問題一覧
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電気事業法
電気事業運営の適正化、合理化、及び電気工作物の工事、維持及び運用に関する規制を定めた法律。電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図り、並びに公共の安全を確保し、あわせて、環境の保全を図ることを目的としている。その目的達成のための規制の中心は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめること並びに電気工作物の工事、維持及び運用を規制することにあるとされている。
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電気工事業法
正式には電気工事業の業務の適正化に関する法律といい、電気工事業を営む者の登録や、その業務の規制を行うことで、電気工事の安全性を確保することを目的とした法律。建設業法に基づいた許可を得ていても、電気事業を営むには都道府県知事または経済産業大臣への届出等の手続きが必要。ただし、家庭用電気機械器具の販売に付随して行う電気工事、または電気工事士法の範囲内における軽微な作業は除かれる。
3
電気設備技術基準
全ての電気工作物が維持しなければならない、電気事業法に基づく省令に定められた技術基準のこと。行政手続法に基づく審査基準でもある。具体例については、電気設備の技術基準の解釈として制定された。電気工作物の維持基準として適用されるほか、経済産業大臣の行う工事計画の認可、検査の際の合格判定基準等に適用される。
4
保安規程
自家用電気工作物の設置者が、工事、維持及び運用に関する保安の確保を目的として、電気主任技術者を中心とする電気工作物の保安監督組織、保安業務の分掌、指揮命令系統などの保安体制と、これらの組織によって行う具体的な保安業務の基本事項を定めるもの。設置者が作成し経済産業大臣に届け出ることが義務付けられており、保安規定を守ることが電気事業法で定められている。
5
内線規程
電気の安全に関する民間自主規格のこと。一般電気工作物と特別高圧を除く自家用電気工作物に適用される。関連する各種法令や電気設備技術基準の解釈が、具体的にわかりやすく記載されており、電気保安上守るべき規範として広く活用されている。電力会社が電気工事の検査や審査等を行う際の基準としても用いられる。
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絶縁耐力試験
使用電圧より高い電圧を一定時間連続して加え、異常が生じないかどうかを確認する試験である。電圧の高い電路や電気機械器具では、絶縁劣化が生じると急激に進展して絶縁破壊状態になりやすく、アークの発生などによる火災等の被害を及ぼすとともに、電気の供給に対する影響も大きいため、工事の完了時あるいは保守点検時に、電気設備技術基準に定められている耐力試験を行う。
7
電気用品安全法
電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とした法律。昭和36年、粗悪な電化製品による火災事故が多発したことを背景に、電気用品取締法が制定された。安全、安心の確立に向けた取組みには、常に時代にあった今日的な要求に対応していくことが大切であり、民間事業者の自主的活動の促進に重きを置くため、平成13年に電気用品安全法に改正された。
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接地工事
感電防止、機器の損傷防止、及び配電系統における回路電圧の安定のため、機器の筐体、電線路の中性点、及び電子機器の基準電位配線などを電気伝導体で基準電位点に接続する工事。電気設備技術基準に種別、方式が規定されており、300V以下の低圧はD種、300V以上の低圧はC種、高圧と低圧を結合する変圧器の混触防止板に接地を施す場合にはB種、高圧及び特別高圧はA種の接地工事を行うこととなっている。
9
使用前自主検査
電気事業法第50条の2第1項で定めるもので、需要設備の設置または変更の工事において工事計画届出書を提出した工事について、当該需要設備の設置者が工事計画書と相違がないか、電気事業法第39条第1項に適合しているかを確認するものである。検査項目としては、外観検査、接地抵抗測定、及び絶縁抵抗測定等で、工事の計画に係る全ての工事が完了したときに実施する。
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断路器
機器の点検及び修理などを実施するとき電路から機器を切り離すための開閉器。また電気回路の系統変更などを行うときに区分断路するためにも用いられる。原則的には負荷電流を遮断する能力がないため、操作する場合は無負荷状態であることが条件である。断路器を操作する時の安全措置として、フック棒操作式のものではブレードが自然に飛び出したり、電磁力により開閉しないようにインターロックを設けている。また、遠隔操作式のものは適当な施錠装置を機構部に設けている。
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遮断器
