問題一覧
1
ADU法のながれ
UF6と水を反応させてUO2F2を生成する(加水分解反応)。これにアンモニア水(NH4OH)を加え、(NH4)2U2O7(→ADU)とNH4FとH2Oを得る。さらにADUを水素で還元してUO2を得る。
2
ピューレックス法における不溶解残渣のうち、一部のFPは金属相と酸化物相として残る。これらの相の主成分の元素は何か。またこれらを除去する工程は。
金属相:Mo(モリブデン)、Tc(テクネチウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム) 酸化物相:Mo(モリブデン)、Zn(亜鉛) 除去する工程:清澄
3
燃料の曲がりが生じる機構を②つ答えよ。
①拘束力曲がり 燃料棒は制御棒案内シンブルに固定された支持格子に保持されているため、燃料棒と制御棒案内シンブルの照射成長の差により、燃料棒に軸方向圧縮応力が発生し、クリープ変形により曲がりが生じる ②PCMI曲がり ボンディングがある場合などは、ペレットの熱膨張により、被覆管に引っ張り応力が生じる。この時、偏肉や非軸対象の応力が加わることにより、被覆管に曲げモーメントがかかり、クリープ変形により曲がりが生じる。
4
燃料の温度上昇時にペレットから放出されるFPとアクチニドのうち、ガス状または高揮発性の核種は何か
Xe、I、Cs、Kr、Te(テルル)
5
応力腐食割れとは何か。またステンレス鋼の鋭敏化により、SCCの感受性が高まるのはなぜか。
応力腐食割れは、材料因子、環境因子、力学因子の3つの因子が揃った時に発生する金属の破壊現象である。材料因子には不純物、鋭敏化など、環境因子には腐食環境など、力学因子には残留応力、熱応力などがある。 また、ステンレス鋼は高温(500〜800度)において、結晶粒界にCr炭化物を析出し、その近傍にCr濃度が低いCr欠乏層を形成する。これを鋭敏化といい、これによりステンレス鋼の耐食性が低下し、SCC感受性が高まる。
6
コンクリートの中性化とは。中性化によりなぜ、コンクリート構造物の耐久性が低下するのか
コンクリート中の水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応し、徐々に炭酸カルシウムになり、コンクリートのアルカリ性が低下することをコンクリートの中性化という。この中性化が鉄筋まで達した場合、鉄筋の不動態皮膜が破壊され、水や酸素の浸透によって鉄筋が腐食することにより、コンクリート構造物の耐久性が低下する。
7
液滴衝撃エロージョンとは。またどこで発生しうるか。これによる配管減肉速度は主として何に依存するか
微小な液滴が高速で壁面に衝突する際の衝撃力によって材料に機械的壊食を引き起こす現象を液滴衝撃エロージョンという。発生しうる部位として蒸気配管の曲がり部がある。またこれによる配管減肉速度は、主として液滴速度に依存する。
8
テンパービード溶接とは何か。また一般的な溶接に対するメリットは。
1層目を小入熱で溶接して、材料の熱影響部の硬化域を最小にし、その硬化域を2層目以降の溶接熱サイクルによって焼き戻す溶接方法をテンパービード溶接といい、一般的な溶接方法に対して、溶接後熱処理を行わなくて良好な靭性を有する溶接部を得ることができるといったメリットがある。
9
クリープとはどのような現象か。
材料に一定温度で一定荷重が加わった状態が続くとき、その材料が時間の経過とともに次第に変形し、最終的に破壊に至る現象をクリープという。クリープは高温で生じやすく、応力が大きいと進行が早い特徴がある。
10
空欄を埋めよ
1:応力方向に対して45° 2:応力振幅 3:低下する 4:転位 5:増加 6:低下 7:延性脆性遷移温度 8:不動態皮膜 9:炭化物 10:応力腐食割れ
11
空欄を埋めよ
1:19.06 2:10.97 3:11.50 4:CaF2 5:CaF2 6:NaCl 7:Np 8:Pu 9:Am 10:Cm 11:241Pu 12:241Am 13:242Cu 14:244Cu 15:ADU 16:AUC 17:IDR 18:DCP 19:沈殿 20:水素還元
12
ペレットと被覆管との機械的相互作用を軽減するためのペレット表面に設けるもの。焼結後のペレットを所定の寸法にするための装置。
ディッシュ、チャンファー センタレスグラインダー
13
