1.市政運営の前提条件の転換として、「横浜市の構造変化」、「外部環境の変化・危機への対応」、「3つのリスクへの中期的な対応」が挙げられている。これらの対応が財政ビジョンの実現において重要な役割を果たしている。

本市の予算規模の拡大要因として、社会保障費や公共施設の保全更新需要、新規の大規模事業、市税収入の鈍化が挙げられている。これらが横浜市の財政運営において大きな課題となっている。

持続的な財政の定義として、「安定性」、「強靭性」、「将来投資能力」の3つの基本的な性質が挙げられており、これらが市政運営の土台として重要な役割を果たすとされている。

一般会計が対応する借入金は大きく縮小されているが、臨時財政対策債の残高は増加しており、この状況が財政の持続可能性において懸念材料となっている。

今後の財政状況の見通しとして、社会保障費は高齢化の進展に伴い、2040年ごろにかけて支出が拡大すると予測されている。また、市内公共施設の老朽化により保全更新需要が増大するとされている。

本市の将来人口推計によると、2065年までに生産年齢人口は約3割減少し、高齢者人口は2040年までに総人口の約3割になると予測されている。

2065年までに将来収支差は歳出総額の約1割にあたる1,752億円となり、歳入総額は2040年から減少局面に入ると予測されている。

市税収入は2027年度をピークに減少に転じ、その後、2065年までに約1割減少すると予測されている。

本市は市域内に約1万haの土地を保有しており、令和3年度末時点で約100haが未利用・暫定利用となっている。

2021年からの約45年間にかかる公共施設の保全更新コストの見込みは、一般会計で合計約7兆6,900億円とされている。

公共建築物は2065年までに全体の約73%が築70年を経過すると予測されている。

「長期財政推計将来収支差」と「一般会計が対応する借入金（市民一人当たり残高）」は、財政運営・予算編成を左右する中核的な指標とされている。

「実質公債費比率」は、推計期間中、国の基準である18%を下回る水準を維持するとされている。

固定資産税は国の施策により負担軽減措置が多く、基礎自治体の減収の一因となっている。

臨時財政対策債は平成13年度の国による制度創設から発行が開始され、現在も継続的に増加している。

将来人口推計を考慮すると、2040年には市民一人当たりの床面積は13%増加するとされている。

「財政調整基金残高」は、他都市と比較して高い水準にあるとされている。

未利用等土地の適正化目標として、2030年度までに30ha、2040年度までに60haを適正化することを目標としている。

地方消費税交付金は県を経由して本市に配分されるが、交付基準により本市の経済活性化の成果が県内他自治体にも分散される仕組みとなっている。

令和6年からの歳出改革では、1年に60～70億円程度を積み上げ、2030年度までに500億円を数値目標としている。