問題一覧
1
次の文章は、労働環境の変化等について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]キャリア形成支援の必要性は、社会経済の動向と密接に関連しており、キャリアコンサルタントは常に労働環境の変化を注視しておく必要がある。 [2]1950年代に就業者が就いている職業で最も多かったのは「運輸通信従事者」であった。 [3]戦後一貫して増加し続けた職業は、「製造・制作・機械運転及び建設作業者」「事務従事者」「専門的・技術的職業従事者」である。 [4]1960年代に「製造・制作・機械運転及び建設作業者」が「農林漁業作業者」を抜き、2000年代に至るまで就業者の最大多数の職業であった。 [5]第1次産業から第2次産業へ、第2次産業から第3次産業へと就業人口の比率が変化する法則を「ペティ・クラークの法則」という
[2]と[3]
2
次の文章は、若者の就労意識について述べたものである。適切なものの組み合わせはどれか。 [1]内閣府「平成30年版子供・若者白書」の「仕事を選択する際に重要視する観点」の調査によると、現代の若者は「安定して長く働けること」よりも「自分が身につけた知識や技術が活かせること」を重要視している。 [2]内閣府「平成30年版子供・若者白書」の「仕事を選択する際に重要視する観点」の調査によると、「収入が多いこと」よりも「自分のやりたいことができること」を重要視する割合が高くなっている。 [3]内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、日本が最も重視しなかった項目の1つに「仕事の社会的意義」がある。 [4]内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、日本が最も重視した項目は、「収入」と「専門的な知識や技能を活かせること」である。 [5]内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、日本が最も重視しなかった項目の1つに「能力を高める機会があること」がある。
[3]と[5]
3
次の文章は、働き方改革の推進について述べたものである。( )に入る言葉として最も適切なものはどれか。 厚生労働省パンフレット「働き方改革-一億総活躍社会の実現に向けて」では、「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます」としている。 具体的には、(1)( )、(2)「勤務間インターバル」制度の導入促進、(3)年5日間の年次有給休暇の取得(企業に義務づけ)、(4)月60時間超の残業の割増賃金率引き上げなどの制度が設けられた。
残業時間の上限規制
4
「第11次職業能力開発基本計画」(厚生労働省、令和3年3月)で述べられた職業能力開発の今後の方向性に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
生産性向上に向けた人材育成の強化
5
次の文章は、キャリアコンサルタントと人事との協業について述べている。( )に入る言葉として最も適切なものはどれか。 キャリアコンサルタントと人事との協業には、一連のプロセスとして、報告⇒提案⇒協議⇒協働開発⇒制度構築⇒( )⇒個人・組織へのフィードバック⇒フィードバックを通して出てきた課題などの再分析⇒制度改編⇒キャリアコンサルタント、人事、そしてクライアントそれぞれの活動にその結果を活かす、という一連の流れが存在している。
協働運営
6
次の文章は、組織内キャリアに関連する概念について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]キャリア自律:自分自身を継続的にモチベートし、自分 の意思をベースに主体的に行動でき、チャンスを能動的に捉 え、事態を切り開くことができることである。 [2]リアリティ・ショック:事前に形成される期待を現実水準に調整するために、現実的な職務・組織情報を提供する「現実的職務予告」がある。 [3]組織社会化:組織を取り巻く環境変化の中では、組織社会化は組織参入時だけでなく、中長期的なキャリア発達の過程においても継続的に生じる過程である。 [4]組織コミットメント:組織と従業員の関係性を特徴づけ、組織社会化に成功することで、その後の組織での順調なキャリア発達、昇進や昇格により高まっていく。 [5]キャリア・プラトー:近年わが国では、経済の低迷によるリストラ、高齢化や高学歴化の進行による人的資源管理の変容、雇用の流動化や多様化により中年期に限らず見られる。
すべて適切
7
次は、キャリア理論と人名と特徴を組み合わせたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]特性因子論的アプローチ:パーソンズ(Parsons,F.):マッチングによる職業選択 [2]パーソナリティ・アプローチ:ロー(Roe,A.):早期決定論 [3]意思決定論的アプローチ:ジェラット(Gelatt.H.B.):連続的意思決定モデル [4]意思決定論的アプローチ:バンデューラ(Bandura,A.):偶発性学習理論 [5]発達論的アプローチ:スーパー(Super,D.E.):ライフ・キャリア・レインボー
[1]と[2]と[3]と[5]
8
次の文章は、スーパー(Super,D.E.)のキャリアに関する見解について述べたものである。適切でないものはどれか。
「曖昧なキャリアの概念から、明確な職業へと概念の転換」を図り推進した。
9
次の文章は、キャリアの諸理論について述べたものである。適切でないものはどれか。
シュロスバーグ(Schlossberg,N.K.)は、連続的意思決定モデルを提唱したが、その後労働市場の劇的な変化を背景として自らのモデルを修正し、積極的不確実性を提唱した。
10
次の文章は、ホランド(Holland,J.L.)の「類型論的―交互作用的理論」で述べられている理念である。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]職業選択は、パーソナリティの表現の1つである。 [2]職業興味検査は、パーソナリティ検査である。 [3]職業的なステレオ・タイプは、心理学的・社会学的に確かで重要な意味を持つ。 [4]同じ職業に就いている人々は、似通ったパーソナリティの特性および発達史を共有している。 [5]職業満足、職業上の安全性や業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致度に依拠する。
すべて適切
11
次の文章は、アサーション・トレーニングについて述べたものである。最も適切でないものはどれか。
多くの人は、長い間に特定の状況や人に対してつくられた特定の行動パターンが習慣化されていても、特定の状況や特定の人との関係の中でアサーティブになれるものである。
12
次の文章は、精神分析的カウンセリングについて述べたものである。最も適切でないものはどれか。
行動期:実際に社会の現実の場で可能なところから、一つ一つ行動化を試みで自信をつけていく段階である。
13
次の文章は、交流分析(TA)について述べたものである。適切でないものはどれか。
エゴグラム:バーンが個人の自我状態を調べるため開発した。
14
次の文章は、ナラティブ・アプローチについて述べたものである。最も適切でないものはどれか。
ナラティブ・アプローチの実践の一つに、問題の「外在化」を行い、「ユニークな結果」の存在に気づき、その存在に注目することで支配的な物語である「オルタナティブ・ストーリー(alternative story)」を打破する糸口を見出すことができる。
15
次の文章は、論理情動行動療法(REBT)について述べたものである。最も適切でないものはどれか。
論理情動行動療法(REBT)は、アンナ・フロイト(Freud,A.)が1950年代に創始した心理療法である。
16
次の文章は、認知行動療法(CBT)について述べたものである。最も適切でないものはどれか。
お互いの対話の場合、具体的に話をしてもらう際のポイントは、「コペルニクス式質問法」、すなわち相手が自問し自ら発見できるよう問いかけること、適度に制約を設けたオープンクエスチョンを用いること、どんな回答であれ相手の発言を尊重すること、相手の発言に関心を示すことの4点である。
17
