問題一覧
1
会社とは、会社法に基づいて設立された営利社団法人のことであるため、法人化されていない個人経営の商店はどんなに規模が大きくても会社とは呼ばない。
○
2
社団法人とは、人の集団が法律上1人の人として扱われることを認められた存在である。会社の場合、そこで多くの従業員が働いており、従業員の集団が会社法上、一人の人として認められている。
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3
会社の出資者(社員)には、有限責任社員と無限責任社員がいるが、この場合における責任とは、会社債権者に対する責任のことである。
○
4
株式会社は、出資者(株主)が全て有限責任社員であり、社員の地位が株式という割合的単位の形式をとる会社であるため、所有と経営の分離が生じやすい。
○
5
株式会社法は債権者保護と株主保護を目的としており、そのために会計を利用した様々な制度が導入されている。
○
6
会社法上、会計に関する規定は会社法の本文にも存在するが、会社法の委任規定により制定された法務省令に多くの規定がある。
○
7
会社法上、株式会社は会計帳簿を作成し、これに基づいて各事業年度ごとに貸借対照表、損益計算書、キャッシュ·フロー計算書などの計算書類を作成しなければならない。
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8
会社において作成された計算書類については、株主総会において承認または報告がなされる。また、計算書類に基づいて、配当可能限度額が計算される。さらに、全ての利害関係者に計算書類が開示され、会社に関する詳しい情報が提供される。
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9
慣習は、法的確信が存在しなければ規範化されない。例えば、「電車の中で携帯電話で会話してはいけない」という慣習は、法律で定められない限り規範化されないので従う必要は無い。
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10
会計基準は、世界恐慌の米国において初めて明文化された。わが国では、太平洋戦争後に設定された「企業会計原則」が会計基準の初めとされる。
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11
米国では、様々な会計基準案が公表されたが、その1つが「AAA会計原則試案」である。ペイトンとリトルトンは、この試案の背後にある考え方を説明した書物を出版した。
○
12
会計基準設定の歴史は、「いかに首尾一貫した基準を設定するか」の歴史であると言って良い。逆に言えば、当初設定された会計基準は場当たり的で、矛盾が数多く存在した。
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13
米国において首尾一貫した会計基準を設定するために開発されたのが、概念フレームワークである。概念フレームワークは、「会計の憲法」とも呼ばれるものであり、会計基準の理論的根拠を提供するものである。
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14
わが国の会計基準設定主体であるASBJは、国際会計基準審議会(IASB)が設定した国際財務報告基準(IFRS)をそのままわが国の会計基準として公表している。
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15
わが国の会計基準は、全て会計基準設定主体であるASBJが公表したものであり、もっとも有名な「企業会計原則」も1949年にASBJが作成·公表したものである。
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16
会計公準は、会計を成立させるための基礎的前提のことであるが、会計公準から会計基準を導き出そうという試みが行われた時代もあった。
○
17
企業実体の公準によれば、会計は企業ごとに行われるため、企業集団を対象とした会計は否定される。
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18
棚卸資産(商品)の期末評価、有形固定資産の減価償却、貸倒引当金の計上などの手続きは、継続企業の公準によって正当化される。
○
19
色々な資産を測定する場合には、kgやmで測定することも出来るが、貨幣額での測定が共通の尺度として優れている。
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20
概念フレームワークは、首尾一貫した会計基準を設定するために形成されたものであり、「会計の憲法」とも言われる。
○
21
概念フレームワークは、まずアメリカで形成され、その後国際会計基準審議会等でも形成されたが、その内容はいずれも似通っている。
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22
概念フレームワークでは、まず財務報告の基本目的が明らかにされ、つぎに現在の会計において提供されている資産·負債·純資産·収益·費用などの情報が、いかに目的適合性が高く、状況を忠実に表現している情報であるかについての説明が記載されている。
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23
概念フレームワークでは、資産をどのような金額で測定するべきかについて、いくつかの選択肢を提示している。
