問題一覧
1
定速直進走行中の自動車の制動による前輪への荷重移動量の大きさは、当該自動車の質量、 減加速度の大きさおよびホイールベース長さに比例し、当該自動車の車体重心高さに反比例する。
×
2
冷間圧延鋼板と自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板の2つを比較すると、両者はともに ( ⑳ )の値も板厚の標準範囲もほぼ同じであるため、どちらを使用しても車体剛性には大差 がないことを把握しておくことが重要であり、後者をいくら多く使用しても車体剛性はまったく 向上しない。後者が前者よりも優れているのは、板厚を薄くしても高い( ㉑ )と( ㉒ ) を備えているため、荷重を負担できる塑性域に余裕があることであり、重量増加を抑えながら強 度と衝撃吸収性を高め安全性をより向上させている点である。
ヤング率, 引張強度, 降伏強度
3
傾斜路を一定の速度で登坂中の自動車の勾配抵抗は、当該自動車の質量、傾斜路の角度に比例するが、車体の重心高さや路面の摩擦係数、またタイヤと路面との接触面積の大きさには ほとんど影響を受けない。
〇
4
路面の摩擦係数が同じであれば、一定の速度で定常円旋回走行中の自動車の前輪サスペンシ ョンのロール剛性配分を相対的に後輪よりも大きくすると、前輪の方が後輪に比べ旋回内側 から外側への荷重移動量が減少し、車体にはオーバステア方向の挙動が発生しやすくなる。
×
5
酸素アセチレンガスを利用した比較的広めの低クラウン部のあぶり出し板金作業では、炭 化炎で青熱温度域を超えない温度を維持しながら、トーチを先端が渦を巻くように移動さ せるとともに、鋼板表面が規定の高さに戻るまで冷却することなく一度の作業で連続して 行うのが適当である。
×
6
SPFC 表示の鋼板は、主に引張強さと降伏点の違いにより区分されており、引張強さが小さ い鋼板ほど降伏比も小さくより加工成形性に優れているため、主に絞り加工用として多く使 用されている。
〇
7
フロントタイヤ上方にアッパアームを配置する一般的なウィッシュボーン式フロントサスペン ションでは、アッパアームの配置場所を工夫することにより( ① )を小さく設定すること ができ、これにより走行中のタイヤの接地性を高めることが可能であるが、このままではステ アリングホイールの自動復元力による直進性が低下するため、対策の一つとして、操舵軸上の モーメントとして作用する( ② )を大きくすることでこれを補うことが可能である。ただ し、これでは当該モーメントの影響を強く受けやすくなるため、モーメントの影響を受けずに ステアリングホイールの自動復元力だけを利用して直進性を確保するには、( ③ )による アライメント調整を行うとより効果的である。
キングピン傾斜角, キャスタトレール, キャスタオフセット
8
インパネを含めた内・外装トリム系モジュールでは、ABS 樹脂に代わり( ② )が採用 され始めている。ABS 樹脂成分の一つである合成ゴムの基材(”B” のブタジエン)の経年劣化に 配慮し、弾性や耐候性のより優れたアクリレート(アクリルゴム)を代用しているのが特徴であ る。
ASA
9
下の1~9は、トヨタヤリス(MXPH10 系)のフロントウインドガラス取替作業時に発生す るフォワードレコグニションカメラの動的キャリブレーション関連の作業内容の一部を一 般的な作業手順に照らし合わせて適正な順番に列記したものです。空欄①~⑥にあてはま る作業内容として適切なものを〔A〕の中から選びなさい。 1.( ① ) 2.故障診断機(GTS)を車両のデータリンクコネクタに接続した。 3.イグニッションをオンにした。 4.( ② ) 5.( ③ ) 6.( ④ ) 7.( ⑤ ) 8.ブザー音5回の吹鳴を確認した。 9.( ⑥ )
フロントウインドガラスの清掃を行い、タイヤの空気圧を正規に調整した。, 故障診断機(GTS)を操作して「作業サポート」の「走行軸調整モード移行」を選択した。, 平坦な舗装路において急な加減速を行うことなく時速 40 ㎞/h 以上で走行させた。, 一定時間走行させた後に走行ルートの変更を要した。, 一定時間走行させた後にターゲット認識作業の再調整を要した。, 故障診断機(GTS)を操作して「作業サポート」の「車両制御履歴」を選択した。
10
サスペンションクロスメンバ方式の FF 車では、当該クロスメンバがフロントサイドメンバ 後方付近にボルトで締結されているため、片側サイドメンバ先端への入力でダッシュロワ部 にまで損傷が及んでも、非衝突側のサイドメンバに損傷が波及する可能性は低い。
×
11
DP 鋼板と TRIP 鋼板は、高延性複合組織型高張力鋼板を代表する鋼種であり、2つの鋼板の共通する特徴は、ともに内部が性質の異なる複数の層で構成され、( ① )が小さく伸び特性(延性)に優れ、荷重の負荷範囲が極めて広いことである。
降伏比
12
マグネシウムは、実用金属の中では最も軽量であり、またその合金は衝撃吸収性や耐くぼみ性が良好であり、また酸性の水溶液中でも極めて高い耐食性を維持できるため、主に鋳造用合金として利用されるほか、冷間加工性も良好であるため、各種展伸材にも利用されている。
×
13
電気抵抗スポット溶接作業において、電流や通電時間の過多はナゲット周辺部に熱影響部 を形成しやすくなり、鋼板パネルの場合、非鉄金属の場合と異なり、当該熱影響部を外観か ら識別するのが極めて困難である。
×
14
ロッカパネルなど一定の硬さを備えるとともに長手方向に一定の距離を持つ鋼板パネルで は、長手方向に弾性変形が、また短手方向に塑性変形が生じ生じやすく、作業にあたっては 凹みの中心にワッシャやピンを一列に並べ、一度に引き出しながら塑性変形部のハンマリン グを併用するのが適当である。
〇
15
、唯一、PP材が使用できないとされているモジュールの一つが燃料系モジュール(ポン プ、ハウジング、キャニスタ、フューエルタンクなどを一体化したもの)である。 耐熱性には優れるPP材であるが、熱変形温度(繰返しの熱的負荷によるたわみ発生温度)が 低いため、燃料系モジュールに使用される樹脂のほとんどは( ⑪ )である。強度の高さ に加え、吸湿変形がなく寸法精度に優れ、また実用樹脂最大の疲労特性と自己潤滑性・耐摩 耗性を有するため、シートベルトのリトラクタやバックル、可変吸気バルブ、シフトレバー モジュール、ウインドレギュレータなど、摺動性が要求される箇所にも多く使用されている 代表的なエンジニアリングプラスチックである。また、燃料系モジュールを構成するフュー エルタンク単体について言えば、極めて軽量で実用樹脂の中では最も吸水性が小さく、また 最も低温特性に優れていることから、主として高密度の( ⑫ )が射出成形により製品化 されているが、昨今、厳しい燃料蒸発ガス規制を受け、樹脂最大の外気遮断性(ガスバリヤ 特性)を有する( ⑬ )をバリヤ樹脂層として使用し、これを接着樹脂層と積層させて多 層ブロー成形する製品が多くなっている。
POM, PE, EVOH