次の文章は、グループアプローチの種類について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]集団精神療法とは、メンバーが一定の期間、決まった場所・時間に集まり、患者個々の「治療的変化」を目的として行われるフォーマルな集団活動である。 [2]心理劇とは、ドラマ的方法によって、人間存在の真実及び環境場面の現実を探求する科学であり、「今、ここで」の現象を重視している。 [3]Tグループとは、トレーニング・グループの略称で、対人感受性や対人関係を学ぶための体験学習であり、健康な成人を対象としている。 [4]ベーシック・エンカウンター・グループとは、人間性回復運動全体のことや広く集中的グループ体験全般を指す場合もある。狭義にはロジャーズの理論や実践に基づく「集中的グループ体験を行う集団」である。 [5]構成的グループエンカウンターとは、ねらいを持ったエクササイズを目的や対象に応じて組み立て、リーダーが時間管理しながら進めていき、エクササイズを通して起こった心の変化を参加者が互いに分かち合うことで認知の拡大と修正を得る。
すべて適切
18
次の文章は、防衛機制について述べたものである。最も適切でないものはどれか。
退行:現状が苦しいので、他のものに心的エネルギーを出して、現状の苦しさを回避すること。
19
次は、カウンセリングの主要理論と人名及びキャリアコンサルティングへの活用視点を組み合わせたものである。最も適切でないものはどれか。
交流分析 -エリクソン(Erikson,E.H.)-自我状態の理解、人生脚本
20
次の文章は、グループアプローチで効果を上げるための原則について述べたものである。最も適切でないものはどれか。
グループ・メンバーの各人のニーズは、グループのために我慢すること。
21
次の文章は、能力開発の方法について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]OJTとは、通常の仕事を行いながら行うものであり、上司や同僚の指示や助言を受けたり、仕事の仕方を観察し真似したりすることや、実際の実務経験などで能力開発が図られていくことである。 [2]企業内の教育や訓練の費用については企業が負担するが、国は職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、「人材開発支援助成金」で助成を行っている。 [3]OFF-JTのデメリットは、講師や場所の確保等研修に経費がかかる、本当に仕事に活かせる能力開発が行えるか明確でない場合もあることである。しかし、OJTでは学べない専門的で高度なスキルや知識、まったく新しいスキルや知識を学べることはメリットとしてあげられる。 [4]厚生労働省の「教育訓練給付制度」とは、働く人の主体的な能力開発の取組みや、中長期的なキャリア形成を支援するために、一定の条件を満たした在職者または離職者が厚生労働大臣が指定した講座を受講し、修了した場合、本人が支払った教育訓練受講費用の一部を支給するものである。 [5]2021年度の「能力開発基本調査」では、実施したOFF-JTの内容として、「新規採用者など初任層を対象とする研修」が最も多く、「ビジネスマナー等のビジネスの基礎知識」「新たに中堅社員となった者を対象とする研修」が続いている。
すべて適切
22
次の文章はジョブ・カードについて述べている。( )に入る言葉として適切なものはどれか。 ジョブ・カード(職務経歴等記録書)とは、「キャリア・プランシート」「職務経歴シート」「( )」などのシートからなる、生涯を通じたキャリア・ プランニングのツールであり、また、自分の職業能力を証明することもできる。一定の職業訓練を修了すると、「( )」が交付され、ジョブ・カードに追加できる。
職業能力証明シート
23
次の記述の( )に入る言葉として最も適切なものはどれか。 厚生労働省が整備している職業能力の体系である職業能力評価基準のもと、企業が人材育成に取り組むに当たって利用できるツールとして( )と職業能力評価シートがある。
キャリアマップ
24
次の文章は、職業能力開発促進法における 職業訓練、職業能力検定について述べたものである。適切でないものはどれか。
職業訓練は、学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)による学校教育との重複を妨げるものではなく、これとの合同で行われなければならない。
25
次の文章は、職業能力開発促進法における記述である。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]「職業生活設計」とは、労働者が、自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適性、職業経験その他の実情に応じ、職業の選択、職業能力の開発及び向上のための取組その他の事項について自ら計画することをいう。 [2]厚生労働大臣は、職業能力開発基本計画を的確に実施するために必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、関係事業主の団体に対し、職業訓練の実施その他関係労働者に係る職業能力の開発及び向上を促進するための措置の実施に関して必要な勧告をすることができる。 [3]事業主は、その雇用する労働者に対し、必要な職業訓練を行うとともに、その労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するために必要な援助その他その労働者が職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上を図ることを容易にするために必要な援助を行うこと等によりその労働者に係る職業能力の開発及び向上の促進に努めなければならない。 [4]職業能力開発促進法は、職業訓練及び職業能力検定の内容の充実強化及びその実施の円滑化のための施策並びに労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための施策等を総合的かつ計画的に講ずることにより、職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進し、もつて、職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。 [5]国は、労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するため、労働者の職務の経歴、職業能力その他の労働者の職業能力の開発及び向上に関する事項を明らかにする書面(職務経歴等記録書)の様式を定め、その普及に努めなければならない。
すべて適切
26
次の文章は「職業能力開発推進者」について述べたものである。適切でないものはどれか。
「職業能力開発推進者」としては、教育訓練等の部門がある場合はその部課長、そのような部門がない場合は、労務、人事、総務等の課長等を選任する。「職業能力開発推進者」は原則として事業所単位に選任するが、専任でなければならない。
27
次の記述の( )に入る言葉として最も適切なものはどれか。 企業において従業員の能力開発は企業運営に不可欠の要件であり、「職業能力開発促進法」第 12 条において事業主の努力義務として( )の選定が定められている。
職業能力開発推進者
28
次の文章は、「第11次職業能力開発基本計画(2021年度 -2025年度)」についての記述である。適切でないものはどれか。
今回の基本計画を「「企業における人材育成よりも、労働者の継続的な学びと自律的・主体的なキャリアの形成を支援する人材育成戦略」として位置付けている。
29
次の文章は、職業能力開発について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]個人、従業員が能力開発を行うと、スキル、知識、経験等が身に付き、職業に対する能力、職業能力が向上する。 [2]経済学の「人的資本理論」では、人的資本は投資によって価値が増大すると考えられる。この対象を人間と考え、能力開発は「投資」と考えられる。 [3]職業人生長期化の中で、個人が生涯にわたって主体的に学び続ける能力開発として「リカレント教育」が注目されるが、これは学校等での教育訓練の期間と会社等での就労の期間を個人が人生の中で繰り返すという意味で、働きながら学ぶ教育訓練のことは含まない。 [4]O*NETは日本の厚生労働省が開発し提供している情報システムである。人と職業、人と職務の最適なマッチングのために情報を提供している。 [5]職業能力には、どの企業、団体でも有効な「一般的能力」と特定の企業、団体でのみ有効な「企業特殊的能力」がある。技能に着目し「一般技能」「企業特殊的技能」ということもある。
[3]と[4]
30
次の文章は、ハロートレーニング(公共職業訓練)について述べたものである。適切でないものはどれか。
「学卒者訓練」は高等学校卒業者等を対象として、無料で行われる。訓練期間は、概ね3カ月~ 1年である。
31
