問題一覧
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問3 設立後10年未満で資本金2億円,従業員10人の小規模事業者である家庭用品メーカーX社は,製品Aを開発し,特許出願又は実用新案登録出願を検討しており,その際,審査請求料,登録料等について何らかの減免措置を受けようと考えている。ア~エを比較して,X社の知的財産の担当者の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
「わが社が製品Aについて特許出願をした場合,特許法の規定に基づいて,審査請求料及び特許料(第1年分から第10年分)について,三分の二に相当する額の軽減を求めることができます。」
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6 電機メーカーX社は,重要な技術情報Aについて,営業秘密として保護することとした。X 社の事業部の部長甲と知的財産部の部長乙は,平成31年1月23日に経済産業省が最終改訂 をした「営業秘密管理指針」を参照して,会話をしている。問12~問14に答えなさい。 甲 「不正競争防止法で営業秘密として保護されるためには,技術情報Aをどのように管理すれ ばよいですか。」 乙 「3つの要件を満たすことが必要となります。まず秘密管理性,つまり技術情報Aが秘密と して管理されていることです。次に有用性,つまり技術情報Aが生産方法,販売方法その 他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることです。そして非公知性,つまり 技術情報Aが公然と知られていないことです。」 甲 「秘密管理性の要件が満たされるためには,どうしたらよいですか。」 乙 「①わが社の秘密管理意思が秘密管理措置によって従業者等に対して明確に示され,当該秘 密管理意思に対する従業者等の認識可能性が確保される必要があります。」 問12 下線部①に関する乙の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。
秘密管理措置の対象者は,職務上,技術情報Aに接することができる者が基本となるが,職務の範囲内か否かが明確ではなくとも技術情報Aに合法的に接することができる者も含まれる。
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甲 「(営業秘密の)有用性については,どのように考えればよいですか。」 乙 「 1 」 問13 空欄 1 に入る乙の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。
特許制度における,いわゆる当業者であれば,公知の情報を組み合わせることによって容易に技術情報Aを作出することができる場合は,有用性は認められません。
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甲 「(営業秘密の)非公知性については,どのように考えればよいですか。」 乙 「 2 」 問14 空欄 2 に入る乙の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。
X社の社員丙に守秘義務がなければ,丙だけしか技術情報Aを知らない場合でも,特許法上では公知となり得るのと同様に,営業秘密における非公知性でも,丙がたとえ技術情報Aについて事実上秘密を維持していたとしても,非公知とはなりません。
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7 機械装置メーカーX社の開発部の部員甲は,新たに3Dプリンタ,3D造形方法及び3Dプリンタを制御するプログラムを開発した。特許出願を検討するに際して,甲は知的財産部の部員乙に相談をしている。なお,モデル材とは造形されるモデルの材料であり,サポート材とはモデル造形中にモデル材を支える部材であり,最終的には除去されるものである。問15~問16に答えなさい。 問15 部員甲は,独自の「恐竜」の形状を造形するための3D造形用データとして3Dプリンタの記憶部に格納し,展示会や店頭でのデモンストレーションの際にすぐに呼び出して作成できるようにしている。ア~エを比較して,この3D造形用データの発明該当性についての部員乙の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。
「プログラムに類似する性質を有する3D造形用データについては,請求項の末尾を『…を特徴とするプログラム。』と記載しない場合には,『発明』に該当しません。」
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7 機械装置メーカーX社の開発部の部員甲は,新たに3Dプリンタ,3D造形方法及び3Dプリンタを制御するプログラムを開発した。特許出願を検討するに際して,甲は知的財産部の部員乙に相談をしている。なお,モデル材とは造形されるモデルの材料であり,サポート材とはモデル造形中にモデル材を支える部材であり,最終的には除去されるものである。問15~問16に答えなさい。 問16 部員甲は,特許出願を検討している発明Aの特徴は,「サポート材の使用量を減らすために,サポート材を密に積層するのではなく,格子状に形成する点」と「モデル材の造形後にサポート材の除去を容易にするためにサポート材との間にサポート材と同一材料である中間材を施す点」であると考えている。しかし,先行文献調査をしたところ,先行文献1として「造形工程はほぼ同一であるが中間材については記載がない3D造形方法」,先行文献2として「造形順序についての記載はないが,モデル材,サポート材,及びサポート材とは別材料である中間材を用いた3D造形方法」が見つかった。甲は,先行文献1も先行文献2も単独では,発明Aに対して新規性 及び進歩性否定の根拠にはなり得ないことは明らかであると考えたが,組み合わせた場合についての進歩性については不明であるので,部員乙に意見を聞いた。ア~エを比較して,乙の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