○
24
監査業務の対象は、財務諸表のような情報のみである。
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25
会社法上、会社の経営者は社内に内部監査部門を設置し、内部監査を実施することが義務付けられている。
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26
財務諸表監査は、法令上、公認会計士または監査法人(公認会計士の規定により設立された法人)のみが行うことが出来る。
○
27
財務諸表監査では、一般に認められた会計基準を判断基準として、財務諸表が適正に表示されているかどうかについての意見表明が行われる。
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28
会社法は債権者および株主保護を目的としているため、特に債権者と株主を保護する必要が高い大会社などについては、監査に関する特例の規定を設けている。
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29
会社法上、大会社などでは会計監査人による財務諸表監査が義務付けられているが、会計監査人には公認会計士または監査法人以外を選任することはできない。
○
30
金融商品取引法では、投資者保護のため、取締役の行為が法令や定款に違反していないかどうかについて公認会計士または監査法人の監査を受けなければならないこととされている。
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31
公認会計士または監査法人によって実施される財務諸表監査は、会社法に基づくものであっても金融商品取引法に基づくものであっても、監査基準に準拠して実施されるため実質的に同一の手続きといえる。
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32
金融商品取引法が適用される会社は、主としてその会社が発行する株式が広く市場で取引されている会社である。その代表例が、証券取引所に株式を上場している会社である。
○
33
金融商品取引法は、主として投資者保護を目的としている。投資者保護のための基本的な考え方としては、健全な発行者の証券発行のみを政府が認可する規制主義の考え方を採用している。
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34
AくんはB社の株式を保有しているが、B社株式の株価を上昇させるため、B社が近々C社に買収されるという噂をTwitterに書き込んだ。これは金融商品取引法違反である。
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35
X社は、新型コロナウイルスの特効薬の開発に成功した。X社の営業担当のY君は、開発担当者からこの事実を聞き、この事実が公表される直前にX社の株式を購入した。これは金融商品取引法違反である。
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36
金融商品取引法上、会計に関する規定の多くは、金融商品取引法の委任規定により制定された内閣府令である財務諸表等規則などに存在する。
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37
上場企業は、毎決算期ごとに有価証券報告書を作成して公表しなければならない。有価証券報告書には、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ·フロー計算書、附属明細書などの財務諸表が記載される。
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38
有価証券報告書には、財務諸表(財務計算に関する書類)だけではなく、企業の沿革や企業が営む事業の内容、各事業における対処すべき課題などの記述情報も記載される。
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39
財務会計(財務報告)の基本目的は、投資者が企業に関する意思決定を行う際に役立つ情報を提供することであるが、そのような情報とは、企業の資源、債務、受託責任遂行状況等に関する情報であり、それは結局、財務諸表の情報であるといえる。
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40
企業の資源、債務、受託責任遂行状況等に関する情報とは投資者が企業に関する意思決定を行う際に役立つ可能性があるが、そのような情報は、目的に適合しており、かつ表現しようとするものを忠実に表現している場合には、より役立つ可能性が高まる。
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41
財務会計(財務報告)の基本目的は、投資者が企業に関する意思決定を行う際に役立つ情報を提供することにあるから、その目的に適合する情報であれば、その情報の作成、開示に関するコストがどんなに高くても企業に提供させるべきである。
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42
財務会計は、一般に利害調節機能と情報提供機能をもつと言われるが、最近では株主と会社債権者の利害の対立が問題となっているため、特に利害調節機能が重要視されるようになってきている。
