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2級対策試験問題
  • 坪井陸

  • 問題数 325 • 7/14/2024

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    問題一覧

  • 1

    傾斜路を一定の速度で降坂走行中の自動車のタイヤに発生する転がり抵抗は、当該自動車 の質量、路面の摩擦係数および傾斜路の角度に比例するが、タイヤと路面との接触面積の 大きさにはほとんど影響を受けない。 

    ×

  • 2

    後輪駆動車(FR 車)が摩擦係数の十分な上り坂をできるだけ後輪タイヤの荷重反力を有効 に活用して加速しようとすれば、ホイールベースが長い車両ほど、また車体重心位置がフロント寄りに設定されている車両ほど大きな荷重反力を得ることが可能である。

    ×

  • 3

    斜面を一定の速度で登坂中の後輪駆動車(FR 車)が、駆動輪を空転させずに登坂可能な限 界駆動力の大きさは、後輪の駆動(荷重)反力、当該自動車の質量および車体重心高さに比例し、ホイールベース長さに反比例する。

  • 4

    斜面を一定の速度で登坂中の前輪駆動車(FF 車)が、駆動輪を空転させずに登坂可能な限界駆動力の大きさは、前輪の駆動(荷重)反力および当該自動車のホイールベース長さに比例し、車体重心高さに反比例する。 

  • 5

    傾斜路を一定の速度で登坂中の自動車の勾配抵抗は、当該自動車の質量、傾斜路の角度に比例するが、車体の重心高さや路面の摩擦係数、またタイヤと路面との接触面積の大きさには ほとんど影響を受けない。

  • 6

    定速直進走行中の自動車を増速させるときの加速抵抗の大きさは、増速に要する余裕駆動力の大きさと常に同値であり、また当該値は、増速した当該自動車を最初の速度になるまで制動したときの制動力の大きさに制動距離を乗じた値とも同じである。

    ×

  • 7

    定速直進走行中の自動車を増速させるときの加速抵抗の大きさは、加速時の余裕駆動力の大きさと常に同値であり、また当該値は、増速した当該自動車を加速前の速度に戻すまで制動 するときに必要な制動力の大きさとも同値である。

    ×

  • 8

    旋回走行中の自動車のロール方向の剛性(ロール角単位あたりのモーメントの逆数としてロ ールのしにくさを表したもの)は、「サスペンションのばね定数」および「左右シャシスプリ ングの取付間隔(距離)」に比例し、「車体重心位置とロールセンタの距離」に反比例するが、 ホイールベース長さには影響を受けない。

  • 9

    路面の摩擦係数が一定であり、制動による減速度が常に同じであれば、定速直進走行する自 動車の制動距離は、当該自動車の質量には関係なく、制動初速度と制動時間にだけ比例する。

  • 10

    路面の摩擦係数が同じであれば、一定の速度で定常円旋回走行中の自動車の前輪サスペンシ ョンのロール剛性配分を相対的に後輪よりも大きくすると、前輪の方が後輪に比べ旋回内側 から外側への荷重移動量が減少し、車体にはオーバステア方向の挙動が発生しやすくなる。

    ×

  • 11

    自動車を走行させるために必要な駆動力の大きさは、路面の摩擦係数が同じであれば、当該自動車のトルク(軸トルク)とタイヤの有効半径に比例し、ギヤの総減速比に反比例する。 

    ×

  • 12

    直進走行に必要な自動車の駆動力は、実際に当該自動車に作用する力として摩擦係数に比例しスリップ率に反比例するが、タイヤと路面の摩擦力の反作用であるため、いかなる場合も 摩擦力と常に同じ大きさの反対方向の力である。

  • 13

    走行中の自動車の出力(軸出力)が一定であれば、当該自動車を駆動させるために必要なトルク(軸トルク)の大きさは、当該自動車のタイヤの有効半径に比例し、走行速度とギヤの総減速比に反比例する。 

  • 14

    制動によりタイヤがロックしないことを前提にしたとき、定速直進走行中の自動車の制動力 (ブレーキペダルの踏力)、減速度および路面の摩擦係数が一定であれば、当該自動車の制 動時間は車両質量と制動初速度に比例し、また当該自動車の制動距離は車両質量と制動初速度の二乗に比例する。 

  • 15

    制動によりタイヤがロックすることを前提とすれば、自動車の質量が増加してタイヤと路面 の摩擦力も増えても、同時に運動エネルギも増加するため、当該自動車のスリップ距離は、 制動初速度の二乗に比例し路面の摩擦係数に反比例するだけで、当該自動車の質量や制動力 (ブレーキペダルの踏力)の大きさには影響を受けない。

  • 16

    平坦路を一定の速度で定常円旋回中の自動車の角速度は常に一定であり、その値は当該自動車の旋回速度を旋回屈曲半径で除した値で表すことができ、したがって角速度が一定のまま 旋回屈曲半径が長くなれば、旋回速度は上昇する。

  • 17

    定速直進走行中の自動車の制動による前輪への荷重移動量の大きさは、当該自動車の質量、 減加速度の大きさおよびホイールベース長さに比例し、当該自動車の車体重心高さに反比例する。 

    ×

  • 18

    スリップ角を持ちながら旋回走行中の自動車に発生するセルフアライニングトルクは、タイ ヤの変形部に発生する反力であり、コーナリングフォースと逆向きで、スリップ角を減少させる方向に作用する復元力である。

    ×

  • 19

    スリップ角を持ちながら旋回走行中の自動車に発生するセルフアライニングトルクは、タイヤ接地部の中心よりも後ろ寄りで発生するとともに、コーナリングフォースと力の方向が同じであるため、スリップ角が大きくなるほど小さくなる。

    ×

  • 20

    平坦な路面を定常円旋回中の自動車が走行中に急加速や急減速を行うと、駆動力や制動力が瞬間的に増加し、これに伴いコーナリングフォースの最大値は減少しやすくなり、車体には横滑りやオーバステア方向の挙動が発生しやすくなる。 