「先行文献2は,中間材をサポート材と別材料としたものであるのに対し,発明Aは,中間材をサポート材と同一材料とすることによって,中間材の吐出とサポート材の吐出切り替えが不要となり,しかもモデル材の造形後のサポート材及び中間材の溶剤による除去が容易という効果があります。先行文献1を考慮しても進歩性を有する可能性があります。」
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8 金属材料メーカーのX社の開発部から,金属加工装置,金属材料及び金属処理方法関連の発明が提案され,X社の知的財産部の部員甲が特許出願を検討している。問17~問19に答えなさい。 問17 ア~エを比較して,特許請求の範囲の記載に関する明確性要件を満たしている記載として,最も適切と考えられるものはどれか。
「金属板の表面に被覆金属を堆積させる被覆方法において,前記被覆金属を堆積させる際に前記金属板を回転させることにより,前記被覆金属を均一に供給する被覆方法。」
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11 ソフトウェア企業X社は,新たに開発したスケジュール管理用ソフトウェアAについて販売を開始したところ,特許管理会社Y社から,Y社が出願人である特許出願Pに係る発明の内容を記載した書面とともに,ソフトウェアAは特許出願Pの特許請求の範囲に記載の発明の技術的範囲に属するものであるとの警告書が届いた。この警告書についてX社のエンジニア甲とX社の知的財産部の部員乙が検討している。問24~問25に答えなさい。 問24 Y社からの警告書について,甲と乙が会話をしている。ア~エを比較して,乙の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
甲 「ソフトウェアAは,特許出願Pの発明の技術的範囲に属するといえそうですが,わが社としては特許後も含めてソフトウェアAの販売は継続したいので,何かいい方法はありませんか。」 乙 「Y社と特許出願Pについて仮通常実施権の許諾契約を結び,その契約期間内であれば,特許出願Pが特許されたとしても,再度通常実施権の許諾を必要とせず,通常実施権が許諾されたものとみなされます。」
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問29ア~ウを比較して,侵害訴訟等に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
甲は乙から,利息年5分,弁済期限は2019年11月末日の約束で5000万円借りている。2019年10月30日の時点で,乙は甲に対し,利息債権を放棄して,5000万円の返済を求めることができる。
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問30X社はY社から,日本国内で販売する製品AがY社の特許権Pを侵害するとして訴えられた。ア~エを比較して,最も適切と考えられるものはどれか。
当該訴訟の弁論準備手続として,専門委員が関与する技術説明会が行われた。専門委員が行う専門的知見に基づく説明は,鑑定人が述べる意見と異なり,証拠としては用いられない。
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問31X社はY社に対し,自社の保有する特許権Pに基づいて,Y社による製品Aの製造販売の差止め並びに損害賠償を請求する侵害訴訟を提起した。ア~エを比較して,最も適切と考えられるものはどれか。
第一審判決では,差止め及びX社の請求した損害賠償金額の6割を認める一部認容判決が下った。この場合,X社,Y社のいずれも控訴することができる。
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問32 精密機器メーカーX社の知的財産部の部員甲が上司乙に相談をしている。ア~エを比較して,乙の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
甲 「他社から特許権に関して裁判外紛争解決手続により問題を解決したいとの申入れがありましたが,代理人はどうしたらよいですか。」 乙 「裁判外紛争解決手続については,弁理士が代理できる場合とできない場合とがありますので注意が必要です。」
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16 次の会話は,日本の電機メーカーであるX社の知的財産部の部長甲と外国特許担当である部員乙が,米国特許商標庁に対する特許出願の出願手続について検討しているものである。問40~問45に答えなさい。 甲 「わが社では,年々,外国特許の重要性が高まっています。特に,米国特許はわが社の事業戦略において重要な意味を持っています。日本の国内出願に基づいて米国特許商標庁に特許出願をする際にはどのようなことに留意する必要があると考えられますか。」 乙 「はい,まず,明細書などの特許出願の記載が日本のプラクティスと異なる点がありますので,注意が必要だと思います。特に,日本出願のクレームを米国用にアレンジする必要があります。具体的には,①クレームの記載形式や,②クレームの従属形式が米国プラクティスに合っているかをチェックして,必要があれば修正します。」 甲 「③クレーム以外にも米国特許商標庁へ特許出願をする際に提出する出願書類には,日本のプラクティスと異なるものがあるので注意が必要ですね。特に,米国プラクティスでは,日本とは異なり④発明者の宣言書(Declaration)があるので,調べておいてください。」 乙 「わかりました。」 甲 「また,最近わが社では,AI技術を利用した製品開発が進んでおり,開発環境として米国カリフォルニア州のソフトウェア研究所と日本国内の製造開発部門がインターネット会議システムで打合せをしながら一緒に共同研究を行うことが増えています。⑤米国カリフォルニア州のソフトウェア研究所でなされた発明について特許出願をする場合には,特に留意しなければならない事項があるので,調べておいてください。」 乙 「わかりました。留意事項について調べておきます。実は,先日も研究開発部門からこのような状況においてAI技術チーム内で開発されたソフトウェア発明について特許出願する際に,誰を発明者としたらよいか相談を受けました。米国プラクティスにおける⑥米国特許出願の発明者の認定についても調べておきます。」 問40 ア~エを比較して,下線部①に関し,米国特許出願のクレームの記載形式について,最も不適切と考えられるものはどれか。
