問題一覧
1
空き巣目的で侵入先を物色している者が、 もし窃盗の着手後に家人に発見された際には脅迫を加えて逮捕を免れようとナイフを隠し持っていた場合、 強盗予備罪が成立する。
○
2
不正の手段により国民健康保険被保険者証の交付を受けても、詐欺罪は成立しない。
×
3
詐欺罪の客体は、他人の占有する他人の財物であることが必要であるところ、他人の占有に属し、又は公務所の命令によって他人が看守している場合であっても、自己の物である限り、人を欺いて財物の交付を受けても詐欺罪には当たらない。
×
4
詐欺罪における欺く行為の相手方は、 財産的処分行為をなし得る地位や権限を有する者であれば足り、必ずしも、財物の所有者又は占有者であることを要しない。
○
5
詐欺罪における欺く行為は、 言語・動作によることを要するから、相手方の錯誤を利用した不作為による欺く行為では、本罪は成立しない。
×
6
甲は、拾得した他人のかばんに入っていた財布の中のキャッシュカードを使用し、 本人に成り済まして銀行の現金自動預払機で現金を引き出した。 甲の行為は、詐欺罪に当たる。
×
7
甲がAに借金返済を要求したところ、AからA名義のクレジットカードの交付を受けた。 甲は、 決済するだけの金があるとは思わなかったものの、 A本人の承諾があったことからAに成り済まし、当該カードを利用して商品を購入した。 甲には、詐欺罪が成立する。
○
8
X会社社員甲は、担当している顧客から集めた現金を自己の借金の返済に充てようと、 当初から会社に納金する意思がないのに、 X社の請求書と領収書を使って顧客であるY 会社から集金し、 それを借金の返済に充てた。 甲には、 詐欺罪が成立する。
×
9
欺く行為に基づく処分行為により財物の交付を受けた行為者が、相当な対価を支払ったとしても、 詐欺罪が成立する。
○
10
店員が、 商品購入の代金として、客から1万円札を受け取ったが、その際に 「これは千円札ですよ。」とうそを言い、自己の千円札を交付して、 誤信した客に再度1万円札を支払わせた場合のように、 人を欺く手段として対価の交付があったときでも、その被害額は交付された対価を差し引いた額ではなく、 だまし取られた財物の全てである。
○
11
詐欺罪の実行の着手時期は、行為者が人を欺く行為を開始した時であり、これにより相手方が錯誤に陥ったかどうかを問わない。
○
12
詐欺罪の実行の着手時期は、財物を詐取する目的で人を欺く行為を行った時であるから、放火による保険金詐欺については、詐欺の目的を秘して保険契約を結んだ時に着手が認められる。
×
13
詐欺罪は、「財産上不法の利益」 を得ることによっても成立するが、この「不法」とは、財物取得の手段が不法であることを意味し、財産上の利益自体が不法のものという意味ではない。
○
14
ホテルの宿泊客甲が、 宿泊後に代金を支払う意思がなくなり、 従業員に対して 「散歩に行って来る。」 と告げただけでそのまま逃走した場合、 詐欺罪は成立しない。
○
15
いわゆる釣銭詐欺は、 不作為によって成立するものであるから、店員が釣銭を多く渡したことに気付きながら領得しても、帰宅してから気付いて領得しても、 甲に詐欺罪が成立する。
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16
甲は 出会い系サイトを通じて知り合った A女に対して5万円で本番 (性交) までやらせるという約束を取り付け、 ホテルで性交した。 その後、 甲は、 「銀行から現金を下ろしてくる。」 と言ってホテルを立ち去って、 売淫料の支払を免れた。 この場合、 甲は詐欺罪の刑責を負う。
×
17
未成年者の知慮浅薄に乗じて財物を交付させた場合には準詐欺罪が成立するが、 未成年者に対する場合であっても、欺く行為を用いて錯誤に陥れ、財物の交付を受けた場合には、準詐欺罪ではなく詐欺罪が成立する。
○
18
甲が他人のキャッシュカードを不正に使用して、 現金自動預払機を操作し現金を引き出す行為は、 電子計算機使用詐欺罪に当たる。
×
19
信用金庫の為替係員が端末機を操作して、 実際には振込依頼を受けた事実がないのに、 振り込みがあったとする虚偽の情報を与え、磁気ディスクに記録された共犯者の預金口座の残高を書き換えた場合には、 電子計算機使用詐欺罪が成立する。
