問題一覧
1
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 訳:秋がやってきたと、目にははっきり見えないけれど、風の音に自然と( )ことだ。
気づいた
2
物にはるる心地して、おどろき給へれば、灯も消えにけり 訳:物に襲われるような気持ちがして、( )なさると、灯も消えてしまった。
目を覚まし
3
とかくしつつののしるうちに、夜更けぬ。 訳:あれこれしながら( )うちに、夜が更けた。
大騒ぎする
4
この世にののしり給ふ光原氏、かかるついでに身たてまつり給ふ。 訳:世間で( )ていらっしゃる光原氏を、このような機会に身申し上げなさったらどうか。
評判になっ
5
常に「天照大神を念じ申せ」といふ人ありけり。 訳:常に「天照大神をお( )申し上げよ。」という人がいる。
祈り
6
いみじく心憂けれど、念じてものも言はず 訳:酷く辛いが( )てものも言わない。
我慢し
7
いと悲しくおぼえけり。 訳:たいそう悲しく( )た。
思われ
8
尼君の見上げたるに、少しおぼえたるところあれば、子なめりと見給ふ 訳:尼君が見上げている顔立ちに、少し( )ているところがあるので、子供であるようだとご覧になる。
似
9
これに、ただおぼえむ古き言一つづつ書け。 訳:これに、今すぐ( )ような古歌を一首ずつ書け。
思い出される
10
などさしども心にしみてあはれとおぼえ給ひけむ。 訳:どうしてあんなにも心に沁みてしみじみといとしいと( )なさったのだろう
思われ
11
しのぶれど色に出でにけり我が恋はものや思ふと人の問ふまで。 訳:( )のだが顔色に現れてしまった、私の恋は。物思いをしているのかと人が尋ねるほどに。
我慢する
12
宮、例の、しのびておはしまいたり。 訳:宮は、いつものように、( )ていらっしゃった。
人目を避け
13
暮れはつるまで、ながめ暮らしつ。 訳:日がすっかり暮れてしまうまで、( )で過ごした。
物思いに沈ん
14
明くるより暮るるまで、東の山ぎはをながめて過ぐす。 訳:夜が明けてから暮れるまで、東の山ぎわを( )てすごす。
ぼんやり見
15
海の中にはつかに山見ゆ。 海の中にわずかに山が( )。
見える
16
雲居よりもはるかに見ゆる人ありけり。 訳:雲よりもはるかに( )女性がいた。
思われる
17
時々も見え給へ。 訳:時々は( )てください。
姿を見せ
18
つかふ人にも見えで、いと長かりける髪をかい切りて、手づから尼になりけり。 訳:召し使う人にも( )ないで、たいそう長かった髪をぷっつり切って、自分の手で尼になってしまった。
見られ
19
かかる異様の者、人に見ゆべきにあらず。 訳:このような変わり者は、人と( )べきではない。
結婚する
20
男、大和にある女を見て、よばひてあひにけり。 訳:ある男が、大和の国に住む女を見て、求婚して( )た。
結婚し
21
立ちて見、ゐて見、見れど、去年に似るべくもあらず。 訳:立って見、( )て見、見るけれども、去年と似ているはずもない。
座っ
22
鳥獣もなき所にて一人食ひゐたり。 訳:鳥や獣もいない所で一人食っ( )た。
てい
23
菰積みたる舟のありくこそ、いみじうをかしかりしか。 訳:まこもを積んだ舟が( )のだが、たいそう趣深かった。
動き回る
24
ひたすらに家ごとに乞ひありく。 訳:ひたすらに家ごとに物乞いして( )。
まわる
25
わびしと思ひありき給ふ。 訳:困ったと思い( )ていらっしゃる。
続け
26
この法師ばら、美麗なる物具飽くまで取りて、帰りけり。 訳:この法師どもは、きれいな道具を( )まで取って、帰った。
満足する
27
飽かず惜しと思はば、千年を過ぐすとも一夜の夢の心地こそせめ。 訳:( )命がほしいと思うなら、1000年を過ごしても一夜の夢のような短い気持ちがするだろう。
満ち足りず
28
三寸ばかりなる人、いとうつくしえてゐたり。 訳:三寸(一約九センチメートル)ほどの人が、たいそう( )様子で座っている。
かわいらしい
29