クレームをマーカッシュグループ(Markush Group)の選択的構成要件の形式で記載する際には,「the group comprising A, B, C and D」と記載しなければならない。
14
問41 ア~エを比較して,下線部②に関し,米国特許出願のクレームの従属形式について,最も不適切と考えられるものはどれか。
多項従属クレームを他の多項従属クレームで引用することができる。
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問42 ア~ウを比較して,下線部③に関し,米国特許商標庁へ特許出願をする際に提出する出願書について,最も適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
図面はクレームされた発明の特徴のすべてを示していなければならない。
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問43 ア~エを比較して,下線部④に関し,発明者の宣言書(Declaration)の提出について,最も適切と考えられるものはどれか。
仮出願(Provisional Application)をする場合には,発明者の宣言書(Declaration)を提出する必要がない。
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問44 ア~エを比較して,下線部⑤に関し,X社の米国カリフォルニア州のソフトウェア研究所でなされた発明Aについて特許出願をする場合について,最も不適切と考えられるものはどれか。
発明Aが,日本国籍を有する者がX社の米国カリフォルニア州のソフトウェア研究所に一時的に滞在して完成した発明である場合,X社は,発明Aについて最初に米国特許商標庁に特許出願する必要はない。
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問45 ア~エを比較して,下線部⑥に関し,米国特許出願の発明者の認定について,最も不適切と考えられるものはどれか。
米国特許出願時に発明者を誤って記載した場合には,特許出願後に訂正できないので,出願時に間違えないように注意する必要がある。
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問1X銀行の営業担当者甲は,取引先の中小企業Y社の保有する知的財産権の価値評価をマーケット・アプローチによって行うことを検討している。ア~エを比較して,甲の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。
マーケット・アプローチは,第三者間の取引事例を通じた価格を評価額とすることから,客観性が高いという性格を持つ一方で,特に知的財産権の場合は,類似する取引事例が存在しないことが多く,採用が困難なケースが少なくないため注意が必要である。
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5 自動車メーカーX社の開発者甲は,職務発明Aをした。X社の入社時において締結された職務発明の取扱に関する契約には「職務発明については,会社が特許を受ける権利を承継する。」という予約承継規定が設けられていた。X社の知的財産部の部員乙は,発明Aの特許を受ける権利の承継に対して甲の受ける,特許法第35条第4項に規定する「相当の金銭その他の経済上の利益」(以下,「相当の利益」という。)について検討している。問8~問10に答えなさい。 問8 この契約に設けられていた予約承継規定について,甲と乙が会話をしている。ア~エを比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。
甲 「発明AがY大学の丙教授との共同発明の場合は,どうなりますか。」 乙 「その場合は,発明Aの特許を受ける権利の共有者である丙教授の同意を得ることにより,甲の特許を受ける権利の持分がX社に帰属することとなります。」
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問9 乙は,発明Aについて甲の受ける相当の利益について,特許法第35条第5項に規定する「不合理」であるとは認められないようにしたいと考えている。ア~エを比較して,乙の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。
この「相当の利益」は,X社の利益に対する発明Aの貢献度や発明Aによる利益に対する甲の貢献度を考慮して相当の利益の内容を決定するとしてもよく,これらを考慮することなく相当の利益の内容を決定するとしてもよい。
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問10 発明Aについては,日本のみでなく,外国でも特許を取得するために,特許協力条約(PCT)に基づいて国際出願をする予定である。乙は,甲から発明Aについて外国の特許を受ける権利を承継する場合について検討している。ア~ウを比較して,乙の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。但し,X社の職務発明の取扱に関する契約には,外国における特許を受ける権利に関しては何ら規定が設けられていなかったものとする。(この問題には選択枝エはない)
