問題一覧
1
議員の自律権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
イ.議院の規則制定について規定している憲法第58条第2項は,各議院が独立して議事を審議し議決する以上、当然のことを定めた規定であり、「各々その会議その他の手続及び内都の規律に関する」事項について,原則として両議院の自主的なルールに委ねる趣旨である。, ウ.議員の懲罰について規定している憲法第58条第2項は,議院がその組織体としての秩序を維持し。その機能の運営を円滑ならしめるためのものであるため,議場内に限らず,議場外の行為でも懲罰の対象となるが、会議の運営と関係のない個人的行為は懲罰の対象とならない。
2
国会議員の地位と権能に関する次のアからオまでの各記述について,誤っているものニつチェックせよ。
ゥ、憲法第51条は、国会議員が「議院で行った演説、計論又は表決について,院外で賞任を問はれない」と定めているので、議員が所属する政党が、議員の院内での表決などを理由に除名処分を行うことは憲法上許されないが、政党の除名処分が司法審査の対象とならないため,実際にはそうした憲法第51条違反の除名処分に法的統制が及ばないことになっている。, オ,国会が国の唯一の立法機関である以上,議員は当然に法案をその所属する議院に提出することができるが,この議員の法案提出につき一定の人数の賛同を得ていることを要求するなどして制限を加えることは憲法上許されないのであって、実際,国会法には議を員による法案提出を制限する規定はない。
3
次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ウ.憲法第30条は,納税の義務を定めている。同条は,その主体について,「国民は」と規定しているが、この「国民」には内国法人(国内に本店又は主たる事務所を有する法人) も含まれる。また,法律をもってすれば,日本国内に居住する外国人及び外国法人(内国法人以外の法人)に対しても納税の義務を課すことができる。
4
憲法改正に関する次のこからエまでの各記述について、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア,国会が発議した憲法改正案は国民の承認を得なければならないが、憲法上は、必ず特別の国民投票が実施されなければならないわけではなく、例えば、参議院議員通常選挙の際に国民の投票を求めることも認められている。, エ. ポツダム宣言の受諾によって主権の所在が天皇から国民に移ったという、いわゆる八月革命説は,憲法改正には限界があるという立場を採りつつ日本国憲法の制定を正当化しょうとするものである。
5
法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述のうち,aは最高裁判所の判例を要約したものであり、bはその批判として書かれたものである。bがaの批判となっている場合にチェックせよ。
ア. a.尊属の殺害について,尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義である人たり,このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は、刑法上の保護に値するから,これを刑の加重要件とする規定を設けても,直ちに合理的な根拠を欠くものとは認められない。 b.尊属がただ尊属なるがゆえに特別の保護を受けるべきであるとの考えは,個人の尊厳と人格価値の平等を基本とする民主主義の理念と抵触する。, ウ. a.出生後に認知を受けた子について,準正のあった場合に限り日本国籍を取得させると定める規定は,準正のない子に対し,日本国民である父から胎児認知された又は母が日本国民である非嫡出子と比較して,著しく不利益な差別的取扱いを生じさせている。 b. 日本国民が母である非嫡出子は出生時において母の親権に服し、また,胎児認知は任意認知に限られるため,出生の時点で既に血統を超えた我が国社会との結び付きがある。
6
内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について、誤ってるものをチェックせよ。
ア. 議員内閣制に関する責任本質説は、内閣の国会に対する連帯費任、衆議院の内閣不信任決議権、内閣の衆議院解散権を、議院内閣制の必須の要素としている。, イ.内閣は憲法第73条第1号により法律を誠実に教行する義務を負うが、他方、無法第90条により憲法尊重擁護義務をも負うので、内閣が違憲と解する法律が成立した場合には、一時的であれば、その執行を停止することができる。, ウ, 内閣総理大臣は国務大臣の任免権,国務大臣の訴追に対する同意権及び予算の作成・提出権を有するが、これらはすべて内閣総理大臣の専事項であるので、閣議にかけて決定する必要はない。
7
外国人の人権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ィ.我が国に在留する外国人には、居住する地方公共団体の長及びその議会の議員に対する選挙権が憲法上保障されていない。, ウ、社会保障の施策において外国人をどのように処遇するかについては,憲法上立法府の裁量に委ねられている。
8
国会の会期制に関する次のアからオまでの各記述について,正しいもの二つチェックせよ。
イ,憲法には,会期延長に関する規定はないが、国会法はこれについて定め、常会,臨時会及び特別会の会期延長の議決について,衆議院の優越を認めている。, ウ,憲法上,国会の会期を開始させる召集の実質的決定権は内閣にあると解されるが、臨時会については,内閣は,いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、その召集を決定しなければならない。
9
憲法第22条第1項の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、誤っているものにチェックせよ。
ア、 農業災害補償法が一定の稲作農業者を農業共済組合に当然に加入させる仕組みを採用したことの合憲性は,当該仕組みが国民の主食である米の生産の確保と稲作を行う自作農の経営の保護を目的とすることから,必要最小限度の規制であるか否かによって判断される。, イ、 憲法第22条第1項は職業選択の自由を保障しているが、いわゆる営業の自由は、財産権の行使という側面を併せ有することから,同項及び第29条第1項の規定によって根拠付けられる。, ウ.職業の許可制は,狭義の職業の選択の自由そのものに制約を課す強力な制限であるため,社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置であっても,より緩やかな規制によってはその目的を十分に達することができない場合でなければ,合憲性を肯定し得ない。
10
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。)に基づき裁判官以外の者が構成員となった裁判体によって裁判が行われる制度(以下「裁判員制度」という。)の合憲性について判断した最高裁判所の判決(最高裁判所平成28年11月16日大法廷判決、刑集65巻8号1285頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ア. 憲法が採用する統治の基本原理や刑事裁判の諸原則、憲法制定当時の歴史的状況を含めた憲法制定の経緯及び憲法の関連規定の文理を総合的に検討すれば、憲法は一般的に国民の司法参加を許容しているといえる。, イ.裁判員法が規定する評決制度の下で、裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があるとしても,憲法が国民の司法参加を許容し、裁判員法が憲法に適合するようにこれを法制化したものである以上、憲法第76条第3項には反しない。
11
憲法第31条に関する次のアからゥまでの各記述について,aの見解からbの見解が導き出せる場合にチェックせよ。
イ. a.憲法第31条は、刑罰を科する場合の手続が法律で定められなければならないということと,手続が適正なものでなければならないということを規定したものである。 b. 憲法第31条は,罪刑法定主義を定めた規定ではなく,その根拠は憲法の別の条文に求めなければならない。, ウ. a. 憲法第31条は,刑罰を科する場合の手続の法定とその適正のみならず,実体の法定とその適正をも要求する規定である。 b. 処罰の必要性及び合理性、罪刑の均衡を要求する根拠は,憲法第31条に求められる。
12
人身の自由に関する次のアからウまでの各記込について、正しいものにチェックせよ。