電力回路及び電力機器の正常動作時の負荷電流を開閉するとともに、保護継電器と連携して事故電流(特に短絡事故電流)などを遮断することにより、負荷側の設備を保護し上流側への事故波及を防止する開閉器である。消孤方法によって、真空遮断器、ガス遮断器、油遮断器、および空気遮断器などの種類がある。
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ガス遮断器
受変電設備の主遮断器として、電路を開閉する目的で設置されるもので、密閉した容器の中でSF6(六フッ化硫黄)ガスをアークに吹き付けて消孤を行う遮断器である。特徴として消孤および絶縁性能が優れ、絶縁性能は空気の2.5〜3.5倍の絶縁耐力があり、消孤性能は空気の約100倍もあるため主遮断装置として優れている。また、日常点検もガス圧力ゲージの目視点検のみで、通電状態でも出来るため容易である。しかし、SF6ガスは有害であり、高い温室効果を持っているため法律で使用を規制する国もある。
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真空遮断器
受変電設備の主遮断器として、電路を開閉させる目的で設置される。真空の優れた消孤能力及び絶縁性能を利用したもので、開極時に生じるアークは、真空中で高速拡散する。したがって、容易に大電流を遮断することができる。また、接点間隔を小さくできるので、小型かつ軽量である。メンテナンス性、ランニングコスト、安全面や環境面で優れている。
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配線用遮断器
配線用遮断器(MCCB)とは、回路に異常電流が発生した際に電流を遮断して、回路や電線を保護する役割を持つ装置のこと。内部には引き出し機構と消孤装置が組み込まれており、回路遮断時に発生するアークを消孤することで電路を遮断することができる。異常電流が負荷で発生するとその異常電流が一次側へ流れ、配電盤や受変電設備へと逆流してしまうが、MCCBがあることで異常電流を遮断し、波及事故を防ぐことができる。
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漏電遮断器
漏電遮断器(ELCB)は、漏電を検知した際に回路を遮断し、災害を防ぐための装置である。一般的に配線用遮断器(MCCB)に零相変流器(ZCT)を組み込んだものを指すため、過電流保護機能と漏電遮断機能をあわせ持つタイプが多い。回路内の行きと帰りの電流絶対値の差を検出し、一定以上の差になった場合に漏電していると判断して回路を遮断するという仕組みになっている。
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地絡継電器
高圧ケーブルや高圧機器の絶縁劣化や絶縁破壊、または倒木などの外敵要因で地絡が発生した際に動作し、開閉器や遮断器を開放する継電器である。単体では動作できず、地絡電流を検出するには零相変流器がセットで設置される。また地絡継電器には、無方向性と方向性があり、方向性を持つものを地絡方向継電器と呼ぶ。これは零相変流器と零相電圧検出装置をセットで活用して、構内で生じた事故か判別することができる。
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地絡継電器
高圧ケーブルや高圧機器の経年劣化や絶縁破壊、または倒木などの外敵要因で地絡が発生した際に動作し、開閉器を開放する継電器である。単体では動作できず零相変流器と組み合わせて設置され、零相電流を検知したときに動作する仕組みになっている。また地絡継電器には、無方向性と方向性があり、方向性を持つものを地絡方向継電器(DGR)と呼ぶ。これは零相変流器と零相電圧検出装置をセットで活用して、構内で生じた事故か判別することができる。
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無停電電源装置
入力電源において停電などの異常が発生しても無瞬断で電力を供給し続ける電源装置のこと。整流器、インバーター、及び蓄電池で構成されており、通常では電力会社から供給される電力を受けて蓄電池を充電状態にしておく。停電や瞬時電圧低下が発生した際には、蓄電池からの電源供給に切り替えることで、途切れることなくバックアップをすることができる。
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避雷器
雷や過渡的に発生する高電圧であるサージ電圧等の過電圧から精密機器等を保護する機器である。商用電圧によって加電されている回路において、雷電圧が印加した際に雷電流に便乗して流れようとする商用電流(続流)を遮断し、雷電流のみアースへ逃がす作用を弁作用と言うが、素子の特性による弁作用を利用して回路の保護を可能にしている。代表的な素子として酸化亜鉛やモリブデン素子が挙げられる。
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感震器