16
耐熱性や耐衝撃性をPMMA、PVBより補完した樹脂がエンジニアリングプラスチックを代表する( ③ )である。各種ランプレンズ、メータカバー、液晶ディスプレイ、リヤクォータガラス(主に嵌め殺しタイプ)のほか、PMMAと同様、フロント合わせガラスにも使用できるほどの性能を備え、透明性だけ でなく、高い衝撃特性や電気特性が求められる部位には最適な樹脂とされている。 また、この樹脂とほぼ同等の性能を備えると言われているのが、飽和ポリエステルを代表 する( ④ )であり、( ③ )との複合材としても使用されている。
PC, PET
17
”SPFC490”は”SPFH490”よりも( ③ )が小さく、したがって塑性域における応力とひずみの変動幅に余裕のある加工硬化特性に優れた鋼種であり、受ける負荷が同じであれば、前者の方が( ④ )に優れていることがわかる。
降伏比, 衝撃特性
18
粗出し修正後、同一鋼板パネル内でプレスライン部、クラウン部、エッジ部の3箇所に損傷 が及んでいるときは、最初に寸法の基準面となるエッジ部の修正からはじめ、歪みが最も発 生しやすいクラウン部の修正は最後に行うのが適当である。
×
19
定速直進走行中の自動車を増速させるときの加速抵抗の大きさは、増速に要する余裕駆動力の大きさと常に同値であり、また当該値は、増速した当該自動車を最初の速度になるまで制動したときの制動力の大きさに制動距離を乗じた値とも同じである。
×
20
高張力鋼板に求められる特性は、主に( ① )と( ② )の2つであり、両者とも降伏点 (耐力)の値と密接に関連しているが、前者は主にフード、ドアパネル、トランクリッドなど、外板パネルに求められる特性であり、引張強さに加え、降伏点(耐力)と( ③ )も所 定の大きさが必要となる剛性の高い材料でなければならず、例えば BH 鋼板はその代表的な一例 である。鋼板のプレス時の応力集中による内部歪をつくり出し、その周辺にC(炭素)やN (窒素)を転位、固着させて強度を向上させるという( ④ )を利用したものである。
耐デント性, 耐衝撃性, ヤング率, 時効硬化特性
21
DP 鋼板は、主にマルテンサイト層(硬質層)とフェライト層(軟質層)の複合組織を、また TRIP 鋼板は、さらにベイナイト層(硬軟質層)が加わるため、冷間材であっても成形時の( ② ) が極めて良好であり、また外力に対しては( ③ )に優れるという特性を備えている。これは 軟質層が成形時や事故発生時に鋼板の「変形」を受け持つためであるが、特に TRIP 鋼板については、外力に対して( ④ )と呼ばれる特異な能力を備えているのが特徴である。これは常温時に鋼材内部にオーステナイト組織を意図的に残し、ここに力を加えて硬質なマルテンサイト 組織に変化させるという手法を活用したものであり、変形した部分は強度が上がり変形しにくくなるため、結果として他の部分が変形しやすくなり、最終的に部材全体が均一に変形し伸びが 増加するという仕組みである。複合組織を持つこれらの鋼板は、このような特性を活かし、各種 外板パネル、メンバ、ピラーなどの冷間材として、また繰返しの負荷による応力集中が原因となる亀裂が発生、伝播しにくく、( ⑤ )が極めて高く材料が破断しにくいため、サスペンショ ンアームや各種ホイール周辺部材、床下部材など熱間材にも多く採用されている。
加工特性, 衝撃特性, 変態誘起塑性, 疲労限度
22
非熱処理型合金でも A3000 番台に 属する合金材は、主に( ② )用として使用されることが多い展伸材である。この加工は一 度だけの圧縮工程で異形断面や中空断面まで多用な形状が得られるのが特徴であり、また主に マンガン(Mn)を合金元素に含むため、加工性と耐食性を犠牲にすることなく( ③ )だけ を高めているのが特徴であり、各種チューブやショックアブソーバのシリンダなどのほか、ヒ ートインシュレータ、熱交換器用部材にも採用されている。
押し出し加工, 引張強さ
23
浸炭処理の目的は、表面の硬度だけを高め、内部は靭性の高いままに維持することであるが、最 終工程では( ④ )を行う必要があるため、過度の熱処理は( ⑤ )を高め破損を招く可能 性があり、この点では( ④ )をまったく必要としない窒化処理の方がはるかに有利である。
焼き入れ, 表面脆性
24
DP鋼板は熱処理硬化を部分的に行い軟質なフェライト相を残すことによる( ⑧ )を重視した 鋼板であり、またTRIP鋼板は、常温でもマルテンサイトに変化するオーステナイトを残留させた鋼板であり、受けた衝撃の程度に応じて硬度が上昇していく鋼の( ⑨ )と呼ばれる変態を利用したものである。極めて伸び特性に優れており、強度と伸びのバランスが良好であるため、 高いエネルギ吸収性と強度の維持という両側面の性質を併せ持っている。
絞り性, 変態誘起塑性
25
フロントフェンダとフェンダエプロンとの間に設けられている歩行者傷害低減のためのブラケットは、衝突時に損傷する頻度が高いため容易に交換できるようボルトで取り付けら れているのが一般的である。
×
26
サブフレーム方式を採用している車両は、フロントタイヤに直接外力が作用すると、主にサ イドメンバが負担する応力の集中度が高まるため衝突エネルギの吸収効果は増加するが、サブ フレームは直接外力を負担せずフロント骨格部を強固に保護する構造になっている。
×
27
樹脂の物理的特性の一つである透明性は、昨今、求められる自動車用樹脂の意匠性の高さか ら重要な要素の一つとされている。例えば、ほぼ完全な無色透明性を備え、ほぼ100%の光の透 過率を有する( ① )と( ② )は自動車用部品として不可欠な熱可塑性樹脂である。 前者は各種コンビネーションランプやメータレンズなどに多用されており、高強度化され たものは法律でフロント合わせガラスにも使用できるほどの性能を備えている。また後者 は優れた接着性を併せ持っているため、自動車用安全ガラスの中間膜としての利用が有名 であるが、両者とも耐熱性や耐衝撃性がそれほど高い樹脂ではない。
PMMA, PVB
28
自動車の OBD (On Board Diagnostics)とは、自動車各部に取り付けられた ECU(Electrical Control Unit)にプログラミングされている機能の一つであり、日本では型式認定を受け生産し ている乗用車および小型トラックには OBDⅡと呼ばれる仕様の自己診断機能の搭載が義務付け られている。 現在の OBDⅡは、国際規格に準じた DLC(Data Link Connector)と呼ばれる接続コネクタと、同 じく国際規格に準じた故障コードを使用することで、故障発生時には共通の警告などを行うこ とができる機能を実現している。 また OBDⅡでは5種類の共通の通信規格を有しており、その故障コードは DTC(Diagnostic Trouble Code)と呼ばれ、先頭のアルファベット一文字と( ① )桁の数字により構成されて いる。例えばアルファベットが「P」の場合、パワートレインに関する DTC であり、エンジンの 排気ガスの有害成分制御装置の不具合などを検知するコードとなる。また「( ② )」で始ま るコードはシャーシに関する DTC であり、ABS(Antilock Brake System)などに関連する不具 合、「B」で始まるコードはボディに関する DTC であり、( ③ )などに関連する不具合、 「( ④ )」で始まるコードは、その他に関する DTC であり、CAN(Controller Area Network) などに関連する不具合となっている。またアルファベットの次の数字が「( ⑤ )」の場合は、 国際的に共通の意味を持つ DTC、「1」や「2」の場合は、各自動車メーカーが独自で設定した DTC となっており、コードのアルファベットと数字から車両の不具合の傾向が判断できるようにな っている。