ア. 警察官が、酒気を帯びて車両を運転するおそれがあると認めて呼気検査を求めたのに対し、これを拒否した者を処罰する道路交通法の規定は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定める憲法第38条第1項の規定に違反しない。, ウ. 有罪判決を受けた刑事 告人に対し,裁判所に出廷させた証人に旅費、日当及び宿泊料を負担させることは,「刑事役告人は,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する」と定める憲法第37条第2項の規定に違反しない。
13
公務員の労働基本権についての判例の動向に関する次のアからエまでの各記述について、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア、一切の公務員の団体交渉権及び争議権を否認する昭和23年政令第201号の合憲性が争われた弘前機関区事件判決(最高裁判所昭和28年4月8日大法延判決)において,最高裁判所は、憲法第13条の「公共の福祉」論と憲法第15条第2項の「全体の奉仕者」論を根拠にして,公務員の労働基本権の一律禁止を合憲とした。, ウ.地方公務員法の規制をめぐる都教組事件判決(最高裁判所昭和44年4月2日大法廷判決) と国家公務員法の規制をめぐる全司法仙台事件判決 (最高裁判所昭和44年4月2日大法廷判決)において,最高裁判所は,全逓東京中郵事件判決を継承しつつ,さらに,争議行為をあおる等の行為に対する刑事罰について,合憲限定解を行った。
14
憲法改正に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア. 国会法によれば、議員が憲法改正原案を発議するには,衆議院においては議員100人以上,参議院においては議員50人以上の賛成を要するが、その発議に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとされている。, ウ.日本国憲法の改正手続に関する法律では,憲法改正案に対する国民投票運動に関し、公職選挙法により規制される選挙運動と比較すると,戸別訪間の禁止がないなど規制が緩和されている。
15
関税法第118条第1項により第三者の所有物を没収することをめぐる最高裁判所の判決(高裁料所昭和37年11月28日大法廷判決、刑集16巻11号1593質)に関する次のアからのまでの各記について、正しいものにチェックせよ。
ア. この判決は,所有者たる第三者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは,適正な法律手続によらないで,財産権を侵害することに外ならず、憲法第31条、第29条に違反するものであることを明らかにした。
16
東京都管理職選考受験資格確認等請求事件判決(最高裁判所平成17年1月26日大法廷判決民集59巻1号128真)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものにはチェックせよ
ア、普通地方公共団体は、職員に採用した在留外国人について,国籍を理由として、給与等の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないが、合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではない。, イ.普通地方公共団体が,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任できる措置を執ることは,憲法第14条第1項に違反しない。
17
憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア、第1項で,侵略戦争は放棄されているが、自衛戦争は放棄されていないとし、第2の「前項の目的を達するため」を、侵戦争放棄の目的を達するためとする見解に対しては,日本国憲法には,第66条第2項の文民条項以外に戦争や軍隊を予定する規定が存在しないとの批判が当てはまる。, ウ. 第1項で,侵略戦争は放棄されているが、自衛戦争は放棄されていないとし、第2理の「前項の目的を達するため」を,戦争を放棄するに至った動機を一般的に指すとする見解と。第1項で,自衛戦争を含む全ての戦争が放棄されているとする見解のいずれの見解を採っても、憲法第9条により,全ての戦争が放棄されているとの結論が導かれる。
18
憲法第9条に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものにチェックせよ。
ア.憲法第9条は,我が国が主権国として持つ固有の自衛権を否定するものではない。 憲法前文の趣旨からして,憲法第9条は,国際連合のような国際機関にばかりでなく,他国に安全保障を求めることを禁じるものではない。, ウ、憲法第9条は国の基本的な法秩序を示した規定であるから,憲法より下位の法形式による全ての法規の解釈適用に当たって,その指導原理となり得るものであることはいうまでもないが、私法上の行為の効力を直接規律するものではない。
19
財政に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ウ.決算は、予算執行者である内閣の責任を明らかにするとともに、将来の財政計画等に資するために必要とされるものであり、予算と異なり法規範性を有しない。
20
私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
イ. 大学は、その設置目的を達成するため,必要な事項を定めて学生を規律する権能を有するから,私立大学が、その伝統、校風や教育方針に鑑み、学内外における学生の政治的活動につき、かなり広範な規律を及ぼしても,直ちに不合理ということはできない。
21
条約に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
イ. 条約の効力は憲法の効力に優位するとの見解によれば,条約締結権に関する憲法の規定は条約の効力の根拠を定めたものではないことになる。, ウ.国会の条約修正権を肯定する見解も、修正議決に従った内容の条約を締結するためには相手国との再交渉を必要とする
22
信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ウ.宗教法人が法令に違反して著しく反社会的な行為を組織的に行ったため、裁判所から宗教法人法所定の解散命令を受け、法人格を失った宗教団体やその信者が宗教上の行為を継続する上で支障が生じても,その支障は間接的で事実上のものにとどまるので、やむを得ない。
23
憲法第31条が行政手続にも適用されるべきかどうかについて,同条が行政手続にも適用されると解する説。同条が行政手続にも準用あるいは類推適用されると解する説。同条が行政手続には適用されないと解する説がある。これらの見解に関する次のアからウまでの記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 適用説は、恋法第31条が要求する適正さが行政手続にも及ぶべきであると説きつつも.その程度は行政作用の性質に応じて異なり得るとする。, ウ、不適用説は,行政手続の適正さについて,憲法第31条からはその文言上これを導き出すことはできないが、憲法第13条など他の規定から導くことは可能であるとする。
24
「知る権利」という概念は様々な意味で用いられている。 まず、最高裁判所は、(a)事実の報道の自由が法第21条の保障の下にあると述べるにあたり、報道機関の報道が国民の「知る権利」に奉仕することを指摘している。また,「知る権利」は、情報を受領する権利を指して用いられることがあるが、最高裁判所の判決は、閲読の自由ないし情報摂取の自由が(b)ことを認めている。 さらに、最近では,「知る権利」が政府に対して情報の開示を求める権利を指して用いられることが多い。 なお、マス・メディアに対するアクセス権が、マス・メディアに対する「知る権利」と言われることがある。しかし、アクセス権は、「知る権利」というよりは,市民がマス・メディアを利用して表現行為を行う権利である。 (c) このアクセス権に対しては様々な批判があり、権利として一般的に承認されてはいない。 (小問1) 下線部(a) のように述べている最高裁判所の判決を次のa1からa3までの中から正しいものをチェックせよ。 (小問2)(b) に入るものとして適切なものを次のb1からb3までの中からチェックせよ。 (小問3) 下線部(c) のいうところのアクセス権に対する批判として明らかに適切でないものを,次のC1からC3までの中からチェックせよ。
a3. 取材フィルムの提出命令が取材の自由を侵害するとして争われた事例についての判決, b2.表現の自由を保障した憲法第21条第1項の規定の趣旨、目的から,いわばその派生原理として当然に導かれる, c3. 周波数が有限であることから、放送局に対して公平な放送をするように要求することが憲法上認められるので、新聞によって批判された者の当該新聞に対する反論文掲載請求権はともかく,放送局に対する同様の反論放送請求権を認めることはできない。