次の文章は、経営戦略と人的資源管理システムついて述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]経営理念とは、会社が社会において何をなすために存立しているかという存在目的や社会的使命などを示したものであり、経営理念を具現化するための構想が経営戦略である。 [2]経営戦略とは自社と外部環境(社会や政治の動向、法制度、経済動向や産業構造の変化、労働市場など)とのかかわり方に関して将来を見据えて描く構想であり、自社の意思決定や事業展開の指針となるものである。 [3]人的資源管理システムの設計とは人事諸制度を構築することであり、経営戦略と人的管理システムがうまく連動する(垂直的適合)こと、また人事諸制度間に矛盾がなく整合性がとれている(水平的適合)ことが重要である。 [4]戦略的人的資源管理が想定する個人業績は、欠勤率や離職率の低下、能力の向上、モチベーションの向上、職務満足感の向上、高い質の職務遂行、有効なキャリア形成などがある。 [5]戦略的人的資源管理が想定する組織業績は、品質の向上、コストダウン、納期の短縮、生産性の向上、クレームの減少、顧客満足度の上昇、マーケットシェアの拡大、売上高や利益額の増加などがある。
すべて適切
32
次の文章は、労働時間と安全衛生について述べたものである。適切でないものはどれか。
労働政策研究・研修機構(2017)によれば、日本人労働者の年間総労働時間は増加傾向にある。
33
次の文章は、配置・異動について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]企業内における部署の変更を異動と呼び、異動のうち住居の変更を伴うものを転勤と呼ぶ。 [2]従業員が今後のキャリアビジョンや家庭の事情に伴う勤務地希望などについて、定期的に会社に申告できる仕組みを自己申告制度という。 [3]人材が必要となった職務について企業内で公募することが社内公募制度である。 [4]現在、多くの企業が60歳定年制を設けているが、高年齢者雇用安定法によって70歳までの雇用確保が義務付けられている。 [5]解雇には、労働契約を継続し難いやむをえない場合や従業員の服務規律違反に対する制裁である普通解雇、不況時における経営上の事由による整理解雇などがある。
[1]と[2]と[3]
34
次の文章は、働き方改革の目的、働き方改革の背景にある労働環境の変化について述べたものである。適切でないものはどれか。
第2に非正規従業員の増加と不合理な待遇格差の存在である。総務省の労働力調査によれば、2016年の非正規従業員比率は1985年と比べて約3倍に増えている。
35
次の文章は、福利厚生について述べたものである。適切でないものすべての組み合わせはどれか。 [1]福利厚生とは、従業員の福祉向上を目指して、従業員およびその家族を対象に現金給与以外のかたちで企業が給付する報酬の総称である。 [2]福利厚生は法定福利厚生と法定外福利厚生の2つに大別される。 [3]法定福利厚生には生命保険、厚生年金保険、雇用保険などの社会保険制度に基づいて法的に義務付けられた保険料の負担などがある [4]法定外福利厚生は企業が独自の裁量で行うもので、社宅・住宅補助、医療・保健、慶弔・共済、文化・体育・レクリエーションなどがある。 [5]近年では、従業員の福利厚生に対するニーズが多様化しており、すべての福利厚生を廃止する企業が増えている。
[3]と[5]
36
次の文章は、人材開発について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]人材開発のニーズには、トップ・マネジメントのニーズ、部門のニーズ、従業員個人のニーズの3つがある。 [2]トップ・マネジメントのニーズは経営理念や経営戦略、トップの人材開発ビジョン・方針などから把握する。 [3]階層ごとに行う階層別教育のプログラム例として、新任課長教育、部長教育、トップセミナー、メンタルヘルス教育などがある。 [4]部門ごとに必要な専門的能力を教育する部門別教育のプログラム例として、新入社員教育、販売員教育などがある。 [5]企業にとって重要な特定課題に関連した能力を、職種や部門を越えて教育する課題別教育のプログラム例として、グローバル化対応教育、コンプライアンス教育、品質管理技術教育などがある。
[1]と[2]
37
次の文章は、評価と報酬について述べたものである。適切でないものはどれか。
従業員が上司と相談しながら自らの目標を設定し、目標達成のために自律的に仕事をすることを目標による管理(OJT)という。
38
次の文章は、企業におけるキャリア形成支援について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]セルフ・キャリアドックとは、「企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の早期退職を防止する総合的な取り組み、また、そのための企業内の仕組みのこと」(厚生労働省、2017)である。 [2]キャリアコンサルティング面談とは、キャリアコンサルタントによる「キャリア理論等の専門的な知見に基づき、また、従業員の心理的な自己洞察を促して、キャリア形成について認識を深め、明確化するための面談」(厚生労働省、2017)を意味する。 [3]キャリアコンサルティング面談は、企業内において一般的に行われている、目標設定や人事考課の際に管理職が部下と行う面談に含むのが望ましい。 [4]セルフ・キャリアドックは従業員にとっては自らのキャリア意識や仕事に対するモチベーションの向上とキャリアの充実が、企業にとっては、人材の定着や活性化を通じた組織の活性化が期待できる(厚生労働省、2017)。 [5]管理職と部下との間で行われる目標による管理(MBO)では、目標設定=Plan、目標達成プロセス=Do、目標達成度(業績)の評価=See という目標を核としたマネジメント・サイクルを展開していく。
[2]と[4]と[5]
39
次の文章は、職能資格制度の今後について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]職能資格制度では従業員の保有能力としての職務遂行能力を評価、格付けをするが、その能力を遺憾なく発揮して高い業績を生み出すとは限らない。 [2]経済活動のグローバル化や情報通信技術の進展など経営環境の変化が激しい状況下では、能力を単に保有しているだけではなく、それらを職務行動として顕在化させ、高い業績を生み出すことが従業員に求められる。 [3]1990年代以降、多くの日本企業は職能資格制度の問題点を解決するため、能力主義の徹底、職務等級制度、役割等級制度などの検討、導入を図っている。 [4]評価・格付けの基準を保有能力である職務遂行能力から、期待される業績を生み出すことのできる行動特性や思考特性に修正する企業もある。 [5]多くの日本企業では、成果主義における評価項目である業績を単なる出来高とは捉えずに、把握が困難な定性的な結果や結果に至る有意味な職務行動をも業績と見なしている。
すべて適切
40
次の文章は、働き方改革の具体的な取り組みについて述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]報酬管理における「同一労働同一賃金」とは、違う職務でも同一の職務価値とみなされる労働には同一の賃金を支払うという考え方であり、世界共通の考え方である。 [2]人材開発における「キャリアコンサルティング」とは、2016年4月に改正された職業能力開発促進法に基づく施策であり、労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいう。 [3]「時間外労働の上限規制」により、休日労働を含む時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となった。 [4]「勤務間インターバル制度」とは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保する制度である。 [5]2015年12月に「ストレスチェック制度」が施行され、定期的に労働者のストレス状況について検査を行うことになった。
[2]と[4]と[5]
41
次の文章は、雇用管理について述べたものである。適切でないものすべての組み合わせはどれか。 [1]雇用管理とは、経営を行うために必要な労働力を確保し、企業内に配置し、かつ不必要な労働力について整理解雇を行う活動である。 [2]雇用管理として、まず経営戦略を実行するために必要となる人材像とその人数を導き出して、要員計画を立案する。次に、企業内の既存人材と要員計画とのギャップを明らかにし、そのギャップを埋める方法を検討する。 [3]正規従業員とはフルタイムで働く従業員のことであり、非正規従業員とはフルタイムではない従業員のことである。 [4]人を採用する場合、新卒採用、中途採用にかかわらず4月採用が一般的である。 [5]経営の立場からすると非正規従業員は労働力の調整が行いやすいため、日本の非正規従業員比率は増加傾向にある。