4, C, エアバッグ, U, 0
29
酸素アセチレンガスによる一般的な金属の切断作業は、予熱した金属の溶融部を酸素の噴 射流で燃焼、溶断させる原理を利用するため、母材の融点を問わず、炭素鋼から非鉄合金材 に至るまで、広範囲の金属を対象にできるのが利点の一つである。
×
30
① 水性系プラサフは水の含有量が高いため、鋼板露出部へ直接塗布すると錆が生じる可能性 があるため。 ② 水性系塗料は溶剤系塗料と比較して表面張力がかなり大きいため。
31
アルミ合金パネルは、鋼板に比べて表面硬度が低く自己酸化皮膜を形成するため、充填材 の密着性が高いことから、充填作業にあたっては事前に足付けなどの表面処理を施さず、 パテの塗布厚も薄くして作業を行うのが適当である。
×
32
下に列挙した 14 の作業内容は、グローバルジグを用いた内板骨格修正作業の一部を抜き出 したものです。一般的な作業手順に照らし合わせて5~11 番目の作業内容(下のア~キの 作業内容)を適切な順番に並べ替えたとき、8番目にくる作業内容は( ① )であり、ま た 10 番目にくる作業内容は( ② )である。 1.車両のリフトアップを行った。 2.車両固定のため、下回り全体のダメージを確認するとともに、足回り関係の部品を取り 外した。 3.損傷車両専用のチャートを確認した後、車体固定用のジグを選択した。 4.フロントおよびリヤサスペンションメンバ取付穴にジグヘッド部だけを単体でボルトで 固定した。 ア.損傷したフレームの最も浅い手前の部位(外板パネルに近い部位)を計測・修正し、寸 法出しを行った。 イ.車体全体のセンタ出しが必要になったため、ポートパワーによる押し作業を行い左右幅 を確認した。 ウ.ジグベース(トロリベース)をフリーの状態にしたまま車両をリフトダウンし、キュー ブにジグヘッド部を取り付け た(キューブと車体側に取り付けたジクヘッド部の固定)。 エ.損傷したフレームの最も深部を計測・修正し、寸法出しが完了した後に前後・左右・高さを固定した。 オ.車両固定用のジグ装置一式が取り付いたクロスビームを正規の前後位置に固定した。 カ.左右の幅、高さ、奥行きを最終点検・確認後、車体固定用ジグ装置一式を完全に固定し た。 キ.車両のリフトダウンに先立ち、ベンチ上のクロスビームにジグベース(トロリベース) などジグ関連の各種アタッチ メントを取り付けた。 12.専用の計測器をクロスビーム上に設置し、車両上部の計測・修正を行った。 13.外板パネル同士の正確な位置決め調整作業を行った。 14.足回り関係の部品を取り付けた。
イ, エ
33
ワッシャを使用して鋼板の細く長手方向の凹み傷の修正を行うときは、損傷個所の端部から 中心へと作業を進め、必要に応じて周りの高くなった箇所をハンマリングを併用しながら引 き作業を行うのが適当である。
〇
34
「SPCE」よりも板厚の範囲が狭くその厚みが薄いにもかかわらず、「SPCE」に迫る伸び特性を確保しているのが「SPFC340」である。ハイテン材の中では最も引張強さが小さい鋼板であり、( ③ )の値が 0.5 と非常に小さく、塑性変形能力や衝撃特性に優れ、衝突時の安全性能が極めて高いのが特徴である。この値が大きいと、( ④ )を維持したまま材料が急激に引きちぎられるように破壊するため非常に危険である。
降伏比, 弾性限度
35
アルミ合金パネルは、硬質かつ平滑な酸化皮膜とその絶縁性の高さから表面エネルギが極め て小さく充填材の密着性が悪いことから、充填作業にあたっては事前に足付け効果の高いウ ォッシュプライマなどの金属表面下処理を施すのが適当である。
〇
36
ワッシャやピンを使用して鋼板のプレスラインや高クラウン部など、比較的引出箇所の硬い 凹みを修正するときは、損傷部の塑性変形による歪を増大させないよう、ワッシャやピンの 溶植間隔を広くして作業するのが適当である。
×
37
アルミ合金パネルの溶接を伴う補修作業では、一般的な鋼板と同様、低温割れの防止や変 形・残留応力の低減などを目的に、溶接に先立ち補修箇所の予熱・保持など、溶接後の冷却 速度は遅くし、冷却時間を長くするための措置が必要である。
〇
38
JIS 規格で表示される”SPFC490”と”SPFH490”は、ともに加工性に重点が置かれた使用頻度の高い代表的な高張力鋼板である。 前者は主に外板・内板の主要パネルに、後者は主にクロスメンバ、ピラー、ルーフサイドレールなどの強度部材をはじめ、足回り部材の一部に採用されており、両者を比較すると、JIS 規格上、( ① )の値はまったく同じであるが、”SPFH490”の方が板厚があり、( ② )が大きい分だけ剛性が高く、使用応力範囲内での安全性に配慮されている。
引張強さ, 降伏強度
39
( ② )は、ガラス繊維で補強されたものが多く、また成形時に高温・高圧を必要 とせず常温での成形が可能であるため、比較的大型の部材・部品でも金属を超えるほどの引 張強度や衝撃特性を備えるものが容易に成形できるのが特徴である。 一般に、熱硬化性実用樹脂に共通する特徴の一つは、電気特性(電気絶縁性)に優れている 点であり、電気特性に優れている樹脂ほど吸水性が小さく耐水性に優れているため、この特 性を活かした用途が、各種電気配線基盤や接続用カプラ、さらには接着剤や塗料、断熱・防振材などである。
UP
40
またフード全体では頭部の衝撃緩和を図るため、インナパネルに複数の( ④ )加工を施すこ とで衝突時に変形を促しエネルギの吸収性を高めたものや、( ⑤ )加工を施しその高さやピッ チを最適化することで衝撃緩和性能を保ちながらフード Assy を比較的厚みの薄い構造としてい る車両もある。 これに加え、歩行者との衝突をフロントバンパ内部に配した( ⑥ )センサが検知したとき、 フード全体または後部を持ち上げることでエンジンルーム内に空間を確保するものや、フード後 部付近に歩行者保護エアバッグを展開する車両もある。
ブランク(穴あけ), 縦ビード, 圧力
41
直進走行に必要な自動車の駆動力は、実際に当該自動車に作用する力として摩擦係数に比例しスリップ率に反比例するが、タイヤと路面の摩擦力の反作用であるため、いかなる場合も 摩擦力と常に同じ大きさの反対方向の力である。
