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生体材料工学
  • 加藤匠真

  • 問題数 41 • 7/23/2023

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    問題一覧

  • 1

    大動脈弁が必要な場合、年齢が高くない人には一般的に機械弁が用いられるが、妊娠を希望される女性には生体弁が用いられる。この理由を説明せよ。

    機械弁を用いると,血液の抗凝固薬であるワーファリンを服用し続ける必要があるが,妊娠中や分娩時の母体出血のリスクがある.また、ワーファリンは胎盤を通過するため,胎児の先天異常・死亡,新生児死亡などのリスクが上昇する。よって,抗凝固剤の服用が術後数か月で済む生体弁が用いられる.

  • 2

    カテーテル治療にメリットについて説明せよ。

    外科的治療と異なり開胸や開腹,開頭という手術をせずに,太もものつけ根などの血管を露出させ,血管内を移動することで患部に到達し治療できるため,侵襲度が低く高齢者など体力に乏しい患者にも適用しやすい.

  • 3

    血管を構成する細胞や細胞外マトリックスを3つあげ、その主な機能を記載せよ。

    内皮細胞 血液を凝固させない(血小板を付着させない) エラスチン 血管壁に柔軟性を付与する コラーゲン 血管壁に高い強度を付与する

  • 4

    スティフネスパラメータ β とは何なのか簡潔に説明せよ。

    血圧と血管口径との変化の比から,血管の硬さや動脈硬化度合いを示す指標。径の変化は血圧によって異なるが,自然対数を用いることで,直線的な特性で血管の硬さを表現できる.

  • 5

    大動脈瘤のうち、真性動脈瘤と仮性動脈瘤と解離性動脈瘤の違いを説明せよ。

    血管壁がどこまで破けているか異なる.真性動脈瘤は血管壁の三層構造を維持したまま膨らんでいるもので,仮性は内膜と中膜は破れ外膜の下に瘤が形成している.中膜の途中で解離して瘤になっているのが解離性.

  • 6

    血液の成分を3つあげ、その主な機能を記載せよ。

    赤血球 酸素や栄養素などの運搬 白血球 細菌やウイルスになどに対する感染防御,免疫応答 血小板 止血時の血栓形成の中心的な役割

  • 7

    止血の機序について説明せよ。

    血管壁が傷つくと,疼痛刺激やTXA2の作用により血管収縮し,出血量が抑えられ 血流速低下により血小板が粘着凝集しやすくなる.露出したコラーゲンに血小板が粘着し,活性化した血小板がフィブリノゲンにより血小板同士が凝集する.血液凝固機序によりフィブリン線維の網がこの一次血栓を覆って強化される.

  • 8

    機械弁を心臓弁に用いる場合、納豆を食べるのは良くない、その理由を説明せよ。

    機械弁の表面は生体の心臓弁に比べて血が凝固しやすく,ビタミン K を多く含む納豆を食べるとプロトロンビンの産生が促進され,血液が凝固してしまうため.

  • 9

    自然免疫と獲得免疫の違いを説明せよ。

    自然免疫は,個体に本来備わっている感染抵抗性で,好中球やマクロファージによる貪食がメインの機能である。 獲得免疫は,細菌やウイルス感染により誘導される抵抗性.リンパ球が認識することで特異的に反応し,長期にわたって個体に保持される.

  • 10

    熱、光、超音波を利用した医療技術をそれぞれ1つあげ、その基本原理について説明せよ。

    熱:ハイパーサーミア.がん組織が正常組織より血管拡張しづらく放熱しにくいことを利用し,高周波電流などで温めてがん組織の死滅を狙う. 光:レーシック.角膜の一部をエキシマレーザ照射により削る(蒸散させる).角膜の曲率が下がることで近視が矯正される. 超音波:(超音波式)ネブライザ.超音波振動子の振動を利用し,薬液を細かい粒子の霧状にする. 霧を吸引することで気道の深部や肺まで薬液が届く.

  • 11

    エコー検査の時にプローブにジェルを塗る理由を説明せよ。

    生体軟組織と空気は音響インピーダンスが大きく異なるので,エコーのプローブを皮膚に当てたときに隙間に空気があると超音波が生体内に伝搬しない。そのため、音響インピーダンスが組織に近いジェルを塗っている.

  • 12

    近赤外線は OCT や静脈認証など生体観察によく用いられる。その理由を説明せよ。

    波長 1000nm 程度の近赤外線は生体組織にも水にも吸収されにくく,深部の情報まで取得できるため.また,ヒトには見えないが,可視光と近い特性を持つことや,生体への有害性が少ないことなど,メリットが多い

  • 13

    大動脈狭窄症について、主な原因やその症状について説明せよ。

    大動脈弁の開閉機能が低下してしまう疾患。主な原因は弁にカルシウムなどが沈着することで生じる石灰化や肥厚。血液が流れにくくなり,左心の負荷が増大するので心筋が肥大するが,ポンプ機能は維持されるので自覚症状がでにくい.