甲が発明Aに係る外国の特許を受ける権利をX社に譲渡した場合において,当該外国の特許を受ける権利の譲渡に伴う対価請求については,わが国特許法の規定が類推適用されることがある。
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問28 ア~エを比較して,特許庁に納付する料金についての記載として,最も適切と考えられるものはどれか。
特許料及び審査請求料について,特許法上の減免対象とはならない場合でも,特許料及び審査請求料の減免を受けられる場合がある。
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問29 電機メーカーX社の研究開発部の部長甲は,X社の発明Aの取扱について,知的財産部の部員乙と検討している。ア~エを比較して,甲と乙の会話として,最も不適切と考えられるものはどれか。
甲 「発明Aは是非権利化が必要な発明ですが,特許出願を弁理士に依頼し,その特許出願が特許庁において拒絶査定になった場合どうなりますか。」 乙 「拒絶査定に対する審判は弁理士が代理できますが,拒絶審決となった場合は,その拒絶審決に対する取消訴訟を裁判所に提起するため,改めて弁護士に代理を依頼する必要があります。」
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問30 家具メーカーX社の知的財産部の部員甲と乙が税関での認定手続における見本検査制度に関して話している。ア~ウを比較して,甲と乙の会話として,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
甲 「見本検査が認められるためには,どのような要件を満たす必要がありますか。」 乙 「認定手続がとられた貨物である疑義貨物に対して,権利者自らが所定の申請を行いさえすれば,いかなる場合も見本検査が認められます。」
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問31 バイオ企業X社の研究者甲は,新たなバイオ関連の技術に関する発明Aをした。X社の知的財産部の部長乙は,発明Aを活用した資金調達を検討している。ア~エを比較して,乙の考えとして,最も不適切と考えられるものはどれか。
発明Aについて特許出願をして仮専用実施権を設定することにより,その仮専用実施権について質権の目的とすることができる。
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15 大阪に本社を有する医療機器メーカーX社は,自らが保有する医療機器に係る特許権Pに関して,札幌に本社を有する同業他社Y社をライセンシーとするライセンス契約を締結した。なお,Y社はX社よりも大企業であるため,契約交渉の結果,当該ライセンス契約においては,ライセンス料の支払は銀行振込とし,専属管轄は札幌地方裁判所とすることが定められることとなった。問32~問33に答えなさい。 問32 X社は,仙台に本社のある医療機器メーカーW社が特許権Pを侵害する製品を製造している,との連絡をY社から受けた。そこで,X社は特許権侵害行為の差止め及びW社の製造した製品の廃棄を請求する訴訟を東京地方裁判所に提起した。ア~エを比較して,裁判手続の移送に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
特許権侵害に関する訴訟は専属管轄である東京地方裁判所から移送されることはない。
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問33 Y社がライセンス料を支払わないため,X社はライセンス料の支払を求めて訴訟を提起することとした。ア~エを比較して,管轄裁判所に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
ライセンス契約上定められているライセンス料支払の時期が争点となる場合,東京地方裁判所にのみ訴訟を提起することができる。
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17 日本企業であるX社は,日本で特許出願Aを出願した後,特許出願Aに基づいて優先権を主張して,日本国特許庁に国際出願Bを出願しようとしている。問37~問39に答えなさい。 問37 X社が国際出願Bの出願書類を作成する際に留意すべき事項に関し,X社の知的財産部の部員甲と乙が会話をしている。ア~エを比較して,甲と乙の会話として,最も適切と考えられるものはどれか。
甲 「わが社は日本籍の法人ですので,国際調査機関は日本国特許庁ということになるのでしょうか。」 乙 「日本籍の法人であっても日本国特許庁以外の特許庁を国際調査機関として選択できる場合もあります。実際,そのようにしている会社もあるようです。」
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問38 X社は,全締約国を指定国とした国際出願Bを出願した後,国際出願Bを各国へ移行することについて検討している。なお,国際出願Bでは特許出願Aに対して試験データを追加しているが,X社としては両出願の内容に本質的な違いはないと考えている。ア~ウを比較して,甲と乙の会話として,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
甲 「国際出願Bは特許出願Aと本質的には変わらないので,費用負担のことを考えると,国際出願Bの日本移行を見合わせて特許出願Aを権利化すれば十分ではないでしょうか。」 乙 「確かにそうですね。それでは国際出願Bは外国のみ移行手続を行い,日本への移行手続は見合わせましょう。何ら手続をしなくても,特許出願Aへの影響は特にありません。」
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問39 X社は,日本語で出願した国際出願Bにより欧州の複数国での特許権の取得を目指すことにした。ア~エを比較して,欧州での特許権の取得手続として,最も不適切と考えられるものはどれか。