25
内閣は、A国との間で,相手国から引渡請求を受けた犯罪人を相互に引き渡す義務を課す犯罪人引渡条約を締結した。ところが、内閣が事後にその承認を国会に求めたところ、国会は、引渡義務の対象から自国民が除外されていないことを理由に、引渡義務の対象から自国民を除外するとの条項を付して,その犯罪人引渡条約を承認するとの議決をした。 このような事態に関する次のアからカまでの各記述について,明らかに誤っているものニつチェックせよ。
イ. 条約の締結に際して,内閣が事前に国会の承認を受けることは条約の成立要件であるから,この犯罪人引渡条約は,新たな条項の有無にかかわらず国内法上効力が認められない。, 力,条約は国会の議決を必要とする一種の法律であるから,後法優先の原則により、新たな条項の付された条約は国内法として効力を持つことになる。
26
憲法保障に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているもの二つチェックせよ。
イ. 付随的違憲審査制は,個人の権利保護を主たる目的とする私権保障型の憲法裁判制度であり、客観的な憲法秩序の保障を主目的とする抽象的違憲審査制とは制度趣旨が異なる。したがって,付随的違憲審査制の訴訟で主張できるのは,訴訟当事者の権利に限られる。, ウ. 憲法は基本的に国家権力を拘束する規範であるが、国民の中で憲法に敵対的な民意が形成されると、国家権力に憲法を遵守させることが困難になる。それゆえ、憲法の基本的価値に反する表現活動等の自由は認めるべきではないとの考え方が成り立ち,日本国憲法もこのような立場を採用している。
27
知る権利や表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
イ. 放送事業者は、限られた電波の使用の免許を受けた者であって,公的な性格を有するものであり、放送による権利侵害や放送された事項が真実でないことが判明した場合に訂正放送が義務付けられているが、これは視聴者に対し反論権を認めるものではない。
28
人権の国際的保障に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア.第二次世界大戦以前には人権を国際的に保障する制度は構築されておらず,第一次世界大戦後に国際連盟が結成されたが、人権問題は専ら国内問題とされていた。, ウ、第二次世界大戦後,国際連合において採択された国際人権規約は,世界人権宣言の内容を基礎として,これを条約化したものであり、法規範性を有している。
29
次のアからウは、憲法改正手続に関する文章である。aはある見解を要約したらのであり,bはそれぞれの見解に対する批判である。bがaに対する批判となり得る場合にチェックせよ。
ア. a. 国会が憲法改正を発議するには,「各議院の総議員の3分の2以上の贅成」を必要とする。そこでいう「総議員」とは,議員の法定数を意味する。 b. 憲法改正の議決を厳重にするという趣旨では一定の合理性があるが、欠員に相当する数を常に反対投票をしたものと同じに扱う点で合理性に欠ける。, イ. a. 法律案提出権は内閣に認められるとしても。憲法改正と法律制定の場合とを同一に論じることはできないので,憲法改正の発案権は内閣にはない。 b. 憲法改正の発案権を内閣に認めても,国会の意思決定に直ちに影響を及ぼすわけではないし,国会の自主的審議権が必然的に害されるとはいえない。
30
衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ウ,憲法改正の発議及び予備費支出の承諾については、議決において衆議院の優越はなく,両議院の議決は対等である。
31
第三者所有物収事件料光(最高裁判所昭和37年11月28日 大法延判決,刑集16巻11号1593頁)に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア. 前記料決は、枝告人以外の第三者の所有物(以下「第三者所有物」という。)を波収する場合において,当該第三者に対し告知、弁解、防御の機会を与えることなくその所有物を没収することは,適正な法律手続によらないで財産権を侵害する制裁を科するに外ならない旨判示した。, ウ.前記判決では,第三者所有物について没収の言渡を受けた被告人は、その没収の裁判の違憲を理由として上告することができるとされた。
32
憲法第40条に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア,抑留又は拘禁の上,起訴されたものが無罪となった場合、刑事補償に加えて国家賠償も請求することができるが、後者が公務員の故意・過失を要件とするのに対して、前者はそれらを要件としない, イ. 最高裁判所の判例によれば、抑留又は拘禁の理由となった被疑事実が不起訴となった場合には、憲法第40条の補償問題は生じないが、実質上は無罪となった事実についての抑留又は拘禁と認められるものがあるときは,その部分は刑事補償の対象となり得る。
33
憲法第21条第2項前段の「検閲」に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合にチェックせよ。
イ. a. 外国で出版済みの書籍について,輸入禁制品である「公安又は風谷を害すべき書籍」に該当するか否かを税関が検査するのは,「検閲」に該当しない。 b.「検閲」は,表現の自由に対する制約という側面と,この自由と一体をなす知る権利に対する制約という側面がある。
34
障害福祉年金の受給資格について国籍要件を課すことは,憲法第14条第1項,第25条に違反しないとした最高裁判所の判決(最高裁判所平成元年3月2日第一小法延判決,判例時報1363号68頁)に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つチェックせよ。
イ.この判決は,障害福祉年金の給付に関し、廃疾の認定日に日本国民でない者に受給資格を認めないことは憲法第14条第1項に反しないとしたが、これは,同項の規定の趣旨は外国人に対しても及ぶとする考え方と矛盾しない。, エ、この判決は,社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかは,立法府の広い裁量に委ねられており、国は特別の条約の存しない限り、その政治的判断によりこれを決定できるという考え方を前提としている。
35
条例に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らしでそれぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア.ある事項を条例によって規制する結果として、地域ごとに取扱いに差異が生じることがあり得る。憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、このような地域ごとの差異は憲法自らが容認しているといえる。
36
司法審査が団体の内部事項に関する行為に及ぶかに関する次の学生アからエまでの各発言について、正しいものにチェックせよ。
ウ.「大学の単位認定行為は,特段の事情のない限り,純然たる大学内部の間題であって,大学の自主的な判断に委ねられるべきだから,司法審査の対象とならないとした判例もあったな。」, エ.「判例の考え方からすると,特定の授業科目の単位の取得が国家資格取得の前提要件もとされている場合には,大学の単位認定行為が司法審査の対象になる可能性もあるね。」
37
次の文章は,「法の支配」に関するものである。AからDまでの各空欄に適切なものをチェックせよ。 「法の支配」の原理は,中世における「古き良き法」の優位の思想から生まれ、英米法の根幹として発展してきた。古典的には「法の支配」とは専断的な国家権力の支配、すなわち,「【A】支配」を排斥し、権力を法で拘束することによって,国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理である。 「法の支配」の原理にいう「法」の観念が問題となる。それは、議会が一定の手続に従って制定したという形式的要件だけではなく、その内容が「理にかなっている」ものでなければならないという実質的要件を含む観念である。法の支配という場合の「法」とは、【B】の思想と固く結びついているのであり、権威主義的な法概念ではなく,民主主義的な法概念である。 日本国憲法も,「法の支配」の原理に立脚しているといえる。それは,憲法の最高法規性の明確化,【C】 人権の保障,適正手続の保障、【D】に見られるような司法権の拡大強化,そして裁判所の違憲審査権の確立からみて明らかである。 1.神の 2.憲法第76条第2項後段の行政機関による裁判の全面的禁止 3.憲法第11条及び第97条に規定されているように,理念として「不可侵」である 4. 権力分立 5.人の 6. 憲法第76条第2項前段の特別裁判所の設置の禁止 7. 基本的人権 8.憲法第12条に規定されているように「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」