地震の揺れを感知して電気やガス等の供給を遮断する装置であり、地震後の火災や漏電等の二次被害を防ぐ役割を果たしている。感震器のセンサーには機械式と電気式の二種類があり、それぞれ長所短所が存在するため設置場所の条件によって適切な選定が必要になる。
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モールド変圧器
乾式変圧器という鉄心と巻線を油に浸さない空冷式のものに属し、その中でもエポキシ樹脂などの合成樹脂で充電部分を固めることで、絶縁を強化した変圧器のことを指す。油入変圧器と比較すると油を使用していないため、火災の恐れが低減でき、軽量かつ小型のためキュービクルのサイズを小さくできるという利点がある。その一方で騒音や振動が大きく、コイルが露出しているため感電の危険性が高い点などがデメリットとして挙げられる。
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電力ヒューズ
短絡や過電流などの定格以上の電流から回路を保護するための部品。主に電力回路で利用されるものを指す。定格以上の電流が流れた場合、エレメントが溶断することで電流を遮断する。限流形と非限流形があるが、主に限流ヒューズが使用される。真空遮断器なども短絡電流を遮断できるが、電波波形として3〜5サイクル程度の時間を要し回路に負担がかかるのに対し、限流ヒューズの場合はアーク抵抗によって最初の半波で遮断し機器等のダメージを軽減できる。限流ヒューズは用途によって分類され、一般用、変圧器用、電動機用及びコンデンサ用が存在し、各負荷の投入時にエレメントが溶断や損傷をしても意味がないため、負荷ごとに適切なタイプを選ぶ必要がある。
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高圧交流負荷開閉器
変圧器やコンデンサなどの高圧機器や電路の入・切のために使用される開閉器。一般的には変圧器の直近上位に設置されることが多い。基本的には300kVA以下の容量を持つ機器へと適用される開閉器であり、通常は負荷電流しか開閉することができない。そのため短絡電流及び過電流発生時に回路を遮断するため、限流ヒューズ付きのものを採用することが多い。
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接地変圧器
配電用変電所の母線に接続し、配電線の地絡保護の役割を担う装置である。接地変圧器は複数台設置すると、地絡電流が分流して地絡電流の検出に支障が出るため、1系統に一つのみ設置する。三相変圧器をY−Δ結線で接続し、一次側の中性点を直接接地し、二次側をΔとし一角を開けば零相電圧V0を得られる。この電圧を継電器が取り込むことで地絡保護を行うことができる。
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VVVF制御
可変電圧・可変周波数制御のことで、インバータ(周波数変換装置)により、直流電源を周波数及び電圧を変えることのできる交流電源に変換することによって制御している。機器の回転数や出力に応じて電圧と周波数を変化させ、交流誘導モーターを制御している。このため、主電動機の整流子と主抵抗器が不要となり、消費電力が少なく効率的なエネルギー使用が図られる。
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変圧器の冷却方式
変圧器内の電力損失は熱となって巻線及び鉄心の温度を上昇させる。このため、絶縁油または空気等で冷却し、さらに冷却効果を増すために冷房装置を取り付けている。巻線及び鉄心を直接冷却する媒体、並びにその媒体を冷却する周囲の冷却媒体の種類と循環方式によって分類できる。代表的なものとして、油入自冷式は絶縁油の対流作用と冷却器表面の空気の自然対流のみで冷却する方式で、導油風冷式は絶縁油を送油ポンプによって冷却器に送り、冷却ファンによって強制冷却する方式が挙げられる。
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変圧器の無負荷損と負荷損
一次側のみ定格電源を印加され、二次側をすべて開路としたときの損失を無負荷損といい、大部分は鉄心中のヒステリシス損と過電流損である。また、変圧器に負荷電流を流すことにより発生する損失を負荷損といい、巻線中の抵抗損及び過電流損、ならびに構造物や外箱などに発生する漂遊負荷損などで構成される。
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同期発電機
同期発電機とは、磁界を発生させる回転子と、交流機電力を誘導するための電機子で構成されており、回転磁界によって磁界を変化させることで発電する装置のこと。誘導発電機と違い、回転子と回転磁界が同じ速度で回るため滑りが0となる。同期機は力率調整が可能で、負荷が変動しても一定の回転速度を保つことができる。大規模発電設備では同期発電機が主に利用されている。
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かご型誘導電動機