PWR被覆管に用いるジルカロイ4の耐食性改善のために、Nbが追加された改良型被覆管は何か。
MDA NDA ZIRLO
14
BWRの被覆管のジルカロイ2のSCC対策は。
Zrライナー被覆管の採用 →ジルカロイ2の被覆管の内面に純ジルコニウムの内張りをしたもの
15
ピューレックス法における、ウラン・プルトニウムの溶媒抽出で用いる抽出剤と希釈剤は。 また、ウランの逆抽出操作で用いる溶液は。 さらに、分離分配工程で溶媒抽出操作に用いられる機器は。
抽出剤:TBP 希釈剤:ドデカン 逆抽出操作で用いる溶液:希硝酸 機器:ミキサセトラ、パルスカムラ
16
ピューレックス法における硝酸ウラニルと硝酸プルトニウムの混合溶液の脱硝法を4つ答えよ
マイクロ波加熱脱硝法、流動床脱硝法、アンモニア共沈殿法、コ・プレカル法、AU Pu C法
17
高レベル放射性廃棄物のガラス固化処理法を二つ答えよ。 またガラス固化処理過程で使用するガラスおよびステンレス容器の名称を答えよ
L FCM法、AVM法 ホウケイ酸ガラス キャニスター
18
PCI/SCCとは
燃料の出力を上昇すると、ペレット温度が上昇し、ペレットが熱膨張すると、ペレット外面と被覆管内面とが接触し、PCMIが発生し、被覆管に引張応力が生じる。この際、ヨウ素などの腐食性FPが存在するとPCCIも生じ、その結果としてSCCが起こり、被覆管内面から亀裂が発生して貫通することで破損に至る。これがPCI/SCCのメカニズムであり、出力急昇速度、出力急昇幅などに依存する。
19
大粒径ペレットの特徴と照射挙動、大粒径ペレットにするために添加する物質
大粒径ペレットは通常のペレットより結晶粒径が大きいため、粒界までのFPガスの拡散に要する時間が長くなり、結果としてFPガスの放出を抑制することができる。また照射による焼きしまりが小さいといった特徴もある。 添加する物質:アルミナシリカ粉末
20
グリッドフレッティングと燃料健全性への影響
冷却水の流動により燃料棒が振動し、グリッドと被覆管が擦れて、被覆管が摩耗する現象をグリッドフレッティングと言い、PWR燃料の通常時の主要な破損要因となっている。
21
被覆管の水側腐食と燃料健全性への影響
被覆管は水と反応して水側腐食を起こし、表面に酸化皮膜を生じる。この時、発生した水素の一部が被覆管に吸収され、非常に脆いジルコニウム水素化物が析出する。これにより被覆管は水素脆化して、燃料健全性が低下する。
22
LOCA、RIA、PCMに共通する燃料破損挙動、RIA、PCMにのみ共通する燃料破損挙動
(3つに共通) 高温破裂破損 →燃料の温度上昇に伴い、燃料棒内圧力が上昇するとともに、被覆管の強度が低下し、膨らみ破裂することで破損する 脆化破損 →被覆管が高温で水蒸気と反応して酸化し、脆化することで熱応力などにより破損する (2つに共通) PCMI破損 →ペレットが熱膨張することにより、PCMIが発生し、それにより破損に至る。 融解破損 →ペレットが融解して、被覆管を溶かし、微細化したペレットが冷却水中に放出され、水蒸気爆発を起こすことにより破損に至る。
23
流れ加速型腐食とは。また溶存酸素濃度と流体のp Hは減肉速度とどのような関係があるのか
鋼材表面で形成されたマグネタイト(Fe3O4)皮膜の溶解が流動によって加速されることにより、鉄の溶出が促進される現象であり、配管減肉の要因の1つである。発生場所としては、配管の曲がり部やオリフィスの下流などといった流れが速く、乱れた箇所が挙げられる。 流体のp Hが大きくなると、マグネタイト皮膜が安定となり、鉄の溶解度が減少するため、減肉速度は低下する。 また、溶存酸素濃度が高くなると、鉄酸化物がマグネタイトからヘマタイト(Fe2O3)へと変化し、鉄の溶解度が小さくなるため、減肉速度は低下する。
24
渦電流試験において、検査対象の材料が磁性を有する場合に適さない理由。
磁性を有する材料は、透磁率が不均一であることにより、ノイズが発生するという問題が発生するため。
25
分析フェログラフィーとは
分析フェログラフィーとは、機械の潤滑油中の摩耗粒子の大きさ、形状、色などを顕微鏡により調べることで、(機械を分解せずに)内部の摩耗の状態を把握する技術であり、機械の故障を予知・診断することを目的としている。
26
熱時効とは