  • 21

    走行中の質量 m の自動車に加わる合力(外力の総和)が mv2 /r(v:走行速度、r:旋回屈曲半 径)であれば、当該自動車は必ず等速円運動状態にあり、その加速度の大きさは常に v 2/r で ある。 

  • 22

    定常円旋回走行中の自動車が旋回路を逸脱することなく走行できる限界旋回速度の大きさは、 旋回半径および路面の摩擦係数に比例し、当該自動車の質量および車体重心高さに反比例す る。 

    ×

  • 23

    直進走行中の自動車にその逆方向から作用する空気抵抗の大きさは、当該自動車の走行速度と車体前面投影面積の二乗に比例するが、当該自動車の質量には影響を受けない

    ×

  • 24

    定速直進走行中の後輪駆動車を増速させるときの限界加速度の大きさは、自動車のホイール ベースが一定であれば、自動車の重心高さに比例し、質量に反比例するだけでなく、ギヤの 総変速比や最大トルクにも比例する。

    ×

  • 25

    限界旋回速度付近で走行中の自動車を急制動するとき、前輪のスリップ角が後輪より大きいほど前輪のコーナリングフォースが相対的に減少しやすくアンダステアの傾向が強くなり、 また前・後輪のスリップ角が同じであれば、後輪のブレーキ配分が大きいほど後輪のコーナリングフォースが相対的に減少しやすくオーバステアの傾向が強くなる。

  • 26

    ステンレスは、クロムやニッケルを合金元素として多く含むため、熱膨張率や熱伝導率が非常に低く耐食性にも優れ、耐熱鋼や抵抗溶接用鋼とし多く使用されており、また特にオーステナイト系のものはニッケルを多く含むため、曲げや絞りなどの冷間加工特性に優れ、加工により高強度が得られるほか、低温特性にも優れ、低温下でも脆化しにくいという性質を備えている。

  • 27

    アルミニウムは、アルマイト処理により導電性や熱伝導性の高さを犠牲にすることなく耐摩耗性の高い硬質な皮膜を人工的に形成することができるため、その合金は外板パネル、各種 熱交換器、軸受などに使用されている。 

    ×

  • 28

    アルミニウムは、融点が低く鋳造性に優れているため、その合金はダイカスト製法によりシリンダヘッド、ミッション・デフケースなど比較的大型の部品の成形に使用されているが、線膨張係数は常温でも鉄の約2倍であるため、寸法精度には劣るという欠点がある。

    ×

  • 29

    アルミ合金は、低温特性に優れ、低温環境下でも引張りや圧縮に対する高い機械的強度を維持することが可能であるが、温度の低下に伴い展伸性は劣化するため、低温下では主に鍛造により圧縮加工され、ホイールやサスペンション関連部品に使用されることが多い。 

    ×

  • 30

    銅は、亜鉛との合金にすることで絞り特性を向上させた展伸用塑性加工が、またすずとの合金とすることで鋳造性を向上させた成形が可能であり、特に後者は不動態を形成し耐食性に優れるだけでなく耐摩耗性にも優れているのが特徴である。

  • 31

    黄銅は、銅と亜鉛の合金であり、銅に比べて展延性が大きく冷間加工に優れるとともに、亜鉛の含有量に比例して鋳造性も高まることから、各種展伸材や深絞り材、またバッテリターミナルなどに採用されている。

  • 32

    マグネシウムは、実用金属の中では最も軽量であり、またその合金は衝撃吸収性や耐くぼみ性が良好であり、また酸性の水溶液中でも極めて高い耐食性を維持できるため、主に鋳造用合金として利用されるほか、冷間加工性も良好であるため、各種展伸材にも利用されている。 

    ×

  • 33

    チタン合金は、鋼より密度が小さく鋼を上回る比強度を備えているが、加工性が極めて良好であるほか、熱伝導率が極めて高く酸に対しても高い耐食性を有していることから、熱交換器系や排気系部品に多く採用されている。

    ×

  • 34

    鋳鉄は、鋼よりも炭素含有量が多いため鋼に比べて耐食性には劣るが、鋼よりも融点が低く、また凝固時の収縮率も小さいため鋳造に適しており、含む黒鉛が耐摩耗性や熱伝導性の向上だけでなく、振動吸収性を高める役割があるため、エンジン関連部品に多く採用されている。

  • 35

    ニッケル合金は、一定の強度を備えるだけでなく、耐食性にも優れ、また冷間圧延、熱間圧延、引抜き加工、鍛造にも適性を備えており、特にクロムとの合金は、展伸材をはじめ各種ばね鋼やねじの製造にも多く使用されている。

    ×

  • 36

    亜鉛は、鉄よりも融点が低く導電率が高いため、自動車鋼板用の電気・溶融メッキ材料として利用されるほか、他の低融点金属材料と容易に可溶合金を形成し、各種電気抵抗、ヒューズ、各種装置の安全弁などに採用されている。

    ×

  • 37

    亜鉛は、鉄よりも融点が低く導電率が高いため、自動車鋼板用の電気・溶融メッキ材料として利用されるほか、その合金は寸法精度を出しやすく、衝撃にも強く高い減衰能を備えるなどの利点があるが、鋼に比べて耐食性は低く、腐食による経年劣化が速いことが欠点の一つである。

  • 38

    アルミニウムは( ① )が鉄の約4分の1程度と低いため、アルミ合金鋼の突き合わせ溶接では、通常、シールドガスを利用したアーク溶接により行われるのが一般的であるが、( ② ) は小さいため、溶接周辺部への熱影響には十分に留意が必要である。

    電気抵抗, 熱容量

  • 39

    アルミ溶接に関して代表的なアーク溶接技法の一つが直流を利用した( ③ )溶接である。電極を「+」にすることで母材側の発熱を下げて溶込みを浅くできるとともに、アークの( ④ )を利用してアルミ表面の酸化皮膜を除去することができるため、非常に効果的な手法の一つである。

