問題一覧
1
憲法改正限界説に立脚する8月革命説は、ポツダム宣言の受諾に より天皇主権から国民主権への法学的意味での革命が行われ、この 革命によって主権者となった国民が制定したのが日本国憲法であ るとした。
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2
基本的人権の保障は、すべての社会生活に共通する基本原理であるか ら、憲法の人権保障規定は、国または公共団体と個人との関係を規律する のみならず、私人相互間の関係についても当然に適用される。
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3
思想、信条の自由に関する憲法上の保障は、私人相互間にも当然に及び、これを制限するのは合理的理由のある場合に限られるから、企業者が特定の思想、信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒むことができるのは、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と是認される場合に限られる。
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4
人権保障規定の私人間効力について、民法90条のような私法の一般条項を媒介として、人権保障規定を私人間において間接的に適用する、と考える見解は、私人間に直接適用される人権保障規定はないと考えている人権保障規定の私人間効力について、民法90条のような私法の一般条項を媒介として、人権保障規定を私人間において間接的に適用する、と考える見解は、私人間に直接適用される人権保障規定はないと考えている。
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5
最高裁判所は、外国人の政治活動の自由について、外国人の地位に鑑み認めることが相当でないと解されるものを除き、保証されるとした
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6
最高裁判所は、外国人の選挙権について、定住外国人へ地方公共団体における選挙の権利を付与しないことは合憲であり、法律で定住外国人に地方公共団体における選挙の権利を付与することはできないとした最高裁判所は、外国人の選挙権について、定住外国人へ地方公共団体における選挙の権利を付与しないことは合憲であり、法律で定住外国人に地方公共団体における選挙の権利を付与することはできないとした。
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7
最高裁判所は、社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについて、障害福祉年金の給付に関し、自国民を在留外国人に優先させることとして在留外国人を支給対象から除くことは、憲法14条1項及び25条の規定に違反するとしている。
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8
憲法13条によって保障される個人の私生活上の自由には、みだりに指紋の押捺を強要されない自由も含まれるが、この自由は、権利の性質上、我が国の国民のみに保障されるものであり、我が国に在留する外国人には保障されないとするのが判例である。
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9
幸福追求権は、人格的生存に必要不可欠な権利・自由を包摂する包括的な権利であり、個別的人権規定との関係では、個別的人権の保障が及ばない場合における補充的な保障機能を果たすものとされている。幸福追求権は、人格的生存に必要不可欠な権利・自由を包摂する包括的な権利であり、個別的人権規定との関係では、個別的人権の保障が及ばない場合における補充的な保障機能を果たすものとされている。
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10
幸福追求権は、個別的基本権を包括する基本権であり、個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利に限らず、服装の自由、趣味の自由を含む広く一般的行為の自由を保障する権利 であると解するのが通説である。
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11
最高裁判所は、京都府学連事件において、何人も、その承諾なしに、みだりに容貌・容姿を撮影されない自由は、これを肖像権と称するかは別として憲法上の権利ではないと判示した。最高裁判所は、京都府学連事件において、何人も、その承諾なしに、みだりに容貌・容姿を撮影されない自由は、これを肖像権と称するかは別として憲法上の権利ではないと判示した。
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12
前科及び犯罪経歴は人の名誉、信用に直接関わる事項であり、前科及び犯罪経験のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するのであって、市区町村長が、本来選挙資格の調査のために作成、保管する犯罪人名簿に記載されている前科等をみだりに漏洩してはならない。
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13
自己決定権とは、自己の個人的な事柄について、公権力から干渉されることなく自ら決定することができる権利のことをいうが、この権利が憲法上の権利であることを、学説のみならず最高裁判所も明確に認めている。
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14
憲法14条にいう「法の下の平等」とは、法を執行し適用する行政権・司法権が国民を差別してはならないという法適用の平等のみを定めたものである。
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15