熱時効とは、二相ステンレス鋼において、使用温度が300℃以上の高温にさらされると、スピノーダル分解によりフェライト相中にクロムの割合の高い相が析出することにより、フェライト相が硬化する現象である。これに伴い、靭性は低下し、降伏応力・引張強さは増大し、延性脆性遷移温度は高温側にシフトする。
27
高周波誘導加熱による応力改善とは
溶接後の配管に冷却水を流し冷却しながら、配管外面を高周波誘導加熱で温めることにより、板厚方向の温度差で発生する熱応力を利用し、配管内面の残留応力を引っ張りから圧縮に変換する技術で、粒界型応力腐食割れの発生防止を目的に、溶接残留応力を圧縮応力にするためのものである。
28
空欄をうめよ
1:成型 2:秤量及び混合 3:含有率又は濃度 4:均一 5:流動 6:焼結 7:ジルコンサンド 8:ケイ素 9:ハフニウム 10:精錬 11:ジルコニウムスポンジ 12:UF6 13:加水分解 14:UO2F2 15:アンモニア推薦 16:水素還元 17:清澄 18:TBP 19:酸化還元 20:超ウラン元素
29
燃料ペレットの実効的な熱伝導率に影響を及ぼす主な因子を③つあげよ。それぞれ上昇か低下か答えよ
密度:増加とともに上昇 燃焼度:増加とともに低下(熱伝導率の小さいFPの蓄積により) 固溶性不純物:増加とともに低下
30
出力冷却不整合(PCM)に関して、燃料温度上昇の主たる原因となり、また冷却材流量の影響を強く受ける伝熱挙動について述べよ。燃料棒の径方向のどこで起きるのかにも言及すること。
通常、燃料棒は核沸騰領域で除熱されているが、出力の増大や冷却材の流量低下により、燃料の熱流束が大きくなると、(燃料棒表面が蒸気膜で覆われ、)膜沸騰領域へと遷移する。この状態になると、徐熱が急激に減少し、燃料棒温度が急激に上昇する。これをDNBと呼び、燃料棒径方向の最外周部表面で発生する。
31
音響インピーダンスとは
音響インピーダンスとは、物質中での音の伝搬のしやすさを表す数値であり、音速と物質の密度の積で定義される。
32
ジルカロイ2と4で共通する合金元素は何か。またPWR改良型被覆管で添加される元素と、その効果は
Sn、 Fe、 Cr Nb 被覆管の水側腐食を抑制することで、水素脆化を低減し、高燃焼での使用に対応
33
A、B、 Cの挙動の原因となる現象を説明しろ
A:照射開始直後において、温度勾配による熱応力でペレット内で割れが生じ、生じたペレット片がギャップを埋めるように外側に移動するリロケーションが起こり、外径が増加する。 B:核分裂片の通過により、製造時の気孔が収縮・消滅することでペレットが収縮する焼きしまりにより、外径は減少する。(10GWd /tまで) C:FPの蓄積により、燃焼度にほぼ比例して体積膨張するスエリングにより外径が増加する(30GWd /tくらいまで)
34
UO2のFPのうち、ペレット中で移行しやすいものは何か。このうちPu O2で収率が小さくなるものは
Kr、Xe、I、 C s Kr
35
高燃焼度燃料の中央部と最外周部で希ガスFPが減少する理由は
中央部:高温での拡散により、FPガスが粒界に到達し、粒界ガス気泡を形成してマトリクスから移動したため。また、それらが連結して FPガスがペレット外に放出されたため 最外周部:238Uの共鳴吸収から生じたPuの燃焼により、局所的に高燃焼度となり、リム組織を形成し、 FPガスが粗大化したガス気泡を形成して、マトリクスから移動したため。
36
Aの温度域で生じる金属結晶の変化は。また被覆管が示す可能性がある力学的な挙動とその機構
稠密六方晶のα相から、体心立方晶のβ相に変化する バルーニング(高温破裂破損) 燃料温度の上昇に伴い、燃料棒内圧が上昇するとともに、被覆管の強度が低下することで、被覆管が膨れ、破裂する
37
Bの時間帯で被覆管の金属組織に生じる変化は。また重量変化の式は、そのようになる理由は
被覆管は高温の水蒸気と反応して、表面にZrO2の酸化皮膜を形成する。またZr O2の層の内側には、酸素を多量に含む脆い安定化αーZr(O)相が形成される。 重量変化ΔW^2=kt 水蒸気との反応により、被覆管表面に酸化皮膜が形成され、酸化皮膜中の酸素の拡散が律速になることで、酸化速度が低下するため
38
dt1での被覆管の金属組織の変化がC以降の燃料挙動に与える影響は
被覆管は水蒸気によって酸化されることで脆化し、Cの時間帯での温度変化(急冷)に伴う熱衝撃によって破損する可能性がある。
39
渦電流探傷試験の原理