〇
42
5000 系合金材は、一般に非熱処理型と言われる合金であるが、強度、耐食性、溶接性、低温特性に優れるものが多く、主に車体用パネルや溶接構造用合金材として利用されている万能材である。一方、6000・7000 系合金材は熱処理型の合金である。主に( ③ )により硬度を高めており、車体用パネル、アルミ煽り、車体用構造部材、機械部品に至るまで広範な用途がある。また3種類とも成形にあたっては熱間による( ④ )を得意とし、複雑な断面形状でも一度の加工 で成形できるのも特徴の一つである。
時効処理, 押出し加工
43
A5000 番台に属する合金材 は、主にマグネシウム(Mg)を合金元素に多く含むため、非熱処理型の中では単位質量あたり 最高の( ④ )を備える軽量型構造用展伸材であり、車体用パネル用材料のほかホイール用 材料としても採用されている。いずれの場合も、アルミニウムは、鋼にみられるような( ⑤ ) の性質を示さず、冷間温度を下げて加工しても引張強さや耐力が低下しないという特異な性質 をもっており、加工成形にあたってはこれが利点の一つになっている。
比強度, 低温脆化
44
下に列挙した 12 の作業内容は、リフト機能を備えた固定式カロライナへの乗り入れからド ロアライナの設置までに必要の作業内容を抜き出したものです。一般的な作業手順に照ら し合わせて3~11 番目の作業内容(下のア~ケ)を適切な順番に並べ替えたとき、6番目 にくる作業内容は( ① )であり、また9番目にくる作業内容は( ② )である。 1.ワークベンチのセンタラインと車両のセンタラインを合致させ、正規の位置へ乗り入れ た。 2.車両をワークベンチごとリフトアップした。 ア.シャシマウンティングがセットできる位置までワークベンチを更にリフトダウンさせた。 イ.ワークベンチに降ろした車両のピンチウエルド部にシャシクランプをかみ合わせ、シャシマウンティングと共に既定 のトルクで締め付ける。 ウ.メジャリングスライドを正規の位置に取り付けるとともに、チューブ、メジャリングス ケールを所定の位置にセット し、幅、高さの寸法を計測する。 エ.既定の位置にシャシマウンティング、シャシクランプセットを取り付けた。 オ.シャシクランプとロッカパネルの位置を確認しながらリフトアップさせ、クイックセッ ティングスタンドを抜いた。 カ.ワークベンチスタンドを4本取り付け、ワークベンチを接地させた。 キ.メッジャリングブリッジのセンタラインと車両のセンタラインを合致させ、車両の下へ 差し入れる。 ク.タイヤの下にクイックセッティングスタンドを4本差し入れた。 ケ.リフトダウンさせ、車両をクイックセッティングスタンドの上に乗せた。 12. スケールを読んで骨格の損傷診断を行い、適切な位置にドロアライナを設置する。
エ, カ
45
適正に機能させるためには、機構上、2基のドライブプレートとプレッシャプレートのほか、 アウタ・インナそれぞれのインプットシャフトは必要不可欠である。
DCT(Dual Clutch Transmission)
46
JIS 規格で表示される”SPFC490”と”SPFH490”は、ともに加工性に重点が置かれた使用頻度の高い代表的な高張力鋼板である。 両者の利点を備えた鋼板の一つが、一般に( ⑤ )と呼ばれる鋼種である。低炭素鋼でかつ薄肉化が図られているため、プレス成形性が良好であり、また成形後の熱処理により含有する炭素や窒素を部分的に偏在、固着させる( ⑥ )と呼ばれる現象を利用することで極めて高い強度を備えることが可能であり、外板パネルだけでなく、サスペンションアーム、サイドメンバ、クロスメンバ、各種ピラーなどの内板構造部材への適用も可能になっている。
BH鋼板, 歪み時効硬化
47
EV・HV 車などについては、エンジン負圧を有効に利用できないため、電動モータの駆動に より負圧を発生させ制動時の操作力を軽減させるための機能部品が取り付けられているこ とが多く、専用の ECU コントローラは、圧力センサ等をもとにオンデマンドで負圧を制御 できる機能を備えている。また負圧力を一時的に蓄えるため、当該機能部品含めた回路内 には専用のタンクが設けられているのが外観上の特徴である。
電動バキュームポンプ
48
電気抵抗スポット溶接作業において、溶接に先立ち残留する不純物を十分に除去、清浄す るのは、当該不純物が溶接熱によりガス泡を発生させ、これがナゲット内部に残ることで ブローホールを誘発させナゲット自体の強度を低下させる原因になるからである。
〇
49
下に列挙した 10 の作業項目は、穴の開いた炭素繊維強化樹脂パネル(CFRP 製パネル)の補 修作業を行ったときの作業内容の一部を抜き出したものです。一般的な作業手順に照らし 合わせて2~10 番目の作業内容(下のア~ケ)を適切な順番に並べ替えたとき、5番目と 6番目にくる作業内容はそれぞれ( ① )と( ② )であり、また8番目にくる作業内 容は( ③ )である。 1.ダブルアクションサンダを用いて損傷部周辺にフェザエッジングを施した。 ア.炭素繊維のマットをビニールシートで保護し、脱泡処理を行った。 イ.カーボンクロスをサンドペーパで研磨し、表面の樹脂を平滑に整えた。 ウ.ノーマルクリヤを塗布した。 エ.1 枚目の炭素繊維のマットを適当な大きさにカットして貼り付けた。 オ.カラークリヤの調色作業を行った。 カ.当該パネルの裏側にアルミテープを貼付した。 キ.充填部を基準高さより若干低めに研磨成形した。 ク.調合した樹脂を損傷部周辺に薄く塗布した。 ケ.1 枚目のカーボンクロスを適当な大きさにカットして貼り付けた。
ア, キ, イ
50
フロントウィッシュボーン式サスペンションのサスペンションロワアームの配置は、一般にその長さが短く取付け角度が鋭角なほど旋回時に ( ① )が増大しタイヤに左右方向の横滑り力が強く生じるため、アッパアームよりロワアー ムを長くして横方向の力をタイヤに負担させない構造としているのが一般的である。 しかしながら、このままでは( ② )や( ③ )が大きくなるという欠点が残るため、 両者の変化を吸収しやすいようにしたのが昨今のハイマウントアッパアーム方式であり、この方 式を採用することにより、前者については操舵軸回りのモーメントである( ④ )を小さくし て操舵時の路面からの抵抗力を抑えることが、また後者については路面に対するタイヤトレッド の面圧を均一かつ最大限に利用することが可能となっている。
スカッフ量 , キングピン傾斜角 , キャンバ角 , キングピンオフセット
51
3ボックスタイプの FF 車は、リヤフロアサイドメンバに大きな衝撃力を受けると、当該サ イドメンバ前部が接合されたクォータホイルハウスインナにも衝撃力が波及しやすく、ホ イルハウスアウタを含めたホイールアーチ部全体に損傷が波及する可能性が高い。
〇
52
