問題一覧
1
感覚統合の視点に立ったアプローチとは何か
行動などで把握される現象をその原因・背景 に遡さかのぼって考え,脳の働きとの関連性 などを踏まえて理解し,アプローチ方法を立 てていくこと。
2
感覚統合機能評価の種類としては何があげられるか。また、評価を行ううえで重要なことは何か
SCSIT,SCPNT,J-MAP,JSI-R,JPAN,発 達質問紙,行動観察。どの検査においても行 動観察を欠かさないこと。
3
感覚防衛に対するアプローチのポイントは何か
記憶の書き換えを目指すこと,目的・見通し を設定する,自分から関わる,逃げ道を用意 する,因果関係を明確にする,固有覚による 抑制作用を活用する
4
行為機能とは何か。3つのステップとは何か
不慣れな行為を行うときに働く機能。人が物 理的環境と相互に作用しあう際にみられるも のではあるが,そこには目に見える身体的行 動以上のものが含まれる。観念化,順序立 て,遂行
5
治療的介入を行う際に大切にすべきポイントとは何か
Therapy should be FUN。遊びと治療のバラン ス。Sensory needs。リスクマネジメント。遊 具の使い方。感覚の提供
6
感覚統合理論における適応反応とは何か
人の外部の環境あるいは身体の内部の環境か ら感覚を通じて情報を受け取って,それに応え る形で起こる反応や行動のこと
7
感覚統合理論における行動観察で重要な点は何か
評価者も環境の一部で子どもの行動に影響を与えるため,作業療法士がまったく関与しない状況で子どもが環境とどのように関係をもつか観察する。その後,作業療法士が環境を変化させて,子どもの行動がどのように変化するか観察する。
8
行為機能の評価における重要なポイントは何
1 回目にどのような行動をとるかが重要になる
9
感覚調整障害において、生活への影響としてどんなことが考えられるか
子ども本人の生活上の困難さとその先にある 家族の生活上の困難さ
10
注意機能にはどのような分類があるか
ボトムアップ的注意,トップダウン的注意
11
注意の配分を説明しよう
注意を何に対してどの程度振り分けて使用するか,2つ以上のことに同時に注意を振り分け ること。ある動作や運動,行為に習熟してくるとそのことに注意を大きく払うことが少なくなり(背景に退く),その他のことに注意 を振り分けることができ,そのような状態のことをいう。
12
感覚統合理論におけるリスクマネジメントのポイントは何か
身体的,物理的なリスクとしては,遊具の特性 を理解し,その危険性を把握しておく。また子 どもの身体的,認知的な状態も把握して転倒や 落下に注意を払う。 精神的・心理的なリスクとしては,成功の見通 しのないなかで失敗を繰り返して,自信を失う ことである。自身や自己有能感の低下が,さま ざまな活動に対する回避につながっていく。適 切なチャレンジ量で適切なフォローを行う。
13
脳性麻痺はどのようにとらえられるか
姿勢と運動の障害のほか,知的障害,感覚・ 知覚障害,認知・行為の障害などを含む複合 障害である。
14
脳性麻痺の運動機能障害の重症度を分類する尺度は何か脳性麻痺の運動機能障害の重症度を分類する尺度は何か
GMFCS(または GMFCS-E&R)
15
生活機能を評価する代表的な評価法は何か
PEDI
16
臨床的に多く認められる4つの類型とは何か
痙直型両麻痺,痙直型片麻痺,痙直型四肢麻痺,アテトーゼ型四肢麻痺
17
上肢よりも下肢のほうが障害が重いタイプは何か
痙直型両麻痺
18
動きのコントロールが最大の課題となるタイプは何か
アテトーゼ型四肢麻痺
19
姿勢と運動の評価において大切な点は何か
単なる状態の記述ではなく、ある現象が何とどのように関連しているのか、それがどのような機能の妨げになっているのか、生活の支障をきたす原因になっているのかを考えること。表に表れている状態と、その背景にある見えない理由や原因を見る眼」を養うこと。
20
残存しやすい原始反射にはどのようなものがあるか
非対称性緊張性頸反射(ATNR),緊張性迷路 反射(TLR)
21
作業(活動)の選択において考慮すべき点は何か。
獲得させたい運動機能の要素が含まれるとともに、対象児の知的能力に見合い、かつ興味・関心を惹くものであること。
22
さまざまな障害をもつ子どもに対する作業療法アプローチにおいて共通することは何か。
常に長期的視点をもち関わること。各ライフステージで、今何が必要か、これから何が必要となるかを考え、現在への対応と未来への備えを行うこと