導電性のある試験体に交流を通したコイルを近づけ、電磁誘導により試験体表面に渦電流を発生させる。この時、表面及び表面直下に欠陥があると、渦電流の大きさが変化するために、コイルのインピーダンスが変化し、その変化から欠陥を検出する。コイルを走査し、インピーダンスの変化が見られる範囲から傷の長さを評価し、検出信号の位相角から傷の深さを評価する。また、渦電流は表皮効果により、試験体表面から深くなるにつれ指数関数的に減少するため、検出可能な傷は表面及び表面直下の傷である。
40
封止溶接とは。またSCCの発生メカニズムと絡めて答えよ。
封止溶接とは、溶接金属によりひび割れをふさぐことであり、ひび割れ箇所を腐食環境から隔離することで、SCCの発生のメカニズムの3因子の一つである環境因子を取り除き、さらなるSCCを防止する補修方法である。
41
低サイクル疲労と高サイクル疲労とはどのような現象か。原子力発電所での高サイクル疲労の例は。
疲労とは、材料が繰り返し応力を受けると、材料内部の微細な亀裂が徐々に進展し、引張強さ以下の応力であっても破壊に至る現象であり、一般に繰り返し回数が10の4乗以上の疲労を高サイクル疲労、10の4乗回以下の疲労を低サイクル疲労という。また、縦軸に応力振幅、横軸に繰り返し回数をとったものをSーN曲線という。なお、原子力発電所では、高温水と低温水が混合する配管の合流部において、熱応力による高サイクル疲労が発生する。
42
漏えい磁束探傷法と磁粉探傷法の差異及び類似性
差異:傷の検出方法が異なる。漏えい磁束探傷法は、漏えい磁束の分布及び強度をセンサで検出するが、磁粉探傷法は、漏えい磁束に磁粉を吸着させ、現れる模様を観察することで検出する。 類似性:いずれも試験体は強磁性体の材料に限られ、試験体表面及び表面直下の傷に対して適用される
43
再処理の溶媒抽出装置を2つ答えよ。また高速炉燃料再処理用の溶媒抽出装置は何か
ミキサセトラ、パルスカムラ 遠心抽出器
44
チャンネルボックスの機能を3つ答えよ またチャンネルボックス及びチャンネルボックスの上部表面にある板状のチャンネルスペーサの材料を答えよ
・燃料集合体内の冷却水流量を確保し、冷却効果を高める ・制御棒の案内面を構成する ・燃料集合体の剛性を確保し、燃料を保護する (材料) チャンネルボックス:ジルカロイ4 チャンネルスペーサ:インコネル
45
ウラン鉱石の精製錬において、ウラン溶解液に沈澱剤として添加する溶液と沈殿物の組み合わせを二つ答えよ
NH4OH溶液、(NH4)2U2 O7(→ADU) NaOH溶液、Na2U2O7
46
希土類元素のうち、熱中性子吸収断面積が1000bを超えるものを3つ答えよ(元素名で) これらのうち1つは、UO2燃料に混入して使用される。その使用目的は何か
ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu) ガドリニウムの酸化物であるGd 2O3をUO 2燃料に混入することで、燃焼初期の余剰反応度を抑える。ガドリニウムは可燃性毒物であるため、中性子を吸収すると、その毒作用はなくなり、燃焼初期のみ反応度を抑えることができる。
47
リロケーション、焼きしまり、スエリング、F Pガス放出について、発生の機構と熱伝達への影響を答えよ
・リロケーション 照射開始直後に温度勾配に伴う熱応力により、ペレット内で割れが生じ、割れたペレット片がギャップ部を埋めるように外側に移動することをリロケーションという。これにより、ギャップが狭まるため、ギャップの熱伝達率が上昇する。 ・焼きしまり 核分裂片の通過により、製造時の気孔が収縮・消滅することで、ペレットが収縮することを焼きしまりという。これにより、ギャップの幅が広がるため、ギャップの熱伝達率は低下する。 ・スエリング FPの蓄積により燃焼度にほぼ比例してペレットが膨張することをスエリングという。これによりギャップが狭まるため、ギャップの熱伝達率は上昇する。 ・FPガス放出 核分裂により生じたFPガスは、拡散、リコイル、ノックアウトなどの機構により、ギャップ部へ放出される。これがFPガスの放出であり、放出されたFPガスはギャップに元々封入されているヘリウムガスに比べ熱伝導率が低いため、ギャップの熱伝達率は低下する。
48
ウォータージェットピーニングでSCC耐性が向上するのはなぜか