A-5,B-7,C-3,D-6
38
条約に関する次のアからオまでの各記述について,明らかに誤っているもの三つチェックせよ。
ア. 憲法は,条約の締結方式については直接規定していないが、批准書の認証を天皇の国事行為としていることから、批准による締結を予定しており、いかなる条約であっても, 締結には,署名のみでなく批准書の交換・寄託を要する。, ウ.条約締結の国会承認については,衆議院の優越が認められており、両議院が異なる議決をした場合で,両院協議会を開いても意見が一致しないときは,衆議院の議決が国会の議決となるが、衆議院は,両院協議会の開催を拒むことができる。, エ.条約は、法律などと同様、感法上、公布することとされているが、国家間の合意という性質上、締結により効力が発生しているので,公布は,事実上内容を周知させるために行われるにすぎず、施行とは無関係である
39
次のアから工までの各記述について,最高教判所の判例の趣旨に照らし、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア.刑事事件の証人尋問の際に、傍聴人が証人の状態を認識することができないような遮へい指置を採っても、審理が公開されていることに変わりはないから、憲法第82条第1項及び第37条第1項に違反しない。, エ. 刑事事件の公判廷における写真撮影は,審判の秩序を乱し彼告人その他訴訟関係人の正当な利益を不当に害する結果を生ずる恐れがあるため,最高裁判所規則により、裁判長の許可を得なければすることができないものと規定することは,憲法第21条に違反しない。
40
生存権の法的性格に関し、国民が立法者に対して立法その他の指置を要求する権利を定めたものであると解するが、具体的権利性については否定する見解(いわゆる抽象的権利説)がある。この見解に関する次のアから上までの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア. この見解の理由として、資本主義経済においては、個人の生活について自助の原則が変当し、生存権を具体的権利とする前提を欠いていること、及び国が国民に生存権を保障する場合、その実現には予算を伴うが、予算の配分は財政政策上の問題として国の裁量に委ねられていることも挙げることができる。, 良い. この見解に立つと,生活保護法に基づいて決定された保護が、正当な理由がないにもかかわらず不利益に変更された場合、その変更について争う裁判において,その変更が生活保護法の規定する不利益変更禁止の原則に違反することに加え、憲法第25条にも違反するとの主張ができる。
41
取材フィルム又はビデオテープの押収が問題となった「博多駅事件決定」(最高裁判所昭和44年11月26日大法廷決定,刑集23巻11号1490頁),「日本テレビ事件決定」(最高裁判所平成元年1月30日第二小法廷決定,刑集43巻1号19頁)及び「TBS 事件決定」(最高裁判所平成2年7月9日第二小法廷決定,刑集44巻5号421頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア.「博多駅事件決定」は,裁判所の提出命令について適法としたが、「日本テレビ事件決定」と「TBS 事件決定」は,公正な刑事裁判を実現するためには,適正迅速な捜査が不可欠であるとして,検察事務官や司法警察職員がした差押えについても,適法と認められる場合があるとした。, ウ.3事件いずれの決定においても,それぞれその対象となった取材フィルム又はビデオテープは,既にそれらが編集された上放映されており、提出命令又は差押えによって放映が不可能となって報道の機会が奪われたというものではなかった。
42
人権保障規定の私人間効力に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
イ、間接効力説は,私法の一般条項に人権価値を充しようとするものであるから,充塡の程度により結論が大きく異なり得る。, ウ、直接効力説は、私人間に憲法規範を直接適用するものであるが、国家が私人の自由な活動領域に過度に介入する糸口を与えかねない
43
学校教育に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ア. 憲法第26条が子どもの学習権を保障していることから、数育の内容及び方法を誰がいかにして決定し得るかという問題に対する一定の結論が当然に導き出されるわけではない。
44
最高裁判所の規則制定権に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
イ. 最高裁判所の制定する規則は、その対象となる事項が規則を制定した機関の内部事項に限られないという点で,議院規則と異なる性質を有する。
45
日本国憲法成立の法理に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
イ. 日本のポツダム宣言受諾によって,天皇主権から国民主権への変更が生じ,日本国憲法はこの新たな主権者による新憲法制定であると主張する説がある。この説に対しては,ポツダム宣言は日本に直ちに国民主権の採用を要求したものではない,との批判がなされている。, ウ.国家の自主性が失われていた占領下において成立した日本国憲法は無効である,と主張する説がある。この説に対しては、ポツダム宣言・降伏文書に従った占領軍の要求は国際法上達法ではなく,また国内での国民による自律的判断は存在したといえる,との批判がなされている。
46
財産権の制限に関する①及び②の最高裁判所の判決に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにはチェックせよ。 ①共有森林分割制限を定める森林法の規定を違憲であると判断した判決(最高裁判所昭和62年4月22日大法廷判決,民集41巻3号408頁) ② 上場会社等の役員又は主要株主による当該会社の株式等に係る短期売買利益返還義務を定める証券取引法(現行金融商品取引法)の規定を合憲であると判断した判決(最高裁判所平成14年2月13日大法廷判決,民集56巻2号331頁)
ア. ①及び②の判決は,財産権に対して加えられる規制が憲法第29条第2項に適合するものであるかどうかは,規制の目的、必要性,内容,その規制によって制限される財産権の種類,性質及び制限の程度等を比較衡量して判断すべきであるとする点で共通する。, ウ. ①及び②の判決は,いずれも,財産権に規制を加える立法について規制目的の正当性は認めている。その上で、規制手段の必要性及び合理性に関して,①の判決はこれが認められないと判断したのに対し、②の判決はこれが認められると判断したものである。
47
国会が国の一の立法機関であること(憲法第41条)に関する次のアからエまでの各記述について、明らかに誤っているもの二つチェックせよ。
ア. 最高裁判所規則制定権は、国会だけが実質的意味の立法を制定できることに対する憲法が定める例外であるから,裁判所の内部規律や司法事務処理に関する事項については最高裁判所規則で定めなければならず、裁判所法もそうした事項について定めていない。, ウ.国会が国の唯一の立法機関であることは,立法に対する他の国家機関の関与を必要としないことを意味するが、例外として,一の地方公共団体のみに適用される特別法については、当該地方公共団体の住民の権利義務に直接影響がある場合に限り、その団体の住民投票による同意を必要とする。
48
政教分離に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合にチェックせよ
ア. 県知事の大嘗祭への参列は,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇に対する社会的儀礼を尽くすことを目的とするものであり、その効果も、特定の宗教に対する援助、助長,促進又は圧迫、干渉等にはならず、政教分離規定に反しない。, ウ、町会は,地域住民によって構成される町内会組織であって、宗教的活動を目的とする団体ではなく,町会が地蔵像の維持管理を行う行為も宗教的色彩の希薄な伝統的習俗行事にとどまるから,市が地蔵像建立のために市有地を町会に無償提供した行為は,政教分離規定に反しない。
49