かの本の道の質の作れる、うつくしき器物も、古代のをこそをかしと見ゆれ。 訳:あの木工の名人の作った、( )器物も、昔風の形が趣深いと思われる。
立派な
30
かなしからん親のため、妻子のためには、恥をも忘れ、盗みもしつべきことなり。 訳:( )ような親のため、妻子のためには、恥も忘れ、盗みもしかねない物である。
いとしい
31
いみじくうれしきにも涙落ちぬ。 訳:( )うれしいにつけても涙が落ちた。
とても
32
し得たりし心地は、いみじかりしものかな。 訳:うまくし遂げた気持ちは、( )たものだよ。
とても素晴らしかっ
33
死にけりと聞きて、いといみじかりけり。 訳:死んだと聞いて本当に( )た。
とても悲しかっ
34
雨など降るもをかし。 訳:雨などが降るのも( )。
趣がある
35
たまさかに立ち出づるだに、かく思ひのほかなることを見るよと、をかしうもうす。 訳:たまに出かけてさえ、このように意外なことを目にするよと、( )お思いになる。
おもしろく
36
をかしき額つきの透影あまた見えてのぞく。 訳:( )額の格好の人影が何人も見えてのぞいている。
美しい
37
そのほかをかしきことども多かりけれども、恐れてこれを申さず。 訳:そのほか( )ことが多かったが、恐れてそれを申し上げない。
滑稽な
38
風も吹かず、よき日出で来て、漕ぎ行く。 訳:風も吹かず、( )日和になってきて、漕ぎ進む。
よい
39
よき人はあやしきことを語らず。 訳:( )人は不思議なことは語らない。
身分が高く、教養のある
40
盗人あやしと思ひて、連子よりのぞきければ、若き女の死にて臥したるあり。 訳:盗人は( )と思って、連子窓から覗くと、若い女で死んで横たわっている人がいる。
不思議だ
41
遺戸わ荒くたてあくるも、いとあやし。 訳:引き戸を荒々しくあけたてするも、とても( )。
けしからん
42
あやしき下人なれども、成人の戒めにかなへり。 訳:( )下人の者であるが、その言葉は成人の教訓に一致している。
身分が低い
43
水無月のころ、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遺火ふすぶるものもあはれなり。 訳:六月の頃、( )家に夕顔の花が白く見えて、蚊遺火がくすぶっているのも趣深い。
粗末な
44
今日よりはおとなしくなり給へや。 訳:今日からは( )なられたか。
大人らしく
45
心ばせある少将の尼、左衛門とてあるおとなしき人、童ばかりぞとどめたりける。 訳:気が利く少将の尼と左衛門といって仕えている( )女房と、童使いだけを残しておいた。
年配の
46
さるべくおとなしき人々、何がしかがしといふいみじき源氏の武者たちこそ、御送りに添へられたりけれ。 訳:しかるべく( )人々で、何のだれそれというすぐれた源氏の武者たちを、お見送りのために添えられた。
思慮分別のある
47
月かげゆかしくは、南面に池を掘れ。さてぞ見る。 訳:月明かりが( )ならば、屋敷の南正面に池を掘れ。そうして見るのだ。
見たい
48
ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず。 訳:( )たけれど、神社へ参拝するのが本来の目的なのだと思って、山の上までは見なかった。
行ってみたかっ
49
おぼつかなきもの。12年の山籠りの法師の女親。 訳:( )もの。12年間山籠りしている僧の母親。
気がかりな
50
いかでもの越しに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、少しはるかさむ。 訳:何とかして物隔てにでもお目にかかり、( )思い重ねた心の中を、少し晴れやかにしたい。
待ち遠しく
51
ありがたきもの。虜にほめらるる婿。また、姑に思わるる嫁の君。 訳:( )もの。虜に褒められる婿。また、姑に愛されるお嫁さん。
めったにない
52
「物は、破れたる所ばかりを修理して用ゐる事ぞと、若き人に見習はせて、心づけんためなり」と申されける、いとありがたかりけり。 訳:「物は、壊れたところだけを修理して使用するものだと、若い人に見習わせて、気づかせようとするためだ」と言われたのは、まことに( )あった。