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43
会社の業績によって、給与や賞与の金額が増減する可能性がある従業員や、取引価格が上下する可能性がある得意先や仕入先も、会社の利害関係者といえる。
○
44
会社の債権者は、会社の業績がいい方が債権を回収しやすくなるため、その会社の決算ではできるだけ利益額が多くなるような会計処理方法を採用することを望んでいると考えられる。
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45
財務会計の諸概念について定義を行う主な考え方としては、資産·負債を先に定義して、その差額である純資産の増加として利益を定義する考え方(資産·負債中心会計観)と、収益·費用を先に定義して、その差額として利益を定義する考え方(収益·費用中心会計観)とがある。
○
46
期首における資産が5000、負債が3000であり、期末における資産が6000、負債が3500であった場合、財産法による当期純利益は500である。
○
47
当期中の利益が3000、費用が2000であり、期首中における資産が6000、負債が5500であった場合、損益法による当期純利益は500である。
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48
収益費用アプローチの考え方においては、発生した費用(原価)のうち、当期の収益に対応するものを当期の損益計算書に計上し、実現収益との差額で当期純利益を計算する。
○
49
収益費用アプローチの考え方においては、財産価値のない資産義務(債務)ではない負債が貸借対照表に計上されることがある。
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50
収益費用アプローチの考え方は、キーコンセプトである「対応」の意味が不明瞭であるため、現在の概念フレームワークでは資産負債アプローチの考え方が採用されていることが多いが、わが国の概念フレームワークだけは資産負債アプローチの考え方を採用していない。
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51
資産とはなにかについての議論は昔から活発に行われてきているが、費用説や現金説などの収益費用アプローチの考え方に基づく資産の定義は問題点が少なくなく、現在では資産負債アプローチの考え方に基づく定義が一般に採用されている。
○
52
現在の資産の定義は、各概念フレームワークによって多少の相違はあるが、いずれも過去の支出、将来の経済的便益および支配という3つの要素を含んでいる。
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53
将来の経済的便益とは、将来、企業にとって経済的に役立つこと、すなわち収益(具体的には現金)を生み出す能力のことである。
○
54
企業が所有する現金、売掛金、商品、有価証券、建物および土地は、いずれも資産の定義を満たしているといえる。
○
55
測定とは、一般に測定属性(測定されるべき性質)と測定単位を決定することであるが、会計の場合、測定単位は貨幣額とすることが普通であるので、会計における測定問題は測定属性の選択問題であるといえる。
○
56
資産の測定属性には取得原価、時価などがあるが、商品の期末評価で用いられる低価法も、資産の貸借対照表価額を決める方法なので、測定属性の1つといえる。
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57
資産を取得原価で測定しても、それは資産を過去に取得した時の金額に関する情報であるため、情報価値が高くないとされることもある。しかし、取得原価には、資産から最低でもその金額以上の収益(具体的には現金)が生み出されると経営者が判断した金額という意味があるため、経営者が行った判断の適否を判定するためにはきわめて重要な情報であるという考え方もある。
○
58
貸借対照表の貸方項目について、債権者の持分を負債、株主の持分を資本と考えると、負債にも資本にも区別できない中間項目が生じることになる。
○
59
資産から負債を控除した残りを純資産と考えた場合には、負債にも純資産にも区別されない項目は生じないが、純資産の中に株主に帰属しない部分等が含まれることになるのに加えて、純資産の増加として定義される利益の中にも株主に帰属しない利益が含まれることになる。
○
60
純資産に含まれる項目として、資本金や繰越利益剰余金のほか、親会社株主以外の株主の持分である非支配株主持分、その他の有価証券の時価評価により生じるその他有価証券評価差額金、債務性のない貸方項目である貸倒引当金等がある。
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61
資本維持の考え方として名目資本維持の考え方を採用した場合には、企業に維持すべき資本は過去に実際に出資された貨幣の金額ということになるため、追加出資を受けたとしても資本金の金額は増加しない。
×
62
資本維持の考え方として実質資本維持の考え方を採用した場合には、企業に維持すべき資本は出資された貨幣の価値ということになるため、過去に出資を受けたのが100億円であっても一般物価水準が現時点で出資時よりも10%上昇していれば、110億円が維持すべき資本であることになる。
○
63
資本維持の考え方として実体資本維持の考え方を採用した場合には、企業に維持すべき資本は現在の企業そのものを維持するために必要な貨幣の金額ということになるため、現在の企業が保有する資産の再調達原価が取得原価よりも5億円上昇していれば、維持すべき資本も5億円増加することになる。