[1]と[3]と[4]
42
次の文章は、従業員格付制度のうち、職能資格制度について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]職能資格制度とはそれぞれの従業員が有する職務遂行能力を基準とした格付制度である。 [2]この制度では仕事では発揮されていない潜在的な能力は考慮されない。 [3]この制度は職位と処遇の分離を可能にした。例えば課長職でないが同等の能力を有する者には課長と同じ職能資格等級に格付けされる。そのためポスト不足問題を解決できる。 [4]この制度は従業員間の公平性を確保でき、能力開発やキャリア形成を目的としたジョブ・ローテーションや余剰人員の職種転換など、柔軟な人員配置が可能となる。 [5]この制度は従業員の格付制度として理想的であり、特段の問題点はない。
[1]と[3]と[4]
43
次の文章は、人的資源管理について述べたものである。適切でないものすべての組み合わせはどれか。 [1]働く人の多くは、企業・団体の中で働いている。したがって、キャリアコンサルタントとしては、企業・団体における人的資源管理の動向や課題について理解しておくことが必要である。 [2]企業は、ヒト、モノ、カネ、情報など様々な経営資源を利用しながら経営を行っており、これらの経営資源を効果的、効率的に活用することを通して経営目的を達成していく。 [3]従来から従業員は機械や原材料と同等の生産要素の一つであり、経営のためにはできるだけコストを引き下げるべき労働力とみなされており、現在でもその考え方が主流である。 [4]従業員を管理する活動は1980年代以降、戦略的人的資源管理と称され、従業員は企業の存続を左右する戦略的資源であるという人間観に立脚している。 [5]戦略的人的資源管理では経営戦略と人的資源管理システム(人事諸制度)との関係を水平的適合、人事諸制度間の関係を垂直的適合と称する。
[3]と[5]
44
次の文章は、従業員格付制度のうち、年功的格付制度について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]年功的格付制度とは、経験の長い従業員は高い職務遂行能力を持つので、高い職位や等級に処遇され高い賃金をもらうことは理にかなっている、という考え方に基づく格付制度である。 [2]第2次大戦後からリーマンショックまでは、年齢や勤続年数を基準として従業員に職位と等級を与え、賃金を決定する年功的格付制度が一般的であった。 [3]この制度の下では、個々の従業員の賃金は年々上昇し、人件費総額も増えていくので、従業員に積極的な能力開発施策を行い、職務遂行能力を向上させて賃金上昇に見合った生産性向上を図ってきた。 [4]企業の成長が停滞してくると管理職ポストの増加が期待できなくなり、ポスト不足問題が浮上してきた。 [5]急速な技術革新が進むにつれて、年齢や勤続年数の増加が職務遂行能力の向上と比例するという前提が崩れてきた。
[1]と[3]と[4]と[5]
45
次の文章は、職務等級制度、役割等級制度について述べたものである。適切でないものすべての組み合わせはどれか。 [1]職務等級制度は職務の難易度や保有能力を基準とした格付制度である。 [2]役割等級制度は経営戦略上期待される行動(役割)、組織への貢献内容、職務の質と量などを勘案した格付制度である。 [3]職務等級制度は「賃金は労働の対価」という考え方を具現化したものであり、賃金は年齢や保有能力には関係なく、人件費の自動膨張がないというメリットがある。 [4]職務等級制度では職務が変わっても等級は変えないため、柔軟な配置転換が行いやすい。 [5]役割等級制度はある点では職務主義に近く、別の点では能力主義に近い。
[1]と[4]
46
次の文章は、長期(1960年代~ 2010年まで)の職種別就業者数の変化について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]農林漁業作業者は大きく減少している。 [2]製造・制作・機械運転及び建設作業者は増加し最も就業者数が多かったが、近年は減少している。 [3]事務従事者は増加してきており、2010年には製造・制作・機械運転及び建設作業者を僅かに上回る就業者数になったが、近年大きく伸びていない。 [4]専門的・技術的職業従事者、保安職業・サービス職業従事者は一貫して増加しており、2010年時点において、それぞれ就業者数は第3位、5位になっている。 [5]管理的職業従事者は数として多くはないが、緩やかに増加し、近年は減少傾向にある。
すべて適切
47
次の文章は、労働力の確保について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]2015年国勢調査の結果において、生産年齢人口はすでに減少を始めており、2020年の人口ピラミッドでみると団塊ジュニアの世代以降は少ない。 [2]以前日本では、外国人の単純労働者の受け入れを認めていなかったが、2019年に施行の改正出入国管理法により、単純労働での外国人の就労が認められることとなった。 [3]定年年齢を 65 歳未満に定めている事業主は、「65 歳までの定年の引き上げ」「65 歳までの継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を実施する必要がある。 [4]「継続雇用制度」とは、雇用している高年齢者を、本人と会社が合意すれば定年後も引き続いて雇用する「再雇用制度」などの制度である。 [5]政府は、待機児童の解消、女性の役員・管理職の増加、女性の職場復帰・再就職の支援、子育て後の就業支援等の政策を進めている。
[3]と[4]
48
次の文章は、産業社会の変化(少子高齢化)について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]2015年の国勢調査の結果では、生産年齢である「15 歳から 64 歳」は人数的にピークを過ぎ、割合は 60.7%になっている。 [2]2015年の国勢調査の結果では、「65 歳以上」は上昇を続け、26.6%になっている。「0 歳から 14 歳」は減少を続け、12.6%になっている。 [3]総務省統計局が、2005 年 12 月に 「2005 年 10 月 1 日現在の日本の人口について、1年前の推計人口に比べ2万人の減少、我が国の人口は減少局面に入りつつあるとみられる」と発表した。 [4]わが国の2020年時点の人口ピラミッドを見ると、70 歳代前半の団塊世代と 40 歳代後半の団塊ジュニア世代の塊があり、若い世代が少なくなっている。 [5]大正 9 年~平成 27 年の国勢調査の結果から、15 歳未満の人口は、全体の30%~20%台を維持している。
[1]と[2]と[3]と[4]
49
次の文章は、働く意識の変化について述べたものである。( )に入る言葉として最も適切なものはどれか。 日本生産性本部の「新入社員働くことの意識調査」(毎年6~7月発表、2019年度までで終了)の結果によると、の結果によると、 「会社を選ぶとき、あなたはどういう要因をもっとも重視しますか」に対し、近年、最も多かったのは「自分の能力・個性が生かせるから」であり、以下、「仕事が面白いから」「技術が覚えられるから」「( )」と続いている。長期的な傾向としては「自分の能力・個性が生かせるから」と「仕事が面白いから」は、ここ数年は低下しているが、長期的には上昇傾向であり、「( )」は長期的には低下傾向である。
会社の将来性
50
次の文章は、雇用失業情勢の統計で使用される用語について述べたものである。 適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]労働力調査での「完全失業者」とは、調査週間中に、(1)仕事がなくて少しも仕事をしなかった、(2)仕事があればすぐ就くことができる、(3)仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた者のことである。 [2]労働力調査での「労働力人口比率」とは、20歳以上の人口に占める「労働力人口」の割合のことである。 [3]労働力調査での「完全失業率」とは「労働力人口」に占める「完全失業者」の割合のことである。 [4]職業安定業務統計である求人倍率とは、求人数に対する求職者の割合であり、「月間有効求人数」を「月間有効求職者数」で除して得たものが「有効求人倍率」である。 [5]職業安定業務統計である「月間有効求職者数」とは、前月から繰越された有効求職者数(前月末日現在において、求職票の有効期限が翌月以降にまたがっている就職未決定の求職者をいう)と、当月の「新規求職申込件数」の合計数をいう。