    MIG, 清浄作用

  • 40

    また( ⑤ )溶接では交流を使用するのが一般的であり、電極が「+」になれば、アークの清浄作用を利用でき、母材側が「+」になれば一定の入熱を加えることが可能である。 ただし作業にあたり留意すべき事項の一つが( ⑥ )と呼ばれる欠陥現象である。溶接個所と熱影響部の境界線付近で発生することが多く、アルミ合金の中に( ⑦ )が低い元素が含有されているとき、当該元素が析出した状態で冷却・凝固が始まり、溶融金属の最終凝固部が完全に凝固していない状態で収縮することによるものである。 また ( ⑧ )と呼ばれる欠陥も発生しやすい現象の一つである。主として水素に起因して発生し、その原因は溶融アルミニウム中の水素の溶解度が凝固時に極端に減少することに因るものである。溶接時は空気中の水分を巻き込むことが多く、湿度の高い大気中での溶接作業をできるだけ回避することや、シールドガス流量や流速に留意し、シールドガスの壁に隙間を作らないなどの対策が有効である。 

    TIG, 低温割れ, 融点, ブローホール

  • 41

    自動車用部品・部材にも多く使用されている代表的なアルミ合金材が、5000 系・6000 系・7000系(JIS 規格ベース)の3種類の展伸材である。この3種類に共通していることは、添加元素に( ① )を含む点であり、この金属を含む最大の利点は、比重が小さく( ② )が非常に大きいため、加熱成形後でも寸法安定性に優れ、また溶接性も良好なことである。

    Mg, 比温度

  • 42

    5000 系合金材は、一般に非熱処理型と言われる合金であるが、強度、耐食性、溶接性、低温特性に優れるものが多く、主に車体用パネルや溶接構造用合金材として利用されている万能材である。一方、6000・7000 系合金材は熱処理型の合金である。主に( ③ )により硬度を高めており、車体用パネル、アルミ煽り、車体用構造部材、機械部品に至るまで広範な用途がある。また3種類とも成形にあたっては熱間による( ④ )を得意とし、複雑な断面形状でも一度の加工 で成形できるのも特徴の一つである。

    時効処理, 押出し加工

  • 43

    物性を比較するため、SPCC、SPFC、6000・7000 系合金の一例を応力ひずみ線図で表示したものが 下図である。どの材料も引張強さは異なるが、( ⑤ )の値については大差はないため、外力 に抵抗し塑性変形を応力として吸収できる能力は相対的に同じである。アルミ合金材が他の2つの鋼板と明らかに違う点は、( ⑥ )が鋼板の 1/3 程度と小さく外力に対して弾性変形しやすいという性質があるほか、引張応力が増加しない塑性域の最終段階では引張りに対する( ⑦ )が極端に小さく歪み依存性が大きいため、( ⑧ )を行う際は十分な注意が必要である。 

    降伏比, ヤング率, 局所伸び, 絞り加工

  • 44

    モノコックボデーは、外力をボデー全体に分散させることで剛性を維持する構造である。「剛性」 とは変形のしにくさを表す物理指標であり、これと最も関係が深いのが( ① )の値である。 この値は材料の比重(密度)に比例するため、冷間圧延鋼材であればその値はほとんど同じである。 したがって、例えばフロアパネルやルーフパネルなど、永久ひずみの発生(剛性の低下)が極端 に嫌われる部位では高張力鋼板による薄肉化が期待できないため、例えば軟鋼などの延性材料が 使用され、一般に( ② )を基準強さとして許容応力を決められている。

    ヤング率, 降伏点

  • 45

    バンパリイン ホースメント、フロント・センタピラー、ロッカパネル部などは、弾性変形を前提に衝撃力をボディ全体に分散する役割を担うとともに、外力の作用により永久ひずみが発生しても、外力を取り除けば以前よりも高い( ③ )を維持しながらより降伏しがたい材料へ変化できるだけの抵抗力を備えているため、例えば加工性冷間圧延高張力鋼板による薄肉化が期待でき、一般に( ④ )を基準強さとして許容応力が決められている。 

    弾性限度, 引張強さ

  • 46

    またサイドメンバのように、停止・走行中を問わず常に大きな集中荷重を受ける水平部材では、( ⑤ )が作用する断面が応力の最大値であり危険断面となるため、これに配慮して加工性冷間圧延高張力鋼板の種類が決定されるが、走行中の加減速による繰返荷重を受ける部材であることに配慮すれば、材料自体が決して破断しないよう、基準強さに( ⑥ )を採用し、この値ができるだけ大きくなるよう許容応力が決められる場合もある。 

    曲げ応力, 疲労限度

  • 47

    DP 鋼板と TRIP 鋼板は、高延性複合組織型高張力鋼板を代表する鋼種であり、2つの鋼板の共通する特徴は、ともに内部が性質の異なる複数の層で構成され、( ① )が小さく伸び特性(延性)に優れ、荷重の負荷範囲が極めて広いことである。

    降伏比

  • 48

    DP 鋼板は、主にマルテンサイト層(硬質層)とフェライト層(軟質層)の複合組織を、また TRIP 鋼板は、さらにベイナイト層(硬軟質層)が加わるため、冷間材であっても成形時の( ② ) が極めて良好であり、また外力に対しては( ③ )に優れるという特性を備えている。これは 軟質層が成形時や事故発生時に鋼板の「変形」を受け持つためであるが、特に TRIP 鋼板については、外力に対して( ④ )と呼ばれる特異な能力を備えているのが特徴である。これは常温時に鋼材内部にオーステナイト組織を意図的に残し、ここに力を加えて硬質なマルテンサイト 組織に変化させるという手法を活用したものであり、変形した部分は強度が上がり変形しにくくなるため、結果として他の部分が変形しやすくなり、最終的に部材全体が均一に変形し伸びが 増加するという仕組みである。複合組織を持つこれらの鋼板は、このような特性を活かし、各種 外板パネル、メンバ、ピラーなどの冷間材として、また繰返しの負荷による応力集中が原因となる亀裂が発生、伝播しにくく、( ⑤ )が極めて高く材料が破断しにくいため、サスペンショ ンアームや各種ホイール周辺部材、床下部材など熱間材にも多く採用されている。 

