介護保険制度における保険者(市区町村毎)について、給付総額(サービス提供に係る全費用)の算出は、
"給付総額 = 単価(当該市区町村における自己負担と保険料からの支払いを含めた一人当たりのサービス利用に掛かる全額) × 要介護認定者数(当該市区町村の第一号被保険者のうち要介護認定等を受けている者の総数であって、それぞれの総数に応じた"前期高齢者(65歳以上75歳未満) × 要介護等認定率 + 後期高齢者(75歳以上)である被保険者の合計 × 要介護等認定率")"により判明する。
被保険者について、保険料基準額(等倍)は、
"保険料基準額 = 給付総額(単価と要介護認定者数の積) × 一号保険料負担率(令和5年時点で23%、全市区町村で統一される) ÷ 被保険者数(市区町村における第一号被保険者の総数)に個人の収入に応じた保険料の倍率を適用した値"により判明する。
調整交付金とは市町村の介護保険財政の調整の為に全国的に給付費の5%相当を交付するものであり、普通調整交付金と特別調整交付金に分かれる。
・普通調整交付金とは後期高齢者加入割合(第一号被保険者の内後期高齢者である者の割合を指す)と所得段階別被保険者割合(被保険者の収入に応じて掛かる保険料の倍率)によって生じる全国平均と乖離した保険料基準額を調整するものである。
普通調整交付金の算定は"普通調整交付金 = 当該市町村の標準給付費額(給付費基準額と同義) × 普通調整交付金の交付割合"で判明し、
普通調整交付金の交付割合は"23% - (18%(この値を保険料で賦課すべき割合と言い、概ね18%となる) × 後期高齢者加入割合係数 × 所得段階別被保険者数補正係数"にて判明する。
後期高齢者加入割合係数とは第一号被保険者に占める後期高齢者の数に起因した要介護等の発生率により、給付費とこれに関する保険料基準額(被保険者の負担)に他の市町村と格差が生じないようにするものである。
所得段階別被保険者数補正係数とは第一号被保険者の所得段階別の分布状況について、当該市町村における分布状況と、全国における平均的な分布状況の乖離により、同じ被保険者数・給付費にあっても保険料基準額に格差が生じる場合がある為これを調整するものである。
調整交付金は一号保険料負担率(令和5年時点で23%、二号保険料負担率は27%)で見込まれる保険料と実際に納付される保険料支出の差を補填する為にある。上記にある給付費の5%程度の交付とは不足分に対して5%まで交付される限度額のこと。
・特別調整交付金とは災害等を事由として交付され、普通調整交付金の残額が交付の上限額となる。
"災害等により保険料の減免を行った場合"あるいは"災害等により利用料の減免を行った場合"に交付される。
・例
A市
人口:100,000人
高齢化率:10%(総人口の内1割が65歳以上)
後期高齢者率:40%(高齢化率の内4割、総人口に対して前期高齢者6%:後期高齢者4%の比)
前期高齢者の要介護認定率:15%(6%の内の)
後期高齢者の要介護認定率:25%(4%の内の)
単価(一人当たりのサービス利用費):150,000円
調整交付金5%(高齢者人口=一号保険料23%のうち5%が調整交付金)
被保険者数:10,000人(人口 × 高齢化率。全被保険者のうち、第二号被保険者を除く第一号被保険者の数)
一号保険料負担率:23%
所得段階別被保険者割合:第一号被保険者 × 所得段階毎の倍率
・所得別の倍率例(実際の介護保険事業計画では15段階前後に細分化される)
第一段階:基準額 × 0.5 第一号被保険者の5%とする
第二段階:基準額 × 0.75 上に同じく20%とする
第三段階:基準額 × 1.00 上に同じく25%とする
第四段階:基準額 × 1.25 上に同じく45%とする
第五段階:基準額 × 1.50 上に同じく5%とする
第一段階 - 第五段階 = 0%
第四段階 - 第二段階 = 25% =2,500 × 1.25 = 3,125
第三段階 = 25% = 7,500 + 3,125 = 10,625
単価 × 要介護認定等を受けた被保険者の合計 × 一号保険料負担率 ÷ 所得段階別被保険者割合 = 保険料基準額
150,000 × 1,900 × 0.23 ÷ 10,652 = 6,169.4円
上記のうち、一号保険料基準額を算定する過程で直接関与しないものを3つ答えなさい。