X社は,欧州特許庁(EPO)への移行にあたり,明細書については英語,フランス語,ドイツ語のいずれかの翻訳文を提出する必要があり,請求の範囲については英語,フランス語,ドイツ語の3カ国語の翻訳文を提出する必要がある。
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18 次の会話は,日本の化学品メーカーX社の知的財産部の部長甲が,新任の外国特許事務担当である部員乙に,米国特許商標庁に対してすでに行った特許出願Aについての登録手続について指示しているものである。問40~問45に答えなさい。 甲 「特許出願Aについて米国特許商標庁から許可通知(Notice of allowance)が発行されました。許可通知を受領した際には,米国特許実務においてどのようなことに留意する必要があるかわかりますか。」 乙 「はい。まず,許可通知(Notice of allowance)に記載されている内容が適正であるかチェックする必要があります。具体的には,特許存続期間の調整期間や登録料などが適正であるかをチェックします。」 甲 「そうですね。①特許存続期間の調整は,出願手続中に米国特許商標庁の対応に遅延があった場合にその遅延日数分,特許存続期間が延長されるというものですね。米国独自の規定ですので詳細を調べておいてください。また,②登録料及び維持年金の納付についても日本のプラクティスと異なる点がありますので調べておいてください。」 乙 「わかりました。またその他には,③特許発行日までに情報開示陳述書(IDS:Information Disclosure Statement)の提出義務が課されていますので,特許出願Aに関して新たに特許性に関して重要な(material)文献を発見した場合には米国特許商標庁に 秘匿することなくIDSを提出する必要があります。」 甲 「そうですね。それでは,特許発行日以降に特許出願Aに関して新たに特許性に関して重要な(material)文献を発見した場合には情報開示陳述書(IDS:InformationDisclosure Statement)の提出義務はないのですが,どうしたらよいと思いますか。」 乙 「その場合,④米国特許商標庁に対して査定系再審査(Ex parte reexamination)を請求することを検討する必要があります。」 甲 「そうですね。また,⑤特許後には,米国特許商標庁に対して明細書等を訂正するための手続が複数ありますので,どのような場合にどの手続を使えばよいか調べておいてください。」 乙 「わかりました。」 問40 ア~エを比較して,下線①について,特許存続期間の調整に関して米国特許商標庁の対応の遅延とされる日数について,最も不適切と考えられるものはどれか。
現実の出願日から特許発行までの期間が2年を超えて遅延した場合,2年を超えた日数
33
問41 ア~エを比較して,下線②について,登録料及び維持年金の納付について,最も不適切と考えられるものはどれか。
維持年金の3回目の納付期限は,特許の付与の日から13年6カ月目である。
34
問42 ア~ウを比較して,下線③について,許可通知発行後から特許発行日までの情報開示陳述書(IDS:Information Disclosure Statement)の提出に関して,最も適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
料金納付を行い,かつ,IDSに含まれる情報が,対応する外国出願について外国の特許庁から発行された通知において初めて引用されたものであり,その通知が,当該IDS提出の3カ月より前に発行されたものでないことを陳述する陳述書を提出することにより,IDSは審査官に考慮される。
35
問43 ア~エを比較して,下線④について,査定系再審査(Ex parte reexamination)に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
査定系再審査は,特許又は刊行物に基づく新規性又は非自明性以外の特許要件の欠如を理由に請求することはできない。
36
問44 ア~ウを比較して,下線⑤について,特許後に米国特許商標庁に対して明細書等を訂正するための手続に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
クレームを訂正する場合には米国特許商標庁に対して再発行出願を行うが,クレームの技的範囲を拡張することはできない。
37
問45 日本の化学品メーカーX社の知的財産部において,米国の化学品メーカーであるY社の洗剤に関する米国特許Bに対するレビューを米国特許商標庁に請求することを検討している。ア~エを比較して,今後の対応等に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
審判官合議体(Patent Trial and Appeal Board)によるレビューの最終的な決定の内容に対して不服を申し立てることはできない。
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11 大手電機メーカーⅩ社は,事業撤退することとなった半導体事業分野の特許権について,半導体メーカーY社に譲渡するために,Y社と特許権譲渡契約を締結した。問22~問23に答えなさい。 問22 特許権譲渡契約の有効性について,X社の知的財産部の部員甲が検討している。ア~エを比較して,甲の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。
特許権の譲渡については,特許庁に登録することにより,効力が発生する。
39
問23 Y社の知的財産部の部員乙は,当該特許権の譲渡について,特許庁への登録をすることを検討している。ア~エを比較して,乙の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。