滅多にないほど立派で
53
秋の月は、限りなくめでたきものなり。 訳:秋の月は、この上なく( )ものである。
素晴らしい
54
大社を移して、めでたく造れり。 訳:出雲大社の神の分霊を移して、 ( )造営してある。
立派に
55
見すべきことありて、呼びにやりたる人の来ぬ、いとくちをし。 訳:見せようというものがあって、呼びにやった人が来ないのは、とても( )。
残念だ
56
世を捨てて山に入る入山にてもなほ憂き時はいづちゆくらむ。 訳:俗世間を捨てて山に入る人は、山においてもやはり( )時はどこへ行くのだろう。
つらい
57
すべてかれにわびしきめな見せそ。 訳:万事この女に( )目を見させないでくれ。
つらい
58
前栽の草木まで、心のままならず作りなせるは、見るも苦しく、いとわびし。 訳:庭の植え込みの草や木までも、その自然の趣のみの姿でなく意図的に作り上げているのは、見た目にも不愉快で、たいへん( )。
興ざめだ
59
梁塵秘抄の喩曲の言葉こそ、また、あはれなることは多めかれ。 訳:梁塵秘抄の謡い物の歌詞は、また、( )ことが多いようだ。
しみじみと心打たれる
60
滝の音水の声、あはれに聞こゆる所なり。 訳:滝の音や川の音が、( )聞こえる所だ。
趣深く
61
あはれなる人を見つるかな。 訳:( )人を見たものだ。
かわいらしい
62
わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや。 訳:たった二本の矢である、師匠の前で一本を( )しようと思うだろうか。
おろそかに
63
口惜しといふもおろかなり。 訳:残念だという( )。
言葉では言い尽くせない
64
おそろしなんどもおろかなり。 訳:恐ろしいなどという( )。
言葉では言い尽くせない
65
狩はねんごろにもせで、酒をのま飲みつつ、やまと歌にかかれりけり。 訳:鷹狩りは( )もしないで、酒ばかり飲んでは、和歌を読むのに熱中していた。
熱心に
66
それ、人の友とあるものは、富めるをたふとみ、ねんごろなるを先とす。 訳:そもそも、世間の友人という物は、金のあるものを尊び、( )者を第一にする。
親しい
67
明けぐれの空に、雪の光見へておぼつかなし。 訳:夜明けの薄暗い空に、雪あかりが見えて、( )。
ぼんやりしている
68
つれづれなる時は、これを友として遊行す。 訳:( )時は、これを友としてぶらぶら歩く。
することもなく退屈な
69
つれづれに思ひつづるも、うち返しいとあぢきなし。 訳:( )思い続けているのだが、考えれば考えるほどまったく情けない。
しんみりともの寂しく
70
少しの地をも、いたづらにおかんことは、益なきことなり。食ふもの・薬種などを植ゑおくべし。 訳:少しの土地も、( )おくようなことは、無益なことだ。食べ物や薬になる草木を植えておくべきだ。
むだに
71
船も出ださでいたづらなければ、ある人の詠める。 訳:船も出さず( )ので、ある人が詠んだ。
手持ち無沙汰で暇な
72
年ごろ思ひつること、果たし待りぬ。 訳:( )思ってきたことを、果たしました。
長年
73
文太といひて、年ごろの者ありけり。 訳:文太といって、( )召し使われている者がいる。
長年
74
その人、かたちよりは心なむまさりたりける。 訳:その人は、( )よりは心が優れていた。
容貌
75
御灯明の影ほのかに透きて見ゆ。 訳:お灯明の( )がほのかに透けて見える。
光
76
鏡には色、かたちなきゆゑに、よろづの影来たりて映る。 訳:鏡には色も形もないので、さまざまな( )が来て映る
姿
77
ついに本意のごとくあひにけり。 訳:しまいに( )どおり結婚した。
かねてからの願い
78
暮るるまで御物語したまひて、大宮も渡りたまひぬ。 訳:暮れるまでお( )をなさって、大宮もお帰りになった。
話
79
この源氏の物語、一の巻よりしてみな見せ給へ。 訳:この源氏の( )を、一の巻から全部お見せください。
物語
80
