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源氏物語 光源氏の誕生日
  • 漸近線

  • 問題数 37 • 2/10/2025

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    問題一覧

  • 1

    いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひける中に

    どの帝の御時であったか、女御や更衣が大勢お仕え申し上げなさっていた時に

  • 2

    いとやむごとなき際にはあらぬが、

    それほど高貴な身分ではない方で、

  • 3

    すぐれて時めき給ふありけり。

    格別に寵愛を受けていらっしゃっる方がいた。

  • 4

    はじめより我はと思ひあがり給ねる御方々、

    はじめから自分こそはと自負なさっている女御の方々は、

  • 5

    めざましきものにおとしめそねみ給ふ。

    気に食わない者としてさげすみ憎みなさる。

  • 6

    同じほど、それより下臈の更衣たちは、まして安からず。

    同じ身分、それより低い地位の更衣たちはなおさら心穏やかではない。

  • 7

    朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負うつもりにやありけむ、

    朝夕の宮仕えに関しても、人々の心を大変騒がせて、恨みを受けることが積もった結果であっただろうか、

  • 8

    いとあつしくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、

    たいそう病弱になっていき、なんと心細い様子で実家に下がることが多いのを、

  • 9

    いよいよ飽かずあはれなるものに思ほして、

    ますます物足りなく気の毒な者にお思いになって、

  • 10

    ひとのそしりもをえ憚らせ給はず、

    人の非難も気がねなさることができないで、

  • 11

    世の例にもなりぬべき御もてなしなり。

    世間の話の種にもなってしまいそうな御待遇である。

  • 12

    上達部、上人などもあいなく目をそばめつつ、いとまばゆき人の御覚えなり。

    公卿、殿上人なども苦しく目をそらしては、とても見ていられないほどの帝のご寵愛である。

  • 13

    唐土にも、かかることの起こりにこそ、

    中国でも、このような原因で、

  • 14

    世も乱れ悪しかりけれと、

    世も乱れ悪くなったと、

  • 15

    やうやう、天の下にも、あぢきなう人のもて悩みぐさになりて、

    だんだん、世間でもらつまらないことだと苦々しく人の悩みの種になって、

  • 16

    楊貴妃の例も引き出てつべくなりゆくに、

    楊貴妃の例も引き合いに出してしまいそうになってゆくので、

  • 17

    いとはしたなきこと多かれど

    とてもきまりがわるいことが多いけれど、

  • 18

    かたじけなき御心ばへのたぐいなきを頼みにして、

    恐れ多い御情愛が比類ないのを頼りにして、

  • 19

    交じらひ給う。

    宮仕えをなさる。

  • 20

    父の大納言は亡くなりて、

    父の大納言は亡くなっていて、

  • 21

    母北の方なむ古の人の由あるにて、

    母である正妻は旧家の出身の人で教養のある人で、

  • 22

    親うち具し、さしあたりて

    両親がそろい、さしあたって

  • 23

    世の覚え華やかなる御方々にもいたう劣らず、

    世間の評判が華々しい女御の方々にもたいして劣らず、

  • 24

    なにごとの儀式をもてなし給ひけれど、

    どんな儀式も取り扱いなさったが、

  • 25

    取り立ててはかばかしき後見しなければ、

    格別にしっかりした後ろ盾がないので、

  • 26

    ことある時は、なほ拠り所なく心細げなり。

    何かあらたまったことがある時はやはり頼るあてがなく、心細い様子である。

  • 27

    前の世にも御契りや深かりけむ、

    前世でも、ご宿縁が深かったのだろうか、

  • 28

    世になく清らなる玉の男御子さへ生まれ給ひぬ。

    世にまたとなく美しい玉のような皇子までも生まれなさった。

  • 29

    いつしかと心もとながらせ給ひて、

    早く会いたいと待ち遠しく思いなさって、

  • 30

    急ぎ参らせて御覧ずるに、

    急いで参内させてご覧になると

  • 31

    めずらかなる児の後容貌なり。

    めったにないほど素晴らしい赤子のこ容貌である。

  • 32

    一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて、よせ重く、

    第一皇子は右大臣の女御がお生みになっか方で、後見人の勢力が強く、

  • 33

    疑いなきまうけの君と、

    疑いなく皇子として、

  • 34

    世にもてかしづ聞こゆれど、

    世間でも大切にお世話し申し上げるが、

  • 35

    この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、

    このつややかな美しさには並びなさることができそうにもなかったので、

  • 36

    おほかたのやむごとなき御思いにて

    普通のこの上ないお思いであって、

  • 37

    この君をば、私物に思ほしかしづき給ふこと限りなし。

    この君を秘蔵っ子にお思いになさって大切に養育なさることはこの上ない。