ウォータージェットピーニングは水中で材料表面に対して、高圧水を噴射し、キャビテーションを発生させ、気泡が消滅する際の衝撃力によってピーニング行う技術である。これにより、残留引張応力を除去あるいは圧縮応力に変換することができるため、応力腐食割れ耐性が向上する
49
中性子照射により、応力ーひずみはどうなるか。メカニズムとともに答えろ
金属材料が中性子照射を受けると、材料中の原子のはじき出しや核変換により、(原子空孔や格子間原子などの)点欠陥が生じ転位の運動が妨げられるため材料は硬化する。これにより、降伏応力と引張強さは増加し、一様のびと破断のびは減少する。
50
シェフラーの組織図は何に基づき、何を予測するのか
シェフラーの組織図は、溶接部や母材の化学組織に基づき、金属中のフェライト量を予測することで、溶接性を評価する。オーステナイト生成元素の指数をNi当量、フェライト生成元素の指数をCr当量として数値計算し、フェライト量を決める。
51
浸透探傷試験の原理及び大まかな手順を説明しろ。また染色探傷と蛍光探傷の各々の利点と欠点を答えろ。
前処理として、試験体表面の異物・汚れを除去した上で、試験体表面に浸透液を塗布し、傷内部に浸透液をみたす。その後、表面の余剰浸透液を除去した上で、現像液を表面に塗布すると、傷内部の浸透液が毛細管現象により吸い出され、指示模様が現れる。この指示模様を観察することで傷を評価する。 染色浸透試験では、設備機器が不要で現場で試験ができるという利点があるが、感度が劣るという欠点がある。一方で蛍光探傷試験は、感度が優れているという利点があるが、暗室やブラックライトなどが必要であるという欠点がある。
52
TOFD法の原理は。また一般的なパルス反射法に対する優位性は。
傷をはさんで、送信用と受信用の探触子を向かい合わせに設置し、傷の上下端での回折波の伝搬時間の差から、傷の深さ及び位置を測定する方法をTOFD法という。一般的なパルス反射法に対して、肉厚方向の傷の寸法を高精度に計測できるといった優位性がある。
53
斜角超音波探触子を用いた端部エコー法により割れの深さを評価する手順
割れの端部からの反射波を検出し、その伝搬時間から斜線長さWを測定する。このWと屈折角θを用いて、割れの深さはWcosθを計算することで、評価することができる。
54
SOAP法とは何に基づき、何を評価するためのものか
SOAP法は、物質が燃焼した際に発する光の波長から物質中の元素を、強度から元素の濃度を求めることができるといった原理に基づき、機器から採取した潤滑油を燃焼させ、潤滑油に含まれる元素とその濃度を検出し、その結果から機器の損傷箇所を推定する検査である。
55
炭素鋼配管内面に発生した減肉を管外面から渦電流探傷試験で検出することは一般的には困難であるが、なぜか。
渦電流探傷試験は、導電性のある試験体に交流を通したコイルを近づけ、電磁誘導により試験体表面に渦電流を発生させる。この時、表面及び表面直下に欠陥があると、渦電流の大きさが変化するために、コイルのインピーダンスが変化し、その変化から欠陥を検出する。渦電流は表皮効果により表面から深くなるにつれ、指数関数的に減衰する。このことから渦電流探傷法は、表面及び表面直下の傷にしか適用できないため、配管内面の減肉を管外面から検出することは困難である。
56
アコースティックエミッションとは何か。またアコースティックエミッションにより検出可能な材料の劣化・損傷の例は
物体が変形したり、亀裂が発生したりする際に、内部に蓄えていたひずみエネルギーを弾性波として放出する現象をアコースティックエミッションと言い、この弾性波を検出して、傷を評価する方法をアコースティックエミッション試験という。アコースティックエミッション試験は、成長中の傷をリアルタイムに検出できる点や対象機器が稼働中に適用可能である点などの長所がある。 また、検出可能な材料の劣化・損傷の例としては、圧力容器にセンサーを複数取り付け、弾性波を連続監視することによる劣化・損傷の程度、場所、発生時期の特定などがある。
57
MOX燃料ペレットの製造工程における検査項目を5つ答えよ
寸法、外観、ウラン濃縮度、Pu含有率、Pu同位体組成、不純物
58
ウラン燃料棒の製造工程における燃料棒を対象とした検査項目を5つ答えよ
寸法、外観、わん曲、ヘリウムリーク、表面汚染
59
UF6からUO2への再転換の方法を5つ答えよ
ADU法、AUC法、IDR法、溶媒抽出ーADU法、フレームリアクタ法
60