○
20
恐喝罪における脅迫は、脅迫罪とは異なり、 相手方又はその親族等の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する害悪に限られず、 例えば、相手方の婚約者に対する害悪を内容とする告知でもよい。
○
21
恐喝罪における恐喝行為の相手方は、財産上の被害者と同一である必要はないが、恐喝の相手方と財産上の被害者が別人であるときは、恐喝の相手方は、財産上の被害者の財産を処分し得る地位又は権限を有していなければならない。
○
22
恐喝罪の手段である脅迫は、 人に畏怖の念を生じさせるものであれば足りるが、 その判断基準は、 具体的状況における被脅迫者の主観を基準として、 畏怖の念を生じたかどうかにより決 せられる。
×
23
会社員甲は、 主婦Aが指輪を万引きしたのを目撃したことから、これを取り上げて換金しようと考え、 警察官を装って同女を呼び止め、「盗んだ物を出しなさい。 場合によっては逮捕する。」 と申し向けたところ、逮捕されては大変なことになると恐れたAが指輪を差し出したのでこれを受け取り、 後日呼び出す旨を告げて立ち去った。 この場合、 甲は、恐喝罪の刑責を負う。
○
24
恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させた場合に成立するところ、財物交付の相手方は恐喝をした者に限られないので、恐喝行為者と全く関係ない第三者に財物を交付させた場合であっても、恐喝罪が成立する。
×
25
恐喝手段が加えられ財物の交付があった場合には、たとえ相手方がその恐喝行為によって畏怖心を生じたものではなく、隣憫の情から財物を交付したとしても、恐喝罪は既遂となる。
×
26
甲は、後輩Aからバイクを借り受けようとしたところ、これを断られたため、同人の胸倉をつかみ、 「貸さないと殴るぞ、この野郎。」と脅迫してバイクの鍵の交付を受け、 約2時間にわたって当該バイクを乗り回した後、 Aに返還した。 甲には、恐喝罪が成立する。
○
27
脅迫文を郵送する郵便利用による恐喝罪の着手時期について、判例は、脅迫文を発送した時点で着手を認めているので、脅迫文を投かんすれば、 宛名に誤りがあり別の場所に配達されたとしても、1項恐喝罪の未遂が成立する。
×
28
債権者が債務の弁済を受けるため、 債務者を脅迫して財物を交付させた場合、 判例は、 債務の範囲内であれば脅迫罪が成立するにとどまり、債務の範囲を超えた場合には、超過分について恐喝罪が成立するとしている。
×
29
暴走族のリーダー甲は、 対立する暴走族のAが不良仲間から腕時計を喝取したことを知り、 これを脅し取ろうと考え、 「お前の持っている腕時計は恐喝した物であることは分かっている。 警察に捕まりたくなければ黙って出せ。」 とAを脅して交付させた。甲には、恐喝罪、 盗品等無償譲受け罪が成立する。
○
30
2項恐喝罪にいう「不法の利益」とは、財産上の利益自体が不法であることを意味するものではなく、利益取得の手段、 方法が不法であることをいう。
○
31
横領罪には、 刑法244条 (親族間の犯罪に関する特例) が準用されるので、 同居する親族からその所有物の保管の委託を受け、これを横領した場合には、 その刑が免除される。
○
32
横領罪における「占有」は、窃盗罪における占有の内容より広く、事実上の支配だけではなく、不動産の登記等による法律上の支配も含まれる。
○
33
不動産の占有は、原則として登記簿上の名義人に属するが、他人の不動産について、 仮装の売買により登記簿上の名義人となった者は、占有者とはならない。
×
34
情報自体は横領罪の客体とはならないが、 情報が USB メモリ等の記録媒体に保存された場合、 当該記録媒体は横領罪の客体となる。
○
35
X タクシー会社の運転手甲は、客Aを乗せて、Aの自宅マンション前に到着したが、 Aが 「財布を会社に忘れてきた。 自宅から金を持ってくる。 それまで腕時計を置いていく。」 と言っさて、後部座席に腕時計を置いて代金を取りに行ったので、 代金よりも当該腕時計を売却した方が得であると考え、Aが降車してすぐにタクシーを発進させた場合、 横領罪が成立する。