営業の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 営業の自由を市場における私的な独占からの自由と捉える見解によれば、事業者に対し一定の取引分野での競争を不当に制限する行為を禁止する立法は、自由を促進する立法と位置付けられる。, イ. 営業の自由が歴史的には公序として形成されてきたものであるとしても、憲法は「国家からの自由」を中心に人権を保障することを第一義とするものであるから,営業の自由を憲法第22条第1項で保障される人権と解することは可能である。
50
憲法第9条に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例の要約として,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 憲法第9条は,我が国が主権国として持つ固有の自衛権を否定するものではなく,憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではない。, イ. 憲法第9条第2項がその保持を禁止した戦力とは,我が国が主体となってこれに指揮権,管理権を行使し得る戦力をいうものであり、外国の軍隊は,たとえそれが我が国に駐留するとしても,ここにいう戦力には該当しない。, エ.憲法第9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄,戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は,私法的な価値秩序とは本来関係のない公法的な性格を有する規範であるから、それに反する私法上の行為の効力を一律に否定する作用を営むことはない。
51
内閣に関する次のアからエまでの各記述について、正しいもの二つチェックせよ。
ア. 内閣は、内閣総理大臣及びその他の 国務大臣により構成される合議体である。国務大臣の任命は天皇により認証されるが、認証は効力要件ではないから、内閣総理大臣が国務大臣を任命した時点で,合議体としての内閣が成立する。, イ. 憲法第72条は,内閣総理大臣が内閣を代表して行政各部の指揮 督を行うと規定しているが、行政各部の指揮監督は,本来、内閣の権限である。したがって,内閣は、行政各部の行為についても,国会に対して連帯して政治責任を負う。
52
市町村の国民健康保険条例に保険料率などの具体的規定がないことと租税法律主義を定めた憲法第84条との関係についで判示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成18年3月1日大法廷判決、民集60巻2号587頁)に関する次のアから工までの各記述について、正しいもの二つチェックせよ。
ア. この判決は、国又は地方公共団体が課税権に基づき,その経費に充てるための資金を調達する目的をもって,特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は,その形式のいかんにかかわらず,憲法第84条に規定する租税に当たるというべきであるとした。, イ. この判決は,国民健康保険の保険料は租税ではないから憲法第84条が直接適用されることはないが、国又は地方公共団体が課徴収する租税以外の公課であっても,職課徴収の強制の度合いなどの点において租税に類似する性質を有するものについては,憲法第84条の趣旨が及ぶと解すべきであるとした。
53
職業の自由を規制する目的に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ「あなたのため」というパターナリズムに基づく規制である場合にチェックせよ。
イ. 過度の飲酒は、自らの健康を害し、生命を失うこともあり得るが、飲酒量を自己でコントロールすることは難しい。それゆえ,飲酒者の過度の飲酒を防止するため,酒類を提供する飲食店における客一人当たりの酒類販売量を制限する。
54
裁判所が違憲とした議員定数配分規定に基づいて行われた選挙の効力に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア,一般的な法の基本原則に基づくものとして事情判決の法理を適用して、選挙を無効とせず違法の宣言にとどめるのは、当該選挙を無効とすることによって憲法が所期していない結果を生じることを回避するためである。, イ. 定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けず、訴訟が提起された選挙区の選挙だけを無効とする手法は,投票価値が不平等であるとされた選挙区からの代表者がいない状態で定数配分規定の是正が行われるという問題がある。, ウ.定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けない判決の将来効の法理は、再選挙を執行することが事実上不可能であることや、事情判決を繰り返すことによって生じる司法審査制自体への弊害という問題にも対処しようとするものである。
55
予算に関し,法律とは別個の国法上の独自の形式であると解する見解(予算法形式説)があるが、次のアからウまでの各記述について,かかる見解からの記述として正しいものにチェックせよ。
ウ.国法の公布について定める憲法第7条第1号に「予算」が掲げられていない以上、予算の公布が憲法上義務付けられていると解することはできない。
56
海外渡航の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 海外渡航の自由は、出国の自由と再入国の自由を包括する概念であるが、その性質は、経済的自由の側面にとどまらず、精神的自由、人身の自由などと関連し、複合的かつ多元的な性質を持つ。, イ. 憲法第22条第1項の「公共の福祉」との文言によって直ちに広範な政策的制約が許されるものではないと考えれば,海外渡航の自由について,憲法上の根拠を同項に求めるか他の条項に求めるかによって,許される制約の程度に決定的な差異は生じない。, ウ.判例は,「著しく、かつ,直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」につき外務大臣が旅券の発給を拒否できる旨定めた旅券法の規定を,公共の福祉のための合理的な制限を定めたものとして合憲と解している。
57
憲法の明文で規定されていない権利・自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ウ.住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集、管理又は利用する行為は,当該住民がこれに同意していなくとも,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない。
58
信教の自由に関する次のアからエまでの各記述について,誤っているもの二つチェックせよ
ウ.宗教的行為の自由は,憲法第20条第1項前段ではなく,「宗教上の行為」等に「参加することを強制されない」と規定する同条第2項により保障される。, エ、特定の宗教の宣伝や共同で宗教的行為を行うことを目的とする団体を結成する自由は、信教の自由ではなく、憲法第21条第1項の結社の自由として保障される。
59
信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
イ、 信仰上の理由から剣道実技の履修を拒否した高等専門学校の生徒に対して学校長が行った原級留置処分及び退学処分は,履修拒否が生徒の信仰の核心部分と密接に関連する真しな理由からのものであり、代替措置の申入れに対して学校側はそれが不可能でないのに何ら検討することなく拒否したなどという事情の下では,裁量権の範囲を超えて違法である。, ウ.宗教法人に対する解散命令のような法的規制は,たとえ信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても,これに何らかの支障を生じさせることがあり得ることから、信教の自由の重要性に鑑み、憲法上、そのような規制が許容されるものであるかどうかは慎重に吟味しなければならない。
60
表現の自由の制約の合憲性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものにチェックせよ。
ア. 軽犯罪法第1条第33号は、「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし」た者を処罰の対象としているところ,はり札をする行為自体は思想を外部に発表する手段の1つであると認められるものの,その手段が他人の財産権、管理権を不当に害することは許されないから、この程度の規制は,公共の福祉のため,許された必要かつ合理的な制限であるというべきである。
61