再処理時の高レベル放射性廃液に含まれる半減期が十万年以上の核種を5つ答えよ
セレン79(Se)ジルコニウム93(Zr)セシウム135(Cs)パラジウム107(Pd)テクネチウム99(Tc)
61
燃料ペレット中の製造時気孔の径が大きくなるにつれ、焼きしまりが小さくなる理由は。また焼きしまりを小さくするために製造時に加えるものは。
焼きしまりは、製造時気孔が核分裂片の通過により、収縮・消滅することで起こる。製造時気孔は核分裂片の通過により、多数の空孔に分散し、この空孔が結晶粒界まで拡散して消滅することにより、気孔が減少し、燃料ペレットは収縮する。気孔径が大きくなると、分散した空孔同士が集まって再結合し、結晶粒界に到達して消滅する空孔の割合が小さくなるため、焼きしまりは小さくなる。 ポアフォーマ
62
固体FPスエリングに燃焼度と燃料棒の線出力が及ぼす影響は
生成した固体FPは元のウラン原子より体積が大きいことから、固体FP原子数が増加することで、固体FPスエリングが起こる。このことから、燃焼度にほぼ比例してペレット密度が低下するが、燃料棒の線出力には影響しない。
63
FPガススエリングに燃焼度と燃料棒の線出力が及ぼす影響は
FPガスは(結晶粒内や粒界に気泡として存在するため、)燃焼度に比例して、FPガスの原子数が増加することにより、スエリングが大きくなり、ペレット密度が低下する。また、線出力が上昇すると、ペレット温度が上昇し、ペレット結晶粒内のFPガスが膨張することでペレットの体積が増加するため、密度が低下する。
64
FPガス放出率の定義
ペレット外に放出されたFPガス量/ペレット内で生成したFPガス量
65
FPガス放出率を測定する方法を二つ答えよ
パンクチャー試験 アニーリング試験 プレナム部のγ線測定
66
FPガス放出が燃料棒の通常運転時の健全性に及ぼす主要な影響は何か。
FPガスが放出されると、燃料棒内圧が上昇すること、FPガスはギャップに封入されているヘリウムガスより熱伝導率が低いことにより、ギャップの熱伝達率が低下し、ペレット温度が上昇する。ペレット温度の上昇により、さらに、FPガスが放出され、ペレットの温度が上昇するというサーマルフィードバックが起こる。
67
FPガスの放出を低減するためのペレットの対策とその効果
①大粒径ペレットの採用 ペレットの粒径を大きくすることで、FPガスが拡散により粒界まで到達するのに要する時間が長くなるため、FPガスの放出を低減することができる。 ②高密度ペレットの採用 ペレットの高密度化により、ペレットの熱伝導率を大きくし、ペレット中心温度を下げることで、FPガスの放出を抑制する。
68
二相ステンレスは熱時効により靭性が低下するが、フェライト量の多寡及び使用温度が靭性低下の度合いに与える影響は
フェライト量が多くなると、靭性低下の度合いが大きくなる。また使用温度が高いほど、熱時効が進行するため、靭性低下の度合いが大きくなる。
69
中性子照射により、材料の機械的特性が変化する本質的な理由
中性子照射により、格子間原子や原子空孔などの点欠陥が生じる。その後、点欠陥の移動と集合の結果、欠陥集合体が生じ、これが点欠陥を吸収し続けることで、微細組織が変化すること。
70
MOX燃料加工の粉末調整工程において、原料粉末をアトリターミルで粉砕混合する製造法を1つ答えよ。また原料粉末をボールミルで粉砕混合し、所定のプル濃度になるように二段階混合する製造法を1つ答えよ。
SBR法 MIMAS法
71
ウラン濃縮法のうち原料としてUF6をを用いるものを4つ答えよ
遠心分離法 ガス拡散法 分子レーザー法 エアロダイナミック法
72
再処理で回収したプルをMOXとして転換する混合転換法を4つ答えよ
流動床脱硝法 マイクロ波加熱脱硝法 アンモニア共沈殿法 AUPuC法 コ・プレカル法
73
PCI破損(SCC含む)の対策を3つ答えよ
①Zrライナー被覆管の採用 被覆管の内面に純ジルコニウムの内張りをすることで、腐食環境と遮断し、また、PCMIを低減することで、応力腐食割れを防ぐ ②集合組織調整被覆管の採用 被覆管製造時にc軸を半径方向に向けるように、集合組織の向きを調整して、応力腐食割れが起きにくくする。 ③運転方法の改良 出力急昇速度等を制限することにより、被覆管に発生する応力を抑制する。
74
MOXペレット製造において、局所的にプル濃度が高いところ。その代表的な検査方法
プルトニウムスポット アルファオートラジオグラフィ
