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  • 1

    さが尻をかき出でて、【ここら】の朝廷人に見せて、恥を見せむ。

    たくさん

  • 2

    それ(=竜の首)が玉を取らむとて、【そこら】の人々の害せられむとしけり。

    たくさん

  • 3

    【かたみに】思ひあふことかぎりなし。

    たがいに

  • 4

    【わざと】かねて外の(桜ノ花ビラ)をも散らして、庭に敷かれたりけるにや。

    わざわざ

  • 5

    【わざと】めでたき草子ども、硯の箱の蓋に入れておこせたり。

    特別に

  • 6

    【わざとの】僧膳はせさせ給はで、湯漬けばかり給ふ。

    本格的な

  • 7

    【うたて】、なにしに、さ申しつらむ。

    いやなことに

  • 8

    死期はついでを待たず。死は前よりしも来らず。【かねて】後ろに迫れり。

    前もって

  • 9

    五日【かねて】は、見むもなかなかなべければ、内にも入らず。

    前から

  • 10

    人の臥したるを、奥の方より【やをら】のぞいたるも、いとをかし。

    そっと

  • 11

    二十八日、【よもすがら】雨やまず。今朝も。

    一晩中

  • 12

    御よろこびなど言いおこする人も、かへりては弄ずる心地して、【ゆめ】うれしから【ず】。

    まったく(うれしく)ない

  • 13

    関白をば次第のままにせさせ給へ。【ゆめゆめ 】違へさせ給ふ【な】。

    決して(違反なさっ)てはいけない

  • 14

    冬枯れのけしきこそ、秋には【をさをさ】劣る【まじけれ】。

    ほとんど(劣ら)ないだろう

  • 15

    【あなかま】、人に聞かすな。いとをかしげなる猫なり。飼はむ。

    しっ、静かに

  • 16

    仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心憂くおぼえて、ある時思ひ立ちて、ただひとり【徒歩より】詣でけり。

