問題一覧
1
手は〈あしげなる〉を紛らはし、されらみて書いたる様、品なし。
いかにも見苦しい様子だ
2
かかればぞかしといと心やましくて、われもほろほろとこぼし給ふぞ、〈いろめかしき〉御心なるや。
色好みらしい
3
なぞや、〈心づから〉今も昔もすずろなることにて身をはふらかすらむ、
自分の心から
4
あなたこなたに住む人の子の、四つ五つなるは〈あやにくだち〉て、物取り散らしそこなふを、
憎たらしい振る舞いをする
5
〈野分だち〉てにはかに肌寒き夕暮れのほど、常よりもおほし出づること多くて、
野分のような風が吹く
6
なほざりのすさびにても、〈懸想だち〉たることはいとまばゆく、
恋心が表に現れる
7
さあるにより、かたき世とは〈定めかね〉たるぞや。
決めかねる
8
〈恋ひそめ〉し心をのみぞうらみつる人のつらさを我になしつつ
恋しく思い始める
9
何の心ばせ〈ありげ〉もなく、さうどきほこりたりしよ、
ありそうな様子
10
〈思ふどち〉春の山辺にうちむれてそことも言はぬ旅寝してが
気の合った者同士
11
おぼえいとやむごとなく、〈上衆めかしけれ〉ど、わりなくまつはさせ給ふあまりに、
上流人らしく振る舞う
12
〈過ぎがてに〉やすらひ給ふ、をりしもほととぎす鳴きて渡る。
通り過ぎることができなくて
13
中の宮をなむ、いかで〈人めかしく〉も扱ひなしたてまつらむ、
人並みらしい
14
〈女どち〉は、もの恐ろしく思しぬべかりつる夜の様なれば、
女性同士
15
〈御後見だち〉て仕うまつる右大弁の子のやうに思はせて率てたてまつるに、
御後見の立場
16
〈出でがてに〉、御手をとらへてやすらひ給へる、いみじうなつかし。
立ち去りかねて
17
らうたげにおほどかなりとは見えながら、〈色めき〉たる方は添ひたる人ぞかし、
好色めく
18
殿の御心おきてを見るに、〈見そめ〉たまひてん人を、御心とは忘れたまふまじきにこそ、いと頼もしけれ。
初めて愛情を交わす
19
今年より春〈知りそむる〉桜花散るといふことはならはざらなむ
知り始める
20
〈紫だち〉たる雲の細くたなびきたる。
紫がかる
21
「いかに聞こえむ」など〈言ひしろふ〉べかめれど、めざましと思ひて随身は参りぬ。
言いあう
22
秋の夜のつま〈恋ひかぬる〉鹿の音は遠山にこそ聞くべかりけれ
恋しさに堪えられない
23
〈池めい〉てくぼまり、水つける所あり。
池のようになる
24
「殿上に兵部の承といふ蔵人、呼べ呼べ。」と、恥も忘れて〈口づから〉いひたれば、
自身の口から
25
あまたの中にうち出でて、見ることのやうに〈語りなせ〉ば、皆同じく笑ひののしる、いとらうがはし。
ことさらそれらしく話をする
26
煤けたる明り障子の破ればかりを、禅尼〈手づから〉小刀して切りまはしつつ張られければ、
自分の手で
27
〈男どち〉は、心やりにやあらん、漢詩などいふべし。
男性同士
28
里にまかでたるに、殿上人などの来るをも、やすからずぞ人々は〈言ひなす〉なる。
ことさら言いたてる
29
いと〈にくさげなる〉むすめども持たりともこそ見侍れ。
いかにも醜悪だ
30
「さもたゆみなき御忍び歩きかな」と〈つきしろひ〉つつ、そら寝をぞしあへる。
つつきあう
31
雲の上も〈暮らしかね〉ける春の日を所がらともながめつるかな
日を過ごしづらく思う