心ばせある少将の尼、左衛門とてあるおとなしき人、童ばかりぞとどめたりける年配だ
さるべくおとなしき人々、何かしかがしといふいみじき源氏の武者をこそ思慮分別がある
ゆかしかりしかど、神へ参ること本意なれと思ひて、山までは見ず行ってみたい
人の目をもおどろかし、心をもよろこばせ給ふ昔の世、ゆかしげなり知りたい
明けぐれの空に、雪の光見えておぼつかなしぼんやりしている
おぼつかなきもの。十二年の山籠りの法師の女親気がかりだ
いかでもの越しに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、少しはるかさむ待ち遠しい
ありがたきもの。シウトに褒めらるる婿。めったにない
「物は、破れたる所ばかりを修理して用いる事ぞと、若き人に見ならはせて、心づけんだめなり」と申されける、いとありがたかりけり立派だ
し得たりし心地は、いみじかりしものかなとてもすばらしい
見すべきことありて、呼びにやりたる人の来ぬ、いとくちをし残念だ
世を捨てて山に入る人山にてもなほ憂き時はいづちゆくらむつらい
前栽の草木まで、心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いとわびし興ざめだ
梁塵秘抄の郢曲の言葉こそ、またあはれなることは多かれめれしみじみと心打たれる
わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんやおろそかだ
狩りはねんごろにもせで、酒をのみ飲みつつ、やまと歌にかかれけり熱心だ
それ、人の友とあるものは、富めるをたふとみ、ねんごろなるを先とす親しい
つれづれに思いつづくるも、うち返しいとあぢきなししんみりともの寂しい
少しの地をも、いたづらにおかんことは、益なきことなり。むだだ
船も出ださで、いたづらなれば、ある人の詠める手持ちぶさたで暇だ
鏡には色、かたちなきゆえに、よろづの影来たりて映る姿
世の中に長恨歌といふ文を、物語にかきてある所あんなり漢詩
足もとへふと寄り来て、やがてかきつくままに、首のほど食はんとすあたり
同じほど、それより下臈の更衣たちは、ましてやすからず身分
日ごろのちぎりを変せず、一所にて死にけるこそ無惨なれ約束
前の世にも御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへを生まれ給ひぬ宿縁
よろづのことよりも情けあるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ思いやり
男女の情けも、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは情愛
薬も食はず。やがて起きもあがらで、病み伏せりそのまま
女、いと悲しくて、しりに立ちて追ひ行けど、え追ひつかで、清水のある所にふしにけりできない
いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがなどうにかして
春は藤波を見る。紫雲のごとくして、西方ににほふ美しく照り映える
例よりはひきつくろひて書きて、うつろひたる菊にさしたり。色が変わる
おのづから御心移ろひて、こよなう思し慰むやうなる
も、あはれなるわざなりけり。移る
この猫を北酢にも出ださず、思ひかしづく大切に世話をする
ならはぬ鄙の住まひこそ、かねて思ふも悲しけれ。慣れる
ここは、かく久しく遊びきこえて、慣らひたてまつれり親しむ
とりどりに物の音ども調べあはせて遊び給ふ、いとおもしろし管弦を楽しむ
人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。愛する
心ばせある少将の尼、左衛門とてあるおとなしき人、童ばかりぞとどめたりける年配だ
さるべくおとなしき人々、何かしかがしといふいみじき源氏の武者をこそ思慮分別がある
ゆかしかりしかど、神へ参ること本意なれと思ひて、山までは見ず行ってみたい
人の目をもおどろかし、心をもよろこばせ給ふ昔の世、ゆかしげなり知りたい
明けぐれの空に、雪の光見えておぼつかなしぼんやりしている
おぼつかなきもの。十二年の山籠りの法師の女親気がかりだ
いかでもの越しに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、少しはるかさむ待ち遠しい
ありがたきもの。シウトに褒めらるる婿。めったにない
「物は、破れたる所ばかりを修理して用いる事ぞと、若き人に見ならはせて、心づけんだめなり」と申されける、いとありがたかりけり立派だ
し得たりし心地は、いみじかりしものかなとてもすばらしい
見すべきことありて、呼びにやりたる人の来ぬ、いとくちをし残念だ
世を捨てて山に入る人山にてもなほ憂き時はいづちゆくらむつらい
前栽の草木まで、心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いとわびし興ざめだ
梁塵秘抄の郢曲の言葉こそ、またあはれなることは多かれめれしみじみと心打たれる
わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんやおろそかだ
狩りはねんごろにもせで、酒をのみ飲みつつ、やまと歌にかかれけり熱心だ
それ、人の友とあるものは、富めるをたふとみ、ねんごろなるを先とす親しい
つれづれに思いつづくるも、うち返しいとあぢきなししんみりともの寂しい
少しの地をも、いたづらにおかんことは、益なきことなり。むだだ
船も出ださで、いたづらなれば、ある人の詠める手持ちぶさたで暇だ
鏡には色、かたちなきゆえに、よろづの影来たりて映る姿
世の中に長恨歌といふ文を、物語にかきてある所あんなり漢詩
足もとへふと寄り来て、やがてかきつくままに、首のほど食はんとすあたり
同じほど、それより下臈の更衣たちは、ましてやすからず身分
日ごろのちぎりを変せず、一所にて死にけるこそ無惨なれ約束
前の世にも御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへを生まれ給ひぬ宿縁
よろづのことよりも情けあるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ思いやり
男女の情けも、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは情愛
薬も食はず。やがて起きもあがらで、病み伏せりそのまま
女、いと悲しくて、しりに立ちて追ひ行けど、え追ひつかで、清水のある所にふしにけりできない
いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがなどうにかして
春は藤波を見る。紫雲のごとくして、西方ににほふ美しく照り映える
例よりはひきつくろひて書きて、うつろひたる菊にさしたり。色が変わる
おのづから御心移ろひて、こよなう思し慰むやうなる
も、あはれなるわざなりけり。移る
この猫を北酢にも出ださず、思ひかしづく大切に世話をする
ならはぬ鄙の住まひこそ、かねて思ふも悲しけれ。慣れる
ここは、かく久しく遊びきこえて、慣らひたてまつれり親しむ
とりどりに物の音ども調べあはせて遊び給ふ、いとおもしろし管弦を楽しむ
人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。愛する