  • 14

    粒子画像法についてどのような技術か説明せよ。

    流体中に混入したトレーサ粒子の二時刻間の粒子画像の比較から速度ベクトル場を求める流体計測手法.

  • 15

    徐放型 DDS で狙っていることについて説明せよ。

    通常の製剤だと,薬剤の吸収と消失の速度のバランスが安定しないので,血中の薬剤濃度を治療に適切な濃度に保つことができない.そのため,徐放型 DDSでは,徐々に薬剤を放出し, 適切な濃度に保つことを狙っている.

  • 16

    プロドラッグについて説明せよ。

    化学修飾し,投与後に作用部位で元の薬剤の構造を回復して薬効を発現させる薬.吸収効率が高くなるように修飾したり,あえて薬効を消失させる修飾を行い副作用が少なく作用部位に到達してから薬効を発揮させているものなどがある.

  • 17

    DDS の用語であるパッシブターゲッティングについて,例を挙げて説明せよ

    抗がん剤において,正常な血管壁は高分子量物質を透過しないが,腫瘍組織は血管新生が盛んなので高分子量物質が透過しやすく,リンパも未発達なので消失しにくいという,いわゆるEPR効果を狙うなど,生体が本来備えている異物処理機構や生理学的特性を利用して,薬剤の効率をあげること.

  • 18

    他家移植に対する自家移植のメリットとデメリットを説明せよ。

    メリットとしては,自己の組織や細胞を移植するので免疫拒絶などの生体適合性は非常に高い.ただし,摘出できる量に限りがあり,一般的には必要になってから細胞などを採取・増殖などを行うので時間や価格などのコストがかかる.

  • 19

    スフェロイドについて、培養皿底面での2次元培養との違いや利点を説明せよ。

    細胞をバラバラの状態や 2 次元ではなく,3 次元組織として培養することで、「細胞同士 の相互作用」や「内外の酸素・栄養勾配」が生じ、より生体内環境 と近い生理応答を示すと期待されている.

  • 20

    マイクロピラープレートでなぜ細胞の力を測れるのか説明せよ。

    ピラー自体が片持ち梁の構造をしているため,ピラーの寸法と弾性率が分かれば 先端のたわみ量を顕微鏡などを用いて計測することで作用している力を算出できる.そのため,ピラー上で培養している細胞の牽引力が計測できる.

  • 21

    金属加工を 3 つ挙げ、どのような加工か簡潔に説明せよ。

    鋳造: 材料を融点より高い温度で熱して液体にしたあと,型(鋳型)に流し込み,冷やして目的の形状に固める加工方法. 鍛造: 材料に力を加えて塑性変形させる加工方法。 焼結: 固体粉末の集合体を融点より低い温度で加熱して粉末を固め,焼結体と呼ばれる緻密な物体にする加工法.

  • 22

    体内留置デバイスにステンレス鋼材を用いる際に SUS316L にする理由を説明せよ。

    ステンレス鋼は酸化クロムの不動態を形成するため,腐食性は元々高いがSUS316Lはモリブデンの付与と低炭素化により,さらに腐食性を上げているから.

  • 23

    形状記憶合金の超弾性効果と医療機器への活用例について説明せよ。

    大きく変形させても加熱するだけで形状が元に戻る形状記憶効果を,室温以下でも起こるようして,力を除けば元の形状に戻る性質を超弾性効果という.歯列矯正や生体内で目的の形状に戻すコイルや自己拡張型ステントに活用されている.

  • 24

    セラミックスを医用材料として活用する利点を金属との違いを含め説明せよ。

    金属と違い,錆びないので漏出性が低く組織にとって有毒性が低いものが多い. また,絶縁性を有するものが多いため,生体内で電解質溶液に接触しても電蝕により急激に腐食すること がない.

  • 25

    バイオセラミックスを3つあげ、簡潔に説明せよ。

    アルミナ:耐摩耗性が高い生体不活性材。バイオセラミックスの先駆けで歯冠材料や人工関節の骨頭として活用されてきた。 カーボン:生体内安定性が高く,軽く,耐疲労特性に優れる.ダイヤモンドは歯質の研削材に, パイロライトカーボンは機械弁に用いられている. ハイドロキシアパタイト:骨や歯の主成分であり,埋植すると硬組織に結合する生体活性材料. 脆いため,金属のコーティング材としてや軟材料との複合で用いられたりする.

  • 26

    バイオセラミックスの生体活性と生体不活性について違いを含めて説明せよ。

    生体(特に硬組織)との相互作用がほとんど起こらないのが生体不活性。 生体活性は、組織と結合したり,徐々に溶解して自己の組織に置き換わるなど生体との相互作用を期待して利用される.

