問題一覧
1
深く(たばかり)飾れることは、男の知恵にもまさりたるかと思へば、
策をめぐらして
2
山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草も(かれぬ)と思へば
疎遠になり
3
先立ちたりし人、舟に菰屋型ひきて(まうけ)たり。
用意していた
4
(さはる)ことありて、のぼらず。
さしつかえる
5
笛をえならず吹き(すさび)たる、あはれと聞き知るべき人もあらじと思ふに
興じている
6
(忍ぶれ)ど、涙ほろほろとこぼれ給ひぬ。
我慢している
7
一の所などに(時めく)人も、えやすくあらねど、そはよかめり。
時勢にあって栄えている
8
松君のをかしう物のたまふを、誰も誰も、うつしがり(きこえ)給ふ。
申し上げなさる
9
御使ひに、なべてならぬ玉裳など(かづけ)たり。
褒美として与えた
10
ただいままかづるを、(聞こゆべき)ことなむある。
申し上げたい
11
酔ひに(かこち)て苦しげにもてなして、明くるも知らず顔なり。
かこつけて
12
ここにはかく久しく遊び聞こえて(ならひ)たてもつれり。
なじみ
13
おぼしいでてなむ(しのばせ)給ひける。
懐かしくお思いなさった
14
この国に生まれぬるとならば、嘆かせたてまつらぬ程まで(侍ら)で、
お仕えしない
15
花の散り、月の傾くを慕ふならひは(さること)なれど、
もっともなこと
16
人目も、今は(つつみ)給はず、なき給ふ
はばかりなさらず
17
人の聞き思さむことこ罪(さらむ)方なきに、
避ける
18
「おい、(さり)。おい、(さり)。」
そうだ
19
内々に思ひ(たまふる)さまを奏したまへ。
おります
20
いみじく静かにおほやけに御文(たてまつり)給ふ。
さし上げなさる
21
なほ苦しげなれど、(念じて)、二十三日のほどに見えたり。
我慢して
22
かほどの者、いかでか君に(つかうまつり)
お仕えする
23
いみじう(包み)給へど、忍びがたき気色漏り出づる折々
包み隠しなさる
24
名聞くるしく、仏の御教へに違ふらむとぞ(おぼゆる)。
(自然と)思われる
25
人目も、今はつつみ(たまは)ず泣き(たまふ)
なさらず、お泣きなさる
26
大将殿も、常に(とぶらひ)聞こえ給へど
見舞い
27
かしこの物語などせさせて(聞こしめす)。
お聞きになる
28
唐土にある火鼠の皮衣を(たまへ)、
ください
29
常に天照大御神を(ねんじ)申せといふ人あり。
祈り
30
あひ思はで(かれぬる)人をとどめかね
離れてしまった
31
験者などはいと苦しげなめり。(困じて)うちねぶれば。
疲れて
32
(しろしめさ)ぬ海河の、にはかにできても侯はばこそ。
ご存じでない
33
髪も袴も(しほたれ)て、とりあげたれどもかひぞなき。
海水に濡れてしずくが垂れる
34
按察使の大納言の御女、心にくくなべてならぬ様に、親たち(かしづき)給ふこと限りなし。
大切に育てなさる
35
まことにや(はべら)む。
ほんとうでしょうか
36
世には(こころえぬ)ことの多きなり。
理解できない
37
いとをかしき小ひさしに式部のおもとともろともに、夜も昼もあれば、上も常にもの(御覧じ)に入らせ給ふ。
ご覧になる
38
船人も、みな子たかりて(ののしる)
大騒ぎする
39
これ、昔名だかく(聞こえたる)ところなり。
うわさされている
40
無下に色なき人におはしけりと、見落とし(たてまつる)ことなむあらし。
お見下げ申し上げる
41
今宵、船君例のやまひおこりて、いたく(なやむ)
苦しむ
42
母君泣く泣く(奏して)、まかでさせ奉り給ふ。
奏上する
43
あまた参り集まり給ふ中にもすぐれて(ときめき)給ふ。
寵愛を受けていらっしゃる
44
かじとりの申すことをこそ、高き山と(たのめ)、
あてにするというのに
45
契りおきし花のさかりを告げぬかな春やまだ来ぬ花や(にほは)ぬ
美しく咲かない
46
きたなき所のもの(きこしめし)たれば、御心地あしからむものぞ。
めし上がっていた
47
女もいやしければ、(すまふ)力なし。
抵抗する
48
空のうち曇りて、風冷ややかなるに、いといたく(ながめ)給ひて、
物思いに沈みなさって