[2]と[4]
51
次の文章は、雇用関係の終了と労働者の人権について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は権利濫用として無効となる。 [2]整理解雇については、(1)企業経営の困難性、(2)解雇回避努力義務の履行、(3)人員選定の合理性、(4)手続の妥当性という4つの観点から解雇の合理性・相当性をより厳格に判断しようとする整理解雇法理が形成されている。 [3]解雇法理は、労働契約の解約に適用されるが、期間の定めのある労働契約の期間満了による終了(雇止め)には類推適用されない。 [4]労働基準法では労働者の人権を擁護するために、強制労働の禁止、中間搾取の排除、公民権行使の保障の規定がある。 [5]労働基準法では労働者の人権を擁護するために、労働契約は期間の定めのないものを除き原則最長3年とされている。
[2]と[3]
52
次の文章は、労働基準法について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]労働基準法は労働条件の平均基準を包括的に定めた法律であり、労働基準法に定められた基準は原則としてすべての使用者がすべての労働者に対して一律に守らなければならない。 [2]労働基準法上の「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」をいう。 [3]労働基準法上の「使用者」とは、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」をいう。 [4]残業を命じる権限をもっている課長が労働基準法に違反するような残業を部下に命じた場合、課長ではなく事業主が労働基準法違反の責任を問われることになる。 [5]労働基準法上 117 条以下に定めてある罰則の対象となる「使用者」は、「実質的な権限を持っている者」である。
[1]と[4]
53
次の文章は、労働安全衛生法について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促すことを目的としている。安全衛生法は単に安全衛生の最低基準を確保するだけでなく、より進んで適切な職場環境を実現することを目指している点が、労働基準法にはない労働安全衛生法の特徴といえる。 [2]労働災害を防止するため、事業者(使用者)に加え、事業の発注者や請負人等の一定の関係者も義務主体として設定している。 [3]労働安全衛生法は、罰則や命令(作業停止命令等)に加えて、努力義務規定や指針の公表、勧告、指導等の柔軟な規制の手法も用いて措置の履行を確保しようとする。 [4]労働安全衛生法に定める法律上の健康診断として、雇入れのとき、および雇入れ後も最低年 2 回実施される一般健康診断と、特定の有害業務(例えば、放射線業務や水中で行われる業務)に関わる労働者に対する特別の項目の特殊健康診断とがある。労働者はこれら法律で定める健康診断を受診する義務を負っている。 [5]事業場の規模にかかわらず、労働者が参加する委員会を設置し、安全衛生や危険防止に関する調査や審議を行わせなければならない。
[4]と[5]
54
次の文章は、基本的労働条件(賃金)について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]賃金、労働時間、・休暇といった基本的労働条件について労働者の経済的安定や肉体的保護等の観点から規制を加える法律として労働基準法、最低賃金法、賃金の支払の確保等に関する法律、労働時間等設定改善法等がある。 [2]労働基準法では賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。 [3]賃金の支払いに関して労働基準法では、通貨払、直接払、毎月1回以上払、一定期日払という4つの原則を置いている。 [4]賞与(ボーナス)や退職金は、法律上これらを支払う義務はなく、これらの制度がなくても法的には問題はない。 [5]お客から直接受け取るチップは、労働基準法の対象とする賃金に含まれる。
[3]と[5]
55
次の文章は、医療保険について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]医療保険には、職域・職種等に応じて被用者が加入する職域保険と、居住している住民を対象とする地域保険がある。 [2]職域保険には、中小企業の被用者が加入する組合管掌健康保険と、大企業の被用者が加入する全国健康保険協会管掌健康保険がある。 [3]地域保険である国民健康保険では、都道府県が市町村とともに保険者となる場合と、国民健康保険組合が保険者となる場合がある。 [4]職域保険では、被保険者の一定の範囲の親族等に対しても保険給付が行われる。 [5]65 歳以上の全国民は後期高齢者医療制度の対象となる。
[2]と[5]
56
次の文章は、労災保険について述べたものである。適切なものの組み合わせはどれか。 [1]労災保険は、政府が保険者となり、業務上の傷病等や通勤による傷病等を被った労働者およびその遺族に、その損害を補償する一定の給付(療養補償給付、休業補償給付、遺族補償給付等)を行うことを主たる目的とした制度である。 [2]労災保険は、雇われて働く人のみ対象である。 [3]非正規労働者は労災保険の対象となっていない。 [4]労災保険の対象となる業務災害等とされるには、業務と当該傷病等との間に一定の因果関係が存在すれば必要かつ十分であるとされ、業務起因性が問われる。 [5]労災保険料は労使折半となっており、保険料率は事業の危険度や同じ事業でも事業所ごとに実際の事故発生率に応じて異なっている。
[1]と[4]
57
次の文章は、労働法の法源について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]雇用関係は4つの法源によって規律されており、効力の強い順に並べると、強行法規(法令)、労働契約、労働協約、就業規則、となる。 [2]労働法の領域では、強行法規は2種類ある。1つは法律そのものあるいは法律のなかの個別の規定である。例えば、労働基準法、最低賃金法などのほか、民法1条3項(権利濫用)、民法 90 条(公序)などがある。もう1つは判例(判例法理)である。労働法の分野では、判例が重要な役割を果たす場面が多い。 [3]労働基準法では、常時 50 人以上の労働者を使用する使用者に就業規則を作成する義務を課している。 [4]就業規則には「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」がある。前者は始業・終業の時刻、休憩・休日・休暇、賃金の決定・計算・支払方法と時期、昇給等であり、後者は退職(解雇の事由も含む)、退職手当の決定・計算・支払方法時期、ボーナス、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁(懲戒)等である。 [5]最高裁は、労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されないが、当該規定が合理的なものである限り個々の労働者はその適用を拒否することはできないと判示している。
[1]と[3]と[4]
58
次の文章は、年金保険について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]年金保険は、老齢、障害、死亡といった所得や稼働能力の減少をもたらす出来事を保険事故として、一定の要件を満たす場合に、保険料の拠出に応じた年金給付が行われる仕組みである。 [2]政府が保険者となり、強制加入となっているのは、20歳以上60歳未満のすべての者を対象とする基礎年金(国民年金)と民間労働者や公務員、私学教職員等を対象として基礎年金に上乗せされる厚生年金である。 [3]老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格を満たし、かつ厚生年金の加入期間が1年以上あれば、報酬額や被保険者期間の月数に応じて支給される。 [4]障害基礎年金の支給額は、報酬額や被保険者期間月数による。また、障害等級1級の場合には支給額が 1.25 倍となる。 [5]遺族年金支給での「遺族」の範囲は、遺族基礎年金と遺族厚生年金とでは異なる。
[3]と[4]
59