    歩いて

  • 17

    木霊などいふ、【けしからぬ】かたちも現るるものなり。

    異様な

  • 18

    かの頼もし人に、【消息いひたるに】、呼び入れて、「月見よ」など言ひて、呼び出だしたり。

    取り次ぎの依頼をしたところ

  • 19

    【そこら見つる舞姫の花の顔も】、ただ土のごとくになりぬ。

    たくさん目にした舞姫たちの花のように美しい容貌も

  • 20

    御調度などばかりなむ、【わざと】うるはしくて多かりける。

    特に目立って

  • 21

    【かねて】思ひしことなれど、宮は心弱く流し添へたまふ。

    以前から

  • 22

    御前の大殿油を、【やをら】掻い消たせ給ふ。

    そっと

  • 23

    まがまがしく、尼にならむとのたまふなる、まことか。【ゆめゆめ】、しかなおぼしそ。

    決して

  • 24

    中納言は、内裏にも【をさをさ】参りたまはず。

    ほとんど

  • 25

    須崎の堤のもとにさし寄せつつ、上がり給ひて、【かちより】歩ませ給ふ。

    徒歩で

  • 26

    「【うち】の方ふたがりけり」

    宮中

  • 27

    【上】にありける左中弁藤原の良近といふをなむ、まらうどざねにて、そのひはあるじまうけしたりける。

    殿上

  • 28

    【心ばへ】は知らず、かたちはきよげなり。

    性格

  • 29

    関白をば、御いとこの頼忠のおとどに譲りたまひしこそ、世人いみじき【僻事】と謗り申ししか。

    間違い

  • 30

    恋の歌は、利口、【そらごと】多かれど、【わざと】も苦しからず。

    偽り/特別に

  • 31

    はかなき御なやみと見ゆれど、【限り】のたびにもおはしますらむ。

    最期

  • 32

    文やりて、返り事【かたみに】見て、劣りまさり定めむ。

    たがいに

  • 33

    「神など、空にめでつべき容貌かな。【うたて】ゆゆし」

    いやなことに

  • 34

    また、主あさましくめづらかにおぼえて、【夜もすがら】寝ず。

    一晩中

  • 35

    「【あなかま、あなかま】」とて長くうれへなきやうにはからひつ。

    しっ、静かに、しっ、静かに

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    たくさん

  • 2

    それ(=竜の首)が玉を取らむとて、【そこら】の人々の害せられむとしけり。

    たくさん

  • 3

    【かたみに】思ひあふことかぎりなし。

    たがいに

  • 4

    【わざと】かねて外の(桜ノ花ビラ)をも散らして、庭に敷かれたりけるにや。

    わざわざ

  • 5

    【わざと】めでたき草子ども、硯の箱の蓋に入れておこせたり。

    特別に

  • 6

    【わざとの】僧膳はせさせ給はで、湯漬けばかり給ふ。

    本格的な

  • 7

    【うたて】、なにしに、さ申しつらむ。

    いやなことに

  • 8

    死期はついでを待たず。死は前よりしも来らず。【かねて】後ろに迫れり。

    前もって

  • 9

    五日【かねて】は、見むもなかなかなべければ、内にも入らず。

    前から

  • 10

    人の臥したるを、奥の方より【やをら】のぞいたるも、いとをかし。

    そっと

  • 11

    二十八日、【よもすがら】雨やまず。今朝も。

    一晩中

  • 12

    御よろこびなど言いおこする人も、かへりては弄ずる心地して、【ゆめ】うれしから【ず】。

    まったく(うれしく)ない

  • 13

    関白をば次第のままにせさせ給へ。【ゆめゆめ 】違へさせ給ふ【な】。

    決して(違反なさっ)てはいけない

  • 14

    冬枯れのけしきこそ、秋には【をさをさ】劣る【まじけれ】。

    ほとんど(劣ら)ないだろう

  • 15

    【あなかま】、人に聞かすな。いとをかしげなる猫なり。飼はむ。

    しっ、静かに

  • 16

    仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心憂くおぼえて、ある時思ひ立ちて、ただひとり【徒歩より】詣でけり。

    歩いて

  • 17

    木霊などいふ、【けしからぬ】かたちも現るるものなり。

    異様な

  • 18

    かの頼もし人に、【消息いひたるに】、呼び入れて、「月見よ」など言ひて、呼び出だしたり。

    取り次ぎの依頼をしたところ

  • 19

    【そこら見つる舞姫の花の顔も】、ただ土のごとくになりぬ。

    たくさん目にした舞姫たちの花のように美しい容貌も

  • 20

    御調度などばかりなむ、【わざと】うるはしくて多かりける。

    特に目立って

  • 21

    【かねて】思ひしことなれど、宮は心弱く流し添へたまふ。

    以前から

  • 22

    御前の大殿油を、【やをら】掻い消たせ給ふ。

    そっと

  • 23

    まがまがしく、尼にならむとのたまふなる、まことか。【ゆめゆめ】、しかなおぼしそ。

    決して

  • 24

    中納言は、内裏にも【をさをさ】参りたまはず。

    ほとんど

  • 25

    須崎の堤のもとにさし寄せつつ、上がり給ひて、【かちより】歩ませ給ふ。

    徒歩で

  • 26

    「【うち】の方ふたがりけり」

    宮中

  • 27

    【上】にありける左中弁藤原の良近といふをなむ、まらうどざねにて、そのひはあるじまうけしたりける。

    殿上

  • 28

    【心ばへ】は知らず、かたちはきよげなり。

    性格

  • 29

    関白をば、御いとこの頼忠のおとどに譲りたまひしこそ、世人いみじき【僻事】と謗り申ししか。

    間違い

  • 30

    恋の歌は、利口、【そらごと】多かれど、【わざと】も苦しからず。

    偽り/特別に

  • 31

    はかなき御なやみと見ゆれど、【限り】のたびにもおはしますらむ。

    最期

  • 32

    文やりて、返り事【かたみに】見て、劣りまさり定めむ。

    たがいに

  • 33

    「神など、空にめでつべき容貌かな。【うたて】ゆゆし」

    いやなことに

  • 34

    また、主あさましくめづらかにおぼえて、【夜もすがら】寝ず。

    一晩中

  • 35

    「【あなかま、あなかま】」とて長くうれへなきやうにはからひつ。

    しっ、静かに、しっ、静かに