固定子は巻線と鉄心で構成されており、巻線は鉄心に収められている。回転子は短絡環と二次導体(通常銅またはアルミ)で構成され、固定子の中に回転子が収められた構造になっている。構造が簡単、堅固かつ安価で、スリップリングとブラシが必要ないため保守が容易である。外部抵抗が接続できなく始動電流が大きくなるので、大型の場合は始動装置が必要になるといった特徴がある。
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巻線型誘導電動機
構造としては、固定子はかご型三相誘導電動機と同じであるが、回転子にはコイルの他にスリップリングとブラシが設けられており、外部へ電流を導ける構造となっている。さらにこのブラシに二次抵抗器が接続されており、二次抵抗器の抵抗値を変化させることによって、ブラシを介して回転子の抵抗を変化でき、始動電気を制限すると同時に大きな始動トルクを発生させることができる。始動時には回転子に抵抗があり回転子に流れる電流を抑え、定格回転数に達したら二次抵抗を短絡させ、通常のかご形三相誘導電動機と同じ特性になる。
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負帰還増幅回路
オペアンプ(演算増幅器)は高い電圧利得をもつ増幅器であるが、開放利得のばらつきがあり増幅率のコントロールが難しい。そこで通常は負帰還回路を構成して使用する。帰還回路は出力信号の一部を入力端子に戻す回路で、負帰還は入力信号と逆位相の信号を帰還させるものである。負帰還回路を構成することで、増幅回路の利得が一定となる帯域を広げることができる(周波数特性の改善)、開放利得のばらつきの影響が小さくなる(利得安定化)、歪み及びノイズ等による利得への影響を抑制することができる等の利点がある。
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ツェナーダイオード
定電圧ダイオードを指し、一定の電圧を得る目的で使われるダイオードである。これはダイオードに印加する逆電圧を大きくすると、降伏電圧付近では、どんな電流が流れても電圧がほぼ一定となる性質を利用している。そのため、サージ電流や静電気から電子機器を守る保護素子や、回路の電圧安定化に重要な役割を果たしている。
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可変容量ダイオード
ダイオードの空乏層は、コンデンサのような役割を果たす。逆電圧をかけて、空乏層の幅を変化させることで、空乏層の静電容量を変化させることができる。この性質を利用したものが可変容量ダイオードである。共振回路のコンデンサとして用いることで共振周波数が印加電圧でコントロールすることができるため、チューナー同調回路や電圧制御発振器などに使用されている。
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発光ダイオード
発光ダイオード(LED)は、順電流を流すと発光するダイオードである。p形とn形半導体の接合面の近くで、自由電子と正孔が再結合したとき光エネルギーを放出する、つまり光が発生する。最近では高輝度発光ダイオードが照明に使用されている。
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レーザーダイオード
レーザーダイオードは、レーザー光を発するダイオードであり、p形層、活性層、n形層の三層構造をしている。順電流を流すと、活性層で電子と正孔が再結合し、そのときに光が発生する。その光エネルギーが作用して、他の電子も再結合し、同じ波長かつ同じ位相の光が次々に発生する。活性層の表面は鏡のような性質を持っており、初めは光を閉じ込めるが、増幅してある一定の以上の強さになると放出する。
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ホトダイオード
光を当てると光の量に比例して電流が流れるダイオードである。逆電圧を加えた状態でも、光エネルギーでキャリアが発生して、電流が流れる光起電力効果を利用している。n形半導体とp形半導体に電極を取り付けることで電流を取り出し、電流値として光を検出できるようになる。そのため光検出器、センサーとして利用されている。
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バイポーラトランジスタ
半導体の性質を利用して電気の流れをコントロールする素子のこと。p形半導体とn形半導体のうち、同種の半導体で異種半導体はさみ込むような構造をしており、組み合わせによりpnp型トランジスタとnpn形トランジスタの二通り存在する。代表的な特性としてスイッチングを入力電流で自動化できるスイッチング特性や、これを応用した信号増幅特性をもつ。
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電界効果トランジスタ(FET)
バイポーラトランジスタは電流で制御するのに対して、これは電圧で制御を行うなど異なる原理で動作するが、似た働きをする素子である。内部の構造によって接合形と絶縁ゲート(MOS)形で分けられ、さらに正孔がキャリアになるpチャネル形と、電子がキャリアになるnチャネル形に分かれる。ゲート電流が低いことに加え、構造が平面的であるため、作製や集積化が容易である。