×
36
横領罪が成立するためには、故意のほかに不法領得の意思を必要とし、ここでいう不法領得の意思は、 目的物を自己のために領得する意思に限らず、 第三者のために領得する意思も含む。
○
37
横領罪における「不法領得の意思」 は、自己の占有する他人の物を処分しようとする意思であるが、 その処分時において、後に返還し、又は補填する意思がある場合には、 不法領得の意思があるとはいえない。
×
38
横領罪の既遂時期は、自己の占有する物について具体的な処分行為をした時点であり、不法領得の意思が外部から認識し得る状態で表現されたにすぎない場合には、 横領罪は未遂である。
×
39
自己所有の不動産を他人に売却した後、 まだ所有権移転登記手続をしていないことを利用して、 売主が自己の物としてこれを別の者に二重に売却し、 その所有権移転登記を完了した場合、横領罪は成立しない。
×
40
業務上横領罪の主体は、委託を受けて他人の物を占有する者であるとともに、その物を占有することを自らの業務としている者でなくてはならない。
○
41
業務上横領罪は、その主体が他人の物の占有者であるとともに業務者であるという二重の意味での身分犯であるが、在職中に会社から借り受けた顧客名簿を、 退職後間もなく他に売却した場合、売却時には従業員としての身分を失っているので、単純横領罪が成立する。
×
42
会社の顧客からの集金業務に従事している甲が、 自己の借金返済に困ったため、顧客から集金した現金を借金返済に充てることを考え、会社に納金する意思がないのに通常の集金を装い、会社が発行した正規の領収書を使用して集金をし、その現 金で借金の返済をした場合、 業務上横領罪が成立する。
○
43
大学生甲は、 自宅近くの公園のベンチで誰かが置き忘れたと思われる携帯電話を発見し、この携帯電話で友人等20名に電話をかけ、バッテリーがなくなったので、 元のベンチの上に戻しておいた。 甲には、遺失物横領罪が成立する。
○
44
背任罪の主体は、他人のためにその事務を処理する者であるところ、売買契約の当事者である売主が、 買主に目的物を引き渡す事務は、他人のためにする事務であるから、 売主がこれを怠るのは背任行為に当たる。
×
45
コンピュータ会社の社員甲が、 自社が開発したコンピュータプログラムの保管を任され、 関連会社から要請があった場合のみ、そのプログラムを有料で貸し出していたが、知人から「礼金を出すので貸してくれ。」 との依頼を受け、当該プログラムをコピーする一定の時間のみ貸し出して礼金を受け取った場合、甲は背任罪の刑責を負う。
○
46
銀行の取締役や支配人など金融機関の事務担当者が、 回収の見込みがないのに、 担保が不十分なまま金銭を貸し付けた場合、 貸付けと同時に貸付元本に相当する財産上の損害が発生したとみるのが妥当であるから、後日全額回収されたとしても、背任罪が成立する。
○
47
横領罪と背任罪とは法条競合の関係にあり、任務違背行為によって財産上の損害を加える行為が、自己の占有する他人の物の横領行為となる場合には、 背任罪は成立せず、横領罪のみが成立する。
○
48
甲が、暴走族仲間のAから、車を50万円で売却するよう依頼を受けていたが、Bから「30万円で売ってくれれば10万円の謝礼をやる。」 と言われたことから、生活費に窮していた甲は、Bに30万円で売却し、10万円を受け取った場合、甲には背任罪が成立する。
○
49
盗品等に関する罪の主体について、 条文上は何ら定められていないが、本犯者が主体となり得ないのはもちろんのこと、共同正犯者、教者、 幇助者も主体となり得ない。
×
50
甲が、 1週間前に窃取し自己の用に供しているバイクを、友人乙に対して、当該バイクは窃取したものである旨を告げたうえ、買取りを依頼したところ、 乙がこれを1万円で買い取った場合、甲には、 窃盗罪及び盗品等有償処分あっせん罪が成立する。
×
51
甲は、 友人乙と共にA方に盗みに入ることを共謀し、甲が予定どおり見張りをし、その間に乙がA方に侵入して現金・貴金属を盗み、 これを路上で山分けした。 この場合、 甲には盗品等に関する罪が成立する。
