問題一覧
1
「いかにせん、いかにせん」と[あから目もせず]、つと添ひつつ嘆くよりほかのことなし。
よそ見もしないで
2
夜とともに姫君達に[遊び]せさせ参らせて、
詩歌や管弦
3
この女の親、少将に[あるじすべき方]のなかりければ、
ごちそうする手だて
4
いさましくうれしき[いそぎ]にてあらんだに、それにさはるべきことかは。
準備
5
いかがせむとて、[内]にまわりて、御感のうせたるよし奏し給ふ時に、帝、ものものたまはせず。
宮中
6
働髪のかからせたまへるなど、絵にかきたるをこそ、かかる事は見しに、[うつつ]にはまだ知らぬを、夢の心地ぞする。
現実
7
大事なる人の[愁へ]をも、その衣を着て、知らぬやんごとなき所にも参りて申させければ、必ず成りけり。
訴訟
8
数ならぬ人の並びきこゆべき[おぼえ]にもあらぬを、さすがに、立ち出でて、人もめざましと思す事やあらむ。
寵愛
9
筆築など優にふきて世[おぼえ]も侍りけるが、所領相論の事ありて叔父を殺してけり。
評判
10
大君は、御[かたち]はきよらに、いと気高くて、
容貌
11
「一筋に行ひの道に起きて、この人よりは先立ちて、世の[聞こえ]をも取り、位をも上がらん」と思ひて、
名声
12
唐士とこの国とは、言異なるものなれど、[月のかげは同じことなるべければ]、人の心も同じことにやあらん。
月の光は同じはずであろうから
13
親の御[かげ]にてのみこそは、おのづから過ごし給ひけめ、今は片時も、よも跡とめ給はじと、
庇護
14
上は、腰なうおはしまして、彩女が[きは]までも、かたちをかしきをば御覧じすぐさず。
身分
15
あやしの恋びきまはしたる中に、人ある[けしき]して、前に異やうなるものさし出だして、食ひ物のはしはし受け集めて置きたるありけり。
けはい
16
朝臣[けしきよく]て、「八重の潮路をしのぎて、ここまで来たるは何事」と問はせたまへば、帯びたる剣取り捨てて、おのが舟に投げ入れたり。
機嫌よく
17
いと服たげなる御けしきにもてなさせたまひて、ものも仰せられねば、もし聞こし召さぬにやとて、また、[御けしきたまはれど]、うち眠らせたまひて、なほ御いらへなし。
ご指示をもらおうとしたが
18
一条院は、[御心ばへ]も、個能もすぐれておはしましけるうへに、しかるべきにや侍りけむ、上達部、殿上人、道々の博士、たけき武士まで、世にありがたき人のみ多く待りけるころになむおはしましける。
性格
19
月に心を澄まして雲に入りけむも、[ことわり]とぞおぼえ侍る。
もっともなこと
20
はかばかしき領後見のとりたてたる、おはせざりければ、[才]なども深くもえ習ひたまはず。
学問
21
朝成の中納言と一条摂取と同じ折の殿上人にて、[品]のほどこそ、一条殿に等しからねと、身の才、人おほえ、やむごとなき人なりければ、
家柄
22
あらめ恋路の病なれば、さらにその[験]もなかりけり。
効果
23
壬生忠岑、御ともにあり。勧際のもとに、松ともしながらひざまづきもうそこて、[御消息申す]。
ごあいさつを申し上げる
24
陽神成大納言の夢に、重家の[消息]とて、「世をそむきなむ」といふことのたまへりけるを、勧営の大臣の御説におはしあひて、「かかる夢こそ見待りつれ」と語り聞こえ給ひければ、
手紙
25
兵部卿の宮、右大将などは、[ただ人]にても、こともなき人にこそあめれ。
常や最族でない出下
26
かくても[たづき]なきにて明かし暮らす。
よるべ
27
脱人・いみじきをこの[ためし]にいひけるを
例
28
この男、また、はかなきものの[たより]にて、雲居よりもはるかに見ゆる人ありけり。もの言ひつくべきたよりなかりければ、いかなるたよりして、気色見せむと思ひて、からうして、。たよりをたづねて、もの 言ひ始めてけり。
機会
29
この男、また、はかなきもののたよりにて、雲居よりもはるかに見ゆる人ありけり。もの言ひつくべきたよりなかりければ、いかなるたよりして、気色見せむと思ひて、からうして、。[たより]をたづねて、もの言ひ始めてけり。
縁故
30
いかなりし[契り]にて、かくもの思ふらん。
宿縁
31
その夜、南の風吹きて、浪いと高し。[つとめて]、その家の女の子ども出でて、浮き海松の浪によせられたる拾ひて、家の内に持て来ぬ。
翌早朝
32
宗真の法師、この紙のうらに、墨つほの墨してかきてやるは、[手]を見れば小町なりけりとしりてなり。
歌の筆跡
33
下野の国に男女すみわたりけり。[としごろ]すみけるほどに、男、妻まうけて心かはりはてて、この家にありけるものどもを、今の妻のがりかきはらひもて運び行く。
長年にわたって
34
国この馬[情ある者]にて、馬をは捨てて、先、その大二つをいたくたたきしほどに、狐はからきめをみて逃げつ。
心の優しい者
35
大夫公のもとに行きてこそ、わが[ひがこと]を思ふか、人のあしく難じたまふか、ことをば切らめと思ひて、
間違ったこと
36
仮の庵も、やや、[ふるさと]となりて、軒に杉葉ふかく、土居にむせり
なじみの地
37
「ゆゆしき大事かな」と思へども、[ほど]経べき事ならねば、やがて走り入りぬ。
時間
38
「この月はさりとも」と宮人も待ちきこえ、内裏にもさる御[心まうけ]どもあり。
心づもり
39
このわたりのうかれめども、あまたまゐりてさぶらふなかに、声おもしろく、[よしあるもの]は侍りや
品格のあるもの
40
さて御[わざ]の夜、雪の降りければ、「野辺までに心ひとつは通へども我がみゆきとは知らずやあるらむ」と詠ませ給へりけむも、いとこそめでたけれ。
葬送