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燃料電池
水の電気分解の逆反応を利用して燃料の水素と空気中の酸素を反応させて電気を取り出す化学電池のこと。電解質の種類によって動作温度や利用可能な燃料の種類が異なる。電解質にはリン酸、アルカリ、固体高分子などがある。電気と同時に熱も利用できるので総合エネルギー効率が高く、騒音や振動が少ないという特徴があり、発生するのは水だけであるためクリーンエネルギーとして期待されている。
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NaS電池
負極に液体ナトリウム、正極に液体硫黄、電解質にβ−アルミナという特殊セラミックを使用した高温作動型二次電池であり、ナトリウム硫黄電池とも呼ばれる。特に大規模の電力貯蔵用につくられ、昼夜の負荷平準などに用いられる。鉛蓄電池の約3倍のエネルギー密度を持ち、高充放電効率でかつ自己放電が少ないことが特徴。
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鉛蓄電池
化学反応を利用して電気エネルギーを取り出し、充放電が行える二次電池の一種である。正極に酸化鉛、負極に鉛、電解質が希硫酸で構成されている。大きな起電力を持つため大電流を取り出すことができ、充放電を繰り返すことで発生するメモリ効果も発生しないため、他の二次電池と比較して安定した性能を発揮できる。
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リチウムイオン電池
化学反応を利用して電気エネルギーを取り出し、充放電を行える二次電池の一種であり、リチウムイオンの移動によって充放電する電池である。特徴としては、電圧が約3.7Vと高く、単位体積当たりのエネルギー密度が大きい、さらにメモリ効果が少なく継ぎ足し充電に適している点が挙げられる。
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全固体電池
電池に用いられる電解質はこれまで液体だったが、それを固体にして電池全て固体で構成したものを全固体電池と呼ぶ。安全性、寿命、出力など多くの点で電解液を用いた電池を上回る性能を持つことに期待が寄せられているが、実用化についてはまだ開発途上である。発火の危険が小さく、温度変化に強いことなどが特徴として挙げられる。
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デマンドレスポンス
電力の需要と供給のバランスを保つことを目的とした取り組み。需要家が電力の供給状況に応じて電力需要を制御する。代表的な手法として、供給量が少なくなるタイミングで機器及び設備の使用を調整または停止することによる節電、設備の稼働を電力需要の多い時間帯から少ない時間帯へ変更するピークシフト、電力需要の少ない時間帯に蓄電池を充電しておき、需要の多い時間帯でその電力を利用する放電が挙げられる。
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マルウェア
PCへの攻撃を目的とした悪意あるソフトウェアの総称を指す。マルウェアの種類としてウイルス、ワーム及びトロイの木馬等があり、それぞれ性質が異なる。最近ではランサムウェアがサイバー犯罪者の間で最も普及しており、これまでは不特定多数を攻撃していたが、近年では組織を標的に攻撃することが多くなってきた。そのため、ウイルス対策ソフトを利用する、OSやアプリケーションの脆弱性を解消する修正パッチを適用するなど、セキュリティ対策を適切に行い、マルウェアの感染を防ぐことが何よりも重要である。
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ニューラルネットワーク
人間の脳に似た方法で意思決定を行う機械学習プログラムまたはモデルのことで、生物学的なニューロンが連携して現象を特定し、選択肢を検討し、結論を導き出す方法を模倣したプロセスを使用する。ニューラルネットワークはトレーニングデータによって徐々に学習し、時間の経過とともに精度を高めていき、微調整が行われることでコンピュータサイエンスおよび人工知能における強力なツールとなって、データの高速な分類とクラスター化を可能にしている。ディープラーニングモデルの中枢を成している。
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ディープラーニング
ディープラーニング(深層学習)とは、機械学習の一種で、大量のデータを学習してその特徴を抽出する技術である。人間の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模したニューラルネットワークを多層構造化したディープニューラルネットワークを基本としており、データの背景にあるルールやパターンを学習する。人間の力を介さずにコンピュータが学習を行い、自ら注目すべきポイントを見つけ分析して学習を進め、画像や音声などの非構造化データの学習も可能であることから、画像認識や音声認識及び翻訳など様々な分野で活用されており、多くのAIが誕生する契機となった。