×
52
盗品等に関する罪の客体にいう盗品等とは、財産犯により取得した物であるところ、14歳未満の者が財物を窃取した場合には犯罪は成立しないので、当該財物は本罪の客体に当たらない。
×
53
甲が、 友人乙が賭博によって得た現金であることを知りながら、無償で譲り受けた場合、 盗品等に関する罪が成立する。
×
54
甲が、乙が丙から脅し取った現金で購入した自転車であるこことを知りながら、時価の半額で買い取った場合、盗品等に関する罪が成立する。
×
55
盗品等無償譲受け罪の 「無償譲受け」 とは、 現実に盗品の譲受けがあることを要せず、 約束や契約で足りる。
×
56
盗品等運搬罪における「運搬」 とは、 盗品を運んだ距離がさほど遠くなくても、 被害品を隠匿する等、 場所的に移転して被害者が回復困難な状況を実現すればよい。
○
57
盗品等の「保管」とは、委託を受けて他人のために盗品等を保管することをいい、有償・無償を問わず、 また、 委託者が本犯者であるか否かも問わない。
○
58
甲が、 友人が盗んできたバイクを、 それとは知らずに預かり保管していたが、 後日、 友人から当該バイクが盗品であることを明かされたにもかかわらず、 そのまま保管し続けた場合、甲は盗品等保管罪の刑責を負う。
○
59
甲が、 盗品等であるとの認識の下に、 乙から有償で譲り受ける約束をして、現金を支払ったが、盗品を受け取る前に乙が警察に逮捕された場合、 甲には、 盗品等有償譲受け罪が成立する。
×
60
盗品等有償譲受け罪は、 有償の約束で盗品等の引渡しを受ければ成立し、実際に代金の支払がなされたか否かを問わない。
○
61
盗品等有償処分あっせん罪における「有償の処分のあっせん」 とは、 売買、交換等で仲介することをいうところ、あっせん行為自体は有償、無償を問わない。
○
62
盗品であると思われる物を持ってきたBに依頼された甲が、裏で盗品等を取り扱っていた宝石商 Aに売ろうとしたところ、Aがその前に逮捕されたため実現しなかった場合、 甲には盗品等有償処分あっせん罪が成立する。
×
63
「盗品等有償処分あっせん」とは、 盗品等の売買・交換・入質等、 有償の処分行為を媒介 周旋する行為をいうが、処分あっせんを行うために保管してこれらの行為を行った場合には、盗品等保管罪と盗品等有償処分あっせん罪の両方が成立する。
×
64
公用文書毀棄罪の客体は、 意思又は観念が表示された書面であることから、 例えば、 タクシー運転手甲が、 交通違反の取締りを受けた際に、 弁解をしたにもかかわらず警察官Aが交通切符を作成しようとしたので、記入前の交通切符を奪い取って破ったとしても、甲は公用文書毀棄罪の刑責を負わない。
○
65
甲が警察官に交通違反を見とがめられ、 交番で反則切符を作成されていたが、 警察官が他の急な業務に対応しようとした隙を見て反則切符を奪い取り、これを破り捨てた場合、 甲は公務執行妨害罪及び公用文書毀棄罪の刑責を負う。
×
66
会社員甲は、同期入社のAが近々昇任することをねたみ、Aを困らせようと考え、Aが個人用に使っている携帯電話機と同種の携帯電話機に登録されているデータを強制的に消去する命令の文字列を知ると、自己の携帯電話機を非通知機能に設定したうえで、 通信会社が運営するインターネット接続サービスを利用してAの携帯電話機に消去命令を記載したメールを送信した。その結果、当該メールを開いたAの携帯電話機の電話帳のデータが全て消去された場合には、甲に私電磁的記録毀棄罪が成立する。
×
67
会社員甲が、 A飲食店において飲酒した際、店のサービスが悪かったため店主に文句を言ったところ、逆に嫌みを言われたことから腹を立て、レジに貼ってあったA店の東京都公安委員会交付の風俗営業許可証を剥がして破り捨てた場合、甲には、私用文書毀棄罪が成立する。
○
68
甲が、賃料の不払いが原因でアパートの賃貸借契約を解除され、貸主から立退きを迫られたことに腹を立て、 借りている部屋の玄関ドア (接合固定されているが、 適切な工具を使用すれば容易に取り外しが可能) を金属バットで破壊した場合、 甲は器物損壊罪の刑責を負う。
×
69
