
41
放射線作業従事者が常時立ち入る場所の空気中の放射性物質の濃度限度
放射線作業従事者の週あたりの内部被ばくを1m Sv以下に抑制するため、法令で作業者が常時立ち入る場所の空気中の濃度限度を放射性核種ごとに定めている。この濃度限度に呼吸率、1週あたりの作業時間、線量係数をかけると、内部被ばくの実効線量は1m Sv相当となる。
42
急性放射線症
高線量の放射線により被ばくした直後から数ヶ月の間に現れる早期影響による障害をいう。症状としては、皮膚の紅斑、潰瘍、脱毛、白血球の減少、宿酔などがあり、さらに多量の放射線を浴びると死に至ることもある。
43
作業環境モニタリング
モニタリングの種類には、外部放射線、空気汚染、表面汚染があり、法令により測定項目、測定場所、測定頻度が定められている。作業前、作業中、作業後のモニタリングを通し、作業者の被ばく低減に重要な役割を果たしている。(また結果に異常がなければ環境と作業者の安全性が保持されていることを迅速かつ客観的に確認できる。)
44
実効線量
全身が均一に照射されても、不均一に照射されても、また放射線の線質が変わっても、確率的影響のリスクを評価できるように作られた線量概念である。臓器・組織ごとの吸収線量に放射線加重係数をかけたものが、等価線量であり、その等価線量に組織加重係数をかけ、全ての臓器・組織について足し合わせたものである。
45
ビルドアップ係数の変化する条件
・放射線のエネルギー ・遮蔽体の材質 ・線源と遮蔽体の幾何学的条件 ※遮蔽体が薄い時は、ビルドアップ係数B≒1となる。
46
肺モニタ
肺モニタは、肺に吸入沈着した239Pu等の放射性物質を計測するための装置である。プルトニウムの場合は、239 Puから放出される低エネルギーX線を検出するものである。体内での吸収や肺中での239Puの分布の相違等の補正が必要であるため、正確な定量は容易ではない。
47
制動X線
高速で移動する電子などの荷電粒子が原子核の近傍を通過する際に、その電界によって減速され、その際失ったエネルギーをX線として放出する。この現象を制動放射と言い、放出されるX線を制動X線という。制動X線のエネルギーのスペクトルは連続である。
48
預託実効線量
内部被ばくは放射性物質を摂取した時点から始まり、放射性物質がなくなるまで続くことになる。このため、内部被ばくは摂取した時点から将来のある時点までの預託された総量として評価する必要がある。この預託された総量を実効線量として表したものが預託実効線量であり、預託する期間は一般には、成人に対しては、50年、子供については70歳までとしている。
49
OIL
運用上の介入レベルのことであり、原子力施設で異常が発生した際に、オフサイトの線量に基づき、住民等の防護措置を実施する判断基準をいう。国はオフサイトにおける環境モニタリングの結果を、あらかじめ作成されたOILと整合し、住民等の防護措置の準備、実施を指示する。(OILはOIL1から6まであり、避難等が必要なレベルから、飲食物の摂取制限が必要なレベルまで線量に基づき、6段階で設定されている。)
50
照射線量
X線またはγ線が単位質量の空気を照射した際に、電離により発生する電荷量を照射線量という。単位はC /kgで表される。
51
1センチメートル線量当量
人体組織等価物質で作られた直径30センチのICRU球に平行かつ、一様に照射した際に球の表面より1cmの深さにおける線量当量を1センチ線量当量という。
52
個人線量当量
人体上のある特定の点における軟組織の深さdにおける線量当量と定義されている。dの値としては、深部組織に対しては1cm、眼の水晶体に対しては3mm、皮膚については70μmが推奨されている。
53
ICRPの基本勧告で示される放射線防護の目的として、確定的影響と確率的影響を抑制するための考え方は
確定的影響を防止し、確率的影響の発生を容認できるレベルに抑えること
54
行為の正当化とは
ICRPの1977年勧告の中で示された3つの放射線防護体系の一つであり、被ばくを伴う全ての行為はその導入により、損害を便益が上回り、正味のプラスを生むものでなければならないという原則
55
防護の最適化とは
ICRPの1977年勧告における3つの放射線防護体系の1つであり、全ての被ばくは、経済的及び社会的要因を考慮したうえで、合理的に達成可能な限り低く抑えなえればならないというalaraの原則に基づいたものである。
56
線量限度について、実効線量だけでなく、眼の水晶体と手先および足先の等価線量を設定している理由は
実効線量を制限することにより、臓器・組織に確定的影響を及ぼさないことが確実になったが、部分被ばくが考えられるため、眼の水晶体、手先及び足先に関しては、等価線量が制限されている。
57
倍加線量