憲法14条にいう「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により差別されない」とは、ここに列挙された理由に基づく差別はいかなる場合でも許されないとの趣旨である憲法14条にいう「人種、信条、性別、社会的身分又は門地に より差別されない」とは、ここに列挙された理由に基づく差別はいかなる場合でも許されないとの趣旨である。
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16
尊属の殺害は、通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるため、法律上、刑の加重要件とする規定を設けることは、直ちに合理的な根拠を欠くものとする ことは出来ないが、尊属殺の法定刑について死刑又は無期懲役刑のみに限っている点は、その立法目的達成のため必要な限度を遙かに超え、普通殺に関する法定刑に比し著しく不合理な差 別的取扱いをするものと認められ、憲法に違反して向こうであるとした。
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17
憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることがあることは当然に予期され、憲法自ら容認するところであると解すべきであるが、その結果生じた各 条例相互間の差違が合理的なものと是認せられて初めて合憲と判断すべきであり、売春取締に関する法制は、法律によって全国一律に統一的に規律しなければ、憲法に違反して無効である。
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18
嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定は、法律婚の尊重を立法目的としているが、嫡出でない子の身分は自らの意思や努力によって帰ることの出来ない社会的身分で あることから、嫡出性による相続分の区別は憲法14条1項後段列挙自由による差別にあたり、当該立法目的達成のため必要不可欠な手段とは認められないため、違憲である。
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19
非嫡出子の法定相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法900条4号但書の規定の合憲性が争われた裁判において、最高裁判所は、現行民法が法律婚主義を採用している以上、法律 婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図った当該規定の立法理由には合理的な根拠があることを認めた上で、出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別するこ とには問題があると指摘しつつも、当該規定自体は遺言による相続分の指定等がない場合などにおいて補充的に機能する規定であることに鑑み、合理的理由のない差別とはいえないとして 合憲との判断を示した非嫡出子の法定相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法900条4号但書の規定の合憲性が争われた裁判において、最高裁判所は、現行民法が法律婚主義を採用している以上、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図った当該規定の立法理由には合理的な根拠があることを認めた上で、出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別することには問題があると指摘しつつも、当該規定自体は遺言による相続分の指定等がない場合などにおいて補充的に機能する規定であることに鑑み、合理的理由のない差別とはいえないとして合憲との判断を示した。
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20
市立小学校の校長が、音楽専科の教諭に対し、入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令は、そのピアノ伴奏行為は当該教諭が特定の思想を有するということを外部に表明する行為と評価されることから、当該教諭がこれを明確に拒否している場合には、当然に思想及び良心の自由を侵害するものであり、憲法19条に違反する。
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21
最高裁判所の判例では、公立学校の校長が教諭に対し卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し、国家を斉唱することを命じた職務命令は、特定の思想を持つことを強制するものではなく、当該教諭の思想及び良心を直ちに制約するものとは認められないが、当該教諭の思想及び良心についての間接的な制約となる面があることが認められるため、憲法に違反するとした最高裁判所の判例では、公立学校の校長が教諭に対し卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し、国家を斉唱することを命じた職務命令は、特定の思想を持つことを強制するものではなく、当該教諭の思想及び良心を直ちに制約するものとは認められないが、当該教諭の思想及び良心についての間接的な制約となる面があることが認められるため、憲法に違反するとした。
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22
憲法19条にいう「良心の自由」とは、単に事物に関する是非弁別の内心的自由のみならず、かかる是非弁別の判断に関する事項を外部に表現する自由やそのような事項を表現しない自 由をも包含する。
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23