    加工特性, 衝撃特性, 変態誘起塑性, 疲労限度

  • 49

    な複合組織の生成を可能としている代表的な成形手法が、一般に( ⑥ )と呼 ばれる硬化法である。この方法は、( ⑦ )の原理を利用し、金属材料の表面層を発熱させることでその硬度を高める手法であるが、材料の一部だけを加熱・冷却したり、加熱する深度を自由に調整できるため、部分的に異なる組織を生成するのに最適である。 また複合組織の一つであるベイナイト層は、一般に( ⑧ )と呼ばれる熱処理法により生成され、焼入れによる変態が生じる温度を一定時間保持することで極めて粘り強い組織を有するのが 特徴である。

    高周波焼き入れ, 電磁誘導, 等温(恒温)変態

  • 50

    複合組織は唯一( ⑨ )に劣るという欠点をもっている。複合組織我的な局部的な伸びの成形を妨げるからであり、したがって、バーリングや穴広げ加工に代表されるような成形箇所については、こうした点を配慮し、ベイナイトを単相で用いるなどの措置が講じられている。 また、こうした鋼板は、さらにメッキ層で表面を保護する塗装対策が施されており、一般に ( ⑩ )と呼ばれる表面処理鋼板としてよく知られている。事後の熱処理で通常の溶融亜鉛メ ッキ鋼板の亜鉛皮膜内に鉄成分を拡散させてメッキ層を形成する手法であり、メッキ層の膜厚化を可能にし、加工時のメッキ層の剥離を防ぎ、防錆に加え溶接性を向上させる役割も担っている。

    フランジ成形性, GA鋼板

  • 51

    JIS 規格で表示される”SPFC490”と”SPFH490”は、ともに加工性に重点が置かれた使用頻度の高い代表的な高張力鋼板である。 前者は主に外板・内板の主要パネルに、後者は主にクロスメンバ、ピラー、ルーフサイドレールなどの強度部材をはじめ、足回り部材の一部に採用されており、両者を比較すると、JIS 規格上、( ① )の値はまったく同じであるが、”SPFH490”の方が板厚があり、( ② )が大きい分だけ剛性が高く、使用応力範囲内での安全性に配慮されている。

    引張強さ, 降伏強度

  • 52

    ”SPFC490”は”SPFH490”よりも( ③ )が小さく、したがって塑性域における応力とひずみの変動幅に余裕のある加工硬化特性に優れた鋼種であり、受ける負荷が同じであれば、前者の方が( ④ )に優れていることがわかる。 

    降伏比, 衝撃特性

  • 53

    JIS 規格で表示される”SPFC490”と”SPFH490”は、ともに加工性に重点が置かれた使用頻度の高い代表的な高張力鋼板である。 両者の利点を備えた鋼板の一つが、一般に( ⑤ )と呼ばれる鋼種である。低炭素鋼でかつ薄肉化が図られているため、プレス成形性が良好であり、また成形後の熱処理により含有する炭素や窒素を部分的に偏在、固着させる( ⑥ )と呼ばれる現象を利用することで極めて高い強度を備えることが可能であり、外板パネルだけでなく、サスペンションアーム、サイドメンバ、クロスメンバ、各種ピラーなどの内板構造部材への適用も可能になっている。

    BH鋼板, 歪み時効硬化

  • 54

    「SPC#」表示の鋼板の中で、特に深絞り用の極低炭素鋼板である「SPCE」は必要不可欠な鋼種の一つとされている。ただし、降伏点伸びが大きく、また冷間圧延後は他の鋼種に比べて( ① )が発生しやすいため、伸びの不均一性や合金元素の偏析などにより歪みやしわが発生しないよう軽い調質圧延を行う対策が採られており、その後の熱処理(調質処理)では( ② )を高めに設定し、硬度や降伏点を減少させて伸び特性や粘り強さを確保しているのが特徴である。

    自然時効, 焼き戻し温度

  • 55

    「SPCE」よりも板厚の範囲が狭くその厚みが薄いにもかかわらず、「SPCE」に迫る伸び特性を確保しているのが「SPFC340」である。ハイテン材の中では最も引張強さが小さい鋼板であり、( ③ )の値が 0.5 と非常に小さく、塑性変形能力や衝撃特性に優れ、衝突時の安全性能が極めて高いのが特徴である。この値が大きいと、( ④ )を維持したまま材料が急激に引きちぎられるように破壊するため非常に危険である。

    降伏比, 弾性限度

  • 56

    「SPFC」を主体に、この絞り特性をさらに高いレベルで実現しているのが DP 鋼板や TRIP鋼板と呼ばれる鋼種である。両者とも部分的に焼入れ深度を変えることで意図的に複合組織とした鋼種であり、特に後者は( ⑤ )と呼ばれる特異な能力を備えているため、衝突による鋼板の( ⑥ )が極めて良好なのが特徴である。

    変態誘起塑性, 均一変形性

  • 57

    DP鋼板、TRIP鋼板とも、材料を部分的に局所加工する精度には劣る面があり、これを可能としている鋼板が一般にベイナイト鋼と呼ばれる鋼種である。( ⑦ )と呼ばれる熱処理により成形されるのが特徴であり、バーリング加工や穴広げフランジ加工など、局部的な絞り加工でも材料を破断させることなく成形できるのが特徴である。

