問題一覧
1
富士の山を見れば、五月の「つごもり」に、雪いと白う降れり。
月末
2
「すきずきしき」方にはあらで、まめやかに聞こゆるなり。
好色めいている
3
夏は夜。月のころは「さらなり」。
言うまでもない
4
侍どもは、「はしたなく」言ひければ、泣きつつ帰りて、屈まりゐたり。
無愛想に
5
いとはかなうものしたまふこそ、あはれに「うしろめたけれ」。
気がかりだ
6
夜いたくふけて、門をいたう「おどろおどろしう」たたけば、
仰々しく
7
我を知らずして、外を知るといふ「ことわり」あるべからず。
道理
8
際ことにかしこくて、ただ人にはいと「あたらしけれ」ど、
惜しい
9
神の「おまへ」のものと生ひはじめけむも、とりわきてをかし。
御前
10
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる「ためし」なし。
例
11
日の入りぎはの、いと「すごく」霧りわたりたるに、
ものさびしく
12
こなたは「あらはに」やはべらむ。今日しも端におはしましけるかな。
まる見えで
13
人々ひねもすに祈る「しるし」ありて、風波立たず。
ご利益
14
やうやう入り立つ麓のほどだに、空のけしき、「はかばかしく」も見えず、
はっきりと
15
遊び戯れをも人よりは「心やすく」なれなれしくふるまひたり。
気安く
16
時々中垣の「かいまみ」しはべるに、げに若き女どもの透影見えはべり。
のぞき見
17
かぐや姫いと「いたく」泣きたまふ。
ひどく
18
世になく「きよらなる」玉の男皇子さへ生まれたまひぬ。
美しい
19
小次郎が薄手負うたるをだに、直実は「心ぐるしう」こそ思ふに、
つらく
20
御心ばへいと「なつかしう」、おいらかにおはしまして、世の人いみじう恋ひ申すめり。
親しみがあり
21
いといたうやつれたまへれど、「しるき」御様なれば、
はっきりわかる
22
梨の花、世にすさまじきものにして、近うもてなさず、「はかなき」文つけなどだにせず。
ちょっとした
23
髪ゆるるかに、いと長く、「めやすき」人なめり。
見た目がよい
24
されば「あながちに」攻むべきにあらず。
無理矢理に
25
木立いと「よし」あるは、「何人の住むにか」と問ひたまへば、
風情
26
この人の家、喜べるやうにて、「あるじ」したり。
もてなし
27
かく御賀などいふことは、ひが数へにやとおぼゆるさまの、「なまめかしく」人の親しげなくおはしますを、
若々しくて
28
内のさまは、「いたく」すさまじからず、
それほど
29
思はむ子を法師になしたらむこそ、「心ぐるしけれ」。
気の毒だ
30
取りたてて、「はかばかしき」後見しなければ、事あるときは、なほ拠りどころなく心細げなり。
しっかりした
31
おろかなる人は、「用なき歩きは、「よしなかり」けり」とて来ずなりにけり。
つまらない
32
「あぢきなき」ことに心をしめて、生けるかぎりこれを思ひなやむべきなめり。
道理に合わない
33
黄ばみたる単衣など着たる人は、いみじう「心づきなし」。
気に入らない
34
いざ、いと「心やすき」所にて、のどかに聞こえむ。
安心な
35
君や来しわれやゆきけむおもほえず夢か「うつつ」か寝てかさめてか
現実
36
「うへ」も聞こしめし、めでさせたまふ。
帝
37
京に「とく」あげたまひて、物語の多くさぶらふなる、あるかぎり見せたまへ。
早く
38
一昨日より腹を病みて、いと「わりなけれ」ば、
つらい
39
いみじく静かに、「おほやけ」に御文奉りたまふ。
帝
40
「はしたなき」もの。異人を呼ぶに、我ぞとさし出でたる。
体裁が悪い
41
月おぼろにさし入りて、いとど「えんなる」御ふるまひ尽きもせず見えたまふ。
優美な
42
四月のつごもりごろに、雨「おどろおどろしく」降りて、もの恐ろしげなるに、
不気味に
43
桜は「はかなき」ものにて、かく程なくうつろひ候ふなり。
頼りない
44
世に語り伝ふること、まことは「あいなき」にや、多くはみな虚言なり。
つまらない
45
大友皇子は、時の政をし、世の「おぼえ」も威勢も猛なり。
評判
46
かううち棄てられて、心をさめむ方なきに、いとど人わろう「かたくなに」なりはつるも、
偏屈に
47
いとはつらく見ゆれど、「こころざし」はせむとす。
贈り物
48
「すきずきしう」あはれなることなり。
風流で
49
人の上言ふを腹立つ人こそいと「わりなけれ」。
道理に合わない
50
文ことば「なめき」人こそ、いとにくけれ。
無礼な
51
木立前栽など、なべての所に似ず、いとのどかに「心にくく」住みなしたまへり。
奥ゆかしく
52
世の中は「あぢきなき」ものかなとのみ、よろづにつけて思す。
つまらない
53
異人々のもありけれど、「さかしき」もなかるべし。
優れている
54
除目のころなど「うち」わたりいとをかし。
宮中
55
我が娘は、「なのめなら」む人に見せむは、惜しげなるさまを、
普通である
56
いと寒きに、火などいそぎおこして、炭持てわたるも、いと「つきづきし」。
似つかわしい
57
をかしげなるちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いと「らうたし」。
かわいらしい
58
男、血の涙を流せども、とどむる「よしなし」。
方法がない