75
ディッシュ、チャンファーの役割
燃料ペレットの発熱に伴う熱膨張によって発生する被覆管との機械的相互作用を軽減するため
76
燃料被覆管の密封方法
TIG溶接
77
キャビテーション・エロージョン
液体の圧力が飽和蒸気圧以下になると、気泡が発生し、その気泡が壁面近傍で消滅することにより、壁面に衝撃を与え減肉が生じる現象
78
第二段階の欠陥評価
非破壊検査で検出された亀裂の寸法が許容亀裂寸法以上であれば、第二段階の欠陥評価として、亀裂進展評価と破壊評価を実施する。本評価を行うために、亀裂の形状、寸法等を決定する。その際に、単一の表面亀裂や内部の亀裂は、部材の主応力面に投影した平面亀裂としてモデル化する。
79
磁粉探傷試験とは
磁粉探傷試験は、強磁性体の試験体表面に磁粉を散布し、表面や表面の直下の傷から発生する漏えい磁束に吸着されてできる磁粉模様を観察することで傷を検出する。表面及び表面直下の傷に対して適用される試験である。また非常に小さな傷や複雑な形状の試験体にも適用できるという長所がある。
80
漏えい磁束探傷試験
漏えい磁束探傷試験は、強磁性体の試験体の傷から発生する漏えい磁束の分布及び強度をセンサで検出することにより傷を評価する。表面及び表面直下の傷に対して適用される試験である。
81
超音波探傷試験とは
超音波探傷試験は、超音波パルスを探触子から入射し、内部に欠陥があると、そこから入射波の一部が反射されて探触子に受信される現象を利用して、傷の深さ及び大きさを評価する試験であり、内部欠陥に対して適用される。探触子を走査することで傷の大きさを評価し、底部からの反射波と傷からの反射波の伝搬時間の差から傷の深さを評価する。
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放射線透過試験とは
放射線透過試験は、健全部と傷のある部分では、放射線の透過量が異なることから、フィルムに濃淡差が現れることを利用して、傷を評価する試験である。試験体内部の体積欠陥等に適用される試験である。
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燃料棒製造時にギャップに封入する気体としてヘリウムを採用している理由
化学的に安定であり、熱伝導率が大きいため
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一次系の主要材料にコバルトの含有率が低いのは何故か
材料中のコバルトが冷却水に溶け込み、原子炉で放射化されてコバルト60になり、被ばく増加の原因となるため
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フェーズドアレイ超音波探傷法について
フェーズドアレイ超音波探傷法は、アレイ探触子の各振動子から異なったタイミングで超音波を送受信することにより、送信波形よりも振幅が大きな合成波面として入射させ、欠陥を検出する技術である。通常の超音波探傷法に比べ、欠陥検出の精度が高いといった特徴がある。
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セシウムの同位体と半減期、壊変系列
133Cs:安定 134Cs:2年、β− 135Cs:230万年、β− 137Cs:30年、β−
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SFに含まれるセシウムの同位体と半減期、崩壊形式を答えよ またこれらのうち、核分裂で直接生成するよりも、他の反応で生成される方が多いものはどれか、その生成過程は
Cs133:安定 Cs134:2年、β-崩壊 Cs135:230万年、β-崩壊 Cs137:30年、β-崩壊 Cs134:Cs133の中性子捕獲反応により生成
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5年以上冷却したSFに含まれる希土類元素のうち、生成量が多いもの4つ またこれら希土類元素が燃料の物理化学的特性に与える影響は
Ce、La、Nd、Pr UO2に固溶して不純物としてフォノンを散乱させ熱伝導率を低下させる。
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ペレット熱伝導率について、燃焼に伴う変化の原因を4つ答えよ