    等温(恒温)変態

  • 58

    高張力鋼板に求められる特性は、主に( ① )と( ② )の2つであり、両者とも降伏点 (耐力)の値と密接に関連しているが、前者は主にフード、ドアパネル、トランクリッドなど、外板パネルに求められる特性であり、引張強さに加え、降伏点(耐力)と( ③ )も所 定の大きさが必要となる剛性の高い材料でなければならず、例えば BH 鋼板はその代表的な一例 である。鋼板のプレス時の応力集中による内部歪をつくり出し、その周辺にC(炭素)やN (窒素)を転位、固着させて強度を向上させるという( ④ )を利用したものである。

    耐デント性, 耐衝撃性, ヤング率, 時効硬化特性

  • 59

    耐衝撃性はバンパ補強材、ピラー、メンバ類など、パネルに求められる特性であり、疲労特 性や変形特性が要求されるものでなければならない。これについては低い( ⑤ )が確保できる鋼板でなければならない。それは、所定の外力が加えられても引張強度に達するまでに高 い( ⑥ )を維持できるとともに、破断に至るまでに大きな( ⑦ )を確保し粘り強さが高 まるよう塑性域に余裕がある状態が必要だからであり、これらを充たしている最も代表的な鋼板が DP 鋼板と TRIP 鋼板である。

    降伏比, 加工硬化性, 靭性

  • 60

    DP鋼板は熱処理硬化を部分的に行い軟質なフェライト相を残すことによる( ⑧ )を重視した 鋼板であり、またTRIP鋼板は、常温でもマルテンサイトに変化するオーステナイトを残留させた鋼板であり、受けた衝撃の程度に応じて硬度が上昇していく鋼の( ⑨ )と呼ばれる変態を利用したものである。極めて伸び特性に優れており、強度と伸びのバランスが良好であるため、 高いエネルギ吸収性と強度の維持という両側面の性質を併せ持っている。

    絞り性, 変態誘起塑性

  • 61

    熱間圧延軟鋼板は、引張強度 270MPa 以上の鋼板が板厚に応じた( ① )により区分されてお り、自動車用鋼板として使用される板厚の標準範囲はおおよそ( ② )mm である。成形性や 加工精度は冷間圧延鋼板よりも劣るが、加工後の( ③ )が少なく、サスペンション関連部品 やメンバなど冷間圧延鋼板以上に板厚が求められる箇所に多く採用されている。 

    伸び率, 1.2~14.0, 残留応力

  • 62

    引張強度が( ④ )MPa 以上の熱間圧延軟鋼板を自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板と呼び、主に引張強度と( ⑤ )の違いにより区分され、「加工用」と「高加工用」に大別さ れている。

    490, 降伏強度

  • 63

    引張強度が熱間圧延軟鋼板と自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板の中間に位置しているのが JIS 規格で”( ⑥ )”と表示される 自動車構造用熱間圧延鋼板である。引張強度が熱間圧延軟鋼板よりも大きく自動車用加工性熱間 圧延高張力鋼板よりも小さい( ⑦ )~( ⑧ )MPa の間で計4種類が規定されている。 強度に加えプレス成形性の良さを併せ持っているのが特徴であり、主にフレーム材として自動車 用熱間材のおおよそ 30%を占めている。

    SAPH, 310, 440

  • 64

    冷間圧延鋼板は、低炭素鋼に相当する軟鋼板であり、プレス成形性や表状性(表面 の仕上がり精度)に優れており、自動車用鋼板として使用される板厚の標準範囲はおおよそ ( ⑨ )mm である。熱間圧延軟鋼板と同様、270MPa 以上の鋼板が板厚に応じた( ⑩ )に より区分され、用途に応じ「一般用」、「絞り用」および「深絞り用」に大別され、主に自動車用 外板パネルや展伸材として多く採用されている。 また、この冷間圧延鋼板の上位に位置するのが自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板である。引張 強度が( ⑪ )MPa 以上の冷間圧延鋼板をいい、自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板と同様、 主に引張強度と( ⑫ )の違いにより区分され「絞り加工用」と「加工用」に大別されている。

    0.6~2.3, 伸び率, 340, 降伏強度

  • 65

    ドア、フード、フェンダ、トランクリッドなど、外板パネルに必要な引張強度、剛性およ び耐デント性をできるだけ両立させる目的で開発された鋼板の一つが BH 鋼板である。通常、車体剛性は使用する部材の( ⑬ )や板厚に比例し、また引張強度や耐デント性は( ⑭ )に 比例して大きくなるが、これでは鋼板の薄肉化が困難である。強度が高く肉厚の状態ではプレス 成形時に面ひずみが生じて高い面精度を確保することができないため、加工時は柔軟性に富んだ 鋼板をプレス成形後の( ⑮ )という現象を活用しこの問題を解決したのが BH 鋼板である。 具体的には、プレス成形後の( ⑯ )の熱によって鋼板中に固溶状態で残留する炭素と窒素を 転位させて( ⑰ )を上昇させる手法である。

    ヤング率, 弾性限度, 高温時効, 焼付け塗装, 降伏強度

  • 66

    自動車用加工性冷間・熱間圧延高張力鋼板の2つについて は、引張強度が同じあれば、前者の方が後者よりも降伏強度が低く、結果として( ⑱ )の値 小さいため、塑性域における負荷荷重、すなわち破断に至るまでの許容応力の範囲が広いため ( ⑲ )が高いのが最大の特徴である。

    降伏比, 衝撃吸収性

  • 67

    冷間圧延鋼板と自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板の2つを比較すると、両者はともに ( ⑳ )の値も板厚の標準範囲もほぼ同じであるため、どちらを使用しても車体剛性には大差 がないことを把握しておくことが重要であり、後者をいくら多く使用しても車体剛性はまったく 向上しない。後者が前者よりも優れているのは、板厚を薄くしても高い( ㉑ )と( ㉒ ) を備えているため、荷重を負担できる塑性域に余裕があることであり、重量増加を抑えながら強 度と衝撃吸収性を高め安全性をより向上させている点である。