登録の申請書に添付された譲渡契約書に,X社,Y社の両者の押印がされており,単独申請についての両者の意思表示が確認できるような場合,Y社は単独申請が可能である。
40
3 次の文章は,自社の特許を群として戦略的に管理する必要性について2007年4月に経済産業省,特許庁から公表された「戦略的な知的財産管理に向けて-技術経営力を高めるために-<知財戦略事例集>」から抜粋したものである(なお,出題のため一部変更している)。問4に答えなさい。 わが国の企業は多数の特許を取得しているが,その数の多さのために各社が特許を適切に管理しきれなくなっているという現実的な問題も指摘される。そこで,「1」 管理をすることで,「2」管理を行うことが可能となる。特に,技術の複合化が進んでいる分野においては,1つの商品を数百にも及ぶ特許権で保護することもあり,そのような商品を扱う企業においては,研究開発成果である発明を,個々に単体でとらえるのではなく,商品や技術テーマ等との関係で「群」としてとらえていくことの必要性に迫られている。そして,「3」管理をすることは,「群」としての実態をとらえるにあたってより有効である。 問4 ア~エを比較して,空欄 1 ~ 3 に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。
1 =複数の特許を,ある程度の塊の特許群として 2 =特許権を保有する目的に合致した 3 =自社の特許権だけでなく他社の特許権も含めて
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8 自動車部品メーカーX社は,新たな追突防止装置について特許出願をすると共に,製造販売するにあたって,X社の知的財産部で,先行技術を調査することとした。問16~問17に答えなさい。 問16 ア~エを比較して,X社の知的財産部の部員の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
「新たな追突防止装置が他社の特許権に抵触する可能性がある場合,審査経過情報も併せて確認すべきです。」
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問17 X社の知的財産部の部員は,新規性・進歩性の有無を判断するため,特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調査をした。ア~エを比較して,部員の調査に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
キーワードとともに,FI(ファイル・インデックス)やFタームを用いた検索を行った。
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問10 甲がY社の特許出願を詳細に確認したところ,次の分類が付与された公開特許公報を発見した。ア~エを比較して,分類記号に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。 --------------------------------------------------------- Publication Classification (51) Int.Cl. B32B 27/08 (2006.01) (52) U.S.Cl. CPC B32B 27/08 (2013.01) ---------------------------------------------------------
CPCは日本,米国,欧州,韓国,中国の5極特許庁が協力して作成した特許分類であり,日本の特許公報にも掲載されている。
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問13 自動車メーカーX社の技術者甲は,自動車の溶接技術の検討を進めていたところ,溶接装置の発明aを創作した。甲は,X社の知的財産部の部員乙に対し,発明aについて届出を行った。乙は,弁理士に発明aに係る特許出願の準備を依頼し,間もなく出願人をX社として特許出願Aをすることになっている。また,甲は,溶接装置メーカーY社の技術者丙に連絡をとり,秘密保持契約を結んだ上で,溶接装置について協議を行い,溶接装置の発明bを共同で創作した。発明bは,発明aに改良点c(発明特定事項c)を追加したものである。X社とY社とは,発明bに係る特許出願Bを共同出願することについて合意した。以上のような前提において,乙は,特許出 願A,Bの間における拡大先願(特許法第29条の2)及び先願(同法第39条)の適用に関して,甲に説明している。ア~エを比較して,乙の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
「特許出願Aと特許出願Bとを同日にした場合,特許出願A,Bは,互いを根拠として,特許法第29条の2に基づいて拒絶されることはありません。しかし,特許法第39条に基づいて拒絶される可能性はあります。」
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15 X社は,特許協力条約(PCT)による,日本国特許庁を受理官庁とする国際出願Aの日本国の指定について検討している。問43~問44に答えなさい 問43 ア~エを比較して,国際出願Aと同時に行う日本国の指定の除外の手続に関する記載として,最も不適切と考えられるものはどれか。
国際出願Aの優先権主張の基礎となった国内出願が,いわゆるみなし取下げにならないようにするために,国内優先権の主張を取り下げることはできない。
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問44 ア~エを比較して,国際出願Aの国内移行手続に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
国際出願Aが外国語特許出願であり,国内書面提出期間内に国際出願日の明細書等の翻訳文を提出することができなかった場合,国内書面提出期間の経過後であっても当該翻訳文を日本国の特許庁長官に提出することができる場合がある。