憲法と条約の効力関係をめぐる憲法優位説に関する次のアからウまでの各記込についでそれぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア,憲法優位説の論拠の一つは、条約優位説がもたらす結果に対する批判である。それは、条約締結要件が憲法改正手続よりも緩やかであるので、条約によって実質的に憲法を改正することも可能になることへの批判である, ウ.憲法優位説の中にも,条約の違憲審査を控えるべきであるとする考え方がある。それは,憲法第81条の文言に条約が含まれていないことや憲法第98条第2項が条約の誠実尊守を宣言していることを根拠とする。
62
政党が党員にした処分に対する裁判所の審査権に関する次のアからウまでの各記込について、判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 政党の党員が、その政党の存立や秩序維持のために、自己の権利や自由に削約を受けることがあることは当然であり、政党が組織内の自律的運営として党員に対して行った処分の当否については,原則として自律的な解決に委ねるのが相当である。
63
郵便法違憲判決(最高裁判所平成14年9月11日大法を判決、民集56巻7号1439頁)に関するめのアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ア. 憲法第17条は、公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除又は制限する法律が立法権の我量を逸脱したものである場合には、これを違憲無効とする効力を持つ規定である。
64
憲法第41条の「唯一の立法機関」に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ウ.「唯一の立法機関」の意味の一つは,国会単独立法の原則である。それは,国会による立法は,国会以外の機関の参与を必要としないで成立するという原則である。
65
司法に関する次のアからゥまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
イ.裁判官の職権の独立は、裁判に対して不当な影響を与えるおそれのある一切の外部的行為の排除を要求するが、一般国民やマスメディアによる裁判内容の批判は,表現の自由の行使の一場面であるから許される。, ウ.国政調査権は議院にとって重要な権能であるが、司法権の独立の観点からして,具体的事件について,その判決の事実認定や量刑が適切かどうかを調査することは,国政調査権の範囲を逸脱するものであり、許されない。
66
国調査権の行使に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ウ.各議院は、国政調査権の行使として、公務員のみならず私人に対しても,証人として出頭して証言することを求めることができる。
67
衆議院議員定数不均衡訴訟判決(最高裁判所昭和51年4月14日大法廷判決,民集30巻3号223質)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものにチェックせよ。
ア. 憲法第14条第1項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民は全て政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり,選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等も、憲法が要求するところである。
68
政党に対する寄付に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものにチェックせよ。
ア、 労働組合は、組合員の経済的地位の向上を本来の目的とする団体であり、その目的のために,組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し、その選挙運動を推進すること自体は自由であるが,その政党に寄付する資金の費用負担を組合員に強制することは許されない。, イ、会社は,法令の規定に従い定款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負うところ、会社が特定の政党に政治資金を寄付することも,客観的,抽象的に観察して,会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては、定款所定の目的の範囲内の行為とみることができる。
69
近代立憲主義に関する次のアからウの各記述について、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ウ.19世紀の「自由国家」と形容される時代には自由の保障が強調されていた。しかし、その自由の保障のために,違憲立法審査権を裁判所に認める国は例外的であった。
70
憲法第27条の勤労の権利及び第28条の労働基本権に関する次のアからオまでの各記述について、最高裁判所の判例の要約として、正しいもの三つチェックせよ。
イ. 労働組合の組合員に対する統制権は,労働者の団結権保障の一環として,憲法第28条の精神に由来するものであるが、労働組合が、公職選挙における統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合であっても,組合の方針に反して立候補した組合員を統制違反として処分することは,労働組合の統制権の限界を超えるものとして、違法といわなければならない。, ウ. 労働組合への加入強制の方式の一つとして採用されているユニオン・ショップ協定のうち,使用者とユニオン・ショップ協定を締結している組合(締結組合)以外の他の組合に加入している者や、締結組合から脱退・除名されたが他の組合に加入し又は新たな組合を結成した者について,使用者の解雇義務を定める部分は,労働者の組合選択の自由や他の組合の団結権を侵害するものであり、民法第90条の規定により無効と解すべきである。, エ,憲法は,動券者の団体行動権を保障しているが、勤労者の争議権の無制限な行使を許容するものではなく、労働争議において使用者側の自由意思をはく奪し又は極度に抑圧し、あるいはその財産に対する支配を阻止し、私有財産制度の基幹を揺るがすような行為をすることは許されない。いわゆる生産管理において,労働者が、権利者の意思を排除して企業経営の権能を行うときは、正当な争議行為とはいえない。
71
地方公共団体において,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができる措置を執ることは,憲法第14条第1項に違反しないとした最高裁判所の判決(最高裁判所平成17年1月26日大法廷判決,民集59巻1号128頁)に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つにチェックせよ。
イ. この判決は,日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める「特別永住者」の公務就任権を制限する場合について,一般の在留外国人とは異なる取扱いが求められると解する余地を否定した。, エ、この判決は,当該地方公共団体の管理職の中に,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするものが含まれていることを前提としている。
72
次のアからウまでの各記述について正しいものにチェックせよ。
ウ. 憲法が、基礎的な地方公共団体と包括的な地方公共団体からなる2段階構造を保障しているか否かについては,議論がある。これを肯定する立場は、憲法が、制定当時の地方制度,すなわち市町村と都道府県からなる地方制度を前提にして地方自治を保障したことを尊重するものであるが,この立場からしても、都道府県より更に広域の道州のような自治組織を設けることは,必ずしも,憲法に違反すると解すべきことにはならない。
73
条約に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ウ、憲法は,文書による国家間の合意の全てについて,国会の承認を要すると定めたものではなく,既に有効に成立している条約の委任に基づいた細部の取決めについては,国会の承認まで要しない。
74
財産権の保障に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ
ア・ 憲法は、私有財産制と具体的な財産上の権利をともに保障しており,後者には所有権などの物権のほか債権や知的財産権などが含まれる。
75
内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ァ. 無法第66条第3項は、内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して賞任を負う旨規定しているが、個々の国務大臣がその所管事項について単独の責任を負うことが否定されているわけではない。