    ヤング率, 引張強度, 降伏強度

  • 68

    SPC#表示の鋼板は、引張強さの区分に違いはなく、主に伸び特性の違いで区分されており、 特に SPCE 表示の鋼板は SPCC 表示の鋼板よりも炭素含有量を抑えて絞り加工特性を重視し た冷間圧延材である。 

  • 69

    SPH#表示の鋼板は、引張強さと伸び特性の違いで区分されており、特に SPHE 表示の鋼板は SPHC 表示の鋼板より引張強さは小さく靭性には劣るものの、深絞り加工性に突出した性能 を備えた熱間圧延材である。 

    ×

  • 70

    SAPH 表示の鋼板は、主に引張強さの違いで区分されている構造用熱間圧延鋼板であるが、 引張強さとともにプレス成形性にも優れているため、板厚が同じであれば引張強さに比例し た伸び特性を備えているのが特徴である。

    ×

  • 71

    SAPH 表示の鋼板は、SPFH 表示の鋼板よりも板厚が小さく伸び特性に優れたプレス成形用の 構造材であるが、同時に SPFH 表示の鋼板よりも大きな引張強さを備えているのが特徴であ る。

    ×

  • 72

    SAPH 表示の鋼板は、引張強さが SPH#表示の鋼板よりも大きく SPFH 表示の鋼板よりも小さい が、主として自動車用フレーム材や足回り材として一定の強度が保証され、また併せてプレ ス加工特性にも優れた構造用鋼板であり、高張力鋼板の性能までは必要としない箇所に多く 使用されている。 

  • 73

    SPFC 表示の鋼板は、主に引張強さと降伏点の違いにより区分されており、引張強さが小さ い鋼板ほど降伏比も小さくより加工成形性に優れているため、主に絞り加工用として多く使 用されている。

  • 74

    SPFH 表示の鋼板は、引張強さが同じ SPFC 表示の鋼板と比較すると、板厚が大きく降伏点も 高いが、板厚が大きい分だけ延性や伸び特性に優れており、衝撃を受けた際のエネルギ吸収性にも優れている。 

    ×

  • 75

    「SPC#」で表示される自動車用鋼板は、通常、外板用低炭素薄板鋼として使用されており、常温 で圧延した後、過度に加工硬化した鋼板に対して展延性や被削性を回復させ再加工に備えるた め、先ずは( ① )処理を行い、その後は薄板の表面性状(厚さの均一性)を向上させ、併せ て圧縮・引張によるシワを伸ばす目的から、軽めの( ② )を施して全体の硬度調整を行うの が一般的である。また実使用にあたっては、その後熱処理として( ③ )を行い鋼内部の靭性 の回復が図られているが、このとき( ④ )温度が高いほど硬度や降伏点が減少するため、粘 り強さが求められる場合には比較的高い温度で、また耐摩耗性が必要とされる場合には比較的低 い温度で行うのが一般的である

    焼きなまし, 調質圧延処理, 調質処理, 焼き戻し

  • 76

    鋼種は、「SPCC」、「SPCD」、「SPCE」の3種である。3種の中では「SPCE」は( ⑤ )の値が最 も小さく、成形時の伸び率は( ⑥ )%以上が求められ、また厚みが大きい鋼板ほど伸び特性 に優れているため、自動車用深絞り成形材料として外板系部材や機能部品などに多く使用されて いる。 

    降伏比, 40

  • 77

    「SPH#」で表示される自動車用鋼板は、「SPC#」と異なり圧延は高温で行われるが、( ⑦ ) が大きく焼入性には劣るため、通常、( ⑧ )による熱処理で組織を標準化し再加工に備える だけである。 

    質量効果, 焼きならし

  • 78

    「SPHC」、「SPHD」、「SPHE」の3種であり、用途区分は「SPC#」と同じである。例えば「SPHC」 で表示される鋼板は、主に( ⑨ )加工のみで製品化できる一般用部材として自動車用各種フ レーム材やシャシ系部品に多く使用されており、また「SPHE」は深絞り用成形部材として比較的 大型の内骨系部材、足回り用部品、機能部品などに使用されており、加工精度は冷間材に及ばな いものの、加工硬化による( ⑩ )が非常に少ないため、集中荷重を継続して受ける部材・部 材でも安定した内部組織を継続して維持できるなどの利点を備えている。 

    曲げ, 残留応力

  • 79

    アルミニウム合金は、同じ実用軽金属の中でも、マグネシウムやチタンなどと異なり冷間加工 による成形性が極めて良好な金属である。例えば、非熱処理型の A4000 番台(JIS 規格表示、以 下の材質記号も同じ。)に属する展伸用アルミ合金材は、( ① )用として極めて高い強度が 維持でき、熱膨張・収縮がなく寸法精度と耐熱性の高さは他の加工法を圧倒的に凌駕しており、 エンジン関連部品として多くが採用されている。

    冷間鍛造

  • 80

    非熱処理型合金でも A3000 番台に 属する合金材は、主に( ② )用として使用されることが多い展伸材である。この加工は一 度だけの圧縮工程で異形断面や中空断面まで多用な形状が得られるのが特徴であり、また主に マンガン(Mn)を合金元素に含むため、加工性と耐食性を犠牲にすることなく( ③ )だけ を高めているのが特徴であり、各種チューブやショックアブソーバのシリンダなどのほか、ヒ ートインシュレータ、熱交換器用部材にも採用されている。

    押し出し加工, 引張強さ

  • 81

    A5000 番台に属する合金材 は、主にマグネシウム(Mg)を合金元素に多く含むため、非熱処理型の中では単位質量あたり 最高の( ④ )を備える軽量型構造用展伸材であり、車体用パネル用材料のほかホイール用 材料としても採用されている。いずれの場合も、アルミニウムは、鋼にみられるような( ⑤ ) の性質を示さず、冷間温度を下げて加工しても引張強さや耐力が低下しないという特異な性質 をもっており、加工成形にあたってはこれが利点の一つになっている。

