問題一覧
1
一元的内在制約説では公共の福祉をどのように解するか
人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理
2
私的自治の原則とは?
私人相互の関係は当事者の意思に委ねるべきとする考え
3
知る権利とは?
個人が自由に情報を受け取るとともに、公権力に対して情報の公開を請求する権利
4
信教の自由の内容3つ
信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由
5
外国人の政治的活動の自由について、マクリーン事件における最高裁の判断は?
国の政治的意思決定または実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみ、認めることが相当でないものを除いて保障されるにとどまる
6
基本的人権とは?
人が人であること自体から当然に認められる権利であり、人間が、自律的な個人として自由と生存を維持し、個人としての尊厳を確保するために認められる権利
7
憲法の私人間適用について、間接適用説の考え方は?
私人間の人権侵害行為を排除するに十分な立法措置がない場合に、私法の一般条項を憲法の趣旨を取り込んで解釈・適用することで間接的に適用する。
8
法の下の平等における平等とは?
各人の性別、能力、年齢、財産、職業または人と人との特別な関係など種々の事実的・実質的差異を前提として、法の与える特権の面でも、法の課する義務の面でも、同一の事情と条件の下では均等に取り扱うという相対的平等
9
合理的差別とは?
法上取り扱いに差異が設けられる事項と事実的・実質的差異との関係が社会通念からみて合理的である限り、その取り扱い上の違いは平等原則に反しない。
10
積極目的規制とは?
福祉国家の理念に基づいて、経済の調和のとれた発展を確保し、特に社会的・経済的弱者を保護するためになされる規制
11
消極目的規制とは?
主として国民の生命および健康に対する危険を防止もしくは除去ないし緩和するために課せられる規制
12
政教分離原則の趣旨は?
国家が、ある宗教を特に優遇することは、それ以外の宗教の自由を抑える結果になるとともに、国家がすべての宗教を等しく優遇することも、それによって無宗教の自由を抑える結果になる点で、宗教の自由に反すると考えられることから、国家と宗教を分離することによって信教の自由の保障を完全にしようとする点
13
政教分離の原則の法的性格は?
制度的保障説 個人の主観的権利ではなく、信教の自由の保障を強化するための手段として、国家と宗教との分離を制度として保障
14
どのような時に、政教分離の原則に反するといえるか?
問題となる国家行為の目的およびその行為から生ずる効果に照らし、そのかかわりあいが社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合に反するとする。
15
目的効果基準とは?
①行為の目的が宗教的意義を持つか ②その効果が特定の宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉となるか
16
知る権利の法的性格3つは?
①国民が情報を受け取ることを国家から妨げられない権利(自由権的側面、国家からの自由) ②国民が国政を判断するために不可欠な権利(参政権的側面、国家への自由) ③国家に対して積極的に情報の公開を請求する権利(国務請求権的側面、国家による自由)
17
国政調査権はなぜ必要か?
各議院がその職権を有効かつ適切に行使するために、国政に関する正確な情報を根拠とすることが必要であるため。 また、国民に国政に関する情報を提供し、国民の知る権利に応えることにより、民主主義の実現に資するため。
18
法適用の平等とは?
法を執行し、適用する行政権・司法権が国民を差別してはならない
19
表現の自由とは?
人の内心における精神作用を、方法の如何を問わず、外部に公表する精神的活動の自由
20
表現の自由を支える社会的価値は?
①個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値(自己実現の価値) ②言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという民主政に資する社会的な価値(自己統治の価値)
21
思想の自由市場論とは?
各人が自己の意見を自由に表明し、競争することによって真理に到達できること
22
二重の基準論とは?
表現の自由を中心とする精神的自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法よりも特に厳格な基準によって審査されなければならないという理論
23
事前抑制が禁止される理由3つ
①表現が市場に出る前に公権力が抑制する点で、思想の自由市場論に反する ②表現行為の全てが、まず公権力に判断されることとなり、事後抑制に比べて、その規制範囲が広汎 ③一般に事前抑制は、行政の広汎な裁量権の下に簡易手続で行われ、手続上の保障や実際の抑止的効果の点で、事後抑制より問題が多い
24
税関審査の判例における「検閲」とは?
行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき、網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるもの
25
事前抑制は例外的にどのような時に認められるか?
その内容が真実ではなく、またそれがもっぱら公益をはかる目的ではないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがある時
26
明確性の原則とは?
表現の自由に対して、曖昧で不明確な法律によって規制を加えると、萎縮的効果が生ずるので、法文上不明確な法律は原則として無効とする
27
明白かつ現在の危険の基準における要件は?
①ある表現行為が近い将来、実質的害悪を引き起こす蓋然性が明白 ②実質的害悪がきわめて重大で、発生が時間的に切迫している ③当該規制手段が害悪を避けるために必要不可欠
28
LRAの基準とは?
表現の自由を規制する法令につき、立法目的は正当であっても、規制手段について、立法目的を達成するために「より制限的でない他の選びうる手段」を利用することが可能と判断される場合に違憲とする。
29
厳格な合理性の基準とは?
消極目的規制について、規制の必要性・合理性及び同じ目的を達成できる、よりゆるやかな規制手段の有無を裁判所が審査する
30
明白の原則とは?
積極目的規制について、当該規制措置が著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲とする
31
財産権とは?
所有権や債権など、一切の財産的価値を有する権利
32
財産権の制約において、「特別の犠牲」といえるかどうかの判断基準は?
①形式的要件:侵害行為の対象が広く一般人か、特定の個人や集団か ②実質的要件:侵害行為が財産権に内在する社会的制約として受任すべき限度内か、それを超えて財産権の本質的内容を犯すほど強度なものか
33
財産権の保障において、完全補償をすべき理由は?