76
学問の自由や大学の自治に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ウ.大学教授が授業中に行ったその所属学部の執行部への批判を理由として,当該学部が当該教授の授業開講を認めない措置を採るような場合には,学問の自由と大学の自治とが対立的な関係に立つ。
77
主権に関する次のアからエまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ア. 絶対王政の時代には,国家の主権と国王の主権を区別することに意味がなく,現に両者は一体的に捉えられていた。, エ.統治権という意味での主権は国家に属すると考える国家法人説は,君主主権と国民主権のどちらにも結び付き得る考え方である。
78
夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称すると定める民法第750条の規定が、憲法第13条の規定に違反するか否かについて判示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決,民集69巻8号2586頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 前記判決は,氏名について,その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって,人格権の一内容を構成するが、具体的な法制度を離れて,氏が変更されること自体を捉えて直ちに人格権を侵害し,違憲であるか否かを論ずるのは相当ではないとした。
79
地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
イ.憲法第93条第2項は地方公共団体の長、議会の議員を住民が直接選挙することを定めているにとどまり、地方自治法に定める議会の解散請求や議員、長の解職請求の制度それ自体は憲法上の要請ということはできない。, ウ.憲法第94条は地方公共団体の条例制定権を定めており、地方公共団体は,広義の自治事務に該当する事務であれば、条例により住民の基本的人権に制約を課することも許されるのであって,このこと自体を直ちに違憲ということはできない。
80
天皇の権能に関する次の1から8までの各記述について,正しいと認められるものを二つ選びなさい。
3.天皇は,内閣の助言と承認が不当なものであると判断した場合でも、その助言と承認を拒むことは一切認められていない。, 6. 天皇に衆議院の解散権があるとしても,それが内閣の助言と承認によって行われる以上、国会が天皇の政治責任を追及することは認められない。
81
諸種の憲法概念に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているもの二つをチェックせよ。
ウ.法の内容に着目すると,「固有の意味の憲法」と「立憲的意味の憲法」を区別することができる。 「権利の保障が確保されず,権力の分立が定められていない社会は,すべて憲法を持つものではない」という1789年のフランス人権宣言の有名な一節は,前者の趣旨を示したものである。, 工. 形式的意味の憲法にはいかなる内容を盛り込むことも可能であるが、歴史的には立憲主義の成文化を求める動きが憲法典の普及を促進した。 日本国憲法はこの経緯を踏まえ,憲法の形式的優位性の実質的根拠を示すため、第10章「最高法規」中に公務員の憲法尊重擁護義務を定める第99条を置いている。
82
下記文章は,参議院議員選挙における議員定数配分規定の違憲性について,次の①ないし③を含む最高裁判所の判決の流れを述べたものである。文中における(ア) から(ウ)までの各記述(それぞれ下線部分)について,正しいものにチェックせよ。 ①昭和58年4月27日大法廷判決,民集37巻3号345頁(最大較差1対5.26倍) ②平成8年9月11日大法廷判決,民集50巻8号2283頁(最大較差1対6.59倍) ③平成21年9月30日大法廷判決,民集63巻7号1520頁(最大較差1対4.86倍)
その後,平成4年7月施行の参議院議員選挙において最大較差が1対6.59倍に及ぶに至り, (イ) ②は,違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態が生じているとしたが、是正のための合理的期間は徒過していないとして,合意とした。, この②判決の後に施行された選挙は,最大較差が1対5倍前後であり、最高裁判所は著しい不平等状態が生じているという判断をしてこなかったが、較差是正のため国会における不断の努力が求められるなどの指摘がされてきた。 それらの判決の流れを受け、 (ウ) ③は,結論的には合意としつつも,投票価値平等の観点からは大きな不平等が存し較差の縮小を図ることが求められること,そのためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となり、国会において速やかに適切な検計が行われることが望まれると判示した。
83
日本国憲法の改正に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 憲法改正の手続において必要とされる発議とは、通常の議案についていわれる発議が原案を提出することを意味するのとは異なり、国民に提案すべき憲法の改正案を国会が決定することを意味している。, イ. 国民による承認の要件として必要とされる過半数の賛成の意味については、憲法上複数の解釈があり得たが、それらの中から,法律で,有効投票総数の過半数の賛成をいうものと定められた。
84
学問の自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ウ.普通教育の場において使用される教科書は学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、教科書検定は,記載内容がいまだ学界において支持を得ていないとき,あるいは当該教科課程で取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど一定の検定基準に違反する場合に,教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎないから、憲法第23条に反しない。
85
集会の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ誤っている場合にチェックせよ。
ア. 市民会館は、集会をするために必須の施設であるから、その使用について,届出制ではなく。許可制を採ることは,集会の自由を不当に制限することになる。, イ. 道路については,交通の安全と円滑を図るという機能面が重視される結果、道路における集団行動の規制は、集会の自由に対する制限には当たらない。, ウ、市の管理する公園について,人の生命,身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる,明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合でないのに,その使用を規制するのは,集会の自由を不当に制限することになる。
86
政党に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア. 政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成するものであって、党員に対して政治的無職を要求し、一定の統制を施すなどの自治機能を有する。, イ. 政党は、内部的自律権を有し、政党が組織内の自律的運用として党員に対してした除名等の処分の当否については,原則として政党による自律的な解決に委ねられる。
87
思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合にチェックせよ
イ. 市立小学校の入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏をする行為は、音楽専科の教諭にとって通常想定され期待されるものであり、当該教諭が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難なものである。
88
学校教育に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 国は、必要かつ相当と認められる絶囲において、教育内容について決定する権能を有し、教育の目的を遂行するに必要な諸条件を整備確立するため、教育の内容や方法について道守すべき基準を設定できる。しかし、それは,教育における機会均等の確保と全国的な一定水準の維持という目的のために必要かつ合理的と認められる大網的なものにとどめられるべきである。
