問題一覧
1
例よりはひきつくろひて書きて、(移ろひ)たる菊に挿したり。 いつもよりは改まって歌を書いて、( )た菊に挿して送った。
色あせ
2
渡殿の戸口の局に(見いだせ)ば、 渡殿の戸口の部屋で( )と、
外を見る
3
1.涙もつつみあへず出づれど、つれなく(もてなし)て、 涙もおさえきれず出るけれど、なんでもないように( )て、 2.人のため恥ぢがましきことなく、いづれをもなだらかに(もてなし)て、女の恨みな負ひそ。 女にとって恥となるようなことをせず、どなたをも角だたないように( )て、女の恨みを受けてはならないとおっしゃる。
振る舞っ, 取り扱っ
4
1.ただこの尼君ひとりもて(あつかひ)はべりひほどに、 ただこの尼君一人で( )ておりましたときに、 2.多く取らむと騒ぐものは、なかなかうちこぼし(あつかふ)ほどに、 たくさん取ろうと騒いでいるものは、かえってこぼして( )うちに、
面倒を見, もてあます
5
1.者思ふ人の魂は、げに(あくがるる)ものになむありける。 物思いをする人の魂は、ほんとうに( )ものであるわ。 2.いさよふ月に、ゆくりなく(あくがれ)むことを、女は思ひやすらひ 沈むのをためらいがちな月に突然( )ようなことを、女はためらい、
さまよい出る, 浮かれ歩く
6
1.この世の人は、男は女に(あふ)ことをす。 この世の人は、男は女と( )ことをする。 2.霜に(あへず)枯れにし園の菊なれど、 霜に( )て枯れてしまった庭園の菊ではあるが、 3.念じ(あへず)うち泣くけはひあはれなり。 我慢し( )で泣く様子は痛ましい。
結婚する, 耐えられなく, きれない
7
いと悲しうて、人知れず(しほたれ)けり。 本当に悲しくて、人知れず( )たのであった。
涙を流し
8
1.雪の(かきくらし)降るに、 雪が( )て降るので、 2.また(かきくらさ)るるさまぞ、いふかたなき。 また自然と( )様子は、言いようがない。
空を暗くし, 悲しみに暮れる
9
1.道知れる人もなくて、(惑ひ)行きけり。 道を知っている人もいなくて、( )ながら行った。 2.目眉額なども腫れ(まどひ)て、 目や眉や額なども( )腫れて、
迷い, ひどく
10
1.子安貝取らむと思しめさば、(たばかり)申さむ。 子安貝を取ろうとお思いになるならば、( )申し上げよう。 2.かの琳賢は基俊と仲のあしかりければ、「(たばから)ん」と思ひて、 あの琳賢は基俊と仲が悪かったので、「( )う」と思って、
工夫し, だまそ
11
1.笛をえならず吹き(すさび)たる、 笛を言いようもなくうまく吹き( )ているのを、 2.絵など描きて、色どりたまふ。よろづにをかしう(すさび)散らしたまひけり。 絵などを描いて、色をお付けになる。いろいろと上手に( )散らしなさった。
興じ, 気の向くままに描き
12
1.女もいやしけれな、(すまふ)力なし。 女も身分が低いので、( )力がない。 2.もとより歌のことは知らざりければ、(すまひ)けれど、 もとより歌のことは知らなかったので、( )たが、
抵抗する, 断っ
13
1.人のいふらむことを(まねぶ)らむよ。 人の言うことを( )というよ。 2.かの御車の所争ひを(まねび)きこゆる人ありければ、 あのお車の場所争いを( )申し上げる人がいたので、
まねる, 伝え
14
1.(ねび)給ふままに、 ( )なさるにつれて、 2.御年の程よりはるかに(ねび)させ給ひて、 お年の程度よりはるかに( )ていらっしゃって、
年を取り, 大人び
15
1.よろづに見ざらん世までを思ひ(おきて)んこそ、はかなかるべけれ。 何事においても見ないような世までを考えて( )ようなことは、むなしいにちがいない。 2.高名の木登りといひしをのこ、人を(おきて)て、高樹にのぼせて、 有名な木登りといった男が、人に( )て、高い木に登らせて、
決めておく, 指図し
16
御門に(うれへ)申せば、 御門に( )申し上げると、
訴え
17
1.淀に浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ(むすび)て、 淀みに浮かぶ水の泡は、一方では消え、一方では( )て、 2.また手に(むすび)てぞ水も飲みける。 また手で水を( )て、水も飲んだ。
でき, すくっ
18
1.能因島に舟を寄せて、三年幽居のあとを(とぶらひ)、 能因島に舟を寄せて、三年間俗世を避けて暮らしていた後を( ) 2.国の司まうで(とぶらふ)にも、え起き上がり給はで、舟底に伏し給へり。 国司が参上して( )ときにも、起き上がりなさることができなくて、舟底に横になっていらっしゃる。 3.後のわざなどにも、こまかに(とぶらは)せたまふ。 法事などにおいても、心を込めて( )なさる。
訪ね, 見舞う, 弔う
19
1.かくまで(やつし)たれど、みにくくなどはあらで、 姫君はここまで( )服装をしているが、見苦しくなどもなくて、 2.なほ(やつし)にくき御身のありさまどもなり。 やはり( )がたいご身分の様子である。
質素な, 出家し
20
1.八日、(さはる)ことありて、なほ同じところなり。 八日、( )ことがあって、やはり同じところにいる。 2.月影ばかりぞ、八重葎にも(さはら)ずさし入りたる。 月光だけが、幾重にも生い茂っている雑草にも( )ず差し込んでいる。