照射欠陥の蓄積 固溶性FPの蓄積 FPガス気泡の生成・集合 ペレット密度変化 高燃焼度組織の形成
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PCIの発生に影響を及ぼす運転条件の因子を4つ答えよ
出力急昇速度 出力急昇幅 出力急昇時最高到達出力 最高到達出力における保持時間 もう一個答えるなら 出力急昇時燃焼度
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ケーブル劣化について説明せよ
ケーブルに使用されている絶縁体である高分子材料が熱や放射線などによって劣化することにより、絶縁性が低下することでケーブルが劣化する。これにより、電気・計装設備の機能を維持できなくなる可能性がある。
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ホウ素の核的な特徴、代表的な化合物形態とその特性・特徴、原子炉内での使用形態・方法を示せ
核的な特徴:熱中性子吸収断面積が大きい 代表的な化合物形態:B4C 特性・特徴:軽くて硬い。また融点が高く、化学的に安定。 原子炉内での使用形態、方法:B4c粉末をステンレス鋼の管に封入し、中性子吸収棒とする。この中性子吸収棒を1列に並べたものをU字型のステンレス製のシースで被覆し、十字形に結合して制御棒として使用される。
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ハフニウムの核的な特徴、代表的な化合物形態とその特性・特徴、原子炉内での使用形態・方法を示せ
核的な特徴:熱中性子吸収断面積は必ずしも大きくないが、複数の安定な同位体があり、それぞれが制御材として有効なため、長期にわたり制御能力を維持できる。 代表的な化合物形態:金属ハフニウム 特性・特徴:(加工性や)高温水に対する耐食性が優れており、強度も高い 原子炉内での使用形態・方法:棒状あるいは板状に加工され、U字型のステンレス鋼製のシースで被覆され、制御棒として使用される。
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リコイル(反跳)とノックアウト(はじき出し)
FPガスが燃料ペレットから放出される機構であり、リコイルは、燃料表面近くで核分裂片が反跳エネルギーによって直接ペレットから放出する機構であり、ノックアウトとは、表面近くに存在するFPガス原子が核分裂片による衝突や、カスケード状衝突により放出される機構である。
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電子ビーム溶接
電子ビーム溶接の原理は、電気的なエネルギーを電子ビームの形で材料に持ち込み、その発生熱で溶接するものである。エネルギー密度が高く、溶接部の周囲に加えられる熱量が少ないため、熱歪みが少ないといった長所がある。
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燃料棒内でUO2 ペレットの燃焼が進むにつれて、燃料棒内ガスの酸素分圧は製造時に比べて、どのように変化するか
燃焼によって生じるFPの酸化数は一般にUやPuよりも小さいため、燃料内に固溶すると、余剰酸素が放出され、燃料棒内酸素分圧は増加する。
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ECRとは
Equivalent Cladding Reacted ジルかロイ中に吸収された酸素の全てがZrO2になると仮定した際に、全被覆肉厚に対するZr02に変化した金属の割合。 燃料被覆管は酸素を取り込むことにより、脆化するため、健全性確保の観点から、ECRは15%以下に抑えることが要求されている。
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MOXペレットの特徴(UO2ペレットとの比較)
・熱伝導率が小さい ・融点が低い ・クリープ速度が大きい
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再処理工程のうち、清澄工程において実用化されている除去装置の方式
パルスフィルタ方式 遠心式清澄方式