最高裁判は、謝罪広告を判決で強制することは、単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであっても、個人の有する倫理的な意思や良心の自由を侵害するもの であるとした。
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24
労働者を雇い入れようとする企業が、その採否決定に当たり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、社会的・経済的に強大な力を持つ企業の労働者に対する優越的地位に鑑みると、労働者の思想、信条の自由に対して影響を与える可能性は少なからずあり、憲法19条に違反する。
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25
最高裁判所は、高等学校受験の際の内申書における政治集会への参加など外部的行為の記載は、受験生の思想、信条を記載したものであり、受験生の思想、信条自体を高等学校の入学者選抜の資料に供したものであると解されるので違憲であるとした。
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26
憲法は、内心における信仰の自由のみならず外部的な宗教的行為についてもその自由を絶対的に保障しており、宗教的行為としての加持祈祷が、他人の生命、身体等に危害を及ぼす違法な有形力の行使にあたり、その者を死に致したとしても、信教の自由の限界を逸脱したものとまでは言えない。
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27
市立高等専門学校の校長が、信仰上の真摯な理由により剣道実技の履修を拒否した学生に対し、必修である体育科目の修得認定を受けられないことを理由として2年連続して行った原級留置処分及びこれを前提として行った退学処分は、その内容それ自体において当該学生に信仰上の教義に反する行動を命じるものにほかならず、当該各処分は信教の自由を制約するものとして憲法20条1項に違反する。
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28
大量殺人を目的とする行為を行った特定の宗教法人に対してされた宗教法人法に基づく解散命令について、当該解散命令の制度は専ら世俗的目的によるものとはいえないものの、解散命令によって当該団体やその信者らの宗教上の行為に支障が生じたとしても、それは解散命令に伴う間接的で事実上のものに過ぎず、当該解散命令は憲法20条1項に違反しない。
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29
信教の自由の保障は、何人も自己の信仰と相容れない信仰をもつ者の信仰に基づく行為に対して、それが自己の信教の自由を妨害するものでない限り寛容であることを要請しているが、 静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益は法的利益として認められるため、殉職自衛隊員をその配偶者の意思に反して県護国神社に合祀申請した行為は、当該配偶者の法的利益を 侵害する。
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30
市が主催し神式にのっとり挙行された市体育館の起工式について、建築主が一般の観衆に従い起工式を行うのは、工事の円滑な進行を図るため工事関係者の要請に応じ建築着工に際して の慣習化した社会的儀礼を行うという極めて世俗的な目的によるものであることなどからすると、当該起工式は、宗教との関わり合いをもつものということはできず、憲法20条3項に違 反しない。
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31
県が、神社に奉納する玉串料等を公金から支出したことは、その目的が宗教的意義を持つことを免れず、その効果が特定の宗教に対する援助、助長、促進になると認めるべきであり、憲法の禁止する宗教的行為に当たるとした。
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32
町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供してきた市有地につき、市有地が神社の敷地となっているという市と特定の宗教との関わり合いを是正解消しようとするときは、当 該神社施設を撤去すべきであって、市が当該市有地を当該町内会に譲与することは、市と神社との関わり合いを是正解消する手段としておよそ相当性を欠き、憲法20条3項及び89条に 違反する。
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33
集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また相互に意見や情報等を伝達、勾留する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表 明するための有効な手段であるから、集会の自由は、民主主義社会における重要な基本的人権の 1 つとして、特に尊重されなければならない。
〇
34
公の施設である市民会館の使用を許可してはならない自由として市条例の定める「公の秩序を乱すおそれがある場合」とは、市民会館における集会の自由を保障することの重要性より も、市民会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して 解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態が生ずる蓋然性があるだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するの が相当である。
〇
35
徳島市公安条例の規定は、通常の判断能力を有する一般人であれば、経験上、蛇行進、渦巻行進、座り込み当の行為が殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為に当たることは容易に判断できるから、明確性を欠くとはいえず、憲法に違反しないとした。
