強制執行としての不動産競売では、執行文の付された債務名義の正本が必要であるが、担保権の実行としての不動産競売では、債務名義は不要である。

執行裁判所が扱う競売事件のうち、形式的競売事件は、強制執行や担保権の実行手続と同様に、請求権の内容を満足させることを目的としている。

債務者の財産の開示とは、金銭債権の債務名義を有する債権者の申立てがある場合で、配当手続において債権者が金銭債権の完全な弁財をえられない旨の疎明があったときに、債務者が財産開示期日に出頭して財産について陳述する制度である。

競売の申立債権者は、残債権の一部のみを請求権として競売の申立てをした場合、後日、当該請求権につき残債権の全部に拡張することはできない。

民事執行法では執行手続の迅速化を確保するために、請求権の内容や存否について実質的調査をする機関（判決機関）とこれを実現する機関（執行機関）を分離させている。

わが国において、自力救済は原則的に禁止されているため、執行は、債権者の申立てにより国家機関が執行し、この民事執行を行う国家機関を執行機関と呼ぶ。

民事執行法上の執行機関には、執行裁判所と執行官があり、職務権限が配分されている。

強制執行事件の当事者は、申立書の記載によって確定される。

登記をすることができない土地の定着物も含め、不動産であれば、不動産競売の対象となる。

強制執行は、口頭又は書面による申立てにより開始する。

申立権者は、債権について「残元本の額」「未払利息の額」「遅延損害金」「期限の利益喪失の有無」等の確認をする必要がある。

不動産競売を申し立てた場合、執行裁判所から相手方（債務者・所有者）への書類の送達・通知がされる。

不動産競売の申立書には、標題及び不動産競売を求める旨、裁判所の表示、申立年月日等を記載しなければならない。

不動産競売の申立権者は、不動産競売の手続に必要な費用として裁判所書記官が定めた金額を、不動産競売の申立後、遅延なく納めなければならない。

担保権の実行としての不動産競売の申立権者は、担保権の登記に関する登記事項証明書を提出した者である。

不動産競売の申立書には、標題及び不動産競売を求める旨を記載しなければならない。

不動産競売の申立書には、発行後1か月以内の不動産登記事項証明書、公課証明書などが添付書類として必要となる。

不動産競売の申立人は、競売手続の開始が決定され、かつ、差押えの登記がされた後であっても、入札期日等において買受の申出がある前であれば、いつでも原則として自由に競売の申立てを取り下げることができる。

競売の申立の取下げは、執行裁判所に書面を提出して行わなければならない。

適法な取下げがされると、競売手続は終了し、差押えは遡って消滅した上、債務者（所有者）が差押後にした処分行為も無効となる。

売却許可決定の確定後、代金納付までの間に競売の申立を取り下げるには、買受人の同意が必要となる。