ウィッシュボーンやマルチリンク式のサスペンションはコーナリングフォースを確保するため( ④ )と( ⑤ )の値を小さくすることも非常に有効である。ともにモーメントの 影響を抑える効果があり、前者は、キャスタトレール量との相乗効果により旋回外輪に強く作用 するモーメントである。また後者は、タイヤの転がり抵抗とコーナリングフォースの相乗効果に より作用するモーメントであり、キャスタトレール量とニューマチックトレール量の合計値にコ ーナリングフォースの大きさを乗じた値とほぼ同じである。
キングピンプラスオフセット , セルフアライニングトルク
53
4ドアセダンタイプの車両では、後方から入力でリヤフェンダが前方に押されリヤドアに大 きな損傷が発生すると、センタピラー部の曲がりを介してフロントドアフレームが上下方向 に圧縮されるため、ドアが前方方向へ移動しリヤドアとのチリが広くなる可能性が高い。
×
54
溶接機の水冷化については、( ⑦ )の低下やチップ先端の軟化などを防止するため冷 却キャップ型電極チップが採用されることが多く、この場合、チップの選択やメンテナンスが 極めて重要である。
熱伝導率
55
トヨタ車に採用されているセルフリストアリングコートについて述べたつぎの文について、下の (1)、(2)の各設問に答えなさい。 軟質樹脂クリヤをカラーベースに塗布して軽度の耐スリ傷性向上を目的としたスクラッチシー ルド塗装と異なり、セルフリストアリングコートは、架橋反応によりクリヤ塗装の材料である樹 脂を分子同士の結合を加速・促進させる高分子構造とすることにより、緻密で靭性、弾性に優れ ると同時に一定の硬度を備えているため、一般的な耐スリ傷性向上クリヤに比べて破壊されにく く、また光や酸に対する高い抵抗性とともに、変形回復性を大きく向上させているのが特徴であ り、①塗膜構成もスクラッチシールド塗装と異なっている。 なお、補修時における留意点では、塗膜の乾燥や磨き作業に時間を要するほか、塗装工程への移 行に伴うマスキングなどが追加作業になるが、②特に磨き作業については、時間短縮を図るため の対策が必要である。 (1)文中の下線部①について、スクラッチシールドとセルフリストアリングコートの塗膜構成の 違いを簡潔に説明しなさい。 (2)文中の下線部②について、最終的に何を目的としてどのような対策(作業)が必要とされて いるか説明しなさい。
(1)前者はカラーベースの上層に直接スクラッチシールドを行うのに対し、後者はソリッドを除き、通常ノーマルクリヤの上層にセルフリストアリングコートを行う3層の塗膜構成である。 (2)メタリックやパール塗装においてはノーマルクリヤを、またソリッド塗装ではカラーベースを加熱硬化させた後に中研ぎ作業を行うことにより、その後に塗布するセルフリストアリングコートの塗膜表面を極力平滑化する作業が必要である。
56
昨今の FF コンパクトカーは、旋回中一定の速度で走行することを前提とすれば、できるだけフ ロントの回頭性を重視しアンダステア特性を抑制する方向にセッティングされる車種が多い。 その手法の一つは、旋回時のキャスタ効果(※)を抑えることである。キャスタ効果は、( ① ) がプラス方向に設定されることによりその効果が大きくなるため、これをできるだけゼロに近 づけるか幾分マイナス方向に設定することである。この設定でタイヤが回転すると( ② )を プラス方向に設定したときと同じ効果が生まれアンダステアを打ち消すことが可能となる。
キングピンオフセット, トー
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定速直進走行中の後輪駆動車を増速させるときの限界加速度の大きさは、自動車のホイール ベースが一定であれば、自動車の重心高さに比例し、質量に反比例するだけでなく、ギヤの 総変速比や最大トルクにも比例する。
×
58
サブフレーム方式を採用している FF 車は、サブフレーム自体がパワートレインの重量や駆 動反力をすべて負担するとともに、その前端はフロントサイドメンバとともにフロントバ ンパリインホースメントに締結されることにより、前面衝突時の衝突エネルギを効率的に 吸収する役割を担っている。
×
59
下のア~クは、高剛性接着剤を使用してボデーロワバックパネルの取替を行ったときの作業内 容の一部を抜き出したものです。一般的な作業手順に照らし合わせて当該作業内容を適切な 順番に並べ替えたとき、4番目にくる作業内容は( ① )であり、また7番目にくる作業 内容は( ② )である。 ア.工業用ドライヤで接着剤塗布部を歪みが出ない程度に加熱した。 イ.ボデーシーラを塗布した。 ウ.隣接関係部品の建付けを点検した。 エ.新品部品を仮付けしてボデー寸法図に従い各部の寸法を測定した。 オ.閉断面箇所に防錆剤を塗布した。 カ.接着剤塗布部にタガネを打ち込んでパネルを剥がした。 キ.ボデー側に構造用接着剤を塗布した。 ク.CNSグラインダで剥がした面を全体的に研磨した。
エ, イ
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カウルトップサイド(フードリッジリインホースメント)は、フロントフェンダエプロンの 最外側に取り付けられ、閉断面構造を形成し高い剛性を確保するとともに、縦ビードや穴 あけ加工部位を設けることにより前方からの外力に対する衝撃吸収機能を併せ持つ構造に なっている。
〇
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粗出し修正後、同一鋼板パネル内の損傷がエッジ部、プレスライン部、クラウン部などに及 んでいるときは、一般に最初に面高さの基準となるプレスライン部の形状修正を行い、つぎ にクラウン部を修正し、最後に隣接パネルに合わせてエッジ部を修正するのが適当である。
×
62
交流アーク方式では両極の発熱量は等しいが、安定したアークを得ようとすると直流方 式よりも高い( ⑪ )が必要となり極めて危険であるため、これに備える機器が法律で義務 付けられている( ⑫ )装置である。
無負荷電圧, 電撃防止
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主に EV 車に採用されている代表的な空調システムの一つがヒートポンプ方式である(下記冷媒 回路概要図参照)。コンプレッサ、アウタ(室外)コンデンサ、インナ(室内)コンデンサ、エ バポレータ、ブロワモータ、アキュムレータ、絞り弁(オリフィス)などの部品で構成されてお り、この方式の最大の特徴は、一つの冷媒回路だけでヒータとクーラの両用途に利用できるとと もに、回路内の消費電力を無駄なく利用し熱の入れ替えが容易に行える点である。 ヒートポンプの基本原理は、冷房・暖房の両サイクルが、共に大気熱(外気温)を利用しながら 同じサイクル内で熱(ヒート)を吸い上げる(ポンプする)共通の仕組みを備えていることであ り、これを可能にしているのが非常に低い温度でも蒸発特性に優れる冷媒の循環と、2つのコン デンサの配置である。 基本サイクルは、冷媒が低温部では蒸発・吸熱を、また高温部では凝縮・放熱を連続的に行う仕 組みである。 