23
知的障害のある方の行動・活動を分析する際の要素として何が挙げるれるか
因果関係の複雑さ、運動技能。手指の操作性,道具の操作性,活動の長さ、フィードバック,行動調整,目的性
24
乳児期のアプローチで大切なこととして何が挙げるれるか
保護者も赤ちゃんも孤立しないこと、遊びの 保障,早期発見
25
幼児期のアプローチで大切なこととして何が挙げるれるか
遊びの保障、適切な行動理解、集団参加と集団適応,自己有能感を高める日常生活活動の獲得
26
学童期のアプローチで大切なこととして何が挙げるれるか
学校生活の支援、学習の支援
27
青年期のアプローチで大切なこととして何が挙げるれるか
主体性の育ち、思春期への対応,生活の場の検討
28
筋ジストロフィーは、なぜ筋力低下や関節拘縮が起こるのか病態を説明せよ
遺伝子の異常によるジストロフィン欠損が原因となり、筋組織の崩壊が進みやすい状態となり結合組織や脂肪組織に置換されるため筋力低下が生じる。筋組織の結合組織や脂肪組織への置換により筋の伸張性が低下し関節可動域の制限が起こり、筋力低下に伴うアンバランスな動作の繰り返しにより二次的に関節拘縮が生じる。
29
DMDの医学的治療の概要を説明せよ
根治的な治療はまだ確立されておらず集学的なマネジメントが必要で、早期の治療開始が望まれている。心機能においては薬物療法による心不全治療、呼吸機能においては、肺のコンプライアンス(弾性)の維持、異物などを排出する気道クリアランス、人工呼吸療法が行われる。 脊柱変形へのマネジメントは、外科的治療法 (脊椎後方矯正固定術)や保存療法(装具療法・ROM エクササイズ・歩行練習・起立練習・姿勢保持)が行われる。
30
DMD患者は、上肢の近位の筋力低下がすすむと特徴的な代償動作がみられるようになる。頭の上に手を持ってくる動作の場合、両上肢と頭部・体幹はどのように動くか
体幹を大きく動かして非利き手で利き手を補 高してリーチを行おうとする。
31
筋ジストロフィーでみられる代償動作ではどのような点に留意して作業療法を行うべきか説明せよ
動作の過用,誤用は関節変形を引き起こし、介助を困難にしたり能動的な活動を制限するため、低負荷で最大限のパフォーマンスを出せるように工夫する
32
DMD患者の認知特性では、口頭指示で複数の指示が適切に受け取れずに失敗することがある。改善するにはどのような対応が必要か
指示は工程ごとに整理して一覧にして提示するなど、視覚提示が有効で、一緒に理解できたかを確認できるとよい。また,時折、進捗状況をチェックする。
33
運動機能障害が進行すると、それまでと同じやり方では活動が困難になってくる。この移行期の特徴を説明し、どのように支援をすすめていくか説明せよ
過度な努力で、拘縮や変形を起こさない早期の対応が必要であるが、「まだできるから大丈夫と」新しい環境への移行に消極的なことがある。 これは、能力喪失や、見通しがもてない事柄への不安から生じる。作業療法では、実際に用具を使ってみるなど、段階的に移行前と移行後でどのようなよい変化があるのかを体験できる活動を取り入れるとよい。
34
車椅子上で痛みやしびれがあり頻回な姿勢調整を希望される。どのような評価と支援が必要か
まず、どの部位に痛みやしびれがあるのか、車椅子に乗車してどのくらいの時間で発生するのか、いつごろからなのか、テイルトなどの車椅子に姿勢変換で痛みが緩和されるかなど、痛みやしびれの原因の評価を行う。支援は、凸部の圧迫を緩和させるように座面の調整や、車椅子の姿勢変換をいつでも操作できるようにす る。
35
ゴロゴロと痰が絡む音が聞かれ、軽い咳が続くような場合,どのような対応をとるか
患者がCPF 270 L/min以上の自力咳が可能な状態でない場合は、呼吸筋の疲労や窒息のリスクが考えられるため、徒手あるいは機械による咳介助を、家族や病棟スタッフに対応を依頼する。
36
DMD患者のリーチ範囲の制限が著しい場合に、授業場面の活動支援で導入される用具にはどのような方法があるか
少ないリーチ範囲で活動が行える工夫(棒などの利用、小さい用具への変更)、上肢装具の利用(BFO,ポータブルスプリングバランサーなど),軽い力で操作できる用具の工夫を考える。
37
IT機器の支援について、パソコンのキーボードやマウスといった標準入力デバイスが利用できない患者には、どのような方法があるか
