問題一覧
1
今日しもかしこく参り候ひにけり。
好都合に
2
神楽こそ、なまめかしく、おもしろけれ。
興趣がある
3
今日はいと便なくなむ侍るべき。
都合が悪く
4
取りたてて、はかばかしき後見しなければ、事ある時は、なほ拠りどころなく心細げなり。
しっかりした
5
あさましきまであいなう、面ぞ赤むや。
むやみに
6
郎等までに物かづけたり。
与え
7
さがなき童どものつかまつりける、奇怪にさうらふことなり。
いたずらな
8
行く先多かるに、大津のいとものむつかしき屋どもの中に、引き入りにけり。
むさくるしい
9
すさまじきものにして見る人もなき月の、寒けく澄める二十日あまりの空こそ、心細きものなれ。
殺風景な
10
一人はいやしき男の貧しき、一人はあてなる男もたりけり。
身分の高い
11
かたちなむまことにいとうつくしう、ゆゆしきまでものし給ひける。
不吉なほど美しく
12
やすからず思されけれど、なほつれなく同じさまにて過ぐし給ふ。
平然として
13
熊谷、あまりにいとほしくて、いづくに刀を立つべしともおぼえず。
かわいそうで
14
昔、男、いとうるはしき友ありけり。
親しい
15
造れるさま木深く、いたき所まさりて見どころある住まひなり。
すばらしい
16
かかる人も世に出でおはするものなりけりと、あさましきまで目を驚かし給ふ。
驚きあきれるほど
17
あぢきなきことに心を占めて、生ける限りこれを思ひ悩むべきなめり。
どうにもならない
18
年ごろ、仏・神にいみじうつかうまつりつれば、何事もさりともとこそ頼みはべりつれど、かくいふかひなき死をさへせむことのかなしさ。
ひどい
19
持仏据ゑたてまつりて行ふ尼なりけり。
仏道の修行をする
20
あらはに御損にさぶらふ。
明らかに
21
つらつき、まみのかをれるほどなど、言へばさらなり。
いまさら言うまでもない
22
今様は、むげにいやしくこそなりゆくめれ。
むやみに
23
みづからもいみじと思へる気色、かたくななり。
見苦しい
24
いつしか梅咲かなむ。
早く
25
世の例にもなりぬべき御もてなしなり。
語り草
26
立て籠めたる所の戸、すなはちただ開きに開きぬ。
すぐに
27
いとはつらく見ゆれど、志はせむとす。
贈り物
28
すべてつゆ違ふことなかりけり。
少しも間違うことはない
29
ことのついでありて、人の奏しければ、聞こしめしてけり。
機会
30
かねてのあらまし、皆違ひゆくかと思ふに、おのづから違はぬこともあれば、いよいよ物は定めがたし。
偶然に
31
大方は知りたりとも、すずろに言ひ散らすは、さばかりの才にはあらぬにやと聞こえ、おのづから誤りもありぬべし
むやみに
32
息はとく絶え果てにけり。
すでに
33
今は逃ぐとも、よも逃がさじ。
まさか逃がさないだろう
34
ふりにける岩の絶え間より、落ちくる水の音さへ、故びよしある所なり。
風情
35
資材を取り出づるに及ばず、七珍万宝さながら灰燼となりにき。
全部
36
かの鬼の虚言は、このしるしを示すなりけりと言ふ人も侍りし。
前兆
37
女、親なく、頼りなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国、高安の郡に、行き通ふ所出で来にけり。
頼れるもの
38
おほやけに御文奉り給ふ。
天皇
39
うつつの人の乗りたるとなむ、さらに見えぬ。なほ下りて見よ。
正気
40
うち笑ふことがちにて暮れぬ。つとめて、客人帰りぬる後、心のどかなり。
翌朝
41
ひとり、灯火のもとに文を広げて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。
こと