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LLM
LLM(large language models:大規模言語モデル)とは、非常に巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された言語モデルである。ここでいう大規模とは、従来の自然言語モデルと比べ、計算量、データ量及びパラメータ量の3つの要素を大幅に増やして構築されていることに由来する。人間に近い流暢な会話が可能であり、自然言語を用いたさまざまな処理を高精度で行えることから、世界中で注目を集めている。現時点では課題もあり、偽の情報を平然と出力するハルシネーション(幻覚)と呼ばれる現象や、悪質なプロンプトを用いて、本来禁止されている機能を解除して不適切な回答を得ようとするプロンプトインジェクションの問題が指摘されている。
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ヌルフォーミング
ヌルフォーミングとは、5G及びLTEなどの無線通信の分野で使われるアダプティブアレーアンテナ技術(複数のアンテナ素子を制御する技術)である。携帯電話の基地局は、広範囲に電波を送出して最大数kmの範囲をカバーするが、基地局同士で信号がぶつかり電波が干渉してしまう場合がある。この電波干渉を防ぐために、特定方向への信号を抑制するのがヌルフォーミングで、ヌルステアリングとも呼ばれる。無線信号の空間を波のように伝わる性質を利用し、複数のアンテナ素子を用いて特定方向に対して信号を打ち消し合うように送信することで信号が何もない、つまりNULLの状態となり、不要な方向への信号を大幅に低減することができる。
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RTK
RTK(Real Time Kinematic:リアルタイムキネマティック)とは、相対測位と呼ばれる測定方法の一つである。一般的にGPSと呼ばれる位置情報サービスで使われている測位方法は単独測位と言うもので、単独の受信機で4つ以上の衛星から信号を受信して、各衛星からの距離を測定することで位置を算出している。比べて相対測位は、固定局と移動局の二つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術で、2つの受信機の間で情報をやり取りしてズレを補正することで、単独測位よりも精度の高い位置情報を得ることができる。多少の誤差は生じるものの、その範囲をわずか数cm以内に抑えられるのが最大の特徴であり、これまで誤差がネックとなってGPSが普及しなかった分野にも、RTK測位の活用が期待されている。
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WPT
WPT(Wireless Power Transfer:ワイヤレス電力伝送)とは、物理的な配線をすることなく電磁誘導や電界共鳴または電波などにより電力を送る技術である。内閣府が提唱するSociety5.0社会の到来による、IoTデバイスのバッテリー交換や給電方法が課題になっていることを背景に、電源から離れていても給電できることや、ケーブル劣化や断線などの懸念がなく利便性や安全性の向上に繋がる点で、幅広い分野での活用が期待されている。一方、送電距離や容量及び伝送効率などが課題とされ、様々な企業や団体が研究を進めている。
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スマートグリッド
従来の一方的に電力を送り出す電力設備と異なり、IoTにより電気の供給側と需要側の双方から電力量や流れをバランスよく制御して、電力利用を最適化するという次世代エネルギーシステムである。スマートグリッドを実現する上で欠かせないのがスマートメーターという通信機能を持った電力測定器であり、これを一般住宅やオフィスに設置することで、電力の使用量や発電量、売電量などのデータを自動的かつリアルタイムで計測でき、電力の見える化が実現される。さらにこの見える化された電力データはHEMS(Home Energy Management System)というシステムに送られ電力需要の正確な予測が可能になり、需要に合わせた細やかな調整ができるようになる。
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HAPS
High Altitude Platform Stationの略称で、4Gや5Gといった地上系ネットワークではない、非地上系ネットワーク(NTN:non-terrestrial network )のうち、無人航空機などを利用し成層圏から広域な無線通信サービスを提供するシステムのことである。山岳部や離島など、通信ネットワークが整備されていない地域でも利用できることが大きなメリットで、一年を通して比較的風が穏やかな成層圏では安定した飛行が可能な上に、衛星に比べて地上との距離が近いことで低遅延かつモバイルダイレクト通信が可能である。2027年の実用化に向けて大きな注目を集めている。