〇
36
税関検査により輸入を禁止される表現物は、国外において既に発表済みのものであるし、税関により没収、廃棄されるわけではないから、発表の機会が事前に全面的に奪われているわけで はないこと、税関調査は、関税徴収手続きに付随して行われるもので、思想内容等それ自体を網羅的に審査し規制することを目的とするものではないこと、税関長の通知がされたときは司法審査の機会が与えられているのであって、行政権の判断が最終的なものとされているわけではないことを踏まえると、税関検査は憲法が絶対的に禁止している検閲には当たらないとするのが判例である。
〇
37
通信の秘密は、公権力による通信内容の探索の可能性を断ち切るために保障されていることから、その保障は、通信の内容にのみ及び、通信の差出人や受取人の住所等の情報には及ばない と一般に解されている。
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38
条例により、著しく性的感情を刺激し又は著しく残忍性を助長するため青少年の健全な育成を阻害する恐れがある図書を有害図書として指定し、自動販売機への収納を禁止することは、青 少年に対する関係において、憲法21条1項に違反しないことはもとより、成人に対する関係においても、有害図書の流通を幾分制約することにはなるものの、青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制に伴う必要やむを得ない制約であり、同項に違反しない。
〇
39
取材の自由は、報道の自由の一環として憲法の精神に照らして十分尊重に値するものであり、裁判所による報道機関の取材フィルムに対する提出命令は、取材フィルムが刑事裁判の証拠 の為に使用される場合であっても、報道機関の将来における取材の自由が必ず妨げられることになるので、違憲である。
×
40
報道機関の取材ビデオテープが悪質な被疑事件の全容を解明するうえで重要な証拠価値を持ち、他方、当該テープが被疑者らの強力によりその犯行場面等を撮影収録したものであり、当該テープを編集した者が放映済みであって、被疑者らにおいてその放映を了承していたなどの事実関係の下においては、当該テープに対する捜査機関の差押処分は、憲法21条に違反しない。
〇
41
A県の条例では、知事は、図書の内容が著しく性的感情を刺激し、又は著しく残忍性を助長するため、青少年の健全な育成を阻害する恐れがあると認めるときは、当該図書を有害図書として指定し、その有害指定図書を青少年に販売することを禁じているが、その条例は、有害指定図書であっても成人に販売することは禁止されていないから、未成年者の知る権利を侵害することはあっても、成人の知る権利は侵害されないの、成人との関係では表現の自由の侵害は問題にならない。
×
42
薬事法の薬局の適正配置規制は、国民の生命及び健康に対する危険の防止という消極的、警察的目的のための措置ではなく、薬局の経営の保護という社会政策的なものであるが、薬局の偏在に伴う過当競争による不良医薬品の供給の危険は、観念上の想定に過ぎず、公共の利益のために必要かつ合理的な規制を定めたものということができないから、憲法に違反し、無効であるとした。
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43
酒税法による酒類販売業の免許制は、もっぱら、零細経営者が多く経済的基盤の弱い酒類販売業者を保護するための積極的・政策的規制と解されるから、当該規制が著しく不合理であることが明白でない限り、憲法22条1項に違反しない。
×
44
平成元年の公衆浴場距離制限事件では、公衆浴場法に定める公衆浴場の配置規制は、公衆浴場の経営の安定を目的とするものであるが、規制の必要性と合理性を有しているとは認められず、違憲であるとした。
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45
憲法22条の保証する居住・移転の自由は、自己の住所又は居所を自由に決定し移動することを内容とするものであり、旅行のような人間の移動の自由は含まれないため、旅行の自由は、国の内外を問わず、同条によってではなく、一般的な自由又は幸福追求権の一部として憲法13条により保障される。
×
46
財産権の保障とは、個々の国民が現に有している個別的、具体的な財産権の保障を意味するものではなく、個人が財産権を享有することができる法制度すなわち私有財産制を保障したものとされている。
×
47
森林法が共有森林につき持分価格2分の1以下の共有者に民法所定の分割請求権を否定しているのは、森林の細分化を防止することによって森林経営の安定を図るとする森林法の立法目的との関係において合理性と必要性のいずれをも肯定することができ、この点に関する立法府の判断は、その合理的裁量の範囲内であるというべきであるから、憲法に違反するものではないとした。
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48
最高裁判所の判例では、敗戦直後の農地改革が行われていた際の財産権を公共の用に供する場合の正当な補償とは、その当時の経済状態において成立する価格に基づき算出された額であり、完全な補償を要するものとするとした。
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49
財産上の犠牲が、公共のために必要な制限によるものとはいえ、単に一般的に当然に受認すべきものとされる制限の範囲を超え、特別の犠牲を課したものである場合に、法令に損失補償に関する規定がないからといって、あらゆる場合について一切の損失補償を全く否定する趣旨とまでは解されず、直接憲法を根拠にして、損失補償をする余地が全くないわけではないとした
〇
50
憲法23条で保障される学問の自由には、大学において研究活動を行う自由だけでなく、その成果を学生に教授する自由も含まれていると解され、他方、初等中等教育機関における教師による児童・生徒に対する教授の自由については、同条による保障は一切及ばないとするのが判例である。
×
51