    比強度, 低温脆化

  • 82

    A6000 番台に属する展伸用アルミ合金材は、代表的な熱処理型合金である。( ⑥ )処 理によりその機械的性質の改善を図り強度を維持できるため、工業的利用価値の極めて高い材 料であり、車体用パネル材料として多く採用されている。また、マグネシウム(Mg)とケイ素 (Si)を合金元素に多く含むため( ⑦ )が高く、プレス成形や曲げ加工時には高い成形性 を確保し、成形後には高い耐力を確保できるのが特徴である。

    時効硬化, 塗装焼付硬化性

  • 83

    金属表面処理方法のうち、最も普及している方法の一つが浸炭処理と窒化処理である。浸炭処理 は主に( ① )を対象に行われ、ガスを利用した方法が最も多く採用され、CO や H2 を多く含 む炭化水素ガスが必要であるため、使用するガスの多くは( ② )や( ③ )である。 

    低炭素合金鋼, ブタン, プロパン

  • 84

    浸炭処理の目的は、表面の硬度だけを高め、内部は靭性の高いままに維持することであるが、最 終工程では( ④ )を行う必要があるため、過度の熱処理は( ⑤ )を高め破損を招く可能 性があり、この点では( ④ )をまったく必要としない窒化処理の方がはるかに有利である。

    焼き入れ, 表面脆性

  • 85

    窒化処理は、浸炭のように鋼の組織を変えることによって硬度を高めるのではなく、低温下にお いて( ⑥ )の雰囲気中で高い硬度の化合物を作ることによって表面を硬化させる処理である。 ( ⑦ )が浅く、熱歪みが小さいのが特徴で、クランクシャフト、カムシャフト、バルブリフ タなど、比較的柔らかい鋼の表面のかじりを防ぎ、摩擦抵抗を減らして( ⑧ )を向上させ、 材料の破壊を回避させるための代表的な表面硬化加工法である。特に窒素は、( ⑨ )や( ⑩ ) などの金属と親和性が強く、当該金属を含む合金鋼の表面処理には最も有利とされている。 

    アンモニア, 硬化深度, 疲労限度, Al, Cr

  • 86

    浸炭・窒化に次いで多く採用されている表面処理法の一つが高周波焼入れであり、焼入れ 硬化を高めるため、( ⑪ )を対象に行われることが多い。( ⑫ )の効果を十分に活かすた め、最初に調質処理を施して炭素合金鋼の靭性を十分に回復させた後、当該合金鋼をコイルの中 に入れ、( ⑬ )の原理を利用し材料をオーステナイト状態まで加熱して焼き入れる方法であ る。直接加熱した箇所の硬度だけを高めることが可能であり、また硬化層の深さを自由に調整で きるという利点があるため、軸受部品を中心に、機械部品の摺動部位に多く採用されているほか、 複合組織型高張力鋼板(DP 鋼板など)など、異なる変態層を備える鋼板の熱処理にも不可欠と されている処理方法である。 

    半硬鋼・硬鋼, 焼き戻し, 電磁誘導

  • 87

    金属表面の特定箇所だけを加熱し、同時に( ⑭ )作用を利用して焼入 れを行うのが電子ビーム焼入れやレーザ焼入れであり、その特徴は、複雑な形状の部品であって も、その一部分だけを局所的に加熱することを可能としている点である。ただし、電子ビーム焼 入れは、レーザ焼入れに比べるとエネルギ密度が小さいため、( ⑮ )で行う必要があり、エ ンジンのバルブやピストンリングを始め、トランスミッション用歯車の歯焼きなど、比較的小部 品の製造を大量に行う場合に適した方法であるのに対し、レーザ焼入れは大気中でも処理が可能 であるため、比較的大型の部品に適用されている。

    自己冷却, 減圧雰囲気中

  • 88

    陽極酸化処理法は、対象となる金属を陽極につないで酸の水溶液を電解したとき、本来なら陽極から気泡となって発生する酸素が、金属の種類によっては金属自体と急速に結合することで発生しない という原理を利用したものであり、あえて「陽極酸化」の呼称が付けられている。アルマイト処 理はその代表的な手法の一つであり、耐摩耗性と耐食性を向上させる目的で行われ、最初に薄い バリヤ層が、その上には( ⑯ )の高い多孔層が形成されるのが特徴である。

    電気絶縁性

  • 89

    ボデー修理用のスポット溶接機には、一般に水冷・エア加圧式でトランス一体型(電源は単相 または三相 200V が主流)が多く使用されている。平均的な最大定格容量は 25kW前後であり、 板厚 1mm 前後の鋼板同士を溶接するために必要な電圧(二次負荷電圧)をおおよそ( ① ) V前後に、また二次電流を( ② )kA前後に変換するのがトランスの役割であり、大きな二 次側出力を得るために必要な機器本体の大型化を防ぐため、昨今、トランスには( ③ )方 式が多く使用され、これに組み込まれている( ④ )制御により高張力鋼板でも高い品質確 保が可能になっている。

    2.5 , 10 , 直流インバータ, 定電流補償

  • 90

    定電流補償方式は、特にスポット溶接における欠陥現象の一つである中ちりの発生を抑制するの に効果的である。中ちりは、一般に被溶接材の間に発生する溶融金属がナゲット周囲の圧接部 を破って外に飛び出す欠陥をいい、原因の多くは( ⑤ )と( ⑥ )であり、鋼板接合部 へ抵抗熱を集中させることができないことが主な要因である。この2つは、特に電極チップの 先端径や先端形状によっても大きく影響されるため注意が必要であり、両者は電極チップの先 端径の大小により電流密度や加圧力が変化するため、また後者は電流遮断後の冷却固着工程 (加鍛工程)において溶融部の内部欠陥を減少させる目的からも注意が必要である。