キーボードの代替入力装置であるスクリーンキーボードで、マウスによる文字入力が可能である。マウス以外のポインティングデバイスでは、トラックボールやトラックパッド、またジョイスティックマウスが有効である。また、上記のポインティングデバイス操作が難しい場合は、シングルスイッチで操作可能なもの、また視線入力でのマウスカーソル操作が可能なものがある。最近では音声認識技術によるスマートスピーカーが活用されている。
38
高校・大学など、学校卒業後の作業療法においては、どのような活動の獲得を目標とするか
学校卒業後の成人期への移行が課題となっている。残存能力を効率よく活用できる用具の適合などで、作業環境調整を行い、就労など社会活動を支援する。
39
二分脊椎は脊椎・脊髄のどのレベルに生じやすいか
腰椎(髄)・仙椎(髄)レベル
40
髄膜瘤と脊髄髄膜瘤ではどのような点が共通し、どのような点が異なる
どちらも椎号欠損部から腫瘤が膨隆する(顕在性二分脊椎である)点が共通。異なる点は、髄膜瘤では髄膜組織は腫瘤に入り込むが神経組織は脊柱管内にとどまり神経症状が少ないのに対し、脊髄髄膜瘤では神経組織の形成が不十分で髄膜組織とともに腫瘤に入り込み神経症状が出現する点である。
41
脊髄髄膜瘤で生じる主な神経症状を3つ挙げよ
下肢の運動障害、下肢の知覚障害,膀胱直腸 障害
42
脊髄係留症候群とは何か
肥厚した終糸や脂肪腫の存在により、児の成長とともに脊髄が引き伸ばされることにより、下肢の運動・知覚障害、膀胱直腸障害が生じる病態
43
二分脊椎で生じやすい脳の障害を2つ挙げよ
キアリ奇形、水頭症
44
キアリ奇形によりどのような症状が出現する可能性があるか
喘鳴,無呼吸発作,嚥下障害
45
水頭症はどのような方法で管理できるか
V-Pシャントなどにより、脳室に貯留した脳脊髄液を腹腔に流し、体外に排出する。
46
Sharrardの分類について説明せよ
股関節の機能に着目してつくられた分類で、 第1群(胸髄レベル),第II群(第1,2腰髄 レベル),第皿群(第3,4腰髄レベル),第 IV群(第5腰髄レベル),第V群(第1,2仙髄 レベル),第VI群(第3仙髄レベル)の6群に分けられる。
47
二分脊椎児の上肢機能においてどのようなことが問題になるか
二分脊椎児の運動障害は、脊髄の障害部位以下の神経支配である下肢の運動障害が主であるが、上肢機能にも「不器用」「動作に時間がかかる」などの問題がみられる場合があり、作業療法士としては要チェックである。
48
二分脊椎児における知能の傾向について説明せよ
水頭症の合併により知能発達の遅れがみられることが多い。特に視覚認知の低下や、言語性知能に比べ動作性知能が低い傾向がある。
49
清潔間欠(自己)導尿(CIC)はなぜ必要なのか
排尿困難により残尿や膀胱尿管逆流等を生じ、感染症や腎機能の低下につながり、生命維持をおびやかすため、排尿時に膀胱内圧を高めず残尿を生じないCICが必要となる。
50
排便障害への対応方法を5つあげよ
服薬,摘便,座薬、浣腸、洗腸など
51
膀胱直腸障害は社会生活でどのような困りごとを生じるか
排尿便のコントロールが意図的に行われず失禁をすることにより、周囲の人に不快な思いをもたれたり対人関係に支障がでたりする可能性がある。
52
二分脊椎児の排泄動作に対し。作業療法士はどのような援助ができるか
運動機能や認知機能に問題がある児に対し、 排泄動作に必要な移乗動作,下衣・パンツま たはおむつの着脱,座位保持、CICや洗腸器具の操作に必要な上肢機能,排泄動作の一連の手順の理解について、評価を実施し動作のエ夫・環境調整を指導することができる。
53
二分脊椎児に対しどのような評価を行う必要があるか
下肢機能,体幹機能,上肢機能,認知機能, ADL・学習動作
54
どうして分娩時に腕神経叢が損傷されるのか
分娩時における腕神経叢の牽引により生じ る。頭位分娩では巨大児のように頭囲より肩幅が大きくなるなどで肩が産道から出にくい場合や、骨盤位分娩では頭部が産道から抜きにくい場合に、頭や肩を牽引することにより腕神経叢が引っ張られ損傷される。
55
分娩麻痺の麻痺分類を3型挙げよ
上位型C5・C6(C7),下位型(C7)C8・Th1, 全型C5~C8・Th1
56
上位型において上肢はどのような構えをとりやすく、その構えは何とよばれるか
肩内旋・伸展、肘伸展、前腕回内,手掌屈の 構えをとりやすく、「waiter's tip position」とよばれる。
57
麻痺の自然回復が期待できる時期は生後どのくらいか
生後1歳6カ月ごろまで
58