次の文章は、労働関係法令について述べたものである。適切なものの組み合わせはどれか。 [1]障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)では、事業主に法定雇用率以上の障害者の雇用を義務づけ、法定雇用率を達成できない常用労働者101人以上の事業主は、障害者雇用納付金を支払わねばならない。 [2]常時 50 人以上の労働者を使用する使用者に、(1)障害者差別の禁止、(2)合理的配慮の提供が義務づけられている。 [3]男女雇用機会均等法は、「女性の地位の向上」を目的とした女性差別を禁止するための法律であるため、男性差別や男性へのセクシャルハラスメントは対象とはなっていない。 [4]事業主による差別改善措置を「アクティブアクション」と呼ぶ。 [5]男女雇用機会均等法は、使用者が職場におけるセクハラに適切に対応するための体制整備やセクハラを防止するための措置を講じなければならないと定めている。
[1]と[5]
60
次の文章は、パートタイム・有期雇用労働法(短有法)及び労働者派遣法について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]短有法では、1日の所定労働時間が通常の労働者(正社員)より短い労働者のことを短時間労働者と定義している。 [2]派遣労働の場合、雇用契約を締結している使用者(派遣元)が負っている義務や責任は原則として派遣先の使用者が負うこととされている。 [3]短有法9条によると、雇用関係が終了するまでの全期間における職務内容と人材活用の仕組みが正社員と同じ短時間・有期雇用労働者は、すべての待遇について正社員との差別が禁止される。 [4]労働者派遣法は、雇用契約は派遣元企業と締結し、しかし、指揮命令は派遣先企業から受けているという働かせ方を「労働者派遣」として適法化し、そのうえで、「労働者派遣」については同法の規制を課すこととした。 [5]労働者派遣法の2012 年の改正で新設された「労働契約申込みみなし制度」とは、派遣先企業が違法な派遣であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなすという制度である。
[1]と[2]
61
次の文章の( )に入る言葉として適切なものはどれか。 小・中・高等学校におけるキャリア教育の実践において、2020年度より導入された( )は児童・生徒自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオであり、教員にとっては児童・生徒と対話的に関わるための指導の資料として活用されることが期待されるツールである。
キャリア・パスポート
62
次の語句の組み合わせは、教育を通して育成する力、あるいは社会に出て行くときや社会において必要とされる力について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]生きる力 ――― 確かな学力、豊かな心、健やかな体 [2]学士力 ――― 知識・理解、汎用的技能、態度・志向性、総合的な学習経験と創造的思考力 [3]人間力 ――― 知的集積力要素、社会・組織関係力的要素、他者制御的要素 [4]社会人基礎力 ――― 前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力 [5]就職基礎能力 ――― 文章作成能力、職業人意識、基礎体力、資格取得、 ビジネスマナー
[3]と[5]
63
次の文章は、キャリア教育におけるPDCAサイクルに関して述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]今日、教育の世界でもPDCAサイクルに基づく取り組みの展開が求められているが、キャリア教育では取り立てて求められてはいない。 [2]「PDCAサイクルを基盤としたキャリア教育のあり方」の計画(Plan)では、取り組みのポイントとして、現状を把握し、目指す児童、生徒像を明確にすること、全体計画、年間指導計画を作成することなどがある。 [3]「PDCAサイクルを基盤としたキャリア教育のあり方」の実践(Do)では、取り組みのポイントとして、教育活動のすべてを通して系統的・継続的に取り組むことや、キャリア・カウンセリングや一人一人への働きかけ、個別の支援を充実することがあげられる。 [4]国立教育政策研究所のパンフレットでは、評価を「見取り」と表現し、見取りを行ううえで大切にしたいポイントとして、(1)社会的・職業自立に向けて身に付けさせたい力を明確にする、(2)児童生徒の実態を踏まえた評価基準・指標を設定する、(3)身に付けさせたい力を保護者と必ず共有する、という 3 点をあげている。 [5]「PDCAサイクルを基盤としたキャリア教育のあり方」の改善(Action)では、評価を踏まえて指導計画の改善に生かしたり、校内研修や組織の運営に生かすなどがあげられる。
[1]と[4]
64
次の文章の( )には同じ言葉が入るが、( )に入る言葉として適切なものはどれか。 大学における教育プログラムとしての( )は、実施率は年々高まってきているものの、学生の参加率はまだ低い。他方、企業が採用活動の一環として行う( )への学生の参加率は年々上がってきているが、これらの中には就業体験を伴わないものも少なくない。キャリアコンサルタントが学生の( )の支援に従事する際には、教育プログラムとしての( )と採用活動の一環としての( )を混同せず、両者の性格や位置づけの違いを明確にしたうえで取り組んでいくことが求められる。
インターンシップ
65
次の文章は、2018年3月に告示された高等学校学習指導要領におけるキャリア教育について述べたものである。適切でないものはどれか。
教科「公民」に新たな科目「共有」が設けられ、内容は、「自分自身が、自主的に、他とよりよい共有した空間を作り出していこうとする自立した主体になることが、自らのキャリア形成とともによりよい社会の形成に結び付くことについて理解すること 」を示している。
66
次の文章は小学校におけるキャリア教育の位置づけについて述べられている。適切でないものはどれか。
学習指導要領の特別活動については、新たに学級活動の内容として「一人一人の経験の積み重ねと目的達成のための向上」が設けられている。
67
次の文章は、キャリア教育に関わるキャリアコンサルタントに求められることについて述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]児童生徒、学生の特徴を把握し、その特徴に合わせて関与するキャリア教育の目標を具体的に設定する必要がある。 [2]関わる教育機関の教育の理念・目的と関連づけ、他の教育活動と連携しながら実施する。 [3]キャリアコンサルタントがキャリア教育に部分的に関わる場合には、その担当する活動のみを把握して取り組むのがよい。 [4]教育機関において個別支援の相談業務を担当する場合には、キャリア教育全体をコーディネートする場合と異なり、当該教育機関におけるキャリア教育の活動全体を把握しておく必要はない。 [5]外部人材としての関わりの場合、初等中等教育においては、校務分掌などの組織や体制を知ることが必要であり、また、大学においては、教学組織と事務組織の体制を理解することが必要である。
[3]と[4]
68
次の文章は中学校におけるキャリア教育の位置づけについて述べられている。最も適切でないものはどれか。
2017年3月告示の中学校学習指導要領では、学校においては、キャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の特性や進路、学校や地域の実態等を考慮し、地域や産業界等との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れることが記述されている。
69
次の文章は、学校教育法について述べたものである。( )には同じ言葉が入るが、( )に入る言葉として適切なものはどれか。 ( )学校とは、2016年4月1日施行の改正学校教育法49条の二で、「( )学校は、心身の発達に応じて、( )として行われる普通教育を基礎的なものから一貫して施すことを目的とする」と規定された小学校から中学校までの( )を一貫して行う新たな学校種である。
義務教育
70
次の文章は、学校教育制度、キャリア教育に関する理解について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]日本国憲法の精神に則って教育の基本を確立すべく制定された教育基本法は、第1条で「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。」と教育の目的を規定している。 [2]学校教育法によって、義務教育の目標の一つとして、「職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと」をあげているが、小学校段階は、まだ未成熟であるので、職業やキャリアに関わる教育を行うべきではない。 [3]専修学校は、基本的には職業教育を行う教育機関であるが、関連法令において専修学校のキャリア教育については明確に定められていない。 [4]令和2年度学校基本調査によれば、2020年3月の高等学校卒業者の卒業後の進路は、大学等進学率は 55.8%、専修学校(専門課程)進学率は 16.9%であり、就職率は 17.4%であった。 [5]令和2年度学校基本調査によれば、2020年3月の大学卒業者の卒業後の進路は、進学率10.4%、就職率 85.0%であった。