大学における学生の集会について、その集会が真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しないとするのが判例である。
〇
52
大学の自治は、憲法23条には明文の規定はないことから、同条により保障されているものではなく、憲法21条1項が規定する結社の自由により保障されていると解するのが通説である。
×
53
憲法23条は、大学における学問の自由とその研究成果の発表の自由にとどまることなく、広くすべての国民に対してもそれらの自由を保障しているものであると解するのが通説である。
〇
54
学問の自由は、真理の発見や探求を目的とする内面的精神活動の自由たる性格を有し、明治憲法においても一応は学問の自由を保障する明文の規定が設けられていたが、ある学説を主張する学者の著書が国の安寧秩序を害するものとして発売禁止の処分を受け、その学説を大学で教えることが禁止されたりするなど、政府により学問の統制が厳しく行われていた。
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55
大学における学問の自由を保障するために、伝統的に大学の自治が認められ、この自治は、特に大学の教授その他の研究者の人事に関して認められる。また、この自治は、大学の施設と学生の管理についてもある程度で認められ、これについてある程度で大学に自主的な秩序維持の権能が認められる。
〇
56
我が国の法制上子供の公教育の内容を決定する権能は教師ではなく国に帰属するから、国は公教育の内容及び方法について包括的に定めることができ、したがって、公教育を実施する教師の教授の自由は認められないとするのが判例である。
×
57
教育を受ける権利を実質化するための義務教育の無償について、その範囲には、授業料を徴取しないことだけでなく、教科書の無償配布も含まれる。
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58
教育を受ける権利は、国民がその保護する子女に教育を施す権利を内包しているが、国家に対し適切な教育の場を提供することを要求する社会権としての性格を有しないと解するのが通説である。
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59
憲法26条の規定の背後には、国民各自が、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、自ら学習することのできない子供は、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在している。
〇
60
学習指導要領に定められた内容を逸脱した授業等をし、所定の教科書を使用しなかった教師が懲戒処分を受けたことについて、学習指導要領の法的拘束力を認めず、教師の行為は裁量の範囲内であるとして、当該懲戒処分は妥当ではないとした。
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61
プログラム規定説は、憲法の生存権の規定は、国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したにとどまらず、個々の国民に対して法的権利を保障したものである。
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62
最高裁判所の判例では、憲法の生存権の規定は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまらず、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものであるとした。
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63
最高裁判所の判例では、国は、特別の条約の存しない限り、政治的な判断により、限られた財源の下で福祉的給付を行うにあたり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことは許されるべきことと解され在留外国人を障害福祉年金の支給対象者から除外することは、立法府の裁量の範囲に属するとした。
×
64
憲法25条の定める健康で文化的な最低限度の生活を維持するために必要な生活費は経済学等の学問的知見によって容易に計量化が可能であり、所得税法における課税最低限を定めるにあたっては、立法府の裁量を認める余地はないから、同法の定める課税最低限が健康で文化的な最低限度の生活を維持するための生活費を下回ることを立証すれば、当該課税最低限に基づく課税の憲法25条違反を主張することができるとするのが判例である。
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65
堀木訴訟判決では、児童扶養手当法が、児童扶養手当と障害福祉年金の併給を禁止していることは、身体障碍者や母子に対する諸施策や生活保護制度の存在などに照らして合理的理由があり、立法府の裁量の範囲内であるとした。
×
66
憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられており、おれが著しく合理性を欠き明らかに立法府の裁量・逸脱に該当するか否かの点についても、裁判所が審査・判断するのに適しない。
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67
平成元年改正前の国民年金法が20歳以上の学生を、国民年金の強制加入被保険者として一律に保険料納付義務を課すのではなく、任意加入を認めて国民年金に加入するかどうかを20歳以上の学生の意思に委ねることとした措置は、著しく合理性を欠くものとして憲法25条に違反するとするのが判例である。
×
68
内閣総理大臣の指名については、衆議院と参議院の議決が異なった場合には、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときまたは衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除き60日以内に参議院が指名の議決をしないときには、衆議院の議決をもって国会の議決とされる。