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14 米国の国民甲は,米国に正規に出願した特許出願Aに基づいてパリ条約による優先権を主張して,日本に特許出願Bをすることを検討している。問40~問42に答えなさい。 問40 ア~エを比較して,特許出願と優先権の関係に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
特許出願Bを分割して特許出願B1をした場合には,特許出願B1の分割時に特許出願Bの出願の際に提出された優先権証明書をあらためて提出しなくても,特許出願Bの出願と同時に当該優先権証明書は日本国の特許庁長官に提出されたものとみなされる。
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問41 特許出願Aの特許請求の範囲には発明Aが記載され,特許出願Bの特許請求の範囲には発明Bが記載されている。ア~ウを比較して,優先権の効果について,最も不適切と考えられるものはどれか。なお,発明Bが,複数の構成部分から成る場合に,各構成部分は,一体不可分のものとして結合するものではなく,独立しても発明を構成し得るものとする。(この問題には選択枝エはない)
特許出願Aの出願書類の全体に記載されていなかった実施形態を,特許出願Bに追加したことにより優先権の効果が認められなかった場合に,補正によって当該実施形態を削除しても,優先権の効果は認められない。
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問42 ア~ウを比較して,特許出願Bに係る優先権に関する手続及び審査について,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
特許出願Bについて特許出願A以外の他の特許出願に基づいて複数のパリ条約による優先権の主張がされている場合,特許出願Bの出願後に,他の特許出願に基づくパリ条約による優先権の主張を追加する補正は認められないが,複数ある優先権の主張を削除する補正は認められる。
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問24 X社は,Y社との間で,X社が保有する特許PについてY社に対して実施許諾する旨の契約(以下「本件契約」という)を締結していた。W社が特許Pについて特許無効審判を請求し,無効審決が確定した。これに関し,X社の知的財産部の部員甲と部員乙が会話をしている。ア~エを比較して,空欄 1 ~ 4 に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。 甲 「わが社は,特許Pの実施許諾の対価としてわが社がこれまでにY社から支払を受けた実施料を,Y社に返還しなければならないでしょうか。」 乙 「契約に特許Pが無効になった場合の既払金不返還合意条項があれば,返還の必要がないことは明白ですが,本件契約にはそのような規定がないようですね。特許Pの無効理由の不存在についてわが社が 【1】するといった規定もないようです。」 甲 「Y社が,特許Pの無効理由について錯誤無効を主張してきたらどうでしょう。仮に錯誤無効の主張が認められれば,本件契約は遡及的に無効になるので,Y社は支払済みの実施料について【2】ができることになりますよね。」 乙 「錯誤無効の要件である【3】の錯誤があったといえるかどうかが問題となりますね。通常,実施許諾契約では特許の有効性に関する誤信は,【4】の錯誤に過ぎないことが多く,【4】が意思表示の内容として示されていたといえたとしても,特許には何らかの無効理由が存在する一般的な可能性があり,特許が無効とされる抽象的な可能性があったとしても実施許諾を受けるのが通常であるため,【3】の錯誤とはいえない場合が多いでしょう。ですから,本件契約を錯誤無効とするのは難しいと思います。」
【1】=保証 【2】=不当利得返還請求 【3】=要素 【4】=動機
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問22 X社の保有する特許権を侵害する物品が海外で製造され,日本国内に輸入され,多数の小売店で販売されているため,X社の知的財産部の部員甲は,税関に対して輸入差止めの申立てを検討している。ア~エを比較して,甲の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。
「税関で知的財産侵害の疑いのある物品を発見した場合には,認定手続が開始され,X社は権利者として当該物品を点検できますが,その範囲が限定されており,分解・分析等をするなど経済的価値を減じるような点検ができる場合はありません。」
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問36 知的財産権の金銭的な価値評価法としてインカム・アプローチがあり,このアプローチで用いられることが多いのがDCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)である。このDCF法を用いて,所定の評価期間における知的財産権の金銭的価値Vを評価する場合の概念を式で表すと,次のようになる。 V=各年の(C×R×D)の総和 ここで,各記号の意味は次の通りである。 C:各年における収益・キャッシュフロー R:知的財産権の寄与率 D:現在価値への割引 ア~エを比較して,t年後の割引率をr%とした場合の現在価値への割引Dとして,最も適切 と考えられるものはどれか。
D=1/(1+r/100)t
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問38 ア~エを比較して,発明の特別な技術的特徴を変更する補正(以下「シフト補正」という)に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