したがって、例えば冷房時は、図中の( ① )を通過する空気の流れを阻止するようにし、ア ウタ・インナの2つのコンデンサのうち、( ② )だけを熱交換器として使用して室内空気か ら吸熱する仕組みである。一方暖房時にはアウタコンデンサが( ③ )の役割を、またインナ コンデンサが( ④ )の役割を担い、両コンデンサを介して最終的に外気から吸熱する仕組み である。 概括すると、冷房・暖房時の主な違いは、冷媒の温度が大気熱(外気温)より高ければ、熱交換 機である( ⑤ )は凝縮器として機能し、また低ければ蒸発器として機能する点である。 また、冷暖房の両サイクルで共通するのは、冷媒が( ⑥ )を通過することである。これは、 変動の大きな大気熱(外気温)を利用するヒートポンプでは、高圧・低圧を問わず、冷媒が二相 化することが多く、これを一相にするための一時的な手段である。 一方、ヒータ材質自体の電気抵抗を利用し、これを熱に変換させるのが( ⑦ )ヒータ方式と 呼ばれる空調システムである。この方式は、温度上昇に伴い材質自体の電気抵抗が急増しバッテ リからの電流が流れにくくなるという性質を利用するものであり、過熱検知、過電流回避の目的 に適しており、温度が上限に達し一定温度で安定すると、無駄な電力を消費せず、温度と電力消 費を制御しやすいのが特徴であり、水加熱式であれば、一般に併用する専用の( ⑧ )により 暖められた温水を循環させ、その回転数を電子制御する方式である。通電により簡単に発熱する ため、ミニバンの後席を始め、EV・HV 車、ディーゼルエンジン車など、エンジン発熱量の少ない 車には最適な方式の一つである。 また、空調時に特に重要になるのがバッテリの温度管理である。特に EV・プラグイン・ハイブリ ッド車などに搭載されているニッケル水素・リチウムイオン電池の熱管理は非常に重要であり、 このとき電流センサとして使用される代表的な半導体素子が( ⑨ )である。バッテリの充放 電電流を検出するためのものであり、流れる電流量により変化するコア部の磁束密度の変化量を 電圧に変換して ECU へ出力し、ECU はこの信号をもとにバッテリの残存容量を算出して充放電電 圧を制御する役割を担っている。さらにバッテリ自体の温度管理を担うセンサが( ⑩ )であり、バッテリ本体の温度上昇に伴い電気抵抗が低下するという特性を備えている。温度に対する 感度が極めて高く、温度検出用素子として、また温度補修を受け持つ能力が高く、通常、バッテ リ・パック内のモジュールに組み込まれ、バッテリ本体の温度を上昇させないよう、ECU は電解 質温度を推定し、これに応じた充電制御を行う役割を担っている。 さらに、使用されるコンプレッサには Full 電動コンプレッサが採用されている。コンプレッサ 自体の形態には、圧縮トルク変動が小さく低振動・低騒音という特性を有する( ⑪ )式のも のが採用されている。専用の電気モータには、コンプレッサシャフトと同様に軸方向に小型化で きる利点を活かし( ⑫ )を採用するのが一般的であり、モータ自体は HV バッテリを電源と し、専用の( ⑬ )により必要な回転数で駆動できるようになっている。また高電圧部を有す るモータと( ⑭ )を完全に絶縁する必要があることから、潤滑オイルには電気絶縁性および 難燃性に極めて優れた( ⑮ )と呼ばれるオイルが採用されており、当該オイルはオイルセパ レータにより分離され、圧縮機構に給油され、潤滑やシールとしての役目も担っている。 なお、オイルの種類は、ボンネットなどの裏に貼られているラベルを確認することで特定可能で あり、たとえばトヨタ車の場合、( ⑯ )と表示されていれば R1234yf(HFO-1234yf)冷媒ガス 対応の一般的な PAG オイル(ポリアルキレングリコール)であり、( ⑰ )と表示されていれ ば電動コンプレッサ専用のオイルであることが分かる。
インナコンデンサ , アウタコンデンサ, 蒸発器, 凝縮器, アウタコンデンサ 2, アキュムレータ, PTC 素子, 電動ヒータポンプ, ホール IC , NTC 素子, スクロール, DC ブラシレスモータ, A/C インバータ, コンプレッサハウジング, ポリオールエステル, 「ND-OIL12」, 「ND-OIL11」
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凹み痕が印象されたアルミ合金パネルの引出し板金を行うときは、ハンマリングによりパネ ルに強い打力を与えると割れが生じやすいため、複数のワッシャを間隔を狭めて溶植し、アタ ッチメントなどを使用して同時に比較的弱い力でゆっくりと引出しを行うのが適当である。
×
65
亜鉛は、鉄よりも融点が低く導電率が高いため、自動車鋼板用の電気・溶融メッキ材料として利用されるほか、その合金は寸法精度を出しやすく、衝撃にも強く高い減衰能を備えるなどの利点があるが、鋼に比べて耐食性は低く、腐食による経年劣化が速いことが欠点の一つである。
〇
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差厚鋼板をフロントサイドメンバに採用している車両は、板厚および断面形状の変化部位 に最も高い強度や剛性を集中させているため、メンバ先端からの衝撃エネルギは当該変化 部位の前後で均等に吸収しやすいという特性を備えている。
×
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THSⅡにおいては、エンジン動力が車輪を直接駆動する力と専用ジェネレータ(発電用モー タ)を可動させる力に分割されるため、構造上、駆動用モータは必要に応じて可動または停止しエンジンのアシストを効率的に行える機構を備えている。
×
68
差厚鋼板をフロントサイドメンバに採用している車両は、クラッシャブルポイントとなる 板厚や断面形状の変化部位をラジエータサポートよりも前方に設置することにより、でき るだけ前面衝突時のラジエータの後退を抑制できる構造になっている。
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に( ⑩ )もPPの代替材として多く使用されている樹脂の一つである。飽和ポリエス テルを代表する熱可塑性のエンジニアリングプラスチックである。ガラス繊維で強化された FRPが多く、強度や耐熱性に優れるほか、電気特性が非常に良好であり、また吸水率が極め て小さく寸法安定性も良好であるため、バンパモジュール、ベンチレーテッドルーバ、ABS ユニットケース、二次電池のモジュールケースなど各種機能部品のハウジングや電装部品の コネクタ類・ケースなどに多く採用されている。
PBT
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MIG ショートアーク法による溶接作業では、繰返しの短絡により溶滴が移行するため、溶滴 自体が重力の影響を受けにくく、また短絡回数を多くするほどアークが安定することから、 上向き姿勢での作業など溶接姿勢を問わないのが利点の一つである。