[2]と[5]
71
次の文章は、キャリアコンサルティングとメンタルヘルスについて述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]キャリアプランを立てる場合、クライエントのメンタルヘルス面が安定した状態にあることの確認が求められる。 [2]転職や仕事の内容を大幅に変えることは、人生における大きな出来事の一つであり、それによって強いストレスが引き起こされる例も多い。 [3]メンタルヘルス面の安定しない状態で、キャリアコンサルティングを進めると、ストレス関連疾患をもたらしてしまう場合もある。 [4]相談時点では心身の健康に問題がなくても、過去にメンタルヘルス不調を繰り返している例では、ストレスに対する脆弱性が高まる可能性がある。 [5]キャリアを検討していくにあたっては、メンタルヘルス不調の再燃・再発を防止することを優先させる判断が必要な場合もある。
すべて適切
72
次の文章は、ストレスチェック制度について述べたものである。適切なものの組み合わせはどれか。 [1]2014 年の労働安全衛生法の改正により、常時50人以上の労働者を使用する事業場に対してストレスチェック制度の実施が義務化された。 [2]この制度は、特定の精神障害を有する労働者を発見し、治療に結びつけることを主要なねらいとしている。 [3]ストレスチェックを効果的に実施していることにより、その事業場のメンタルヘルス対策は十分と評価できる。 [4]ストレスチェックによって高ストレス者を選定し、該当者のうち申し出た者に対して医師による面接指導を行う。 [5]労働者は、ストレスチェックを受ける義務が定められている。
[1]と[4]
73
次の文章は、米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が提唱する職業性ストレスモデルについて述べたものである。適切なものの組み合わせはどれか。 [1]「仕事のストレス要因」によって、「ストレス反応」が生じ、それにより「ストレス性の健康障害」が生じる場合、「仕事以外の要因」、「個人要因」、「緩衝要因」がストレス反応に影響を与えるとしている。 [2]ストレス要因が同程度であっても、個人要因の相違によって、ストレス反応の強さやストレス性健康障害の起こりやすさは異なる。 [3]緩衝要因が大きければ、ストレス反応が強くなる。 [4]緩衝要因には、裁量権や技術の活用、労働負荷の変動、勤務形態、仕事の将来の曖昧さなどがあげられる。 [5]ストレス反応は、生理的反応、心理的反応、行動的反応に大別することができる。
[1]と[2]と[5]
74
次の文章は、キャリアコンサルタントとしての精神疾患・精神障害への対応について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]キャリアコンサルタントが、事前に来談者が特定の精神障害を有しているとの情報を得て相談を受けるケースがある。 [2]コンサルティングの過程で、来談者が抑うつ、不安など、精神障害で出現しうる症状を有していることが分かってくるというケースもある。 [3]うつ状態、不安、不眠などの主要な症状は、多くの精神障害にみられるのであり、ある症状が特定の精神障害と一対一に対応し、キャリアコンサルタントに特殊な働きかけを示唆するようなことはまれである。 [4]キャリアコンサルタントの精神障害に関する知識の整理の仕方は、疾患別ではなく、症状別の方が合理的だと考えられる。 [5]代表的な精神障害の概要を頭に置いて、来談者の言動が精神障害に起因する症状の影響を受けていないかを意識して接し、精神障害の可能性が高い場合には、コンサルティングを一時的に棚上げしたり、精神医療との連携を図ったりすることが求められる。
すべて適切
75
次の文章は、事業者の安全配慮義務について述べたものである。適切でないものはどれか。
事業者の「安全配慮義務」が明示された法は、2008 年施行の労働基準法である。
76
次の文章は、自殺予防について述べたものである。適切でないものはどれか。
インターベンションは、自殺者の周囲の遺された人々に対する支援である。
77
次の文章は、過重労働関連について述べたものある。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]2006 年の労働安全衛生法改正で、長時間労働者に対する医師による面接指導が義務づけられている。 [2]この長時間労働者に対する医師による面接指導では、メンタルヘルス面の不調に関する評価のみが行われるものである。 [3]この長時間労働者に対する医師による面接指導では、必要に応じて、専門医の受診勧奨や就業上の配慮もなされることになっている。 [4]過重労働対策では、医師の面接指導ばかりが強調されがちであるが、時間外労働の削減、有給休暇の取得促進への取り組みが推進されねばならない。 [5]過労死等防止対策推進法でいう「過労死等」には、「業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」は含まない。
[2]と[5]
78
次の文章は、精神障害の労災認定について述べたものである。最も適切でないものはどれか。
労災認定される要件の一つに、「対象疾病に該当する精神障害を発病していること」があるが、その対象となる精神障害は、アメリカ精神医学会の精神障害診断・統計マニュアル(DSM)に示されている「精神および行動の障害」をいう。
79
次の文章は、メンタルヘルス教育について述べたものである。適切でないものはどれか。
メンタルヘルス指針で示されている、4 つのケアのなかの「ラインによるケア」を推進するための教育には、管理監督者に対し、社会状況の評価と改善、個人への改善命令による部下管理を行うための教育がある。
80
次の文章は、職場復帰支援および「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」について述べたものである。適切でないものはどれか。
この手引きでは、復職支援を5つのステップに分けて整理しており、第1ステップは「主治医による職場復帰可能の判断」としている。
81
次の文章は、レビンソン(Levinson,D.J.)のライフサイクル論について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]中年期の男性のライフヒストリー調査から、児童期と青年期、成人前期、中年期、老年期の 4 つの発達期から構成される成人の発達プロセスを図式化した。 [2]4つの発達期の間には、主に 3 つの過渡期が存在するとした。 [3]過渡期は、それまでのその人の生活の基本的パターンを根本から見直し、修正しなければならない時期を示し、前後の発達期の橋渡しの役割を担っている。 [4]成人の発達は生活構造の安定期と過渡期が交互に現れ進んでいくと考え、そのどちらにも発達課題があるとした。 [5]発達段階の展開における発達課題の重要性を指摘し、これらはある発達段階特有の性質により決まるとしている。
すべて適切
82
次の文章は、スーパー(Super,D.E.)のキャリア発達論について述べたものである。適切でないものはどれか。
各段階には達成すべき課題があり、達成すれば次の段階での課題達成の基礎を築くことになる。課題に取り組むことを放棄しても、後の段階での課題達成は難しくない。
83
次の文章は、エリクソン(Erikson,E.H.)によるライフサイクルと発達課題について述べたものである。適切でないものはどれか。
アイデンティティとは、時を越えて自己が同一である、連続であるという主観的な感覚であり、青年期特有の危機のみを表すキーワードである。
84
次の文章は、ライフステージにおける発達課題(探索段階 15 ~ 24 歳)について述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]エリクソン(Erikson,E.H.)―青年期の中心課題としてのアイデンティティの確立 [2]マーシャ(Marcia,J.E.) ―アイデンティティ形成における地位(状態)、達成・モラトリアム・早期完了・拡散 [3]シャイン(Schein,E.H.)―青年期は基本的に「モラトリアム(猶予期間)」 [4]レビンソン(Levinson,D.J.)―成人への過渡期・ライフサイクルにおける重大な転換点の中心 [5]スーパー(Super,D.E.)― 周辺人または境界人