×
69
予算は、先に衆議院に提出しなければならず、参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内 に議決しないときであっても、両院協議会を開かなければならず、直ちに衆議院の議決を国会の議決とすることはできない
〇
70
法律案について、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決がなされた場合、衆議院において出席議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば法律が成立するが、衆議院の可決のみで成立してしまうことから、両院協議会を開かなければならない
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71
常会、臨時会及び特別会の会期は、両議院一致の議決で延長することができるが、いずれの場合も、会期の延長ができる回数についての制限はない
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72
衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に特別会を招集しなければならない。解散後、特別会の招集までの間に国会の議決を必要とするような緊急の必要性が生じた場合には、内閣は解散前の衆議院議員を構成員とする緊急集会を求めて必要な措置を採ることができる。
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73
国政調査権は、国会が国権の最高機関であることに基づく、国権を統括するための補助的な権能であるが、立法、予算審議、行政監督など、国政調査権の及ぶ範囲は、国政のほぼ全般にわたる
〇
74
最高裁判所の判例では、国会議員が国会で行った質疑について、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、当然に国の損害賠償責任が生ずるには、当該国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情を必要とするとした
〇
75
国会議員に不逮捕特権が認められるのは国会の会期中に限られるが、参議院の緊急集会中は会期中と同様に取り扱われ、参議院の緊急集会が開催されている場合の参議院議員についても不逮捕特権が認められる
×
76
政党は、議会制民主主義を支える上で重要な存在であり、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営を為しうる自由を保障しなければならないので、政党が党員に対してした処分には、一般市民法秩序と直接の関係を有するか否かにかかわらず、裁判所の審判権は及ばない。
〇
77
具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとる訴訟であっても、信仰対象の価値又は宗教上の教義に関する判断が、その帰すうを左右する必要不可欠なもので、訴訟の争点及び当事者の主張立証の核心であると認められるときは、裁判所法にいう法律上の争訟にあたらない。
〇
78
最高裁判所の判例では、衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であるが、それが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合は、裁判所の審査権に服するとした。
〇
79
裁判官の職権の独立を実効性あるものにするため、裁判官の身分は保障されており、裁判官の罷免は、弾劾裁判所によるものに限られている。
〇
80
我が国の法制度の下においては、具体的事件を離れて抽象的に法令等の合憲性を判断する権限を裁判所に付与したものと解することはできず、特定の具体的な法律関係について紛争が存する場合にのみ、裁判所は違憲審査権を行使することができると解される 。
〇
81
特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合において、両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、条例が国の法令に違反する問題は生じないとするのが判例である。
〇
82
憲法92条が定める地方自治の本旨とは、住民自治と団体自治によって構成され、住民自治の原則は、地方公共団体の自治権を定めることによって、団体自治の原則は、地方公共団体の議会の設置及び執行機関の直接公選制による団体の機関の民主化を定めることによって、それぞれ具体化されていると一般に解されている。
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83
日本国憲法は、地方公共団体に議事機関として議会を設置することを定めているが、町村が条例で、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることは、憲法の規定に違反しない
〇
84
特定の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を 得なければ、国会は、これを制定することはできない
〇
85
憲法上、国会に広汎な議員自律件が認められており、ことに議員の発言にいわゆる免責特権を与えているからといって、その理をそのまま直ちに地方議会にあてはめ、地方議会にも国会と同様の議会自治、議会自律の原則を認め、さらに地方議会議員の発言についても、いわゆる免 責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はないとするのが判例である
〇
86
日本国憲法は、何人も、法律の定める手続きによらなければ、その自由を奪われないことを定めているため、地方公共団体は、その条例中に、条例に違反した者に対し懲役の刑を科する旨の規定を設けることはできない
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