〇
71
フードロック部をラジエータアッパサポートの後方に配置した車両は、フードリインホース メント前部をクラッシャブル構造とし、併せてフードパネル前部の潰れ代を比較的長く確保 できるため、当該フードの後退を含め機能部品の損傷を抑制しやすい構造になっている。
×
72
フロントフロアクロスメンバは、フロアパンと閉断面構造を成すことによりフロア部の剛 性を高めるとともに、ロッカパネルと強固に締結されることにより、側面からの衝撃力を フロアパンとともに衝撃吸収部位で吸収し、非衝突側の客室空間をできるだけ確保する役 割を担っている。
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73
鋼種は、「SPCC」、「SPCD」、「SPCE」の3種である。3種の中では「SPCE」は( ⑤ )の値が最 も小さく、成形時の伸び率は( ⑥ )%以上が求められ、また厚みが大きい鋼板ほど伸び特性 に優れているため、自動車用深絞り成形材料として外板系部材や機能部品などに多く使用されて いる。
降伏比, 40
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回生協調システムにおいては、ブレーキペダルを介して発生する油圧を実際にホイールに 作用する油圧発生部と切り離す必要があるため、例えばタンデムモータシリンダやアキュ ムレータなど、モータ駆動で発生する油圧を別に設ける機構が必要となるが、これに対応 するためには運転者の実際のペダル踏力の適正な反力を維持する機構が併せて必要である。
ペダルフィール(ストローク)シミュレータ
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力(応力)による電気抵抗の変化を電気信号として ECU へ出力する代表的なセンサの一種 であり、エンジン系ではノックセンサやバキュームセンサのほかコモンレール式燃料噴射 装置などに採用されている。また車体の減速度が感知できることから加速度センサにも利 用できる圧電式半導体の一つである。
ピエゾ抵抗素子
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リヤサスペンションクロスメンバが配置されている FR 車などでは、併設されるリヤフロア クロスメンバとリヤフロアパネルとの位置関係から、後方からの入力によりリヤフロアク ロスメンバに損傷が及ぶとリヤタイヤが前方に移動する可能性が高い。
〇
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電流を流した半導体表面に垂直に作用した磁界だけに反応して起電力を発生させる非接触 型センサの一つであり、磁気(磁束密度)の変化だけでなく、その方向を問わずどの位置か らの磁気でも検出できる点が通常の MR センサ(磁気抵抗素子)と大きく異なる点である。 また、極めて微弱な磁束の変化にも反応できるという特性があることから、正確に回転位 置を追随できるようハイブリッド系のモータやジェネレータに採用されるほか、スロット ルポジションセンサ、アクセルポジションセンサ、さらには電流センサにも使用されてい る万能型センサの一つである。
ホール素子(ホール IC)
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接着材として常温硬化もできるだけでなく、ゴム弾性に富み一定の伸縮性を備えてい るため強靭で引裂き強度が高いほか、防振・断熱・防水効果にも優れているのが( ④ ) である。バックドアインナ・アウタの接合など、材質が異なる2材の膨張係数の差異により 生じる寸法変形を逃がしたいときなどにも効果的な弾性接着材用樹脂である。また同様に断熱・防振材の役割を担う樹脂でも、( ⑤ )は表面硬度の高さと発泡性の良さが特徴であ り、焼付塗料用樹脂、または防振用発泡体などに利用されている。
PUR, MF
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アルミ合金パネルの板金修正作業では、パネル自体の熱伝導率が高く、加熱により強度が低 下しやすいため、狭い範囲で温度を上げすぎないよう留意し、おおよそ 200~250 ℃の範囲 内の予熱温度を維持するとともに、ミグ溶接にあたってはアルミ専用機を使用し、アルミ製 ワイヤを使用するのが適当である。
〇
80
ハイマウントアッパアームを備えるウィッシュボーン式のフロントサスペンションは、ストラッ ト式サスペンションと比べ、走行中の負荷に対する剛性や操舵性に優れているのが特徴である。 例えば、ストラットサスペンションとは異なり( ① )に曲げモーメントが発生せず、その摺 動部には反力が生じないためフリクションが非常に小さいのが特徴である。また旋回時にはアー ムがキングピン傾斜角と( ② )の変化をコントロールできるため、タイヤを起点とした横方 向の力の発生が少なく、さらには上下アームの自在な配置と摺動方向の設定により、( ③ ) が重心高さに近づくようコントロールすることで旋回時の剛性確保と操舵性の良さを両立でき る構造になっている。
ショックアブソーバ, キャンバスラスト, ロールセンタ
81
路面の摩擦係数が一定であり、制動による減速度が常に同じであれば、定速直進走行する自 動車の制動距離は、当該自動車の質量には関係なく、制動初速度と制動時間にだけ比例する。
〇
82
バンパリイン ホースメント、フロント・センタピラー、ロッカパネル部などは、弾性変形を前提に衝撃力をボディ全体に分散する役割を担うとともに、外力の作用により永久ひずみが発生しても、外力を取り除けば以前よりも高い( ③ )を維持しながらより降伏しがたい材料へ変化できるだけの抵抗力を備えているため、例えば加工性冷間圧延高張力鋼板による薄肉化が期待でき、一般に( ④ )を基準強さとして許容応力が決められている。
弾性限度, 引張強さ
83
i-DCD においては、モータが1つ備わり、エンジンとモータの間には2セットのクラッチ機 構(奇数段系と偶数段系)が配され、エンジン・モータの両駆動による相互影響を抑えた構 造であり、また特に1速ギヤが遊星歯車式であり、さらに当該遊星歯車をモータの内側に収 めることでサイズを極めて縮小化しているのが大きな特徴である。
〇
84
スリップ角を持ちながら旋回走行中の自動車に発生するセルフアライニングトルクは、タイヤ接地部の中心よりも後ろ寄りで発生するとともに、コーナリングフォースと力の方向が同じであるため、スリップ角が大きくなるほど小さくなる。
×
85