自然突然変異率を2倍にするのに必要な放射線量を倍加線量といい、倍加線量に基づき、放射線被ばくによる遺伝的影響を評価する方法を倍加線量法という。人間の場合、倍加線量は1Gyとされている。
58
PAZとUPZ
原子力災害時に確定的影響を防止するために、EALに基づき即時避難の実施など、放射性物質の放出前段階から予防的防護措置を実施する区域をPAZといい、原子力施設から概ね5kmを目安としている。 また、確率的影響を低減するためにEALやOILに基づき、屋内退避や安定ヨウ素剤の服用などの緊急時防護措置を準備する区域をUPZといい、原子力施設から概ね30kmを目安としている。
59
確率的影響
影響が生じるしきい線量がなく、線量の増加に伴い発生頻度(確率)が上昇する影響を確率的影響といい、がん及び遺伝的影響がある。
60
外部放射線被曝防止の3原則
時間、距離、遮蔽の3つである。時間は作業者の被ばく時間を短くすることで、被ばく線量を低減することである。距離は放射線源と作業者との距離を長くすることで、被ばく線量を低減することである。遮蔽は放射線源と作業者との間に遮蔽物を設置することにより、被ばく線量を低減することである。
61
液体捕集法(トリチウム水の放射能濃度測定)
水バブラ、カラム、流量計及び吸引ポンプ等を用いて、空気中のトリチウム水を水に捕集する。採取した水を液体シンチレーションカウンターを用いて測定し、空気中のトリチウム濃度を間接的に測定する。 水バブラに捕集されたトリチウム量とその捕集効率及び水バブラを通した空気の流量から算出するため、サンプリング流量、積算空気量等の把握に留意する必要がある。
62
直接測定法(トリチウム水の放射能濃度測定)
トリチウムを含んだ空気を採取して測定する空気捕集型電離箱を用いて測定する。 空気を電離箱に直接封入して測定するため、トリチウム以外の放射性物質が混在している場合に、分離測定が困難である。
63
放出管理目標値
原子力発電所では放射性物質の放出に伴う周辺公衆の被ばくを低減するために、周辺公衆の線量目標値が定められている。この線量目標値から、(年間または平均の)放出率の目標値として定められたものが、放出管理目標値であり、これを超えないように管理している。
64
ALARA
ICRPの1977年勧告における3つの放射線防護体系のうちの1つである「防護の最適化」の中で示されている概念である。全ての被ばくは、経済的及び社会的要因を考慮した上で、合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるという意味であり、as low as reasonably achievable の頭文字をとったものである。
65
組織加重係数
(等価線量が同じであっても、)組織・臓器によって確率的影響の発生確率は異なるため、その影響の度合いを重み付けするための係数を組織加重係数という。組織・臓器ごとの等価線量に組織加重係数をかけ、全ての組織・臓器について合計したものが実効線量である。
66
ベルゴニー・トリボンドーの法則
細胞の放射線に対する感受性を表した法則であり、細胞分裂の頻度が高いほど、将来行う細胞分裂の数が多いほど、形態・機能が未分化なほど、放射線に対する感受性が高いというものである。
67
光電効果
(光子と物質の相互作用であり、)光子の全エネルギーを軌道電子に与え、自らは消滅する現象である。この時、軌道から放出される電子を光電子と言い、光電子の運動エネルギーは光子のエネルギから光電子の結合エネルギーを引いた値となる。
68
体外計測が使えず、バイオアッセイしかないものを2つ答えよ。またそれぞれ、その理由とバイオアッセイのやり方を答えよ。
①トリチウム トリチウムは低エネルギーのβ線放出核種であり、γ線を放出しないため、体外計測法を適用できない。トリチウムはトリチウム水の形で体内に摂取してしまうことが多いので、尿を採取して液体シンチレーションカウンタで測定し、排泄率関数を用いて摂取量を評価する。 ②天然ウラン 天然ウランはα線放出核種であり、γ線の放出が極めて少ないため、体外計測法を適用できない。また酸化ウラン等の化合物は不溶性であるため、尿だけでなく糞便も採取する。ウランは比放射能が低いため、蛍光分析により測定を行い、排泄率関数を用いて摂取量を評価する。
69
蛍光ガラス線量計
銀イオンを含むリン酸塩ガラスに放射線を照射し、その後紫外線で刺激すると蛍光を発する。この蛍光は吸収線量に比例するため、蛍光を測定することにより、線量を測定することができる。これが蛍光ガラス線量計の原理である。 また蛍光ガラス線量計は、繰り返し読み取りが可能で、フェーディングが少ないといった特長がある。
70
線量当量
実際には測定できない「実効線量」の代わりに、一定の条件のもと、実効線量とほぼ同じ値が測定で得られる「実用量」として定義される線量概念。
71
放射線に対する感受性が高い組織・臓器は
リンパ組織、骨髄、乳房