一部の者の不平等な負担は、国民全体の負担に転嫁されるべきであるから。
34
財産権における全額補償と相当補償とは?
全額補償:財産の客観的な市場価値を全額補償すべき 相当補償:財産について合理的に算出された相当な額であれば市場価格を下回っても良い
35
裁判を受ける権利とは?
政治権力から独立の公平な司法機関に対して、全ての個人が平等に権利・自由の救済を求め、かつ、そういう公平な裁判所以外の機関から裁判されることのない権利
36
裁判を受ける権利の具体的な内容(性格)2つ
①民事・行政事件において、各人が自己の権利利益が不法に侵害されていると考える時に、裁判所に訴訟を提起し、裁判を求める権利を有する受益権的性格 ②刑事事件において、被告人が公正な裁判によらずに刑罰を科せられない自由権的性格
37
32条における「裁判」とはどんな作用か?
当事者間に法令を解釈適用することによって解決しうるべき権利義務に関する具体的紛争が存在し、それが訴えられた場合にその権利義務の存在を確定する作用
38
社会権の意義
資本主義の高度化に伴い生じた失業・貧困・労働条件の悪化等の弊害から社会的・経済的弱者を守るために保障されるに至った人権
39
自由権の意義
国家が、個人の領域に権力的に介入することを排除して、個人の自由な意思決定と活動を保障する人権
40
自由権と社会権の共通点4つ
固有性 不可侵性 普遍性 分類の相対性
41
自由権と社会権の相違点3つ
本質的な相違(自由国家主義vs福祉国家主義) 具体的権利性の有無 違憲審査基準
42
「思想および良心」の範囲は?
人の内面的精神活動のうち、個人の人格形成の核心をなすもの
43
19条思想及び良心の自由を「侵してはならない」の意味4つ
①内心の自由の絶対性:どんな国家観・世界観・人生観を持とうとも、内心の領域にとどまる限りは絶対的に保障 ②沈黙の自由:いかなる思想を抱いているかについて、国家権力が告白を強制することは許されない ③不利益取扱の禁止:特定の思想を理由として、不利益な取扱をすることは禁止 ④内心に反する外部的行為を強制されない自由
44
謝罪広告の強制について判例によると、どの程度のものなら「思想及び良心」にあたらないといえるか。
単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度
45
「条例」とは?
地方公共団体がその自治権に基づいて制定する自主立法
46
法律で定めなければならない事項について、条例による規制が許される理由は?
条例は、住民の代表機関である議会の議決によって成立する民主的立法であり、実質的には法律に準ずるものであるから。
47
条例で罰則を定めることができる場合は?
法律の委任の内容が相当程度に具体的で、限定されている場合
48
条例が法律に違反するかどうかの判断基準は?
両者の対象事項と規定文言を比較するのみでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較し、両者の間に矛盾・抵触があるか
49
教育を受ける権利の社会権としての側面は?
国家に対する国民個人の教育機会の整備に向けた請求権
50
教育を受ける権利の自由権としての側面は?
子供が国家からの制約を受けずに学習し、人間的に発達・成長していく自由の保障
51
子供の学習権とは?
自ら学習することのできない子どもが、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求すること
52
教育を受ける権利とは?
国家に対し、合理的な教育制度と施設を通じて適切な教育の場を提供することを要求する権利
53
子供の教育内容を決定する権能の帰属主体について、折衷説の考え方は?
教育の本質からして親や教師に一定の自由が認められるのと同時に、国の側も一定の範囲で教育内容について決定する権能を有する
54
子どもへの教育について、完全な教授の自由が認められない理由2つ
①大学教育とは異なり、子どもには教授内容を批判する能力がなく、教師が強い影響力、支配力を有すること ②子供側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等の観点から、全国的に一定の水準を確保すべきであること
55
職業とは?
自己の生計を維持するためにする継続的活動
56
職業選択の自由の保障の意義
社会秩序の形成・維持にとって有用で、個人の自己実現を達成するために不可欠で重要
57
三権分立とはどのような制度?
国家の諸作用を性質に応じて立法・行政・司法のように区別し、それを異なる機関に担当させるよう分離し、相互に抑制と均衡を保たせる制度
58
三権分立の目的は?
国家権力が単一の国家機関に集中すると、権力が濫用され、国民の権利・自由が侵されるおそれがあることから、別個独立の機関に国家権力を分担させ、その相互均衡の下に国家権力を行使させることで、国民の権利の自由を守ること
59
議院内閣制の特徴は?
立法と行政間で相互の協力関係を重視して、緩やかな分離を行うこと
60
司法権とは?
具体的な争訟に法を適用して宣言することによってこれを裁定する国家作用
61
具体的な争訟(法律上の争訟)とは?
当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争で、法令の適用により終局的に解決できるもの
62
公開が要求される裁判とは?
性質上純然たる訴訟事件に限られ、終局的に事実を確定し、当事者の主張する権利義務の存否を確定する裁判
63
生存権の趣旨は?
福祉国家の理念に基づき、特に社会的・経済的弱者を保護し、実質的平等を実現する
64
生存権の法的性質は?
抽象的権利説:立法その他の措置を要求する権利を規定したものであり、国に法的義務を課しているが、憲法上具体的権利として認められている権利ではない
65
生存権の違憲審査の判断枠組みは?
具体的にどのような立法措置を講ずるかは立法府の広い裁量に委ねられているので、それが著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用があった場合を除き、裁判所が審査判断するのに適さない