窒化処理は、浸炭のように鋼の組織を変えることによって硬度を高めるのではなく、低温下にお いて( ⑥ )の雰囲気中で高い硬度の化合物を作ることによって表面を硬化させる処理である。 ( ⑦ )が浅く、熱歪みが小さいのが特徴で、クランクシャフト、カムシャフト、バルブリフ タなど、比較的柔らかい鋼の表面のかじりを防ぎ、摩擦抵抗を減らして( ⑧ )を向上させ、 材料の破壊を回避させるための代表的な表面硬化加工法である。特に窒素は、( ⑨ )や( ⑩ ) などの金属と親和性が強く、当該金属を含む合金鋼の表面処理には最も有利とされている。
アンモニア, 硬化深度, 疲労限度, Al, Cr
86
直進走行中の自動車にその逆方向から作用する空気抵抗の大きさは、当該自動車の走行速度と車体前面投影面積の二乗に比例するが、当該自動車の質量には影響を受けない
×
87
自動車用加工性冷間・熱間圧延高張力鋼板の2つについて は、引張強度が同じあれば、前者の方が後者よりも降伏強度が低く、結果として( ⑱ )の値 小さいため、塑性域における負荷荷重、すなわち破断に至るまでの許容応力の範囲が広いため ( ⑲ )が高いのが最大の特徴である。
降伏比, 衝撃吸収性
88
PPと( ① )は、通常、( ② )と表示されるオレフィン系熱可塑性エラストマとして 使用される代表的な樹脂である。エラストマは、一般に常温でもゴムのような弾性体に近 く簡単に射出成形や押出成形が可能であることから汎用性が高く、バンパ、ウェザストリ ップ、インパネの表皮材、ラック&ピニオン用ブーツ、エアバッグケース、ガラスモール充 填材などに使用される万能樹脂の一つであるが、完全な可燃性の樹脂であり、これが欠点 の一つとされている。
PE, TPO
89
定速直進走行中の自動車を増速させるときの加速抵抗の大きさは、加速時の余裕駆動力の大きさと常に同値であり、また当該値は、増速した当該自動車を加速前の速度に戻すまで制動 するときに必要な制動力の大きさとも同値である。
×
90
SAPH 表示の鋼板は、SPFH 表示の鋼板よりも板厚が小さく伸び特性に優れたプレス成形用の 構造材であるが、同時に SPFH 表示の鋼板よりも大きな引張強さを備えているのが特徴であ る。
×
91
サブフレーム方式を採用している車両では、ロワアームの形状を問わず、フロントサイドメ ンバからフロントフロア部へ損傷が直接波及すると、フロントフロア部への伝播量に比例し てフロントタイヤの後退やサスペンションのアライメント特性に影響を及ぼす可能性が高 い。
〇
92
テーラードブランク材をフロントサイドメンバに採用している車両は、板厚および断面形 状の変化部位に最大応力が集中するため、スティフナなどの補強部材を配置し剛性を確保すると ともに、前面衝突時の前方からの衝撃力はメンバ全体を変形させて吸収する構造になっている。
×
93
特にアルミ合金製のフード前端部付近では、フードロックフックとフードインナパネルリインホ ースメントに一定の間隙を設けたもの、フードロック部をラジエータアッパサポートの( ② ) に設けることで衝撃吸収ストロークを確保したもの、インナパネルに( ③ )加工を施すこと で変形の起点を設けたものなど、主に歩行者の大腿部へ加わる衝撃緩和に様々な工夫が見受けら れる。
後方, 横ビード
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チタン合金は、鋼より密度が小さく鋼を上回る比強度を備えているが、加工性が極めて良好であるほか、熱伝導率が極めて高く酸に対しても高い耐食性を有していることから、熱交換器系や排気系部品に多く採用されている。
×
95
高い耐熱性を備え、実用上唯一の不燃材とも言われているのが( ⑤ )である。エ ラストマとして使用されることも多く、電気特性、摺動性、自己潤滑性に優れ、融点は300℃ を超え、耐油性、耐候性、撥水撥油性にも秀でていることから、ATトランスミッションや各 種回転体用の耐摩耗性シーリング材・シーリング部品として多く使用されるほか、高機能塗 装用塗料としても有名である。
PTFE
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モータを備えるタイプのものは、一般にモータの回転を減速ギヤを介してスクリュ機構へ 伝え、スクリュの回転によりピストンを移動させる構造を備えており、特に減速ギヤ機構 内には、歯車が逆回転しないよう歯車の歯にラッチ(爪)を噛ませる機構を併設しているの が特徴であり、ヒルスタートアシストシステムに対しても効果的である。
電動パーキングブレーキシステム
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自動車用熱硬化性樹脂の中で最も耐熱性、電気特性、機械的強度が良好であり、また耐熱性、 難燃性、断熱性にも優れるという特性を備えているのが( ① )である。ブレーキパッド・ ライニング、ブレーキキャリパ用ピストン、ヒートインシュレータなどに採用されているが、 FRP材やインサート成形材(中間材として樹脂内部に金属類(インサートメタル)を挟み込 んだり分散させたりして成形した材料)として利用されているものは、熱膨張差による応力 の発生により亀裂が生じやすいという欠点があるため注意が必要である。
PF
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ボデー修理用のスポット溶接機には、一般に水冷・エア加圧式でトランス一体型(電源は単相 または三相 200V が主流)が多く使用されている。平均的な最大定格容量は 25kW前後であり、 板厚 1mm 前後の鋼板同士を溶接するために必要な電圧(二次負荷電圧)をおおよそ( ① ) V前後に、また二次電流を( ② )kA前後に変換するのがトランスの役割であり、大きな二 次側出力を得るために必要な機器本体の大型化を防ぐため、昨今、トランスには( ③ )方 式が多く使用され、これに組み込まれている( ④ )制御により高張力鋼板でも高い品質確 保が可能になっている。
2.5 , 10 , 直流インバータ, 定電流補償
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冷間圧延鋼板は、低炭素鋼に相当する軟鋼板であり、プレス成形性や表状性(表面 の仕上がり精度)に優れており、自動車用鋼板として使用される板厚の標準範囲はおおよそ ( ⑨ )mm である。熱間圧延軟鋼板と同様、270MPa 以上の鋼板が板厚に応じた( ⑩ )に より区分され、用途に応じ「一般用」、「絞り用」および「深絞り用」に大別され、主に自動車用 外板パネルや展伸材として多く採用されている。 また、この冷間圧延鋼板の上位に位置するのが自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板である。引張 強度が( ⑪ )MPa 以上の冷間圧延鋼板をいい、自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板と同様、 主に引張強度と( ⑫ )の違いにより区分され「絞り加工用」と「加工用」に大別されている。
0.6~2.3, 伸び率, 340, 降伏強度