拒絶理由通知を受ける前に行う自発補正においても,シフト補正の要件は判断される。
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問39 ア~エを比較して,外国語書面出願の出願書類及び翻訳文に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
要約書は,権利関係に影響を与えるものではないため,出願日から1年2カ月以内に外国語書面の要約書の翻訳文が提出されなくとも出願のみなし取下げとはされないが,補正命令及び手続却下の対象となる。
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問40 ア~エを比較して,パリ条約に基づく優先権に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
パリ条約に基づく優先権は,最初の出願であったとしても,その出願後に取下げ等された場合には発生しない。
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問41 ア~エを比較して,同盟国X国でされた特許出願Aに基づいて,他の同盟国にパリ条約上の優先権を主張して特許出願Bをする場合に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
特許出願Aと特許出願Bとの間で,出願人が同一でなくとも,パリ条約に基づく優先権の主張が認められる場合がある。
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問42 ア~エを比較して,パリ条約に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
特許の対象である物の販売が国内法令上の制限を受けることを理由として,特許を拒絶し又は無効とすることができる。
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5 問10~問11に答えなさい。 問10 家電メーカーX社は,デザイン会社Y社との間で新製品のデザイン作成を内容とする業務委託契約を締結した。本契約は,完成したデザインの提供を目的とすることから,請負契約として締結された。この契約について,X社の法務部の部員甲と部員乙とが会話をしている。ア~ウを比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
甲 「もし今回の契約で『Y社はデザインに関する担保責任を負わない』と規定されていれば,いかなる場合もY社は担保責任を負わないことになるのですか。」 乙 「いかなる場合も担保責任を負うことはありません。契約自由の原則から,当事者の合意内容は常に尊重されるべきだからです。」
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問11 家電メーカーX社は,Y大学との間で新技術に関する研究開発を内容とする業務委託契約を締結した。本契約は,当該新技術の実現が客観的に容易でないことから,委任(準委任)契約として締結された。この契約について,X社の法務部の部員甲と部員乙とが会話をしている。ア~ウを比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
甲 「善管注意義務違反に該当しなくても,客観的に研究開発の成功が不可能であることが判明した場合,わが社は今回の契約を解除することはできますか。」 乙 「解除することはできません。請負契約と異なり,委任契約は仕事の完成を目的とするものではありませんから,研究開発が成功しないことが判明しても,あらかじめその旨の特約が設けられていない限り契約解除することはできません。」
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13 証券会社X社は,初めて米国に特許出願Aをする予定である。X社の担当者甲は,弁理士乙に問合せをしている。問27~問29に答えなさい。 甲 「米国の特許法は,新たな判例を考慮して法改正がされているように思いますが,これは①日本と異なる法体系だからでしょうか。この点について,まず,ご説明をお願いします。」 乙 「わかりました。」 甲 「また,わが社の発明(証券取引に関するシステム)との関連で②米国の特許法で定める保護対象についてもご教示ください。」 乙 「わかりました。」 甲 「わが社が今般,米国で出願する予定の発明は,金融系のビジネス方法に関するものです。この種の特許出願について,③2010年のビルスキー事件の最高裁判決が存在しているようですが,同判決についてご教示ください。」 乙 「わかりました。それでは以下順を追ってご説明します。」 問27 ア~エを比較して,下線①について,日本の法体系に関する乙の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
「日本の法体系は,制定法を主たる法源とする『大陸法(Continental Law)』を採用して います。」
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問28 ア~エを比較して,下線②に関する乙の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。
「米国特許法では,発明の定義が具体的に規定されています。」
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問29 ア~エを比較して,下線③に関する乙の発言として,ビルスキー事件の最高裁判決に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
「ビジネス方法の特許性を肯定した上で,『機械・変換テスト(machine or transformation test)』を唯一の判断基準として採用することを否定しました。」