差し支える, 妨げられ
21
1.にはかに、かく渡りおはしまいたれば、主の院驚き(かしこまり)きこえたまふ。 突然このようにおいでになったので、主人の院は驚き( )申し上げなさる。 2.五位六位ひざまづき(かしこまる)。 五位六位はひざまずき( )。
恐縮し, 恐縮して正座する
22
何のわざをか(かこた)むとする。 なんのことを( )うとするのか。
嘆こ
23
そのおそくとき花の心をよく(わき)て、色々を尽くし植ゑおきたまひしかば、 その遅い早いという花の性質をよく( )て、あらゆる種類の花の木を植えてお置きになったので、
理解し
24
このふるさとの女の前にてだに、(つつみ)侍るものを、 自分の実家の侍女の前でさえ、( )ておりますのに、
遠慮し
25
人はかたち、ありさまの、優れたらんこそ、(あらまほしかる)べけれ。 人は容貌や、用紙が、すぐれているようなのが、( )にちがいない。
望ましい
26
1.いとをかしげに(らうらうじく)書きたまへり。 実に美しい様子に( )お書きになっている。 2.夜深くうちいでたる声の、(らうらうじう)愛敬づきたるいみじう心あくがれ、せむかたなし。 深夜に鳴き出した声が、( )かわいらしいのは、ひどく心が引かれ、どうしようもない。
巧みに, 上品で
27
1.この童も心得てけり。(うるせき)やつぞかし。 この子も分かっているのだなあ。( )やつだよ。 2.宮の御琴の音は、いと(うるせく)なりにけりな。 宮のお琴の音色は、たいへん( )になったなあ。
賢い, 巧み
28
1.とりたてて、(はかばかしき)後見しなければ、 取り立てて、( )後ろだてがないので、 2.「とく参りたまへ」など(はかばかしう)も、のたまはせやらず、 「早く参内してください」などと、( )は、最後までおっしゃることもできず、
しっかりとした, はっきりと
29
若ければ、文も(をさをさしから)ず、 若いので、手紙も( )ず、
しっかりしておら
30
園の別当入道は(さうなき)庖丁者なり。 園の別当入道は( )料理人である。
比べるものがない
31
1.花は盛りに、月は(くまなき)をのみ見るものかは。 桜の花は盛りで、月は( )のをのみ見るものか、いや、そうではない。 2.(くまなき)もの言ひも、定めかねて、いたくうち嘆く。 ( )ものの言い手も、決めかねて、ひどくため息をつく。
陰がない, なんでも知っている
32
「妹のあり所申せ、申せ」と責めらるるに、(ずちなし)。 「妹のあり所申せ、申せ」と責めなさるので、( )。
どうしようもない
33
声高になのたまひそ。屋の上にをる人どもの聞くに、いと(まさなし)。 声高におっしゃらないでください。屋根の上にいる人たちが聞くと、実に( )。
よくない
34
1.世に語り伝ふること、まことは(あいなき)にや、多くはみな虚言なり。 世に語り伝えられていることは、本当は( )のであろうか、多くはみな嘘である。 2.(あいなう)心苦しうもあるかな。 ( )気の毒でもあるわ。
つまらない, なんとなく
35
1.などてかく(はかなき)宿はとりつるぞ。 どうしてこのように( )宿をとったのか。 2.(はかなき)文つけなどだにせず。 ( )手紙をつけることさえしない。
頼りない, ちょっとした
36
(心づきなき)あらん折は、なかなかその由をも言ひてん。 ( )ことがあるようなそのときは、かえってその理由を言ってしまうほうが良い。
気にくわない
37
1.御使ひも、いと(あへなく)て、帰り参りぬ。 お使いも、実に( )て、宮中に帰って参った。 2.帥の皇子も重く悩ませ給いひて、(あへなく)失せ給ひぬ。 帥の皇子も重病にかかりなさって、( )もお亡くなりになった。
落胆し, はかなく
38
1.おろかなる人は、「ようなきありきは(よしなかり)けり」とて、来ずなりにけり。 いい加減な人は、「無用な歩きは( )なあ」と言って、来なくなってしまった。 2.あらぬ(よしなき)者の名乗りして来たるも、返す返すもすさまじといふはおろかなり。 別の( )者が名乗ってきたのも、本当に興ざめだなどという言葉では言い尽くせない。
つまらない, 関係がない
39
なほいとわが心ながらも(おほけなく)いかで立ちいでしにかと、汗あえて、 やはりほんとうにわが気持ちながら( )も、どうして出仕したのだろうかと、汗が流れて、
身の程知らずに
40
1.男にもこのをばの御心の(さがなく)悪しききとを言ひ聞かせければ、むかしのごとくにもあらず、 夫にもこの叔母のお心が( )ひどいということを言い聞かせたので、昔の通りでもなく、 2.(さがなき)童べどものつかまつりける、奇怪にさうらふことなり。 ( )子供たちがいたしましたことで、けしからんことです。
意地が悪い, いたずらな
41
1.げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつといで来ぬ、いと(はしたなし)。 なるほど実に気の毒だなどと聞きながら、涙がすぐに出てこないのは、ほんとうに( )。 2.心許さざらむ人のためには、(はしたなく)もてなし給ひつべくこそものし給ふめるを、 心を許さない人に対しては、( )振る舞いなさるにちがいなくていらっしゃるようだが、 3.野分(はしたなう)吹いて、 台風が( )吹いて、
きまり悪い, そっけなく, 激しく