暴走族の構成員Xが、 区立公園の公衆便所の外壁に、 所携のスプレー式のペンキを吹き付けて 「極悪」 「○○参上」 と大書したため、 異様な外観となり、 美観が損なわれ、 その原状回復に相当な困難を生じさせた場合、Xには、 建造物損壊罪が成立する。
○
70
会社員甲が、 毎晩同じ自動車が自宅前の路上に駐車しているのに腹を立て、某日の深夜、 タイヤとバルブそのものは破損させずに、その車のタイヤ2本のバルブから空気を抜き、 当該自動車について、 空気を入れてタイヤを元の状態にするまでの数時間、走行を不能にした場合、 甲は器物損壊罪の刑責を負う。
○
71
暴走族甲が、 乙が単独で盗んだオートバイであることを知りながら、同人から「このオートバイを格好良くしたいので手伝ってくれ。」 と依頼され、 当該オートバイのハンドルを外す等の改造をした場合、 窃盗後の損壊行為は不可罰的事後行為であるから、甲には、器物損壊罪は成立しない。
×
72
放火罪における「放火」 とは、 目的物の焼損を引き起こさせる行為をいうが、 この放火行為は、積極的な作為による放火行為に限らず、 不作為による場合でもよい。
○
73
甲は、同居している母親と口論になり、 自宅の玄関内に灯油をまいたうえ、火をつけようとしてライターを手にしたところで母親に制止された。 この場合、 甲は、 現住建造物等放火未遂罪の刑責を負う。
×
74
刑法108 条等の放火の罪は、 目的物を焼損することによって既遂に達するが、 この 「焼損」 について、 判例は、 火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、 目的物が独立して燃焼を継続する状態に達すればこれに当たるとする独立燃焼説の立場をとっている。
○
75
マンションの内部に設置された鋼鉄製エレベータのかご内で火を放ち、 その側壁として使用されている化粧鋼板の表面の化粧シートの一部を焼失させた場合、 現住建造物等放火罪が成立する。
○
76
現住建造物等放火罪の既遂時期について、それが鉄筋コンクリート造の不燃性建造物の場合、その内部の可燃性部分のみが独立して燃焼しただけでは、既遂に至らない。
×
77
他人の住居に放火する目的で、当該家屋の取り外し可能な障子や雨戸に放火し、燃焼が継続している場合には、柱や壁等が燃焼しなくても、 現住建造物等放火罪の既遂となる。
×
78
甲は、妻Aと2人暮らしであったが、酒癖が悪く、 しばしば妻に暴力を振るうので、たまりかねたAが2、3日家を出れば今度こそ酒を断つだろうと考え、 「もう離婚します。 決して帰りません。」 と言い残して着の身着のままで家を出てしまった。独りぼっちになった甲が、 自暴自棄になって自己の所有する家屋に放火した場合、 甲には非現住建造物等放火罪が成立する。
×
79
校舎の一室を宿直室にあて、 宿直員を夜間宿泊させている場合、その校舎は 「現に人が住居に使用」 する建造物に当たり、当該校舎に放火した者には、 現住建造物等放火罪が成立する。
○
80
現に他人の住居に使用している家屋に燃え移ることを認識し、かつ、これを認容して家屋に隣接する倉庫に放火した場合には、たとえ当該家屋に延焼しなくても、現住建造物等放火罪の未遂が成立する。
○
81
現住建造物等放火罪の客体は、現に人の住居に使用し、又は現に人がいる建造物等でなければならないが、 本罪の故意があるというためには、現に人の住居に使用されているという事実の認識のほかに、 人が現在しているという事実、客体に火を放って焼損するという事実を認識することが必要である。
×
82
現住建造物等放火罪の故意は、 現に人の住居に使用し、又は人が現在する建造物等であることの認識及びこれを焼損することの未必的認識で足りるので、無人の空き家に放火したところ、 防風用の高い樹木群に囲まれた8メートル先の隣家の住宅に火の粉が飛んで、 当該住宅を全焼させた場合には、 たとえ行為者において、 樹木群があるので隣の住宅まで全焼するとは思っていなかったとしても、 現住建造物等放火罪が成立する。
×
83