89
天皇が国会開会式に出席した上で述べる「おことば」の憲法上の位置付けに関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ア.「おことば」を象徴としての地位に基づく公的行為であると捉える見解については、象徴としての地位が天皇の一身専属のものであることを前提にすると,天皇の権能を代行する摂政は「おことば」を述べることができないのではないかという問題点がある, ウ.「おことば」は国事行為である「儀式を行ふ」(憲法第7条第10号)に含まれるという見解については,上記「儀式を行ふ」を「儀式を主宰する」という意味に解すると,文理上無理があるという問題点がある。
90
取材の自由に関連する次のアからウまでの各記述について、最高裁利所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ア. 民事訴訟法第197条第1項第3号は、「職業の秘密に関する項について尋問を受ける場合」には、証人は証言を拒否することができるとしており、報道関係者の取材源の秘密は、この「職業の秘密」に当たる。しかし、当該事案において証言拒否が認められるか否かは,さらに比較衡量によって決せられる。, ウ.報道機関の取材の手段・方法が、贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令には触れなくても,取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しくじゅうりんする等法秩序全体の精神に照らして社会観念上是認することができない態様のものである場合には,国家公務員法との関係では,正当な取材行為の範囲を逸脱し違法性を帯びることになる。
91
取材の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ア.報道のための取材の自由も憲法第21条の精神に照らし十分尊重に値するが、取材の自由といっても、何らの制約を受けないものではなく,公正な裁判の実現という憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受けることがあることは否定できない。, ウ. 編集の上、既に放映されたビデオテープのマザーテープの差押えにより報道機関が受ける不利益は、このビデオテープの放映が不可能となり報道の機会が奪われるという不利益ではなく、将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるという不利益にとどまる。
92
違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものにチェックせよ。
ア. 日米安全保障条約は,主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するもので、その内容の合憲性判断は、一見極めて明白に違憲無効でない限り,裁判所の審査権の範囲外である。, イ. 日米安全保障条約及び日米地位協定が違惑無効であることが一見極めて明白でない以上,裁判所としては、これらが合憲であることを前提として,これらの条約を履行するために制定された,いわゆる駐留軍用地特措法の合憲性を審査すべきである。
93
幸福追求権に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つチェックせよ。
ウ.学説における一般的自由説は、包括的基本権である幸福追求権の内容について,「人格的生存」にとって不可欠という要件で限定しない。しかし、一般的自由説を採ることは,当該自由や権利の保障の程度という点で「人格」との関連性を考慮することと必ずしも矛盾しない。, エ、学説における人格的利益説の場合,どのような権利・自由が「人格的生存にとって不可欠な利益」であるかは,必ずしも明らかでない。例えば,自己決定権としての髪型の自由について,人格的利益説を採る論者の間でも「人格的生存にとって不可欠な利益」であるか否か、見解が分かれる。
94
天皇又は皇室に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの2つにチェックせよ。
イ、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは腸与することは国会の議決に基づかなければならない,というのが憲法の定める原則である。, ウ、皇位の継承について,大日本帝国憲法は「皇男子孫之ヲ継承ス」と定めていたが、日本国憲法は,男系男子主義までも求めるものではない。
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憲法第43条第1項の「全国民の代表」に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ア.憲法第43条第1項は、国会が民意を反映すべき機関であると同時に,国民代表機関であることも意味する。, イ.各選挙区において選出された議員は,「全国民の代表」となるので,選挙区民から法的に責任を問われることはない。
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近代法における統治機構の基本原理の一つである権力分立は、現代国家においてその形態が大きく変容している。その現代的変容に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア.20世紀の積極的国家・社会国家の要請に伴って行政活動の役割が飛躍的に増大し、行政府が国の基本政策の形成決定に事実上中心的役割を営むようになっている。そのような状況のもとでは、立法府が行政府をどこまでコントロールできるかが問題となる。, イ. 議会の多数党が政府を形成する議院内閣制の下では、とりわけ、伝統的な議会と政府の対抗関係は機能不全に陥りがちである。政治部門における権力分立は、むしろ、政府・与党と野党の対抗関係へと機能的に変化する。
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法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合にチェックせよ。
ア. 日本国籍は重要な法的地位であり、父母の婚姻による嫡出子たる身分の取得は子が自らの意思や努力によっては変えられない事柄であることから,こうした事柄により国籍取得に関して区別することに合理的な理由があるか否かについては,慎重な検討が必要である。, ウ. 尊属殺という特別の罪を設け、刑罰を加重すること自体は直ちに違憲とはならないが、加重の程度が極端であって,立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し。これを正当化し得べき根拠を見出し得ないときは,その差別は著しく不合理なものとして違憲となる。
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裁判所の違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものにチェックせよ。
ア・裁判所は、処罰対象となる行為が過度に広汎であることが争われている罰則の合憲性の判断に当たり、その規制目的や当該目的達成の手段としての合理性等を審査する場合がある。, イ. 合憲限定解釈は,合憲性が争われている法令について法令違憲との判決を下すことを回避する手段の一つである。
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憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ。
ア. 憲法第9条第1項について,侵略戦争を放棄したものであり、自衛戦争を放棄したものではないという考え方に立ったとしても,同条第2項前段によって第1項の目的を達成するために一切の戦力の保持が禁止されており、同条第2項後段によって交戦権も否認されているとの考え方に立てば,結果として自衛のための戦争も放棄されていることになる。
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憲法の定める国会議員の特権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものにチェックせよ
ア. 不逮捕特権を定める目的が議院の審議権の確保にあるとする見解に立つと、国会議員に対する逮捕請求の理由が正当であっても,議院は、議員の逮捕を許諾しないことができる。, ウ.免責特権の趣旨は,議院内で行った発言を理由に院外で法的責任を問われないというものであり、その発言を理由に所属政党から除名されることはある。