○
64
収益の計上基準として現金主義を採用した場合、通常、現金受領は収益獲得の最終プロセスであるため、確実な収益が計上されることが多いと考えられるが、収益の計上時期と企業が実際に収益獲得活動を行った時期とにズレが生じることがある。
○
65
収益の計上基準として発生主義を採用した場合、収益は発生に応じて計上されるされるため、収益の計上時期と企業が実際に収益獲得活動を行った時期とにズレが生じることは少ないが、不確実な収益が計上される可能性がある。
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66
実現主義とは、①財貨または用役(サービス)を第3者に提供したこと、②その対価として現金または現金同等物を取得したことの2つの条件をもって収益の計上を行う考え方である。この考え方を採用した場合、企業の収益獲得活動の中で最も重要な時点であると考えられる「販売」の時点で収益が計上され、しかもそれは確実な収益である。
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67
最近公表された新収益認識基準は、現金主義を採用している。
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68
企業が利害関係者に報告すべき情報には、財務諸表以外の手段の方が伝達しやすい情報や財務諸表以外の手段でしか伝達できない情報も含まれており、これらの情報は財務諸表以外の報告手段により、主として記述情報の形式で報告が行われる。
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69
財務報告において報告される情報には、財務諸表本体や注記·附属明細表によって報告される情報だけではなく、例えば有価証券報告書に記載される基準情報なども含まれる。
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70
環境報告書、CSR報告書、サステナビリティ報告書などは財務報告ではないため、投資者が意思決定を行う際には利用する価値がない。
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71
会社法上の財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ·フロー計算書および附属明細書の5つである。
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72
有価証券報告書には、生産·受注および販売の状況、対処すべき課題、事業等のリスクなど様々な情報が記載されるが、これらは財務情報なので全て貨幣額で測定された情報である必要がある。
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73
現在、日本の上場企業は統合報告書を公表することが法令上義務付けられているため、2023年度には1000社を超える企業が統合報告書を公表している。
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74
会計には、主として企業外部の利害関係者に会計情報を伝達することを目的とする財務会計と、主として企業内部のマネジメントに会計情報を伝達することを目的とする管理会計とがある。
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75
管理会計では、マネジメントの意思決定に役立つのであれば、財務会計のための会計情報はもとより、会計以外の情報やデータも利用される。
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76
管理会計には、大別すると、代替可能案の内容を計数的に評価する業績評価会計と、組織上の責任別に計画と実績を計数によって対応させる意思決定会計とがある。
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77
財務諸表を分析する際には、会計方針の企業間差異、会計方針の変更等を考慮しつつ、目標値との比較を行ったり、同一企業の過去と現在の財務指標の変化や同一期間におけるある企業と他の企業の財務指標の相違を分析したりするが、財務諸表から得られる情報以外の情報を考慮する必要は無い。
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78
総資本が800万円、営業利益が80万円の企業Aと、総資本が1億円、営業利益が800万円の企業Bがある。企業AのROAは10%、企業BのROAは8%であるが、営業利益は企業Bが企業Aの10倍であるので、企業Bのほうが収益性の高い企業であるといえる。(ROAの計算において、金融収益は僅少であるため、無視できるものとする。)
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79
総資本が800万円、営業利益が80万円、売上高が1000万円の企業Aと、総資本が1億円、営業利益が800万円、売上高が1億円の企業Bがある。この場合、企業AのほうがROAが高い原因は、企業Aのほうが総資本回転率が高い。すなわち総資本の利用効率が高いためであると言える。
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