現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない自己所有の建造物に放火して焼損させた場合であっても、それが、裁判所による差押えを受けていれば、 自己所有非現住建造物等放火罪ではなく、 非現住建造物等放火罪が成立する。
○
84
同族会社であるX会社社長甲は、 某日、 その実弟である同会社役員Aと激論となり、興奮したあまり、 「俺の会社だ。 燃やそうと勝手だ。」 と言って、 住宅街にある無人の会社事務所兼倉庫に放火し、公共の危険を生じさせた。 X会社は、 株式会社として登記されているものの、実質は個人経営の店舗と変わらなかった場合、自己所有非現住建造物等放火罪が成立する。
×
85
現住建造物等放火罪は、 客体を焼損するだけで公共の危険があるとされる抽象的危険犯であるが、 非現住建造物等放火罪は、客体が自己の所有するものであるか他人が所有するものであるかを問わず、 焼損のほかに具体的な公共の危険の発生を必要とする具体的危険犯である。
×
86
自己所有非現住建造物等放火罪は、 具体的公共危険罪とされているが、行為者が公共の危険の発生を認識することまでは不要である。
○
87
現住建造物等放火罪及び非現住建造物等放火罪については、未遂犯の処罰規定が設けられているが、 自己所有非現住建造物等放火罪には未遂犯の処罰規定がない。
○
88
建造物等以外放火罪が成立するためには、犯人が自らの放火行為について具体的な公共の危険の発生を認識認容していなければならないとするのが判例である。
×
89
建造物等延焼罪は、 自己所有非現住建造物等放火罪又は自己所有建造物等以外放火罪を犯し、よって現住建造物等又は他人所有の非現住建造物等に延焼させることによって成立するので、延焼の結果を認識していることが必要である。
×
90
他人の住居に放火する目的で、 放火材料を持って現場に赴く行為は、放火予備罪に当たる。
○
91
放火予備罪が成立するためには、 放火のための材料を準備し、あるいはこれらを携帯して放火の現場に向かう行為等が必要であるが、現住建造物や他人所有の非現住建造物に放火する目的がなければならない。
○
92
甲は、会社を解雇された恨みから、 同会社社長A宅を焼損する目的で住宅に近接する物置に放火したが、 たまたま通行中の者に発見されて消し止められ、 住宅には延焼しなかった。 この場合、 甲には現住建造物等放火罪の実行の着手が認められることから、甲は、現住建造物等放火未遂罪の刑責を負う。
○
93
甲は、電車の通行を妨害しようと考え、自転車を線路に置いて茂みに隠れていたところ、 保線区の人が点検中にそれを発見し、列車を無事通過させた。 甲には、 往来妨害罪が成立する。
×
94
通貨偽造罪の客体は、 我が国で強制通用力を有する貨幣、紙幣又は銀行券であり、 500円札のように、 既に我が国で製造、発行が停止されたものであっても、 強制通用力が排除されていない限り、 本罪の客体となる。
○
95
通貨変造罪における 「変造」 は、 通貨偽造罪における 「偽造」と同様、作り出されたものが一般人をして真正な通貨であると誤認させるに足りる程度のものであることが必要である。
○
96
通貨偽造罪にいう 「偽造」 とは、 通貨の発行権限を有しない者が、真正な通貨らしい外観を呈しているものを作り出すことをいい、その程度は、一般人に真正な通貨と誤認させる程度のものであることを要する。
○
97
通貨偽造罪が成立するためには、偽造の通貨を真貨として流通に置こうとする行使の目的が必要であるから、 例えば、 学校の教材や陳列用の標本として偽造する行為は、本罪を構成しない。
○
98
行使の目的をもって同一機会に同一種類の通貨を多数偽造した場合には、包括して1個の通貨偽造罪が成立するが、行使の目的で同一機会に種類の異なる通貨を偽造した場合には、各行為について通貨偽造罪が成立する。
○
99
通貨を偽造するのに足りる器械や原料を準備し、行使の目的で偽造に着手したが、 技術が未熟であったため、 模造にしかならなかった場合には、通貨及証券模造取締法違反の罪が成立し、通貨偽造未遂罪は同罪に吸収される。
×
100
偽造通貨を真正なものとして使用することによって相手方を誤信させ、財物を取得した場合には、財物に対する詐欺罪は、偽造通貨行使罪に吸収されて成立しない。
○