  • 27

    合成高分子を医用材料として利用する利点を、金属やセラミックスとの違いを含めて説明せよ

    軽く,金属と違って錆びず,セラミックスと違って脆くない.モノマーが豊富で結合状態もコントロールできるので,幅広い強度や柔軟性を選択できる.また, 成形加工もしやすいため,色々な形状のものをつくりやすい.

  • 28

    バイオマテリアルとして利用される合成高分子を3つあげ、簡潔に説明せよ。

    ポリ塩化ビニル PVC: 可塑剤を混ぜると軟質材料になり,柔軟性・加工性・耐久性が良い. ポリウレタン PU: 柔軟性と耐疲労性に優れる。血液に触れる部材には,耐疲労性の向上と抗血栓性の付与を狙ったセグメント化ポリウレタンが用いられることが多い. シリコーン: 変性・劣化しにくく,ガスの透過性が高い. 生体に埋入するとカプセル化し,以後の異物反応はほとんど起こらない.

  • 29

    エレクトロスピニング法について説明せよ。

    ノズルとターゲットとの間に高電圧を印加し,電気的な引力でファイバー膜を形成する手法。多様な材料を紡糸でき,ファイバー形状のコントロールが比較的簡便に行える.

  • 30

    MPC ポリマーについて説明せよ。

    理想的な生体親和性表面にするため,細胞膜の構成成分であるPC基を側鎖に有する合成高分子.タンパク質の吸着や血球成分の活性化,血液凝固が起こりにくい.

  • 31

    バイオマテリアルとして利用される天然高分子を3つあげ、簡潔に説明せよ。

    アテロコラーゲン: コラーゲンの端部のテロペプチドを酵素処理などで切り離したもの.抗原性が低くなり,免疫拒絶されにくい セルロース: 植物を生産源とした多糖類.化学的安定性が高く,湿潤状態でも高い機械的強度を示す.ガーゼ,包帯やダイアライザの中空糸として利用される. キチン: カニやエビ,昆虫の甲皮を構成する多糖類.生体内のリゾチームにより創傷治癒の促進効果がある N-アセチルグルコサミンに分解される.

  • 32

    生体吸収性高分子を利用するメリットや狙いについて説明せよ。

    接合材や縫合糸など生体植込み型の材料で病変部の治癒後にその材料が不要となる場合は,取り出すより体内で消滅してしまう方が望ましい.そのため,生体で徐々に分解・吸収され自己組織に置き換わることを狙い利用されている.

  • 33

    滅菌法のオートクレープ法について説明せよ。

    高圧の水蒸気で滅菌する.滅菌されるものに耐熱性・耐圧性・ 耐湿性が求められるが,生体にとって安全な水で,簡便かつ低コスト,比較的短時間で滅菌できるメリットがある.

  • 34

    臨床研究、臨床試験、治験の違いについて説明せよ。

    臨床研究: 人を対象として行われる医学的な研究全般のこと。 臨床試験: 臨床研究のうち,医薬品・医療機器や治療法などの有効性や安全性の評価を目的としているもの. 治験: 臨床試験のうち,医薬品や医療機器の承認申請に必要な試験成績を収集するために行われるもの。GCP省令にのっとり実施される.

  • 35

    PMDAの役割や活動について説明せよ。

    国民保健の向上に貢献することを目的として,医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して迅速な救済を図り,医薬品や医療機器などの品質・有効性および安全性について,治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し,市販後における安全性に関する情報の収集・分析・提供を行う.

  • 36

    細胞培養におけるフェーダー細胞について説明せよ。

    目的の細胞を培養する際に,培養条件を整える補助的な役割をもつ細胞. フィーダー細胞は増殖しないように,放射線処理や薬剤処理(マイトマイシン C) などが実施される.

  • 37

    細胞培養におけるスキャホールドについて(マトリックス)について説明せよ。

    細胞の接着や増殖,分化を制御するための基質や体内での再生誘導のための細胞の周辺環境のこと。

  • 38

    脳動脈瘤の治療法であるコイル塞栓術について、メリットや課題点を説明せよ。

    抗血栓薬を投与する期間が短いが、コイルが落ちそうな瘤の場合はステントで支える必要があり、その場合は抗血栓薬を1 年以上投与する必要がある。

  • 39

    架橋重合体にはゲル状やゴム状の弾性に富む材料が多いのはなぜか。

    架橋重合体は高分子が 3 次元的に連結されているため。

  • 40

    蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による張力測定について説明せよ。

    蛍光タンパク質同士の距離が離れることで FRET現象が起こる。張力が弱い時は2つのタンパク質の距離が縮まり高いFRET値を示し、張力が強い時は距離が広がり FRET値が低くなる。

  • 41

    医療機器開発におけるレギュラトリーサイエンスについて説明せよ。

    複雑化した新しい医薬品、医療機器や医療製薬品の審査において、科学的な知見をもとにその品質、有効性および安全性を予測・評価すること。