その人の御もとにて、文書きてつく。 訳:あの人のお所へと思って、( )を書いてことづける。
手紙
81
大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天橋立 訳:大江山を超え、生野へと行く道は遠いので、まだ踏んでみることもしてみません、天橋立は。また( )も見てません。
手紙
82
世の中に長恨歌といふ文を、物語にかきてある所あんなり。 訳:この世に、「長恨歌」という( )を、物語に書き直して持っている人がいるそうだ。
漢詩
83
ほど経にければ便なし。 訳:( )がたってしまったので具合が悪い。
時
84
足もとへふと寄り来て、やがてかきつくままに、首のほどを食はんとす。 訳:足もとへさっと寄って、すぐに飛びつくと同時に、首の( )に食いつこうとする。
あたり
85
同じほど、それより下の更衣たちは、ましてやすからず。 訳:同じ( )、それより低い地位の更衣たちは、なおさら気持ちがおだやかでない。
身分
86
出で給ふほどを、人々のぞきて見たてまつる。 訳:光原氏がご出発なさる( )を、女房達はのぞいてお見送りする。
様子
87
よろづのことよりも情けあるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ。 訳:何事よりも( )があるのが、男はもちろん、女でも素晴らしく思われる。
思いやり
88
男女の情けも、人へに逢ひ見るをばいふものかは。 訳:男女の( )も、ひたすら逢って契りを結ぶことだけをいうのだろうか。
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89
なさけある人にて、瓶に花をさせり。 訳:( )のある人で、瓶に花を挿してある。
情趣を解する心
90
日頃のちぎりを変せず、一所にて死にけるこそ無惨なれ。 訳:堂々の( )をたがえず、同じところで死んでしまったのは痛ましい。
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前の世にも御契りや深りけむ、世になく清らなる玉の男皇子さへ生まれ給ひぬ。 訳:前世でもご( )が深かったのだろうか、世にまたとなく美しい玉のような皇子までがお生まれになった。
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月に二度ばかりの御契りなめり。 訳:月に二度ほどの( )であるようだ。
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今日、風、雲の気色はなはだ悪し。 訳:今日は、風や雲の( )がひどく悪い。
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せちにもの思へる気色なり。 訳:ひどく物思いにふけっている( )である。
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かぢとり、気色悪しからず。 訳:船頭は、( )が悪くない。
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いかなるたよりして、気色見せむ。 訳:どのような方法で( )を知らせようか。
思い
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月明ければ、いとよくありさま見ゆ。 訳:月が明るいので、( )はっきりとありさまが見える。
とても
98
つた、くず、朝顔、いづれもいと高からず、ささやかなる垣根に、繁からぬ。よし。 訳:蔦、葛、朝顔は、どれも( )高くなく、小さな垣根に密着していないのが、よい。
たいして
99
大門の方に、馬のいななく声して、人のあまたあるけはひしたり。 訳:大門の方に、馬のいななく声がして、人が( )やってくる様子がした。
たくさん
100
げにただ人にはあらざりけり。 訳:( )普通の人ではなかったのだ。
なるほど