過誤神経支配とは何か
神経が一度損傷し、その後再生する過程において、本来の支配筋以外の筋に神経線維が迷入し再支配することで、健常ではみられないような複数筋の同時収縮が起こる。
59
運動障害によってどのような二次的障害が起こるか
拘縮・脱臼、上肢の発育の阻害
60
手術の術式をいくつか挙げよ
神経修復術(神経移植術・神経移行術),機 能再建術(筋腱移行術,腱切離術,骨切り 術)など
61
スプリントはどのような型が用いられるか
cock-up splint, short opponens splint など
62
評価・治療・援助の面で成人の腕神経叢麻痺とどのような点が違うか
正常発達を考慮した評価・治療が必要、考慮すべき要素が多いため上肢の機能評価が難しい,成長に伴いADLの発達も促していく、手術が年齢により選択される
63
運動機能について、どのような項目を検査する必要があるか
関節可動域,筋力,上肢機能(リーチ、手指微細運動),形態、脱臼の有無
64
分娩麻痺児の評価に知能検査は必要か
基本的には上腕神経叢の損傷であるので、知能は正常である。知能検査は必要ない。
65
ADL援助ではどのようなことに留意する必要があるか
健側上肢でほとんどの動作ができ、患側上肢の使用がおろそかになるため、日常生活における両手動作のなかで患側上肢の使用を促すことが大切である。
66
学習動作ではどのようなことが困難になるか
両手動作が必要な活動(書字や読書の際のノート・本の押さえ、はさみ・ものさしの使用,体育における縄跳び・鉄棒・跳び箱・マット運動、音楽における楽器演奏など)に困難がみられることがある。
67
対象児にとって、いつごろ、どのようなことが悩みになるか
小学校高学年から中学校,青年前期に悩むことが多く、悩みには「不自由、動作が遅い」「左右の上肢長差」などがある。
68
親にとって、いつごろ、どのようなことが悩みになるか
出産直後から小・中学校にかけて悩むことが多く、悩みには、小学校に入学するまでは「健常児との比較」,入学後は「授業での課題遂行」 や「周囲(教師など)の子どもに対する理解や協力」について悩みをもつ。
69
薬の主作用と副作用とはどのような作用のことか
主作用は治療目的にあった作用,副作用は治療にとって不都合な作用のこと
70
肝臓の機能にはどのような作用があるか
薬の代謝を行う。脂溶性の高い薬物を水溶性に変え、排泄されやすいようにする。
71
薬物の作用が現れやすい投与法は何か
薬物の作用が一番現れやすいのは、静脈内注射であり、次に筋肉内注射。その他に、経口 薬より舌下錠や薬、貼付剤、吸入薬などのほうが作用は現れやすい。
72
座薬製剤の特徴と適応症は何か
特徴は肝臓で分解されずに体循環に入ること。小児で内服が難しい場合、消化器症状が強く出る薬物の場合などに使用される。
73
小児における投与量で考慮する点は何か
体表面積,年齢、体重
74
薬の分布に関与する物質は何か
血漿タンパク質(アルブミン、グロブリン)
75
アスピリンにはどのような作用があるか
75~150mg/日では血小板凝集抑制作用,1.5g/日では解熱,鎮痛作用,1~4.5g/日では炎症抑制作用がある。
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抗凝固薬を服用しているときに避けたほうがよい食品にはどのようなものがあるか
納豆や青汁などビタミンKを多く含む食品
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欠神発作とはどのようなものか
全般発作の一つで短時間の意識消失発作と動作の停止が生じる。痙攣は伴わない。
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てんかん薬で特に注意すべき副作用は何か
眠気,企图振戰,失調歩行,眼振,複視,反射亢進,自発性低下,催奇性,呼吸抑制
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厚生労働省における医療的ケア児の定義はどのようなものか
医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障害児のこと
80
作業療法士として、医療的ケア児を理解する際に必要な視点は何か
医療的ケア児とその家族への理解、地域資源の情報収集と家族への情報提供、孤立防止のための当事者家族間のつながりをつくること