    電流過多, 加圧力不足

  • 91

    溶接機の水冷化については、( ⑦ )の低下やチップ先端の軟化などを防止するため冷 却キャップ型電極チップが採用されることが多く、この場合、チップの選択やメンテナンスが 極めて重要である。

    熱伝導率

  • 92

    ボデー修理用の一般的なミグアーク溶接機に使用される最も基本的な電流方式は、電極 をマイナス、被溶接材をプラスとして入熱を集中させアークを安定させる直流の( ⑧ )で ある。また溶接機にはアーク溶接電流を供給する主トランスと制御回路などが組み込まれてお り、修理作業における電流可変調整範囲の最大値はおおよそ( ⑨ )Aである。また溶接ワ イヤと母材の間に発生する実作業時のアーク電圧はおおよそ( ⑩ )V前後であり、最大で 6kW前後という高い電力が溶接ワイヤ先端に集中するため、瞬時に 6,000℃前後に達する高温 で母材を溶融することが可能である。

    正極性, 200, 30

  • 93

    交流アーク方式では両極の発熱量は等しいが、安定したアークを得ようとすると直流方 式よりも高い( ⑪ )が必要となり極めて危険であるため、これに備える機器が法律で義務 付けられている( ⑫ )装置である。 

    無負荷電圧, 電撃防止

  • 94

    ホイールアライメントの一つであるキャスタ角は、その調整量により車体の挙動、特性が大き く変化しやすい構成要素の一つである。例えば、プラスキャスタの量に比例し、旋回時には旋 回外側のホイールが( ① )の方向に変化するため、コーナリングフォースを向上させるこ とが可能であるが、このときキャスタ効果が大きく作用する設定になっていると、車体を直進 方向へ戻す力が発生するため、近年、( ② )ができるだけ小さくなるようにアライメント 調整を行い、併せてホイールの中心位置より後方に( ③ )を設けることにより、キャスタ 角自体を変化させずにステアリングの反応性を良好に保つ設定としている車種が多くなってい る。

    マイナスキャンバ, キングピンプラスオフセット, キャスタオフセット

  • 95

    フロントの( ④ )を相対的にリヤより低く設定し、旋回時にリヤ側の荷重移動を増 やすことでアンダステア対策としている車種も多くなっている。これによりフロント側のモー メントが増加しコーナリング自体の限界性能は低下するものの、一定速度以内であれば操舵時 および旋回時の回頭性を高め俊敏な挙動態勢を維持できるからである。 

    ロールセンタ

  • 96

    ハイマウントアッパアームを備えるウィッシュボーン式のフロントサスペンションは、ストラッ ト式サスペンションと比べ、走行中の負荷に対する剛性や操舵性に優れているのが特徴である。 例えば、ストラットサスペンションとは異なり( ① )に曲げモーメントが発生せず、その摺 動部には反力が生じないためフリクションが非常に小さいのが特徴である。また旋回時にはアー ムがキングピン傾斜角と( ② )の変化をコントロールできるため、タイヤを起点とした横方 向の力の発生が少なく、さらには上下アームの自在な配置と摺動方向の設定により、( ③ ) が重心高さに近づくようコントロールすることで旋回時の剛性確保と操舵性の良さを両立でき る構造になっている。

    ショックアブソーバ, キャンバスラスト, ロールセンタ

  • 97

    フロントタイヤ上方にアッパアームを配置する一般的なウィッシュボーン式フロントサスペン ションでは、アッパアームの配置場所を工夫することにより( ① )を小さく設定すること ができ、これにより走行中のタイヤの接地性を高めることが可能であるが、このままではステ アリングホイールの自動復元力による直進性が低下するため、対策の一つとして、操舵軸上の モーメントとして作用する( ② )を大きくすることでこれを補うことが可能である。ただ し、これでは当該モーメントの影響を強く受けやすくなるため、モーメントの影響を受けずに ステアリングホイールの自動復元力だけを利用して直進性を確保するには、( ③ )による アライメント調整を行うとより効果的である。

    キングピン傾斜角, キャスタトレール, キャスタオフセット

  • 98

    ハイマウントアッパアームを備えるウィッシュボーンタイプのサスペンションを採用する車両 は、アライメント効果により相対的に旋回時のアンダステアの挙動を抑制しやすいのが特徴であ る。アッパアームを高い位置に配置できるため、例えば( ① )をマイナス方向へ変化させ、 操舵軸回りのモーメントを活用することにより優れた回頭性を得ることが可能である。また同時 に( ② )をマイナス方向へ設定しやすく、発生するスラスト力の方向を実質的に( ③ ) と同方向へ調整しやすいことも利点の一つである。さらには、アッパアームの配置角度を調整し やすいことから、前輪側の( ④ )を後輪側より相対的に低く設定しやすく、これにより旋回 時は前輪側の荷重移動量を後輪側よりも相対的に少なくすることができ、これもアンダステア対 策の一つになっている。

    キングピンオフセット , キャンバ, コーナリングフォース, ロールセンタ

  • 99

    昨今の FF コンパクトカーは、旋回中一定の速度で走行することを前提とすれば、できるだけフ ロントの回頭性を重視しアンダステア特性を抑制する方向にセッティングされる車種が多い。 その手法の一つは、旋回時のキャスタ効果(※)を抑えることである。キャスタ効果は、( ① ) がプラス方向に設定されることによりその効果が大きくなるため、これをできるだけゼロに近 づけるか幾分マイナス方向に設定することである。この設定でタイヤが回転すると( ② )を プラス方向に設定したときと同じ効果が生まれアンダステアを打ち消すことが可能となる。

    キングピンオフセット, トー

  • 100

    タイヤの面圧を上げてグリップ力を確実に路面に伝えるため、前輪の( ③ )をネガテ ィブ方向に設定することも常用手段であり、これによりコーナリングフォース(向心力)と反対 方向に作用するタイヤのスラスト力を減らすことでアンダステア対策が可能である。

    キャンバ