[1]と[2]と[4]
85
次の文章は、ライフステージにおける発達段階(確立段階 25 ~ 44 歳)について述べたものである。適切でないものはどれか。
この時期は「愛することと、働くこと」が重要なテーマとなる(シュロスバーグ Schlossberg,N.K.)。
86
次の文章は、人生の転機について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]転機とは、過渡期、移行や節目を表すキーワードであるが、人事異動や転職、結婚、本人の病気などの節目においては、大なり小なり何らかの危機状況に遭遇するとブリッジスは述べている。 [2]転機については、発達段階(ライフサイクルの中における)の移行期としての転機と、人生上の出来事の視点から見た(ライフイベントとしての)転機という2つのカテゴリーで整理することができる。 [3]シュロスバーグは、転機を「予測していた転機」と「予測していなかった転機」に分け、「期待していたものが起こらなかった」場合は転機と見なしていない。 [4]シュロスバーグは、トランジションとは、個人の人生におけるその人独自の出来事であり、そのうち幾つかはその人の人生において大きな転機となる出来事であるとした。 [5]シュロスバーグによれば、同じ転機であっても、人生の後退期に遭遇した転機は、その人個人にとって、難度が低く感じられるものであるとしている。
[3]と[5]
87
次の文章は、サビカスのキャリア構築理論について述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]「キャリア構築理論」では、「職業的パーソナリティ」は人と環境を適合させる意味合いではなく、その人と環境がどの程度適合するかの手がかりであり、その人と環境の適合性は客観的に存在しているものではなく、その人の解釈や理解によるものであり、容易に変化するものであるとする。 [2]「キャリア適合性(ありたい自分になる方法)」とは、「現在および今後のキャリア発達課題、職業上の転機、そしてトラウマに対処するためのレディネス(準備性)及びリソース(資源)のことである。 [3]キャリア適合性は、「関心(Concern)」・「統制(Control)」・「好奇心(Curiosity)」・「創造性(Creativity)」から構成されている。 [4]ライフテーマは、なぜその仕事を選択し、どのような意義を見出しているかなどその人個人が重視していることをいい、いわゆるアイデンティティであり、成熟した社会において、価値意識、行動の動機や意味に焦点を当てたもので、キャリアを方向づけるものと位置づけられている。 [5]人生の物語は静態的構造であり、物語の語り手と聞き手によって共同生成されるダイナミックなプロセスとして捉えられる。
[3]と[5]
88
次の文章は、人生の転機について述べたものである。適切なものの組み合わせはどれか。 [1]ブリッジスによれば、「転機の始まり」は「何かが終わる時」ではなく、「何かが始まる時」である。 [2]「中立圏(ニュートラルゾーン)」とは混乱や苦悩の時期であり、一時的な喪失状態に耐える時期でもあり、じっくり時間をかけて味わうことも重要である。 [3]ニコルソンの提唱する、キャリアの重要な転機の際に表出される心理的な移行過程である「トランジション・4サイクルモデル」の流れは、準備⇒遭遇⇒安定化⇒順応である。 [4]シャインのキャリア・アンカーは、教育や実際の仕事経験のまったくない人にとっても明確に自覚できるものである。 [5]キャリア・サバイバルとは、自分を取り巻くネットワークが、自分に何を期待し要求しようとしているかを正確に見極め、どうすれば適応できるかを戦略的に計画することである。
[2]と[5]
89
次の文章は、人生の転機についての学者の考え方を述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]クランボルツは「プランドハップンスタンス・モデル(計画された偶然性理論)」で、キャリアはその8割が偶然性によって決まるものであるから、偶然を待っていれば成功すると主張する。 [2]クランボルツは、「偶然の出来事」を「計画された偶然性」に変えるには、「好奇心」・「持続性」・「柔軟性」・「楽観性」・「冒険心」というスキルが必要だと述べている。 [3]ジェラットは、激変する労働市場や社会的背景から、不確実性を積極的に受け入れ、未来を創造する積極的不確実性の概念を中心とした意思決定の枠組みを提示している。 [4]サビカスの「キャリア構築理論」は、相談者の語りに着目するキャリア適応の理論である。 [5]シュロスバーグは、転機においては3S(Situation‥状況 Self‥自己 戦略‥ Strategies)の中の、どのSでつまずいているかを検討してみることが大切だと述べている。
[1]と[5]
90
次の文章は、人生の転機についての学者の考え方を述べたものである。適切でないものの組み合わせはどれか。 [1]シャインは、キャリア・アンカーを確かめるためには、(1)能力・才能(2)欲求・動機(3)交友関係の3つの問が有効であるとしている。 [2]クランボルツは、現在のように変化が激しく、情報があふれている社会においては、数十年先のキャリアを計画し、その通りに進めていくことができると指摘する。 [3]クランボルツは、特に人との関わりなどで、自分を成功に導いたと思い当たることはあるもので、 偶然のチャンスをしっかりつかんで活かすような生き方があってこそ、その偶然が成功に導くと述べている。 [4]ジェラットは、「未来の予測が不可能な現代においては、夢やビジョンを持つことこそが、その不確実性を歓迎し(積極的不確実性)、未来を創造していく原動力となり得る」と述べている。 [5]「キャリア構築理論」では、私たちは過去の出来事を変えることはできないが、物語を語り直すことによって、過去の出来事を再構成することが可能なので、物語を語り直す行為は、人生に新しい意味を生成するうえで重要だと捉えられている。
[1]と[2]
91
次の文章は、若年者の特性について述べたものである。最も適切でないものはどれか。
若年者に対する支援の際、その背景に様々な事情や個人の歴史があることに留意し、それを必ず明らかにすることで関わる若年者をより深く理解することが大切である。
92
次の文章は、発達障害者の職場での配慮について述べたものである。適切でないものはどれか。
「適当に」「きちんと」「早めに」などの表現を、タイミングよく適切に使う。
93
次の文章は、高齢者へのキャリアコンサルティングについて述べたものである。適切でないものはどれか。
過去の地位や成功体験を堅持させる。その上で、実際は新しいことへの挑戦や若い人の下で働くことの難しさをアドバイスする。
94
次の文章は、LGBTの生きづらさにつながる場面などについて述べたものである。最も適切でないものはどれか。
LGBTに対する差別的な言動や行動は、職場のセクハラには該当しない。
95
次の文章は病気治療者への両立支援に関して述べたものである。適切でないものはどれか。
「がん対策基本法」では、「事業主は、がん患者の雇用の継続等に配慮しなければならない」と明記され義務化されている。
96
次の文章はグループワークにおけるグループへの介入について項目をあげている。最も介入しなくてもよい場合はどれか。
話題がテーマに沿っている場合
97
次の文章は、キャリアコンサルティングの基本的な技能について述べたものである。適切でないものはどれか。
キャリアコンサルタントの基本的態度には、自分の意識を否定しない、歪曲しないでいられることがある。これを受容という。
98
次の文章は、積極的技法について述べたものである。適切でないものはどれか。
クライエントが述べていることや認識していることに、コンサルタントの枠組みから新しい意味、理由、説明を示し、クライエントに新しい視点を提供することを「助言・教示」という。
99
次の文章は、キャリアコンサルティングにおける留意事項のうち抵抗、防衛に対する理解ついて述べている。適切でないものはどれか。
クライエントの抵抗や防衛を理解するためには、個人の性格や感情や考えにより判断し、おかれている立場や状況の理解までは必要ない。
100
次の文章は、キャリアコンサルティングの相談過程全体のマネジメント・スキルについて述べたものである。適切なものすべての組み合わせはどれか。 [1]相談者が抱える課題の把握を適切に行うこと。 [2]相談過程のどの段階にいるかを常に把握していること。 [3]各段階に応じた支援方法を選択して適切に相談を進行・管理することができること。 [4]現時点までの相談の流れやプロセスの把握、内容的、時期的な問題を把握できること。 [5]「もう一度前の段階に戻った方がよいのではないか」という判断なども必要とされる。
すべて適切